ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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第八十三話「骨休みの騒動と加東圭子のジルバ」

――歴代スーパーヒーロー達の姿勢は歴代のプリキュア達に少なからずの影響を及ぼした。特に、風来坊的な振る舞いであった仮面ライダーストロンガー/城茂、清々しいほどにヒーローをしている仮面ライダーBLACKRX/南光太郎、ストイックな生き様を見せる仮面ライダー一号/本郷猛が筆頭に挙げられるだろう。夢原のぞみは本郷の仲介で太陽戦隊サンバルカンのバルイーグル/飛羽高之の特訓を受け、『飛羽返し』の会得に燃えていた。桃園ラブも彼を介する形で『地球戦隊ファイブマン』のファイブレッドの必殺技『Vソードアタック』を伝授された――

 

「トワちゃん、大丈夫かなぁ?」

 

「向こうのりんちゃんと事前に連絡取りあってたみたいだから、上手くやるって」

 

「先輩やなのはから聞いたけど、ラブちゃん、地球戦隊ファイブマンを知ってたんだね?」

 

「昔、近所にいたお兄ちゃんにビデオを見せてもらった事があってね。子供の頃はファイブイエローのファンだったんだ。まさか、自分が同じ立場になるなんて、その時は思わなかったけどね~」

 

「言えてる。子供の頃に見てたヒーローと同じ立場になるなんて、普通はないからね」

 

二人は飛羽の言いつけに従い、ススキヶ原の町内ランニングを行っていた。何事も体が資本ということで、基本的な体力づくりから始まっていた。野比家には嵐山長官特製のサファリカレーが送られてきており、それが待っている事もあり、二人ははりきっていた。(サンバルカンの協力による、事前の体力測定では生前と違い、のぞみがラブを持久力で追い抜いていたという。転生の素体が職業軍人だったので、当たり前だが)

 

「この街って意外に広いんだね」

 

「学園都市に行くための高速道路が80年代くらいに通ったらしくてさ、インターチェンジができた関係で開発が進んだんだって」

 

のび太の街である『練馬区・ススキヶ原』は意外に広かった。TV局やロケーションに使える規模の池がある大規模公園が整備されている(かつての一戸建て時代の野比家の敷地はその公園の拡張再整備の範囲に入っており、野比家があった敷地は公衆トイレに変わっていた)。駅前の再整備も進み、2000年代に建て替えられた駅ビル(商店街の一部は駅ビルに移った)、この時代には、建て替えられて10年ほどが経過したホテル『つづれ屋』、再開発で建てられたコンビニや、ジャイアンが起業した『スーパージャイアンズ』一号店などが建ち並ぶ再開発途上のベットタウンと化していた。のび太少年時代にあった『のどかな郊外の住宅地』という雰囲気は薄れ、再整備が進む学園都市のベットタウンの体裁を整えていた。新・野比家(21世紀以降の野比家所在地)は駅前に建てられたマンションの一つの階まるごとである。再開発にあたり、野比家とその近所にいた住民達にかなりの立ち退きの慰謝料が支払われたのが伺える。その関係上、二人は駅前からランニングを始めたのである。

 

「空き地はまだあるの?」

 

「地主が2000年代に死んだ後、街が買い取って、憩いの場ってことで保全したんだって」

 

「へー…」

 

「行ってみよう」

 

のび太が卒業した小学校を通過し、スーパージャイアンズ(彼女たちは青年ジャイアンの計らいで特待会員登録がなされているため、品物を割引価格で買える。なお、会員登録は無料であり、ジャイアンの気前の良さが出ている)でスポーツドリンクを買い、それをホルダーに入れて、空き地付近へ行ってみる。空き地付近はなんと、往時と変わらぬ様子を保っていた。空き地では、のび太達の次の世代の子供達が遊んでおり、ノビスケ達の姿もあった。

 

「ここはのび太くんの時代と変わんないなぁ」

 

「あれ、あの三人は…」

 

「ラブちゃんは初めてだったね。のび太君たちの子供だよ」

 

「みんな結婚できたんだ……つか、しっかり『やること』したんだ」

 

「あ、あは……そこかいな」

 

空き地で遊ぶ見覚えのある顔の三人がのび太、ジャイアン、スネ夫の子である事にある種の感慨を抱いた。それを見届けると、空き地を離れ、ジャイアンの実家を通り、かつてののび太の実家があった敷地を含む公園で小休止に入った。

 

「かなり大きい公園だね」

 

「のび太くんの時代はもっと小さかったんだけど、ここ15年で拡張されたんだって」

 

