ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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次元震パニック編です。


次元震パニック&ウィッチ世界の太平洋戦争編2
第九十二話「次元震パニックその十七」


――カールスラントは史実バレンツ海海戦の敗北を引き合いにし、国家元首の無闇な介入を避けるためと称してのドイツの政治介入で軍事指揮権は皇帝から取り上げられ、内閣に与えられた。だが、完全な立憲君主制ではなかったカールスラントの混乱を助長してしまい、カールスラント三軍は事実上、組織だっての戦闘能力を喪失してしまった。その混乱を悟らせないため、日本連邦軍は増強を余儀なくされた。その際に計画されたのが『大型空母の建造』である。これはカールスラントで細々と続いていた空母建造計画が廃され、ガリアも大型空母どころではないため、空母機動部隊は史実三大海軍が担っているためだった。その点にカールスラント軍はとうとう食い込めずに終わり、バダンの鹵獲艦を細々と使用する程度に終わる。一方、日本連邦はウィッチ世界の秩序の守り手の役目を負わされた必要上、連合軍の要請に従い、大型空母の建造に着手する。だが、日本側が予算割り当てを露骨に渋った上、一部背広組に動かされた政治家が連合軍に空母の建造を要求しだしたために計画は大きく遅延。建造着手でさえも1948年の暮れ、計画完遂は1953年を過ぎてしまう。そのため、空軍は宇宙艦艇による艦隊を独自に運用するようになり、日本側を驚愕させる。64Fはその運用部隊としての側面も有することはダイ・アナザー・デイ中から大っぴらにされていたため、ロンド・ベルの旗艦の代替わりで64Fに供与され、最終的に外宇宙航行仕様へ改装されたラー・カイラム級機動戦艦『ラー・カイラム』と、艦隊運用の取り回しの都合で、もう一隻のラー・カイラム級が連邦軍本部より供与された。――

 

 

――デザリアム戦役後の連邦軍はドレッドノート級第二期タイプの配備や次期主力艦の開発に傾倒しており、ラー・カイラム級の増強に関心は薄かったため、供与されやすかった。ラー・カイラム級はほぼ500mに達する巨体であるが、度重なる改良で機動力は大きく増しており、ザンスカール帝国の運用していた大型戦艦にも劣らない。(ザンスカール帝国製の軍艦は残存艦がガトランティス戦で本土決戦に駆り出され、ほぼ失われたが)また、見かけが戦艦らしいため、扶桑では砲艦外交にも活用されている――

 

 

 

 

 

――時は1948年の末。太平洋戦争も戦闘が本格化すると、ミノフスキークラフトを積んだネオ・ジオン残党艦(サイド3の移民船化で行き場を失い、ティターンズに拾われた残党)との戦闘も起こるようになり、1940年代にMS戦が起こるという珍事になっていた。南洋では冬でも25度を超えるため、兵器運用の条件は本土より厳しかったが、地球連邦軍MSは基本的に汎用性が高いために問題にならなかった。デザリアム戦役で熟練者の大多数を失い、軍隊組織として終焉していたネオ・ジオンは結局、敗残兵が『反政府テロリスト』に堕ちていき、中にはティターンズに合流して『反連邦』を旗印にすり替えて戦い続ける者もいた――

 

 

 

――ネオ・ジオンはもはや組織の解体で統制は失われており、多くの抗戦派がティターンズ残党に与する事態になっていた。そうして持ち込まれた多数のギラ・ドーガやギラ・ズールなどのMSは連合軍の悩みの種であった。そのため、ロンド・ベルの分署を兼ねる64FにはジェスタやZプラス系統などの高性能機が、他部隊にもジェガンが供与された。ギラ・ドーガ系統は当時既に旧式化していたが、第二次世界大戦水準の通常兵器の多くに無敵であるため、余りに余るジェガンの供与が行われた。ロンド・ベルなどの使用しているR型+相当ではなく、型落ちのJ型であるが、それでもジェガンの生産型としては末期型に属しており、ギラ・ドーガより高性能化している。R型のアップデートが決定されたために生産打ち切りになったが、ジムⅢの更新用として陸軍に回すはずが、倉庫の肥やしにされた未配備機が余っており、扶桑へ流されたわけだ。64Fはそんな他部隊と違い、地球連邦軍の最新鋭機が配備されており、比較的に熟練者で構成される残党軍相手にも優位に戦闘を展開できていた。キュアドリーム/夢原のぞみはこの時期になると、デザリアム戦役で受領した連邦軍の最新鋭機『ガンダムダブルエックス』を使用していた。ゲリラ戦であったデザリアム戦役でパイロットとしての経験を積んだ事もあり、シャーリーに次ぐ中堅パイロットとして頭角を現していた。

