ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前々回の続きです。


第九十話「艦娘・ビスマルクの愚痴、生まれ変わったミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ」

――扶桑陸軍は急激かつ、急速な機甲兵器の発展に出くわす形となり、M動乱から一年近くが経過したダイ・アナザー・デイ三周目には75ミリ砲が豆鉄砲扱いされるに至った。この時期に大口径砲と見做されてきた88ミリ砲すら、従来の56口径では立場が危うくなってきてくる有様であったため、90ミリ砲以上の火砲を備える戦車が羨望された。日本連邦は機甲兵器の更新を名目に、旧来型戦車を廃棄したため、今度は深刻な機甲兵器不足に悩まされる事になり、外国から当時に強力とされた重戦車や中戦車を買いまくるという珍事が起こった。64Fもそれは例外でなく、帰国を拒み、64F預かりとなった装甲降下師団の部隊用という名目で、ティーガーⅡ、パンターⅡと言った当時に生産済みの最新独系戦車が購入され、帰国を拒んだ熟練の戦車兵を陸軍から引き抜いて配置するという方法が取られた――

 

 

――64F 陸上基地――

 

「隊長、この基地は?」

 

「元はゲーリングのモルヒネデブが設営していたカールスラント空軍用の基地だ。撤兵で用無しになったので、ウチに譲渡された。装甲降下師団の一部が編入されたんで、陸上要員を育成しなくてはならん」

 

ミーナは容姿こそ変化しなかったが、内面は西住まほ化しているため、元・後輩のキュアハート(現世では逸見エリカとして転生している)にはかつて同様に接している。口調もまほとしての中性的(どちらかと言うと、男性的と言えるが)なものである。武子の裁量で数ヶ月の飛行資格停止が外聞上の理由で科されているため、ダイ・アナザー・デイ三週目からは実質的に陸戦要員へ転じていた。

 

「ティーガーⅡにパンターⅡ、ですか」

 

「カールスラント上層部を脅して回させた。レーヴェも欲しかったんだが、生産ラインに余裕がないとかで断られた。エンジンとサスペンションはこちらで21世紀のに換装させたから、日本の部品で足回りは修理できる」

 

「かなり大がかりですね」

 

「仕方あるまい。この時期のカールスラントの純正品は手に入りにくい上、すぐに壊れるからな」

 

パンター系列とティーガー系列の弱点の一つは『重量に見合わない足回りの脆弱性』である。そのため、64Fは独自に日本製に換装して運用している。ドイツはレオパルト戦車を造らせようとし、パンターの少なからずを軍縮を言い訳にし、他国に流した。扶桑に流れたものはその施策を大義名分に購入したものだ。当時の最新とされたパンターⅡも例外でなく、扶桑のほうがカールスラント陸軍よりも先行して装備する有様であった。パンターⅡはそんな状況に翻弄されたが、当時のカールスラント戦車技術の最高峰であった事は確かであるため、日本連邦が持ち込んだ未来戦車を除けば、最良に近いと評価された。日本連邦ではこの現地部隊の行為に困惑したが、機甲兵器の処分による不足ぶりは自分達の施策と生産力の都合ですぐには解消できないため、日本防衛省も黙認した。(74式戦車のコピー完了と生産開始はこの三年後のこと)

 

「Gフォースには10式もあるが、あれを使うことには相当に異論が出ててな。だが、74式は退役が進んでるし、90式も死蔵に等しいからな。妥協だよ」

 

「つまり、90式も持ち込めないから?」

 

「10式は軽いし、比較的に小型だ。この時代の重戦車より遥かに軽いが、日本政府の生産見積もりが運用ノウハウ維持のための最低限だったせいで、もったいないという声が部内からも出てな。だが、自分達の失策をごまかすために見よがしに使うのを考えた派閥が強行した。実際、五式中戦車の改良型はどう頑張っても61式とどっこいの性能しかないからな」

 

