ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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※この話からしばらくはシルフェニアにて掲載中の「ドラえもん のび太とスーパーロボット軍団 短編集」の一つ『.プリキュア、スーパーロボット大決戦編の現時点までを再構成した総集編になります。なお、新作パートもあります。

http://www.silufenia.com/toukou/909/909SS02.php



総集編~プリキュアオールスターズ大決戦~
第六十六話「総集編~大決戦の経緯~その一」


――ドラえもん達が度々、ダイ・アナザー・デイの頃から言及する『大決戦』とは何か?それを後日、まだ現れるであろうプリキュアらのためにある程度まとめたレポートが用意された。その前半部分を見てみよう――

 

 

――1946年。欧州での激戦も終わり、ちょっとした息抜きを兼ねてより考案していた黒江。それは智子も巻き込んでの出来事となった。国内のクーデターの処理も終わり、久方ぶりの長期休暇にありついた時のこと。ドラえもんに頼み込み、入れかえロープでのぞみとお互いの『中身』を入れ替えた。プリキュア気分を味わい、旅館でうたた寝をしたのだが その間に『のぞみが過去に戦ったオールスターズの戦いの舞台』に飛ばされていた。その戦いはハートキャッチプリキュアが現役の頃に起こった戦いであった。

 

 

(今度はこのパターンか。俺もついてるんだが、ないんだが。……ハートキャッチが現役の頃か?ロケーションからしても間違いない。まさか、自分で体験する事になるたぁな)

 

心の中で苦笑いしつつ、同じく、ラブと中身を入れ替えていた智子と結託し、場を乗り切る事にした。智子もそれなりに場を取り繕う事はできるため、テキトーにラブとしての演技をする。二人共、元からノリやすい性格であったのが幸いしたのだ。

 

(どーすんの?こういうのって、パターン的には、寝てる間に起こってる一時的な事だろうけど)

 

(ま、俺達は一応は『客人』だ。今は楽しもーぜ)

 

黒江と智子は外見は変わっているが、中身は変わっていないので、皆の見ていないところでは普段通りの会話である。外見が入れ替わっただけであるため、能力はそのままであるため、黄金聖闘士としての能力はいざとなれば使えるのだ。

 

(俺は5の連中の相手をする。それと初代とSplash Starの連中の様子が確認できるしな。お前はフレッシュの連中の相手をしとけ)

 

状況的にのぞみとラブを演じる事になった二人。黒江の演技力はりんにすら違和感を感じさせないほどだ。『寝る前』にやっていた仕事についても話す。軍人なので、それに関係する事だ。

 

(あたし、あんたと違って、演技力は自信ないのよね。せつなと美希にはバレそうな気が)

 

(映画の通りなら、ハートキャッチの二人が間に合わなくて、プリズムフラワーを奪われて大ピンチからのミラクルライトでの逆転だが、どうせなら変えちまおう。あ、『元に戻ったら』だけど、各地に残ってるキ44を回収する仕事のスケジュールを立てるぞ。疾風に取っ替えるついでに、クーデター軍の遺した機材の調査をするから、長丁場になるぜ)

 

(キ44の代替はやっぱり疾風になるの?)

 

(ジェット機のパイロットは自衛隊の出身の連中に去年から育成させてるが、安定供給には時間がかかる。当面は陣風と烈風、キ100とかで凌ぐしかないさ。疾風は機体自体の弾数が確保出来るのが大きいんだ。大量生産する用意はされてたしな。日本には大東亜決戦機の名前負けって嫌われ者だけど)

 

扶桑軍は前年のクーデターの後始末に追われつつ、渋々ながらも東京五輪へ邁進していた頃だった。扶桑の東京五輪の代表は軍人が多数派であり、黒江たちも掛け持ちで出場予定である。後始末として、クーデターに加担した部隊は解体され、義勇兵の引き受け場の部隊に改編されている最中であった。日本の老人層にとっては軍隊は『福祉の敵』ということもあって世論に押され、クーデター参加部隊は解散になり、保有機材を残った部隊に提供したり、日本の博物館に寄贈という事になった。ダイ・アナザー・デイが終わった後は、扶桑各地に残る旧式機を『保管庫』に移すのが黒江たちの任務であった。21世紀日本側の世論は来る大戦に備え、ジェット戦闘機の配備を急かしているが、ジェット戦闘機はレシプロ戦闘機より小回りが効かないために制空戦闘機の代替としての配備に反対する声は古参搭乗員やレシプロに慣れた技術者に多い。しかしながら、高高度性能はレシプロの比ではないし、一部の者が提言した『ジェットが配備されれば、個人技能を廃し~』というものが『同等の機体が配備されれば、結局は元の木阿弥になる』という事実が伝えられた事や、ダイ・アナザー・デイでジェット機同士のハイレベルな空戦が日常的だった事から、配備の促進を望む声も多い。その兼ね合いもあり、レシプロ機は配備数の減少こそあるが、現役の座に留まっていた。実務上の都合と言うやつだ。

 

 

(平和な時は暇なのよね、ウチの部隊。)

 

(パトロール任務はガキ共で事足りる。俺達ゃ教習で出張るくらいしか仕事ないし、飛行技能維持のための定期飛行くらいだ。自由勤務権を得てるから、厚木に出向くのも少ないかんな)

 

「のぞみ~、ラブと何話してんの~?次のアトラクションに行くよ~」

 

(おっと、お呼びだ)「ごめん~、話しこんじゃってさー」

 

(プロね…)

 

ラブの姿になった智子は、遊園地で遊ぶのぞみをぬけぬけと演ずる黒江のプロ根性に関心しつつ、演技力に言葉もない。黒江は経験上、楽しんでいるように見せといての偵察行動もこなしており、映画『オールスターズDX2』の舞台に飛ばされたことを確認する。幸い、ラブのキャラも『大味』である。智子も演技の心得がないわけではなかったため、完コピに近い黒江ほどでないにしろ、なりきれていた。ただし、ラブのおかげで『善』に目覚めた存在かつ、敵幹部からプリキュアに転じた者であり、かつてのイースであった『東せつな』からは違和感を真っ先に持たれていた。(せつなはラブと家族同然であったのも関係している)その違和感は蘇った歴代の敵幹部が歴代のプリキュアの力の根源たる『レインボージュエル』、もしくは『プリズムフラワー』を敵が手中に収め、歴代のプリキュア達への力の供給が絶たれた時に表出した。

 

 

 

 

 

 

――敵と戦闘に入って――

 

「うわあああっ!?」

 

成り行き上、キュアピーチになった智子はプリキュアの歴代の敵にプリキュアの技が効かず、逆に押し返され、無効化。逆に自分が吹き飛ばされる様を身を以て体験する事となった。変身者が他者と心が入れ替わっていても、変身はできるという事はラブ本人から聞いていたが、この時に事実である事が確認された。

 

「ハハハ……もうすぐ世界は闇に包まれる」

 

「……なるほど、プリズムフラワーだか、レインボージュエルがアンタらの目的ってことか。その尖兵として利用されてる自覚あんの?」

 

智子は見せ場が来たのを大喜びしつつ、元・ナイトメア(プリキュア5の最初の敵組織)の幹部であった『アラクネア』に問答をする。キュアパッションは先程の攻撃で気絶に至らなかったため、ピーチが普段と異なる口調で敵と会話を交わしている事に驚き、呆然としていた。

 

「ふん。力が弱まったお前達が粋がったところで……」

 

「そいつはどうかな?」

 

「な、なに……!?」

 

「ピーチ……、ラブ!貴方、いったい何を!?」

 

「パッション、起きてたの。なら、これ以上は『隠す』必要はないわね」

 

「お、黄金の光…?ど、どういう事……?」

 

「『神を超え、悪魔を滅ぼす』力を今、ここに!!」

 

智子は小宇宙と魔力などでプリキュアとしてのリミッターを自ら『破壊』し、蒼き炎と黄金のオーラを纏ったキュアエンジェルピーチの姿を取る。だが、翼の色は智子の能力の影響で青く彩られ、得物はピーチロッドではなく、RXと同じ『リボルケイン』になっているという違いがあった。

 

「嘘……、皆の応援も、ミラクルライトの光も無しで、キュアエンジェルに……!?それに…貴方…やはり!」

 

「説明は後よ。ここは任せなさい。一瞬で終わるから」

 

「いっしゅ……!?」

 

パッションが言葉を言い終わらない内に、智子はピーチロットを変化させたリボルケインを突き刺していた。そして、引き抜く。引き抜かれた敵の傷口から猛烈な光のエネルギーが吹き出す中、リボルケインを「RX」の字を描くようにして振り、決めポーズを決め、大爆発を背にする。智子が一番にやってみたかった決めポーズである。

 

「さて、あの子の応援にいくとしますか」

 

「待って!教えて、貴方は何者なの!?ピーチと同じ姿をしてるけど、心は別人って事!?」

 

「理由があって、姿を借りてるの。だけど、何かの原因で成り代わってしまったから、その立場を演じていたのよ。あたしはラブの…そうね、仕事の上司よ。あの子が大人になった後の時代のね」

 

黄金のオーラを迸らせ、蒼き炎を纏い、蒼き翼を纏うキュアエンジェルピーチ状態の智子。パッションにその場を任せ、ドリーム(黒江)の様子を見に向かった。

 

 

 

 

 

 

――一方、黒江はその世界のキュアブロッサムとキュアマリンの背中をキュアドリームとして押し、レインボージュエル、もしくはプリズムフラワーのもとに向かわせた後、他のプリキュア5と共に『プリキュア・レインボー・ローズ・エクスプロージョン』を放った。(ノリがいいため、ばっちりと掛け声も決めた)だが、こういう『映画のお約束』が適用されたか、その技は現役時代が嘘のように容易く弾かれる。

 

「レインボー・ローズ・エクスプロージョンを弾いた!?」

 

「ドリーム、避けて!!」

 

ルージュの悲鳴。敵に跳ね返されたプリキュア5単体での最強技『プリキュア・レインボー・ローズ・エクスプロージョン』が避ける間もなく、モロにドリームに直撃したからだ。

 

「う、嘘でしょ………!?のぞみ……!のぞみぃぃぃ――っ!あぁ……」

 