 

 

「デザリアム戦役でネオ・ジオンも滅びたってのに、こいつら!」

 

「連中を南洋に入れるな!海岸線で食い止めるぞ!」

 

「連中は何考えてんの!?そもそも、ジオンとティターンズは相容れなくない!?」

 

「知るかよ!反連邦をこじらせた哀れなテロリスト共のことなんて!」

 

シャーリーもそう毒づくが、ネオ・ジオンはデザリアム戦役で完全に息の根を止められたはずである。ところが、実際にはウィッチ世界でも元気に『ジーク・ジオン』なのだから始末に負えない。

 

「いつの時代もテロリストはいるんだねぇ」

 

「ブライト、関心してる場合!?」

 

「な~に。任せてよ。伊達に二代目じゃないって」

 

「あんた、国営放送の人気投票で圏外だったろ?」

 

「響ちゃん、それなし……」

 

「今はシャーリーって呼んでくれよ」

 

キュアブライトは空中戦が素で可能であるプリキュアであるため、彼女はSFSに乗るMSを相手にしても引けを取らなかった。パワーも素でキュアメロディやピーチを上回る。要はブルームの空中戦形態であるが、属性は月であるので、シャーリーからは『ムーンアタック撃てそう』とネタにされている。また、光弾を放つことが出来るため、遠近に隙がない。なぎさよりテクニック寄りの戦い方な理由は『なぎさは喧嘩に関しては元は素人だが、咲はソフトボール経験者である分、体の動かし方を理解しており、反応速度で分がある』からだ。

 

「でもさ、咲さん。あんた、なぎささんより動き良いよな?昔から思ってたけど」

 

「なぎささんも運動部だよ?」

 

「え、どこ?」

 

「ラクロスとか言ってた」

 

「ラクロスぅ?」

 

シャーリーはこの反応だ。なぎさは現役時代はラクロス部の所属であった。女子は男子ほどには激しくない球技であるのをシャーリーは知っているため、なぎさが喧嘩殺法な理由の一端に気がついたようだ。

 

「あの人が喧嘩殺法な理由が分かったよ」

 

「そんなこと言ったら、あたしだって、現役時代はソフトボールのエースで四番打者だよ」

 

「あたしは帰宅部」

 

「部活追い出され女王だもんなー、のぞみ。洒落にならないレベルで」

 

「かれんさんにはパイロットやってるって言っただけで冗談って言われた」

 

「お前の現役時代の行いだな」

 

「そう言えば、つぼみちゃんは?挨拶したかったんだけど」

 

「あいつは今は研究者だよ。生まれ変わった先が魔導研究者でよ。滅多にあえねぇ」

 

花咲つぼみはアリシア・テスタロッサに転生した都合上、本職は魔導研究者である。魔法の才能は妹のフェイトに比べれば凡百だが、プレシアの研究者としての才能は彼女が継いでおり、実は彼女のほうがデスクワークは得意だ。なお、デザリアム戦役後に高速戦隊ターボレンジャーが開発したアイテム『プリキュア・ブレス』の開発に関わっているプリキュアは彼女、つまりキュアブロッサムである。

 

「研究者かぁ。昔、花を研究したいって言ってたけど、今は魔法の研究かぁ」

 

ブライトは話しつつ、ブラックの後継ぎであった所以であるハイパワーを発揮。片腕だけで50トン近くの重量があるはずのギラ・ドーガをサブフライトシステムから切り離して持ち上げる。

 

「うぉ、流石に精霊のパワー。50トンくらいは持ち上がるんだなぁ」

 

「はぁっ!!」

 

ブライトは微笑うと、そのまま光を放ち、ギラ・ドーガの片腕を消し飛ばす。相棒のウェンディとは別行動なのだが、二代目プリキュアは伊達ではない事を後輩に示す。

 

「へへーん、二代目プリキュアは伊達じゃないもんね。絶好調ナリ~!」

 

