ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回は使用楽曲コードを入れてみました。


第百五話「ダイ・アナザー・デイの一コマ」

――ミーナが自ら『振り返った』ように、501統合戦闘航空団は宮藤芳佳の加入で完成されたため、それ以上のメンバーの加入や入れ替わりはあまり想定していなかったのである――

 

 

「ミーナの奴の人事処分は当面は伏せられるようだぞ」

 

「士気の問題か」

 

「うむ。エディタ・ノイマン大佐が降格と左遷で鬱病になったろ?それが尾ヒレがついて、現場を混乱させているからな。それに一部からは『大佐は任務に忠実だっただけで、生存競争で文化財保護だのいっていられるか!』って声が出ている。大佐は混乱の責任を取る形で退役願を出した。マルセイユが引き留めたが、彼女は責任を取って、軍をやめるつもりだからな。ミーナは彼女と違って、日本にも名が知られてる。そいつが日本人を冷遇したなんて知られてみろ、政治的判断で恩給は消えてなくなるし、下手すりゃ階級剥奪だ。ロンメルが作戦終了後に事後報告する程度に留めるそうだ。そうすれば、人事上の減点だけで済む。将官にはなれなくなるだろうが、大佐には戻れる」

 

「いいのか?」

 

「あいつは人格が入れ替わった。実質はドイツ軍の軍服を着てる西住まほだ。記憶は引き継いでるが、人格は別人だ。それを考慮しての事だそうだ」

 

「寂しいな」

 

「今のほうが裏がない分、付き合いやすいぞ。以前は追い詰めるとヒスられるから、始末が悪かったが」

 

「あいつは怖かったんだろう。お前らが501の『空気』を壊すのが。だが、実際にはお前らは普段は全くといっていいくらいに干渉してこない。それどころか、シャーリーかルッキーニのレベルでグータラだろ?」

 

「あたし達は後から来たからな。こっちの生活に干渉しなけりゃ、基本は任すつもりだったよ。あたし達がロンメルから頼まれたのは、あくまでも戦闘の補助だったからな」

 

「実際はあいつの思い込みで、お前らは干され、扶桑とカールスラントは外交問題になりかけた。それで武子さんの64Fが501そのものを取り込んだわけか」

 

「カールスラントがその責任を取って、隊の運営から殆ど手を引いたんだ。それでウチの国が隊の運営をするようになったが、今度は無理解な日本の連中の妨害に遭うようになったからな。のび太一族と東郷のツテで各種物資と武器を揃える有様だ。日本の連中、あたしらが戦時にいるのに、最低限の弾薬と燃料で済ませようとするからな」

 

「なぜ、連中は我々に干渉をしてくるんだ?」

 

「連邦を組んだだろ?軍のシビリアンコントロールとやらがきちんとなされているか、警察系の防衛官僚が事実上の監視をするようになった。それと、21世紀日本の財務官僚は軍事に大金を使うあたしらの感覚をまともじゃないって考えてる。だから、空母だって、21世紀の大型空母の感覚で言うから、齟齬が生じるんだよ」

 

圭子は日本の防衛省内の背広組と警察系官僚の妨害工作で日本連邦の正規の物資補給量は『最低限』化しているとぼやき、あらゆる別ルートで需要を満たしていると明言する。

 

「なぜだ」

 

「上と個人的に親しいあたしらが2.26の連中みたいになるのを恐れてんだよ、警察系は。あわよくば…ってな。だが、501を内包してるウチを見捨てれば、若者から非難されるのは目に見えてるし、スネ夫の骨川コンツェルンがうちを援助してるから、連中も手出しできなくなった。スネ夫、2019年までに貿易で手広くやってるからな」

 

「骨川コンツェルンって、元は何だったんだ?」

 

「スネ夫の先祖は戦国時代以前からの士族だったが、明治になって商店を始めて、財を成したのがコンツェルンの始まりで、戦後に広告代理店事業で儲けるようになった。スネ夫が経営を引き継いでからは大震災の痛手から立ち直って、多角経営に成功。今は貿易で儲けてる。うちの備品の少なからずはスネ夫からの差し入れだよ」

 