ルージュが真っ先に悲痛な叫びを挙げた。エターナルとの戦いでは一度も破られていなかったはずの『プリキュア・レインボー・ローズ・エクスプロージョン』が容易く弾かれたばかりか、その全エネルギーがドリームに直撃したのだ。ルージュはそのあまりのショックでその場にへたり込んで嗚咽を漏らし、年長組のアクアとミントも顔面蒼白、キュアレモネードは言葉もなく青ざめ、その場で固まっている。エネルギー波が消えた時、そこにドリームの姿はなく、プリキュア5とミルキィローズはドリームの戦死という最悪の事態が頭をよぎる。

 

「くぅうう、ああああっ!」

 

「無茶よ、ルージュ!」

 

ルージュは血気に逸り、やぶれかぶれの攻撃をかけようとしたが…。

 

「大丈夫だよ、りんちゃん」

 

「の、のぞみ、あんた……無事だったの!?」

 

「ごめんごめん、エネルギーの爆発に乗じてね、態勢を立て直してたんだ。おかげで、この姿になれたみたい」

 

「まさか、レインボー・ローズ・エクスプロージョンのエネルギーを呼び水にしたの!?ミラクルライトの光無しで……!?」

 

アクアが驚きの声を挙げる。逆光越しながら、ドリームがシャイニングドリームにパワーアップを遂げている事が分かったからだ。この時、既にプリズムフラワー(もしくはレインボージュエル)は敵の手に落ち、プリキュアの力は弱まっているはずである(レインボー・ローズ・エクスプロージョンがあっさりと弾かれたのは、そのためでもある)。だが、ドリームは明らかにパワーアップしていた。しかも、ミラクルライトの力無しに変身は不可能なはずのシャイニングドリームに、である。ただし、猛々しいまでの黄金のオーラを纏っているのが特徴であった。つまり、黒江はレインボー・ローズエクスプロージョンのエネルギーを使い、咄嗟に小宇宙を高める事でシャイニングドリームへの変身を実行し、成功したのである。のぞみらしい言動を演じられるあたり、英才教育の効果だろう。

 

『この世に光がある限り、わたしは何度でも蘇る!あんたらみたいな邪な連中を倒すために!!』

 

敵への啖呵はRXの台詞回しの骨子を引用しつつ、所々で『のぞみらしさ』を入れるあたり、黒江にはその気になれば、『プロの女優として食っていけるだけの演技力』がある証拠だった。空中で翼を広げ、シャイニングドリームとしての名乗りも律儀に行う。ストロンガーやのび太の教えを忠実に守ったためでもあるが、ヒーローやヒロインの役割を演ずるにあたり、『名乗り』の大事さを意識したためでもあり、智子より遥かに自然に役に入り込める事の表れでもある。

 

『想いを咲かせる奇跡の光!!シャイニングドリームッ!!』

 

バシッと名乗りを決める。ポーズはのぞみ本人のそれを意識しつつ、仮面ライダーストロンガーの影響丸出しのものであった。最後に片腕を天に向けて突き出すポーズで締めるところはストロンガーのわかりやすいまでのオマージュであった。シャイニングドリームの姿を借りつつ、攻撃は完全にチャージアップストロンガーへのオマージュ精神旺盛な技と聖闘士としての継承技で占めた。アーク放電を発動させ、まずは足に電流を迸らせ、高速でスクリュー回転しながらの飛び蹴りをその場にいた敵の一人『モエルンバ』に食らわせた。

 

『超電!!スクリューキィィ――ックッ!』

 

超電スクリューキックを再現し、モエルンバにクリーンヒットさせたシャイニングドリーム(黒江)。超電子エネルギーに極めて近い威力の電撃を纏わせてのスクリューキック。モエルンバの炎の体をもぶち抜くほどの威力を見せた。モエルンバは最後の力でプリキュア5に炎の奔流を放って消滅するものの、智子と違い、事前に『予習』をしてきた黒江にぬかりはなかった。

 

『ケイロンズライトインパルス!!』

 

ケイロンズライトインパルスを放ち、黄金の疾風を巻き起こして、炎をかき消す。自身に襲いかかる炎は右の手刀で切り払し、圧倒的強者感を見せつける。プリキュア5とミルキィローズはこの行為で直感的に、『目の前のシャイニングドリームは何者なのか?』という疑念を抱いた。そして。その右腕にはいつの間にか、『勝利すべき黄金の剣』が握られていた。黒江が与えられし最初の『宝具』である。エクスカリバーには劣るが、聖剣に相応しい威力を持つ。霊格を『実体化』させたものなので、過去にアルトリアが持ち、失われたものと同一のものではない。だが、黄金の剣という特徴を備え、エクスカリバーと同一の存在である説もあるため、『式典用の華美な装飾がなされている』という割には威力過剰である。(霊格としての聖剣を代々の山羊座の黄金聖闘士が鍛え上げ、カリバーンからエクスカリバーにしてきた通り、カリバーンは聖剣の原石と言える)シャイニングドリーム(黒江)は蘇っていた『ハデーニャ』を目にも留まらぬ速さで、属性を一切無視し、一刀のもとに斬り伏せる。

 

「チェストォォーッ!!」

 

示現流特有の鬼気迫る勢いでカリバーンが振り下ろされ……。

 

「馬鹿な……たかがそんな剣に……アタシが一撃で斬られるのかい…!?」

 

「悪いな、『ハデーニャ』。アーサー王が選定の時に岩から引き抜いた『選定の剣』だ。エクスカリバーに比べりゃ落ちるが、聖剣であることには変わりはねぇ。それに、オリンポス十二神が一柱『アテナ』から拝領した代物だ。そこらの鈍らとはデキが違うんだよ」

 

黒江は示現流免許皆伝であるため、大上段から綺麗さっぱりと斬り裂いてみせる。有る意味では山羊座の黄金聖闘士の本領発揮である。誤解されがちだが、聖闘士は神と戦える力を持つが、超能力に近い部類の力である小宇宙への覚醒が必須。しかし、肉体は基本的に人間のそれである。Gウィッチである黒江もそれは変わらない。小宇宙は誰でも目覚める可能性がある力であり、それを極限まで磨けば、神も穿つ。黄金聖闘士は小宇宙の常時発揮量がとんでもなく高いレベルであるという事だが、肉体的には常人レベルという者も多い。(例とするなら、性格上の理由で発揮されないが、大抵の黄金聖闘士を倒せるだけの力の拳をアンドロメダの瞬が持つなど、聖闘士としての強さと肉体的強さは比例しない表れである。)黒江の場合、身体能力が元から超人である者が更に黄金聖闘士になったので、単純な強さで言えば、成長した後の星矢やチャージアップストロンガーに肩を並べる。(のび太とゴルゴはそれを天運なども含めても物ともせず、黄金聖闘士もノックアウト可能である。異能生存体は『死亡につながる外的原因を絶対に寄せ付けない』からだ。如何に黄金聖闘士やオリンポス十二神であろうと『干渉出来ない』ものであり、どのような自然現象すらも物ともしない。肉体的強さがピカイチの場合の異能生存体がデューク東郷であり、彼ほどの身体能力はないが、元々、有していたギャグ補正と併せての身体治癒能力がピカイチの場合の異能生存体はのび太だ。子供の頃から野良犬にどれほど噛まれても一切、狂犬病にかからない、空中でオバケのQ太郎と遭遇して激突して落っこちても骨折しないなどの要素を持つ。ダイ・アナザー・デイ直後の模擬戦闘訓練でそれが大衆の面前にさらされ、誹謗中傷も収まり始めた)黒江は剣技の達人であるため、目にも留まらぬ速さで、蘇った敵を一蹴するなど、容易なことだ。

 

「再生怪人は一蹴される。昭和の頃からのお約束だぜ。…さて、行かなきゃな」

 

「待って!貴方、ドリームじゃないわよね、いくらプリキュアになっても、剣をプロ級に扱えるワケがないわ!!」

 

「すまんな、りん。俺はあいつの姿を借りてるだけでな」

 

「借りてるって、どういう事よ!?あんた、なんなのよ!?」

 

「あいつの仕事の上司だよ。立場を成り代わってしまったし、事を荒立てたくはなかったから、演じさせてもらった。お前達はミラクルライトが振られて、力を取り戻すのを待て。その状態じゃ、まともに戦えんだろう?」

 

その言葉の通り、この世界のプリキュア達の力はプリズムフラワーが奪われた影響で弱まっており、現役期間中の決め技も容易く防がれる。各自のコスチュームの色が褪せている上、所々に破損が見られるため、容易に判別可能である。黒江と智子はプリズムフラワーの影響下に無いため、入れ替わったプリキュアの最強フォームへの変身に何ら影響はない。

 

「さて、論より証拠。残ってるミズ・シタターレを始末する。」

 

黒江はカリバーンを天に掲げ、お得意の雷撃を披露する。プリキュアの力を介さないものによるものなので、使用に『垣根』は存在せず、ことは/フェリーチェも使用できる。

 

「トールハンマーァァァ……ブレーカーァアアア!!」

 

一言で言うなら、剣を媒介にしての超強力な雷撃。プリキュア5の残りのメンバーとミルキィローズが思わず耳を塞ぐほどの轟音と目も眩む閃光が奔る。光が晴れた時、ミズ・シタターレは跡形もなく消滅していた。

 

 

「貴方、どうしてドリームの姿なの!?」

 

「その辺は込み入った事情があってな。ハートキャッチの後の代のプリキュアのためでもある」

 

「あの子達の後の代!?」

 

「そうだ、2019年にゃな。60人を数えるようになるくらい増えるんだ。お前ら、アメーバかよ」

 

「あ、アメーバって!?」

 

「毎年毎年、最高で六人は増えりゃ言いたくもなるさ。不死身具合からして、プラナリアか?」

 

「あのねぇ!人をなんだと…それに、その姿で言われるとねぇ」

 

「あのな。俺、こう見えても、大人だぞ?」

 

「へ…ぇ!?」

 

「23だぞ、23。防大でてる自衛隊の幹部自衛官なんだが」

 

「あ、そ、その…すみません」

 

「ま、本当の姿でも童顔だから、高校生に見られるけど。さて、初代とSplash Starを助けに行かんと。あいつらがやられると、色々と不味い」

 

