ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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総集編の続きです。


第三百六話「続・総集編~大決戦の経緯~その一」

――大決戦は、決定的にプリキュア達を戦いの渦に巻き込んだ。黒江と智子は普段の戦闘法に切り替え(正体が半ば明らかになったため)、戦闘を続ける。力を再度失った者達は、万全の状態の後輩達、駆けつけたスーパーヒーロー達の戦闘を見ているだけしかできなかった――

 

 

「ライダァァァ!キィィック!!」

 

一号ライダーのライダーキックが空中で複数の怪人を屠り、着地時の衝撃波で大勢の戦闘員が宙を舞う。一号ライダーは見かけこそ、1972年当時に一度目の再改造を受けた姿である『新一号』のままだが、実はさらなる再改造を自身で施しており、三号と戦うための『ネオ一号』への二段変身を秘匿している。その効果で、従来の新一号であっても、現役時代には苦戦した怪人を容易く屠れるまでにパワーアップしている。これはメカニック部分を更に刷新した影響もあるが、本郷猛自身の経験値が増したことも大きい。相棒の二号は再改造なのか、自己パワーアップなのかは不明だが、新二号へのパワーアップ後も、時期によっては『黒に近い緑の仮面』の形態を取っている。この時期はちょうど、その時期に当たる。二号本人は『本郷と見分けやすいだろ?』との事。

 

「トゥ!!」

 

二号も負けじと、パワー寄りの立ち回りを見せる。二号は一号より筋肉量が多く、現役時代はパワーファイターで鳴らしていたため、拳で相手を次々と打ち倒す。

 

「ライダー返し!!」

 

空中で背負投げをし、投げ飛ばした怪人を戦闘員にぶつけ、共々に葬る。二号は体そのものは一号とほぼ同型だが、新一号以前の状態の一号より基礎性能の良いボディを持つ。しそのボディを基にしての二つの発展型が生み出された。一つは新一号/ショッカーライダーを経由してのV3。もう一つが三号である。三号案は正史では、ホッパータイプの性能向上にあたり、『基礎設計から見直す』ということで破棄されている。しかし、平行世界では完成されており、それが黒井響一郎である。三号の予定スペックはV3より低めの数値であったが、実際には多くの昭和ライダーより高い数値をマークしている。これは黒井響一郎自身の資質、そして、三号のボディに何らかの新技術を適応したと思われる。この時、黒井響一郎は組織の上位の幹部の地位にあったが、デルザー軍団は彼の指揮下ではないため、干渉せず、暴漢に徹していた。デルザー軍団は大首領直属の精鋭であるためである。そこに組織の複雑な組織図が見て取れる。

 

「みんな、子供たちを守りながら、戦線を構築するぞ!!」

 

「おう!」

 

一号ライダーは他のスーパーヒーロー達をも指揮し、プリキュア達を守りながら、怪人らを倒していく。技の一号の渾名は伊達ではなく、多彩な攻撃を繰り出している。黒江たちが技を増やそうとしているのも、彼の強い影響によるものだ。

 

「ライダァァァ・げつめーんキィィックッ!」

 

要は月面宙返りからの急所への飛び蹴りだが、それを戦闘用改造人間の彼が行うことで『必殺』となる。二号も会得済みだが、特性が異なる。一号のものは貫通力が高い事にある。(ちなみに、一号の最強技は『電光ライダーキック』を攻撃用途で使うことである)

 

 

「す、すごい……」

 

キュアブラック達は圧倒される。歴代仮面ライダーを含めたスーパーヒーロー達は『洗練された戦闘術』を披露している。代によっては『ケンカ殺法』そのものなプリキュア達とは隔絶した差があった。仕方ないが、ヒーロー達は元から武道の達人である事が多数派。プリキュア達は『戦いで練り上げていく』。また、元々が『運動音痴』な者も多いため、スーパーヒーローたちに比べた場合、手数や戦略などの面で劣る。これは比較的に戦闘慣れしていた世代であっても、顕著な違いはない。

 

「よく見ておけよ、ブラック。あれが武術の達人ってやつだ」

 

「ドリーム、そういうキャラだっけ?」

 

「そういうこたぁ、後だよ、後」

 

黒江は苦笑いしつつ、自身も膨大な年月で鍛えた技で怪人と戦闘員を蹴散らす。姿は借りているものの、聖闘士であるため、パワーダウンは起きず、スーパープリキュア形態を維持している。のぞみは風見志郎のようなテクニックタイプであるため、茂のようなパワー寄りの特性がある黒江が成り代わっていると、戦法に違いが明確に表れる。

 

「とりゃ!」

 

その場で回し蹴りを二連続で入れ、怪人の首を跳ね飛ばす。柔和な印象のシャイニングドリームと反する荒々しい戦法である。

 

 

「レッドマスクさん。あんたの技、借りまっせ!!」

 

レッドマスクへ一応の断りを入れると、九字護身法の印を結び、オーラパワーを発動させる。これは聖闘士の小宇宙と両立可能な力であるので、黒江は会得後は技の破壊力増強に使っている。キュアドリームの姿で使ったわけだ。

 

「え、陰陽師みたいな印を結んで……オーラを出したぁ!?どうなってるの、ルージュ、アクア!?」

 

「私達にもわからないわ……。いったい……」

 

アクアは一応はブラックに気を使うが、事のからくりを見抜いているため、お茶を濁すような言い方であった。そして。

 

「ゴッド・ハンド!!」

 

効果音を表すならば、『ズガァァァン』とも言うべき轟音と共に怪人『アルマジロング』の胸部装甲(旧二号のライダーキックを弾き返した強度がある)を拳で貫いた黒江。これぞ、光戦隊マスクマンのレッドマスクの個人技では最高レベルの破壊力を誇る『ゴッド・ハンド』であった。動力炉を貫かれたアルマジロングは断末魔と共に爆発し、果てる。

 

「見たか、ゴッド・ハンドの威力!」

 

オーラパワーを発動させた際は光戦隊マスクマンをリスペクトした戦闘法を取る黒江。今度はマスキートンファーを造り、それで戦ってみせる。マスキートンファーを使う時は中国武術じみた身のこなしも行うため、完全にブラックは固まっているどころか、目が飛び出る勢いだ。

 

「……ねぇ、いったいどうなってるの……」

 

そうとしか言えないが、あまりにも戦い慣れしているどころか、完全に達人級の動きになっているため、流石に違和感を覚え始めるが。

 

「ボーっとしてるんじゃねーよ!皆の戦い方や技をよく見て盗みやがれ!」

 

「う、うんっ!」

 

