――日本連邦で超大和型戦艦と超甲巡の保有については賛否両論であった。いずれも井上成美の圧力で一旦は立ち消えになっていたが、呉の壊滅で彼の『海軍の空軍化』政策が疑問視され、日本から史実の情報が伝わる事でトドメが刺された。ダイ・アナザー・デイで通常戦力が根こそぎ動員されるはめになったのは、その時期の政策の影響で通常戦力の整備が遅れ気味だったことに由来する。ちなみに井上成美自身は『史実でダメだったからと、全て否定するのか!』と憤慨したが、史実のマリアナ沖海戦と台湾沖航空戦の無残な敗北はさすがの彼も顔色を失う情報であった。自身が艦長を務めた艦の艦娘『比叡』の勧めもあり、44年度中に空軍への移籍を表明。設立後に官僚トップとして抜擢され、キャリアを最終的に空軍で終える事となる――
――1944年の冬頃、呉の壊滅と再建を模索する扶桑海軍。日本連邦はその時には設立内定段階であったが、実質的には実働段階にあった。その時に母港機能は横須賀に移す事、紀伊の復讐に燃える扶桑世論の圧力もあり、超大和型戦艦や超甲巡の計画は急速に息を吹き返した。雲龍型の二十五番以降の量産撤回、巡洋艦の空母改装の中止と撤回(伊吹型が結局は巡洋艦のままになった理由)が決まり、超大型空母の研究に切り替えられた。(この時の大戦時のサイズの空母の生産撤回が翌年の空母不足に繋がる)ウィッチの運用縮小、超大和型戦艦と超甲巡の計画再開が決議された。日本側は大型イージス艦で戦艦は代替できると息巻いたが、モンタナ級戦艦の実在に腰を抜かすという醜態を晒した。また、実験で戦艦の被弾前提の重装甲はミサイル兵器への耐久力も高いという事、戦後型艦艇は砲撃に脆い事(イージス艦も戦艦の前では、大型駆逐艦か巡洋艦でしかない)から、戦艦の代替にはなりえない事も判明したが、引っ込みがつかない日本側は『核兵器や21世紀型魚雷に耐えられないと…』とその場はお茶を濁した。それが超大和型戦艦の設計が宇宙戦艦ヤマトのそれのほぼ流用となる理由となり、それを聞かされた海上幕僚監部の幕僚はこう述べたという――
――確かに21世紀の一線級の近代装備がないと、財務官僚が首を縦に振らないと言ったけれど、宇宙戦艦ヤマトのオーバーテクノロジーで作ることないでしょぉぉ!?誰がそこまでやれと……――
まさか、超大和型戦艦を宇宙戦艦ヤマトのある世界に作ってもらうとは予想外もいいところ。しかも装甲材は強化テクタイト板と超合金ニューZ、ガンダリウム合金という、21世紀の既存合金より格段に強度のある未来合金製。速力も30ノットオーバー、運動性も巨体を感じさせない身軽なもの。しかも、船体サイズは21世紀から考えても規格外。しかも350m級は廉価量産型という。21世紀に認めさせるためとは言え、ここまでするとは海上幕僚監部も考えもせず、しかも、宇宙戦艦用の火器管制装置で命中率はかつての戦艦の比ではない上、宇宙戦艦ヤマトと同等以上の装甲強度で核兵器も物ともしない。これに財務官僚も唖然とするばかり。また、戦後型艦艇は怪異のビーム攻撃が当たれば無力に等しいことも判明しており、スタンドオフ兵器で滅多打ちするか、戦艦の耐久力で反撃するか、ウィッチに守らせるか。扶桑は当時、ウィッチの派閥抗争が激しく、前者の混合策を取った。また、従来に考えられてきたウィッチの常識が覆りつつあった頃であったため、通常戦力の増強はウィッチ軽視と取られ、その後の半年間は妨害工作を受けた。それがダイ・アナザー・デイでの戦力不足に繋がったため、反G閥は急速に勢いを失う。その事はゴルゴ13はこのようなコメントを残した。
――自分達だけが対抗手段と考えられていたところに、より効率的な手段が彗星のように現れたとなれば、激しく敵視するものだ……。反G閥のように周囲を敵と見做せば、今度は自分達が社会から排除されるだけだ……――