「売店もあって、人工池もある。確かに大きいけど、そこにあった家々をどかせてまで作る必要が?」

 

「地主たちが2000年代に死に始めたから、70年代以前からあった再開発が動き始めたんだって。それで裏山にもホテルが建って、街も様変わりしたんだ」

 

「確かに」

 

ベンチに座り、スポーツドリンクを飲んで休憩中の二人。かつての野比家があった敷地に建つ公衆トイレで用を足すと、自身らがまさか、昭和の時代からの伝統を持つ日本のスーパーヒーローのバックアップを受け、かのナチス・ドイツすら操っていた組織と戦う事になるとは夢にも思わなかった事、過去に幾多のスーパーヒーロー達の知られざる戦いがあった事、自分たちはまだ、彼らほどの組織力がないことを実感する。

 

「あたしたちってさ、ヒーローユニオンみたいな組織力ないよね」

 

「仕方ないよ。あの人達は昭和の頃から組織力がある。銀河連邦警察のバックだってあるんだし、中高生の緩めのコミュニティだったあたし達とは差が出て当たり前だよ、のぞみちゃん」

 

「それはそうだけど、ここ最近は直近の三代のオールスターズにしかお呼びがかからないのがねぇ」

 

「メタ的な理由が大きいんだけど、寂しい限りだよ。その代わりに実戦で活躍するしかないよ」

 

「だよねぇ。なぎささんとほのかさんと違って、あたしら以降の代は客演の機会がそうそうあるわけじゃないし。それに、現役時代よりせっかく強くなっても、敵がそれ以上なんだよねぇ」

 

「南斗聖拳は正直、面食らったね。あれと戦うためにはエンジェルモードが必須なんて」

 

「あたしだって、シャイニングドリームになっても普通にボコボコにされてるんだよ?本当、上には上があるって奴だよ」

 

「強くなるしかないよ。綾香さんと智子さんが達した領域まで」

 

「シックスセンスの壁を超えないと、その可能性もないからなぁ。その点、のび太君とその一族は何か加護でもついてんの?的な射撃の命中率だし」

 

「ゴルゴより早打ちできるっていうしねぇ、おまけに。素で銃の早打ちで格闘技の名人を倒せるの、ゴルゴとのび太くんだけじゃない?」

 

「のび太くんは運動神経駄目だけどね」

 

銃の早打ちを見切るには相当のコツがいる上、相当の反射神経がいるため、プリキュアや聖闘士、仮面ライダーでも、不意を突かれれば普通に被弾する。ましてや、のび太とゴルゴお得意の神がかり的な速さのクイックドローへの対処は難しい。宇宙刑事なら、コンバットスーツを装着することで対処可能だが、それ以外の者は運試しなところがある。(仮面ライダーと同様の改造を受けたショッカーライダーがライフルの銃撃に反応出来なかったりしているため)

 

「いくら変身で強化されてても、普通に怪我するんだよねぇ。マナちゃんくらいじゃないかな、変身して流血した経験あるの」

 

「うん。前に聞いたことある。だから、こっちの防御を普通に抜ける南斗聖拳はオカシイ」

 

ラブもそう結論づけたが、南斗聖拳は下流の有象無象の流派こそ雑兵も同然のものからプロの暗殺者レベルの流派までピンキリだが、南斗聖拳最高位に位置する『南斗六聖拳』の伝承者は素で最強フォームのプリキュアすら圧倒できるポテンシャルを誇る超人であり、黒江の自衛隊の部下にいた南斗水鳥拳の伝承者以外はほとんど敵と見て間違いなく、最強とされる南斗鳳凰拳の伝承者については一切が不明であるという。それぞれアニメでの伝承者にそっくりであるだろうという因果な点を除けば、プリキュアすら素で圧倒できる実力者たちと目されている。

 

「だから、精霊の力だろうが、アギトの力だろうが、使えるものはなんでも使わないとさ。」

 

「アギト!?まさか、ラブちゃん!?」

 

「うん。実は前世のプリキュアとしての最後の戦いで目覚めたけど、使う機会がそれしかなくてね。力の細かいことはディケイドさんから聞いといたんだ。本当に制御出来るようになったのは、ここ一週間の話だしね」

 

アギトとは、仮面ライダーアギトのことと言えるが、正確には彼らのいる世界で、人に与えられた力を指す。ラブはそれに前世の時点で目覚めたが、既にプリキュアであったため、『仮面ライダーアギト』のような姿にはならなかったが、その能力は本人も知らぬ内に身についており、転生後にそれを改めて自覚したと話す。従って、プリキュアの姿を保ったままで『仮面ライダーアギト』の能力を振るうことが出来ることでもある。

