ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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続・総集編~大決戦の経緯第二弾です。

※ただし、前半部は前投稿分の続きです。


第三百十五話「続・総集編~大決戦の経緯~その二」

――日本人からの誹謗中傷で精神を病んだ軍人は多い。これは国籍は問わなかった。ジョージ・パットン将軍も中傷に晒された。特にM26の配備を遅らせたという、史実での戦車に関する無知を叩かれた。パットンは『俺は騎兵だったのだぞ。運動戦の要領くらいは理解している!!』と憤慨している。パットンは元々、若き日は騎兵科に属していたため、機動戦そのものは理解していた。怪異相手では発揮する機会がなかっただけだ。21世紀の基準では、発言がいちいち炎上する事から、日本では『炎上将軍』の渾名でネタ要員扱いされていた。とはいえ、自由リベリオンの高官であり、何かと融通が効く立場になったため、M60戦車の早期配備に尽力するなど、勉強の甲斐がある成果を収めた。これはロンメルが『ヒトラーのお気に入りだった』ということで、ドイツ連邦から『厄介者』扱いされているのとは対照的であった。また、日本でも、文科省の失態への抗議に山下奉文大将が出張ったため、文科省が顔面蒼白に陥るなどのパニックが起こった。のぞみはダイ・アナザー・デイの英雄であるため、陸軍航空戦隊時代の所属部隊の最上位編成の最高責任者がやってくるのは当然なのだが、山下奉文は史実で『マレーの虎』という異名を持つ名将である。そのインパクトが大きすぎ、文科省は怯えた。(自業自得だが)『イエスかノーか』。このイメージがあるため、文科省の態度は一気に軟化した。のぞみは『プリキュア』である事もあり、軍からの転職は成らなかったが、日本側が『補償の高額化』を避けるためか、早期に佐官への昇進がなされた。これは文科省のスキャンダルの世間への露呈を防ぐための口止め料を兼ねてのものだったが、圭子が報復として、野比財団を介する形で、ゴシップ系の週刊誌にネタを流したため、文科省は大パニックに陥った。予備士官制度が形骸化したことの報復を統合参謀本部が求めたためだ――

 

 

 

 

 

 

――扶桑の予備役制度は1950年代に再構築される事になった。のぞみの一件で、旧来の制度が機能しなくなってしまったからだ。『軍学校卒は教壇に立つな』という追放令が日本の文科省の急進派の主導で出ていたからだ。山下奉文大将の猛抗議でそれは撤回されたが、多くの予備士官の再就職先が無くなり、路頭に迷う事態も頻発。のぞみの処遇を良くするだけでは、事態の解決には繋がらなかったのである。そのため、予備自衛官制度を扶桑に当てはめて運用する『妥協策』が取られ、不利益を被った現状の予備士官たちは一階級昇進の上で、軍に再召集するということになった。軍部はこのゴタゴタもあり、正規空母の新造の費用をなかなか捻出できず、やっとひねり出した頃には、1949年になっていた。中央がこうしたトラブルで部隊への統制を失い、組織だっての装備調達に支障を来していたのを見かねた現地部隊は、次々と独自に装備を購入していった。『お伺い』を一応は立てる64Fはまだマシな部類である。現地部隊としては死活問題であるからで、センチュリオンやコンカラーが機甲部隊で普及した背景には、そうした問題があったのだ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――日本政府も、官僚の縄張り意識のおかげで、扶桑に借りを作る形になったことは失態とした。しかし、殆どは現地社会に混乱をもたらすのみであった事は認めている。扶桑は似て非なる歴史を辿った国なのだから。その一方で、軍から『旧日本陸軍の色』を抜きたがったのは、戦後日本人の多数派の願いである。陸軍を陸自に近い体制に無理矢理にでも変革させ、制服も陸自式に変えるように『強要』させた。海軍には殆ど手をつけなかったが、陸上航空隊を強制的に空軍に移管させたが、訓練中の空母航空団までも移管させてしまうという凡ミスをやらかした。そのため、太平洋戦争の航空戦は空軍の仕事になっていた。空母航空団の再建は『艦上機のジェット化』が挟まった事、いきなり英語が必修になった事もあり、想定外に長期化。1949年の春の段階でも『実働は不可能』な段階でしかなかった。その穴を埋めるため、64Fは留守番部隊であっても、前線で酷使されていた。全軍を通しても『近代的な空中戦を、航空自衛隊や米空海軍と同等以上の水準でこなせる』部隊は、64Fをおいて他にないのだ。ましてや、レシプロとジェットが、航空機の花形として入れ替わる過渡期の時代。どちらにも精通した搭乗員など、この時期のウィッチ世界にはあまりいないのだ。ましてや、世代を経た先進的なジェット機を手足のように動かせる人間など、扶桑皇国には、64F以外にはごく少数しかいないのだから――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――特に、急激に空母機動部隊の近代化が図られたが、ベテランパイロットであっても、戦後型ジェット機は『橘花』や『火龍』などとは比較にもならない高性能を誇る上、普通にドッグファイトができる特徴があるために、それらでの戦術は通じない点は難儀しており、64Fの『どんな機種であろうと、華麗に乗りこなす』有り様は『奇跡』という事が扶桑軍上層部へ広く認識されたのは、1947年。64Fの面々のみが『本来は門外漢なはずの』通常兵器を、分野を問わずに乗りこなしているからだった。人型機動兵器すらも例外ではない――