発破をかけられるため、考える余裕がない。アクアとルージュも、黒江が言った『航空自衛隊の自衛官』という職業を考えても、明らかにその道のプロとしか思えない動きであるため、自衛隊の訓練だけであのような動きができるのかと訝しがる。完全にプリキュアの力には頼っていないため、そこも種明かしされた者達にとっても大いに疑問であった。

 

「コイツは陸自の格闘術なんだが、軽く拳を握り…体に螺旋状に力を足の裏から通すイメージで……振り抜く瞬間に拳を握りこむ!……コレが基本技の波動拳だ!」

 

黒江は自衛隊で素手での格闘を習った面が大きい(扶桑軍では本来、黒江が士官候補生の頃の時代でも、対人格闘術については、申し訳程度の護身程度にしか教えていなかった)ため、ファイトスタイルが明確には定まっていない。そこが臨機応変にファイトスタイルを変化させられる理由でもあった。遅れてやって来たミルキィローズ(戦車道世界に転生した彼女ではない)は完全に固まってしまい、口を大きく開けて唖然としてしまっている。

 

「嘘……」

 

パワーは自身のほうが上であるという自負があるため、ローズは完全に茫然自失状態である。(黒江自身から種明かしされているとは言え)

 

「ま、気持ちはわかるわ」

 

「いったい、どうなってるのよ…!?」

 

その事から、当時の時点でも基本パワーはプリキュア5全員よりミルキィローズが上である事が分かる。ルージュが声をかけるが、ローズは完全にプリーズしている。そして、更に。

 

『ライダーァァ……卍キィィ――ック!!』

 

二号ライダーが『ライダー卍キック』で六体の怪人を超高速回転を伴うキックでぶちぬく様を目撃してしまったため、ミルキィローズはオーバーヒート状態に陥る。頭からは煙が出ており、わかりやすいほどのオーバーヒート(正確には、あまりの光景に脳みそがプリーズした)であった。

 

「ああ、ローズ……。ルージュ、ローズが」

 

「こりゃ、しばらくはだめですよ。頭が完全にプリーズしちゃってます。どうしましょう、アクア」

 

「くるみったら……。でも、こんな光景を見てしまっては仕方ないわね」

 

歴代の仮面ライダー達を始めとするヒーロー達が、各々の技で敵を粉砕する光景はプリキュア達にとっても圧倒的な光景であった。だが、それと裏腹に、ハートキャッチプリキュアを含めた多くのプリキュアたちはミラクルライトの効力が切れ、ほぼ戦闘不能である。そこをカバーするのも、彼らの仕事だ。

 

 

『らぁいこぉぉざぁーーんっ!!』

 

ドリームに成り代わっている黒江が超弾動雷光斬を放つ。剣技では、智子より黒江のほうが腕が上であるため、雷光斬を波動として撃ち出すことも可能である。これにキュアブラックは驚天動地になり、またも茫然自失となる。

 

「ブラック、分かってると思うが……」

 

「いーや、いわせてよ。あれ、あたしの口癖なんだから…」

 

「好きにしな」

 

「ありえなーーーい!」

 

「言っとけ言っとけ、ありえない事なんてないって事を教えてやんよ、へへっ……」

 

キュアブラックのこの台詞は本人も様式美と認識しているようだ。そして、こう嘆いた。

 

「ドリーム、どうすればいいの!?力は戻らないままだし、こんなんじゃ、まともに戦えないよ……」

 

「皆の希望が力にならない時は、自分の心の希望を力に変えろ!魂を燃やせ!お前らが希望を燃やす火種になって未来を照らす篝火を灯せ!!」

 

「で、でも、どうやって!?」

 

「70年代の香港映画の俳優を気取るわけじゃないが……、考えるな、感じるんだ…ってね」

 

 

その格言で黒江は何度か窮地を脱してきた。キュアブラックはわけがわからないと言わんばかりだが、黒江は手本と言わんばかりのことをやってのける。

 

『燃えろ、俺の小宇宙ぉぉ――!!』

 

ナインセンシズまで小宇宙を高め、シャイニングドリームの翼を天馬星座の神聖衣のようなヒロイックかつ神々しい白金色の翼へ変化させる。バトル漫画張りのパワーアップである。

 

「……プラチナ色の……翼……」

 

「さて、行くか」

 

「ま、待って!」

 

黒江はキュアドリームの姿をさらなる境地へと至らしめ、その勢いのままに突撃していく。ブラックはその背中を追いたい気持ちを燃え上がらせる。それは最初のプリキュアとしての意地でもあった。

 

「来るか?人の高みの到達点に?」

 

突撃の前に、ブラックに何かを問う。

 

「何がなんだかわかんないけど……後輩に無理させちゃ……プリキュアの看板がすたる!!」

 

ブラックは黒江の問いかけへの回答代わりとして、フラフラしつつも立ち上がり、咆哮する。すると、何かが弾けたように、オーラが表れ、ブラックを包み込む。そして、オーラが弾けると、彼女は超形態への再変身をしていた。違うのは、翼が通常の同形態より神々しい、滑らかな形状のものへ変わっていた点だろう。

 

「なにこれ……ミラクルライトなしで……変身できた……それに……体が軽い!!」

 

「掴めた様だな、夢の翼を」

 

微笑む黒江。ブラックも流石にのぞみのキャラではない大人びた態度に疑念を持ったが、野暮なことはしないことにした。それが彼女なりの礼儀でもあった。

 

「援護しますわ」

 

「頼むぞ、スカーレット」

 

「伊達に燦然と輝く王剣持ちではありませんのよ、ドリーム?」

 

キュアスカーレットが燦然と輝く王剣を手に援護を行う。

 

『王剣よ、我が想いに応えなさい!……クラレント・シャイニングローリア!!』

 

クラレントはモードレッドが持つと、史実通りに邪剣として歪むが、キュアスカーレット/紅城トワが使えば、カリバーンと同等の威力を以てして道を開く光となる。剣の形状もモードレッド使用時に比べると流麗で美しい白金の剣となる。これはモードレッドが本来の持ち主であるアルトリアに生前は認められなかった事に由来する事実でもある。この時期は、文字通りにプリンセスであるキュアスカーレットが使う場合にのみ本来の性能を発揮する。キュアスカーレットの新たな武器として風格はたっぷりであった。

 

 

「いくぞ!!ここから本領発揮だ!!アトミック・サンダーボルト!!」

 

