ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第八十七話「流竜馬の回想とダイ・アナザー・デイ」

――扶桑はダイ・アナザー・デイを境に、国家のみならず、国民思想も変化を余儀なくされていく。ウィッチへの社会的厚遇は平等性の観点から次第に取りやめられるが、社会の掌返しからの魔女狩りで、かつての明国や李氏朝鮮と同じ道(滅亡)を辿るのを恐れる扶桑皇室や重臣達の意向もあり、金銭的意味での厚遇だけは続けられた。日本の一部が主張する華族階級の正式な解体もウィッチの一定数の確保と社会の安定という意味合いからされず、特権の廃止という形で時代が進むごとに『名誉階級化』が進む。その中での事実上の新たな特権階級と見られたのが、GウィッチとSウィッチである。Gウィッチは基本的に転生者中心の特殊な存在だが、Sウィッチは功のある『通常ウィッチやRウィッチ』に与えられる特別名誉の位置づけとして、新たに創設された。Gウィッチの政治的突出が同位国に危険視されるのを危惧する良識派主導で創設された名誉であり、Gウィッチにほぼ準じた待遇を受けることとされた。これはGウィッチのみが厚遇されているとの批判を避けるためであったが、軍部にはそれほどに戦闘能力と指揮能力がある通常ウィッチはダイ・アナザー・デイ当時には殆どいなかった。(名だたるエースの殆どがGウィッチであった都合も大きい)その都合でダイ・アナザー・デイの時期には扶桑本土で教官任務についていた広瀬大佐は64Fで活躍している最中にその待遇を受ける事になり、扶桑での映えあるSウィッチ第一号は彼女となった――

 

 

 

 

 

 

 

――Sウィッチ創設の音頭を取ったのは、エルヴィン・ロンメルであった。彼はドイツから『ヒトラーに仕えていたくせに…』というだけで疎まれていたが、『適材適所』ということで、現場指揮官としては有能であるため、21世紀のNATOからは公然と庇護されていた。Gウィッチは上層部にとっては、戦場で一騎当千を体現する貴重な人材だが、通常ウィッチの嫉妬を買う存在でもあった。そのため、通常ウィッチなどにも、ほぼ同等の待遇を受けられる権利を保証する事で、Gウィッチへの誹謗中傷を抑えようとしたのだ。また、連合軍で一定の地位を持っていたスオムスがマンネルヘイムの史実の行い(途中でドイツからソ連に鞍替えした)と智子の属していたいらん子中隊の一件を責められ、政治的に追い詰められ、国家存亡の危機にさえ陥っていたため、日本連邦の軍事的突出が許容された事も創設の一因とされた。(スオムスは軍事的には小国に過ぎず、ウィッチの世代交代期に入っていたことも日本連邦の経済制裁を恐れた理由だ)連合軍でそれまで、大きな地位を持っていたカールスラントとスオムスが軍事的に急激に衰退した事はブリタニアには大きな誤算であり、日本連邦にその代替を求めるのは当然であった。

 

――連合軍 統合参謀本部――

 

「日本連邦には相応に負担をしてもらいます。確かに義勇飛行中隊(いらん子中隊)の戦果を秘匿したのは事実ですが、前線の士気の低下を防ぎたかっただけであって、人種差別の意図はまったくありません。神に誓っても……」

 

カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイムは人種差別の意図はなく、士気阻喪の観点からの情報秘匿であったと、改めて日本連邦へ弁解した。『情報の秘匿』が501内の隊員の不和の一因であることの責任も取ると述べた。これでエルヴィン・ロンメルはミーナの一件で管理責任を問われずに済んだわけだが、ミーナの行いはカールスラントが正式に501の運営権を手放すための政治的な大義名分に使われ、日本連邦が64に501を組み込む大義名分にも使われたため、事実上、ミーナに成り代わったまほは『異心ない実直な軍人』として振る舞うことを周囲から求められ、まほもミーナ個人の名誉回復に邁進していく。この頃が、もっともミーナ個人の評価が下がっていた時期であると同時に、連合軍の参謀級以上の軍人達にとっても苦難の時代であった。海軍はとりわけ、山本五十六とチェスター・ニミッツの二大提督が君臨するようになり、空軍も源田実やカーチス・ルメイなどが実権を握っていく。その過程で衰退していくカールスラント空軍。もはや、人材派遣センターの様相を呈し始めた同空軍は実戦で培ってきた人員の質でどうにか面目を保っているようなもので、それが失われれば、二流に成り下がるのは明らかであった。そこでグンドュラ・ラルはNATOに泣きつくことを提案し、カールスラント軍統帥部も了承。ちょうど、ウィッチ世界に足がかりを欲しがったNATOの思惑に乗っかる形で軍事的に庇護を受けられる事になったため、流石に恥をかいたと見たドイツ連邦も気まずくなり、過剰な軍縮への圧力を止めたのだ。

 

「マンネルヘイム元帥、それがスオムス軍の公式見解でしょうか」

 

「そうです。我が国では人種差別など存在しないことを改めて表明すると共に、日本連邦への援助は~……」

 

記者会見でそう表明するマンネルヘイム。山本五十六に述べたように、東洋人への人種差別はしていないと繰り返し述べ、智子に最高名誉である白バラ勲章を授けていることを日本向けに表明する。日本連邦ではスオムスへの経済制裁が叫ばれており、軍隊の引き上げも俎上に載せられている。白バラ勲章はフィンランド最高の名誉でもあるため、日本で『ナチスの勲章ではないか!これは不謹慎である!』というトンチンカンな指摘があったのをマンネルヘイムは一蹴する。また、そのカールスラントから戦功で鉄十字勲章を授けられた扶桑軍人も山程いるため、日本の左派はとにかく困惑する事になった他、扶桑の金鵄勲章を廃し、扶桑軍人も日本の危険業務従事者叙勲の対象に加え、瑞宝章と金杯(と、お情けの年金)で金鵄勲章に代える案も金鵄勲章の対象者が一兵卒にまで及ぶ事を勘案し、立ち消えとなる(勲章の数の増加で価値の低下が危惧されたのもある)。結局、日本の左派はあれこれと空回りした挙句の果てに、自分たちがウィッチ世界から白眼視されることとなった。連合軍はこうした政治に振り回されたために、『少ない人員で戦線を回す』事に血道をあげる事になり、人型機動兵器の使用を容認し始める。それを有する64Fはまさにうってつけの部隊であったのだ。(堅物であるウルスラがなかなか出世できない理由でもある)機甲戦力の不足を人型機動兵器で補うドクトリンはジオンと似たような結論だが、人員と兵器不足を補うために一人あたりの戦闘単位をそれまでの10倍以上に引き上げる必要があったからである――

 

 

 

 

 

 

――地球連邦軍は64Fに回す形で、過去の試作機や新型量産機のテストをウィッチ世界で行うようになった。RGM-96X『ジェスタ』もその一つ。特務用ジム系であるため、頑強な構造の大型機である。同機は当初は旧式と見做された大型機であることなどから、あまり量産は予定されなかったが、小型機の時代が外宇宙戦闘などの観点から『終わった』ため、逆に標準規格の機械部品でも代用が効き、現地整備が容易な大型機が見直された結果、量産されるようになった。νガンダムの九割とも言われるカタログスペックと、大型機故に装甲が分厚いための生存性は小型機の比ではなく、小型機の多くが同等の技術で制作された大型機に逆に駆逐される結果となった。(小型機は電子機器が高度に装甲と一体化した機種が大半であり、その整備に却って手間がかかる)64Fでは、腕利きの幹部たちがガンダムタイプを用い、その護衛が量産機の上位機種を用いるという図式であった。――

 

「黒江さん、ジム系の大型機なんて、今更ながら新造されてんの?」

 

「ガンブラスターやV系のラインがほとんど閉じてる上、外宇宙戦闘じゃ、デカイほうが役に立つんだよ」

 