五式中戦車改は実質的に61式戦車(自衛隊)と同等の性能であったことから、生産が続けられたほぼ唯一の中戦車となった。だが、早晩の旧式化が叫ばれたため、74式のコピーが急がれたが、それを知った日本がライセンス取得とライセンス生産に強引に切り替えさせたため、ダイ・アナザー・デイには間に合わなくなった。これに罪悪感を覚えた日本は10式のGフォース配備でお茶を濁しつつ、早期に90式相当以上の戦車の生産が可能なように現地生産設備を刷新するという方法で罪滅ぼしを行った。もっとも、その『早晩の旧式化』もほぼ杞憂であり、ダイ・アナザー・デイで姿を見せた次世代の重戦車は『必要上、実地試験を行った』ものであり、実際は46年以降の配備が予定されていたものを緊急で各国の本土などから回しただけである。それが日本連邦の危機感を煽り、機甲兵器の刷新を達成させるという効果を生む。それがカールスラント装甲戦闘車両の尽くを旧式化させたのも皮肉であった。

 

「史実の携帯式対戦車火器はウィッチがほぼ独占していたが、今回の戦でウィッチの運用が縮小されるから、各部隊に回される。怪異撃滅専門になっていたから、戦車と戦える技能持ちはそれほどいないからな。それに、今の時点での重装甲脚はいい的になるからな」

 

パワードスーツに近い様相を呈する六号重装甲脚だが、この頃には有効性が失われ、倉庫の肥やしになっていた。(速度が遅い上に大型であるため、機動性が求められる様になった局面には向かない)そのため、ISやシンフォギアの独壇場となっていたが、装甲脚の強化発展が諦められたわけではなく、未来の機体が二代目レイブンズの手で持ち込まれていたし、それを基に開発が進められていた。

 

「あたし達は言うなら、とんでもなく強い降下猟兵ってわけですか」

 

「うむ。空挺降下するから、便宜的にそう説明されている。そうでないと、政治屋から予算が取れんのでな」

 

プリキュア達はフォームによるが、飛行能力があるため、カールスラントや扶桑など、空挺部隊がある国の政治家や官僚へは『降下訓練を受けている』との方便の説明を行い、手当を増額させている。キュアハート/相田マナは現在の立場は一応、(逸見エリカとしてだが)黒森峰女学園の次期隊長なので、『降下猟兵』というドイツの表現を使ったのである。プリキュア達はパイロットとしても訓練は受けているため、書類上は『空挺兵の資格を持つ空中勤務者』と扱われている。これはのぞみの肉体の素体になった中島錦が新兵時代に空挺降下訓練を受けていたことからのアイデアで、スーパーヒロインである彼女たちを軍隊の兵科区分に当てはめる苦労が覗える。

 

「で、どうですか。装甲降下師団の連中の練度は?」

 

「訓練の成績はいいが、実戦で使ってみんとわからんな。私は飛行資格停止処分中の身だが、陸戦では参加するぞ」

 

ミーナはこの時点では、内面的意味で空戦よりも陸戦が『しっくりくる』としつつも、それまでの空戦能力が失われたわけではないため、依然として空中勤務者である。組織だっての陸戦指揮能力を持つのは自分のみという自負もあり、陸戦への参加は認められている。使用する車両はこの時点では、ティーガーⅡ(後に後継のレーヴェ)だったという。

 

「ウィッチの連中はなんて?」

 

「空戦と違い、陸戦のほうが現実を見ているよ。空戦は花形だった分、板野サーカスの時代になったのを分かっておらん。今や、レシプロでどうこうできる時代ではないというのに」

 

「敵味方がミサイル撃ち合う時代になりましたからね。おまけに鉄壁の米軍機相手に、12.7ミリが一丁の平均的なウィッチの装備じゃ、鳩の豆てっぽうも同然ですからねぇ」

 

「コックピットを狙うことなど、子供には出来るはずがないからな。20ミリ砲に切り替えが始まったが、今の状況では焼け石に水かもしれんな」

 

ミーナはサボタージュの横行する状況では、空戦ウィッチ用の基本火器が大口径化したところで『焼け石に水』と断じた。また、高性能化した戦闘機には対戦車ライフルの狙撃は通じないことも示唆する。