キュアドリームの姿は借りたままだが、援護を受けつつ、黒江は鍛えた闘技を完全に解禁する。アトミックサンダーボルトを放ち、仮面ライダー達の露払いを行う。元々、黒江は剣技専門に近かったが、この頃には高い水準の徒手格闘術も会得しており、この時期ののぞみよりスタイリッシュな戦闘を見せる。仮面ライダーで言えば、天道総司の変身する『仮面ライダーカブト』寄りの『受け流すことを主体に、速攻で相手の手札を潰す』やり方である。この時の戦闘の印象が『ドラえもん世界』に伝わったことで、ドラえもん世界で公開された『ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』では、キュアドリームは『歴戦の勇士かつ、戦闘の玄人』として演出されることになる。キュアミラクルらの監修で『シャインスパーク』が最終的に逆輸入されるが、それはまだ先の事。

 

 

「ライトニング・ボルト!!」

 

対多数戦では、聖闘士の闘技は重宝する。一回あたりの破壊力が優れているからである。プリキュアの技は浄化が主用途である場合が多いので、単純な破壊力は仮面ライダーや聖闘士の闘技より格落ちである。それをこの頃には知っていた黒江はプリキュアの技を用いず、聖闘士の闘技で対応した。そして。

 

「ふっ!!」

 

得意の剣戟で戦闘員を斬り捨てる。動きが完全に経験者のそれである事(のぞみも剣戟に天賦の才が何故かあったが、多くの世界では見せていない)、ためらいが一切ない事から、『プリキュア5』の他のメンバーは事のあらましを察していた。のぞみ当人は経験値で立ち回りを洗練させてきたが、現役活動からは引退した後なので、体が幾分か鈍っているはずであるからだ。後に、のぞみ本人も『ZEROとの融合』でこの境地に達する。

 

「エレクトロファイヤー!!」

 

地面に電気を走せ、多数を焼き払う。示し合わせ、ストロンガーと同時に行う。仮面ライダー達が集合している場合、ストロンガーは貴重な対多数技持ちであるため、露払い役も多い。最も、七人ライダー最強のパワーを誇るため、俗に言う『とどめ役』も多いが。

 

「よし、俺に続け!!」

 

次の突撃では、ストロンガーが先陣を切る。ストロンガーは切り込み役を担うことも多いため、当然の流れである。本来は参戦するはずのないプリキュア達もこれに続く。歴代のスーパーヒーロー達は戦闘できない者達を守りながら、敵を倒す必要があるため、中々に難儀な仕事であった。キュアブラックはパワーを復活させたが、大半がパワーダウン状態に再び陥っていたからだ。

 

「ストロンガーさん、ライダーシンドロームは?」

 

「あれは皆のパワーを集中させた上で、円陣を組む必要があるからな。まだ使えん。その隙がねえだろ」

 

「言えてる」

 

ヒーローと普通に会話をするため、これでドリームの人間関係が一部のプリキュアに誤解されることになる。そして、上空では、支援砲撃をする『轟天』の姿があった。

 

 

 

 

 

――轟天は元々、ラ號の幻の二番艦を扶桑が蘇らせたもので、ウィッチ世界で初のラ級戦艦である。試作タイプであるが、ラ號の当初案を実現させた強化型の側面がある。完成後に日本側へ通告したが、日本側は空母に予算を使えと詰った。だが、大和を超える火力、装甲を持ちつつ、それで飛翔する能力と未来兵器満載の威容は、ジェット戦闘機への移行期にあったため、大鳳含めてのすべての既存空母が陳腐化した扶桑軍には福音であった。本来はダイ・アナザー・デイで投入される予定であったが、建造の遅延で見送られていた。艦橋などの配置やその外観は大和型戦艦のそれとほぼ同様だが、サイズは相応に拡大されている。これは予算獲得のためのハッタリ目的も含んでいたが、大和型こそが日本戦艦の到達点であるため、日本側への保有の説得材料にもなった――

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイ終了後、扶桑海軍艦政本部は蒼龍型から大鳳までの大型正規空母を場繋ぎに改装しつつ、本格的超大型空母の竣工まで凌ぐつもりであったが、日本側の勘違いで蒼龍と飛龍は退役予定に含まれてしまい、更にクーデターでの破壊工作で傷つき、飛龍のみが工事続行となる。蒼龍はドラえもんの手で修復されてからの改装となったため、時間が余計にかかることになり、太平洋戦争での空母不足の一因となる。急遽、雲龍型の初期艦を復帰させるが、サイズ的にジェット時代には不適合であることには変わりはない。宇宙戦艦を空母機動部隊再建までの時間稼ぎ目的で運用しだす背景には、このようなことがあったのである。轟天は『ガンシップ』という名目で、その予算が計上され、生まれたのである。まさか、空軍の予算で『戦艦』が生まれるとは思ってもみない事態であったが、空母を最重要視する日本側に『実験を兼ねた専用の戦艦の新造』が認められないことを読んでいた関係者の手で、空軍の予算で作られたのである。ダイ・アナザー・デイでは、そういう『日本側の裏をかいて、兵器を調達する』事態が頻発していたからだ。また、ダイ・アナザー・デイ後、ドイツがカールスラントに指示し、職業軍人を大量にリストラし、軍縮をさせるようにしたことは、カールスラント政府の破局を招いた。日本はこれを他山の石とし、扶桑への介入トーンを下げる方向に切り替え、連邦の安定に勤め始めていたというのが『大決戦』が起こった頃だが、予てより日本への不満を溜め込んでいたウィッチ閥の主流派の将校らがクーデター作戦『サザンクロス・ブロウ』というコードネームで計画中であった頃でもある――

 

 

 

 

 

――奇しくも、大決戦は武子のパイロットとしての名を確固たるものにした戦いであった。

 

「私も出るわ。F91の調整は済んでいるわね?與子、後を頼む」

 

「ハッ、いってらっしゃい、お姉様」

 

武子は現在の副官であり、かつては従卒でもあった『檜少佐』に艦の指揮を任せ、自身もガンダムF91で出撃した。俗に言う量産型ではない。オリジナル機の同型機のアップデート型だ。カラーリングは武子のこだわりか、我々の知る『旧・日本陸軍防空飛行隊の制式カラーリング』で、肩に64Fの矢印を意匠化したデザインのエンブレムが描かれている。F91は試作機の段階で数機が製造されており、その内の一機が近代化改修の後に武子が配備を要請し、地球連邦軍の手でダイ・アナザー・デイ後に配備されたものだ。なお、量産型でなく、オリジナルの機体なのは、量産機はダイ・アナザー・デイ以後は個人に合わせてのチューンナップが流行り、ダイ・アナザー・デイから間もない時期には、64Fに回す余裕がなかったのだ。部材単位のアップデートがなされているため、機体性能はシーブック機、並びに、製造年度は後の『対抗馬』である、シルエットガンダム改を上回る。なお、黒江がダイ・アナザー・デイで用いたツインヴェスバーパックが装着されており、ネオガンダム並の瞬間火力を誇る。武子は三次元空間把握能力を有した初期のウィッチであったが、それがいつしか、未来世界でいう『ニュータイプ能力』へ昇華しており、F91のフルポテンシャルを発揮可能であった。

