ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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シルフェニアでの「外伝1』と第二部に繋がる話です。


第百六話「キュアピーチの新たな力とそれに至る経緯」

――ダイ・アナザー・デイで64Fへ与えられたアンドロメダ級は払い下げであったが、対して使われずじまいだったため、船体の程度はよく、さらなる未来の30世紀製の大ヤマトの次席になり得る管制能力は有していた――

 

 

――連合軍の総旗艦は30世紀からのび太一族が呼び寄せた宇宙戦艦ヤマトの末裔『大ヤマト』であった。艦影が殆ど初代ヤマトと見分けがつかないため、公には初代ヤマトを演じていた。ダイ・アナザー・デイの頃、初代ヤマトは第三次近代化改修のためにイカルス基地に回航され、改装中。古代進も輸送艦隊の旗艦『雪風』の艦長の任についており、ヤマトから離れているはずである。ダイ・アナザー・デイに参戦している古代進は古代進ではない。正確には古代進の末裔『古代将』で、30世紀の太陽系連合艦隊旗艦である大ヤマトの艦長である。なお、大ヤマトの沖田十三は23世紀の沖田十三そのものであり、アースフリート総司令に収まっている――

 

「沖田艦長、30世紀までどうやって」

 

「神様とヤマトは儂を死なせたくないらしくな。人にはいえん手段で延命されたわけだよ。30世紀では元帥扱いだが、儂は単なる水雷屋なのだがな」

 

はぐらかしつつも、何らかの非合法的手段で延命している事は否定しない沖田十三。同時に彼は元来は水雷の出身で、砲術専攻ではない事を明言した。

 

「沖田艦長、水雷の出なんですか」

 

「初めての指揮は水雷艇だった。戦艦の指揮はガミラス戦役の時からだよ。それまでは突撃艦の艦長だった」

 

沖田十三は水雷畑。親友の土方竜が花形の砲術の出であったのを考えると、バランスが取れている。戦艦のセオリーから外れた突撃戦法を古代が好む源流は沖田十三にあったのだ。

 

「貴方のおかげで、古代さん、突撃戦法大好きに」

 

「古代は戦闘機の出でもあるからな。宇宙艦隊戦は水上と違い、三次元戦闘だ。宇宙艦隊が戦闘機のような機動で襲ってくる事もままある。それを考えると、宇宙戦闘機乗りから艦長に転じた者は多いよ」

 

「アンドロメダはどう使えば?」

 

「速力と砲力を上手く使い給え。アンドロメダ級を単艦で使うなら、ヤマトとは違う運用が求められる」

 

「ありがとうございます」

 

大ヤマトの第一艦橋でそう会話を交わした黒江。プリキュア敗北からは数日前の事である。大ヤマトは公にはされていない参戦者であるため、公には初代ヤマトが参加しているように装われている。艦影が殆ど初代と同じ(サイズは違うが)という幸運もあり、遠近法などを駆使して誤魔化している。その帰り、黒江は偶然、司令部へ機材補充申請をしていたのぞみとそれに付き添っていたラブと出くわし、数日後における敗北を予感させるような不安を吐露したのぞみとラブに黒江は自身の有する技の一つを特訓させることにした。その技とは。

 

 

 

 

――数十分後 無人になった街の広場――

 

 

「模範演技を見せてやる。のぞみ。お前にはサンシャインフィンガーを教えといたが、その上位技だ」

 

「先輩?」

 

「俺のこの手が真っ赤に燃える!勝利を掴めと轟き叫ぶ!ばあああああああああくぬぇつぅ!!ゴォォォッドッ!フィッガアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

ドモン・カッシュの滑舌の都合でそう聞こえるためだが、ドモン風の叫びはハッタリも効くためか、フィンガー系の技を使う時には必ず真似されるのである。

 

「すごぉ~い……」

 

見とれるラブ。当ののぞみは……。

 