ゴルゴの言う通り、Gウィッチは従来のウィッチより効率的な上位互換の手段と言えるが、その人数は限られている。黒江は自分達『Gウィッチ』が転生という突然変異的な経緯で生まれた事をよく理解しており、記憶の覚醒後は体制の中枢部にいる権力者たちの理解を得るため、記憶の覚醒後は通常のウィッチでは不可能なほどの大戦果を挙げまくることにし、最初のGウィッチである三人はそれを見事に達成する。そして、ロンド・ベルの猛者達に負けないだけの力があることを示し、ウィッチ世界へ凱旋したが、今度は早合点したミーナ・ディートリンデ・ヴィルケによる冷遇を受けた。ミーナがその責任を取る形で降格、隊の運営から事実上退くと、隊の主導権を握った黒江達は幹部たちによる合議制を導入しつつ、最終決定権は赤松に委ねた。1945年八月末の時点では、501そのものが64Fに取り込まれた事もあり、武子を指揮系統上の頂点にした体制が完成した。事変経験者が幹部職を独占しているという批判も多かったが、当時の時勢は『実戦経験』が全てを物語るため、東二号作戦の頓挫の一因となった。この時に『明野などの飛行学校教官の腕っこきを戦線に送り込もうとしたのに、教官の引き抜きがされる時は負ける時という理屈で命令自体が取り消された』事がクーデターに至る禍根となった。クーデター鎮圧後、ダイ・アナザー・デイ関連の叙勲が急がれ、俗に言うダイ・アナザー・デイ従軍記章の新設がされたのと、事変の従軍記章が遅まきながら創設されたのは、Gウィッチの少なからずが事変経験がある世代の古参である事、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケによる冷遇が外交問題になりかけたからである。この問題の発端ということで、現役期間中は将官への道が閉ざされることになったミーナ。カールスラントはノイマンとガランドの退役に伴うガランドの『空軍総監』職の後継にグンドュラ・ラルを抜擢。ダイ・アナザー・デイ中に特進した。有名無実化したカールスラント空軍の再建を行うため、彼女は長期政権を運営することになった。――
――地上空母の出現を受けて―
「閣下も人が悪い。お前を後継にするとはな」
「悪童の私を役職で伽藍じめにする魂胆だろ?ガラじゃないが、過去の裏工作がバレたせいで、ドイツから見せしめ的な懲戒免職処分を食らいそうだった身を抜擢してくださった以上、好きに動くさ。この職も軍縮で名ばかりのものだしな」
「44JVを丸ごと、扶桑への義勇兵にしておいたのは正解だった。人員は温存できたからな」
「機材は半分しか持ってこれなかったがな」
「F-86が受け取れたんだ。ここ一、二年はそれで凌げ。フッケバインストライカーも本国で生産撤回が決まったからな」
「ウルスラが拗ねとるのは…」
「あの子はカタブツの技術屋だからな、閣下が出向を命じたそうだ」
「だろうな。敵が物量チートで来るのに、縛りプレイをする場合ではないからな。お前も前の人格の尻ぬぐいだろ?大変だな」
「黒森峰女学園で妹を苦しませた事を思えば、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの尻ぬぐいなどはどうということはないさ。親へ媚を売るために、周りが自分の知らぬところで動いていた前世に比べれば、戦果である程度は取り戻せる分、マシさ。将官の地位など興味はないし、佐官が丁度いい。大佐にはなれる分、やりがいはあるよ」
ミーナは人格の変容は隠していない。グンドュラもそれは同じである。
「まさか、地上空母とはな」
「漫画のような想像の産物と思ったが……。本当に作ったとは。しかも近代兵装があるから、急降下爆撃では割に合わん。特攻をやっても、今のウィッチの持てる爆弾では威力はたかが知れている」
「空対艦ミサイルを撃ちまくるのは、M粒子のおかげで不確実だしな。やはり、乗り込んで沈黙させるか、あるいは陸上戦艦をぶつけるか」
「陸上戦艦といっても、一年戦争の後は開発されておらんだろ?」
「いや、二隻だけあるそうだ。ティターンズが旧北米で建造中だった陸上戦艦『テキサス』と『ニューヤーク』。それが回航される」