「あの五人なら大丈夫じゃ?」

 

「アホ。俺はともかく、あの五人も影響からは逃れられん。いいか、お前らはいうなれば、世の中の女の子の憧れ、世界の希望の一つなんだ。その最大の象徴が初代と、その後を直接継いだSplash Starだ。あいつらがやられると平行世界に悪影響が出かねない。俺ともう一人は、それを止めるために呼ばれたかも知れん」

 

黒江は本来の軍人/自衛官としての思想の片鱗を垣間見せ、自分と智子が『呼ばれた』理由を考察する。

 

「俺は一応、女性自衛官なんだけど、お前らの世界とは別の世界で働いてるから、本当の姿で会うことは無いと思う。りん、うらら。お前らとはもう『会ってる』んだが、違う世界でのお前らだしな」

 

「え!?」

 

「平行世界の仕組みが解明された世界の空自でパイロットして働いてるとな。平行世界の人間と会う機会も多いんだ。その中に、お前らの同位体、つまり別の世界で生きるお前ら自身がいるんだ。今は俺の部下だけど」

 

「ふぇ!?」

 

「つ、つまり…私達、自衛隊にー?」

 

「お前らの戦闘行為を俺の世界で合法化する唯一の手段だったんだ。行動自由度の高い空自にどうにか入れさせた。じゃあな」

 

若干の嘘も入っているが、嘘も方便である。黒江はドリームの姿を借りつつも、身の上話をしてみせ、プリキュア5と別れる。黒江が入れ替わったのぞみ/キュアドリームは転生でプリズムフラワーと切り離され、実質的に彼女とりん個人の固有能力(転生したプリキュアは元々の力の根源からは『独立』した存在になる)と化しているため、プリズムフラワーが敵に抑えられる事で起こる『エネルギー供給量の減少による弱体化』の影響を受けない。弱体化したプリキュアはコスチュームが色褪せ、身体能力の減退が起こり、決め技も容易く防がれるなど、顕著な弱体化補正が入る。これは初代とSplash Starとて例外ではない。ハートキャッチプリキュア(追加メンバーのいない初期の時間軸)の奮闘虚しく、歴代プリキュアは初代とSplash Starも弱体化した影響でズタボロにされ、もはや総崩れ寸前の状態に追い込まれていた。初代とSplash Starの二人が敗れれば、プリキュアは士気が崩壊し、一挙に烏合の衆となり果てる。それは黒江たちもよく認識していたため、5人を重要守護対象と考えていた。

 

 

「智子、どーやらそっちはパッションにばらしたようだな」

 

「ま、パッションにはバラすしか無くてね。初代とスプラッシュスターがやられる前にどうにか助けましょう」

 

「いた、あれだ!」

 

「とりあえず、敵をの距離を取らせるしか無いわね!ゲッターサイクロン!」

 

智子は腕にゲッターサイクロン発生装置(ゲッターポセイドンの頭を象った動力部がある、プロペラ状になったレザーが備えられている)を両腕にアタッチメントの要領で装着し、作動させて、強引にキュアブラック達と敵を分断する。

 

「智子、フィンガーネットでヘタってるガキ共を回収しとけ!」

 

黒江は真ゲッタードラゴンと同型のゲッタートマホークを担いで、真ゲッターまがいの幾何学的機動を行い、目にも留まらぬ速さで再生幹部の一人の頭をかち割る。瞬時に離脱して、智子がキュアブラック達を回収し、ひとまず距離を取る。

 

「ありえなーい!投網で回収って、アタシ達、イカだかカニ~!?」

 

「よっこらっしょ」

 

「ピーチ、もっとお手柔らかな手段なかったの?」

 

「ご、ごめん。急いでたから、ね?」

 

「も~!あの筋肉バカにアタシが打ち負けるなんて、ありえなーい!」

 

ぶーたれるキュアブラック。スパークルブレスを加味してさえパワー負けした事に憤慨していたが、状況的にしかたないと言える。

 

「猛獣の捕獲でも投網は使うよ、ブラック」

 

「あたし達、猛獣扱いー!?」

 

「って、ブラック!見てよアレ!!」

 

「ドリームが……ぽ、ポールアックス!?」

 

「あれはハルバードだって」

 

キュアブライト共々、ツッコミを入れられるブラック。スプラッシュスターはフォームチェンジをしていたが、その力も弱体化していたため、ズタボロに追い込まれていた。

 

「どこがどう違うのよ」

 

「見て。穂先が槍みたいになってるでしょ?」

 

「そ、そう言えば…」

 

「ブラックはこういうの苦手だから、ピーチ」

 

「あ、ああ――。なるほどね」

 

「ち、ちょっとー!?」

 

「それだけ吠えられれば、条件さえ満たせればすぐ復帰出来そうだね」

 

「で、でも、あの武器はいったい?ドリーム達の武器はフルーレのはずですよね?」

 

シャイニールミナス(九条ひかり)がもっともな疑問を口にするが、智子はサラッと流す。ドリームの武器は素人目には細かい区別はつかないが、真ゲッター系のゲッターのトマホークは『ハルバード』に分類される。また、プリキュア本来の武器ではないため、説明もややこしい。

 

「それはおいおい、ね」

 

「おいおいって…。うわっ……凄い鬼気迫ってるよ、あれ!?」

 

「嘘!?」

 

5人が固まるのも無理はない。シャイニングドリームが持つポールウェポンはどう見ても、『出る漫画間違ってます』としか言いようがない無骨なデザインである上、プリキュアの武器とは有りようが違うのがありありと分かる、まるっきり鉄灰色の鈍い輝きを放つ重厚な斧槍だからだ。

 

「こいつであの世にいきやがれぇ!!」

 

黒江はプリキュア5が交戦経験を持つ再生幹部『ネバタコス』にトマホークで斬りつけ、タコのような足を一振りで斬り落とし、そこからランサーに変形させ、グサッと深く突き刺す。

 

「ぐ……て、てめぇ!」

 

「せめての慈悲だ、一撃であの世に送り返してやるぜ、ネバタコス!!うぉぉりゃあ!」

 

ゲッターサイト(鎌)に変形させ、そのまま引き裂く。他の幹部たちもこの行為には戦慄せずにはいられない。キュアブラック、ブライト(ブルームのフォームチェンジ)は衝撃のあまり固まり、ホワイト、ルミナス、ウェンディ(イーグレットのフォームチェンジ)も息を呑む。

 

「次はムカーディア。お前には借りがあったな」

 

「あの時のことを覚えておいでだったので?」

 

「当たり前だ。あん時は人をさんざおちょくりやがって!ルージュの分も借りを返させてもらうぜ。今度は、このシャイニングドリームが引導を渡してやるぜ!!」

 

のぞみとりんが『現役時代のムカつく思い出』と語っている『ムカーディアとのクイズ対決』。二人に代わって、借りを返す意思を表明する黒江。のぞみがクイズの話題が出るたびに、りん共々に愚痴っていたためだ。

 

「いくぜ」

 

黒江は空高く舞い上がり、そこから錐揉み回転を披露した後、更に右足を軸足として、ドリルの如き超高速回転をしながら、電撃を纏ったドリルの如き飛び蹴りを見せた。シャイニングドリームの姿で敢行したそれこそは――。

 

『超電!!ドリルキィィ――ック!!』

 

ドリルのようなスクリュー回転の飛び蹴りであるが、その威力はストロンガーのそれにもなんら劣らぬもので、ムカーディアのガードを粉砕し、そのまま首を跳ね飛ばす。これには流石のキュアブラックとキュアブライトも開いた口が塞がらなかった。

 

「あ、あ、あ、あ、ありえな~い~!ドリルみたいに回転して、首を跳ね飛ばしたぁ!?」

 

「ぴ、ぴ、ピーチ、ドリームに何があったの!?」

 

「あ、あたしからはなんとも、は、はは…」

 

驚きっぱなしのキュアブラックとブライトの二人だが、再生幹部達を容易く圧倒するドリームに違和感を覚えるホワイトとウェンディ。戦い方が『洗練され過ぎている上、情け容赦が殆どない』からだ。(のぞみは容赦しない傾向だが、情けは見せる事がある)

 

「さて、ボトムの力にされる前に消し飛んでもらうぜ。跡形もなく、な」

 

「な、なに…!?」

 

『インフィニティ・ブレイク!!』

 

残っている再生幹部達を射手座の継承技であるインフィニティ・ブレイク(無限破砕)で消滅させる。極限まで燃焼させた小宇宙を無数の矢の如く螺旋状に放射する射手座の聖闘士が代々継承してきた闘技なため、完全にプリキュアからはかけ離れた攻撃である。ただし、翼を持つため、射手座の黄金聖衣とイメージ的に離れているわけでもない。

 

「黄金の矢……!?」

 

「ねぇ、ピーチ……」

 

「だぁー!説明なら後にしてよ。…ったく」

 

「なんか疲れてない、ピーチ」

 

「ドリームって、ほら、悪乗りしやすいから…」

 

「悪乗りの領域超えてますって…」

 

ルミナスのツッコミに頷く智子。ホワイトとウィンディは感じていた違和感を話すのを見送る。ピーチの心労を感じ取ったからだろう。

 

「その、ど、ドンマイ?」

 

「あ、ありがとう、ウィンディ」

 

とはいうものの、ハートキャッチの二人の奮闘と黒江と智子の無双的活躍はあれど、局地的であり、全体の戦況としては不利のままである。

 

「ボトムにプリズムフラワーが抑えられてる状況じゃ、こっちはジリ貧なの…!?」

 

「あの二人は間に合わなかったようね…」

 

「ミラクルライトがそろそろ振られるはずだけど、気配がない。そっちを先に押さえられたか?」

 

「ココたちを先に攻撃されちゃ、みんなをキュアレインボーに変身させる事が出来ないからね。敵も考えたわね」

 

「そ、そんな!」

 

再生幹部は倒したものの、起こるはずのイベントが起きない事から、この戦いのラスボス『ボトム』がミラクルライトイベントを潰した可能性を考える二人。狼狽えるブラックとブライト。この戦いでの現役プリキュアであるハートキャッチの二人が絶望してしまった可能性もあった。

 

「奇跡はすがるものではなく、自ら起こすものですよ、ブラック」

 

