ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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第三百四十九話の続きになります。


第四百九十八話「続・総集編~大決戦の経緯~その三分の一」

――一連の百鬼帝国/デーモン族/ミケーネ帝国残党との戦いは後々に、『大決戦』と語り継がれるわけだが、この時に黒江が大暴れしたせいで、のぞみは後輩たちに『情け容赦のない戦いをする人』と大いに誤解されるわけで、この戦いを覚えているプリキュア達が後々まで引き合いに出したためか、転生/転移してきたプリキュア達の中には、のぞみを怖がる者もいた。とはいえ、黒江が戦いの後に注釈をつけて身の上を語ったことを覚えている者もおり、『機会』を窺っていた者もいた。水無月かれんと秋元こまちがそれだ。彼女らは自分たちの知るのぞみとは別の『夢原のぞみ』の辿った顛末が気にかかるようになり、『そののぞみを救えないか?』と思考を重ねていた。ことはの誘いは渡りに船だったわけだ。また、年号が変わっても、プリキュアが生まれることを知った事により、自分たちの辿るであろう未来に疑義が生じたことも、戦いの道に足を踏み入れる理由だった――

 

 

 

 

――後日 『プリキュア5の世界』――

 

「本当にいいんですね?」

 

「ええ。水無月一族に生まれたのは偶然であって、私がどういう職業につくのは自由意志のはずよ。それに……実をいうと、幻滅してもいるのよ。日本の医学界の汚さにね。協議の日時はこちらでセッティングするわ。くれぐれも、こちら側ののぞみに気取られないようにね」

 

「分かりました、それじゃ。今度はこまちさんに連絡を取ります」

 

水無月かれん、すなわちキュアアクアは大決戦の直後に偶然から、ことはとの接触に成功していた。彼女は戦いに加わる意志を見せ、事前に協議を重ねていた。彼女はミルク(ミルキィローズ/美々野くるみのことだが、彼女は元は妖精だ)との一件以来、将来の目標として、医師を志すようになっていた。しかし、日本の医局のごますりと金に塗れた裏事情を知るにつれ、医師になることの意義を見失いつつあった。ある偶然から、ことはとの接触に成功したことは『将来、医学部の教授らの派閥抗争に巻き込まれて、それに翻弄されるのなら……。若い内に開業などできない』と決意を固める一助となり、デザリアム戦役時に正式に召集に応じるわけである。しかし、このことは『自分の世界ののぞみ』に対しての問題ともなるので、協議が長期化するのは避けられなかった。のぞみBがそれにいつ気づいたかは定かではないが、『望んだ職業ではないが、その分野で成功を掴んだ』別の自分がいて、戦士としての強さも桁違いという事実が提示されたことへの嫉妬が絡んでいるのは確実であった。

 

 

「こちらののぞみはどうも、そちらに嫉妬しているみたいなのよ」

 

「あー……。分かります」

 

「軍の少佐で、エースパイロット。おまけにココの生まれ変わりとゴールイン……とくればね。どうして、運動神経が改善されたの?」

 

「実はですね、転生した時の都合もあるんですよ」

 

「都合?」

 

「話せば長くなりますから、仔細は後日に」

 

この会話からしばらくした後、ことはから知らされたそれは、かれんの決意をより強固にするものであった。のぞみAが『扶桑の名家の出である魔女に転生し、記憶の覚醒に伴い、肉体も生前の姿になったこと、立場が立場であるが故に、転生先の人物が担っていたポジションを継がなくてはならなかったこと、『陸軍の職業軍人』であることが災いし、転職に失敗してしまったことが伝えられたからだ。のぞみが航空部隊のエースパイロットであるというのは転職の失敗で日本政府にも知れ渡ったが、陸軍の飛行隊にいたこと、通常のパイロットと違う胸章をつけていた故の悲劇は政府のスキャンダルとなったことの仔細も伝えられた。本人はダイ・アナザー・デイの戦功を武器に、皇室にお墨付きを出してもらうなど、転職を強く望んだのだが、日本のある官僚の独善と暴走で話を潰され、その損害補償で少佐になったと。この事件は日本の一大スキャンダルとなり、ワイドショーをしばし賑わせた。表ざたになる前に、穏便に処理しようとした政府の当ては思いきり外れ、結局は扶桑の予備役制度の根幹にまで話が及んでしまったわけである。