格納庫に置かれているものはアナハイム・エレクトロニクスやサナリィの試作機と量産機の山であるが、連邦の基本的MS編成を踏んだ上の編成である。ジェスタ・キャノンもあり、当時のジェガン系最新機種が揃っていた。

 

「あれ、グスタフカールは?」

 

「あれは地上の治安部隊が優先されてるから、ウチ(ロンド・ベル)にも回されないそうだ。たぶん、外見がデブだからってわけじゃないと思う」

 

ジェスタとグスタフカールは互角の性能であるとされるが、敏捷性でグスタフカールは遅れを取るとされる。これは開発目標の差でもあるが、性能自体に差はそれほどない。

 

「デブだからってだめじゃないしな。なら、昔のリック・ディアスはどうなんだって話になる」

 

「言えてんな。お、ジェイブスもあんのか?」

 

「アナハイム・エレクトロニクスが売り込みをかけてきてな。性能実証して欲しいんだと。ミドルサイズの量産機の」

 

RGM-153というナンバーが予定されている『ジェイブス』。一からの新造されたジム系MSとしては久しぶりの新作だが、受けは良くない。ミッションパック装備前提であるからだ。専用のヴェスバーパックは高火力を与えるが、高価である。これは設計開始が軍縮の名残りが残る時代であったので、機数を減らす意味合いで採用された機構だが、連邦の伝統である汎用性を完全には体現しておらず、ストライカーパックと似通ったアイデアながら、ヒットしない。

 

「ミッションパックは機体の数が制限される様な局面では役にたつかもしれんが万能にはならんからな」

 

「アストナージさん」

 

64fに整備技術指導のために送り込まれた人員の一人であり、ロンド・ベルのメカニック主任『アストナージ・メドッソ』。エゥーゴ時代からの古参で、MSはもちろん、ゲッターロボまで整備できる猛者である。

 

「ミッションパックで複数種類の機体の搭載を減じられてもパックの収納スペースを食うから、宇宙艦艇の搭載機としては微妙だな、ストライクやインパルスのパックみたいな補給機能の追加も有れば、少しはマシなんだが」

 

「ゼク・ツヴァイみたいなもん?」

 

「アレは過度の重装備化が原因だよ。補助推進器とプロペラントタンクを一体化して作戦空域でも自動的に付け外し出来るなら無人補給システムになるんだがね。そういえば、のび太の時代でストライクルージュをシャーリー、お前の後輩にテストさせてるだろ?」

 

「うん。朝日奈みらい。あたしの年の離れてる後輩だけど?」

 

「ストライクルージュのあのゴテゴテしたのなんだ?調整に苦労したんだが」

 

「オオトリパックとか言って、空戦と重火力両立のパックだって」

 

「あんなに武器積む必要があるか?」

 

「それはオーブに聞いてくれよ」

 

ストライクルージュはこの時期には朝日奈みらいの手に渡り、新操縦システムのテストベッドにされている。空を飛べ、火器も充実しているのだが、21世紀の状況では『猫に小判』に近いのだが。

 

「オーブに聞いたら、元は向こうの姫様(カガリ・ユラ・アスハ)の乗機だから、連邦のコピーと別に保管してたオリジナルの機能拡張として作ったんだと。ところが、姫様が国を治めるようになった上、アカツキが見つかったってことで」

 

「あの姫様にあれは宝の持ち腐れじゃね?」

 

「アークエンジェルのあの少佐が使うから、いいんだとさ。ま、ヤタノカガミはこっちのメガ粒子砲には弾く効果は出ないし、バスターライフルにゃ効かねぇけどな」

 

アカツキは一種の鏡面加工が施されており、コズミック・イラ世界のビームを弾けるが、23世紀世界のメガ粒子砲などには効果があまり見込めない。ましてや、バスターライフル級の火器は論外である。(有無を言わさずに蒸発する)

 

「そう言えば、いつきはガイアを使ってるんだろ?あいつの機体のデータはどうなのさ、アストナージさん」

 