 

 

 

 

 

 

――統合参謀本部では、二度の『人事異動』後も中央に残れた『扶桑生え抜き』の参謀たちが『より顕著になった』64Fの突出した練度に頭を悩ましていた。64Fはこの世界最強の戦力だが、あまりに他部隊の多くとの錬度差が開いている故に、かつての統合戦闘航空団よりも過酷な戦場に投入され続ける現状を憂いる者は多いからだ。だが、それを強引な方法で解決しようとした者達は根こそぎ、人事異動名目で『最前線送り』にされている。気鋭のウィッチ出身の参謀たちは『64Fの持つ戦技や操縦技能を全軍に広めるべきである』とする具申を山本五十六に提出。山本五十六もこれを承認。1947年度の末頃から、手空きの人員が講師を務める形で、講義が(オンラインも含めて)開かれている。坂本は講師向きの気質ではないとし、非常勤講師の扱いとなり、前線で戦うのぞみも、遠征前に(若松に首根っこ掴まれる形で、だが)同様の扱いで、何度か戦技の講義を主催している。教諭の経験が前世であるからだった。変則的な形でだが、とりあえずは夢が叶った形である。64Fの戦技には『転生を挟んでまで、個人の手で練られてきたもの』も多く含むので、マニュアル化するのは困難を極めた。とはいえ、ジェット時代の戦術を、部隊指揮官や幹部級の人員に教授する絶好の場であり、教えは徐々にマニュアル化され、全軍に伝わるに従い、第二世代宮藤理論式ストライカーも普及率が上がっていった。二年後の1949年の時点では、30%ほど。最前線で超音速機と対峙する部隊が順番に配備を望んだからである――

 

 

 

 

 

 

 

 

――64Fの留守番部隊も相当に贅沢な装備を用いていた。F-14、F-15の両機種を惜しげなく、『実戦試験』の名目で投入していたからで、戦後第二世代機がチラホラ出始めた当時のウィッチ世界の情勢では『無敗』であった。ウィッチ世界のジェット機は多数派が戦後第一世代機に到達していない水準であり、リベリオンと扶桑のみが超音速機を第一線機として用い始めている。これに強く危機感を持ったガリア共和国。この頃より、軍備復興派が力をつけ始め、敵であるはずのティターンズとの取引で、自分達が造るはずであった新鋭機『ミラージュⅢ』の製造に必要な工業技術を手に入れる。鉱物資源枯渇への強い恐怖が過ちを冒させたのだ。このガリアの背信行為が、結果的にウィッチ世界に『冷戦』の時代をもたらすきっかけの一つとなる。また、鉱物資源の提供を理由に、戦後にティターンズ寄りの政権になる中小国も少なくなく、日本連邦陣営は否応なしに『東西冷戦時代の当事者』にならざるを得なくなる。怪異の特性の判明と、怪異に奪われた鉱物資源の量が『世界を史実同様に分断する』きっかけになるのだ――

 

 

 

 

 

 