スネ夫は64Fの兵站を助ける一方、会社が疫病騒ぎでテレワークなどが多くなったことを理由に戦場に姿を見せており、コンツェルンの総帥かしらぬ行動を取っている。疫病騒ぎで会社も開店記念同然の部門が生じているなど、大変な時期のはずだが、戦場でのび太と苦楽を共にしている。この日には基地内の一室でテレワークをしつつ、黒江の要望であるF-5やドラケンの機体部品を取り寄せるよう取り計らっている。これはF-20はF-5の部品が流用できる事、ドラケンは部品が数個あればコピーすればいいからだ。

 

「ああ、言っとくが、あじあ号は日本のJRがあと数年後に買い取る手筈になった。新幹線を造る上、列車の電化であれを観光用以外に維持する理由も無くなったからと、太平洋戦争が始まるからだ」

 

「日本で保管するのか?」

 

「戦争で全部が散り散りになるよりは…って発想だろうよ。史実だと、中国やソ連に取られて、21世紀には完全には現存していないそうだしな」

 

「何編成だ?」

 

「少なくとも、二編成は引き取りたいそうだ。新幹線の技術の源流だし、戦前日本が一時でも見せた一つの輝きだからな。戦前日本が暗黒時代のように言う一部の連中の鼻を明かしたいんだとよ」

 

「一時、か」

 

「戦前日本は見てくれだけ立派にして、内実は地方を犠牲にしてたって言われてるからな。戦争で失ったものを、少しでも取り戻したいんだろうさ」

 

扶桑への批判は史実の戦前日本を重ね合わせてのものが多く、実際は的外れである事が多い。扶桑は史実の戦前期日本より国力があるため、地方都市と都心の格差はむしろ少なかった。(東京の再開発が始まると広まるが)

 

「政治的だな?」

 

「今の世の中はそういうものだ。あたしらは個人としては破格に強いが、『みんなでできること』を是とする扶桑じゃ迫害されてきた。扶桑の上が急に扱いを変えたのも、外国で伝説になってたからだ。江藤隊長は今更、後悔してるらしいがな」

 

「そういってやるな。あの方もお前らのスコアが人事の怠慢で非公式のままだった事に驚いてたし、お上から呼び出し食らった時は命を捨てる覚悟だったんだ。だが、事の発端は人事部の怠慢なんだ。当時の責任者は退役したし、時間を遡って処罰を下すわけにもいかんから、あの方のミスということで、一定の処罰は食らう形で責任は取ったんだ。士気が崩壊するから、一般への公表も作戦後になる」

 

「現場の混乱は無視かよ」

 

「お前らの過去の戦果は外国ルートで真実であると肯定されたし、山本大臣も全軍布告でお前らを『我が国最高の英雄』と宣伝された。加東、ミーナは人格が入れ代わったんだ。お前の部下への非礼は侘びてるし、隊の運営からも事実上は手を引く形で責任を取ったんだ。許してやれ」

 

「本当なら一発はヤキ入れてるところだが、お前と西住まほに免じて許してやる」

 

「お前がやると、洒落にならんだろうが」

 

圭子は統合飛行隊『アフリカ』からそのまま連れてきた部下達をミーナ本来の人格が能力を侮るような発言をした時に切れかけている。その時も坂本が止めている。ミーナ本来の人格は黒江たちに対しては冷ややかな態度を取ったが、圭子の怒りのオーラにはあからさまに怯えていた。査問の後に坂本が『圭子の転属前直近の実績』を教えたところ、ミーナはまたも顔面蒼白に陥った。圭子が『扶桑史上でも類を見ない戦闘狂』であった事を思い知らされたからだ。マルセイユを実力で従わせ、アフリカ戦線では、1943年以降はカールスラント軍に『血塗れの狩人』と恐れられた程の魔女。しかも、年齢的にはとっくのとうにあがりを迎えているはず(ダイ・アナザー・デイ当時の戸籍年齢は25歳)である。三人は未だに扶桑最強のケッテである事が示されてしまい、ミーナは自身が犯したミスの重大さをを遅まきながら理解した。人格の変化はその直後に起こったのである。

 

「ミーナには同情するよ。私への恋心だかなんだか知らんが、そのおかげで司令部の心遣いを早合点した。あいつは下手すれば、一部から誹謗中傷され続けるだろう。歌手になる夢は軍内で果たしてもらうしかないな」

 

