ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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久しぶりの更新です。本編の外伝1の時間軸での話です。↓

http://www.silufenia.com/toukou/909/909SS07.php


第七十四話「中国とロシア連邦の野望、そして動き出すGX」

――何故、ウィッチ世界においては『国が滅び、民族としても過去の存在である』はずの中華民族で、それにあたる国がないはずの『中華人民共和国』がティターンズに援助したのか?ゴルゴの推測によれば、『文化大革命で失われたであろう各種文化財を扶桑から収奪し、あわよくば台湾も奪う』というもので、文化大革命で失われた多くの文化財を扶桑にあるそれで代替しようと、太平洋戦争にティターンズを勝たす目的も含めての策謀であった。台湾も、中華民族そのものがまとまった数で存在しなくなっているウィッチ世界での台湾の領有権そのものは諦めつつも、軍事交流の名目で空軍中心の軍隊を駐留させた。その時に成熟した中華文化が入ってきたわけだ。また、太平洋戦争で敵が原爆や毒ガスを使用した際の報復も検討され、その中で波動砲やマスドライバー攻撃が俎上に載せられた。だが、それらは星そのものに与える影響があまりに甚大であるため、その代替にグランドスラム(史実の地震爆弾)を大規模に投下し、地上の交通機関を寸断する案が採択された。1945年の8月のことであった。この会議はウィッチの軍事的価値が低下したことを妙実に示す様相で幕を閉じた。この時に太平洋戦争に備えるという事で承認されたのが、のび太が末裔のノビタダ名義で進めさせている開発プランであった。その最終到達点にして、フラッグシップ機たる『GX』系統はダイ・アナザー・デイ中の頃から開発され始めた。それは地球連邦軍や連合軍の思惑どおりでもあった。新開発のガンダリウムε合金(ガンダリウムγに代わる次世代のガンダリウム合金)で身を鎧うそれはまさに新世代のガンダムである。それは後にキュアドリーム/夢原のぞみの手に渡り、彼女の乗機となっていく。何故か。のび太が彼女に託すからだ――

 

 

 

――ドラえもんとキュアラブリー――

 

「ドラえもんくん、この新型ガンダムは何のために開発させてるの?」

 

「コロニー落としやマスドライバー攻撃への抑止力さ。それとコロニーレーザーを破壊できる力を軍が持つためでもあるよ」

 

「うーん、サテライトキャノンかぁ。これ、誰が乗るの?」

 

「まだ未定さ。のび太くんが選ぶはずだよ。のび太くんが造らせてるガンダムだからね」

 

のび太が子孫の名義でアナハイム・エレクトロニクスに造らせていたガンダムの最終段階。そのフラッグシップとされるガンダムの概略図はダイ・アナザー・デイ中には64Fに公開されており、アナザーガンダムの『ツインバスターライフル』に匹敵しうる兵器を軍部が欲し、のび太がそれを連邦軍への開発予算獲得の方便にした事が示唆されている。

 

「でも、なんでまた?」

 

「君たちにも形式的にも、外聞的にも、機動兵器のパイロットとしての訓練は必要なんだ。空軍に入ったからにはね。でも、人型兵器の訓練は戦闘機より長めでね。それで新しい操縦システムが考案されて、キュアエースがテストしてるでしょ?」

 

「あれ、かなりシュールだよ」

 

「普通のMSサイズだと、ジオン残党がサイサリスのように奪おうとするし、隠せない。人サイズなら、パワードスーツって誤魔化せるからね」

 

「なるほど~」

 

「それと、みらいちゃんにもやってもらうことにもなったから、三機だね、テスト中のは」

 

「MSを人サイズにするのはそれだけ?」

 

「あとはデータ取り。宇宙空間での冷却問題もあるから、フルサイズで人間の動きしたら、20分くらいで稼働限界だ。だけど、人サイズになれば、MSサイズと比較にならないくらいに熱量は小さいからね」

 

宇宙空間での冷却に課題があるため、初期は20分で稼働限界を迎えてしまうため、現在は機体の冷却系とシステム、関節部のマグネットコーティング化などで機体を強化した上で、多湿な環境の日本でテストを行っている。また、乗り手の負担軽減措置も改良が重ねられ、ダイ・アナザー・デイ中の状態では、『プリキュアの状態でシステムを起動させれば、プリキュアの身体能力が機体に反映され、理論上は機体の稼働限界はない』までに進歩している。キュアエースは変身した状態で機体を運用しているため、スローネドライをここ3日ほどは連読稼働させているが、負担はないに等しい。感覚としては体を動かしているのと変わりないからだ。

