――野比家はのび太少年期に調とことはが、青年期にのぞみが加わった(戸籍上でそう記録されるのはもっと先の時間軸だが、それ以前から実質はそう扱われていた)。のぞみは精神的意味で転生先の肉体の家庭である『中島家』に安息を見いだせなかったため、精神的意味での安息を野比家に見出していた。また、『夢原のぞみ』としての活動が公にできるようになり、かつての戦友と合流すると、転生で不安定ともされた精神バランスは曲がりなりにも安定を見せた。だが、前世の経緯の都合で一歩間違えれば崩壊してしまうほどに脆さがあった事から、早くから対策が立てられていた。――
――ダイ・アナザー・デイが終わった直後、のび太はのぞみを自家に住まわせた。ウィッチ世界の中島家では『次女』であり、家を継ぐ可能性が無いことは安心する要素だが、人格が変化した事を悟られ、中島家に精神病院行きにされる事を恐れたのぞみの意思を尊重し、(錦の姉で中島家現当主の小鷹は既に事態を把握しており、デザリアム戦役中には激励文を送るので、実際はそんな事はなかったが)精神的安息の場所として自家を提供し、住まわせた。調、ことはとの擬似的な姉妹関係はその頃が始まりであった。のぞみはダイ・アナザー・デイでプリキュアを率いて戦った戦功でプリキュアでは最高位となる金鵄勲章を授与され、上層部の計らいで『予備役になった場合は無条件に教諭になれる』権利を与えられたが、どこからか聞きつけた日本の左派と教育現場の一部が横槍を入れ、扶桑の教育関係から軍事色を排除する過程で『予備士官の教職へのすぐの転向は規制し、講師にのみなれる』とされたため、のぞみは政治的理由で正式な教諭への道を閉ざされた。その補償として、軍隊は『中佐への早期昇進の内定、危険手当の増額』を通し、なし崩し的に損害補償として認められた。このやり取りの結果、現役軍人のままで居続ける事になった。これは日本側の教育現場の介入も含んだ独善的な決定だったため、扶桑から強い批判を浴びた。日本政府は憲法と法律の関係上、この事に強い指導力を発揮し得ないため、扶桑国民からの猛抗議を受けた日本の教育現場が『軍人の進路妨害の意図はない』とした緊急声明を出すほどに萎縮し、それに則って、提言のトーンを緩める事でひとまずの幕引きが図られた――
――だが、その混乱で多くの教職志望の軍人は『進路』を諦める羽目となった(教育学部設立で前時代の遺物と見なされた師範学校の廃止が内定したのだが、その卒業見込みであった者の進路確保、教諭になるのを前提にしての授業料の免除を辞めるか否かの問題も重なり、混乱の最中だったため。その中で師範学校の在校生は教育学部への改組時に無条件で在籍でき、授業料は師範学校入学時の規定を鑑み、師範学校出身者は特別に免除される事になった)ため、そういった『教職志望だった』軍人達は日本側の詫び代わりの一種の救済措置と言える人事異動で、軍学校の教諭や助教に優先的に配され、多くは教育畑でキャリアを終えることとなった。ただし、のぞみはそういった混乱の流れに関わりは持たず、64Fの隊員として戦い続ける道を辿る。この混乱は日本側の扶桑への介入のトーンが下がる一つのきっかけとなった。歴代プリキュアの主人公でも高い人気を誇ったのぞみの志望していた進路を結果的に妨害した形になったため、日本の関係組合に老若男女問わずのプリキュアファンからの猛抗議が舞い込み、彼らを困惑させたからだ――
――この混乱は21世紀で『疫病が大流行する』時期に合致したため、ちょうど黒江の誘いで一時滞在中(この当時はまだ、正式には戦列に加わっていない)のキュアアクア/水無月かれんに同情されたのぞみ。かれんは2019年頃から、野比家に一時滞在することが増えていた。ことはの要請と、本人の意思である――
「あなたも大変ね」
「なーに、慣れましたよ。昔はココの影響で盲目的に教職に憧れてたけれど、今はそうでもないです。転職が無理なら、空中勤務者なりの身の振り方を考えますよ」
「私達の世界のあなたが聞いたら、目を回すわよ?」
「ええ。それはわかってますよ」