「アンタ、鬱憤を晴らしてるだろ」

 

「だって、ドリームが四位なのに、なんで、あたし達は圏外なのさー!」

 

「あたしだって圏外だっつーの~!ちっぐじょぉぉぉぉ!」

 

「そ、そんな事言われても…」

 

プリキュアの人気投票でブルームとメロディは圏外、ドリームは彼女以降のピンクチーム最高位のランキングだったので、シャーリーはまだ根に持っている。メタ的にも『プリキュア5』がシリーズ中興の祖である故だろう。そのメタな点を突かれては、ドリームも立つ瀬がなかった。

 

「お前ら、そんな事言っとる場合か!」

 

「分かってるって!」

 

キュアビートが叱咤する。キュアビートこと、黒川エレンはMSではなく、VFを使用している。前世や現世の都合でお互いに使用する機動兵器にかなりのばらつきがあるが、のぞみは縁もゆかりもないガンダムタイプを使っているため、隊内で一番にネタにされている。なお、この頃にはスイートプリキュア、プリキュア5は全員が揃っており、少なくともプリキュアの三つのチームは再結集に成功していた。彼女達は黒江たちの手で戦闘能力の引き上げが行われており、現役時代を既に上回る戦闘力を持つ。

 

「はぁっ!」

 

ダブルエックスは標準的なMSより小さめの『ミドルサイズ機』である。サテライトキャノンを持つ『大仰な見かけ』と裏腹に、背丈そのものはV2ガンダム以上、初代ガンダム以下である。20m級のギラ・ドーガに比べると小型である事がわかるが、パワーは段違いであるため、ビーム・ソードでまっ二つに両断する。

 

「ギラ・ドーガなんかで、ダブルエックスに勝てるかっての!」

 

「まさか、お前がダブルエックスとはな」

 

「マシンスペックだけで勝てたら、戦争には勝てないってよく言うけど、これだけ差があるとな」

 

「同位体が見たら、また拗ねられるなぁ、これ」

 

「言えてる」

 

すっかり軍人としての姿が板につき、ガンダムパイロットとしても戦果を挙げているわけだが、のぞみは同位体と揉めてしまったわけで、未だに戦乱が続いている事もあり、その世界に挨拶に行けぬままである。

 

「でもさ、なんでパイロットしてんの、みんな」

 

「今は形式的なもんだけど、現世になって、パイロットで飯を食ってる奴が多かったからなんだよ。エレンなんて、元は民間軍事会社の社員だし」

 

「今は職業軍人に転じたが、戦いでおまんま食ってることには変わりない。だから、日本からの批判を躱すために職業軍人に転職したんだよ」

 

「21世紀の日本って、ほら。こういうショーバイ嫌われてるじゃん」

 

「じいちゃんの代からって聞いたなぁ、そういう風潮」

 

「焼け跡世代以降は軍人嫌いで、チンピラ同然に見てるしな」

 

「教師とか政治かぶれのタレントにも多いよ。軍人嫌い。あと、警察官僚」

 

「なんか政治的だねぇ」

 

「それに振り回される世界だしね、軍隊は」

 

「戦争だって政治の延長なんだ、そういう意味で自衛隊は柵が多過ぎて、良く成立してるもんだと考えちまうぜ」

 

シャーリーが愚痴るように、21世紀に滞在しているとわかるが、プリキュアを雇用した扶桑軍に批判が舞い込むが、ミューズやメロディのように日本国籍でないプリキュアもいるので、批判は空振っている。(スカーレット、ミューズは21世紀ではフランス人であるし、そもそも、メロディこと、シャーリーはアメリカ人だ)

 

「おまけに、あたしとスカーレット、ミューズは日本国籍じゃねーんだぜ?参っちまう。おまけに徴兵でなくて志願で、待遇も将校なんだぜ?」

 

「それ言った?」

 

「言ったよ。日本国籍じゃないプリキュアがいたのがわかると、慌てて言い訳しやがった。見苦しいくらいのな。職業軍人してる身にもなってくれってんだ」

 

 

 

 