 

「アメリカ機は重い機体をパワーで飛ばすのが多いとは言え、20ミリでも通じるか怪しい機体が多いからな。リボルバーカノンかミニガンが欲しいところだ」

 

「世知辛いですねぇ」

 

「史実の大戦後期の機体は頑丈だからな。それは戦車も同じか」

 

「パーシングが来たら、今の大半の中戦車は軽く貫かれますからね。この時代は避弾経始がまだ最新の時代だから、幸運なほうか」

 

「ええ。それと、巡洋艦以下の艦艇の連中はミサイルに戦々恐々だそうです」

 

「この世界の防空網のレベルは良くて1940年代前半のものだから、音速以上でかっ飛ぶミサイルは迎撃できん。敵にはいい脅しになったろうさ」

 

この戦いで初投入となった対艦ミサイルは大戦果を挙げ、護衛空母部隊に痛打を与え、護衛艦隊にも大打撃を与えている。この大戦果で旧来の急降下爆撃や雷撃に実質の引導を渡したのであった。とは言うものの、その技能持ちが軍にいる限りは副次的な選択肢としては残り続けるが、そう長くはないだろう。(バックアップとして、急降下爆撃は可能にしてある機種もあるが)

 

「お前たちには苦労をかけるが、しばらくは耐えてくれ」

 

「分かってます。伊達にスーパーヒロインしてませんよ」

 

はにかむキュアハート。彼女が逸見エリカに取って代わったことは『エリカの人物評』をも改善させた。もっとも、キュアレモネード/春日野うらら、ミルキィローズ/美々野くるみのように、現世と生前で普段のキャラが離れている者もいるため、転生でもぶれない相田マナのアイデンティティは際立っている。ピンクのプリキュアでは唯一、生徒会長経験を持つため、実質的に第二期プリキュアの代表格の一人として活動している。

 

「噂に聞いた通り、ポジティブだな。お前は」

 

「それがあたしですから」

 

ミーナは訓練中の装甲部隊の様子を見ながら、まさか、転生しても『自分』(まほ)とエリカの縁があることに不思議な感覚を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――こちらはのぞみとめぐみ。シャーリーが紅蓮特式で出撃するのを見送った後、黒江からの指令で一人の艦娘を出迎えていた……――

 

「お迎えに上がりました、ビスマルク嬢」

 

「ご苦労。祖国が当てにならないから、日本連邦への義勇兵として、レーダー提督に頼み込んだわ」

 

ビスマルク。かのビスマルク級戦艦のネームシップが九十九神化した存在である。カールスラントは軍艦を男性と見ようとする風潮があったため、彼女の存在は都合が悪い。(それを公言していたのが、彼女の初代艦長であるエルンスト・リンデマン大佐だったという、これ以上ない皮肉もある)そのため、エーリヒ・レーダーは『海軍をこれ以上混乱させないため』ということで日本連邦へと送り込んだのだ。

 

「帝国海軍だと居心地悪かったのよ。艦長からは露骨にがっくりされたし、日本連邦の言うことが正しかったから、空気が微妙だし…」

 

カールスラント海軍はその風潮のせいで貴重な戦力が日本連邦へ流出する大惨事となった。当時は日本連邦・国防省(連合としての省庁名)からあからさまに『田舎海軍』と馬鹿にされていたため、余計に大惨事だった。一時は欧州最高レベルにあったはずのカールスラント海軍は人員の世代交代、艦艇の大半の喪失で衰退し、40年代には『田舎海軍』とされるまでに落ちぶれていた。現皇帝が陸空軍贔屓なためにやっとの思いで完成させたビスマルクも更に巨大な大和型戦艦の血族が台頭すると『中身は旧式の新古』と揶揄されるようになり、頼みの主砲である『38cm砲』も『46cm砲』がスタンダードになりつつある40年代の情勢では、『二線級』とレッテル貼りをされるに至っている。また、ビスマルク級のさらなる改良型をバダンが多数有し、大和型戦艦と互角に渡り合う光景は造船関係にとっては一縷の希望となったが、同時にドイツ連邦からは『軍事費削減』のターゲットにされ、この頃には『かつての大洋艦隊の再建の夢』は潰えたも同然となっている。ビスマルクの愚痴はそれを踏まえたものだ。また、リンデマン大佐との関係も微妙であったとも示唆するあたり、カールスラント海軍の艦娘への無理解を妙実に示す好例とされた。