 

「ってことは…、変身の時に仮面ライダーアギトの変身ポーズで変身できるんじゃ?」

 

「うん。前世の最後の戦いはそれで変身したんだよね。アイテムがやられたから」

 

「えぇー!?」

 

「のぞみちゃんだって、掛け声いるけど、気合でシャイニングになれるようになってるじゃん」

 

「昔はブレスでポーズつけながらだったからなぁ、変身ポーズ。この間はキュアモ置き忘れてきて、先輩に怒られたし。昔のブレス型なら、ライブマンやターボレンジャーみたいなポーズで変身出来たかもなぁ」

 

現在は携帯電話型のアイテムで通常の変身をしているが、現役初年の時はスーパー戦隊のようなブレス型のアイテムで変身していたのぞみ。ちょっと懐かしさを感じつつ、ライブマンやサンバルカン、ターボレンジャーのように、ブレスでカッコいいポーズをつけて変身したい願望を覗かせた。

 

「だったらさ、シャイニングドリームになる時にやったら?」

 

「考えとくよ」

 

そう微笑み、スポーツドリンクを飲み干す。二人は売店で百円の駄菓子屋が撃っているようなアイスキャンディーで英気を養い、そこから町外れの工業地帯(再開発途上なので、規模は縮小中で、郊外型スーパーやシネコンが建ち始めている)を通り、駅前通りに出るコースで駅前に戻る。途中でしずかとスネ夫の実家を通過する寄り道をしつつ、二人は新野比家のあるマンションへ戻るところへきたのだが。

 

「あー!ニャロー、あたしらの目の前でひったくりだとぉ!」

 

「絶対許さない!!」

 

二人は元からの正義感もあり、プリキュアへ変身。ひったくり犯を追う。出来心でひったくりをした中学生もまさか、警察ではなく、プリキュアに追っかけられるとは思わなかったらしく、半泣きの必死の形相で逃げる。ドリームとピーチは全速力でひったくり犯を追うが、何故かアクシデントが起こりまくる。(どこからかホームランボールが降ってきて、ドリームの脳天を直撃する、作業中の電気技師がうっかり落としたヘルメットがピーチの目の前に落ちてくる、二人が尻尾をうっかり踏んだのら猫のクロに激怒され、全速力で追っかけ回されるなど)さすがの二人も、激怒するのら猫の追跡から逃れるために体力を消耗し、最後の方は気力で犯人を追いかけていた。

 

「ちっくしょう……あたし達としたことが……」

 

「ひったくり犯を追うだけでフラフラになるなんてぇ……」

 

ドリームに至っては完全にへたばる寸前で、目の焦点がぶれ、スピードがガタ落ち。当初の勢いは見る影もない。無理もないが、犯人が必死の形相で逃げた上、途中のアクシデントで消耗しすぎたのだ。

 

「も~こうなったら……プリキュア・ラブサンシャイン……フレェェッシュ!!」

 

ピーチがやけくそでピーチロットを召喚し、必殺技を放つ。だが、それはどういうわけかどこからか、偶然にそこへ転がってきた看板に阻まれてしまう。なんという偶然だろう。

 

「えぇぇえええぇええ!?嘘ぉぉ!?」

 

「クソッタレ!!こうなったら、一か八か!!プリキュア・シューティングスター!!」

 

ピーチは絶望しきった表情と声で悲鳴をあげる。それを受けたドリームは自身に残された体力で『プリキュア・シューティングスター』を発動。それで飛翔し、犯人に体当たりするような格好で捕縛に成功する。

 

「すいません~、ほんの出来心で…」

 

今更、反省の弁を述べる中学生。

 

「あのねぇ…。それですんだら警察はいらないの。反省しなさい!」

 

プリキュアの意地で、決める時は決めるが、この攻撃で体力が完全に無くなり、犯人を付近の交番に連行した後はピーチに肩を借りる形で帰る事を余儀なくされたドリーム。どうにかマンションの部屋にたどり着くと、二人はプツンと糸が切れたように、そのまま崩れ落ちてしまう。

 

 

――それから数時間後――

 

「あれ、サンシャイン……あたし……」

 

「二人が玄関でぶっ倒れたから、何かと慌てたよ。今さっき、警察の人が来て、わたしたちに事情を説明して帰っていった。ちょうど、機体のデータ取りとオーバーホールに出した帰りだったんだけどね、わたしは」

 

「そりゃゴメン。面倒をかけたね」

 