 

「ついてきなさい。プリキュアの力以外の方法でも戦えるってことを教えてあげる」

 

智子は剣技主体で戦い始め、キュアブライトを導く。剣技を身に着けたプリキュアは数名いるが、のぞみはこの戦いには不参戦であるため、フェリーチェとスカーレットがいる。この時に智子がキュアブルーム(キュアブライト)/日向咲と交流を持った事が、後に彼女たちをウィッチ世界へ導く事になる。そして、智子を援護しにやってきたのが、超獣戦隊ライブマンのレッドファルコンであった。

 

「援護するぞ!」

 

「ファルコンさん!」

 

レッドファルコンは事を知っているため、敢えて何も言わずに智子を援護する。彼もまた剣の達人であるため、ファルコンセイバーを片手に、敵を薙ぎ倒していく。実質、足手まといとなっている事に負い目を感じているキュアブライト。力が失われたために飛行も封じられ、自分からはなんらアクションもできない状態であるためにひたすら、流れ弾を避けることしかできない。

 

『ファルコン・ブレイク!!』

 

レッドファルコンの必殺技『ファルコン・ブレイク』が放たれ、群がる怪人軍団を蹴散らす衝撃波を伴う斬撃が奔る。

 

「す、凄い……」

 

「あなたの相棒は味方が保護しているわ、安心なさい。……武子、ヴェスバーで援護して頂戴」

 

『分かったわ』

 

武子が自ら、F91(オリジナルの同型機の改修型)で援護射撃を行う。武子はダイ・アナザー・デイの戦功で中将に任ぜられていたため、隊長という立場を考えると、本来なら後方で指揮して然るべき立場にある。だが、日本連邦特有の『指揮官先頭』の伝統に乗っ取り、前線指揮を行っていた。『指揮官は前線で戦闘すべき』とする日本連邦独特の前時代的ともされる風潮はカールスラント連合帝国(カールスラントがオストマルクを統合した)以外には理解されにくく、ダイ・アナザー・デイでの孤軍奮闘にもかかわらず、『あそこは近代戦を理解しとらん』と揶揄する声が多い。(実際にはもっとも近代戦をしていたが…)だが、同時に、64Fの指揮官クラスのウィッチが寄ってたかって一騎当千であるが故に、他国軍隊の指揮官に多大な精神的プレッシャーを強いたのも事実だ。

 

「なんか、巨大ロボットだらけで、頭がゲシュタルト崩壊しそう……」

 

「これくらいでゲシュタルト崩壊?だらしないわよ、のぞみは慣れたわよ」

 

「嘘ぉ!?」

 

「ただし、転生先の関係だけど」

 

「?」

 

「あの子、転生先が日本軍の職業軍人でね」

 

「うわぁ…。なんて言おうか…」

 

「ただし、魔法がある世界だけど」

 

「あ、あの、それって」

 

「あたし、本当はそこの出身でね、一応、中将なのよ。戦争の時代だから、階級はやたら高くなったけど、やってる事は変わんないのよね。のぞみとラブは同じ隊の部下よ。その縁かしらね、こういうことになったのは。ちなみにパイロット出身よ」

 

「魔法がある世界で?」

 

「まぁ、普通に文明は発達してるし、魔女も箒で戦うわけじゃないし、プリキュアの後輩にもいるしね、魔法使い」

 

「いるんですか!?」

 

「ええ。キュアフェリーチェ。あの子がそうよ。あなたの10年は後輩かしら」

 

「じ、十年!?」

 

驚きの情報が伝えられ、驚天動地のブライト。先輩のなぎさを差し置いて、咲はこの事態の真相を最初に知ることになったわけである。

 

「それと、この人達が援軍に来てくれたのは、のぞみのおかげよ」

 

「のぞみちゃんが?」

 

「ええ。この場にいたのぞみとは別世界の存在になるのだけど、仮面ライダー一号にかけあったのよ、あの子」

 

「それで、俺たちはここにやってきたわけだ。万一に備えて、装備も持ち込んでおいたが、正解だったようだ」

 

「そのようですね」

 

一号ライダーからその通達があったらしい智子。レッドファルコンもそういうように、装備を持ち込んだのは正解であった

「あらよっと」

 

キュアピーチに成り代わっているが、智子は元来、徒手空拳で戦うタイプではない。そこも他のプリキュアに違和感を持たれた要因である。

 

「レッドファルコンのお力、お借りします!……ファルコンセイバー!!」

 

ファルコンセイバーを造り、自身の本領である剣技で戦い始める。

 

「はぁっ!」

 

智子お得意の剣技の冴えはここであった。元は剣技で鳴らしたため、プリキュアの姿を借りていても百戦錬磨。本郷猛や一文字隼人のような超人に比べれば落ちるが、それでも当時のどのプリキュアよりも剣技の達人である事には変わりはない。智子お得意のツバメ返しを見せ、怪人も戦闘員もなんのそのであった。もはや、事態はプリキュアオールスターズの手に負えるものでは無くなっているのが事実であった。

 

 

 

 

そんな中、キュアブライトは必死に精霊のパワーを出そうとするが、何度試みても、エネルギーが集まるどころか、霧散してしまい、本来の力がまったく出せないことに地団駄を踏み、大いに嘆く。

 

「精霊の光が出せない……パワーが集められない……!?力がなんで戻らないの!!?なんで!?」

 

プリキュア達の力の根源は現役時代においては『レインボージュエル』と『プリズムフラワー』という二つの『希望と夢を司る超物質』に依存していた。その弊害が最悪の結果を招いた。レインボージュエルが失われたことでパワーソースを失ったばかりか、この世界の人々が『希望』を失くしてしまった事が、プリキュアたちから戦う力を奪ってしまったというのはまさに皮肉そのものであった。キュアブライトは地面を叩いて悔しがる。

 

「このままじゃ……舞も、いのり(咲の実妹)も、満と薫も……守れないよぉ!!どうしてよぉぉ!!」

 

ブライトの慟哭が木霊する。そこへ。

 

「あなたが守りたいものは何?」

 

「ピーチ……」

 

智子から種明かしされているため、変身後の名で呼ぶブライト。目の前に降り立ったキュアエンジェルピーチは友人の桃園ラブではないからだ。だが、ラブとの共通点(ラブは戦闘時には凛々しい振る舞いが多くなる)がないわけではないため、不思議な感じを覚える。

 

「あたしはみんなを……大切な人たちを守りたい!!なのに、なのにぃ……」

 