 

 

 

 

――余談だが、この『事件』を期に、扶桑軍人への損害補償の金額の巨大化を恐れた日本政府は『なかったことにする』こと、該当の人員を軍学校、もしくは最前線に押し込むという人事を扶桑に実行させた。のぞみは元から攻勢部隊にいた事により、『予備役編入願いを出さなかった』扱いですんだが、その他の軍人らは中々に悲劇的であった。日本の意向もあり、箝口令を引かれた上で、6割強が最前線に投入され、その多くが1949年までに戦死したからである。この施策は不祥事の拡大を恐れた日本が主導して進めたが、批判を恐れた彼らは『予備役願いを出してはいない』という事にし、通常の公務での戦死とした。皮肉にも、彼らが嫌った『戦中の日本』と似たようなことを『してしまった』わけである。この施策の犠牲となった軍人の遺族からの批判が来るのを恐れたか、1949年度からはGフォースに予算を不自然なほどに割くようになっていく。こうして、のぞみの転職の失敗の余波は日本に後ろめたい気持ちをもたらしたわけだが、同時に、政治に翻弄された扶桑軍人達の政治不信を招いてしまう。日本は『文民統制で軍部を抑えつける』ことが正しいと考えていたが、扶桑では、武士の時代の名残りか、軍人にも一定の政治見解が必要とされていた。その風土の違いにより、扶桑のクーデターを引き起こし、その後の『粛清』で激しい人材不足に陥ったのは当然の流れなのだ。のぞみはそれを補う人員を集めるための『人身御供』にされた感は否めなかったが、日本にしてみれば、『英雄が出てくれたおかげで、正規部隊の人員が死なずに済む』という『正規部隊を動員しなくて済む』大義名分が得られたも同然の状態。同時に、21世紀当時の世界情勢を鑑み、Gフォースへの出資は増やしつつも、扶桑が日本に置く軍事力は対中・対露の抑えに動員したいという思惑が透けて見えていた。――

 

――更に後日――

 

「のぞみは予備役になって、教職につきたかったの?」

 

「ええ。戦功を武器に、皇室からお墨付きまでもらって。ですが、こことも別の日本の官僚が話を強引に潰しまして。国際問題になりかけました。連邦を組むとはいえ、国際法上は別の国のことですからね」

 

「のぞみはそれで?」

 

「転職をそれで諦めざるを得なくなりました。皇室のお墨付きがついていた話を潰したので、日本は『事の重大さ』を悟った時は顔面蒼白でしたよ。戦前の権威と権力がある状態の皇室が認めた事を潰したんですから。外務と防衛・労働関係の当局は平謝りだったそうです。もちろん、大臣が三~四人はクビですが。そうでもしないと、扶桑の皇室を納得させられなかったので」

 

ことはは、のぞみAの身に起こった出来事をかれんに教える。野比家で長く生活していたためか、現役時代の非変身時の幼さは鳴りを潜め、フェリーチェの時のような大人びた口調を使っている(ただし、嗜好が変化したわけではないので、服装は現役時代と変わらない)。

 

「のぞみはそれもあって?」

 

「決定打はそれですが、他の要因もあります。転生先の体になった方の人生を乗っ取る形になったので、その方が生きるはずであった人生をある程度はなぞる必要もあったのです。親族の方からは、そのような事を言われたそうですから……」

 

「……でしょうね」

 