「いいさ。最近は機体のテストに追われてたし、偶にはね」

 

ガイアをデータ取りとオーバーホールに出したといい、その関係でキュアサンシャインに変身している明堂院いつき。

 

「ピーチは?」

 

「みらいが見てる。また、お手柄だったそうだね」

 

「なんでか知らないけど、ホームランボールが降ってくる、のら猫に追っかけ回されるわ……いったいどうなってるのー!的アクシデントが…」

 

「そりゃ災難だったね。嵐山長官から届いたカレーは用意してあるから、起き上がれたら解凍するよ」

 

「お願い~……」

 

また意識が落ちるキュアドリーム。いくらプリキュアといえど、それなりに広いススキヶ原を何周かすれば、体力を大幅に消耗する。体力の回復力も通常時より上がっているとは言え、スタミナ切れでは為す術もない。ドリームとピーチが次に起きれたのはその日の午後一時になってしまったという(早朝にランニングしていたので、六時間近くもダウンしていた)。こうして、ひったくり犯を捕まえたため、またも表彰されるプリキュア達だが、ドリームとピーチはのら猫のクロが待ち構えている路地に暫く寄りつけなかったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイで撃沈率が高いのは駆逐艦、軽巡、護衛空母などである。特に護衛空母は日本連邦海軍に目の敵にされたため、ウィッチ搭載艦含め、目についた艦は片っ端から撃沈された。生き残った一部は降伏し、連合軍の軍門に降ったものの、参戦した護衛空母の撃沈数はドリームたちの休暇中の時点で20隻を越えていたが、多くがウィッチ搭載艦であったため、ウィッチ同士の大規模空戦が起きる機会は既にほぼ無くなっていたと言える。戦死したウィッチこそ少ないが、航空機による体当たりを普通にしてくる、甲板に機銃掃射がされ、要員が殺傷されるなど、連合軍の鬼気迫る戦闘ぶりに発狂する兵士やウィッチがリベリオン軍に続出した。また、連合軍のウィッチも凄惨な殺し合いと化した戦場に耐えられずに精神を病む者が続出。この問題は敵味方を共に悩ませ、サボタージュの大義名分を無意味なものとさせた。特に日本の市民活動や左派政治家などの反戦キャンペーンでウィッチと兵士の補充に支障を来した扶桑軍にとって、正規の訓練を完了している自衛隊の幹部自衛官は喉から手が出るほど欲しい人材である。自衛官に扶桑の勲章が与えられる最初の事例となったダイ・アナザー・デイは、結果的に日本の扶桑への内政干渉傾向に一石を投じ、日本が扶桑の勲章の統廃合に口出ししなくなる契機になった。また、革命騒ぎの迫害を逃れた多くのオラーシャ軍ウィッチがこの頃から日本連邦軍のウィッチとして参陣。日の丸の旗のもとで彼女たちは戦い、相応に戦果を挙げていく。その大半はダイ・アナザー・デイ後も日本連邦軍に残り、太平洋戦争にも参戦する。純然たる扶桑ウィッチが数的主力に戻るのはもっと後の時代のことになるが、サボタージュを大義名分に特権とされた権利が矢継ぎ早に縮小、あるいは廃止されたことで『社会的ステイタスの地位を喪失した』と見なした扶桑国民がウィッチへ掌返しする事例も発生。扶桑軍はクーデター鎮圧後に緊急にウィッチの保護へ舵を切り、『一定時間の勤務をこなせば、高額の年金を約束する』と表明する他、日本含め、各異世界のウィッチの受け入れを進める。その一方で、特権意識の温床であった兵科は1950年代の終り頃に竹井少将の死と共に解消され、以後は兵科章が特技章に格下げされる形で使われ続ける。旧・兵科章は廃止以後の時代における大戦世代ウィッチの識別として用いられた。――

 

 

 

 