ブラックがくじけかけるが、それをかき消すかのように、一人の次世代のプリキュアが現れた。キュアフェリーチェである。

 

「え!?新しい……、プリキュア!?」

 

フェリーチェの登場に驚くSplash Starまでの5人。そのプリキュアは時間軸的に『いるはずのない』次世代のプリキュアであった。

 

「嘘、思いっきり時間軸無視してない…?フェリーチェ?」

 

智子がつっこむ。時間軸で言えば、いるはずのないプリキュアであるフェリーチェが現れたのだから、当然だ。

 

「ここでプリキュアが敵に負ければ、それ以降のプリキュアの歴史の存亡に関わりますから」

 

「そういう事だよ。助けに来たぜ」

 

「お前ら、どうやって?」

 

「細かい理屈は無視だ、無視。あたしはこの時間軸のプリキュアじゃないし、それ以外の連中はそもそも力の根源が違うからな。この戦いでの弱体化補正は受けないからな」

 

メロディもやってくる。ハートキャッチが現役の初期頃はまだ中学一年で、覚醒前のはずだが……。

 

「そいや、お前はここから『一年後』だったな」

 

「そう。そういう事だ。後輩連中の研修ついでにね」

 

「ど、どうも~」

 

「ハート、ラブリー!お前らもか!?」

 

「思いっきり時間軸ぶっ飛ばしてるけど、居ても立ってもいられなくて~」

 

「時間軸とか色々とぶっ飛ばしすぎだ!お前ら、メロディからも二代と三代後だろー!?」

 

「まぁ、細かいことは気にしない!」

 

「ハート、お前なぁ。見ろ、ブラック達が固まってんぞ!」

 

「あ、あはは…」

 

フェリーチェのみならず、キュアハートとキュアラブリーが現れたため、黒江達はツッコミに追われる。(ちなみに、ダイ・アナザー・デイが終わった後、キュアハート/相田マナは逸見エリカとしての黒森峰女学園隊長の引き継ぎを終えたため、戦車道世界転生組ではいち早く、扶桑軍籍を獲得。1946年から扶桑に滞在している。ラブリー/愛乃めぐみは偶然、任務を終えた後は野比家にいたが、ウィッチ世界に遊びに来ていたから、との事)

 

「ねぇ、ドリーム。その子達もプリキュアなの?」

 

「そうだよ。ここから近い未来のプリキュアって事になるなぁ」

 

「近い未来って?」

 

「ここから5、6年以内に現れるプリキュアって事。ほら、自己紹介」

 

『みなぎる愛!キュアハート!』

 

『世界に広がるビッグな愛!!キュアラブリー!!』

 

『爪弾くは荒ぶる調べ!キュアメロディ!』

 

「嘘!みんな、ピンクチーム!?」

 

「あたしと、この二人はそうなるね。ピーチと話してるのはキュアミントの系譜になるけどな」

 

「うそぉ!?」

 

「そういうことです…。あまねく命に祝福を!キュアフェリーチェ!」

 

「え~!?それじゃ、あなた達は未来から来たって事ぉ!?」

 

「と、いうよりは出身世界が違うからなぁ。ややこしいけど、この世界と繋がりがあるとは限らないなぁ」

 

「それぞれ違う世界から?」

 

「一箇所に集まってから来たからな、その辺もややこしいんだよ、ホワイト。ただ、この時点じゃ、ラブリーとハートは小学生だし、あたしもまだ、プリキュアになる前の時間軸だしなぁ。

 

「つまり、つぼみちゃんとえりかちゃんよりもっと後って事なの?」

 

「あたしはあの二人の直接の後輩だが、こいつらは一人挟んでの後輩だ」

 

「そいや、キュアハッピーはどうした?お前らが来れたなら、ハッピーも」

 

「あいつ、今日は仕事。パトロールのフライトだよ」

 

「あ、そうだっけ」

 

「ドリーム、何を話してんの?」

 

「ややこしいから、後でまとめて説明するって。お前ら、気合入れろ。最強フォームに」

 

「分かってるさ。はぁっ!」

 

「んっ!」

 

「えいっ!」

 

キュアハートはパルテノンモード、キュアラブリーはフォーエバーラブリーへ、キュアメロディはクレッシェンドキュアメロディにパワーアップする。転生している後の時間軸なのと、修行を経ているため、ミラクルライトを必要としない。フェリーチェもアレキサンドライトスタイルになり、ミラクルライト無しでスーパー化する。しかもハートとラブリーはハイパー化に等しいパワーアップだ。

 

「えーー!?ミラクルライト無しでパワーアップしたぁ!?ありえなーい!!!」

 

「なんていうか、私達さ、修行と実戦で壁を超えたから、落ち込まないでいいよ、ブラック」

 

ハートが言うが、慰める方向がずれている。

 

「慰める方向が違うって。色々、ドきつい特訓やらされたのは事実だけど」

 

「よし、いくぞ~!」

 

「待って!!」

 

「どうしたの、ブラック」

 

「後輩に任せきりなんて、嫌だよ!!あたし達も戦うよ!!」

 

「その状態じゃ無理だよ!」

 

「でも!ここで諦めたら、あの二人に…、ブロッサムとマリンに申し訳が!」

 

 

(ドリーム、あいつに頼んで、音楽隊とライト要員も連れてきてもらった。許可があればいつでもいけるそうだ)

 

(士になんかおごってやれよ、メロディ?)

 

(大丈夫、神戸牛を用意させたし、いちかとあおいにケーキ作らせてる)

 

(許可するぞ、やれい)

 

(OK!…?こちら、メロディ。オペレーション『YP(エール オブ プリキュア)、状況開始!)

 

どこからともなく、大音量で歴代プリキュアの主題歌がオーケストラで演奏され、同時にミラクルライトらしき光が奔る。ディケイドが連れて来た『Gフォース』の隊員達が音楽隊とライトを振り始めたのだ。途中でディケイドの登場時のBGMが混じっているのは、ディケイドが色々と手を回したからである。そしてその光が、ブラック達をキュアレインボー化させる。

 

「よっしゃーー!!これで逆転できるよ!!」

 

「なんか恥ずかしいですよ、こんな大音量のオーケストラで応援されるの」

 

「自衛隊の皆さんに後でファンサービスしてくれ。ブラック達に会えるとかで志願したのも多いんだから」

 

「嘘!?自衛隊にも、あたしたちのファンがいるの!?」

 

「ぶっちゃけ、自衛隊はファンの巣窟だよ。子持ちで奥さんもいる偉い人までファンだし」

 

「知らないの?自衛隊は1/3は生粋の、残りは一緒にいて染まったオタばっかりだよ?」

 

「嘘ぉ――!?」

 

「あ、ブライトとウェンディは影薄いけど」

 

「二代目だからー!?」

 

「いや、あたしとブラックに挟まれてるから、ね?」

 

「うぅ。あたしだって、現役の頃は色々頑張ってたのにー!やっぱブラックとドリームに挟まれてるのがアレなのかなー、絶不調ナリ~…?」

 

「それ、なんか某からくり人形みたいな…」

 

「うわぁ~ん!!あたしの口癖なのにぃ~!」

 

キュアレインボー化したため、ブライティブルームと言うべき姿の日向咲。意外なことだが、実際の生年はなぎさの二年後で、ひかりと実は同学年にあたり、のぞみとほぼ同じ学年に当たる。ちなみに朝日奈みらいや春野はるかなどの後輩達は響までの『第一期』プリキュアとは実年齢で10歳以上の差があったりする。みらいは2003年生まれで、みらいが赤子の頃になぎさ達は現役時代である事になるし、はるか以降は2000年代生まれなため、実年齢換算なら、初期プリキュアと縁もゆかりも無いはずであったりする。

 

「これもプリキュアになってるから起こり得る事だな」

 

「GOプリンセス以降は2000年代生まれがプリキュアになるから、普通に行けば、普通の形で会うことはないはずなんだよな…。不思議なこった」

 

「おまけに、下手すれば、それぞれ独立した世界だしな。直接繋がりがあるのは、ラブリーの代が最後だったな」

 

「同じ世界から集まったって意味じゃな。さて、ブロッサムとマリンを回収しに行こう」

 

「ええ。あとの二人のためにも」

 

「え、ハートキャッチってまだいるの?」

 

「変身能力を一時的に失ってるのが一人、まだ目覚めてないのが一人。この時点だと、二人はまだ出会ってないですよ」

 

「凄いメタ情報ね…」

 

「フェリーチェはこの中だと、一番未来のプリキュアだから、メタ情報持ってるんだよ」

 

「なんか喜んでいいのか」

 

「拗ねないの、ブルーム。たとえ、みんなでソリューションが撃てなくても、切り札はあるよ」

 

「ドリームにいいとこ持ってかれてるー!ここらで挽回しないと…!」

 

「そこで対抗するの、ブラック…」

 

「だってぇー!」

 

「あ、歴代の雑魚連中が来たぜー!」

 

「ここは任せて!」

 

「ピーチ、何を…」

 

「まぁ、見てて」

 

「え、日本刀を召喚して、連結させたぁ!?」

 

ウザイナー、ホシイナーなど、歴代の使役怪物達が飛行する一同を襲うが、ピーチ(智子)はお得意の日本刀をツインブレードにしての一撃を放つ。

 

「そぉぉえぇんざぁーーーんっ!!」

 

日本刀から放たれた炎と閃光は一気に怪物達を飲み込む。次いで、ドリーム(黒江)も放つ。長尺の日本刀からの一撃を放つ。

 

「らぁいこぉぉ――ざぁーーんっ!!」

 

ドリーム(黒江)の日本刀はピーチ(智子)のそれより長い刀身であるため、どちらかと言うと大太刀に分類される。取り回しが難しいが、黒江は智子よりも技能が上なのと、基礎筋力でも上なので、大太刀を片手で扱える。そこが黒江が剣技で鳴らした理由である。

 

「へ…?刀から炎と閃光を撃ったぁ!?ドリーム、ピーチ…なにがなんだかどうしたのよ!?」

 

「だーから、後って言ってんでしょーが!」

 

「ご、ごめん…」

 