「綾香から聞いたな?」

 

「ルミナスウィッチーズが死産に終わった代わりも勤めなければならんからな。ウチの予算のあの金額が無条件で通るわけないだろ。そういうこともするのが条件だ」

 

「要するに、戦闘だけでなく、慰問も最高レベルでしろってか。かーっ。人手不足でもなんでもねぇ……」

 

「仕方あるまい。戦闘要員しか、今のウィッチには求められておらんのだ。ルミナスウィッチーズは予算の無駄と取られてしまい、死産に終わった。司令部が人員を確保はしているが、班として編成するのも無理に近いそうでな」

 

「それで、あたしらに慰問まで?」

 

「そうだ。ウチはそれにうってつけだからな。他の部隊の存在意義否定のようだが、本来の歴史からして、501以外は存在意義もさほど重要ではない以上は…な。本来の歴史でも、私達以外はさほど戦果を挙げられんで、政争の具にされる。それを思えば、各統合戦闘航空団から数名づつ選抜されている今の体制は平等かもな」

 

統合戦闘航空団は政争の道具にも使われる。史実の506がそうだ。それを嫌った日本とアメリカは500番台部隊の統廃合を提案。地球連邦軍から機材の援助が受けられるようになったのも契機になり、ティターンズという大いなる脅威への対抗を大義名分にし、各統合戦闘航空団は501と508を残して凍結扱いとなり、事実上は501へ吸収された。各部隊の幹部は司令部への転属(左遷含む)、退役などで何人かは欠員となったためと、ミーナの不手際の責任を取り、カールスラントが人員の残置はするということで、部隊運営権を手放したため、残った大国である日本連邦が運営権を取得。更に64Fと事実上の合併を行い、同隊長の加藤武子が最高司令官に収まった。それ以後、64Fは501の地位を引き継ぎ、扶桑軍の中央から事実上は独立した航空軍として運用されている。だが、それは扶桑軍参謀たちの強い反発も招いている。1948年度に戦死した八木大佐はその中央の差し金で着任し、戦死した。明樂大佐は懐柔に血道を上げ、一定の信頼を得た矢先に事故死する。その後任になった広瀬大佐は圭子の後輩であったことで中央から離反。次代の宮部大佐と共に離任後程なくして、厳しい戦局を理由に64Fに舞い戻り、49年度以降の部隊を支える事になる。

 

「平等、ねぇ」

 

「日本は欧州系が絶対的エースとして君臨することに憧れと嫉妬を同時に抱く。グレーテ・ゴロプの一件をロシアが『糾弾』して以降、カールスラント空軍の権威は地に落ちたが、連合軍はその代わりを我々に求めた。日本もそれを容認し、アメリカも追認した。英雄がいなければ困るからな」

 

坂本はロシア連邦の悪質な政治的嫌がらせでカールスラント空軍、特に大戦初期に最強とされた第52戦闘航空団の権威は失墜し、それを受けたドイツによる精査で一部の『超人』達以外は撃墜スコアが50機以上非公認にされた最近の動きに触れる。当然ながら現場の士気は崩壊が囁かれるレベルに落ち込み、黒江たちの全スコアの公認がその代わりとされた。つまり、この時期の連合軍にとっては『64戦隊は52戦闘航空団の精神的意味合いでの代わり』であったのだ。だが、文字通りの超人が揃った64Fの部隊戦闘力は全盛期のJG52が問題外と言えるほどに常軌を逸したものであり、誇張なしに最強部隊であった。

 

「ハッ、虫が良すぎだぜ。ほんの数年前までは突然変異の異端者みたいに見てたのが、今じゃ国家英雄だぁ?都合が良すぎるぜ」

 

「これからは将来の元帥昇進は間違いなし、子々孫々の代まで遊んで暮らせるだけの年金は保証されるんだ。それを今までの侘びと考えろ。ウィッチの権益云々には、私だって興味はないが、オラーシャのような惨劇は防がなくてはならんよ。そのためには、Y委員会の地位を盤石にせねば…」

 

坂本もウィッチの権益への興味はないが、ウィッチの社会的地位の低下による迫害を防ぐために、Y委員会を英国の『円卓会議』(英国の重要国策は実は時代時代の王位を持つ者や選ばれた者による円卓会議で決められており、議会は国防などに関しては形式的な儀式である)と同じ地位を持つ組織・会合にまで押し上げるためには自分達の戦果が必要だと説く。