「先輩、シャイニングぶっ飛ばして、いきなりゴッドですか!?」

 

「お前らが南斗聖拳にすぐに対抗できる可能性はフィンガー系を極める事だ。後輩たちの前で情けない姿を見せたいのか?」

 

「そ、それは……」

 

後輩達の手前、惨めな姿は見せたくないのか、意を決するのぞみ。そして。

 

「ものはついでだ、ラブ、お前も習っとけ」

 

「え~!?」

 

こうして、のぞみとラブは黒江の即席講座を受けるハメとなった。二人は数日後、技の習得が間に合わず、南斗鳳凰拳に敗北したわけだが、その後の色々な意味で辛い特訓の果てに習得に成功した。その内、ラブはデザリアム戦役の際にのぞみの同位体の戦意を砕くため、シャイニングフィンガーを使ったわけだ。

 

 

 

 

――数年後 デザリアム戦役にて――

 

「ピーチ……?どうしてここに……」

 

「ごめん、ドリーム。別の貴方のために、アクアとミントは何がなんでも連れて行くよ」

 

「ピーチもなの…?なんで!?なんでなの!?」」

 

「別の貴方はとてもつらい目に遭ってる。りんちゃんが記憶喪失になって……傷ついて……。貴方自身もりんちゃんとの友情を敵に嘲け笑られて…。それに怒って、のぞみちゃんはシャイニングドリームになったけれど……それでも手も足も出なくて」

 

「そんな、あの姿で……!?」

 

「敵がそれより強いって事だよ、ドリーム。その時に何かのタガが外れたのか、紫のグラデーションが衣装に入って、理性も吹き飛んだんだ。つぼみちゃんは分かったよ。ダークプリキュア化ってね」

 

「そんな、あたしが悪のプリキュアになんて……」

 

「憎しみが愛を、闇が光を超えちゃったんだよ。その意味が分かる?」

 

キュアピーチは淡々と話す。それだけにキュアドリーム(別個体)の衝撃は凄まじかった。りんが記憶喪失に陥り、それを嘲笑した敵にシャイニングドリームの姿で立ち向かったのにも関わらず、一敗地に塗れてしまった。自分の最高の姿で歯が立たず、逆に敵から『力に頼る者は力に滅ぼされる。哀れな小娘よ』と憐れむような目を見せられ、戦う相手とさえ見なされていなかった屈辱、りんとの友情を否定されたのにも関わらず、何一つできない自分への強い怒りが遂に理性のタガを吹き飛ばしてしまい、ダークプリキュア化に至ってしまった。その力を使ってしまった反動で、のぞみは前世で自分を否定し、ダークプリキュア化した長子の声が幻聴のように聞こえるようになっており、目に見えて精神を闇に蝕われ始めた。それを受け、後輩たちは『もはや一刻の猶予もない』と結論づけ、フェリーチェとピーチをアクアとミントがいる世界に送り込んだのだ。

 

「私達は別個体とは言え、貴方を助けたいと思っているのですよ?貴方は自分自身を助けたいと思わないのですか?」

 

フェリーチェがきつめに言う。そうでなくては堂々巡りになってしまうからだ。ドリーム(別個体)は答えに窮する。

 

「で、でも、その私は『私自身』じゃないんだよ!?わがままだってのは分かってるけど、私が別の自分のために行けばいい話じゃないの!?そうすれば……!!」

 

「そう単純じゃないんだよ、ドリーム」

 

「……どうしても二人を連れて行くなら、私と戦って。そうじゃないと納得できないよ」

 

「ドリーム!」

 

「そうですか…。ならば、タブーを犯すことになりますが……」

 

その世界のルージュが諌めるが、ドリームの決意は硬い。フェリーチェとピーチはその意を汲む形で、タブーとも言える『プリキュア同士の戦い』を行うことになった。これはなぎさとほのかの時代に確立されたタブーであり、後輩達にも不文律のように受け継がれてきたものだ。だが、今はドリーム(別個体)が自分を納得させるために敢えて犯す覚悟を決めた以上、決闘を受けることにした。