「でも、地下格納庫で何を建造させているの、『彼』は」
「いざという時の切り札だそうです。元は旧国連時代に、学園都市の技術を用いて構想された兵器の構想を転用したとか」
「その兵器の名前は?」
「一昔前のとあるロボットアニメがアイデア元だそうです。えーと、SPTだったかな」
学園都市の技術は2020年代になると外部に流出しだし、日本防衛省はダイ・アナザー・デイの人型ロボットの叩き出した戦果を鑑み、後の世のそれらの隆盛のもとになる構想を練っていた。当然ながら、21世紀の金属では必要とされる強度を確保できなかったために頓挫したわけだが、のび太は人型ロボットが兵器転用され、技術が熟成された時代の技術と資材を使うことで、それを『完成』に至らせた。その内の一つが『SPT』であった。アニメが基になっている構想だったが、日本政府がこの頃に構想したものは技術的には学園都市の開発していたパワードスーツを搭乗型ロボットへ転換させようとしたのがきっかけである。のび太はナイトメアフレームの製造で地球連邦軍が得た『ミドルサイズ機動兵器の開発』技術を用いることで、アニメの再現に成功したわけだ。なお、ナイトメアフレームと違い、SPTは姿勢制御バーニアなどを機体の姿勢制御に用いる『常識的な動き』を前提にしているが、MSよりも細かな機動を想定しているため、機動力はMS以上である。また、アニメではその動力は燃料電池だが、小さいサイズの機動兵器をMSを倒せるだけの高出力で動かす為の出力を担保する必要上、熱核反応炉系のものでこれまた動力が代用されている。
「そこのエベレーターでいけます」
のぞみは暗証番号を入力し、エレベーターを起動させる。
「なぜ、暗証番号付きなの」
「のび太くんの年老いたご両親が一階からの直通エベレーターと間違えないように、暗証番号を入れる仕組みにしたんだそうです。それに色々とこの時代にとってのオーパーツを管理してますから」
エレベーターがそこにつくと、時代には見合わないオーパーツというべき兵器らが鎮座していた。科学要塞研究所の要請で管理を委託された、お蔵入りになった第二期量産型グレートマジンガー、ミケーネ残党から鹵獲した量産型ゲッタードラゴンがいの一番にかれんの目に飛び込んできた。それから、地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクスから管理を委託された正式採用寸前の新型機『RGM-153 ジェイブス』(ヴェスバーパック装着型)、サナリィの『ガンダムF90Ⅱ』などの珍しい機体もあった。
「これは…」
「地球連邦軍からのび太くんの一族が委託されて管理してる兵器庫ですよ。未来世界じゃやたら強奪事件が起きるんで、のび太くんが管理を依頼されたんです」
「たしかに、この時代には相応しくないものだわ。ここの事は?」
「ドラえもん君とのび太くんの親友達、奥さんしか知りませんし、ドラミちゃんには知らしていません」
「どうして?」
「あの子は生真面目ですから」
ドラえもんとのび太はドラミには自分達の裏稼業を知らしていない事が明確にされる。ドラミが知れば、騒ぎになる事は容易に想像つくからで、ドラえもん曰く「あいつはカタブツだから、教えてないよ」とのこと。後にジオン系勢力に野比一族が『封印技術の墓守めが』と揶揄され、ブッホ・コンツェルンには『東アジアの道楽一族』と揶揄され、マーサ・カーバイン・ビストからは『墓守趣味の東洋人の道楽一族』と呼ばれているのは、この時期からのび太が始めた管理業務を、その子であったノビスケ以降の代々の直系子孫らが事業を引き継いだからだ。のび太の玄孫であるセワシの代から徐々に技術の一般公開を進めるが、その保有技術を危険視したギレン・ザビとその取り巻きら(エギーユ・デラーズを含む)が『ブリテッシュ作戦』を起こす遠因となり、その時に時の野比家次男系分家が全滅してしまい、パトロンをしていたように、ジオン・ダイクンに一定の理解を示していたはずの野比家を完全に敵に回している。ジオン系勢力の誤算はそこである。