――日本連邦の高官たちの多くは『東西冷戦時代の到来』を当然の事と受け止めていた。21世紀世界の介入が、結果的にそれを引き起こすであろう事へ罪の意識がある者も多く、それ故に、『扶桑をウィッチ世界の覇者にする』事を容認していった。また、中国本土がとうに滅亡している世界であるため、現地の台湾の扶桑による統治も『現地の安全保障の観点を鑑み……』ということで継続が決まった。(ただし、一定数の台湾軍が『交流』名目で駐留することになった)この過程で、台湾経由で史実の中華文化が扶桑に新たに流入する事になり、扶桑の多民族国家(中国が滅亡している都合上)ぶりがクローズアップされていく。また、64Fが超兵器を有することを21世紀世界で野心を見せ始めた中華人民共和国への抑止力としたい防衛省の思惑もあり、強く宣伝されることになる。皮肉なことに、その事が64Fの特異性を際立たせていく――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――現在の64Fは、各国に政治利用されていた『統合戦闘航空団』という枠組を凍結してまで生み出された。扶桑海事変当時の同部隊とは根本的な扱いが異なるのである。その分、人材の融通は認められており、各国の最高の逸材を集めても良いのである。とはいえ、各国には断る権利はあるが、カールスラントのエースパイロットらは本国での冷遇の見込みが理由で、自分から『部隊ごと』加わっている。これはカールスラントでは『コンドル軍団』は尊敬の的だったからで、史実とは似て非なるものである証であった。ドイツはカールスラントの抗議を受けて、『全ては当方の誤解であった。我が国は関係者の名誉回復をしていく所存であり……』と場当たり的な声明を出したものの、カールスラントの主だったエースパイロットの全員が既に日本連邦の義勇兵となっており、時既に遅しであった。しかも、部隊運営に必要な人員ごとであるため、日本連邦に抗議をしたが、カールスラントの『ライセンスのボッタクリ』を国際司法裁判所で争うと恫喝され、泣き寝入りであった。内戦で、ノイエ・カールスラントの経済は死に体であったからだ。ただし、カールスラント出身の義勇兵には『カールスラントの軍服の着用を義務づける』という規則を守らせる事を呑ませることには成功している。『人員の参加を認める代わりに、我が国の軍隊の所属であることは示させろ』というのが、カールスラント空軍の日本連邦への要求だった。ライセンス料の負い目があるが、貴重なエースパイロットの供出には反対であったからだ。ただし、これが守られたのはごく初期のみで、日本連邦へ本当に移住する者が続出し、カールスラントは泣き寝入りする羽目に陥った。移住と永住権を取られては、手も足も出ないからだ――

 

 

 

 

 

 

――未来世界では、サナリィが『トリスタン』と『ザンスカール戦争』の件への懲罰で予算を削られ、彼らの先進技術は無償でアナハイム・エレクトロニクスに渡ることになった。これはサナリィの一部支部がザンスカール帝国に味方した事への懲罰であり、それを容認した幹部は懲戒免職処分にあった。センチュリーガンダムはこの懲罰の一環で開示されたF91の設計図をもとに、アナハイム・エレクトロニクスが設計したものである。結果的に、ザンスカール帝国の存在が、連邦政府の公的期間であるサナリィの首を絞める結果となったわけだ。また、サナリィにはない『サイコミュシステム』の全ノウハウがある事が、サナリィの立場の後退とアナハイム・エレクトロニクスの中興に繋がったのも皮肉な話である。また、25世紀以降に現れるはずの『マン・マシーン』(MSの後身的な機動兵器)の技術情報を得た事も大きいだろう。Z、ZZ、ν系などの有名なガンダムの開発元はアナハイム・エレクトロニクスなのだ。それ故の得意分野を伸ばした結果、サナリィを抜き返すだけの力は残っているのだ――

 

 

 

 

 

 

――外宇宙時代、小型機は『物理的耐久性が低い』ということ、売りであった『改良型ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉』の技術的欠陥が逆に問題となり、衰退を始めていく。高性能化の進展で『大型機と同様の維持費』に膨れ上がったためである。そのため、機体装甲を小型機よりは厚くできる『中型機』に注目が集まった。装甲技術の世代交代も重なったため、MSは一気に進歩の時代を迎える。新たな方向性は『量産機に至るまでの長距離飛行能力の獲得』、『マルチロール化』であった――

 

 

 

 

――地球連邦はガイアとの政治的兼ね合いで『アンドロメダ級』を総旗艦の座から外すしかなかったが、その代わりに『ブルーノア級戦闘空母』の新造を決議。急ピッチで建造を始めた。そして、艦隊編成から外されたアンドロメダ級は64Fに相次いで供与された。その内の「しゅんらん」については、艦長であった『山南修』提督の手で、プリキュアオールスターズDX2の戦いに馳せ参じ、引き渡し前に『地球連邦軍艦艇』としての最後の戦果を挙げている――

 

 

 

 

――プリキュアオールスターズ戦にて――

 