このような事態は経験がない上、キュアウィンディが傍にいないためか、ひどく狼狽し、ついには泣きじゃくるキュアブライト。それを見かねた智子。

 

「ここは任せなさい。あたしは、あなたの知る『桃園ラブ』じゃないけれど、貴方達の大切な誰かくらいは守ってみせるわ。姿を借り受けた以上は当然だけど」

 

そういい、キュアブライトへ微笑む。智子のその行動はかつて、『扶桑海の巴御前』とも謳われたほどの扶桑軍トップエースの一人としての矜持の他、目の前で泣いている誰かに手を差し伸べることを生涯にわたって貫くのび太への敬意からの行動でもあった。その言葉と共に、小宇宙を極限まで燃やし、キュアエンジェル状態を更にパワーアップさせる。

 

「キュアエンジェルの状態なのに、もっとパワーがあがっていく……!?え……嘘……翼がなんか……どっかの神話の彫刻みたいに変わって…!?」

 

ブライトのその言葉通り、キュアエンジェルの翼が黄金に輝くばかりか、より大きく滑らかな形へと変化を遂げる。それは奇しくも『射手座の神聖衣』と酷似した神々しさを感じさせる翼であった――

 

それと同時に放ったのが、この技である。

 

「せぇぇぇんこぉぉぉざぁ――んっ!!」

 

超弾動閃煌斬。元は輝煌帝の鎧を纏う時に放つ事ができる、サムライトルーパーの『烈火の鎧の戦士』の必殺技である。智子はこの時期、本当に烈火の鎧のサムライトルーパーでもあったため、会得済みであった。

 

「……凄い……。火柱と光が地面から迸って……辺りを焼き払っていく……」

 

キュアブライトはこれだけいうのが精一杯だった。聖闘士としても炎を操るのを得意とし、更に烈火の鎧の継承者でもあった智子が起こす炎はまさに敵を薙ぎ払う烈火であった。これはこの時代(プリキュアオールスターズDX2当時)に唯一の『炎を操れるプリキュア』であったルージュがやれる事を超越した行為であった。

 

「ルージュ顔負けだなぁ……」

 

「あら。私の知ってるほうの、のぞみも出来るわよ?」

 

「えーーーー!?」

 

この場にいない『転生者としての夢原のぞみ』も、ダイ・アナザー・デイ後には特訓の成果で、草薙流古武術と魔力の応用で閃煌斬を放つことが出来る。そのため、のぞみと行動を共にしている方のりんはプリキュアとしてのアイデンティティの危機を大いに感じている。これはココ(小々田コージ)の転生体『野比コージ』が次代のサムライトルーパーとなった影響もあるだろう。こうして、日向咲はのぞみの先代のプリキュアの中では最初に、次元を股にかける『大いなる戦い』と関わりを持つ事になった。戦場は徐々にプリキュアオールスターズの手を離れ、ほとんど、ヒーローユニオンと地球連邦軍の連合軍対百鬼帝国・ミケーネ帝・バダン・デーモン族連合の争いへ変質しつつあったが、キュアブライトはそれを意識していたのかもしれない。

 

 

 

 

――こうして、専用のガンダムF91を以て、自らも奮戦。補給のために帰投するまでの間に、20機の機械獣と百鬼メカ、50機の百鬼戦闘機を撃墜に成功していた――

 

――機体の補給中、『轟天』格納庫内――

 

『綾香、どうする?艦で休む?』

 

『そんな暇あるか!敵は雲霞のように戦闘員と怪人を送り込んで来てるんだ。おりゃ、これから斬り込むぞ!』

 

テレパシーで会話する二人。

 

『待ちなさい。フェリーチェにストナーサンシャインを撃たせて、敵を動揺させるわ。その隙に、戦線の本格的構築をする。あなたもここ数時間は戦いっぱなしだから、仮眠を取りなさいな。子供たちには、私が大まかな事情を話す。それと、『彼女』も連れてきたわ』

 

『何、ヤツを?』

 

黒江がここで驚いた『ヤツ』とは、如月ハニー/キューティーハニーの事である。彼女の前世はキュアミント/秋元こまちの姉『まどか』。プリキュア変身者の関係者が明確に転生し、プリキュアとは別の『スーパーヒロイン』となった初の事例である。

 

『はぁい。ウチの妹が世話になったわね。前世の…というべきでしょうけど』

 

『おいおい、お前の妹の前に姿を見せるのか?その妹がお前の前世の世界での存在とは限らんだろ?』

 

『女のカンって奴よ」

 

『お前。正確には、今は女性型のスーパーアンドロイドだろうに』

 

『そこは気にしない』

 

テレパシーでもぼやく黒江。キューティーハニーは『パンサークロー』という組織を倒すために、如月博士が持てる最高の技術をつぎ込んで生み出した女性型の『スーパーアンドロイド』である。機械の体を持つが、その上を人間と同様の生体細胞の外皮が覆うという超高度な構造である。元々は超高度な人工頭脳を持つだけの『戦闘もこなせるアンドロイドであった』が、偶然にも、秋元まどかの魂を宿すことで『確固たる自我』を持つに至り、『如月ハニー』という名を得た。ただし、如月博士の夭折した実子の肉体の記憶を移植し、ハニーのボディが思春期相当に成長するまで『培養していた』のか、それとも、精神安定のために、博士が作り上げた『偽りの記憶』なのかは、確かめる術はもはやないという

 

「さて、ちょっとご挨拶といきますか」

 

瞬時に、秋元まどかの姿を取ったハニー。こまちを驚かすつもりだ。これがキュアミントとキュアアクアが明確に『戦乱』に関わるきっかけであった。

 

 

 

 

 

――10分後――

 

「やれやれ、こういう事になるとはね」

 

「お!ハニー、来たのか!」

 

駆け寄ってきた黒江(姿はキュアドリーム)にう挨拶代わりのウインクをしてみせ、見せ場と言わんばかりの顔をした。

 

「さて、『妹』の前だし、ちょっとはいいところ見せておくとしますか」

 

こうして、如月ハニーはプリキュアオールスターズの前に『秋元まどか』の姿で現れた。ライダースーツに身を包んで。まどかの生前も容姿は大まかには、妹のこまちを大学生ほどに成長させたと思わせるほどにそっくりな容姿である。生前と違うのは、ハニーの証である空中元素固定装置のスイッチを兼ねるチョーカーがあること。

 

「おい、いいのか、ハニー?お前の前世での妹を含めたガキの前だぞ」

 

「可愛い『妹』の前だからこそ、よ。たまには良い格好したいのよ、姉らしくね」

 

ハニーはまどかの姿で微笑う。ドリーム(黒江)の事はのび太達から予め知らされていたため、ここまでの事情は知っている。

 