「解析したよ。積んでるシステムはモビルファイターに近い感覚で動かせるシステムだから、促成に役に立つさ。MSは戦闘機より錬度差が生死に繋がるから、パイロット不足を補うにはいいかもな」

 

新システムは機体に高度な動きを要求するため、ガイアはほとんど原型が残らないレベルで新造部品に置き換えられた他、関節部はマグネットコーティング化されている。連邦製ストライクルージュについては、多少の改修で対応できている。機体の稼働記録はアストナージのタブレットに保管されており、それを見てみると、明堂院いつき(キュアサンシャイン)は機体のテストのため、自身が前世から引き継いだスキルである格闘技の演舞をやっていた事が記録されていた。モビルファイターからのスピンオフがなされているため、コズミック・イラの技術レベルでは不可能なほどに滑らかな動きで演舞を行う。

 

「そろそろ、MA形態もテストさせるかな?」

 

「あれ、四つん這いになるでしょ?どうするんだい?」

 

「装備的に一撃離脱戦法には使えるだろ?ただ、システムを使うと、目回る動きはできんな」

 

「システム自体、MDの対極になろうとして造られたフシがあるからな。場合によれば、プリキュアの技を機体越しに撃てるかもな」

 

ガイアはMA形態の操作が課題であるが、思考トリガーとルーティーンで変形、コントロールはフルスレイブからオート制御と思考による制御補助に切り替えという案が採用され、後にさらなる改修が行われる。また、いつきがキュアサンシャインの状態で乗りこんでいる場合はプリキュアとしてのアイテムを使える事が判明したため、機体越しにプリキュアとしての技を撃てることも確認されたという。また、『機体に乗っている時にプリキュアに変身していると、機体能力にも大きくプラス補正がかかる』ということは、キュアエースのスローネドライで確かめられた。

 

「能力があがることはスローネドライで確認した。比較的に『非力』なスローネドライでエクシアやダブルオーもかくやの格闘をしやがったからな、エース」

 

「おい、ちょいまち!!エースのやつはエースショットが必殺技だぞ!?」

 

「あいつ、同位体に某炎髪灼眼の討ち手がいるっぽいんだよ」

 

 

「おいおいおい、バカも休み休み……」

 

「お前が紅月カレンだった以上、ありえん話でもねぇだろ?」

 

黒江も半信半疑なのだが、所々でアリサ・バニングスとしての特徴でもない特徴が表れているのは確認している。パニックになったり、照れたりする時の『うるさいうるさいうるさい』、メロンパンに凝っている、日本刀を扱わせたら、何故か強い。この三つだ。スローネの基本ポテンシャルの高さもあるだろうが、日本刀に炎を走らせて奮う時の動きはどう見ても玄人のそれだ。

 

「だから、あいつ、Gフォースにネタにされてるんだぜ?なのはの親友で、ガンダム乗って、プリキュアで……盛り過ぎなくらいだ。あと、銃持つと『風穴開けますわよ!』とか言うから、某名探偵の曾孫も混じってるな、たぶん」

 

「何ぃぃーーー!?属性盛り過ぎだろ、神様ぁ!?」

 

「お前も大概だろ、ナイトメアフレーム乗れるプリキュアだぞ?」

 

キュアエースは色々と盛り過ぎの属性持ちな上、現世では大企業の後継者であり、なのはの親友(幼馴染)という美味しいポジションをゲットしたため、キュアハート/相田マナに『亜久里ちゃん、ずる~い!!あたしなんて、30分アニメの噛ませポジ(逸見エリカは黒森峰女学園での噛ませのポジションに当たる)なのにぃ~!』とぼやかれている。もっとも、キュアダイヤモンド/菱川六花は婚后光子に転生していた都合上、レベル4の風使いとしての能力は健在であり、現役時代より強くなっていたりする。

 

「すると、何か?チートの極みなの、エースとダイヤモンドか?」

 

「バカ、ハッピー忘れてんぞ」

 

「あいつ、現役時代はのぞみがまともに見えるくらいのアホだったし、宮藤になってても、どうもなー」

 