 

 

――決闘はそれぞれ、一対一で行われた。ドリーム(別個体)は現役期間中なため、フェリーチェやピーチの知るような『豊富な経験で培った巧みさ』はまだそれほど感じさせない。一方、二人は現役時代より能力がさらに向上しており、総じて優位に立ち回った。ドリームはフェリーチェには得意技が通用しない(以前に『プリキュア・クラッシュイントルード』で『プリキュア・シューティングスター』を真っ向から破られている)事から、殴り合いで優位に立つしかないと判断したが、フェリーチェは合気道の要領で尽くを受け流す。

 

「はぁ…はぁ…。そ、そんな……」

 

「貴方の攻撃は見切っています。これ以上は……」

 

「まだ、まだだよっ!」

 

「その意気は良し。そう言いたいところですが……これで終わりにしましょう」

 

「に、日本刀!?」

 

フェリーチェはどこからか、長尺の日本刀を取り出す。そして、その場にいた殆どの目にも留まらぬ速さで自身の奥の手を見せた。ものの一瞬で九つの斬撃と打撃音が響き、ドリームは自分が何をされたのか理解できぬままに大きく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ、意識を失う。

 

「一瞬で……!?」

 

「あの子は何をしたのよ……体当たりしたようにしか…」

 

その世界のプリキュア5(ミルキィローズ含む)は何が起こったのか理解できない。彼女らの強化された動体視力を以ても、殆ど視認できなかったのだ。

 

「違うよ。一瞬で九つの攻撃をかけたんだよ」

 

「ピーチ、貴方……見えたの!?」

 

「うん。平行世界を股にかけて戦ってると、鍛えられてね。あれが多くの平行世界の中でも最強レベルの実戦剣術『飛天御剣流』の技の一つ『九頭龍閃』。あれを防ぐ手立ては殆どないよ」

 

フェリーチェはコスチューム的に格闘向けでないように見えるが、意外に格闘はこなせるため、飛天御剣流を問題なく扱える。九頭龍閃がその証である。エーリカ・ハルトマンが皆伝になったため、彼女から教わったのである。傍から見ると『壱』~『仇』までの文字が浮かぶ方陣を出現させ、体当たりしたようにしか見えない。

 

「が……ぁ……。何……何をされたの……?」

 

ドリーム(別個体)は辛うじて立ち上がるものの、自分が何をされたのかを理解できていない。強烈な痛みが襲っているためか、顔を顰め、肩を抑えている事から、打撲で片腕が使えなくなっている様子であった。フェリーチェは慈悲として、龍巣閃を繰り出し、戦いを終わらせる。

 

「え……?」

 

何をされたのかわからぬままに糸の切れた人形のように倒れるドリーム(別個体)。外見上は無傷のように見えるのだが……。

 

「私の……勝ちです」

 

見事な日本刀捌きだった。ドリーム(別個体)は自分が斬られた感覚を存分に味わう羽目となり、気を失う。

 

「日本刀はかなり扱いに熟練しなければ、真価は発揮しない。あの子……かなりの実力者ね……」

 

「関心してるのはいいとして、本当についていくつもりなの?」

 

「ここへは、みんなへの挨拶のつもりで戻ったのよ、ローズ。あの子を納得させるために先方に無理を言ってね」

 

アクアは自分の世界ののぞみを納得させるには、昭和以前からの作法に則った決闘が必要と考えていた。実際、自分達のような第一世代プリキュアは第三世代以降のプリキュア(GO!プリンセスプリキュア以降)と違い、昭和から平成初期までの超ヒロインが持っていた古き良き倫理観で活動しているため、後輩達と少なからずのジェネレーションギャップが存在する。(それがのぞみの過去生での派閥抗争の要因の一つである)次の決闘はプリキュア5の後を直接継いだプリキュアである『フレッシュプリキュア』のキュアピーチ相手であったが、インターバルを設ける必要から、その48時間後に行われた。だが、ピーチももはや、ドリーム(別個体)の知るピーチとは別人である。得意のパンチ力は更に強化され、格闘では現役時代のドリームより数段上を行っていた。