「歴史的には、こことアデレードにも倉庫を持っていたことでギレン・ザビが危険視したんだそうです。連邦の潜在力を根本から削ぐとして、コロニー落としを立案する理由付けになるそうです。そのコロニー落としでのび太くんの一族の分家が一つ全滅しちゃって、一族が反ジオンに転換したそうですよ」
「確か、一年戦争のコロニー落としは……」
「シドニーです。のび太くんの末裔の一人が家族とそこに住んでたんです。のび太くんが反ジオンの姿勢の理由の一つです」
のび太は末裔に当たる一族の分家の一つをジオンの手で全滅させられた事をメカトピア戦役の際に知り、それ以後はしずか共々、一貫して反ジオンの姿勢を貫いている。野比一族は地球連邦の中興を起こそうと尽力しているが、逆にそれで子孫のノビタダらがテロに狙われる理由にもなっている。また、マーサからも『ビスト家の障害』と見なされ、ノビタダはやたらと狙われる。もちろん、のび太から受け継いだ『異能生存体』の力で切り抜けているが。
「のび太君の一族は代々、気が優しい人達です。その彼らが敵と見なしてるのがジオンであり、ティターンズであり、ニューディサイズだったんです。23世紀じゃ『地球連邦の良心』って言われてるほどの影響力があるそうです」
「つまり、これからの時代の日本、ひいては地球を動かすようになる一族に?」
「ええ。のび太君とそれ以降の子孫達、それとのび太くんの親友達の一族は共同でススキヶ原同朋団という、一種のNPO団体を運営するようになって、22世紀の後半には宇宙移民の権利を認めさす活動をしてて、かのジオン・ダイクンのパトロンをしていた時期があるそうです」
「それがどうして?」
「ザビ家っていうジオン・ダイクンの政敵がサイド3の実権を握ってからですね。方針転換は。それで地球連邦軍良識派のパトロンになっていって、エゥーゴにも一時除いて、出資していたそうですよ」
のび太達の一族は地球連邦政府をも動かせるほどの影響力を行使できる立場に飛躍したが、ブリテッシュ作戦で完全にジオン系諸勢力の敵に転じた。ノビタダの祖父世代で、セワシの子の一人『ノビナリ』(セワシの子で一人だけ生存する末子)は『時代錯誤の似非マキャヴェリスト共め』と激昂したという。ノビタダは曽祖父と祖父に反発した父が実業家として名を馳せたのに反発していたところへのび太としての自我の目覚めが起こったため、経済学志望から軍人へ転じた。のび太としての意識が目覚めたことで『黒江達を未来世界で支援するため』に職業軍人へ転じたのだ。デザリアム戦役の直前の時点では、士官学校で優秀な成績を修めているところであり、飛び級で任官が確実視されているところだ。
「で、のび太君が子孫を統率し始めた時期がちょうど私が覚醒めた戦いの時期だったんです。転生先が職業軍人なのは、あたしと響(北条響/シャーリー)だけです」
プリキュアで転生先が職業軍人であったのは、のぞみと北条響のみ。相田マナと四葉ありすなどは戦車道のエリート校の学生、菱川六花は航空会社令嬢など、主に学生などに分かれている。また、ユニのように前世がヒューマノイド系宇宙人でありながら、生まれ変わった先が普通の地球人というケースもある。ラブは転生&転移型、ことは、いちかは現役時代からの参加であるので、現れ方は千差万別だが、戦車道世界に複数人が転生しており、ダージリンに転生した蒼乃美希がそのまとめ役であるという幸運もある。また、立場上、もっとも動きにくいのが、カチューシャに転生したキュアピース/黄瀬やよいであるのは言うまでもない。
「あ、かれん、のぞみ。こっちにゃ」
「ユニ、作業のほうは?」
「OSの調整作業だけになったニャ。のび太がいい出した時は乾いた笑い出しちゃったニャ」
ユニがいた。この頃には生前の地球人態の姿を普段は取る様になった。生前の名残りは尻尾と語尾のみだが、転生先がノンナであるため、オールマイティーに優秀であり、ダイ・アナザー・デイ後には縁の下の力持ちとして活躍しだしている。彼女は青のプリキュアでは最新のプリキュアであると同時に『虹のプリキュアだにゃ!』と自称している。
「ユニ。あなた、何を?」
