――プリキュア達はデザリアム戦役後、そのまま扶桑皇国に居住。太平洋戦争へと流れ込んだ。ウィッチ世界に何人かが戸籍を持つためだ。それと、彼女たちそのものが抑止力であった。ウィッチ世界で核兵器が使われる可能性は小さかったが、21世紀製核兵器が持ち込まれる可能性は大きかった。怪異用からは外されたが、リトルボーイとファットマン自体は完成済みであり、この時代の都市ならば焼き払うことは容易にできる。もし、リトルボーイかファットマンを使おうものなら、歴代プリキュア達が百万のリベリオン軍を殲滅するという趣旨の恫喝のようなものだ。リベリオンは軍よりもむしろ民兵の方が厄介であった。結果として、21世紀になった後にならないと民兵組織は全滅しなかった。これは『リベリオンのフロンティアスピリッツを東洋人から守る』という事だけでまとまっていたが、自由リベリオンや扶桑へのテロ行為を行い続け、最後のミリシャが降伏したのは21世紀になってからであった。これはかつて、扶桑が西海岸に築いていた『瑞穂国』を虐殺して取り込んだ歴史から、その報復を白人層が異常に恐れたための流れであり、ウィッチ世界の歪みの表面化である。皮肉なことに、1945年度のダイ・アナザー・デイで連合軍が勝利した後、三年の準備時間が得られたのは、未来兵器とプリキュアたちが抑止力になったためであったが、扶桑はその時間を活かせたとは言えなかった――
――ニューレインボープランが日本側に通告されたのは1949年度。第一陣が完成し、止められない段階に入ってからであった。日本側は事の次第を知らされると『高い金かけて、超兵器を数個造るのなら、通常兵器に回せ』と嫌味を言ったが、『通常兵器が妨害されたから、超兵器に全力を注いだのだ』と言われ、ぐうの音も出なかった。ダイ・アナザー・デイでは烈風や紫電改でさえ揃えるのを妨害されたため、連合軍はラ級戦艦の量産が軌道に乗る1949年まで隠し通したのである。日本はその負い目があるため、ニューレインボープランの事後承認を承諾した。そして、64Fが1946年から運用する『轟天』こそ、ラ號の准同型艦である事も伝えられた。ラ號を接収できなかった日本にとって、これは屈辱感に溢れるものであったが、ラ號と同じ能力を持つ戦艦が合法的に手に入る事は魅力的であり、承諾した面がある。また、轟天は戦時下で設計されたせいで不完全な面があったラ號のメガを潰した完全版というべき性能を持つ(51cm砲搭載と対応防御を持つ)ため、むしろそこは好評であった。
――1949年 日本連邦 評議会――
「轟天はラ號の同型艦を改修したものだと?」
「船体パーツだけが残されていたのを黒江くんが回収させ、我が国で新造したパーツを組み込んだものです。そちらでの『羅計画』にあった豊葦原を復活させたとお考え下さい」
「地球連邦軍の援助があるとは言え、なぜ空軍に配備を」
「宇宙戦艦を持ったなど、そちらの財務省が信じますか?空軍の大型ガンシップと言った方が予算が得られるのです」
流石に気まずくなった日本側。まさかラ級を各国向けに量産していたとは夢にも思っていなかったからだ。だが、それがロシアに渡るのを恐れた日本側がオラーシャへの引き渡しを差し止めるように迫ったが、『オラーシャ海軍は既に代金を払っており、扶桑からの引き渡しを待っている』と
突っぱねた。それを知ったロシアがキーロフ級ミサイル巡洋艦を餌に横槍を入れた事もあり、このレインボープランで完成した戦艦は発注元にすんなり所属できた例は意外と少なかった。『戦艦よりも、最新のミサイル巡洋艦、もしくはミサイル駆逐艦だ!』と同位国が横槍を入れて発注をキャンセルさせる事例が続出したが、それがラ級である事を知っていた米英仏の三カ国は予定通りに受領。その三カ国の軍事抑止力を向上させた。(後に独連邦も遅れて受領。オラーシャは結局、正式な受領が10年も遅れることになる。完成した戦艦達はいずれも地下ドックに安置され、順次引き渡しが始まったが、オラーシャの発注分の二隻は日本の差止め要請とオラーシャの日本への抗議で揉め、戦時中は条件が折り合わず、1950年代後半まで死蔵されることになった)
「オラーシャは代金を支払っております。我々に詐欺をやれと?」
「そういうわけではありません。引き渡しを引き伸ばしてくれということなのです。ロシアが接収してしまう可能性を考慮してください。せめて10年……。ロシアが介入しないとわかるまでは……」