――度重なる戦乱での酷使の慰謝料とも言うべきだが、大戦世代までのウィッチ年金は憲法改正以前の昇進速度で計算され、太平洋戦争とベトナム戦争の双方に従軍した者は自動的に、かなり高額の年金が大戦の第一世代ウィッチが定年に達する80年代以降に支払われる事になる。この年金問題は60年代後半から問題視されるが、太平洋戦争、第二次扶桑海事変、アルジェリア戦争、ベトナム戦争という40年代以後の戦乱の屋台骨となった世代を無下に扱えない扶桑はベトナム戦争に終結が見えた頃から、『ユーラシア大陸領の一部をオラーシャに譲る代わりに、大戦世代の年金の財源を支払われた資金で賄う』案が取り沙汰されるようになる。太平洋戦争以来、海洋国家の体裁を強めた扶桑にとって、既に放棄同然となって久しいベトナム戦争時代にはユーラシア大陸領は重荷になっていたが、放棄が国民の心情的にもできないため、譲渡案が浮上したが、ロシア連邦への悪感情が強い日本が難色を示したが、不毛の地であるシベリアの売却と、日本が一定の財政援助をすることで折り合いがつく。また、大戦世代の年金は現役時代の功績に伴うランクを部内でつけ、支給金を調整する案が採択され、ベトナム戦争まで現役を貫き、その後も定年まで働いた場合は爵位を得る可能性と悠々自適な生活が約束される。正式に方針が決まったのは、大戦世代が一線から退き始めた1960年代終わりの頃であった――

 

 

 

 

 

――扶桑軍はかなりの不利益も短期的に受けたが、ウィッチ世界の超大国化と引き換えであれば、安い対価と言える。新設であるがために相対的に不利益を被らなかった空軍は緊急展開部隊の側面が強められたが、人的には苦労も多かった。ダイ・アナザー・デイで浮き彫りになった『Gウィッチ頼りの現状』を打開しようとしたものの、それが実りだすのはダイ・アナザー・デイから10年以上が経ったアルジェリア戦争の時代であり、大戦世代と扶桑ウィッチの新世代の人数の差が逆転するのは更に後の時代となる。これを指して世代交代の失敗と揶揄する日本の一部勢力だが、自分たちの反戦運動がその一端を担った事を悪びれないため、ダイ・アナザー・デイの三週目頃からは『ああいうブンヤは信用ならん』という、日本マスディア不信の風潮が生まれていた。その一方で『国民に愛想を振りまかないと予算が出ない』民主主義国家の弱点はよく理解していたし、ウィッチへの懐疑論と社会的迫害の表面化を最初に危惧していたのも空軍であるため、ブルーインパルス相当の曲技飛行隊も設立されるなど、扶桑がウィッチの保護に政策の舵を切ってからは比較的に社会的に安定した地位を築く。その関係上、海軍航空隊と空軍部隊の任務の差が時代と共に曖昧となるが、予算と訓練内容、防諜の都合で海軍航空隊は一応は存続する他、任務が最盛期より縮小されても、本来の洋上作戦での制空権・制海権の確保任務は残されたため、太平洋戦争の後期には新生航空隊として再建されるに至る。また、太平洋戦争を皮切りに、強襲揚陸艦の制海艦運用が始まり、海軍ウィッチはそれを大抵の場合の母艦とする形で生き延びていく。また、簡略化された教育でつぶしの効かない中堅層の多くが抜け、Gウィッチに理解がある古参が結果的にコミュニティの多数派に返り咲くことで、Gウィッチへの敵視は薄れ、やがて、戦乱が激しくなるにつれ、世間からはダイ・アナザー・デイの時期と逆に『ウィッチの守護神』という真逆の評価が生まれ、主流となるのである――

 

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイの海戦は連合海軍(実質は日本連合艦隊+αと化していたが)が主導権を握りつつあった。これは日本側の予想と異なり、扶桑がM動乱でたっぷりと近代兵器による対艦戦闘のノウハウを吸収していた事、史実の比でない大和型戦艦とその血族の戦闘能力、ブリタニアとの連合であるための近代的な艦隊規模での統制射撃など、リベリオン側の持たぬノウハウを叩きつけた結果であった。相応の出血は強いられたが、主力戦艦と主力空母は健在であり、秘匿していた戦後型ジェット戦闘機部隊の投入も間近であった。機種については扶桑独自の選定の面が強いため、日本側には間近まで秘匿されていた――

 

 

――空母『龍鶴』――

 

「あの、准将。これは……」

 

「空母に秘匿していたジェット機だ」

 

「政治家対策ですか」

 

「そうだ。F-14やバッカニアなんてのは、性能はともかくも、『道楽』と取られやすい機種だからな。君たちにも秘密にしていた」

 

Gフォース海上部隊の連絡将校に説明する圭子。やさぐれ度は抑えているが、荒くれ者とは自衛隊にも知れ渡っていたりする。

 

「よく作れましたね」

 

「例の彼らのテコ入れだ。F-8、A-4などは旧式って言われるだろうが、湾岸戦争までバッカニアは現役だったろ?」

 

「ええ」

 