「のび太が造らせてる機体の調整作業にゃ。何分、MSより小さいからね。ナイトメアフレームよりは大きめだけど、細かい動きをさせる前提だから、すり合わせが大変ニャ」
「あの機能は?」
「最終調整が終わったところ。それを前提にしてあるから、機体の素材もガンダリウム・エプシロンにしてあるし、頑丈だよ」
「ありがとう。本当はかれんさん達を助ける時に使いたかったみたいだけど、のび太くん」
「V-MAXの調整作業が難しかったから、しょうがないにゃ。けど、アヤカが使ったじゃない、生身で。しかもブイマキシマムを」
「あの時、みんな驚いてたわよ、のぞみ。なぎささんは目が点になってたし、うちのところのりんは固まってたわよ」
「あ、はは…、そっちのりんちゃんとあたしに悪いなぁ」
黒江は大決戦の際、ドリームの姿で『ブイマキシマム』を発動して『蒼き流星』として戦場を貫いたが、その際にキュアブラックは目が点になった事がかれんから明確にされた。また、その際の映像は妖精たちが記録していたらしく、かれんの世界ののぞみがことはに反発する事にも繋がっている。また、その様子を伝え聞いた『かれんの世界ののぞみ』は成り代わった人物が上位互換技を使った事に激しく反発していたという。
「怒っていたわよ、こちらでの貴方は」
「へ、なんでですか?」
「あの技よ。初めてプリキュアになったはずの人が自分の技の上位互換を撃ったのよ?ずるいと言っていたわ」
「先輩ですから、なんでもありです。あの人は黄金聖闘士でもあるし、シャインスパークも撃てる。戦闘慣れしてますから、ぶっちゃけ、あの戦いのプリキュアオールスターズより強いと思います」
「いいの、そんなこと」
「事実ですからね。ダイ・アナザー・デイで一緒に戦ってみて、よくわかりましたよ。チートぶりが。転生を三度もしてきてるから、膨大な経験値を持ち越してる。あたしなんて、まだまだ青二才ですよ」
とはいうものの、のぞみ自身も他世界より多くの実戦経験を積み、錦の経験値もプラスされているため、かれんのいる世界の自分を有に超える戦闘力である。(草薙流古武術があるため)
「よくいうニャ。クニカに三振り目の斬艦刀を造ってもらった上、敵のアイオワ級戦艦をまっ二つにしたくせにさ」
「ざ、斬艦刀……?」
「元はアヤカが日本のとあるゲームをもとにして造った個人武器さ。斬馬刀ってのが昔にあったでしょ?それの系統の究極系。アヤカはそれに聖剣を上乗せできるにゃ」
「先輩は若い頃、その最初の一振りを造って、軍で名を馳せたんです。ウチの軍隊じゃ伝説でしたよ」
黒江は聖剣を斬艦刀に上乗せする戦法も使う事が多いが、これは聖剣の霊格に量産品の軍刀では耐えられないからである。今回の歴史では、事変初期の模擬戦から使用している。当時のウィッチの軍刀は実質的に『棍棒のように怪異の外殻とコアを叩き割る』形でしか通用しなかったため、純粋な斬撃で致命傷を負わせられる黒江は当時最高の『大物食い』であった。だが、旧64F当時は江藤と武子が『集団戦至上主義』であった都合で軍部に公認されずじまいであった。だが、それから七年後に黒江達を困らせたという皮肉がある。ミーナの起こした騒動も斬艦刀と聖剣に一因があった。聖剣の時点でやばい代物なのに、『特注した大剣を使っている』事は当時の若き江藤と覚醒前の武子にとっては好ましい事柄ではなかったため、公認されていなかった。江藤が天皇に呼び出されたのは、皇室でさえ知っているはずの事を軍部は公認していない事に天皇が不快感を見せたからだ。
「まぁ、それであの時、えらく揉めたんだよなぁ。ウチの部隊」
「ああ、聞いたよ。ミーナの勘違いでしょ?査問の時の顔は忘れられないよ。青ざめてたし」
「あれ、ユニ。立ち合ってたの?」
「うん。その時はまだ、64Fには合流しないで、司令部の内偵してたから。同情するくらいに顔色変わったよ」