のぞみが『夢原のぞみ』としての第二の人生を歩みだすまでには、中島錦が本来なら歩むはずの人生をある程度はなぞってくれないと困るという親族からの圧力を乗り越えなくてはならなかった。軍人であり続けた理由の一つはそれである。草薙流古武術の継承は錦の姉にして、中島家長子の小鷹が継承を拒んだ都合で、次子の錦が継ぐしかなかった。三子の疾風は年少であったし、諏訪家が代行できない役目であるからだ。その都合で、先代にあたる父親から草薙流古武術を継承したのが1946年。この大決戦の直前であった。これは継承の儀式が済んだ時期で、実際には、錦の意識が健在であったM動乱期には免許皆伝に至っている。

 

「あの炎の力はなんなの?」

 

「現地で、ヤマタノオロチを倒したとされる古武術です。草薙流古武術。のぞみさんはその継承者になりました」

 

「や、ヤマタノオロチ!?」

 

「詳細はわかりませんが、現地での草薙の剣にまつわる真実だそうです。ですので、りんさんがしょげてます」

 

「あの子、炎のプリキュアだから…」

 

のぞみは以後、正式に炎の力を駆使して戦うようになるので、夏木りんがしょげている。しかし、彼女はデザリアム戦役で記憶喪失になってしまい、そのことがのぞみの精神をかき乱し、彼女の攻撃性が強まってしまうのである。りんの回復後は『キレたら怖い』気性に変わっていくので、草薙流古武術を会得した故の業に巻き込まれつつあったのも事実だ。

 

「あの子、そちらでどうなっていくの…?」

 

「私もそれは……。対策を練っておく必要があるのは事実です」

 

「わかったわ。それじゃ、また」

 

かれんはこまちとも協議を重ね、極秘裏に異世界に赴く準備を始めていく。だが、主人公補正で、カンのいいのぞみBを誤魔化し続けることはできず、ある日にそれを知られてしまう。

 

 

――ある日、のぞみBはかれんとこまちが何をしようとしているのか。それに気づいてしまう。別の自分のために、どうしてそこまでするのか。その疑問が納得できず、ついに言葉を荒げるに至るが……――

 

「どうして、君自身を助けに行ってはいけないんだい?」

 

「あなたは…?」

 

「そうか、声だけじゃわからないか。ぼくだよ、のぞみ」

 

「え、えぇ―――ッ!?」

 

「何よ、騒々しいわ…ね?」

 

やってきたりんBも言葉を失う。尋ねてきたのは、『ココ』の生まれ変わりにして、のび太の次子(養子)の『コージ』だった。この時が初対面であった。

 

 

 

「僕は野比コージ。別の君の夫で、そこにいるココの生まれ変わり……というべきだね」

 

昭和のしょうゆ顔のイケメンと言った雰囲気のコージ。ココがパルミエ人として身につけていた変身態とはまったく異なる容姿で、目測で15~6歳ほどに見えた。声はのぞみBらの知る『小々田コージ』に似ているが、若干ながらも若々しさを感じさせる。服装は外見に比して大人びている。

 

「こ、ココ!?」

 

「こうして、対面するのは変な感じだけどね。義理の叔母の命でね」

 

「義理の叔母?」

 

「なんていったらいいんだろうね。はーちゃんは僕から見れば、義理の叔母なんだ」

 

「えーーーーーーー!?」

 

一同は固まる。ことはが叔母というパワーワードに。

 

「前世を見るってのは……そうそうない状況だけど、中々に変な感じだ」

 

「向こうの私と……結婚したの…?」

 

「ああ。生まれ変わった後は普通に日本人だからね。義父が家を買ってくれてね。近いうちに本籍を移すつもりだよ」

 

「うららやくるみが知ったら、ひっくり返るよ?」

 

「いや、ミルクも別の世界に生まれ変わっていてね。」

 

「なにそれ!?」

 

「マナ(キュアハート)と同じ世界にいる。歴女になってて、大笑いだったよ」

 

「くるみが?」

 