 

「なんで21世紀でテストさせてるの?」

 

「23世紀の日本はコロニー落としの影響で気候が変わっちゃっててね。ほとんど亜熱帯なのよ。北海道でさえ温帯だし。21世紀の日本なら、昔の高温多湿の環境だから、テストには丁度いいんだ」

 

「オーストラリアに落っこちて、破片はパリに?」

 

「うん。ガリアの連中は目を回したよ。コロニー落としのせいでパリは水没して、その周りの土地をヌーボパリって名付けてるんだからさ」

 

「それでサテライトキャノンを?」

 

「アナザーガンダムはプリベンターの管理で、軍の一存で使えないからね。でも、ジオン残党はやたらとコロニー落としが好きだし、木星の過激派はグリプス2をコピーしたコロニーレーザーで狙撃を目論んでる。それを阻止するためのサテライトキャノンさ」

 

サテライトキャノンはMSが持ち得る攻撃兵器としては史上最強レベルのもので、ウイングガンダムゼロのツインバスターライフルに比肩する威力を誇る。月の閉鎖されたレーザー推進機構用のレーザー発振施設を改造し、マイクロウェーブ照射施設の大元とし、艦艇にもマイクロウェーブ発振装備を用意すれば、サテライトキャノンはどこでも使える。また、『ツインサテライトキャノン』であれば、理論上はヤマトの波動カートリッジ弾の九門一斉射撃に比肩する破壊力を出せるという。

 

「でも、よくそんな予算が降りたよね」

 

「連邦もジオン残党の行動は注視してるし、木星の過激派や火星に逃げたジオン残党の存在もあるからね。三種のガンダムとビットMSができれば、人手不足もある程度はカバーできるからね」

 

のび太が推し進めさせたそのプランは他にもSPTやナイトメアフレームの開発計画も含まれており、地球連邦があの手この手でデザリアムへの対抗をしようとしているのが窺える。後の大決戦やデザリアム戦役までには計画の八割は完遂するが、サテライトキャノンのマイクロウェーブ照射施設への改造やフラッシュシステムの完成に時間を要してしまう。そのため、サテライトシステム込みの正式な完成はデザリアム戦役までずれ込み、テストパイロットも未定のままであったのだ。のび太はデザリアム戦役の折、自身の転生であり、末裔のノビタダにGX系統のコントローラ『Gコン』を託しており、ノビタダが乗機を大破させられたのぞみへ渡すのである。

 

「のび太くん、のぞみちゃんに渡したいみたいな事を言ってたけどさ、なんでなの?」

 

「あの子は前世で苦しんだからね。それを振り切るためのきっかけを与えたいんだろうね。あの子は『凍りついてた記憶が目覚めた』最初のプリキュアだ。これから始める未来だけを願ってほしいんだよ、きっと」

 

ドラえもんはラブリーにそう言った。のび太は前世を引きずっているのぞみに『前を向いて歩き出す』ために、そのガンダムを与えたいのだと。なんとも太っ腹である。

 

「でもさ、のぞみちゃんにガンダムくれるんなら、あたしたちにも…」

 

「でもさ、キュアホワイトが来たら、迷うよ?指揮官なんだか、パイロットなんだか…」

 

「言えてる。声的に某大佐殿だよなぁ、ほのかさん」

 

「キュアブラックはどこかの戦術予報士みたいな声だし、りんちゃんは某ジャ○プ忍者漫画の主人公みたいな声だしさ」

 

「りんさん、それやめてって言ってるよ?兄弟にネタにされまくったとかで」

 

「そんな事言ったら、ボクだって『ザンボット・ムーンアタァァック!!』だよ?」

 

「え?そうなの……?」

 

「うん。知られてないけどね、これ」

 

ドラえもんはなんと、その気になれば『無敵超人ザンボット3』を作って動かすと示唆した。悲壮感溢れる最終回や、ロボットアニメ史上有数に残酷な展開でも名を残した同アニメ、実は主人公の声はドラえもんと酷似しているのである。

 

「うっそぉ」

 

「ま、これはマニアックだから、誰もそう思わないだろうけど。僕の学生時代の同期のドラ・ザ・キッドなんて、魚座のアフロディーテと似てるんだよ」

 

「なんか……そう考えるとシュール…」

 

「僕の妹のドラミなんて、魔美さんと瓜二つだから、ネタにされてるんだよね。あいつ、融通がきかないけどね」

 