「二隻も新造していたのか?」
「戦況を覆すために建造されていたが、途中で中止されていたのを再開させたらしい。武装は新造されているから別物らしい」
「よく作ったな」
「近頃の地球連邦陸軍のやることは基地の警備とテロリスト掃討くらいだからな。余った予算を注ぎ込んだらしい」
「我々がゴリアテを作るようなもんか」
「カールスラントはあれを本気で作るつもりだったのか?」
「戦間期の頃の話だよ。ツェッペリン飛行船が落ちる前の」
「未来世界も、ガルダでようやく実現したものだというのにな」
カールスラントは1920年代から1930年代にかけて、地球連邦でのガルダ、ジオンのガウ級に相当するような空中母艦を構想していた。リベリオンが部分的に実現させたようなものではなく、完全な空中母艦である。これは1930年代までの過渡的な思想の産物であったが、部分的に未来世界での空中母艦に通ずる。もちろん、飛行船というジャンルの衰退と共に潰えたが、構想案自体は1945年次も現存しており、日本の有名なアニメ映画に出てくる空中戦艦をそのまま作るも同然であると揶揄されていた。
「どういうつもりだったんだ?」
「装甲飛行船でも造るつもりだったんだろう?装甲列車はあるしな。アクロンと違って、ウィッチを艦載機の代わりにしてな。かなり具体的に検討されていたから、飛行船の相次ぐ墜落事故さえなきゃ、今頃には使っていたかもな」
グンドュラはその案を便宜的に『ゴリアテ』と呼んでいた。アニメ映画によく似たペーパープランだったからだ。当時の技術力的に机上の空論だったが、艦上機運用能力の持つ宇宙戦艦の地上での運用や超弩級輸送機の武装化はその構想の具現化と言っていい。
「地上空母はその変種だ。発想自体はこの時代にはできたというからな」
「しかし、走行装置や空母にできるだけの大きさ的に机上の空論だろ、この時代には」
「ホバークラフトで実現させる案も冷戦中にあったらしいが、それも頓挫した。が、23世紀に完成させた馬鹿がいたとはな」
漫画より現実的な甲板レイアウトを持ち、予想より小型だが、とりあえず試作した感がある地上空母。
「それにしても何故、私達も誰かどうかはかち合うんだろうな、ミーナ」
「色々な要因があるだろうが、一つは世代や環境ごとの考えの相違が第一要因だ。これはニュータイプだろうと変わらん。私の前の人格もそうだったように、自分が築いていたものをよそ者に引っ掻き回される事を恐れたんだろうが、501とて、史実の面々に落ち着くまでにメンバーの入れ替わりは何度か起こっていた。それを棚に上げて、閣下らをよそ者扱いもないだろう?おかげで、私はその尻ぬぐいだがな」
「トゥルーデがナーバスになっていた時期だからな、初期メンバーはラウラ・トート以外は消息不明。戦死扱いになったのもいるからな。それに書類上の定数は満たしていない部隊が大半だ。私が下原を引っ張ったのも、それが理由だ。今となっては懐かしいが」
「皮肉なものだな。敵が503や505を撃破したことでJFWの統廃合が促進され、別世界との接触が歴史を変えたのだから」
「私達の転生がなければ、普通に501JFWがベルリンまでを開放し、お前たちは伝説になっただろう。だが、この世界ではティターンズを欧州から追い出さないかぎり、欧州が味方の手に戻る可能性は無きに等しい。それに、政治家連中の横槍もある」
「今の世の中、閣下らの人脈がなければ、我々は近代兵器に役職を追われ、失業しているだろうという事は想像に難くない。閣下らには感謝はしても、罵倒するのは理解できんよ。スタンドオフ兵器が航空ウィッチを脅かし、MBTやMSなどが陸戦ウィッチを脅かす時代だ。そんな中でも一騎当千を実現することで、我々を守っている。オラーシャを見ろ。過激派が虐殺したおかげで、あの国のウィッチ組織は崩壊したも同然だ。身一つでウクライナや扶桑に逃れたのが大半。しかも多数派は、オラーシャの隣国で、国際連盟の理事国の扶桑へ逃れた。サーニャ中尉など、華族の九条家へ養子縁組した上、ウチの皇帝にもう一つの戸籍を依頼したからな」