「ああ。日本人に生まれ変わっているよ。前世とは似ても似つかないが、ミルキィローズに変身する能力はそのまま持っていてね。本人は意外と気楽にやってるよ。プリキュアで歴女と、属性過多気味だけど」

 

それは大洗女子学園の『カエサル』のことだ。彼女はバダンの襲撃を契機に、仲間と共に一斉にプリキュアとしての自我に目覚めた。とはいえ、個性が強かった故か、カエサルとしての自我を保った状態でミルキィローズになれるようになっていた。それはキュアロゼッタの西住みほも同様だが、こちらはキャラが似通っていたため、いまいち判別が難しい。時系列的には、プラウダ高校のノンナが最初の覚醒者である。魔女の世界に飛ばされた際に『ユニ』としての記憶と能力に目覚め、圭子の秘書として腕を奮いつつ、ダイ・アナザー・デイの際にキュアコスモの姿を見せた。ノンナとしての冷徹な口調はミーナの査問(二回目)で用いており、ロンメルをして『シベリアの凍土のような冷たさだ』と恐れられた。相田マナは逸見エリカを素体に転生しており、こちらは多分にぶーたれつつも、黒森峰の立て直しに尽力している。(そのため、ダイ・アナザー・デイ後は『次の大会』のために、戦車道世界に戻っていた)

 

「ああ、響(北条響。シャーリーのこと)から土産を渡されてるよ。あの子もややこしくてねぇ…」

 

「響ちゃん?スイートの?」

 

「ああ。こっちだと、のぞみとの二人でつるむことが多くてね。実質はプリキュアスターズのナンバー2さ」

 

「へー。意外な感じ」

 

「軍の同期だからね、君たち」

 

のぞみは転生後は軍で同期にあたる(士官教育を受けた時期が同時期)こともあり、北条響(シャーリー)とつるむことが多くなった。深い繋がりが『はるか以前』からあったり、大まかに同じ世代のプリキュアであることは副次的なもので、主な理由は『同期の桜』だからである。また、移動手段がオートバイ(ルッキーニが手を離れた後は一人乗りになった)である共通点もある。

 

「ちょっと前に、軍の広報が撮影した一枚だけど」

 

コージが一同に写真を見せる。それはダイ・アナザー・デイの中頃、比較的に戦局が小康状態であった時に広報部が撮影した一枚だ。

 

「飛行機を整備してんの?」

 

「日本軍が史実で最後に制式採用した内の一つ『五式戦闘機』。君が部隊で『最近』まで乗っていた飛行機だよ。そのエンジンの整備のことで響と議論した時の一枚だ」

 

「プロペラ機なの?」

 

「ジェット機は整備班の仕事だよ。レシプロは車やオートバイのエンジンと同じ種類の機関だから、ある程度の知識があれば、いじくり倒せるよ」

 

ジェット機はその頃には既にあったが、専門の整備班がいるので、手慰めにレシプロ機をシャーリーは弄っており、五式戦の高高度性能向上策で議論を交わすことがあり、その最中に撮られたのである。排気タービンを積む正規の仕様か、水エタノール噴射装置の場しのぎか。それとも、ハ43(金星系の発展型)に載せ替えるか。ハ43はエンジン直径が金星とも違う。かといって、金星そのもののパワーアップは限界に来ている。シャーリーとのぞみはそれで大議論になり、途中で黒江による仲裁が入り、『高高度に行くんなら、排気タービンだ。高度10000まで18分だけどな』と教えた。これは正規仕様の金星エンジンは高高度では1200馬力しか出ないからだ。

 

「この時の議論は見ものだったと、父は笑ってたよ。現役時代はまったくの門外漢だった分野でプロ顔負けの議論だったそうでね」

 

「そっか、お互いに飛行機なんて、乗ることはあっても」

 

「そういうことだよ、りん」

 

「飛行機の整備で喧嘩になるくらいに話せるなんて…」

 