さすがのブラックも半ギレ状態の黒江と智子(外見はドリームとピーチだが)にタジタジになった。その様子はキュアレインボー化したプリキュア5のいる観覧車近くからも確認出来た。

 

「あの人、のぞみに成り代わってしまったって言ってたわね」

 

「でも、あんな技、見たことありませんよ!」

 

「おそらくはその人達が持つ力なのだろうけど…」

 

「み、見たこともない子達もいますよ!?」

 

「ハートキャッチでもないの、レモネード!」

 

「ほ、ほら!あれです!」

 

神々しい姿の未知のプリキュアが4人、ドリーム達に追従している。それに気づいたプリキュア5。事態は思っていた以上に混迷を極めていると判断したキュアアクア/水無月かれんはフレッシュ勢との合流をするべく、他の4人を率い、フレッシュ勢のもとへ向かう。一方、せつな/パッションから、ラブと成り代わった人物の存在を知らされたフレッシュ勢も5のもとに向かう。果たして、ハートキャッチの二人はどうなったのか。決戦に向かう、黒江率いる『プリキュアドリームシフターズ』。事態から半ば、蚊帳の外に置かれたプリキュア5とフレッシュ!プリキュアの8人。フレッシュ勢の二人は、気絶している間にピーチが幹部を倒してしまった事をパッションから知らされ、仰天した。5はルージュとローズがのぞみがなり代わられた事に気づかなかった事に憤慨していた。特に、ルージュは幼馴染であるため、自分をも騙すほどの黒江の演技力の高さに驚嘆すると同時に、やり場のない衝動的な怒りを自分に向ける。

 

「どうして気が付かなかったの、あたし!」

 

「あの人も好きでこうなったわけじゃ無かったのだから、それに怒っても意味はないわ、ルージュ」

 

「あたしは自分に怒ってるんです!あの子とずっと一緒に過ごして、親の代から家族ぐるみで付き合ってたのに……!どうして…!」

 

ルージュはドリームとは幼馴染で、親の代から家族ぐるみで付き合いがあるため、見抜けなかったことで自分を責めていた。この辺はウィッチ世界にいる彼女自身と何ら変わりないと言える。まさか、別の自分自身がウィッチ世界で、日の丸をつけたキ43-Ⅲ『隼三型』で飛行訓練中であるなど、知る由もない。ひとまずの小康状態になったウィッチ世界で起こったこの出来事。本来ならば生まれていないはずの第二期、第三期プリキュアも参戦する事態となり、本来の物語からは外れ始めた。その時、次元転移現象が起こり、プリキュア達は恐るべき敵と退治することになった。

 

「な、何!?空間が……」

 

「巨大な……竜!?」

 

5とフレッシュ勢が地上からハッキリと視認可能な巨大な竜。それは黒江と智子すらも驚愕する代物だった。

 

 

「ち、ちょっと!?」

 

「馬鹿な、こいつは……ウザーラだと!?」

 

「完成していたなんて…!?」

 

黒江、智子、フェリーチェが驚愕したそれこそ、百鬼帝国の切り札『聖竜ウザーラ』であった。全長は真ドラゴン(龍型)をも上回り、龍に人型の上半身が載っかっている体裁の海底国『アトランティス連邦』最後の遺産。かつて、ドラえもん達が戦った『鬼岩城』を生み出したアトランティスの最高技術の結晶であった。自動報復装置の制御端末にすぎなかった『ポセイドン』を遥かに凌ぐ超兵器である。

 

 

「な、何よ、こいつ!?」

 

「みんな、うかつに動くな!こいつはバケモンだ!伝説のアトランティスが遺した最強の遺産だぞ!」

 

「あ、アトランティス!?」

 

「そんな、そんなものがなんで!?」

 

『知りたいかね、プリキュアの諸君』

 

「テメーはブライ大帝!大人しくしてたのはこいつを完成させるためか!」

 

黒江は声の主が誰か分かり、思わず啖呵を切る。ウザーラに搭乗していたのは、ブライ大帝その人であった。

 

「その通りだよ、キュアドリーム。我々としても、君達の事は興味を惹かれたのでね。御成といったところだよ、フハハ…」

 

「あんたら、なんなのよ!あたし達の事を調べてたわけ!?」

 

「お答えしよう、キュアブラック。われわれは鬼よ、地獄より出でたる鬼!すべての生物を奈落の底に落とす地獄からの使者だ!そこにいるキュアドリームとキュアピーチ、キュアフェリーチェとは縁があってね」

 

ブラックの問いかけに答えるブライ大帝。ブライは元々が科学者であるため、ドリームが黒江と入れ替わっている事も承知であり、敢えて言及しない。『無粋な事をしない』という小粋なところを見せる。

 

「あんたらはドリームやピーチと戦ってるわけ!?」

 

「そうだ。我が百鬼帝国は人を奴隷にし、その生存圏を我が物にするのでね。君たちや正義の味方全般は邪魔者ということになるよ、ブルーム」

 

「どうしたのよ、あたし達の後輩を!」

 

「ハートキャッチプリキュアの二人は我が配下が捕らえたと言っておこう」

 

「冗談も休み休みいいやがれ、アンポンタン!ヒドラー如きにそんな能力あるかっての!」

 

「あ、アンポンタン!?」

 

驚くブラック、ブルーム。ドリームが江戸っ子喋りで『アンポンタン』という表現を使ったからだ。

 

「確かに、ヒドラー元帥ではない。だが……」

 

「この私に新しい世界が待ち受けていたように、貴様らに待ち受けているのは『地獄』と言っておこう、プリキュアの諸君」

 

「あしゅら男爵、やっぱてめーか!ぜってー、ヒドラーじゃねーって思ったぜ!」

 

「この二人の命は我らが預かっている」

 

「ブロッサム、マリン!?」

 

ウザーラの龍の頭の頂部に立つあしゅら男爵。変身解除には至らなかったが、血を吐き、ボロボロの状態で倒れ伏しているブロッサムとマリンの姿も見えた。

 

「血反吐を吐くまで、しこたま膝蹴りをしてやったよ。変身を解除しない程度の痛みを鋭くな。」

 

「く、くあああっ!」

 

「待て、ブラック!」

 

「離してよ、ドリーム!あいつにパンチを食らわせ…!」

 

ブラックが頭に血が上り、血気に逸る。それを止める黒江(姿はドリームだが)

 

「闇雲に突っ込んで、勝てる相手じゃない!わかんないの!?」

 

「で、でも!」

 

『ドリームがブラックを止める』。事態を知らない他のプリキュアにとっては凄い絵面であった。

 

「見た目あんなんでも、スーパーロボットとタイマン張れる化け物なんだぞ!真正面から行こうとすんな!」

 

素が出ている黒江だが、やむを得なかった。

 

「えっ……!?」

 

「ドリームの言う通りだよ、ブラック。初代というのは、冷静沈着に振る舞うものだがね」

 

「知ったような事を!」

 

「馬鹿、ブルーム!やめろ!そいつは…」

 

「はぁあああっ!」

 

ブルームが代わりに突っ込み、それをウェンディイーグレットがカバーするが…。

 

「フッ……鈍いわ!!」

 

ブルームの顔面にあしゅら男爵のパンチがクリーンヒットし、殴りぬかれる。イーグレットの蹴りも動きを見切られ、得意の風の攻撃をする前に、自分が錐揉みシュートまがいの攻撃をされ、ウザーラから吹き飛ばされてしまう。

 

「ブルーム、イーグレット!」

 

「言わんこっちゃない!情報くらい聞いとけ!」

 

「くぅ、行くよ、ピーチ、ハート!」

 

「うん!」

 

続いて、あしゅら男爵との交戦経験を持つ三人が同時にかかる。ピーチは智子が成り代わっているが、三人の攻撃をその場でいなす。キュアメロディ、キュアハートも歴代随一の強者かつ、最強フォームだが、その動きすらあしゅら男爵は見切っている。三人の身体能力は歴代随一かつ、メロディには紅月カレンとしての戦闘術もあるが、それを加味しても、あしゅら男爵は三人と互角であった。

 

「す、凄い……」

 

「これがあたし達の知らないプリキュアの力なの…?」

 

ブラック、ホワイト、ルミナスらも圧巻の三人の死闘。

 

「ダイヤモンドぉぉ…ダスト!!」

 

ピーチ(智子)がダイヤモンドダストを放つが、あしゅら男爵はそれを受け止め、氷を砕く。

 

「これでどうだぁ!」

 

メロディも円状に固定した輻射波動をぶん投げ、あしゅら男爵を追い立てる。あしゅら男爵はそれを拳で迎撃する芸当を見せる。クラクラ状態から回復したブルームも加わり、四人がかりでかかるが、それでもあしゅら男爵は息一つ乱さなかった。

 

「寄って集ってかかって来ても、私に防御させたのは二人のみ。なんとも青臭いものよ」

 

最強フォームで四人がかかっても、ピーチ(智子)、メロディ(シャーリー)しか攻撃を当てられなかった。ブルームは自身のスピードが最強フォームでさえも、あしゅら男爵に及ばない事にショックを受ける。

 

「さぁ、次々とかかってこい!」

 

「言ったなぁあ!!」

 

ブルームは光の精霊の力で特大のエネルギー波を放つ。だが、あしゅら男爵はそれを片手で払うだけでかし消してしまった。

 

「なっ!?」

 

信じられないという表情で固まるブルーム。

 

「流石は……、マジンガーとタイマンした男、って言っていいのかしら?」

 

「フハハ……。我が半身を気遣ってくれるとは余裕だな、だが一応は感謝を述べておこうじゃないか」

 

「伊達じゃないのよ、こっちもね。それに貴方も分かってるでしょう?」

 

「お前らにも同情すべきかな?友と呼ぶあの男の事で干渉されているだろう」

 

「知っていたのね、流石の情報網」

 

「異能生存体は自然現象すら介入出来ぬもの。それを理解できるものは少ない。海底鬼岩城やコーヤコーヤ星、ピリカ星。Mr.Nも中々の異能生存体ぶりだと言うのにな」

 

「Mr.Nは子供の時は主役だけど、大人になってまで、その立場でいろっていうのは、周囲の傲慢よ、貴方も言ってよ」

 