「アホ、あいつは狸だぞ」

 

「と、言われてもなー」

 

「ロゼッタも大概だな。戦車指揮の神様で、その上、プリキュアとしても強いし…」

 

「あれもチートだよなー…」

 

「チートとか関係なく神殺しの戦士としての可能性で、世界に引き寄せられてるんだぞ、転生や転移で来てるヤツは」

 

「フッフッフッ、私をわすれてるにゃ」

 

「おい、ユニ。お前も……」

 

「現世じゃプラウダ高校のNo.2で、ロシア語堪能、文武両道にゃー」

 

「あれ、今回は地球人の姿がデフォだっけ」

 

「そうにゃ。尻尾は名残りだと思ってくれにゃ。それとキュアピースから伝言。響とラブはシベリア送りだって」

 

「ププー。なぁーにがシベリア送りよ」

 

笑い飛ばすシャーリーだが、キュアピースはカチューシャに転生しており、前世での特オタ属性は維持されているが、かなり情け容赦ない采配を奮う指揮官に成長している。なお、プリキュアに隊長と副隊長が覚醒したプラウダ高校はG機関の出先と化していたりする。

 

「それとキュアベリーから伝言。スパイラルスター・スプラッシュをどこで覚えたのよ、ラブは、だって」

 

「美希の野郎に伝えとけ、あたしもわからねぇって。それと、マチルダ乗ってないで、センチュリオンに正式に乗り換えたらどうだ?って。それと変なうんちくは後輩が嫌がってるぞって」

 

「あの子、あれに凝ってるんだって」

 

「知るかー!!」

 

妙にギャグ的な展開になるが、一応は戦闘配置であるため、それぞれ機体に向かうのだが。

 

「待て、シャーリー」

 

「アストナージさん、何?」

 

「上からの要請だ。特式を使え」

 

「えー!?あれは燃費が悪化してるってのにー!」

 

「仕方あるまい、データ取りのためだと思え」

 

「つか、あれ、一、二度しか乗ってねぇから、感覚忘れちまったんだよー!」

 

「聖天八極式もそれくらいだろ?」

 

「聖天八極式はその後も使ってたんだよー!」

 

と、愚痴るシャーリー。梱包が説かれた紅蓮特式は紅蓮聖天八極式より各部が大型化したためにパワーアップはしているが、それに比例して行動可能時間は短くなっていた。シャーリーはそれを愚痴るが、『活動時間の問題は動力が元ネタと異なるから心配するな』。そうアストナージはいう。

 

「融合炉積んで居るから、地上では燃費は気にしなくて良い、輻射波動のオーバーロードだけは気をつけろ!」

 

「あいよ!!」

 

エレベーターで甲板に出ると、先行して射出されていくZプラスD型のウエーブライダーのスラスター炎と飛行機雲が見えた。

 

「生まれ変わったら、生まれ変わったで、紅蓮(こいつ)と縁が切れないなんて。つくづく、因果なもんだな」

 

『シャーロット・イェーガー、紅蓮特式、出るよ!!』

 

カタパルトで紅蓮特式は射出される。甲板を離れた段階で『飛翔翼』式になったエナジーウイングを展開し、飛翔する。ゲリラ戦法向けに造られていない事から、シャーリーは好んではいないようだが、曲がりなりにも紅蓮系ナイトメアフレームの最終型であるため、総合性能では歴代トップを誇る。大型化したために小回りは多少効かなくなったが、運用法が変化したため、正面戦闘向けに改良されたと言える。と、そこへ。

 

 

『よう。俺も混ぜさせてもらうぜ』

 

『あのさ、竜馬さん。それ、あんたの趣味?』

 

『外観はな。武装は敷島のジジイの好みだ』

 

ブラックゲッターも混ざるが、ここで武装は竜馬の好みでセレクトされていないものが大半という事が判明する。曰く、大人になった竜馬の空手殺法を使えるような武器にしたらこうなったとの言で、元々がけして頑丈でない旧ゲッター1を無理にドラゴンと同水準の性能に上げようとした結果でもあるという。