――プリキュア達は最低でも少尉で雇用される。しかも、並の士官学校卒以上に優遇されている。ちなみに、二人のプリキュアチームの場合は一律で大尉として登用されると決まったので、軍隊ではかなり偉い部類に入る。これは将来的になぎさとほのかが現れる事を見込んでのものだが、軍隊に無知な者が騒ぎ立て、他国も巻き込んでいる始末である。のぞみはこの時、錦時代からの累積で少佐に昇進済み、シャーリーもプリキュア化などで中佐になっており、黒川エレンに至っては大佐である。階級的には大部隊の現場指揮官でも、なんら不思議でないが、64Fではあくまで一介のパわかイロットであり、戦士だ。64Fが『金鵄勲章と武功章が部隊章のようなもの』と言われ、妬まれているのは、実働部隊である新選組と維新組の幹部は全員が金鵄勲章、武功章、個人感状などの受賞歴を持つからだ。実験部隊が廃止され、エースや古参が前線で酷使されている現状では、64Fの特権は相対的に目立たなくなったが、それでも、統合戦闘航空団の幹部になれる(そうであった)人材を独占的に有する点で嫉妬は相変わらず買っている。また、事変世代の筆頭格である三人が未だに番を張っているのも、他部隊から顰蹙を買っているが、三人に比肩しうる腕を持つ後輩はサボタージュとクーデター後の人事整理を経た直後のこの時期には移籍や退役で殆どいなくなっており、練度の点で追いつける部隊はもはや扶桑には存在しない。そして、一連の政治的失態で必然的にウィッチ兵科の命運は決まったようなものだった。その結末に失望した多くのウィッチ出身参謀も軍を退いたため、ウィッチ出身軍人はこの時期には最盛期の四割以下にまで減少している。ただし、腕利きの多くは部隊維持や人員育成を理由に慰留されていたため、総合練度は向上してはいるが――

 

 

「おい、あと何機だ!エレン!」

 

「あと一機だ!!」

 

「おっしゃ!!咲さん、あたしの新しい技を見せます」

 

「へ?」

 

「天空ゥゥ剣!!」

 

ドリームも1948年も過ぎる時期になれば、黒江から伝授された闘技をモノにしつつあった。その証がボルテスVに由来する『天空剣』だった。雷をビームサーベルに受け、超電磁エネルギーを充填。そこからV字に相手を切り裂く。

 

「天空剣・Vの字斬りぃぃぃ!!」

 

ギラ・ドーガを綺麗サッパリV字に切り裂き、爆散させる。(なお、ボルテスが後期以降に多用した超電磁ボールは特定の合金を劣化させるための力場を兼ねている上、エネルギーの必要量も多いため、滅多に再現されない過程である)なお、ガンダム越しにやったため、『リアルロボットでスーパーロボットの技を放つ』珍しい事例となった。

 

「ふう。これ覚えるのに三年かけましたよ」

 

「スーパーロボット由来の技使えるの?」

 

「再現さえできれば。…あれ、ボルテス知ってるんですか?」

 

「健一さん達、あの戦いに加勢してくれたからな。咲さんは知ってるよ」

 

大決戦にボルテスVが参陣したことを教えるシャーリー。コン・バトラーVのほうが有名だが、ボルテスVは超電磁マシーンの集大成でもあるため、スーパーロボットとしての完成度はコン・バトラーVより上である。天空剣も当然ながら披露したため、咲と舞は知っていた。

 

「こんな芸当できるって言うと、そりゃ妬まれるって、ドリーム。しかもガンダム越しで」

 

「超電磁エネルギーさえ上乗せできれば、リアルロボットでもできますよ。ダブルエックスはサーベルのデバイスの耐久性も高いんで、やれるんですよ」

 

スーパーロボットの剣技をリアルロボットでするには、部品の耐久性の観点から、少なくとも『最高級品』で行う必要がある。地球連邦軍系MSでは、ガンダムタイプでなければ不可能である。ジオンは一時、『連邦に10年は先んじている』と豪語したが、OTMなどの恩恵でその差は埋められたどころか、『本来は40年経たないとモノにならない技術』である光の翼(ミノフスキー・ドライブ)なども現れ、ジオン系MSの集大成であるギラ・ドーガも今や、単なる旧型機に過ぎない。

 

「ギラ・ドーガも今や旧型機だしな。残党が使う最高グレードの機体ではあるけど。……黒江さん、敵は殲滅したよ」

 

「ご苦労。母艦も撃沈したから、帰艦しろ」

 