「あの男にとっては酔っぱらいの戯言だろうが、2000年代後半以降の若造共は物語での必要性だの、存在の意味だのをすぐに定義づけしたがるのだ。Mr.Gは存在そのものがデウス・エクス・マキナなのだがな」

 

あしゅら男爵ものび太とデューク東郷に敬意を払っているため、智子に同情の言葉を述べる。

 

「Mr.Nは私に言ったのだがな、ダイ・アナザー・デイの時に。『外伝まで主役を張る気はないね』と。若造共は『ドラミちゃん/ミニドラSOS』を知らんらしいな」

 

のび太は自分でメタい事を、あしゅら男爵と戦い、退けた際に漏らしたらしい。

 

「あの男も不幸なことだ。子供の頃の普段の生活がステレオタイプ化して、大長編での活躍を顧みられないのだからな」

 

「Nがどう生きようと、個人の勝手でしよ、あしゅら男爵」

 

「物語で貴様らが目立つことが気に入らぬ輩が多いのだよ。『外伝』などというのは本来、本筋にあまり関係ない、同じ世界観の物語を指すのだがね」

 

「あたし達が強大な力を持って何が悪いのよ、あしゅら男爵」

 

「メアリー・スー。それと同義に捉えているのだよ、おそらくはな。だが、この物語の『主役』はあの男とMr.Gではない事は確かだ」

 

あしゅら男爵もメタ発言をけっこうするタイプなので、智子の愚痴に付き合う。姿は怪奇すらあるが、意外に律儀なのがあしゅら男爵である。

 

「それをいうならば、プリキュアもブラックといホワイトをとりあえず出しとけば、戦いに勝つ展開が約束されている存在になりえるというのに。近頃の若造共は『血統』や『秘めた才能』というのを嫌うからな」

 

「講釈、ありがとう」

 

「何、偶にはこのような会話も乙なものだ。百鬼帝国のヒドラーはこういうウィットに富んだ会話もできん『小物』だからな、相手する気も起きんよ」

 

「あたし達は後輩の後押しをするだけなのに、そんな事言われてるの!?」

 

「君らは意識していないだろうが、偶像崇拝が行き過ぎた例だ。独り歩きしているのだよ、初代プリキュアという肩書きだけがな」

 

話を聞いたブラックが憤慨する。なぎさとほのかは本来であれば、後輩を差し置いて、ピンで活躍できるだけのポテンシャルを持つが、後輩を立てる事も多いし、この戦いでは、キントレスキーにボコボコにされていたなど、ピンチに陥る事も多い。あしゅら男爵は律儀にメタ発言をしまくる。ブライ大帝も楽しんで聞いており、長話を許すあたり、短慮に逸った挙句に置いてけぼりにされた帝王ゴールよりは圧倒的に大物であった。

 

「ピーチの友である『Mr.N』という男は、子供の頃はダメ人間そのもので、あやとりと射撃と昼寝しか能がなかった。だが、成人すると、ナイスガイになった。人間はそういうものだ」

 

「『俺達』は何も持たなかった。だけど、プリキュアになることで変われた。きっかけ一つで人間は変われる。そうだろう、ブラック、ブルーム?」

 

「お、俺…?」

 

黒江は本音をポロリという。だが、のぞみもそう思っているのは事実だ。

 

『わたしは知ってる。何も持たない自分でも変われるって!』

 

のび太の優しさに触れることで、のぞみが再認識した事。のび太は公式の見解として、繰り返し、こう述べている。

 

 

――『光と闇の交錯する彼女たちの道に灯火を照らし、彼女たちを導くのが私とドラえもんが彼女へできることであり、現地での自分達のの役目と認識しております。自分は自分という人間のストーリーの主役であります。もちろん他人には、その人の『人が主役のストーリー』がある、だから機会を捉えて必要な役をこなすのも自分の人生というストーリーでは大切な事で、誰かの成功に助けを出すのも、自分の中の輝きを見せる事になる。私はそう確信しております』――と。

 

「この『物語』は本来あるべき形から変わっちまった。なら、変わっちまったなりに物語を紡げばいい。創造は破壊から生まれると、どこぞのヒーローも言ったらしいしな」

 

それは門矢士に紅渡が告げたとも言われる一言だった。黒江はドリームの姿で言うが『ドリームが言うには』あまりに知的な発言過ぎたため、ブラック、ブルームを唖然とさせ、ホワイト達を困惑させた。

 

「そうだよ、力ずくで自分の望む方向に他人を動かそうとするってのは、仲間とか友達に価値を見出そうとしない人のすることだよ!物語だって、形は決まってない。友達が言ってたけど、定形を崩してもいいんだよ!刑事コロ○ボとかマカロニ・ウェスタンとか!」

 

キュアハッピーを思い出したらしいキュアハート。キュアハートは歴代ピンクの類型に反する『成績優秀、生徒会長』属性を保有している。

 

「つか、刑事コロ○ボは頭脳解決系刑事ドラマの先駆けだだろ?それと犯人が大物俳優っていう」

 

「当時の類型は崩してたじゃないですかー!」

 

「ダーティ○リーみたいなのが出たの、コロ○ボより後だった気がするぞ?」

 

「えー!?」

 

「ま、あの俳優、監督になる前はガントレットとかにも出てたけど、アウトロー的演技だったしなぁ。元はマカロニ・ウェスタンで名を上げたけど」

 

「確かに、コロ○ボ系とハリー・キャ○ハン系に刑事ドラマは分化していったからな。夜の大捜査線も見てみたらどうだ?」

 

「あしゅら男爵、お前…、みょーに詳しいな」

 

「ドクターヘルのご趣味なのだ…」

 

「へー、意外だなぁ。世界征服狙ってた爺さんが…」

 

 

妙に盛り上がる会話。苦笑いのブライ大帝だが、キュアハートの何気ない一言をきっかけに、妙な方向に話が逸れてしまった。困惑のブラック達。この会話で、ドリームの言動に流石にブラックとブルームも違和感を感じたが、黒江もさるもの、ドリームらしさをわずかでも残しているため、違和感を完全なものにはしなかった。

 

「ま、あの爺さん、親にも疎んじられてたし、夜の大捜査線とか、招かれざる客とか好きそーだよなぁ」

 

メロディもこれだ。

 

「あ、あの…、ほ、本当に敵同士なのですか?」

 

「腐れ縁ってやつだよ、ルミナス。あの縦まっ二つ男とあたし達は」

 

「そうなの。何度も戦ってる内に、世間話の一つや二つね」

 

ダイ・アナザー・デイからの日数の経過に伴い、キュアメロディとキュアラブリーも、あしゅら男爵と何度か戦った事を示唆する。困惑するルミナス。だが、キュアブロッサムとキュアマリンの救出事態は成功していない。最強フォームの四人同時でかかっても、あしゅら男爵は余裕だった。そのあしゅら男爵を退けたと、あしゅら男爵当人がハッキリと言った事から(彼はリップ・サービスに無縁である)、『Mr.N』こと、青年のび太の実力の高さが窺え、同時に青年期以降に少年時代からは信じられないほどの研鑽を重ねた事がわかる。だが、のび太は『外伝で主役を張る気はない』というメタ発言をあしゅら男爵にしたように、『外伝での自分は脇役である』自覚を持つ。ドラえもんもメタ発言が多い質なので、ドラえもんの影響が大なのだ。ドラえもんはツキの月をのび太に飲ませた事があり、その点で異能生存体の素質を拡大させたという指摘があるが、のび太は特別に『ツイてない』体質なので、薬の効き目が強く出るだけである。

 

「この隙に、ブロッサムとマリンを助けられないの?」

 

「無理だよ。見て、イーグレット。あしゅら男爵は会話してても、気を張り詰めさせてる。四人がかりでも無理だったんだよ?隙を作るのが」

 

吹き飛ばされたイーグレットを助けたラブリー。イーグレットの指摘に、ラブリーは首を横に振る。歴代でも特に強いピンクとされる、ピーチ、メロディ、ブルーム、ハートの四人がかりで隙を突くのが不可能であった以上、たとえ、ブラックと自分が加わっても焼け石に水だと直感的に理解した。ラブリーにそう思わせるほど、あしゅら男爵は実力者である。

 

「あたし達らしくないって言われるかもしれないけど、あいつは強いよ」

 

「諦めないのが、あたしらの売りだしな。ただ、個々の事情は顧みられないけどな。ブラック、ブルーム、ドリームの三代は美化されがちなんだよ」

 

「そう。あたし達だって、挫けそうになった時は何度もあるのにな。ハートも『ある事』で心が折れた事あるしな」

 

「あたしは『人を助けたい』気持ちだけが逸って、周りの気持ちを汲めなかった。メサイアコンプレックスって奴かな。子供の時の経験がもとでね」

 

ラブリーは現役時代に抱え、現在でも尾を引いている傾向があるメサイアコンプレックスに触れる。メロディもドリーム(黒江)も自身の経験で『心が折れかけた事がある』と語る。黒江はラブリーと似た傾向に陥り、二重人格になったこともあるため、ある意味では心が折れ、自己防衛のために二重人格化したほど、意外に弱さを持つ面があるため、ラブリーの理解者でもある。ちなみに、キュアハートが現役時代で心が折れた事は『レジーナ』の一件のみだが、それもいつしか世の中からは忘れ去られた。プリキュア達も完全無欠ではないのだ。

 

「身の上話ってわけじゃないけど、誰でも苦しみは抱えてる。なのに、プリキュアだからって、いつも『勝て』って言われてもね。あたしなんて、学校の成績はがんばっても平均なのに」

 

ラブリーは自嘲気味に語る。

 

「あたしも中等部での成績を持ち上がりに足りるまでに上げるのに苦労したもんね…」

 

ドリーム(黒江)も、自分の知るのぞみの経験を話す。なんとも世知辛いが、ヒーローやヒロインも完全無欠ではない証である。仮面ライダー一号/本郷猛など、人間時代に親友と思っていた男(さそり男)に裏切られるわ、恩師の娘に誤解される、未来永劫の時間を生き、戦う宿命を最初に背負わされるなど、よく心が折れなかったものだと言わざるをえない状況である。(ちなみに本郷猛は父親が日本海軍の技術将校で、戦後は民間の造船技師に転じ、莫大な財を築いた人物であったが、猛が17歳当時に仕事中の事故で死亡。そのショックで心を病んだ母も数年後に死亡。天涯孤独になってしまうという、まさに不幸の連続であり、極めつけが改造された事と言える)