 

「それで日本連邦に?」

 

「日本でなら、私のような存在も普通に受け入れてくれるでしょう?」

 

「言えてますね」

 

「自分が新古ってくらい、自覚してるわよ。フッドは倒せたけど、袋叩きされたし……。だいいち、なんなのよ。日本とアメリカの怪物達は……」

 

日米戦艦が攻防力を欧州戦艦の比ではないほどに強化していった事を愚痴るビスマルク。彼女は元々、35000t級として計画されていたため、大和型戦艦やモンタナ級戦艦のような『60000t超え』の船達を怪物と形容した。自分が『新古』(基礎設計が第一次世界大戦世代の超弩級戦艦だったバイエルン級の流用なので、そう揶揄されている)という自覚があるからか、そこはコンプレックスのようだ。

 

「広い太平洋で艦隊決戦するドクトリンで生まれた日米の戦艦は戦艦の究極ですから、割り切ってくださいよ」

 

「戦艦ってそういう艦種なのかしら……?ハルゼー提督からは『カールスラントの腐れ戦艦』って言われたし……」

 

「少なくとも、日米じゃ大艦巨砲主義が正義ですよ」

 

のぞみはビスマルクをジープの後部座席に乗せ(助手席はめぐみだ)、ビスマルクの愚痴に付き合う。戦艦の存在意義については諸説あるが、日米においては『敵艦をとにかく火力でなぎ倒せ』という単純なドクトリンのもとに設計された。(日本海軍の個艦優越思想は日本海海戦の成功も関係しているが)大和型戦艦やモンタナ級戦艦はその申し子である。もっとも、攻防力重視の大和型戦艦とアイオワの攻防力強化型とも言えるモンタナ級戦艦では差異があるが、欧州の35000トンから45000トン級戦艦と一線を画する攻防力を有するのは事実だ。

 

「日本戦艦は同世代の他国艦より防御力が劣るって聞いたけれど、あの怪物はどうなってんのよ」

 

「少なくとも、並の海軍の一個艦隊を海の藻屑にできる火力を受けても、浮かんでましたからね。造艦科学の生み出した怪物ですよ、大和型戦艦は」

 

「アメリカ軍の高性能火薬を積んだ魚雷を四本食らっても耐えられたのは、後にも先にも大和型だけですからね。あたしは昔、おじいちゃんから聞いたくらいですけど」

 

ビスマルクは『広く浅く』守っていたがために砲撃戦で早々に反撃能力を失い、サンドバッグになったトラウマからか、大和型戦艦が史実で見せた『タフネスぶり』を羨ましがっていた。日本の一般層は『大和は脆い』とさえ揶揄するが、実際は世界最大最強のタフネス戦艦なのだ(金剛は二発で致命傷である)めぐみもそれは祖父から聞いたらしい。

 

「全く、日本は防御力と速力を気にするけれど、艦隊で行動するんだから、戦艦単独での速力はあまり気にされないのに」

 

ビスマルクは延々と愚痴るが、彼女は29ノットの速力であり、大和型より僅かに優越している。(扶桑の大和型とは同等)また、扶桑の大和型戦艦は元から29ノットは普通に出せるだけの馬力の機関を積んでいた上、核融合炉への換装と船体の運動性向上改修で『バケモノ』と化しており、あまりに単艦性能が上がりすぎた。引き換えに『従来艦では護衛の必要がない』ために護衛艦隊の世代交代を促す結果となった。

 