「それがアインツベルンの名跡か」
「そうだ。ルッキーニ少尉も付き合ったから、あの二人は今や、アインツベルン家の人間だ。それと、リネット曹長だが、やはり、ビショップの名を捨て、エーデルフェルトの名を正式に継ぐそうだ」
「いいのか?」
「ブリタニアに未練はないそうだ。ハンナを付き合わせ、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトを名乗らせ、こちらのツテで名跡を継がせた。あの子は自分の立ち位置が不安定なのを嫌っていた。兄弟姉妹の真ん中、いてもいなくても気にされないような位置づけ。それでいて、宮藤がキュアハッピーになり、シャーリーと絡みだしただろ?それで自分の微力さを嫌い、記憶の覚醒もあって、エーデルフェルトになる事を選んだ。ハンナを付き合わせるのは、その手向けだ。ハンナもケイからの親離れをせんといかんからな」
「あいつ、親離れって柄でもなかろうに」
「そういう表現が的確だからだよ」
この日、グンドュラはハンナ・ユスティーナ・マルセイユに『ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト』という名の戸籍を与え、スオムスの名家の名跡を継がせた。リネットの名を捨てる選択を選んだリーネへの手向けとして、マルセイユにエーデルフェルト家の当主をさせるのである。マルセイユも圭子からの『親離れ』の機会とし、それを受け入れた。マルセイユはこれ以後、ルヴィアとしての生活もしてゆく事になる。その縁でどこかの世界の『遠坂凛』の転生であった八神はやてとライバル関係になっていく。
「この戦いが終われば、ガランド閣下とブリタニア空軍上層部はミニー・ビショップ元・大尉のもとに菓子折り持っていくことになるだろうさ」
「それで収まるか?」
「特務という説明しかなかろう。夏と冬の一週間位は帰省させるとして、それ以外は特務機関の所属ということで通す。別人に変身している以上、これくらいせんと通せんよ」
「空軍の将軍の三人や四人は骨を折られるだろうさ。大尉は気性が荒いという話だ」
リーネの母『ミニー・ビショップ』はブリタニア連邦』の第一次怪異大戦における英雄であり、大尉で退役している。気性が荒いと伝わっており、ガランドも恐れている。孫のスバル・ナカジマ(ガランドがクイント・ナカジマを養子にしていたため、クイントの二人の娘は自動的に孫娘の扱いとなる)の勧めで菓子折りを持っていくと明言しているが、日本的発想なのは否めない。
「閣下、あの歳でスバルやギンガに『おばあちゃん』と呼ばれてるんだろう?大変だな」
「退役したのは、裏で動くためだろうよ。私に役職を押し付けた以上、まだまだ働いてもらうさ」
軍の要職という『役職』に思いっきり縛られてしまったグンドュラだが、ある意味、ヘルマン・ゲーリングの干渉を退けられるだけの権限と空軍を好きに編成出来る裁量権を与えられた。敵はむしろ、軍のシビリアン・コントロールを名目に干渉する政治家や官僚などだ。そこを愚痴るが、グンドュラの立場は形式上だが、黒江たちより偉い。その立場を用いて、64Fの立場を政治的に守ることが彼女に課せられた新たな役目だった。
――のぞみは野乃はなとかちあった事を後悔していると、後輩のつぼみに漏らした。自分のスタンスを貫いた結果とは言え、前世でプリキュアを二分してしまった後悔があると明確にした――
「つぼみちゃん、この私を笑う?」
「あなたはあなたの思いを貫いただけですよ、のぞみさん。後悔があるのなら、やりなおせばいい。その思いの結果が今なんですよ」
「ありがとう。シャーリーやラブちゃんの手前、こんな事……言えなくて」
「綾香さんも言ったように、過去生は過去生、今回は今回。二番目の娘さんもそれを望んでるはずです」