 

「え!?お、お姉ちゃん!?ど、どうして、ここに!?」

 

キュアミントがその姿に気づき、地上に降りてきた。プリキュア5も力を取り戻し、現役時代の最終決戦での『飛行可能な状態』になっていた関係で、空中戦をしていたからだ。

 

「や、こまち」

 

普段と変わらぬ様子の挨拶をする姉に、鳩が豆鉄砲を食ったような顔のキュアミント。

 

「どうして、こんなところにいるの!?こんなところにいたら……!!それより、今日は家でお菓子を作ってるって!?」

 

何故、姉が戦場にいるのか。わけが分からず、大混乱のキュアミント。

 

「ま、色々あってね。それと、あたし、あなた達がプリキュアだって事は分かってたわ」

 

「え!?そ、そうなの……?」

 

「干渉するつもりなかったから、あたしもお父さん達に言わなかったのよ、こまち。それと、地球の危機に黙ってちゃ、元祖変身スーパーヒロインの看板がすたるから」

 

「……へ……?」

 

思わず変な声が出るキュアミント。呆気にとられている。 

 

「色々とややこしいけど、あたしも今は変身ヒロインしてるのよ。その証拠を見せてあげる」

 

『ある時は秋元まどか、またある時は如月ハニー、そしてその実体は!!愛のため、乙女は変わる!ハニーフラァァ――ッシュ!!』

 

空中元素固定装置を作動させ、ハニーは自身の戦闘形態を取る。しかも、ただのキューティーハニーではない。最強の『ハイパーハニー』である。

 

『愛の戦士、キューティーハニーさ!!貴方の人生、変わるわよ★』

 

ばっちりとウインクも決めて、決めポーズも決める。普段よりノリが良いため、ドリーム(黒江)も苦笑いである。ただし、通常形態よりコスチュームがかなり際どいので、うるさい方面の目につけば、確実に抗議が来そうとぼやいているのも有名だ

 

 

「嘘ぉ!?……ど、どうしてお姉ちゃんが変身できるの!?しかも、キューティーハニーって!?なに、なんなの!?」

 

大パニックのキュアミント。あまりの出来事に、こまちとしての素が出ているので、共闘が少ない世代の後輩からは意外そうに見られる。

 

「ま、その辺はおいおい、ね」

 

「おいおいじゃなくてぇ~!!」

 

コミカルなやり取りを交わす二人。ハイパーハニーの白を基調にしたコスチュームは、通常のキューティーハニーとは異彩を放っている。胸元の隙間も大きくなり、胸元の谷間を強調しているため、2020年代に入る頃なら、確実にある方面からは文句が入りそうなデザインである。

 

「一言でいうと、加勢するわ。そのために来たのよ、私は。それと、あなたの後輩の子らを引き連れてきたわ。」

 

「それじゃ、あの子達は…本当に?」

 

「他にもいるわよ?」

 

 

「いるの!?」

 

『ここにいますわ!!愛の切り札、キュアエース!!』

 

『英知の光!キュアダイヤモンド!!』

 

『爪弾くは魂の調べ!キュアビート!!』

 

『爪弾くは女神のしらべ!キュアミューズ!』

 

『銀河に光る虹色のスペクトル!キュアコスモ!』

 

この時代においては『まだ見ぬ新世代』に分類される、新たなプリキュアが更に戦線に参加してきた。(たまたま、その日に乗艦しての勤務中だったために、参加した者でもある)

 

「お前ら、のび太の差し金か?」

 

「そうだよ。ちょうど、仕事も早く終わって、休暇を艦内で取ったし、それでね。ずいぶんと面白いことしてるね、アヤカ?」

 

「ま、旅館で息抜きしたら、こうなっちまったのさ。見ろ、お前らが名乗り付きで、颯爽と来たから、ブラックが完全にフリーズしたぞ!」

 

「なぎささんには気の毒な事になったけど、仕方ないわ。ブロッサムとマリンがやられたら、その後の後輩の私たちの存在が危うくなるもの」

 

次々と起こる事柄についていけず、キュアブラックは頭がショートしてしまい、フリーズしてしまったらしく、ホワイトが首根っこ掴んで揺さぶっているが、完全にオーバーヒートしてしまったようだ。頭から煙が出る始末で、完全にオーバーフロー状態に陥っていた。口から魂が出かけるほどのショックだったのが分かる。

 

「ダイヤモンド、お前なぁ。気持ちはわかるが…ぶっちゃけすぎだろ」

 

ツッコむ黒江。それをよそに、またも、頭脳がオーバーフローしてしまった、キュアブラックは固まったままだ。

 

 

「かーっ、それでも元祖プリキュアかよ」

 

「いや、普通は驚くって」

 

ミューズが一応のフォローを入れる。アストルフォの状態から変身したので、背丈は普通に背の高めな中高生ほどの大きさだ。

 

「本隊の援軍は轟天とお前らか?」

 

「いや、まだいるよ、彼が」

 

「何?」

 

『デェービィーィィル!』

 

空から雄叫びが聞こえ、デビルウイングを展開し、颯爽と飛翔するデビルマン/不動明の姿が見えた。デビルマンも共闘のために、艦に乗っていたのだ。

 

「デビルマンか!……こうなってくると、完全にスーパーヒーロー大戦の様相を呈してるじゃねぇか、この戦い」

 

 

先立って放った、アークインパルスなどの必殺技で、その正体を悟られているため、黒江は地を出し始めた。声や姿はドリームのそれだが、態度は完全にいつもの黒江に戻っていた。

 

「さて、そろそろ、俺も本気出すかな……っと」

 

ここで、キュアドリームの姿を借りている黒江は、自分本来の得物の一つ『エクスカリバー』を構える。基本機能はアルトリアの持つ宝具と同様のものだが、それとは別に、女神『アテナ』が代々の山羊座の黄金聖闘士に与えし剣の霊格を実体化させたものである。ただし、アルトリアが風属性を持つのに対し、黒江はより攻撃的な属性である雷である。風王結界を解いた刀身は紫電の光を纏っている。それが黒江固有の特徴である。(ちなみに、弟子の調は炎を纏う)

 

「お、黄金の剣……!?あなた、それをいったいどこで…!……え?……そ、その剣はまさか、伝説の…!」

 

「説明は後だ、ミント。全ては事が終わった後だ」

 

キュアミントはドリーム(黒江)の持つ剣の姿にそれが何であるか気づいた。そして、エクスカリバーを持った立ち姿が『のぞみがキュアフルーレを持った際の姿』と違い、『訓練を受けた剣士の構え』であることから、それまで半信半疑であったことが確信に変わったらしく、軽くため息をついた。

 