「クソ、奴ら、雲霞のように戦闘機を出して来やがる!轟天、機動兵器の調整はまだ終わらんのか!!」

 

テレパシーで轟天のクルーに催促をする黒江(外見はキュアドリーム)だが、黒田が返事を返す。

 

「隊長のF91が終わったばっかで、とても他のは……急がせてますけど、整備班は五時間は欲しいと」

 

「そんなに味方の戦線が持つか!急がせろ!」

 

如何にスーパーロボットがいようと、相手が雲霞の如くいるのでは、機体はともかく、パイロットが持たない。黒江はテレパシーで黒田に怒鳴ると、自身も闘技でデーモン族の首を跳ね飛ばす。

 

『超電子!!ドリルキィィィクッ!!』

 

キュアドリームの姿になっていようと、戦闘になれば、アクセル全開である黒江は『超電子ドリルキック』を行い、デーモン族の集団の首を跳ね飛ばす。ドリルの如き高速回転で相手を穿ち、首が当たりどころならば、容易に跳ね飛ばす。元々は仮面ライダーストロンガーの技だが、黒江はその会得に成功していた。

 

「すごい…。口は悪いのに、あんなバケモノ集団にびびらないなんて」

 

キュアマリンはドリームの戦法に呆然とさせられる。(中身は別人だが)要は飛び蹴りだが、ドリルのような高速回転をしつつ、足に電気エネルギーを纏わせて『穿つ』。浄化が主な仕事であるプリキュアのやることとは思えない。更に、手持ち武器が明らかに『プリキュアが持つべきもの』ではない。

 

「フェリーチェ、あれのチャージを始めろ!露払いは俺たちでやる!!」

 

「頼みます!!」

 

『行け、風王結界!!』

 

黒江は山羊座の聖闘士であるため、れっきとした聖剣持ちである。そのため、アルトリア・ペンドラゴンが使った攻撃を当然ながら『使える』のだ。風王結界を開放し、デーモン族を暴風でもみくちゃにして、遠心力で千切り倒す。聖剣を再構築し、風を纏わせている時の一度きりだが、それなりの威力にはなる。黒江は風属性ではないので、アルトリア・ペンドラゴンのそれよりは劣るが、デーモン族を倒すだけの威力は出せている。

 

『あたしも!!そぉぉえぇーんざぁーーんっ!!』

 

キュアピーチになっている智子も『双炎斬』を放つが、その矢先に、百鬼帝国の『メカ要塞鬼』の一機が上空から垂直降下をしてくる。

 

「まずい!!あいつ、突っ込むつもりだ!!」

 

「こっちは技のインターバル中よ!?」

 

二人が技を撃てないインターバルタイムにある事を知ったブロッサムとマリンが咄嗟に技を撃とうとするが、力の根源を奪われた状態では、技のチャージすら出来なかった。これは他の多くのプリキュアも同じ。その対象外であるビートが『ハートフル・ビートロック』、スカーレットが『スカーレットフレイム』を放つが、メカ要塞鬼は止められない。

 

「クソ、止められない!!」

 

「ラブリー、ラブリービームを!」

 

「駄目、その隙が…!」

 

「こっちも!」

 

ラブリーとハートも敵との交戦で手一杯であり、技を撃つ余裕がない。この間、僅かに数秒。ヒーロー達も敵との交戦で手一杯であり、万事休すかと思われたが。要塞鬼を一筋の『青い螺旋状の閃光』が貫き、爆散させる。

 

「今の閃光は……」

 

「ショックカノンですわよ!?」

 

「援軍か!?」

 

黒江達も予想外の援軍がワープで上空に現れる。その援軍とは。

 

「だ、第七艦隊!?」

 

上空に現れたのは、地球連邦軍の太陽系連合艦隊。それも、艦隊の編成替えで解散予定の『第七艦隊』であった。構成艦はすべてがタキオン波動エンジン搭載の恒星間航行艦。政治的問題がガイア(反地球)との間に起きなければ、デザリアム戦役後も太陽系連合艦隊の旗艦を務めていたであろう超弩級戦艦にして、悲運の新鋭艦と渾名される『アンドロメダ』の正統な後継『しゅんらん』。64Fへの引き渡し予定(当時)であったが、ドラえもんとのび太の地球連邦軍への通報により、配下の艦隊を率いて。颯爽と飛来したのだ。

 

 

 

 

 