「まぁまぁ、ビスマルクさん。いいじゃないですか。あなたも駆逐艦と巡洋艦よりはタフだし、戦後型の船は損害を受けるのが前提の砲撃戦自体が想定外なんですから」

 

「もー……何よ、どいつもこいつも新古って……」

 

のぞみも流石に宥めるが、ビスマルクは自分に対する後世の評価が低めであるのに憤慨しているようで、祖国で腫れ物に触るような扱いを受けたことと併せ、『ムスッとした』態度であった。ビスマルクの妙な子供っぽさは日本では歓迎される案件だが、規律と質実剛健を重んずるドイツでは歓迎されざるものである。そこもビスマルクが祖国に見切りをつけ、日本連邦へ義勇兵として足を運んだ理由だ。

 

「あの、あなた以外には誰が来るんですか?」

 

「妹分のプリンツ・オイゲンと、空母のグラーフ・ツェッペリンよ」

 

「グラーフ・ツェッペリン、いたんですか」

 

「あの子が完成した世界線がある以上、艦娘は生まれるものよ。もっとも、あなた達の国の空母より能力は落ちるのだろうけど」

 

ビスマルクが触れたグラーフ・ツェッペリンとは、ウィッチ世界では儚くも散った空母『グラーフ・ツェッペリン』の艦娘。声がキュアフェリーチェに似ているという。能力的には当時の時点で旧型扱いの赤城型にも劣るとされる。ビスマルクもそこは気にしているように、ドイツ海軍の空母運用ノウハウの無さに起因し、グラーフ・ツェッペリンの空母としての能力は低い。(グラーフ・ツェッペリンも自身がドイツ初の空母である故の苦悩を抱えており、洋上空母の最終発展形たるプロメテウス級を目の当たりにした途端に卒倒したという)もっとも、この当時に大規模な空母部隊を有したのが日米英の三カ国のみという史実を鑑みると、健闘したほうだが。

 

「仕方ないですよ。日米英しか大規模な空母機動部隊を実戦で使った例はないし、そもそも、欧州で空母はあまりいらなかったですから」

 

ウィッチ世界では、グラーフ・ツェッペリンは早々に沈み、残った旧・愛鷹がペーター・シュトラッサーと改名されてカールスラント海軍籍にあったが、同国に持て余されて返却という目に遭い、日本連邦はカールスラントに莫大な違約金と回航に必要な修理と費用負担を科したが、当時のカールスラントは潜水艦に傾倒しており、同艦の修理に関心がない有様で、日本連邦の怒りを買う有様だった。(ノイエ・ベルリンにグランドスラム爆弾をぶち込む!!と脅したとも)この時にカールスラントが死ぬ気で捻出した違約金で日本連邦は国内の福利厚生制度の近代化を実行し、更に、ブリタニアからの保険金で大型空母を新造するに至る。カールスラントはその負担が尾を引き、水上戦力の自前の整備を半ば諦める羽目となる。とは言え、バダンから状態良好の鹵獲艦を多数得れたことは不幸中の幸いであり、その再利用という形で海軍はとりあえずの体裁を保てる事になる。だが、それが認められるまでには数年を要し、リストラもあり、大洋艦隊の再建にはほど遠い状況となる上、潜在的にカールスラント人の抱いていたゲルマン人優越主義を叩かれ、カールスラントの根幹たるナショナリズムを否定された影響で、カールスラント軍のモラルそのものが崩壊してしまうのである。連合軍はこの時期のモラルハザード状態のカールスラントに見切りをつけ、日本連邦やNATO諸国の援助で組織を回すようになり、カールスラントは軍事分野の有能な人材の流出に大混乱するのである。(ヘルマン・ゲーリングの事実上の失脚もダイ・アナザー・デイの時期である)

 

「帝国はガタガタよ。90年代に皇室が存続できてたら大バンザイね。2000年代には共和制になってるかもしれないし…」

 