それらジェット機は扶桑が用意できる範囲の最高位機種であるが、太平洋戦争型の空母が多数現役な現状では『ブタに真珠』と言われかねないため、生産が軌道に乗る段階まで秘匿していたと話す圭子。

 

「空母って入れ物が追いつかない段階で作るなって言われると思って秘密にしていた。太平洋戦争型空母の大半はF-8が限界だからな」

 

「それでこの空母を?」

 

「そうだ。日本がほしい10万トン級空母なんぞ、自前で作ろうとしたら、10年以上の月日がいるだろうからな」

 

ミッドウェイ級でさえ天井高が足りないと言われる様になっているため、それより小さい空母は言わずもがな。だが、VFの運用前提のプロメテウス級であれば、ニミッツ級よりも70mも大きいため、第二次世界大戦中の双発爆撃機くらいであれば、その気になれば離着陸出来るという。この空母の導入はこのような事情がある。この頃にはウィッチ世界の沖縄に日本の市民団体の反対運動で基地が置けなくなったため、沖縄は史実と異なる発展を遂げていく。代替に東西に二隻のプロメテウス級を停泊させ、それを基地代わりにすることで安全確保を主眼にする住民の懇願に応えたが、軍の諸施設が建つ事で働き口を確保できると見込んでいた那覇市などは当てが外れたため、その補填を求めていく。日本の市民団体にとっては困惑する結果となった。その教訓で神奈川、東京、新京などの主要都市の地下空間は大規模工廠と地下都市として整備され、以後の時代における『疎開先』として使われていく。それに携わったのがドラえもんであり、彼が野比家の一員である事も、野比家が爵位を得る理由であった。扶桑が空襲に強くなったのは、地下都市の整備あってのこと。

 

「インフラ整備と航空隊育成とを併せればもっとかかるかと」

 

「航空隊整備が面倒だからって、空軍部隊を乗っけたのはいいが、ジェットに慣らすのは骨だったがね」

 

「どこのエトランジェですか」

 

「仕方あるまい。多くがレシプロの癖がある連中を急いで、ジェットに再教育したんだ。練習機は十数機がオシャカになった」

 

「それで済んで良かったじゃないですか。新規で育てて、空母に載せられるまでの人数を揃えるにはそれなりに期間がいりますからね」

 

「米英軍に頭下げて、教育に噛んでもらった。ドイツ空軍が腰抜かしたぞ」

 

「旧式のグラーフ・ツェッペリンすら持て余す田舎海軍の言うことは聞き流して結構ですよ」

 

カールスラント帝国海軍は第一次大戦で主力が壊滅して以降、『田舎海軍』の誹りを受けるようになった。1930年代からの再建計画『Z計画』の頓挫、国自体の疎開による工業力低下で『外洋海軍』としての再建は夢物語となった。また、とうとう空母機動部隊を持てなかったことはカールスラント海軍のトラウマとなり、それが潜水艦への異常な傾倒に繋がると言うのも皮肉であった。太平洋で覇を唱えつつあるとは言え、一時は世界二位と謳われた海軍であったカールスラント海軍が一次大戦から20年後には、後進の扶桑海軍に『田舎海軍』とあからさまに馬鹿にされるのも悲劇であった。戦艦はほとんどが一次大戦世代に毛が生えた程度の『新古艦』。最大のビスマルク級も二線級と見なされる性能しか今やない。バダンからの鹵獲艦で大型艦を賄おうとしたカール・デーニッツの再建計画は反発を呼び、結局、大型艦の新造は諦められ、グラーフ・ツェッペリンの返却も彼の方針であった。カールスラント海軍の混乱はカール・デーニッツの極端な方針のせいでもあるため、彼の極端な潜水艦主義は賛否両論となったという。自身が関わったXXⅠ型潜水艦がバダンの手で存在価値を認められたがための暴走だが、ドイツからの押しつけもあったため、カール・デーニッツは後世から賛否両論の強い提督として名を残したという――

 

 

 

 

 

 

 

 