――正確にいえば、地球連邦軍の波動エンジン艦で構成される『太陽系連合艦隊』、俗称:アースフリートの編成は太陽系外周艦隊、一年戦争中の連邦軍の編成にあった『衛星軌道艦隊』を改編した『地球本星防衛艦隊』の他に、『内惑星防衛艦隊』、『外惑星防衛艦隊』、『太陽系外周艦隊』が存在する。そのうちの遠征などでの主力であるのが『太陽系外周艦隊』である。そのうちの第七艦隊が『しゅんらん』率いる艦隊で、政治的問題が起きなければ、しゅんらんは連合艦隊の総旗艦へ繰り上がる予定であった。アンドロメダの後継ぎであるための措置でもあった――

 

 

『轟天へ。我が第七艦隊は、これより君等に加勢する』

 

山南修提督は、64Fの母艦『轟天』へ短い通信を送ると、全艦に戦闘態勢を下令。空母からは、VF-19FやS型、コスモタイガー、ブラックタイガーなどの戦闘機隊、ジェガン、ジャベリン、フリーダム、ジェイブス、リゼルC型、Zプラス各型などの人型機動兵器が一斉に発進し、戦闘艦の砲塔が稼働し、仰角を整える。

 

『各艦、斉射三秒!その後に戦闘機隊は突撃!!プリキュア達の頭上を守ってやれ!』

 

第七艦隊が前進しながら、全艦が左右に砲塔を振りかざし、各個に射撃を敢行する。ガトランティス戦役で土方竜が行った『突撃戦法』である。波動エンジン艦の登場以後の地球連邦軍の特に強力な艦隊、それを率いる日本人や英国系の提督の間で遂行される『おなじみ』の戦法だが、日本人の提督が行うケースのほうが戦史に残る大海戦の場合が多いため、デザリアム戦役前後の時間軸の世界では『ヒジカタターン』と呼ばれており、土方竜は『取った戦法が戦史の一ページを飾る』という『提督としての最高の名誉』を飾るという、大日本帝国海軍の『東郷平八郎司令長官』以来の名誉に預かった。土方は戦死したが、彼の遺産は後輩の『山南修』へ継承されているのである。そして、敵戦闘機を落とすため、地球連邦軍の戦闘機隊が迎え撃つ。

 

「おのれ、山南め!!アンドロメダの改良型を引っ張り出してくるとは!!」

 

威風堂々と飛行するしゅんらんを睨みつつ、悔しさ爆発の表情のあしゅら男爵。ワナワナと震え、震え声のみっともなさをさらけ出している。それに対し、ブライ大帝は。

 

「フハハ。これも一興というものよ、あしゅら男爵。……山南よ、見せてもらおうではないか、今は亡きアンドロメダの忘れ形見の力を…」

 

地球連邦軍の将兵の名をばっちり記憶しているブライ大帝。恐竜帝国の帝王ゴールがいささかの小物感漂う、粗暴な言動(しかも、世界線によっては、恐竜帝国には彼の上位者が君臨する)であったのに対し、鬼を束ねてきた故の風格が備わっている。元が『うだつの上がらない、ガタイがいいだけの若い学者』とは思えないほどに大物的な余裕を見せていた。

 

「大帝はアンドロメダをご存知で?」

 

「うむ…」

 

地球連邦軍きっての『悲劇の新鋭戦艦』という渾名がつけられた『アンドロメダ』。超ヤマト型宇宙戦艦として、華々しくデビューするも、ガトランティス戦役で無念の戦没を遂げた。ヤマトもその最期を目の当たりにしたことで『特攻』を一度は決意するほどの悲劇。ブライ大帝も元は日本人であったためか、その最期には同情しているようであった。『期待を一心に背負いつつも、母国を救えずに散った』という点では『戦艦大和』と共通しているからだろう。

 

 

 

――第七艦隊の参陣は思わぬ福音であった。地球連邦軍の外征担当の艦隊の全戦力が援軍に加わった。これにより、物量の不利が無くなり、ほぼ互角に持ち込めたことになる。

 

「ドリーム、あれは……?」

 

「とある世界での未来の世界の地球の軍隊。その一個艦隊だ。どうやら、ダチが話を通してくれたようだ」

 

安堵の表情のキュアドリーム(黒江)。しゅんらん率いる第七艦隊が百鬼帝国やデーモン族の軍団と空中で激突し、ミサイル、エネルギー砲、パルスレーザーなどが入り交じる。

 

「艦隊……?」

 