「さぁて、いっちょやりますか」

 

それを見たキュアピーチ(智子)も、既に自分自身の得物である備前長船兼光を構えている。刀身に蒼い炎を纏わせ、自身も蒼いオーラを発している。

 

 

「あなた方、説明がややこしくなる事をおやりなられて……。仕方ありません、付き合いますわ」

 

キュアエースも、どこからか太刀を取り出す。本当はどこぞの炎髪灼眼の討ち手よろしく、大太刀を使うつもりだったのだが、大太刀は大きすぎて取り回しが難しいという指摘を受け、通常の太刀で我慢した。こちらはイメージカラー同様に赤い炎を纏わせている。(青の色の炎のほうが実は温度が高いが…。)

 

「援護しますわ、あなた方は遠慮なく突っ込んでくださいな!」

 

「スカーレット、エース。お前ら、キャラかぶりすぎだぞ」

 

「それ、今……いいますの?」

 

あっけにとられる二人。

 

「事実だろー」

 

「それはそうですが…」

 

苦笑いのスカーレットとエース。いずれもルージュの属性である『赤のプリキュア』の継承者の一人であるが、言葉づかいなどがスカーレットとエースはかぶっており、黒江たちからは大いに愚痴られていた。令和の時代になる頃になれば、プリキュアオールスターズは60人以上もいるので、誰かどうかはキャラかぶりが発生するのだ。

 

「何がどうなってるの……?」

 

キュアブラックはあまりの衝撃に固まる。突撃したドリームの表情が見たことがないほど『戦闘に愉悦を感じ、高揚していた』からだ。しかも薄ら笑いさえ浮かべている。キュアブラックは怯えてしまう。

 

「あの子のいつものクセが出たな。まぁ、緊急時だ。止める必要はないか」

 

これには、血気盛んな若手の仮面ライダーであるBLACKRXとZOも若干引く。完全にオーバーキルだからだ。

 

「あなたたちは知ってるんですか、今、ドリームに『なってる』子の事を」

 

キュアウィンディが疑問を口にする。

 

「それが…」

 

「俺たちもどこから説明すればいいのかわからん。だが、あの子は強い。それだけは言える」

 

RX/光太郎をして、この一言である。キュアブライトとキュアウィンディはこの時にRXから話を聞いた事で、黒江の話が本当であると確信に至った。そして、救援にやってきた次世代のプリキュアの一人であるキュアエースも動く。

 

「この戦いはもはや、あなた方の手を離れています。ここでブロッサムとマリンがやられれば、プリキュアの未来と因果に悪影響が生ずるは必定。二人を下がらせてくださいな、ブライト、ウィンディ」

 

キュアエースは現役時代初期は五分間の変身時間制限があったが、パワーアップを重ね、転生もした後であるので、現在は変身時間に制限はない。転生先はなのはの親友『アリサ・バニングス』であった。もちろん、なのはと同年齢なので成人済みだが、子供に若返っての変身でキュアエースとなるなど、こだわりを持つ。また、彼女の魂魄にある『別個体の記憶』の中に『どこぞの炎髪灼眼の討ち手』の記憶があったためか、この時点ではその記憶を生かした戦闘に切り替えている。現役時代と違い、備前長船と思われる刀をメインウェポンにしていたり、炎の翼を展開可能だったり、転生の影響か、現役時代より炎髪灼眼の色合いが濃くなっていたりする。

 

「彼らはこの世に存在してはならない存在ですわ。彼らを討滅するために、私達はこの戦いに介入したのです」

 

エースは精神面が成人になっていたり、別個体の記憶を見た影響か、現役時代より苛烈な物言いをしている。また、刀に炎を纏わせているなど、『赤のプリキュア』の正統な後継者である事も示している。

 

「その通りよ。悪いけど、手加減はしていられないのよね」

 

キュアビートもここで思いっきり物騒な代物を構えていた。人間が扱えるサイズにまでダウンサイジングした、フルアーマードサンダーボルト専用の大型ガンポッドである。元が対艦用の代物であるため、通常の人間には扱えないが、転生先がメルトランディであり、更にプリキュア化のブーストがかかっている状態ならば扱えると、黒川エレンは持ち出したのだ。

 

「ち、ちょ、ビート!お前、なんつーあぶねー代物持ち出しやがった!?そのガンポッド、ダウンサイジング試作したはいいけど、普通の人間には…」

 

狼狽えるキュアメロディ。彼女をして狼狽えるほどに危ない代物なのがよく分かる。ややあって、そのガンポッドが甲高い作動音と発砲音を響かせながら、百鬼帝国の兵士たちへ放たれた。人に撃つにはオーバーな代物である。

 

「わひゃあ!?何あれ!?」

 

「はーい。子供には刺激が強いから、見ないようにねー」

 

ハニーが主に黄のプリキュアなどに発砲の様子を見ないように促しつつ、刺激に特に弱いと思われるシャイニールミナスに見せないよう目隠しをしてやった。子供には見せられないスプラッタな光景だからだ。

 

「こりゃ、ガキ共は肉が当分は食えねーだろうなぁ…」

 

メロディも絶句するスプラッタな光景だった。人体を軽く粉砕可能な重火器、それもギガストリーマーやパイルトルネードも凌ぐ威力の『対艦用ガンポッド』を撃ったのだから、結果は推して知るべしである。

 

「すごいですね、あのガンポッド…」

 

「試作はされたが、パワードスーツ着ても扱い切れないってんで、お蔵入りしてた代物だ。ビートのヤツ、今はメルトランディだからって、アレを持ち出す事ねーだろ…」

 

思い切り引いているキュアメロディ。フェリーチェも冷や汗をかいている。それほどに物騒な代物を持ち出したかがよく分かるというものだ。

 

「どうします?」

 

「あいつがアレなら、あたしもアレを使う。…隊長、あたしだけど、紅蓮をエンジンかけた状態で打ち出してくれ。空中で飛び乗る!」

 

と、通信をかける。ややあって、ラ級戦艦『轟天』からダイ・アナザー・デイで使った『紅蓮聖天八極式改』(仮称)が打ち出され、メロディは空中で飛び乗る。可翔式以前の型でなく、紅蓮系最終型の特式でもなく、聖天八極式を改良したのは性能と燃費の両立の観点からだ。MSやモビルアーマーに対抗できるだけの輻射波動の出力があり、なおかつスピードもあるからで、そこも熱核反応炉搭載の機動兵器が普遍的な世界においての紅蓮シリーズの運用上の理由であった。

 

「さあて、今までのお返しと行こうじゃないか」

 

コクピットで微笑い、紅蓮系特有の操縦系(バイク型のインターフェースを持つ)で本領発揮と言わんばかりのキュアメロディ。キュアブラック達の目の前でエナジーウイングを展開し、その勇姿を誇示する。これにキュアブラック達はというと……

 

「へ……ぇ…!?そんなのありぃ!?」

 

この戦いでは驚き役なブラック。この戦いにおいてはまともなコメントを出せていない。

 

「あ、あの……どうなってるんですか、これ……」

 

「あとで教えるわ、レモネード。色々ややこしい話だから」

 

「それで済ましていいんですか…、えーと…」

 

「キュアマーメイドよ。説明が長くなりそうなのよ、この事は」

 

キュアレモネードが辛うじて、キュアマーメイドに質問を投げかけるが、マーメイドもそうとしか答えられない。

 

 

(どうするんです?あなた方の正体、みんななんとなく悟りましたよ?)