――プリキュア達が戦闘行為の合法化を理由に、正規軍人(職業軍人)となっていく事は日本で物議を醸していたが、公的な後援が存在しないヒロインである故に日本での公的活動に際しては『法的問題』が重くのしかかっていた事、一部はウィッチ世界で既に日本連邦以外の各国の軍人であるという事実もあり、日本籍、もしくは扶桑籍にあたるプリキュア達の職業軍人への就職の容認を急いだ。最初の認定で該当するのは、転生先で扶桑の職業軍人であるのぞみ、それに次いで志願したラブ、みらい、みゆきの四代のピンク(後に、キュアブルーム/日向咲も加わる)、ことは、りんなどである。比較的にしがらみがない航空部隊の要員という事になったために必要上、飛行訓練も行われ、後には機動兵器戦闘もこなすようになる。ダイ・アナザー・デイで、ティターンズの要する高位の南斗聖拳伝承者を曲がりなりにも食い止められる実力を持つ点で、彼女たちは貴重な戦力であった。第二次認定でマナ、いちか、めぐみの三代のピンク、いおな、六花などが正式に軍籍を与えられた。プリキュアでありつつ、日本連邦の国籍ではないが、それに準ずる扱いをされたのがシャーリー(キュアメロディ)であった。自由リベリオンは本国からは叛逆者とされている上、国際的に承認された存在でもないからだ。(日本への移民と見なされる)――

 

 

 

「シャーリー。今日のラジオはあんたとめぐみが担当よ」

 

「めぐみと?珍しい組み合わせだな、智子さん」

 

「休暇取ってる連中の代打よ。それに、アストルフォがあんたの前世を盛大にカミングアウトしてたわよ」

 

「アコのやろぉぉぉ~…」

 

「いーじゃん。プリキュアの姿で紅蓮聖天八極式にのってんしょ??」

 

「あんたなー……」

 

紅月カレンの前世がある事を知られたシャーリー。コードギアスファンからのファンレターも増加してきているが、未だに枢木スザクとの感情的しこりは残っていることは公言しつつ、ルルーシュに未練が残っていることで意外に人気が出ている。

 

「掲示板見ろよ、概ね『やっぱりな』って意見ばっかりで偶にちょっと切れてるやつとか居ておもしれぇぞ?」

 

「ケイさん、からかうのやめてくれよ。こっちはブリタニアとドンパチした記憶が蘇ってるんだから、洒落にならないって」

 

「そんなこと言ったらよ、美遊の声なんて、ルルーシュのシスコンの根源の奴に似てんだろ?」

 

「ルルーシュが見たら泡吹くよ、多分」

 

「気にしたってしょうがねぇよ、昔の記憶なんざ知識の飾り程度のもんだ、忘れる必要も無いが拘っても良い事ぁねぇぞ?いいじゃねーか。シーツーがいない分」

 

「あの箒の仲間だって言うガキを一時は疑ったけど、気のせいだった。シーツーもほのかさんもあんなポンのコツじゃねーし」

 

それはセシリア・オルコットの事だが、一時はシーツーか雪城ほのかの転生を疑われたが、すぐに疑いは晴れている。曰く、ポンのコツだったから、らしい。また、千冬の同位体の転生が黒川エレンであったため、キュアマーチとの関係がややこしくなったと、エレンはぼやいている。

 

「ところで、キュアエースは何してんだ?」

 

「スローネドライで大太刀振り回してたわよ。変身した姿でシステムを起動させてるから、機体にも能力のプラス補正が出るらしくて、何か、赤い炎を大太刀に…」

 

「どこの炎髪灼眼の討ち手だ、あのガキ」

 

「あの子、転生先だと、大企業の後継者なんだけど、そういう生活の息抜きしたいみたいで」

 

「なのはのダチに転生したんだって?アンニャロ、ややこしいポジションだぞ」

 

「あたしよりはマシじゃないですか?」

 

「えーと、その声はスバルか?久しぶりだな」

 

「ここ最近はおばーちゃん(ガランド)の秘書してますし、クロと声似てるから、ややこしいかなーって思って」

 

クロによく似ているが、若干大人びた声の主はスバル・ナカジマ。機動六課の再編が遅れていること、時空管理局のゴタゴタで二尉になっているが、実質は(子供化して転移し、ウィッチ世界で生きていた母親のクイント・ナカジマがガランドの養子になっていた都合による)義理の祖母であるアドルフィーネ・ガランドの公設秘書も同然である。また、他の世界と違い、彼女は救命目的とは言え、戦闘機人から改造人間へと改造されたため、体の構造は仮面ライダーと同等となっている。これは姉のギンガも同様だ。

 

「それはそうと、閣下の機関はどうなんだ?」

 

「おばーちゃん、張り切ってますよ?グンドュラに面倒ごとを押し付けてやったぞーって」

 

ガランドの設立したG機関は既に活動を開始済みで、カールスラントの元帥府の代替物とも見なされている。現役時代に指揮下の部隊をまるごと引き抜いて義勇兵とし、リストラから守るなど、したたかな政略を行う人物だが、20代で義理の孫が大勢いる身であり、娘婿のほうが遥かに年上な一家の主である。

 