「職場の関係さ。直にジェット機の時代になるから、ジェットエンジンの知識が必要になるからね」

 

「ちょっといいココ?」

 

「なんだい?」

 

「君は生まれ変わった後は何してるココ?」

 

「高校や大学の講師さ。父の友人のツテでね」

 

コージは前世の自分でもあるココの質問に答える。普段は講師で飯を食っていると。前世から通して教職にあるのは変わらない。だが、彼にはもう一つの顔がある。

 

「とはいえ、それは飯の種。僕はのぞみたちと同じような別の顔を持つようになってね」

 

「え!?まさか……プリキュアに?」

 

「そうではないよ。男子のプリキュアは2023年に本当に生まれるけどね」

 

「う、生まれるのね……15年位後に」

 

りんがツッコむ。この『プリキュア5の世界』は2008年。ひろがるスカイ!プリキュアの時代までには、15年ほどの開きがあるのも本当だ。

 

「男の子がプリキュアになる……本当に?」

 

「2023年だから、君らはアラサーになっている時期さ」

 

「アラサーかぁ……そこまでプリキュアやってるのかなぁ……」

 

地味にショックののぞみBだが……。

 

「あ、2018年に日本の年号が変わる事になるよ」

 

「え?年号が?死んだの?」

 

「いや、生前退位。かの方のご意思でね」

 

「その時に、学生でなくてよかったぁ」

 

「いやぁ、その時はその時で大変だよ?色々と常識も変わるし」

 

時代の変化はプリキュアであっても同じだ。『ラジカセ』や『ブラウン管テレビ』、『ビデオデッキ』が時代遅れとなり、代が下ると、それらがわからないからだ。

 

「君にはショックだろうが、後輩にラジカセといっても通じないよ」

 

「うそーーーーー!?」

 

「そりゃ、15年後の未来になりゃね」

 

「15年かぁ……」

 

年月の重さに落ち込むのぞみB。

 

「そろそろ、例のあれを見せてあげたら?」

 

かれんがコージに何かを促す。コージは頷く。

 

 

「君たちに見せてあげよう。僕の……もう一つの顔を」

 

「!?」

 

「ハァッ!!」

 

勾玉を使い、アンダーギア姿を取る。この時点でパワードスーツじみた姿だが、ここからが本番だ。

 

「武装ぉ――ッ!!烈火ぁ――ッ!!」

 

光が走り、アンダーギアを鎧兜が覆う。赤備えの鎧兜である。鎧の両肩にはなぜか、武田菱の紋章が入っており、鎧の制作者が武田家縁の人物であったのが推測できる。

 

「真を智り、人を信じ、礼を尽くして正義を行なう、これぞ仁の途なり!」

 

「よ、鎧兜を纏った……?」

 

「これが僕の裏の顔。サムライトルーパーと呼ばれている戦士。僕はその筆頭の『烈火』さ」

 

「サムライって、あの侍だよね?」

 

「そう。たぶん、里見八犬伝のもとになったかもしれない。八犬伝の成立はかなり後だからね」

 

「その鎧はどういう目的で?」

 

「大昔、ある邪悪を封じるために、戦国時代に作られたもの……としかわからない。記録がないんだ。僕が受け継いだのも偶然だから」

 

「エターナルが聞いたら、欲しがりそうな鎧兜ね」

 

「彼らの手には負えないと思う。異空間に普段は封じられているからね。更に言えば、僕たちも行方を追っている鎧があるんだ」

 

「行方を?」

 

「ああ。これを含めた九体と別に作られ、最高位の力を持つ輝煌帝という鎧だ」

 

「輝煌帝?」

 

「ああ。少なくとも、二つが作られ、一体は僕たちが持っているが、黒い輝煌帝が見つかっていない」

 

「どんなことが起きるの?」

 

「悪用されれば、白銀聖闘士程度では太刀打ちできない。黄金聖闘士で互角になる。つまり、君たちでは手も足も出ないという事になる」

 