 

「三・竜・棍!」

 

空中から三節棍が現れ、それを振り回し、滅多打ちにする。ドリーム(別個体)はそれを掴んで壊そうとするが、ピーチはそれを見越し、プリキュアのタブー破りである『腹への拳打』を綺麗サッパリ打ち込む。ドリームは思ってもない攻撃を無防備に受けてしまい、大きくのけぞってヘドを吐く。プリキュアのタブー破りの攻撃ではあるが、敢えてそれを狙った一撃である。

 

「がぁぁ……ッ!(あ、足が……震え…!?一発もらっただけなのに……!?)

 

「次で決めさせてもらうよ、ドリーム」

 

「そうは……させない…!」

 

ドリームは賭けに出た。フェリーチェには通じなくとも、ピーチには通じるはずと考え、残った気力で『プリキュア・シューティングスター』を発動させた。空高く飛び上がり、急降下で自分に当てるつもりだろう。その攻撃を読んでいたピーチはせめての礼儀と言わんばかりに、その時点での単独での最高の技を見せた。

 

『ドリーム、貴方が流星になって、このあたしを貫こうとするなら……あたしはこの黄金の指で流星を打ち砕く!!』

 

ピーチはそう宣言すると、技の態勢に入る。それはピーチ本来の技ではないが、その時点ではまぎれもなく、彼女の最高の攻撃だった。

 

『あたしのこの手が光って唸る!!貴方をを倒せと輝き叫ぶぅ!!ひぃぃぃさっつ!!シャァイングゥゥ……フィッガァアアアア!!』

 

ピーチの右腕が光輝き、なんとエネルギーを放射する。今回のシャイニングフィンガーは一般にも知られるようなアイアンクロー形式ではなく、後継のゴッドフィンガーで多くなされ、シャイニングフィンガーでも数回は行われた『遠距離攻撃版』で発動した。この攻撃とドリーム(別個体)の『プリキュア・シューティングスター』のエネルギーフィールドが真っ向からぶつかりあった。シューティングスターは落下で得た速度でシャイニングフィンガーのエネルギーを押しのけようとしたが、シャイニングフィンガーのエネルギーはシューティングスターをエネルギーフィールドごと押し返す。これにドリームは驚愕し、懸命に貫こうとするが、エネルギー出力で負け、空中高く押し戻され……。

 

「そ……ん……あ、あ……!?」

 

シューティングスターのエネルギーフィールドが破られ、態勢を完全に崩された瞬間、情け容赦なくシャイニングフィンガーのエネルギーの奔流に完全に飲み込まれ、大爆発が起こった。ドリームは気絶して落ちてくる。それをピーチは空中でキャッチ、お姫様抱っこをしながら、空中で勝利を宣言する。

 

「ピーチ、今のが貴方の新しい力なの……?」

 

「たぶん、みんなの知るあたしは別のあたしだと思うよ、ローズ。さて、勝負に勝ったことだし、みんな。プリキュアに二言はないね?」

 

なんとなくであるが、普段はピンクのプリキュアの例に漏れずにお気楽極楽なところがあるキュアピーチだが、この時ばかりは状況が切迫していた事もあり、真面目に決めた。ただし、二言はないかと聞いたりするなど、どことなく現役時代より武道家じみた雰囲気がある。と、そこに

 

「やっぱりこうなったか」

 

「のび太。来ていたのですか?」

 

「のび太君、やっぱり来たの?」

 

「拳で語るのはいいけど、今回は時間がね」

 