ドラミを融通がきかないと愚痴るドラえもん。実は彼女、一種のオーダーメイドで製作されたサポートロボであり、製造年代の都合でドラえもんより高性能なひみつ道具を元から持っている。なお、『妹』なのは、ドラえもんに使われた潤滑油と同一メーカーのものが使用されたからで、その質がドラえもんに使われた時より良質になっていたため、ボディの駆動性能が上になったらしい。

 

「ドラミちゃんはこの事を?」

 

「のび太君がメカトピア戦役の後で知らせたよ。あいつも納得してくれたさ」

 

「ドラミちゃんは普段は何してるの?」

 

「日本連邦大学で研究だよ。あいつは学生時代はトップのインテリでね。学者になれば?って言ってるよ、ボクは」

 

「ロボットに学校なんてあるの?」

 

「ボクの時代特有のもんさ。統合戦争で一気に崩壊したしね」

 

ドラえもんの時代の日本は『ロボット学校』が存在し、ロボットにも人権が認められているなど、機械と人の共生の理想的なケースと言われるほどの安定した社会を築き、繁栄を謳歌していた。だが、宗教的都合で恐れた西洋社会の人間たちはかつての復讐を望むロシア連邦や、22世紀まで国力を蓄えていた中華人民共和国を使い、日本連邦に戦争を起こした。それが統合戦争の発端であった。戦争は電磁パルス攻撃でひみつ道具技術の保管されていたサーバーを破壊するほどに激しくなり、戦後に文明の後退が起こったわけだ。その後の時空融合現象で文明の後退と変質が起こったのもあり、反統合同盟の盟主であるロシア連邦と中華人民共和国の出身者は地球連邦政府の要職につけない時代があった。従って、ロシア人であるユング・フロイトの大統領就任は実に画期的なことなのだ

 

「統合戦争は何がどうなったの?」

 

「それはまだ。だけど、ボクの時代の繁栄が終わった事は確かだよ」

 

「地球連邦ができるにも戦争、出来ても戦争……どうなってるの?」

 

「人間の性とエゴだね」

 

「Mr.東郷によれば、統合戦争で未来デパートや22世紀デパートののサーバが運悪く、統合戦争で崩壊して技術情報の統合が出来なくなった上で、工場がオーストラリアから消失(次元漂流)したのが原因で多くの技術(未来デパートや22世紀デパートの社外秘)が失われた原因さ。半分はバダンのせいさ。君等ドラえもんズとバダンの戦いの結果さ」

 

「スネ夫か」

 

「それとマクロスが落っこちた。それで未来デパートや22世紀デパートの技術サーバは全滅、君の時代のロボットたちはメンテが出来なくなって、20年くらいで姿を消した。練馬にあるロボット工場の廃墟には君と同型のロボの製造途中のものの残骸が朽ち果てて眠ってたと言うよ」

 

「本当か?」

 

「戦後に片付けられたが、犬型、豚型、猫型の製造途中のものの残骸が散乱してたそうだ。一年戦争もあって、完全には回収できていないそうだ」

 

ドラえもんが生まれた工場は廃墟となり、23世紀でも解体されておらず、2130年代に製造されるはずのロボット達の残骸が残っていた。猫型ロボット達もその一つ。中には第二期ドラえもんズになるはずだった個体もいたそうな。2130年までに稼働済みのロボットたちで23世紀まで生き残れた個体は数百。猫型ロボットは最高級機だった都合、更にその数は限られている。

 

「ドラミは?」

 

「23世紀のあいつの子孫曰く、生きてるよ。まだ君を待ってるそうだよ。ボディはアナハイム・エレクトロニクスやサナリィにメンテナンスしてもらってね」

 

「頭脳は?」

 

「2200年までにはAIのリフレッシュをタイムふろしきでしたって」」

 

ドラミは23世紀でも存命で、タイムふろしきを使い、どうにか生き永らえているという。ドラミ系のAIは後に解析が進んで簡略化され、ハロシリーズに受け継がれたという記録があり、ドラミは兄と会うために体を時代ごとにメンテナンス可能な部品に体の所々を置き換えながら存命し、2190年代にはタイムふろしきでメインチップの新品の状態へのリフレッシュを行う大手術を行ったばかりである。そのため、ドラミの体はかなりの割合でサナリィの技術とアナハイム・エレクトロニクスの技術が入るキメラの状態であったと言える。

 

 

「ボクに会うため、か。なんだか気まずいなぁ」

 

「君自身が帰るまでは会うのは避けたほうがいいよ」

 

「だね。だから、僕も会わないようにしてるんだけど。23世紀に僕とドラえもんズが戻るのを祈るしかない、か」

 