しかし、ビスマルクのその予測は悲観的であった。実際は共和制移行の議論は数十年ごとに起こるが、ガリアの体たらくぶりから、共和制への移行は自殺行為と見られ、日本連邦に習い、徐々に完全な立憲君主制へ移行し、2000年代頃でも形の上では帝政は存続する。それはオストマルクを取り込んだ恩恵であったが、NATOの庇護という幸運もあり、カールスラントはそれなりに平和に中興を迎えられるのだ。(逆に考えると、ガリアの醜態こそがウィッチ世界での共和制の波及を阻んだ形であるため、共和主義者からガリアが白眼視されるきっかけともなった)

 

「考えすぎじゃ?」

 

「だといいけれど、ドイツがねぇ…」

 

ドイツのあからさまな内政干渉な介入はビスマルクをして呆れさせるほどのもので、日本はそれを他山の石とし、徐々に協調へ舵を切り、政治的には『お互いに干渉しない領域』を決めあう事になる。(日本の問題は市民運動などからの干渉である)

 

「あなた達はどうなの?」

 

「民間ですよ、問題は。民主主義国家の軍隊ってのは、基本的に金食い虫って敵視されますからね。隊の練度を極限まで上げた上で、士官は先陣切らないと尊敬されないし」

 

「ウチでもそこまでじゃないわよ。だから、日本人はオカシイのよ」

 

その一言に苦笑いののぞみだが、この頃には錦との融合がだいぶ進み、軍人であることにも慣れたため、ビスマルクの言うことに苦笑いする程度で済ませた。(この頃はかつての職業である教師を諦めたわけではなく、翌年には転職が内定していたが、日本の日教組や文科省の介入で予備士官に関する規定が変えられてしまい、転職を最終的に諦める羽目になったが、その後に士官学校教諭の資格は得たため、戦後になると、普段は士官学校教諭として働く事になる)一同を乗せたジープは前線司令部のある臨時泊地につき、そこに停泊中の自由リベリオン軍旗艦となった戦艦『メイン』(モンタナ級戦艦三番艦である)が見える建物の駐車場に停まる……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――プリキュア達の代表格はこの頃(ダイ・アナザー・デイ)はキュアドリームとキュアハートであった。これは二人に統率者としての度量があったのと、軍隊の世界に理解がある(二人は転生の素体となった者の関係で、軍事知識があった)のと、日本での知名度の問題であった。二人は二世代のプリキュア(第一世代と第二世代)を代表し、この頃からプロパガンダに駆り出される事が増えていた。第三世代のプリキュア達はキュアスカーレット、キュアフェリーチェ、キュアコスモを除いて、まだ正式に軍籍にないことから、プロパガンダは第二世代以前のプリキュアがメインであった。(数年後には、そこにキュアブルームが加わる)神出鬼没かつ、23世紀で『政府公認の民間警備会社』という体裁で社会的地位を固め始めた日本の歴代スーパーヒーロー達と協力関係と結んだ連合軍だが、彼らにおんぶにだっこというわけにもいかないため、歴代プリキュアを抱え込むという事は僥倖であった。連合軍内部では、キュアメロディまでを第一世代、キュアハッピーからを第二世代と非公式に区分しており、日本での知名度を独自に分析。ドリームとハートを主にプロパガンダに駆り出している。(キュアブロッサムは相方が不在であるため、ラジオが中心)第三世代のプリキュアの代表として、朝比奈みらい/キュアミラクルの参戦も望まれたが、モフルンと十六夜リコの関係(みらいはモフルン、リコがいないと変身ができない)もあり、ダイ・アナザー・デイでは断念された。連合軍はダイ・アナザー・デイでは、現場のウィッチのサボタージュに悩んでいたため、一騎当千の強者である歴代プリキュアは願ったり叶ったりの存在であった。彼女らの雇用について、日本の市民運動などからの干渉を受けつつも、ウィッチの社会的なあり方に一石が投じられた時勢での救世主と目された。特に歴代ピンクでもトップ5に入る実力者と目されたドリームとハート、ピーチは独自の最強形態を有するため、他のプリキュアよりも格上と扱われる事になるが、キュアメロディがふてくされてしまうという珍事が起こったという――

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