「了解」

 

「オールズモビル系は確認できたか?」

 

「いや、ギラ・ドーガとギラ・ズールだ」

 

「わかった」

 

デザリアム戦役でネオ・ジオンは敗北し、今度こそ息の根を止められたが、保有していた機体は相当数がブラック・マーケットに流れている。近衛部隊に配備されていた新型であるRFシリーズのみが量産機では、デザリアム戦役当時の第一線級の性能を持っていたため、ジオン系の集大成的な位置づけはそれらに変わったその。出どころは火星に逃げ延びた『ジオンマーズ』という一派で、クロスボーン・バンガードの技でジオン系を再設計した機体を完成させ、その設計データをネオ・ジオンに手渡し、ネオ・ジオンはそれをギラ・ズールに代わる主力機と選定し、生産を命じていたが、ネオ・ジオンの解体までに間に合わなかった。だが、生産された機体はブラック・マーケットに流れ、ネオ・ジオンの抗戦派を通し、地上に少数残る公国軍残党にも提供されたため、地球連邦軍はデザリアム戦役での混乱で機能不全に陥っているため、ジオン残党とそれに乗じたテロリズムの増加に頭を悩ませている。ウィッチ世界の太平洋戦争にジオン残党がティターンズ残党と組んで、加担する亡国的な姿をアムロ・レイは『あれこそ身も蓋もないって奴だよ』と評した。

 

 

 

 

 

 

――奇しくも、この日、ハワイ真珠湾から南洋を攻撃するための上陸部隊(数は60000人)を載せた太平洋艦隊が出港した。オワフ島を太平洋共和国から租借したリベリオン本国は太平洋艦隊を数年かけて増強しており、有名無実化が進む太平洋共和国を尻目に、軍事拠点化。この日を境に太平洋戦争は本格化し、兵器の開発競争などで血で血を洗う戦いが何年も続く事になる。――

 

 

 

――南洋地方隊 本部――

 

鎮守府は46年の憲法改正に伴う再編で自衛隊式の地方隊へ改編されていた。46年以降は来る戦争で天王山になると見做された南洋地方隊には連合艦隊主力の四割が配置されていた。陸軍と空軍もダイ・アナザー・デイを経験した陸空軍部隊を優先配置しており、扶桑の命運を担うとされるに相応しい陣容とされた。しかし、多少の誇張があった。機甲部隊の装備更新が遅延していたのだ。日本側の意向は陸軍の外征能力をできるだけ削ぎ落とし、離島を奪還するに足る程度にまで抑えたかったが、憤慨した元・大陸領の住民からの猛抗議で撤回され、『将来的に大陸領の奪還を可能にする能力の保持』になったが、機甲部隊の装備は日本側の施策の転換が遅れたため、新型装備が遅延し、ダイ・アナザー・デイの際に購入した外国製戦車で頭数を揃えている有様であった。

 

 

「日本のせいで74式の配備は遅れているが…、仕方あるまい」

 

「日本は何を考えているのでしょうか」

 

「我々を体の良い予備装備の置き場所とで思っとるのだろうだが。こちらにはこちらの都合がある。ダイ・アナザー・デイでは彼女達ばかりに負担をかけた以上、我が陸軍の面子にかけてでも大戦果を叩き出すしかないのだ。我々の同位体が国を滅ぼしたのなら、そのお返しをする機会を与えてくださった神に感謝だよ」

 

大日本帝国陸軍は四式中戦車などの試作車はできていたが、『せいぜい初期型のシャーマンに伍する程度』というお涙頂戴な実情を開発側は知らぬままだったという。戦車の進化は当時の大日本帝国の限界を遥かに超えるほどにまで達する。それを知った扶桑は外国製戦車の購入を容認した。だが、日本は『自衛隊の規格に合わせる』という題目を振りかざし、それらを排除しようとした。だが、自分達が介入した74式の開発がゴタゴタしたため、諦めた。制式化から一年経っても生産数は伸び悩み、その次の話も出てきているほどだ。だが、当時、戦後世代戦車の早期開発に成功したのは曲がりなりにも、連合軍でも二カ国のみであるため、大きなアドバンテージではある。また、銃の戦後世代の突撃銃化にも成功したが、銃弾の供給体制が課題であるのも扶桑軍の悩みであった。