 

「だけど、努力することで状況は変わった。変えられる。あたし達はその体現者としての生き様を求められちゃうんだよ、イーグレット」

 

「ドリーム……」

 

「あの二人を助けるには、なんとか隙を作らないとならない。助けるのは、あたしに任せて。切り札があるから」

 

「ドリーム……?」

 

「どういう事、切り札って」

 

「ある人から『教わった』方法だよ、ブラック」

 

ドリーム(黒江)は『切り札』の存在を示唆する。それが何であるか、メロディとラブリー、ハートは知っている。

 

「ここはドリームの言うとおりにしてください、皆さん。ルミナスは『ハーティエル・アンクション』を撃ってください」

 

「は、はい」

 

フェリーチェの指示が飛ぶ。一同は捕らわれているブロッサムとマリンの救出に動く。物語が変わったのなら、それ相応に動かなければならない。聖竜ウザーラを舞台にして繰り広げられる戦い。物語は明確に変わったのだ。単純に『プリキュアオールスターズが勝利しての大団円』とはならない方向に。百鬼帝国の介入により、黒江たちも想像だにしない方向として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――大決戦の数年後――

 

「これが、あの時のだいたいの状況なんですね?」

 

「そうだ。ケイが文章に起こしてる途中のを借りてきた。まだ編集中らしいから、ところどころで文章がまとまってないとか言っとったぞ」

 

キュアアクアは『大決戦』の詳しい事情を黒江が借りてきた『圭子の編集中のノート』で知ることとなった。黒江と智子がどうやってプリキュアの姿になっていたのか。そのおおよその事情が掴めた。

 

「つまり、貴方と智子さんは休暇中だったのですか?」

 

「そうだ。46年に起こった出来事だったんだ。神奈川県の大和の旅館に泊まってたところを転移しちまったんだ。あとで分かったんだが、ウザーラの転移で起こった現象だったぜ」

 

「あの龍の…。本当にアトランティスの遺産なのですか?」

 

アトランティスの遺産。それが実在した事に驚きを隠せないキュアアクア。だが、プリキュア達の世界にアトランティスは存在しない。自分達の世界に存在しなくとも、実在する世界がある。それを目の当たりにした以上、信じるしかない。

 

「ドラえもんとのび太から聞いたが、アトランティスはのび太の世界じゃ元から海底の国だったそうだ。たぶん、伝説が独り歩きしたんだな」

 

「海底にヒトが?」

 

「ああ。のび太曰く、原始人の何割かの部族は海に還っていったらしい。海底に適応、進化した現生人類の亜種。7000年前には東西冷戦時代に似た状況にあったらしい。太平洋にムー、大西洋にアトランティス。その二つの大きな連邦が東西冷戦時代に似た冷戦状態にあり、アトランティスが核兵器を実現させた事で一時は優位に立ち、ムーが同等の兵器を作っても耐えられるように、バリアを国土に張った。それがバミューダトライアングルの一つの答えと言えるだろうな」

 

「バミューダトライアングルはのび太さんの世界では、アトランティスの遺産…?」

 

「そうだ。あの辺りがアトランティスの本土だったらしい。だが、そのバリアが仇となってアトランティスは滅亡したらしい」

 

「どうしてですか」

 

「新型核兵器の核実験に大失敗したことが引き金になったんだ。放射能汚染をどうにかできなかったらしい」

 

のび太がムー連邦軍の将校『エル』から聞いたという話を黒江は語る。詳しくは謎だが、一つの推測が立てられる。『アトランティス連邦軍は核兵器の発射実験を行い、何らかのトラブルで国内に墜落してしまい、放射線防御のためのバリアの関係で汚染が深刻化してしまい、王族も国民も皆が死に絶えてしまったのでは?』と。のび太も言及したように、そのアトランティスはその実験失敗から程なくして滅亡したが、軍隊が遺した遺産が残り、のび太達は死闘の果てにバギーの『献身的攻撃』という犠牲でその遺産を破壊した。そのアトランティスの残した最強の遺産があのウザーラなのだ。

 

「アトランティスは太平洋のどこかに植民地を持っていて、そこに遺されていたのがウザーラだ。国が始まった時から造られていた守護神で、滅亡寸前の時にあら方完成したが、組み立てがなされていなかった。鬼どもはそれを回収して、完成させたんだ。あれにはグレートマジンガーやゲッタードラゴンくらいでは手も足も出ない。そう言えば分かるか?」

 

黒江はウザーラの脅威度を『グレートやドラゴンでは歯が立たない』とした。アトランティスが気の遠くなる歳月をかけて建造した守護聖竜はグレートマジンガーやゲッタードラゴンくらいの性能では手も足も出ないほどの戦力差があると断言した。その証明が次元転移能力なのだと。キュアアクアは思わず息を呑む。

 

 

「だから、スーパーロボットの中でも最強クラスのが出張ったわけだ」

 

「あのスーパーロボット達の技をなぜ、貴方達は?」

 

「神の闘士にもなれば、アレくらいはできるもんだ。もっとも、お前らにあまり無茶はさせたくなかったからだが」

 

キュアアクア/水無月かれんは1947年以降は扶桑空軍の軍医として就職し、64Fの戦列に加わっていた。彼女達『プリキュア5』の遥か後年に現れるヒーリングっど・プリキュアに先駆けて、医療従事者として勤務した事になる。

 

「ま、プリキュアと軍医の兼務ってところはヒーリングっどを先取りしてるな、お前とハッピーは」

 

「ヒーリングっど・プリキュア……15代目のプリキュアですね。12代後の後輩、か…」

 

「その代だと、お前らが現役の頃に生まれた計算になるぞ」

 

「のぞみがボヤいてましたよ、その事」

 

「その二代前の野乃はなが2005年だから、その二代後の花寺のどかは計算すると、お前らが戦い始めた頃に生まれた計算になる」

 

「のぞみがジェネレーションギャップだ、とか言って愚痴ってました。はるか以降はガラケーの全盛期に子供ですし」

 

「仕方ない。のぞみは2007年に14歳の世代だが、ここ最近の連中はお前らの現役当時はライトを振る側だった子供たちだ。そのところは我慢させろ」

 

「それが堪えるみたいなんです」

 

「あいつめ。そんなこと言ったらのび太はどうなる。世界線によっては1964年に生まれてるんだぞ」

 

のぞみは自分の後輩達に2000年代後半生まれが現れているのがショックなようだが、のび太は生年月日に世界線によって大きな差があり、最古のものでは1964年生まれとされる。それを黒江は引き合いに出すが、なんとも言えないと言った顔のキュアアクアだった。

 

 

 

 

 

 

――事が起きる前、黒江の頼みで体を入れ替えてていたのぞみは仮面ライダーディケイドから事の次第を知らされ、のび太の仲介でスーパーロボット軍団に出動を要請。ダイ・アナザー・デイを終え、基地に帰還していたスーパーロボットの内、百鬼帝国と縁深い者達が緊急出動した。これが後々に大決戦と語り継がれる戦いの狼煙であった。――

 

――ゴッドの砦――

 

ゴッドの砦とは何か??光子力研究所が平和利用に専念する予定であった都合で分離された軍事開発部門の基地として建設されたゴッド・マジンガー用の基地であった。科学要塞研究所の系譜に位置しつつ、地下施設がメインとなる特殊な基地で、グレートマジンガーの量産頓挫後には完成済みで納入されなかった生産機の保管庫にもなっている。ZEROとの度重なる交戦やダイ・アナザー・デイでの激戦でターボスマッシャーパンチが破損し、その新造と機体のオーバーホール中のマジンカイザーに代わり、兜甲児はもう一つの究極のマジンガーを使った。その名も『ゴッド・マジンガー』。

 

「よっしゃ、ここはこの兜甲児様に任しとけ!」

 

のび太からの通信に、小気味よく応えた甲児。いつものノリで防護服に着替え、格納庫に駐機されている『ゴッドファルコン』に乗り込む。

 

「エンジン始動!」

 

ゴッドファルコンはブレーンコンドルの発展機に位置する戦闘機である。乗り組みシークエンスはブレーンコンドルに準じており、本来はグレートマジンガーの系譜に位置するのが分かる。もっとも、グレート自体がゴッド・マジンガーのプロトタイプ的側面を持つため、完全版としての側面を持つのを考えれば当然だが。生まれ変わったミネルバXはゴッドには思うところがあったが、兜十蔵の構想にあった『空戦マジンガー』の完成版の位置づけにあるゴッドには複雑な思いがあるという。(Zの血肉を受け継ぐ機体であるので)

 

 

『ゴッドファルコン、スイッチ・オン!!』

 

ゴッドファルコンの光子力エンジンが始動し、噴射炎を吹き出す。暖気運転を一定時間済ませた後、抑止ロックを解く。勢いよくゴッドファルコンはルート特定を避けるためのいくつかの通路を滑走路代わりにする形で発進する。その点はグレートマジンガーの影響である。

 

『マジーン・ゴー!!』

 

ゴッドの砦の近くの海から、ゴッド・マジンガーが射出される。

 

『ブレース・オーン!!』

 

甲児は鉄也がしていたように、ゴッドファルコンとゴッド・マジンガーをドッキングさせ、スクランブルダッシュを展開、発進していった。全ては友のために、プリキュア達の明日のために。グレートマジンガーの後継者に甲児が乗ることにかなり反対したミネルバも、ゴッドはZのオリジナル機の生まれ変わりであると教えられ、説得に応じたというのが、Zの再建を待たずにゴッドに乗り換えた際に起こった一悶着であった。ミネルバはZのパートナーとして設計されたオリジナルの体のこともあり、カイザーに好意的であるが、ゴッドはグレートマジンガーの後継ポジでもあるため、猛反対したが、兜親子の説得に折れた形だったという。曰く、『グレートも基本のアーキテクチャがZの物だから、兄弟機としての進化だし、マジンガーZそのものの成長でも有ると考えよう』との事。

 

 

 

 

――ネイサー基地――

 