 

(竹井。こうなったら、仕方ないだろ?のぞみとラブのポジションを空白にするわけにはいかんだろうが。ブラックやブロッサムにはわりぃが、こうなっちまった以上、俺たちで始末つけんぞ)

 

 

 

テレパシーでマーメイドとやり取りを交わすと、ドリーム(黒江)はエクスカリバーを撃つ前に、ピーチ(智子)と示し合わせ、ある攻撃を行う。それは。

 

『原子一つ残さず燃え尽きろぉ!!』

 

『光子力を炎と変える!!』

 

智子は両腕を使って光子力の火球を作り、黒江(キュアドリームの姿)はプリキュア5のコスチューム(第二期時点)の胸の蝶形リボンを放熱板代わりにする形で光子力エネルギーを集束、制御し、二つの『魔神皇帝』の炎をその場で放った。

 

『ファイヤーブラスターッ!!』

 

『グレェェェト!!ブラスタァァアッ!!』

 

『二人共、私もやります!!インフェルノギガブラスタァァアッ!』

 

フェリーチェも加わり、ブレストファイヤー系の最高峰と言える『ブラスター』の名を持つ技の三つを一つに束ねた。黒江、智子、ことはの三人の鍛え上げた力もあり、その威力は本家大本の魔神皇帝に何ら劣らず、敵連合軍の隊列に大穴を穿つ。

 

『嘘ぉ!?』

 

他のプリキュア達の多くはこの攻撃に度肝を抜かれた。三人は雲霞のように押し寄せてきた敵の軍団の隊列に大穴を穿つほどの『炎』を放った。射線軸上の地面があまりの高熱でガラス化を引き起こしているほどのパワーで。今の自分達には逆立ちしてもできない超絶的な光景である。

 

「ね、ねぇ……な、何あれ!?何なの!?ドリームとピーチに何があったのぉ!?ありえなーーーい!!」

 

「あ、ブラックが元に戻った」

 

後輩らにこの反応をされるのが、キュアブラック。シリアスな場でも、コミカルな雰囲気を出せるので、さすがと言えば、さすがだ。

 

「嘘でしょ、あの力……完全に私達の全力を超えている…!?」

 

上空でそれを目撃したキュアアクアは、この三人のパワーが完全に自分達の最大ポテンシャルを超えている事を理解し、息を呑む。それにキュアベリー(ダージリンへ転生した彼女ではない)、キュアパッションが続く。

 

「ええ……。ブラック達の手前、言えないけれど……あれが『あの人』達の力だというの……超絶チートじゃない!?」

 

「安心して、ベリー。たぶん……この場にいる殆どはブラック達に配慮して言わないだけで、おそらく気づいてると思うわ」

 

パッションが言う。だいたいのことに気がついたからで、アクアとベリーも頷く。

 

『こいつもおまけよ!ターボスマッシャーパーンチ!!』

 

『グレートスマッシャーパァンチ!!』

 

『スクリュークラッシャーパーンチ!!』

 

三人は新生トリプルマジンガーのロケットパンチと同じ効果を持つ籠手を形成、同時に撃ち出す。いずれも回転と何らかの突起や刃を加えて通常のロケットパンチより威力を強化されたものであるため、ほぼ無防備に喰らえば、抉り取られるか、体に大穴が開けられる。しかも撃ち出す速度は大気圏での限界速度であるマッハ5.5。たとえ、デーモン族であろうと、無事では済まない。やっている事は完全にプリキュアでなく、人間マジンガーである。それらを戻した後は援軍組を率い、三人は吶喊していった。プリキュアオールスターズは通常はブラックとホワイトが先頭に立つものだが、キューティーハニーなどの援軍もあり、黒江達がリーダーシップを取るに至った。そして、本来の供給源を断たれ、パワーダウンした状態をミラクルライトで補っているため、パワーの長時間の維持は未知数であるプリキュアオールスターズ(ミラクルライトはあくまで『体力回復とパワー回復の呼び水を想いの力で起こす』アイテムである。なお、本来は『まだ、プリキュアとして生まれていない』はずの後代のプリキュア達については、そもそもがこの時のパワーダウンの対象外なので、万全の状態で戦えている)。

 

「ブラックはみんなを守っててください!ここは私達でなんとかします!」

 

フェリーチェが咄嗟に指示を飛ばす。

 

「お前ら、今のを聞いたな!お前らは今は休んで、機会を待て!」

 

「つーか……。あんたらがなんで、場を仕切ってんのよ!?ここは、現役のあたした……」

 

「……うるせぇ!!!マリン、戦場でギャーギャー喚く暇があったら、自分の身を心配しろ!!」

 

デーモン族が敵にいることもあり、殺気立っていた黒江はつい、キュアマリンに怒鳴ってしまう。らしくなかったが、状況的には仕方のないことであった。

 

「そ、そんなー!あの人、なんか怖いー!殺気立ってるしー!!」

 

うるうる目になり、今にも泣きそうになるキュアマリン。

 

「気持ちはわかりますけど、もう少し手心と言おうか、なんというか。マリンが怯えちゃいましたよ」

 

マリンを宥めつつ、思わず怒鳴ってしまったキュアドリーム(黒江)を諌める。彼女の優しさが為せる技であった。

 

「…すまん、悪気はないんだが……」

 

流石にバツの悪そうなキュアドリーム(黒江)。

 

「この状況ですからね。お気持ちはわかります。ですが、マリンも悪気はないんです。そこはわかってあげてください」

 

ドリームの顔を立てつつ、マリンの気持ちをわかってやれと諭し、その場をとりなすキュアブロッサム。彼女はその後、この時の記憶を持った状態で『アリシア・テスタロッサ』へ転生することになる。その彼女は、この時は『ミッドチルダで学会の発表がある』とのことで、64Fには同行していなかった。もちろん。この時の言葉が原因で、のぞみは完璧に、来海えりかから怖がられたのは言うまでもなかった。

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