 

 

「MSは空軍の特権になりましたな」

 

「その代わりにガイアからコンバットアーマーを買い込んだ。ソルティックは200機ほど納入されている。あれほどの三次元戦闘は我が軍の領分ではないからな」

 

技官と機甲部隊の現場指揮官の会話から、ガイアの地球連邦防衛軍はウィッチ世界に『コンバットアーマー』を正式に売り込み、ラウンドフェイサーと呼ばれる機種を購入し、従来型の自走砲(砲戦車含む)の役割の一部代替を図った。これはMSには三次元戦闘への認識が必要だが、コンバットアーマー(二足歩行タイプ)であれば『手足のついた戦闘ヘリコプター)と考えればいいからだ。ガイア(反地球)も商売相手を探していたため、お互いにウインウインの商売と言えた。

 

「大丈夫ですかね」

 

「DAM(ダァム。ずばりダグラムの量産型である)の量産までの繋ぎだ。これらは手足のついた戦闘ヘリコプター以上には考えておらんよ。ガイアにはより新型を要請してある」

 

ガイアは人型兵器の有用性をアースの地球連邦軍の精強さで思い知ったが、すぐにはドクトリンは切り替えられないため、アースなどに兵器を『実地試験』名目で提供する事で利益を得ていた。ダイモスや鋼鉄ジーグなど、アースに匹敵するスーパーロボットもあるのだが、ガイアでは異端児扱いされていた。

 

「さて、これを日本の財務省に察知されんようにせんとな。戦車を削減されちゃ構わんよ」

 

扶桑は日本と違う思惑で独自の軍備を秘匿し、切り札としていく。日本の外交下手は扶桑の思惑を察知できない形で露呈していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――帰還したのぞみたちを待っていたのはおめでたい知らせであった――

 

 

「お前ら驚け、つぼみが結婚した」

 

「……へ?つぼみちゃん(花咲つぼみ/キュアブロッサム/アリシア・テスタロッサ)が?」

 

「ああ。時空管理局での同じ職場の調査員とくっついたそうだ。入籍は済ませたそうだが、管理局もゴタゴタしてるから、披露宴は来年にするそうな」

 

 

「良かったじゃないですかぁ。」

 

「後であいつに送るお祝いのモノ考えとけよ。」

 

「でも、急な話ね。いつから?」

 

「前々から付き合ってるのいるって、フェイトのラインで聞いてたんだが、急な話でよ。お前ら、来年になったら披露宴に出るぞ」

 

「はーい。ココに後で聞いとこっと…」

 

「数万円づつは用意しとけ。それと芳佳も懐妊した」

 

「ブフォ!?」

 

「今回は上のガキだ。下のガキは二年後だな。と、いうわけでしばらく産休をするそうだ」

 

「みゆきはガキで、つぼみちゃんは結婚か。独身貴族はあたしとエレンかぁ」

 

「失礼な、私にも相手くらいなぁ……」(それはミハイル・ブランのことである)

 

「お、おまっ……、いたのかよ!?」

 

シャーリーはプリキュアで独身貴族は今の所、自分一人(咲は元いた世界で舞の兄と結婚する運命であった)な事に気が付き、ズゥンという効果音が出そうなほど落ち込む。

 

「今夜、飲みに行くか?」

 

「そうするよ……」

 

黒江がシャーリーを慰めに飲み屋に誘う。普段は飲まないが、こういう時には誘うのがお約束であった。

 

「あ、後で芳佳の旦那さんにおめでとメール送っとこ……」

 

「ちっぐじょぉーー!!結婚がなんだってんだーーー!!」

 

「あたしも付き合うよ」

 

「うぅ。ありがとう、咲さん…」

 

おめでたムードの中、シャーリーはヤケクソ気味に泣く。周囲に母性を求められてきたため、恋愛に今の所は縁がないからだ。だが、これより数年後、シャーリーも自由リベリオン空軍の空軍資材コマンド(後方支援組織)に属する空軍将校と恋愛関係となり、戦後に正式に結婚。シャーリーの血脈が21世紀まで直系で続いている理由となる。彼女は自由リベリオン空軍の象徴というべきエースパイロットであるため、政治的理由で戦中に結婚はできず、戦後に籍を入れる事になるのだった

 

 

 

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