日本側はロシアがそれを理由に大戦に介入する事を異常に恐れ、オラーシャ用のラ級の引き渡しの差止めを要請した。日本は戦時下を理由に、引き渡しを無期限で延長したいと伝え、オラーシャは当然ながら大反発。その解決にはウィッチ世界で10年が費やされることになる。このように、連合軍全体の戦力増強が失敗したため、日本連邦は単独の超大国にならざるを得ず、未来兵器の大規模購入が進められた。だが、攻勢に必要な数が揃うのに数年は要すること、リベリオンの拠点であるハワイ真珠湾の攻略までは決まっていたが、その後のビジョンで揉めていくのである。その結果、1949年も忍耐の年になるのは確実であった。
「では、我々に詐欺師になれと!」
「違います!戦争中は止めてくれと言っているだけです!10年後に引き渡すと覚え書きするだけです。彼の国は学園都市に負けるまで、北方領土を返さなかったのですから、これくらい当然です」
「それはロシアとの話でしょうが!先方には貴方方から説明してくださいよ!?」
「分かっています。そちらにご迷惑がかからないように取り計らいます」
オラーシャとしてはたまったものではないが、日本側のロシアへの不信は日露戦争当時からと根深く、オラーシャはせっかく大金を支払った新戦艦に10年も待ったがかけられることになったため、当然ながら海軍は猛抗議を加える。その代わりに日本連邦からの長期的な経済援助で手打ちが図られ、オラーシャはその資金で国家再建に突き進んでいくのだった。
――太平洋戦争の長期化は必然的に国民士気の長期的低下が予想されたため、史実のような国民生活への極度の統制は取らず、戦争をできるだけ国民に感じさせないようにするなどの日本側主導の政策が取られた。だが、B-36の登場後は本土空襲の危険が増したため、防空装備の近代化が急がれ、デストロイド・ディフェンサー、デストロイド・ファランクスが大量購入され、要地防空や野戦防空に活用された。加速度的に装備が近代化する一方、それを扱う要員の教育が追いつかない問題も表面化。ジェットかつ、重武装化した第二世代宮藤理論式航空ストライカーの配備が伸びない理由の一つでもあった。また、組織の統制が崩壊したカールスラント軍から大量の義勇兵がやってきた事は日本側をして『扱いに困る』と言わしめたが、高度な教育を済ませた将校であった事は日本側を安堵させた。(特に練度の高い者は64Fに回され、それ以外も最前線で戦う部隊に回された)日本側は義勇兵を扶桑新人ウィッチの代わりとして考えるが、長期的な視点からの戦力とみなすには厳しい点が多々あるため、新規育成枠の打ち切りはされず、ウィッチ覚醒の休眠期とされるこの時期でも募集は続けられ、ウィッチの育成ノウハウの維持に繋がるのだった――
――皮肉なことに、デザリアム戦役でネオ・ジオンが敗北を喫した事はティターンズ残党の戦力増強に寄与した。ネオ・ジオンのタカ派が身売りしたからで、そこも皮肉極まりない出来事となった。それらを温存しつつ、リベリオン軍を駒として用いる彼等。連合軍がジェガンの導入を始めたのには、『MSがないと、彼等からの防衛ができない』からだ。とは言え、地球連邦軍も余りに余ったジェガンの供与先を探しており、その代金をジェガンの後継機の配備費に充てたい思惑があった。(ロンド・ベルでさえ、ジェガンは未だに使っている)ウィッチ世界での需要増は歓迎され、倉庫に眠っていたジェガンが連合軍へ配備され、上層部が精鋭と認める部隊から優先的に配備され、連合軍にMSへの対応方法を与える事になった。そのため、ジェガンは結果的に連合軍に人型機動兵器の運用能力を最初に与えた名機の一つと後世に名を残す事になった――
「交代が来たわ、私達は戻りましょう」
「分かったわ」
キュアウィンディとキュアパッションはドダイ改でやってきたジェガン隊とパトロールを交代し、基地への帰路につく。
「あの街が新京……。史実だと満州国の首都だけど、ここではこの島の県庁所在地の名前なのね…」
「中国と李氏朝鮮が滅んだ後、南方に織田幕府が積極的に海外進出した結果だそうよ」
「お、織田ぁ!?徳川じゃないの!?」
「本能寺の変で織田信長が生き永らえた世界みたい。それで資源地帯を中世のうちに確保できたから、この世界の日本は早くから栄えたとか」
「それでこの島は栄えてるのね」
「でも別の世界の日本からは本土をおざなりにしてるって批判もあって、何かと苦慮してるみたいよ、この世界の日本」
「なんで別の世界に口出しをするのかしら」