ドラミの涙ぐましい努力はドラえもんを気まずくさせたが、2130年代から70年は元の世界に『帰れていない』ことである。セワシは余命いくばくもない老人となり、野比家もセワシの孫と曾孫の代ヘ代わりつつある。そんな時代に家督を継ぐのがノビタダである。また、超AI製造技術が失われた事もあり、元のゴースト(魂)を有するほどの高度なAIを有したままで存命する猫型ロボットも実のところ、更に希少である。その復興は賛否両論である地球連邦だが、統合戦争前の状態に戻そうとする取り組みなので、地球連邦憎しのスペースノイド過激派以外は支持している。統合戦争で変質した文明の方向を是正するための取り組みなのに、それを怠惰と断ずるジオン残党はその主張をしだしたこともあり、支持を失い始めた。一年戦争時のサイド3の知識層は統合戦争で超AIやひみつ道具に反対した人々の子孫であり、その流れなのだろうが、強化人間やクローン人間の軍事利用を促進させた張本人であるため、説得力に欠ける。そこもミネバ・ラオ・ザビがサイコフレームの研究封印を持ち出した途端に、交渉がもの忘れに終わりそうになった理由だ。(彼女は統合戦争が長引いた原因を知らないため、技術封印に拒否反応を見せる連邦側に戸惑った。更に、その大義名分としていたネオジオングが組み立て途中である事で、交渉の主導権を喪失した)ドラえもん、キュアラブリー、スネ夫は統合戦争で何があったのか。ダイ・アナザー・デイ後はその理由を調べていくのだった。

 

 

 

 

 

 

――21世紀、ロシア連邦は学園都市に叩きのめされた後、22世紀の統合戦争で中国とともに反統合同盟の中核を構成し、最終的に元の地位すら喪失した惨めな『敗戦国』となった。それが23世紀においての史実である。この二カ国は21世紀の頃にウィッチ世界に何を夢見たのか?少なくとも、第二次世界大戦や文化大革命という出来事で失われた宝物の代替物を得ようとしたとは思われ、それを行うには、扶桑を邪魔とみなしたのだろう。ティターンズを利用し、扶桑領になっている台湾にある故宮博物院の宝物を得ようと密約を交わした中国、失地回復を目論むロシア。その両国の行為がウィッチ世界に東西冷戦時代をもたらし、リベリオンをその時代の分断国家として定着させるに至るのだ。ウィッチ世界には傍迷惑な話である。太平洋戦争が長引き、第二次扶桑海事変、ベトナム戦争と冷戦時代における動乱が続き、それらを戦い抜いた大戦世代ウィッチがその後の時代に至るまで絶対的発言権を持つ事になる。MATが代替役として公的に認められるのが半世紀後の1995年頃であるのも、ウィッチ世界でウィッチ社会にある種の階層が出来上がった表れであった。つまり、ダイ・アナザー・デイはその序章にあたる戦いなのだ。

 

 

 

――統合参謀本部――

 

「中国とロシアはどうするのか」

 

「表立っては追求はできんよ。そこが彼らの上手いところだ。ティターンズも分かってて利用しているだろうが、彼らの行為は東西冷戦時代を拓く一助になるだろうよ」

 

「中国はここには国はないし、同化が進み、民族と言えるだけのコミュニティは残っているかどうか。チャイナタウンはこの世界には少ない。なのに何故…」

 

「宝物が欲しいんだろう。彼の国は悪名高い文化大革命で多くの宝物が失われたが、それを後悔している。当時に運動の中心を担った世代は21世紀には権力についているか、つけなかった例の両極端だという。文化大革命で失われたものを貴国の故宮博物院から略奪してでも取り戻そうとしてるんでしょう」

 

「傍迷惑ですな」

 

「だからこそ、貴国には次の太平洋戦線に勝ってもらなければならないのです。中国とロシアの思惑を叩き潰し、ティターンズを時間をかけて自然消滅に追いやるきっかけを拓くためにも」

 

連合軍と連邦軍の高官達は扶桑を太平洋戦争に勝たすために一致団結する意思を固める。そして、そのための力となるのが『GX』系のガンダムであった。のび太が発案したそのガンダムは夢原のぞみの手に渡り、彼女がGウィッチであった事で、サイコフレームの代替手段の一つとして用意された新型サイコミュである『フラッシュシステム』に適合するという偶然も重なり、彼女は最終的にGX系統に乗り換えることとなる。これは本当に偶然の産物であったが、のび太の希望に適う流れではあった。

 

「我々もそうですが、あなた方はこれから苦難の道を歩まれる。その道を切り拓くためのガンダムの開発を急いでいることをご報告いたします」

 