 

「お前も変わったな」

 

「黒江のためだ。過去生で泣かせた償いをしているのさ。ミーナの前の人格に引導を渡したのはこの私のようなものだが、お前らに協力したろ?」

 

「綾香のためか」

 

「全ては奴を過去生で二重人格にした償いだよ。ミーナには悪かったが、あいつはあのままでは政治的判断で除隊させられるのは目に見えていた。だから、人格を変えることでしか手立てがなかったんだ。かと言って、黒江を冷遇するのは我慢ならん」

 

「お前も大変だな」

 

「ミーナが降格で済んだのは、私の温情と取ってくれ。政治的理由で除隊させられると、恩給も出んからな」

 

坂本はミーナの恋心を知っていたが、それよりも黒江との友情を選択した。自分はミーナの恋人であったクルトの代わりにはなれないという坂本の考え、更に黒江との長年の友情が転生した最大の理由だったからだ。その点で言えば、ミーナ本来の人格は不幸だったと言えるが、それを知らぬまま(坂本は同性愛には全く興味はない)なのはある意味、幸運である。

 

「あいつの前の人格が私の心の内を知らずにいたのは幸福だったかもしれん。知っていたら、変な気を起こし、精神病患者扱いにされていたかもな」

 

「お前、同性愛に理解ないぞ」

 

「この時代の世間よりは理解がある方だよ。だが、ミーナのそれはタガが外れるとな…。クルトがあの世に行ったせいだな」

 

坂本は21世紀以降の倫理観に従い、同性愛に理解はそこそこあるが、1945年当時のウィッチ世界の一般常識では『同性愛は汚らわしいもの』という認識であった(史実世界よりはマシだが…)。

 

「例えば、この時代で男が同性愛者と公言してみろ。社会的に抹殺されかれん。ウィッチはその特殊性で渋々ながらも容認されているだけだ。その特殊性が取っ払われてみろ。一気に迫害されるだけだ。時代が1970年代にまで進まんと、同性愛は公にできんよ」

 

 

「安全牌で1980年代までだ。そうでないと意識は変わらんさ。あたしらが撃墜王奨励の文化を根付かせようとしたら色々と反発があったろ?それと同じだ」

 

この当時、扶桑空軍で奨励された『撃墜王文化』は海軍航空隊から激しく敵視されていた。『みんなでできる事』を是とする文化が根強かったからだが、カールスラント軍が台頭した後は撃墜王奨励の風潮に仕方がなく乗っかるしか無くなっており、そこもカールスラントかぶれの陸軍航空隊を攻撃する理由だったが、史実太平洋戦争の情報が伝わると、古式の空戦にこだわる風潮が根強かった海軍航空組織は不要論が強まり、解体されかける。しかしながら、空軍に空母航空まで完全に担わせると組織の肥大化が極まり、他に対して高圧的になるという危惧、空軍の巨大化が艦艇整備や陸軍近代化の障害になるとされたため、なんだかんだで海軍航空組織は存続が許されるものの、昭和天皇の判断でテスト航空隊を兼ねていた横須賀航空隊が解体されると、人員も散り散りになっていく。テスト部隊の完全解体は現場から強く反対意見が出たが、国家元首=大元帥直々の判断では従うしかない。再建は空自の提言で戦後に決まるが、この時代は黒江達へのいじめに昭和天皇が立腹していたことで、責任逃れを図った旧陸軍航空隊系高官の意向もあり、組織解体以外に選択肢がなかったのだ。

 

「高官連中が教官たちの一部を引き抜いて、一部の有望株と共に交代要員として送り込む計画を立ててたろ?それは海軍との取引で決まったものだが、もっと上のレベルで潰された。結果、二個戦隊分の人員が南洋や欧州の途中で遊軍化したし、大鷹など、回航途中で軍艦籍から外される大惨事だ。そいつらの内、あたしらを慕って来た連中は編入したが、他の取り扱いの協議が行われてる」

 

「まだ決まってなかったのか?問題発覚からはもう二週間目だぞ?」

 