「嫉妬でしょうね。本当なら今頃は昭和24年。戦争に負けて、日本中がまだ苦しい時期なのに、この世界の日本は戦前に持っていた軍事力、国際発言力、海外領土、宝…。ここには日本が戦争で失ったありとあらゆるモノがある。だけど、21世紀の日本は経済が傾いて久しいし、この世界の資金と人材がなければ、90年代の経済政策の失敗をカバーすることもままならなかった。一時は世界二位を誇った経済に陰りも見えていたから、活力と未来があるこの世界が羨ましいのよ。この世界が発見されなければ、21世紀の日本は疫病のせいで経済がまた死に体になったから」
「子供じみてるわ、そんな事…」
「だけど、それが現実なのよ、ウィンディ」
ウィンディは21世紀日本に呆れと落胆の入り混じった感想を漏らす。いくら同位国とは言え、子供の遊びのように介入していいのか、と。パッションはその点、元がラビリンスの幹部だったため、意外にシビアで現実主義ななところを見せた。
「咲はそんな事、考えてないわね、きっと」
「本当は少しは考えるべきなのだけど。立場上、ね」
日向咲/キュアブルーム/キュアブライトはこの時点でのピンクプリキュア最古参という立場だが、政治には興味は全く無い。だが、のぞみの負担を軽くする観点から、のぞみがそれまでしていた仕事の一部を引き継いだ。その観点から、パッションに苦言を呈されたのである。また、ソフトボール部のエースだったために、猪突猛進気味ななぎさよりは遥かに統率力を持つことから、1949年時点ではプリキュアコミュニティのリーダーシップを彼女が取っている。
「プリキュア全体のリーダー…か。のぞみちゃんはリーダーっていうものを嫌ってたけど、立場上、やる必要があった。それが疲弊の理由だと思うわ。今は咲がやってるから、気が楽になったと思うわ」
「私もよ。今の子には分かりにくいと思うけれど、上下関係っていうものは何らかの形で意識しないといけないのよね、社会に出ると」
のぞみは現役時代からリーダーという立場を嫌っていたという特徴があったが、転生後は仕事が軍の将校であることから、他のプリキュア達をまとめなくてはならないという立場上の精神的負担が予想以上に大きく、精神的な意味での逃げ場もなかった事がデザリアム戦役での破綻に繋がったため、その後は比較的に年長であるシャーリー(北条響/キュアメロディ)や蒼乃美希(キュアベリーであり、ダージリン)が補佐し、咲の来訪後は咲がバトンを受け取り、重要な会議にのぞみと共に出席している。
「なんだか、世知辛いわね…」
「世の中、そういうものよ。ウィンディ」
プリキュアとしては同時代を生きたため、ほぼ対等な立場の会話をするキュアウィンディとキュアパッション。パッションは乗り物の運転は現役時代にはできなかったが、この時期にはオートバイのの運転程度はできるようになっていた。聖域の周辺の街の見回りなどで必要なために覚えるしかなかったからだ。
「あなた、聖域で覚えたの?オートバイ」
「聖域の回りにある街の見回りとか幹部の視察の護衛とかでね。昔はえりかに『乗り物の運転させないで!』って愚痴られたけれど、必要に迫られたのよ」
パッションはそこは苦笑しつつも、聖域で覚えたオートバイに乗る。なお、現役時代の経緯上、ピーチには失神されるわ、ドリームには腰を抜かされたりと、散々な評判であるが、意外に堅実な運転をするらしい。だが、今は蛇使い座の白銀聖闘士を継いだ身。現役時代よりもプリキュアの責任の重さを説くなど、聖闘士になった故の使命感の強さが分かる。ましてや、元々は邪な存在であった彼女。その使命感は強いため、先輩たちからも信頼を置かれ、後輩からも尊敬される身であった。
――こちらはキュアフェリーチェ。かつてのような神通力は失ったものの、光子力とゲッター線に見いだされたことで、ドリーム達に先立ち、二つの力の制御に成功。この時点では各勢力間の折衝任務が主な仕事になっていたとは言え、戦闘で戦果がないわけではなく……――
『感じる……ゲッターの力を!!心を一つに……私の……私達の想いでパワーを引き出す!!』
フェリーチェは『意識を集中させ、ゲッターエネルギーを圧縮。それを前に包むように構えた両手の中で一つに集束させ、エネルギー弾を生成する』。それはもう一つの太陽を創造するかのごとき所業であり、Gウィッチでも高レベルでゲッター線との親和性を持つ者にしか成し得ない高等戦闘術でもある。その名も。
『ストナァァァァァァ・サァァァァンシャァァァァイン!!』