「怖いんだ。昔の記憶を拠り所にしてると、大切な誰かが自分から離れていく記憶がよぎるんだ。大人になって、みんなに頼れないって気張ったけど……。自分の子供からも自分を否定されて…。戦いでしか自分の心が満たせなくなって……。私、そんな自分が許せなくて……どうすればいいの…?」
のぞみは過去生での薄幸な後半生の記憶から、プリキュアとして戦うことでしか、孤独を紛らわす事ができなくなっていた。そんな自分と決別したい。つぼみに涙ながらにそう語る。
「あなたは過去生で孤独な晩年になってしまったのかもしれない。だけど、ここには私達がいます。失敗は成功の母といいます。どんな時も過ちを恐れないで、自分の踏み出す一歩を信じるんです。涙は勇気に変えればいいんです。私が昔にそうだったように」
つぼみは自分の経験から、のぞみを優しく諭す。現役時代に受けた恩義を返す機会と踏んだのだろう。
「敵を倒すだけが私達じゃないはずですよ。貴方にはナイトメアの首領と和解した実績がある。これはなぎささんもなし得てない事ですよ」
「……そう。そうだったね。遠い昔のように思えるよ」
「仮面ライダーやスーパー戦隊の敵は不倶戴天の敵ですけれど、分かった上で思いをぶつけ合えば、わかり合える。たとえ、相手がマジンガーZEROであろうと」
「でも……それ、みらいちゃんが承服する?」
「ZEROだって、最初から『終焉の魔神』だったわけじゃないはずです。兜十蔵博士が兜甲児さんを守りたい一心で研究した末に生まれた存在だったかもしれない。マジンガーZにも、後継機のグレートマジンガーを恐れる心があったはずです。その恐れがいつしか肥大化したのなら、怒るのではなく、諭すしかないです。単純な力に頼るだけでは、ZEROの無限の復活と彼の憎しみが増すだけです」
「この間、先輩にも言われたよ。でも、あいつはフェリーチェたちにとっては…」
「私がどうにか説得します。ですが、最後は殴り合いをするしかないでしょう。昔から言うでしょう?拳と拳をぶつけ合えば仲間だって。こういう論理は一部からはヤンキー漫画じみてるって言われるでしょうが、ある意味では由緒正しい『語り合い』の形ですよ」
「詳しいね……」
「えりかがそういう漫画好んでましたし、いつきさんもそう言ってますよ」
つぼみはZEROと和解する可能性を肯定し、黒江に続く形で、のぞみを後押しする。後輩のつぼみに背中を押された形で、ZEROとの和解の可能性を探るようになるのぞみだが、後々のヌーベル・エゥーゴの構成員たちのように、自分の大切な誰かを傷つけた者達は『絶対に許さない!!』と宣言し、情け容赦しないという点で『プリキュアの伝統』を守っている。つぼみに言われることで、現役時代の初期にあった一つの出来事を思い出し、敵との和解の可能性を模索するようになる。ZEROとのその可能性については『やった事がやった事』なので、つぼみの判断でしばらくは極秘にすることにした。
「こんな時、えりかがいればなぁ……」
つぼみの相棒であり、青のプリキュアで数少ないムードメーカー『来海えりか』の存在を懐かしむのぞみ。過去生では大学の同じ学部の後輩でもあり、卒論を手伝わせた思い出がある。彼女の人柄なら、ZEROとの和解の可能性についてもサラッと言えるのにと漏らす。
「こうなったら、えりかの分まで私ががんばります。貴方への恩返しがしたいんです」
「ボトムとの戦いの時だね?」
「ええ。せめての恩返しをさせてください。貴方の背中があの時……とても大きく見えましたから」
つぼみは初めて出会った時にのぞみへ恩義がある。その事にちょっと触れる。研究者としての白衣姿のつぼみは現役時代より大人になった証であり、アリシア・テスタロッサとしての生を楽しんでいる証でもある。そんな後輩に勇気づけられたのぞみ。
「よーし!私もがんばるぞ~!けって~い!」
久方ぶりにかつての口癖を声に出し、ポーズも決める。のぞみなりの奮起の仕方であり、花咲つぼみからもらった勇気で初めて踏み出せた転生後初の心理的一歩だった。