「今回の従軍記章の新設は決まってたんだが、日本側がごねたんだよ。防衛記念章と殆ど変わんねぇってのに。今回は完全に向こうの落ち度だから、吉田老が押し通した。軍のクーデターを恐れたからな、日本は」

 

「だが、従軍記章さえ出し打った事は……」

 

「来年には不満が爆発する。それを早期に鎮圧しないと、軍の解体論が息を吹き返す。連中を鎮圧せんと、太平洋戦争の準備さえままならないぞ」

 

「それも帳尻合わせなのか?」

 

「少なくとも、クーデターと太平洋戦争はそうだろう。日本側がそれを招いた点では罪深いが、他の世界も怪異がいなくなれば、遅かれ早かれ、似た道は辿ったはずだ。フェイトに調べさせたが、ひどい世界だと、扶桑がリベリオンに敗戦して軍隊が解体された後に怪異が襲ってきて、扶桑は国土が蹂躙されて、民族は存続したが、国家としては滅んだ世界もあるんだ。それに比べりゃ、人同士の戦争に明け暮れようとも、怪異への対処手段が増えたこの世界は幸せさ」

 

圭子はジャーナリストとしての活動歴もあるため、三人で一番にニヒリズムに染まっている。そこもミーナが危険視した点だが、もはや戦争そのものが変わった後では、ニヒリズムに染まったほうが精神的意味ではタフである。

 

「綾香やのぞみは正気のままで戦い続けたから壊れたんだ。破壊と狂気に身を委ねねぇと、自分が病むだけだ」

 

圭子なりの論理。狂戦士のように思えるが、狂気の蔓延る世界ではむしろ、彼女はまともな部類である。実際、のぞみはりんを支えとしていた事が裏目に出た結果、デザリアム戦役で精神が壊れかけてしまうため、的を射ている。

 

「お前も……変わったよな」

 

「優しさだけで世界は守れねぇからな」

 

圭子はある種のプリキュア達のアンチテーゼ的な存在である。もし、芳佳が元のままであれば、対立は避けられなかっただろうとされるのも、芳佳には圭子のニヒリズム的な言動は理解できないだろうと推測されていたからだ。(実際に圭子は数年後に芳佳の別個体と言い争いになっている)

 

「のび太氏は何を造らせているのだ」

 

「月は出ているか?なガンダムだよ。コロニー落としや隕石落としを阻止できる力がある、な」

 

「まさか、ある世界で地球を荒廃させたという?」

 

「それだよ。だが、あれが手っ取り早い。スーパーロボットの破壊力は政治的に却って使いにくいからな」

 

「似たようなもんだろ」

 

「サテライトキャノンを除きゃ、ありふれたガンダムだよ。あれは」

 

「どっちみち、普通のガンダムより強力だろ」

 

「マークⅡみたいに、特に抜きん出た性能がないガンダムもいるしな」

 

ガンダムタイプ全てが当代最強になれたわけではない。ガンダムマークⅡはグリプス戦役半ばには型落ちになったし、マドロックのように事実上の失敗作扱いのガンダムもいる。ガンダムXシリーズはサテライトキャノンを除くと『ガンダムタイプとしては攻防速に比較的に優れる』という特徴を持つ。

 

「誰を乗せる気だ、彼は」

 

「わかんねぇ。そこは聞いてねぇからな」

 

のび太が誰をガンダムXに乗せる気か。圭子にはまだ正式には知らされていなかったが、最終的にはフラッシュシステムへ適応した事もあり、のぞみがパイロットに決まるのである。のび太はそのガンダムを『凍りついた記憶が目覚める瞬間、始める未来を願う』という、アニメの主題歌の一節を引用する形で概要を示唆している。

 

♪まだ忘れたわけじゃないんだぜ~あの時の約束を~

 

圭子のタブレットの着メロが流れる。黒江の影響か、その曲はFireBomberの『Remember16』であった。

 

「なんだ、お前もFireBomberを着メロに?」

 

「綾香に布教されたんだよ」

 

ぶっちゃける圭子。そもそもはオズマ・リーが全ての元凶なため、オズマ・リーの布教が黒江を染め上げ、それがのび太、ことは、調、のぞみへ伝わった。FireBomberという23世紀世界のロックバンドはある意味、世界と世代を超え、オズマ・リーという熱狂的ファンのおかげで知名度を得つつあった。

 




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