ゲッターエネルギーの塊と言えるもう一つの太陽を彼女は敵に投げつける形でぶつける。なお、ぶつけた相手は第11任務部隊。ウィッチ空母であった『レキシントン級』を基幹にした機動艦隊であった。ストナーサンシャインの直撃を受けたレキシントン、コンステレーションはストナーサンシャインのエネルギーで護衛艦ごと跡形もなく消滅していく。抵抗の間ない閃光一閃であった。艦隊は一瞬で半壊に陥り、混乱を強いられた。サラトガ、コンスティチューションは艦上ウィッチで抵抗するものの、二線級の旧式空母なためか、機材は1941年の水準のままであり、フェリーチェの敵ではなかった。ウィッチ達はフェリーチェに追従すらできずに瞬く間に撃墜され、全滅した。二隻分の24人のウィッチが全員だ。
「これ以上の抵抗は無意味です、降伏を!」
ウィッチ部隊を一蹴したフェリーチェは艦隊に降伏を勧めるが、返事は激烈な対空砲火であった。
「そうですか、仕方ありません。こちらも容赦しません。……サンダーブレーク!!」
彼女は見せしめと言わんばかりにサンダーブレークを発動させ、鞭のように振るい、回りの護衛艦を薙ぎ払う。ブルックリン級軽巡洋艦とフレッチャー級駆逐艦がサンダーブレークで薙ぎ払われ、次々と船体を真っ二つに叩き斬られていくのは、敵艦隊には悪夢そのものだろう。その次の瞬間、生き残りの空母である「サラトガ」が『降伏する』と自らの意思を示すため、白旗を掲げる。そして、サラトガから通信が入る。
「こちら、空母サラトガ。降伏する!協議を求む!!繰り返す!降伏する!」
必死の通信であるため、偽装もクソもない平文だったが、広域無電で宣伝するあたり、艦長の切羽詰まった決断が手に取るように分かった。
「こちら、日本連邦空軍64戦隊所属、花海ことは中尉。そちらの意思は了解いたしました。これより協議を行いたいので、艦隊責任者か艦長は甲板に降りてきてくるようお願い申し上げます」
「了解。私は本艦の艦長だ。甲板で貴官を出迎える」
艦上ウィッチを数分で殲滅させられ、艦隊が半壊した以上、無駄に抵抗し、全艦が海の藻屑となるのは嫌だろう。それを確認したフェリーチェは空母サラトガに降り立ち、偶然に付近を航行中の自由リベリオン軍戦艦『ミズーリ』に頼み、監視と護衛を依頼。サラトガの艦長と降伏の協議を行うべく、サラトガの艦長室で詰めの協議を行うのだった
――任務部隊を半壊させ、随伴の支援艦艇諸共に鹵獲したというフェリーチェの戦果は陸上で苦境に陥っている中では、今次大戦初の大戦果であった。フェリーチェはこの功で空軍創設後初の『空軍武功章』の授賞者となる名誉に預かった(花海ことは名義。戸籍上は野比になっているが、仕事では旧姓を使っている)他、個人感状も拝領した。予てから新世代のウィッチとして彼女を宣伝してきた扶桑軍は諸手を挙げて喜び、新世代のエースと一般に大きく宣伝した。プリキュアであるために当然という声もあったが、ストナーサンシャインやサンダーブレークはいくらプリキュアと言えど、容易に真似できない技であるため、彼女の特殊性が認知されだすのだ。この任務部隊の鹵獲は自由リベリオンに船や物資を与えられる格好の機会であることから、自由リベリオンもことはの戦功を褒め称えた。スーパーヒロインを地で行くこの活躍だが、アニメと違って『やるべき時には倍返しをする』性格であると認識された他、マジンガーZEROによって『マザー・ラパパの後継者になる因果からは切り離され、一人のプリキュアとして再出発した』事も知られた。ただし、元が妖精であった都合か、不死性などはそのままであるため、『神では無くなったが、神に極めて近いことには変わりない』事も追記された。アニメでは超然とした態度を取る事も多かったが、実際には人間味を感じさせる言動も多いことから、逆に人気が倍増した。ことは本人も驚きの結果である。また、ストナーサンシャインやサンダーブレークを撃てることから、その凛々しさが報道されると、男子人気をその技のビジュアルで開拓してしまい、1949年度のバレンタインデーには、大量のチョコレートが男女問わずにことは宛てに送られてくる珍事が発生。パティシエでもあるプリキュアの後輩の宇佐美いちか/キュアホイップに処理方法を相談するしかなく、本人も大いに困惑する事態となった。ことはたちは大量のチョコレートの処理に困り、自分たちで食いきれないものは、いちかとあおい、ゆかりがケーキの材料にしたり、チョコアイスにしたりして、数日かけて、どうにか処理したという――