ユニはミーナの査問の際に、ロンメルの秘書官という形で立ち合っている。一回目の査問でのことだが、ミーナは最初こそ、モンティとロンメルに皮肉を返す余裕があったが、パットンが映像を映写し、坂本が証拠の古傷を示したことでミーナは錯乱寸前に陥ったという。もちろん、その映像は聖剣使用時のものだ。さらに映像は斬艦刀を使う黒江、ゲッタートマホークで事変時のクーデター軍兵士を血祭りにあげていく圭子、ショルダースライサーの二刀流を披露した智子へつなげてあり、ガランド厳選の映像集に仕上がっていたという。そして、最後はモンティ提供の圭子の『ストナーサンシャイン』で〆。さすがにストナーサンシャインは非現実的であったが、聖剣とストナーサンシャインは貴重なカラー撮影の映像であったため、却って信憑性が増した。ミーナはブリタニアでの戦いで真ゲッター1のストナーサンシャインを間近で見ていたということもあり、愕然とした。更に坂本が予めの指示に従い、ミーナを殆ど擁護しなかった事も錯乱の決定打となった。
「言い訳じみた事は殆ど漏らさなかったけど、ミオが顔を顰めるような事は言ったよ。それを鑑みて、ロンメルは重い処分を決定したんだ」
「どんな?」
「ミオが不快感を顔に出したくらいの事だよ。私も、聞いてて気分のいいもんじゃなかったニャ」
「だろうね」
ユニはミーナの名誉を鑑みて、内容を敢えてぼかしたが、のぞみはおおよその察しをつけた。ミーナ本来の人格は感情的になると、後先考えないで感情的な言動を口走るという悪癖はその時は既に有名だったからだ。
「ああ、ユニ。先輩達と箒に言った?あの事」
「ああ、エレンと一緒に言ったよ。アヤカとホウキも承諾した。後はお姉さんを説得するだけ。今度、アヤカと向こうに行くって」
「急展開だね」
「ドラえもんとのび太が説得したんだ。それに作戦も終わったし、ある程度は事柄を伝えたほうが彼も却って落ち着くだろうからね。まさか姉が『増殖』してるなんて、その子も思いも寄らないだろうけど」
「あたしの場合も……だろうね」
「たぶんね」
二人は一夏の一件で、ドラえもんとのび太が千冬達を諌め、黒江ものび太が諌めたことで承諾に至った事に触れた。黒川エレンがIS世界に赴くのは箒の説得によるもので、圭子では対応が一番雑になりそうなので、黒江が赴く事、箒の身元引受人として、のび太も行く事が示唆された。また、それとのぞみの同位体の場合も似た経緯を辿る事はなんとなく悟る二人であった。
「なんだか大変ね」
「ええ。それでユニ……」
「うん。これだよ」
格納庫をある程度歩くと、のび太が本来は『大決戦』の際に使おうとしたが、調整が間に合わなかった全長10m弱前後の青と白のツートンカラーの機動兵器が鎮座していた。ナイトメアフレームよりは大きいが、MSよりは小さいサイズの機動兵器であった。
「『E-SPT-LZ-00X-B レイズナー』。日本の昔のロボットアニメを再現した機動兵器シリーズの第二弾。かれん、のび太が君たちを助けに行く時に使おうとしたけど、機体調整が間に合わなかった兵器さ。その渾名は蒼き流星さ」
その機動兵器は頭部がコックピットを兼ねている構造であり、背中のバックパックがコックピットを兼ねていたナイトメアフレームとは設計思想を根本的に異にする。だが、機体構造は高機動性を売りにしている都合で根本的にナイトメアフレームより数段は頑強だと言う。機体管制OSの調整に手間取ったのであり、機体そのものは大決戦の前に完成していたという。
「これがそうなの……?」
「うん。あの時にアヤカが披露した力の一端の基になった能力を持ってる機動兵器だよ。製造コストはかかってるけど、相応に強力だよ」
「のび太くん、造ってたんだ。レイズナー…」
かれんとのぞみに披露された『蒼き流星SPTレイズナー』。のび太が用意したというその機動兵器。23世紀の技術を用いて建造されたその兵器はのび太が使用しようとしたように、現在のドラえもんを思わせるカラーリングである。だが、その機動力は圧倒的であると思わせる各部のアポジモーターとスラスター。手持ち武器はレーザードライフルで、MSとは違うという点が強調されていた。機動兵器の製造はある意味では、野比一族の道楽であったが、蒼き流星SPTレイズナーの製造はのび太とその末裔のノビ・ノビタダの戦う意思の表明であった。