エイパー・シナプスは連合軍の高官らへGXとDXの概略図を公開する。地球連邦軍がサイコフレームの封印がなされた場合に備えて開発していた新型サイコミュ『フラッシュシステム』を備え、サテライトキャノンという戦略兵器を有するガンダム。コロニー落とし、コロニーレーザー、マスドライバー、隕石落としを阻止し、その行為への抑止力となる事が期待し、開発しているという触れ込みで。これは会議に紛れ込んでいるであろうティターンズのスパイへの地球連邦軍の示威行動の一環であるが、同時にジオン残党への強いメッセージでもあった。

 

「よろしいのですか?そんな新兵器を」

 

「ネズミが紛れ込んでいると思われますので、概略図を敢えて見せたのです。奴らへの間接的な脅しと考えてもらって結構ですよ」

 

エイパー・シナプスはティターンズとエゥーゴの戦乱が起きなければ、デラーズ紛争の責任を押し付けられ、極刑に処せられただろう人間であるため、ティターンズには苛烈な対応をする。バスク・オムとジャミトフ・ハイマンの死後にティターンズ将兵がどういう目に遭うのかの証明であり、バスク・オムの横暴は旧エゥーゴ派によって、ティターンズ将兵を追い込む大義名分にされたわけで、実際、ブライト・ノアはカクリコン・カクーラーに殴打されているし、カミーユも拷問されているなどの横暴、グリプス戦役での虐殺行為でティターンズは戦後、多くがグリプス戦役の戦犯と見做されている。死後に戦犯とされたジェリド・メサなどがその典型だ。ティターンズはその処遇に反発し、更にネオ・ジオンに戦後は協力した事から『ティターンズは反政府の過激派』と民衆に認識されていた。

 

「ティターンズはその横暴で過激派のレッテルを貼られました。選良として振る舞っていたのなら、存続する道もあり得ただろうに」

 

ティターンズは初期段階では選良と言うに相応しい将兵を抱えたが、バスク・オムという人間を実務面でのトップに添えたことで暴走しだし、当初の規律も失われていった。連邦軍の選良になることを期待した将兵はエゥーゴの巧みなプロパガンダもあり、『反政府の過激派』というレッテル貼りをされた。それは連邦軍良識派の工作でもあり、ティターンズは政治抗争に破れ、今の立場に堕ちたのである。ティターンズも元は連邦軍人だが、ティターンズ出身者は戦後は冷遇されているが、その後の戦乱で『禊』として戦った事でエリートコースに戻った者も少なからずいる。だが、ジャミトフ・ハイマンが戦犯として否定された事でショックを受けた、生え抜きティターンズ将兵はジオン残党と同じ道を辿った。これを皮肉と言わずになんとする。ウィッチ世界における現状維持派はティターンズと同じ道を歩もうとしていると言える。

 

「彼らは自分らがエリートの特権階級であることに驕っていた。そして、ウィッチにも同じことが言えますな」

 

「ええ。せっかく有史以来と言えるほどの悲願が叶うケースが生じたのに、それを突然変異扱いして弾圧しようとする。彼女達は『伝統を守る』と宣っている割に、自分達と異なる者が内部に生まれた途端に自分達の先達であろうが、情け容赦なく弾圧する。これでは学生のいじめも同然だ。これがまかり通るのなら、それを許したウィッチの社会は壊れるべきですな」

 

ウィッチの社会は連合軍首脳陣の意思もあり、徐々に従来の形態での社会の解体が始まっていく。扶桑ウィッチ兵科の後年における『解体』はその一つの結果だった。この頃からウィッチと他兵科の連携が意識されだし、航空ウィッチは陸戦ウィッチと違い、特権意識が強かったため、それに立ち遅れてしまったが、ダイ・アナザー・デイが長引き、通常兵器が史実の第二次世界大戦後期から朝鮮戦争期の水準に飛躍する事で意識改革が始まり、機動兵器にウィッチが乗ることも奨励された結果、特権意識の淘汰が始まる。数年後には地球連邦軍製人型機動兵器が司令部直轄の精鋭部隊に配備されだし、ウィッチの教育カリキュラムに『機動兵器操縦』が追加されるのである。雇用形態も様変わりし、士官学校卒の場合は『卒業から10年』(後に7年へ緩和)の勤務実績がなければ、学費返還義務が生ずる)という規定が生まれるに至る。山下奉文大将が言った『ウィッチの社会は壊れるべき』という一言は任期制軍役であるウィッチが真の意味で職業軍人(正規軍人)化する一つのきっかけとなったのだ…。

 

 

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