最強の鎧『輝煌帝』。纏った人間に強大な力をもたらすが、その反動に耐えるだけの耐久力が必須である事から、烈火の前・資格者たる智子も使用した回数は多くはない。上位の黄金聖衣(射手・双子・獅子など)と同等以上の力をもたらすが、その神秘性は輝煌帝が上回る。

 

「強大な力を扱うには、それに耐えられるだけの精神力がいるってことさ。西洋に聖衣があって、インドには神甲冑(シャクティ)、日本には鎧擬亜。少なくとも、神話や伝説をモチーフにした三種の鎧や甲冑が存在するってこと」

 

「どうして、地球にそんなものがあるココ?」

 

「地球は神々の闘いの場でもあるんだ。古来からね。そして、人間の目から見た『異能』を持った戦士たちを戦わす。そうした方法で神々は地球の統治をやってきた。古代からね。プリキュアも神々にしてみれば、そうした目的で生み出された一つかもしれない。多くの次元にプリキュアが確認されているから」

 

烈火の鎧を纏ったコージは続ける。プリキュアは2023年辺りまでは継続して現れていく事、次第に初代を生み出した理念からは離れていったことなどが語られる。

 

「あ、ココ」

 

「なんだい?」

 

「向こうの私に文句言いたいんだけど」

 

「あー…。それはこちらの君自身がした事じゃなくてね」

 

「??」

 

「正確に言えば、君の姿を借りた、君の上官がしたことでね…」

 

「なぁ!?」

 

「そうなんだ。君の上官は成果は挙げるんだが、割にアバウトでね」

 

「何それーーーー!」

 

ガビーンという効果音が似合いそうな表情になるのぞみB。だが、予言になった事もある。黒江が小宇宙の力で『シャイニングドリーム』を更に進化させた形態に到達させたが、それがここより後の時間軸において『エターニティドリーム』と名付けられ、のぞみAは覚醒後、通常形態を飛ばしての変身も可能となるなど、飛躍的なパワーアップを遂げる。

 

「あ、叔母から預かってるけど、その時にその人が戦っているのを味方の偵察機が撮影した写真があるんだ。そこに置いてあるから、見てくれ」

 

「どれど……!?」

 

それは大決戦の折、ドリームの姿を借りた黒江がデーモン族を相手に啖呵を切る姿、その直後に『エンペラーソード』を召喚し、四足歩行タイプのデーモン族をぶった斬る姿、彼女本来の得物『斬艦刀』を飛行要塞へ使う姿が収められた写真であった。のぞみ本人とは違うベクトルで『戦闘に特化した』姿である。

 

「これ……くるみが見たら、泡吹くわねぇ。なんと言おうか、修羅?」

 

「状況が状況だからね。敵がデビルマンの敵だったデーモン族でね……情け容赦の不要な場だったと聞いてるよ」

 

りんBがそう漏らす。デーモン族やデビルマン(アニメ版のヒーロー然とした容姿である)が映り込んでいるのもあり、説明に説得力を持たせている。と、そこへ。

 

「すみません、遅くなって」

 

「あの声はうららね。説明してくるわ」

 

「頼む。この姿じゃ不審者だしね、僕は」

 

春日野うららがやってきたようだ。かれんが説明に赴く。武装したコージはどう見ても不審者であるからだ。更にいえば。

 

「あ、ミルクやシロップにどう説明するの?」

 

「それが困ってるんだ。僕はココの生まれ変わりであるけど、あくまでも別の存在って事になるから。今は地球人だからね」

 

「そっか……そうだよねぇ」

 

のぞみBはそこに気づく。コージはパルミエ人としての記憶を引き継いでいても、あくまで地球人である。転生前後で属する種族が違うのはあるあるだが、記憶を持つぶん、説明がややこしいのである。二人は説明に悩むのだった。

 

 

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