青年のび太がやってきた。二人が帰還するのが遅いため、迎えに来たのだ。

 

「貴方は……?」

 

ミルキィローズに聞かれ、のび太は微笑みながらこう答えた。

 

「別の世界で君たちと一緒に戦っている、通りすがりの正義の味方さ」

 

……と。これがデザリアム戦役でのキュアアクアとキュアミントの参戦までに起こった大まかな出来事である。青年のび太は自身を『通りすがりの正義の味方』と冗談めかして自己紹介するが、ドラえもんから受け継がれた一種の礼儀作法でもあり、ドラえもんなりの世界を救うための一種のニヒリズムが形となった形容詞でもあった。それがのび太一族に受け継がれ、ひいてはことはや調が生き方を変える理由にも繋がるのだ。そして……。

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑皇国で1946年秋にクーデターが起こった理由の一つはその年の三月十日の『1905年戦役の会戦勝利記念式典』を日本では『東京大空襲の日だから』という一方的理由で強引に中止させた事も理由であった。(憲法改正後は扶桑国民の心情に配慮し、軍隊記念日を統合するという名目で、史実で日本海海戦があった五月二十七日に新たに軍隊記念日が定められた)これを『子供じみてる』と取った日本側はクーデター軍の幹部らを極刑含む厳罰に処したが、ウィッチに厳罰を与えた事は扶桑国民の精神的萎縮を招き、軍隊が志願人数の低調に悩む理由の一つになってしまう。ウィッチの中で優秀と認められる人員に『特権が与えられる』慣習が定着するのは、ダイ・アナザー・デイからの数年間の新規志願数の低調を既存人員の活用と義勇兵で乗り切ろうとした政策の一環であった。太平洋戦争の開戦後に始まったウィッチの集団就職は1948年の玉音放送で不敬罪を恐れた農村地帯がクーデター事件後に行ったウィッチの監禁や軟禁を『お国のため』という事で行われたものだ。当主の自己保身のために軟禁や監禁を解き、無理矢理に送り込んだのが全体の5割強を数え、能力も士気も低く、前線要員に殆どできない有様であった。義勇兵が前線の補充要員の主流を占めている時代があったのは、そういう事情によるものだ。また、1945年次に14~15歳だった工科学校生が入隊したのも1949年次になったため、家の都合で入隊辞退する者も生じる事態になった。結果、軍隊は軍事費の少なからずを福利厚生費に充てる事となり、前線装備の更新が立ち遅れる事態となった。また、日本は本土防空に多額をつぎ込む一方で、野戦防空に関心が薄く、野戦高射砲を廃棄させていたため、地球連邦軍が見かねて陸軍の防空装備を供与するほどの有様であった。この時期に供与された装備にデストロイド『ディフェンダー』と『ファランクス』が含まれており、野戦防空高射砲の役目は同機が代行するようになっていった。防衛省は『背広組が出し打った為に組織全体が恥をかく』損な役回りをダイ・アナザー・デイから演ずる羽目に陥っており、権限の縮小が議論されるに至る。防衛省は旧内務省系官僚が制服組を押さえつける構図が続いていたが、ダイ・アナザー・デイを契機に流れが本格的に変わっていった。これは現在進行形で戦闘中の扶桑軍に平時の理屈を押し付けたがための必然的な流れで、内務省系閥はダイ・アナザー・デイで恥を晒したばかりか、戦後に確立させていた立場さえ失いかける惨事に遭遇していた――

 

 

――2020年の日本 防衛省――

 

「だから言ったではないですか、装備供与は出し惜しみするなと!!地球連邦軍が遥かに優れた装備を与えれば、我々の商機は失われる!」

 

「しかし、ただでさえ少ない装備を分ければ、その代替の確保が……」

 

「今次作戦で散々に迷惑を先方にかけておいて、あんたらは自己保身ですか!いい加減にして下さいよ!!」

 