「のび太くんに伝えてください。サテライトシステムに目処がたったって」

 

「何、サテライトシステムだと!?」

 

「のび太くんが研究させてる新しいサイコミュ『フラッシュシステム』と一体のシステムですけどね」

 

「のび太の野郎、あのガンダムでも造んのか!?」

 

「はい。本当にやるみたいです」

 

「嘘だろおい……。ケイさん、どう思う?」

 

「良いんじゃねーか?この世で信じられるのは力なりとは、よく言ったもんだ」

 

「これだよ、も~!」

 

圭子は転生後は荒くれ者として鳴らしている都合、のび太の選択を気に入ったようだ。圭子の好戦的、ウルトラ短気、ガンクレイジーぶりはある意味、圭子本来の勇猛な側面を表している。

 

「自分が神格になっちまうと、頼れるカミサマもいない。日本人のメスガキに頼れるものはいったい何だと思う?そいつは金だ、力だ、そして、自分の心。この三つがありゃ天下太平ってやつだ」

 

圭子は素の容姿に戻っていても、口調は荒々しい。温厚そうな容貌と裏腹の口汚さ。それが逆に彼女を周囲がレッテルを貼って恐れおののく理由にもなっている。圭子が結婚出来ない理由もそこだ。シャーリーがプリキュアになる前の時期にトラックを圭子の目の前でドリフトやらかした時には、『ふッざッけッンッじゃあ―――ねェぞッ!!なんだ今のドリフト!事故もへッたくれもあるかぁッ!!』と怒り狂い、トラックに同乗していたルッキーニを怯えさせたことすらある。圭子はとにかく口が悪くなったため、アフリカ組からは一時は正気を疑われたが、むしろこれが素であるのだ。

 

「ケイさん、それでよくお見合いしますね」

 

「親父とお袋が勝手にするんだよ。この時代の常識じゃ、あたしは行き遅れの年齢だからな」

 

「何連敗です?」

 

「……30連敗だよ、畜生が」

 

「うん、その……お疲れ様です」

 

「あたしなんて、前世もその前も恋愛運ゼロだったから、羨ましいぜ」

 

「基本、兵隊は自分を殺し軍隊と言う機械の歯車になる事で正気の失せた戦場で心を守る様に訓練する。正気のまんま戦場に立ったヤツらは十中八九心が壊れる。綾香もそうだったし、智子も、のぞみもだ。結婚して婿さんと落ち着く正気の沙汰な生活なんぞ無縁なのさ、あたしにはな。あいつらも分かるべきだがな、正気で戦争は出来ねぇさ」

 

黒江、智子、のぞみの三者は『正気のままで戦ったから、一度は壊れた』と評し、圭子なりの死生観はかなり混沌としている事がわかる。

 

「ケイさん、ネジがぶっ飛んでますね」

 

「言ったろ。戦争に正気はねぇ。あるのは狂気だよ。血と硝煙に慣れた以上、残された道は『鉄と血の嵐を突き進む』だけだ」

 

圭子は巨人の目覚めで狂ってしまった世界においての生き方を理解していた。スバルも思わす圧倒される、硝煙と血にまみれた圭子の気質。レイブンズ最狂の女と謳われたのは伊達ではない。

 

「普段の自分と、軍人としての自分の棚を心に作れないと戦争は心を簡単にすり潰しに来るんだ。綾香がそれを学んだのは、前世であたしが自爆した時だったがな。のび太を見習えと言いたかったぜ」

 

圭子はその口の悪さなどから、若者に反発されやすいが、真理を突いていることで相手を黙らすことも一級である。教育畑から講師になってくれと誘われている。

 

「子供たちから好かれませんよ?」

 

「ガキのお守りは綾香と智子にさせるさ。いつもお守り役ばっかだったんだ。偶には解放させろや」

 

圭子は自分が押し付けられてきた役回りに嫌気が差していた。それを明確に表す台詞であるため、シャーリーもスバルもちょびっと共感しつつも、子供の教育に悪いと、お互いに思うのだった。圭子は素の容姿では温厚そうな外見であるため、言動の荒さは驚かれる。リーネもそのクチであった。(圭子の荒さに驚いたと言う意味で)

 

「悪いヤツが居て、そう言うのに抵抗力付けて貰うのも大人の仕事だ、反面教師も居なきゃな」

 

そう嗤う。実際、圭子の荒々しさを見たマルセイユが他世界より素直に育ったり、黒江が風来坊になったので、なにかかしらの影響は与えているだろう。三人は圭子の姿を見て、そう考えるのだった。

 

 

 

 

 

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