ゲッター線のメルトダウン事故で壊滅した新早乙女研究所に代わり、ゲッターロボ最大の拠点になったネイサー基地。兼ねてより、その調査と調整が続けられていた真ゲッタードラゴンの初陣が遂にやってきたのである。車弁慶もチームに復帰し、初代チームが再結成に至ったからだ。

 

「いくぜ、隼人、弁慶!」

 

「ゲッターチーム、復活だ!若い連中に底力を見せてやろう!」

 

「フッ、俺達はまだ20代だぞ、お二人さんよ」

 

「いいんだよ、こういうはノリで!真ゲッタードラゴン、発進!」

 

真ゲッタードラゴンはゲッターGから引き継がれた合体分離機構の調整が遅れたため、モーフィング変形で姿を変える。しかし、完全な変形は無防備になる時間が生ずるため、ドラゴンを基本に、部分的な変形を行う事で済ませるという。調整が伸び伸びになったこともあり、ダイ・アナザー・デイへの投入は最終的に見送られた。しかしながら、その手間に見合う力を有するのも事実だ。真・マッハウイングを展開し、真ゲッタードラゴンは勇躍、発進した。真ゲッターロボ以上の速度を発揮できるため、23世紀初頭時点のゲッターロボでは真に最高峰と言える疾さであった。

 

 

 

 

 

 

 

――新科学要塞研究所――

 

こちらは新科学要塞研究所。ダイ・アナザー・デイ後に移転した科学要塞研究所。炎ジュンと結婚しつつ、兜剣造の恩師『神竜博士』の生涯最後の願いにより、彼の養子になったため、戸籍上は『神竜鉄也』になった剣鉄也。マジンエンペラーGを主体に、Gマジンカイザーを予備機として管理する同研究所、地球連邦・日本州の知事選挙に弓教授が出馬したため、光子力研究所の次期所長に推された弓さやかが大学と大学院に通っている間は兜剣造が光子力研究所と兼任する形で新科学要塞研究所の所長をしている。ジュンは鉄也の子を身ごもったために戦いから離れ、鉄也一人ががんばっている状態であった。せっかく生み出したGカイザーがZEROに敗北した世界線をミネルバから知らされた兜剣造はエンペラーGを用意する事になったが、マジンカイザーの修理用フレームを強化改装し、そこに合成鋼Gの柔軟性を取り入れる形で肉付けし、短時間で生み出された。ダイ・アナザー・デイに間に合ったのは急造したおかげだが、Gカイザーにはない自己再生能力を得たため、総合的に見て継戦能力で上回ると言える。

 

 

「鉄也君、時は来た。マジンエンペラーGを以て、百鬼帝国の野望を叩き潰せ!」

 

「そうこなくちゃ!」

 

鉄也は10代の頃から意外にノリがいい面があり、結婚しても変化しなかった。ただし、帰るべき場所を自分で築くことが出来た事で精神的に安定した感があった。マジンエンペラーのブレーンコンドルに颯爽と乗り込み、グレートマジンガー同様の手順でドッキングする。

 

『エンペラーオレオール、GO!!』

 

マジンエンペラーGも発進していく。のび太が仲介した事で尾ひれが若干ついたが、政権交代間近の状況に張り切り、ダイ・アナザー・デイの作戦終了を大義名分に、スーパーロボットの出動を抑制しようとしていた地球連邦議会の野党勢力にとってのチャンスを失わせる効果を挙げた。百鬼帝国が大手を振って動き出したからだ。いち早く出動した三機はディケイドの力で、ゲートを通らずに、プリキュア達がいる世界に直接、転移していった。

 

 

――話は戻って……――

 

「それで、あの三機が出てきたんですか」

 

「ブラック達のあの顔……。今から考えても笑えるぜ。本気で固まってたしな」

 

「でも、あの三機より貴方達の闘技の方で後々まで言ってましたよ、なぎささん」

 

「グレートブラスターやらファイヤーブラスター撃ったからしゃーねーよ。俺たちは借りただけだが。カイザーノヴァやダイナマイトタックルやってないだけ自重したもんだと思うんだがなぁ。ストナーはフェリーチェが、俺たちはシャインスパークとブイマキシマムだが…」

 

「私の世界ののぞみが大いに困惑してましたよ。誰かがビデオで撮影してたみたいで」

 

「ぶーたれただろ?」

 

「大いに。後々まで愚痴ってましたね」

 

その他にも、斬艦刀や双炎斬や雷光斬など、自重していたか怪しい箇所が多めな上、ヒーローユニオンも全力で戦いに参加したので、オールスターズとしてハートキャッチの初陣という側面は消え失せてしまった。また、アクア曰く、来海えりかにのぞみが怖がられるようになってしまう副作用も生じたため、影響はかなり大きい。

 

「んじゃ暇になったら教えに……」

 

「やめてください!どうなるか、解らなくなりますよ?!」

 

「お前とミントを連れてくる時、フェリーチェがかなり骨を折ってるのは事実だ。クラッシュイントルードもやるハメになったし、ストナーサンシャイン使われなかっただけ…」

 

 

「そこですよ、そこ」

 

「草薙流古武術はうちにいるのぞみだけの特権だし、そののぞみには教えられん。仕方ねぇ、ハトプリ勢揃いしたあたりにのぞみと行って誤解を解くのと基礎力アップのブートキャンプだけやりに行くしかないな」

 

さらっと魔改造フラグを立てる黒江。なお、アリシア・テスタロッサに転生した花咲つぼみとその世界のつぼみは別の存在だが、ステラ・ルーシェに転生した明堂院いつきはその世界の前世を持っていたため、キュアサンシャインが同行したとか。

 

「ところで、咲と舞は修行を始めたか?」

 

「ええ。かなり戸惑ってますけど。あの二人は変身の仕組み的に仲違いなどに脆いですから、ハラハラですけど」

 

「キュアブライトとキュアウィンディの姿でいるほうが楽だしな。通常フォームだと飛べんし」

 

「私達は基本的に空中戦は機会がないですから、ハピネスチャージの子たちが羨ましいですよ」

 

「変身した姿でいると、意外に修行になるぞ。のぞみも前のデザリアム戦役の後から、キュアドリームの姿でいさせたし、ラブもピーチの姿を維持させたが、変身しても平常心になれるぞ」

 

「そうですか?」

 

「空中戦はこれからいくらでも経験できるさ。お前もインターン中で大変だろうが、変身したままで白衣を着る気分はどうだ」

 

「妙な感じですよ。普通に医局に行くより気分は楽ですけど」

 

「白い巨塔で汚職まみれの現場に巻き込まれるよりはビジュアルがきついが、軍医でいたほうが気が楽だと思うぞ。自衛隊の同期に医者の家を継いだやつがいるが…。そいつ、疲れてるしなぁ」

 

キュアアクアは変身後のコスチュームの上から白衣を羽織った服装だ。芳佳はウィッチとして名が売れているのと、キュアハッピーとしての外聞もあり、その組み合わせはやれないとボヤいている。もっとも、芳佳にはウィッチ世界最高位の治癒魔法があるため、ある意味、ヒーリングっどの完全上位互換でもあるが。

 

「芳佳は大洗に時々息抜きに行ってる。それで仲間をいじって帰ってくるけど、ある意味、くるみが面白い立場だからな」

 

美々野くるみ/ミルキィローズはカエサルに転生しているため、ミルキィローズになっても歴女成分は出まくっており、イタリア語を読めると自慢していた。なお、ミルキィローズとしてのパワーはカエサルの姿でも発揮できるため、C.V.33程度の馬力ならば物ともせずに押し止める事が可能とのことで、アンツィオ高校戦でそれが出来てしまったためにミルキィローズとしての記憶が戻ったという。なお、ミルキィローズになれば、IS-2の突進を片手で押し返せるというので、人間時でCV33の履帯を空回りさせて押し止める彼女はもっとも前世の名残りを残すと言える。

 

「くるみ、結構楽しんでるようで安心しました。友達もできたみたいで…」

 

「怪力女って他校に有名になったとかボヤいてたがな。 セモベンテM40くらいの馬力なら普段の姿でも止められるって言うから、まず普通の乗用車なら余裕だわな」

 

カエサルとしてでも、ティーガーⅡのアハト・アハトの砲弾装填を顔色一つ変えずに迅速に装填できるなど、パワータイプである事が伺える美々野くるみ。もっとも、四葉ありすとしての記憶が戻った西住みほも組織運営に才能を見せ始めたというが。

 

「ローズはパワータイプでしたから。ただ、経験がないので、最後の方は苦戦も多くなりましたけど」

 

「それは仕方ない。ま、マナみたいに西住流依存からチームを立て直す大役を背負わされるよりは気楽だと思うぜ。あれこそ気苦労多いぜ?PTAになじられ、二年連続準優勝の責を責められる。割に合わないぜ?まほが辞めた後の後任なんて」

 

黒江をして、そう言わしめた黒森峰女学園のまほ後任の地位の厳しさ。相田マナはその気苦労で痩せたと言い、逸見エリカのポジションを継いだ相田マナの前途は多難であった。もっとも、黒森峰女学園は昔年より地力が落ちたと言われようと、一定の水準の練度は約束された学校なので、大洗女子学園より遥かにイージーモードと言える。

 

「あ、文章で気づいたところあるか?」

 

「だいたいは纏まってますよ。それと、ココは生まれ変わって何を継いだのですか?」

 

「あいつは魂に刻まれた因果か、サムライトルーパーになったよ」

 

「サムライトルーパー?」

 

「真を智り、人を信じ、礼を尽くして正義を行なう、これぞ仁の途なりって言い伝えがある、聖闘士に似てるが、非なる者。聖闘士が西洋の伝説なら、東洋に伝説として伝わる戦士の通称だ。俺と智子はその資格もあるが、ココは生まれ変わった後にその資格を継承したんだそうだ。仁の心の継承者だな」

 

ココ(小々田コージ)は転生した後に慈愛を尊ぶ仁の心を象徴する鎧擬亜『烈火』を継承し、最強の『輝煌帝』も呼び出す権利を持つ鎧戦士となり、生前の願いを最高の形で叶えた。のぞみは戸惑ったが、想い人の想いを尊重したという。アクア/かれんはこの時にかつての仲間の一人が自分達と違った形で力を得て『戦士』になった事を知ったのだった。

 

 

 

 

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