ダイ・アナザー・デイ中の防衛省は疫病への対応や装備更新などに追われており、ダイ・アナザー・デイは片手間程度の取り組みに留まっていた。そのためか、背広組の勝手な妨害工作で防衛省そのものが大恥をかく事態に陥った。しかし、『財務省の介入で自分たちの装備調達が減らされる』のを恐れるのも一定の説得力があった。だが、現地装備の多くを旧式化を理由に廃棄させたはいいが、代替となる新装備を与えられないという事態に陥ったのが背広組の運の尽きであった。おまけに旧軍戦車の代替を目論んでいた『16式機動戦闘車』の戦績が芳しくなく、自衛隊への配備分すら削減されかねない事態に陥っていた事は運用方法の不徹底による不手際であった。

 

「だって、16式機動戦闘車なら、旧軍のブリキ戦車を全部取っ替えられるって…」

 

「あれは歩兵支援用の兵器であって、戦車と撃ち合う事態は想定してませんよ!!それに、旧軍もシャーマン戦車レベルのものは試作できてますよ!ご存知ないのですか!?」

 

「だ、だって、部下が74式は待ち伏せにしか使えないって……」

 

防衛省内部での勢力で優勢を保つ警察からの出向者だが、事もあろうに、旧軍兵器をガラクタと馬鹿にするくせに、肝心の自衛隊兵器に無知であるという醜態を晒すことは珍しくなく、今回は特に酷かった。

 

「言い訳はよろしい!防衛大臣と総理大臣の前で白黒つけましょうか!?」

 

この嘘のような本当の情けないやりとりが問題の本質であった。日本は平時の理屈で扶桑を散々に振り回したが、扶桑は有事の真っ只中であり、扶桑の兵器生産を振り回す事態にも陥ったため、地球連邦軍からの兵器供与は大規模にならざるを得なかった。それらにアンドロメダ級戦略指揮戦艦が含まれていたのは当然の流れであった。アンドロメダ級は地球連邦軍にとっても有力な戦艦であったため、供与に反対する声が大きかったのは事実である。だが、ガイアとの政治取引でアンドロメダ級の退役が決まってしまったため、64Fへの供与は加速度的に決まった。64Fはメネシス、カシオペアなど、本来は廃棄が決定されていたものを引き取り、戦力として運用したわけだ。皮肉なことに、それでアンドロメダ級の概要がガイアにも知れ渡り、ガイアのヤマトのクルー(特に古代)は一様に気まずい想いをしたのは言うまでもない。ガイア・ヤマトは当時、記念艦扱いで安置されており、奇しくも、改装中のアース・ヤマトと似たことになっている。二つの地球の古代はこの頃には遭遇しており、百戦錬磨の戦士であるアースの古代、若々しい印象のガイアの古代という対比になっていることに驚きあったという。ただし、アースの古代はヤマトの初代クルーの大半をガトランテス戦役で死なせたことに悔恨を持っており、その経緯はガイア古代に影響を与えたという。

 

 

 

 

――プリキュアの『敗北』は楽観ムードも一部に出ていた戦線に高い緊張感を与えた。また、南斗聖拳の実在が明らかになったという事は必然的に元斗皇拳、北斗神拳、北斗琉拳も実在することになるからだ。拳法を極めた達人はプリキュアに勝るという一つの事実は、ある意味『筋肉は裏切らない』というネット上の言説の裏付けともいえる――

 

 

――ダイ・アナザー・デイにて――

 

 

「南斗鳳凰拳にやられたか…。なかなか以て、強豪に出会ったな」

 

「しかし、ビート。あの三人が捕虜になったのはまずいのでは」

 

「うむ。我々の沽券に関わる事態だ。スーパーヒロインの名折れになりかねん。昔のセーラー戦士たちも一度は死んでいた以上、我々が敵に負けない道理はありはせんしな、フォーチュン」

 

「かなりぶっちゃけていませんか?」

 