戸惑うキュアブロッサム。多数の軍艦が空を飛び、戦闘を展開するというSFじみた光景は現実感に欠けるとしか思えないのだろう。

 

「いったい……どういうことなの、ドリーム」

 

キュアホワイトが駆け寄ってくる。ブラックと違い、パワーダウン状態であり、戦闘不能の状態だ。

 

「言えることは……この戦いは本格的に、お前らの手に負える規模じゃ無くなった。俺とピーチの事は、戦いが終わるまでは聞かないでくれるか、ホワイト。終わったら、全てを話す」

 

「確かに……、この状況なら仕方ないわね」

 

何かを察したキュアホワイト。

 

「いいの、ほのか」

 

「状況的に、長話してる暇は無さそうだもの。全部が終わらないと、何が何だか分からないうちにやられかねないもの」

 

真剣な表情のキュアホワイト。キュアドリームとキュアピーチのことは察したようだが、それは口に出さずに、提案を了承する。

 

「確かに……でも、何が起こってんの!?ぶっちゃけありえないっしょ!?宇宙戦艦みたいなのが、たんまりやってくるとか!?」

 

困惑しまくりのキュアブラック。

 

「今は、あれこれ説明してる暇はないよ、ブラック」

 

「あなたは…?」

 

「あたしはキュアハート。ブロッサムより後に生まれるプリキュアの一人」

 

「未来のプリキュア…!?」

 

「そう。だから、あたしはレインボージュエルの加護の対象外。本当は、ここから数年くらい後にプリキュアになるはずだから」

 

キュアブラックの前に、パルテノンモードの姿で降り立つキュアハート。この時間軸では本来はまだ『小学生』であるはずなので、当然ながら『レインボージュエル』の対象外。しかも、そういう縛りを無視し、最強フォームのパルテノンモードを見せている。

 

「本当はあたしらがブラックたちを助けに来たんだけど、状況が手に負えなくなってきたって事だよ」

 

「そうですわ。加勢に来たはずが、状況を打開できず……後輩として、申し訳ありませんわ」

 

謝罪の言葉を述べる、キュアスカーレット。

 

「敵はそれほど強大ってことよ、ブラック」

 

「あなたは…?」

 

「キュアビート。同じく、あなたの後輩の一人よ」

 

「こ、後輩ーーー!?」

 

素っ頓狂な声を挙げてしまうブラックだが、こればかりは本当なのだ。キュアビート、キュアスカーレット、キュアハートの三人はブラックのパニックぶりに苦笑する。自分達も現役時代に同じ状況に置かれたのなら、似たような反応をする確信があるからだ。

 

「と、いうわけだ」

 

「何か知ってるの!?ドリーム!?」

 

いつになく、達観した表情のドリームに戸惑うブラック、

 

「知ってるさ。だが、今は長々と話をするような状況じゃない」

 

「!?」

 

ドリームの雰囲気がいつにも増して、凛々しくなっていること、両腕に持つ得物が明らかに『プリキュアが持っていいもの』ではないことに気づく。

 

「キュアフルーレじゃない……!?」

 

ブラックがそう口にした瞬間、キュアドリームの周囲に『プリキュアの力)ではない黄金色のオーラが迸る。そして、両腕で持っている剣に一筋の雷が走る。これこそが数多生まれてきた山羊座の聖闘士の『聖剣』の一つの『カタチ』。原石は同じでも、そこからの鍛え方次第で、いくらでも変わり得るもの。それは剣であろうとも同じこと。

 

 

『束ねるは星の怒り、それこそは地を奔る一閃……受けろ!!エクスカリバーァァァァ・サンダーボルト!!』

 

口上もアルトリア・ペンドラゴンのものとは微妙に異なるが、両手で構え、大きく振りぬいて放たれたそれは、まさしく『約束された勝利の剣』。それに違う属性である『雷』を加えた派生形。その光は『プリキュア・マーブル・スクリュー・マックス・スパーク』や『プリキュア・スパイラル・スター・スプラッシュ』をも凌ぐ閃光となり、戦場を奔った。その一連の流れに圧倒され、言葉もないキュアブラックとホワイト。ドリーム(黒江)の見たこともないほどに凛々しい表情、敵を見据え、剣を天に掲げる際の凛とした雰囲気。いくら、キュアドリームが『変身していれば、普段と別人のようにカッコよくなる』と言っても、何かが違う。それに遅まきながら気づいたキュアブラック、口ぶりから『すべてを察した』キュアホワイト。対照的な二人であった。

 

 

 

 

 

 

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