 

「ま、ブラックゲッターにゃ兄弟機がいるんだが、寄せ集めのパーツで造ったからな。ポテンシャルもわからんから、隼人の奴は使うのを避けてるそうだ」

 

ただし、ブラックゲッターのスパイクブレードとリボルバーについては竜馬の趣味だと思われるフシがあるため、派手好きかつ、バイオレンス好きな側面が現れてもいる。

 

「あのさ、なんでマフラーがボロボロなんだよ」

 

「大気圏突入試験で焦げたんだよ、ゲッターウイング。ハッタリが効いてるから、取り替えてねぇだけだ」

 

ブラックゲッターの瞳とマフラーは敵には多大な威圧感を与える。最近は青年になった流竜馬のシンボルでもあり、新参の一文字號とは一線を画する、勇士としての風格が出ている。ブラックゲッターは後期型ゲッター1をベースにしたマッシブな体形も然ることながら、竜馬の空手殺法などから、『黒い狂戦士(バーサーカー)』として畏れられている。

 

「ま、見てろ。親父の道場継いだからな、俺」

 

「あんた、家が空手道場だったな?」

 

「食いつなぐために、親父は教師してた時期もあるが、基本は空手狂いさ」

 

竜馬は荒くれ者だが、シャーリーやのぞみなどには意外に優しいところを見せるため、隼人からは冷やかしをされるが、亡くした妹のジュンを思い出すからという、意外なセンチメンタルな一面もある。もっとも、隼人は隼人で、学生運動家だった過激さと裏腹に、姉の明日香には頭があがらないなど、意外な人間臭さを持つ。(ちなみにベンケイは航空会社のパイロットの子息である。中学時代はやじり専門で、実は補欠だったという。上手くなったのはキャッチャーに転向した後らしい)

 

「でもさ、あんたら、意外に人間臭いとこあるよな」

 

『まーな。こうみえても高校時代はサッカーで鳴らしたんだがな』

 

「え、てっきり…」

 

『そりゃ、親父にいやいや仕込まれりゃな』

 

竜馬は空手一辺倒でもなく、学生時代はサッカーに傾倒していた。竜馬の父である一岩は殺人空手を極めた故に狂人扱いされたので、息子を常軌を逸した手段で育てたが、当の竜馬は中高生時代はサッカーに傾倒していた。インターハイまで行ったサッカー部の主将の肩書の名残りにより、怪我していてもゲッターシャインのペダル踏みができる。

 

『今度、お前にも見せてやるよ、俺の浅間学園時代の写真』

 

「人は見かけによらないもんだなぁ…」

 

竜馬は浅間学園高等部二年に進級し、サッカー部主将になった時にスカウトされた。早乙女博士の長男の達人が顧問だったためだ。その後、達人が亡くなった後にゲッター1のパイロットとなり、武蔵の死を目の当たりにした後にゲッターG、真ゲッターと乗り継いだ。竜馬は『なるべくしてなった』ゲッターパイロットの一人であり、高校時代は意外に爽やか系だったと自負している。

 

『こりゃ、親父の門下生の面倒を見るためだ。親父、30人以上の門下生いるってのに、俺にゃ借金しか残さなかったし、お袋もその後すぐに病気で死んじまったからな』

 

竜馬は門下生の面倒を見るために道場を継いだようなものと明言し、門下生からは師範と呼ばれているともいい、しかたなく道場を経営しており、極道を何人も返り討ちにしているため、その道の者達にも恐れられていた。また、門下生を麻薬中毒にされた時など、極道の事務所まるごとを一人で潰した武勇伝から、『ゲッターパイロットでなきゃ、ムショ入ってるだろうよ』とのこと。隼人も過激な学生運動家からカタギの軍人に転じているため、この二人は『浅間学園の七不思議』と言われている。

 

「意外……」

 

竜馬の意外な過去語りに驚きつつ、とりあえずは戦場へ向かうシャーリーだった。

 

 

 

 

 

 

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