「私は転生後は民間軍事会社で飯を食っていたからな。かなり、そういう事には気を使わざるを得なかった。だが、どんな者でも負ける時は負ける。あのマジンガーZもそうだったからな」

 

「マジンガーZ、ですか」

 

「お前のように若いのはアニメも見ておらんから知らんだろうが、生で見た身としては衝撃的だったんだぞ」

 

キュアビート/黒川エレンはクラン・クランとしてだが、マジンガーZが敗北を喫した際のニュース報道を知っている。マジンガーの敗北はその直後に起こったグレートマジンガーの鮮烈なデビューとセットで語られる事も多いが、その出来事が彼女にかなりの影響を与えたのは言うまでもない。

 

「私達は転生で死を乗り越えてしまった。それ故に、今回は死ぬことも許されん身になったからな。外野は不死性について、バケモノだの、精神的に甘えをもたらすだけだの、うるさく言うが、捕虜になって拷問される身にもなってみろってんだ。それも変身した状態でだ。ドリーム達の気持ちは連中にはわかるまい」

 

プリキュアは普通なら死ぬような拷問に耐えられるため、敵も電気椅子や鞭打ちなどの非人道的(前近代的)な拷問を躊躇なく行うに足る素地がある。(キュアメロディはアイアン・メイデンの実験台にされ、全身を串刺しにされたが、生還している)それを懸念するビートであった。

 

 

 

 

 

 

――その頃、シャイニングドリームは筋肉モリモリマッチョのティターンズ下士官による鞭打ちを夜通しされていた。純白のコスチュームは鞭打ちでボロボロになり、血が滲んでいる。『特別室』に縛られた状態で運び込まれ、拷問されていた。

 

「吐け、吐くんだ!!」

 

下士官は夜通しで鞭を奮い続けているため、汗だくになっていた。鞭が当たる時の『ビシッ』という音が響き渡り、シャイニングドリームのコスチュームが破れた箇所は皮膚が裂け、傷からは血が垂れているという無残な様相を呈していた。意識が飛んだのか、うなだれて、首がガクンと垂れさがる。

 

「無駄だ、ヤマシタ君。彼女がプリキュアとは言え、とうとう失神したようだ。我々もそろそろ一息入れよう」

 

「今まで、多くの捕虜を『手がけて』きましたが、こんなモンスターは久しぶりですよ……」

 

「彼女の意識は3、4時間ほどで戻るだろう。それまで休憩としよう」

 

監査役の士官がヤマシタと呼ばれた日系の下士官を促し、部屋を出ていく。それを確認したシャイニングドリームはパチっと目を開ける。失神する演技をしていたのだ。そこは百戦錬磨故に取れる選択だった。

 

「……くそ、あの筋肉モリモリマッチョマンめ……。やりたい放題やりやがって……!このあたしが、キュアドリームが、情報を吐くと思ってんのかっての。……い、痛っ……いくら死ねない体になってるったって、普通に痛いんだからね……。外野のうるさい野郎ども……」

 

Gウィッチは転生をした副作用か、肉体の不死性は持つものの、その他は殆ど変わっていない。それと、拷問に肉体は耐えられても、精神的には相当なダメージを負うという点は常人と何ら変わりない。プリキュアであるシャイニングドリームは双方の意味でダメージを余計に負い、強い屈辱感を味わっていた。

 

「クソ、どういう鎖使ってんだ?麻酔も切れて、パワーは戻ってるはずだってのに……なんとか手を考えないと…。」

 

プリキュアたちの捕縛に使われた鎖はガンダリウム合金製の特別製であった。超プリキュア達が全力を出そうとも、引きちぎれないだけの強度を持つ。(仮面ライダー相手には通じないが、そもそも、仮面ライダーは戦闘用の改造人間である)ドリームは監視カメラを考慮し、失神した演技を再開しつつ、反撃の手立てを探るのだった。

 

 

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