ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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第百十四話「ウィッチ世界に起こる帳尻合わせ」

――ウィッチ世界の歩みを史実に近づけていた事が糾弾された21世紀世界の日本はオラーシャ分裂騒動で完全に面目を失い、扶桑に政治的に強くは出られなくなったが、クーデターを理由に軍事的には強く出るようになった。だが、それも太平洋戦争での苦戦で躓き、結局、日本による扶桑の現地住民を使っての軍備統制は失敗したと言える。(オラーシャへのラ級売却を妨害したのが最後の目立った動きだった)1949年から交戦が本格化し、航空部隊の主力はレシプロ機からジェット機に移り変わったが、戦車などの更新は立ち遅れていた。日本が『連中に74式のライセンス生産ができるのか』と疑問視した事で生産開始が大きく遅延したからだ。1949年になっても外地部隊には満足に行き渡らず、その『次』が取り沙汰される始末であった。それを補うため、人型機動兵器は大量に導入された。導入されたジャンルは多岐に渡り、野戦防空にまで及んだ。カールスラントは間接的に兵器の扱いにくさが伝聞したおかげで、軍需分野の商機を失う羽目になった。日本連邦、とりわけ日本は本土防空に予算を割く一方で、野戦防空を軽視するため、扶桑皇国はデストロイド『ファランクス』と『ディフェンダー』を緊急導入。導入が進まないミサイル装備と廃棄された高射砲の代わりにしたため、その贅沢ぶりに、他国から嫉妬される始末であった。デストロイドは宇宙艦艇の近接防御火器代わりに使われる事も多いため、野戦防空に転用されるのは当然の流れであった。また、VB化されたケーニッヒ・モンスターも遂に購入され、元重砲部隊へ回された――

 

 

 

――日本連邦の評議会はまたも大荒れであった。64Fがガンダムタイプを独自に有していた上、ゲッターロボGとグレートマジンガーすら保有している事が明らかとなったからだ。1949年度最初の評議会はこの話題で持ち切り。山本五十六を嘆息させるほどに評議会は荒れた。

 

「前も申し上げたとおり、彼女らは独自のルートで調達を行っております。ですから、その中にゲッターロボGがあろうが、グレートマジンガーがあろうとも不思議ではないのです」

 

「ですから、ゲッターロボGがなぜ複数あるのです、閣下」

 

「ゲッターロボGはかの文明では量産化されているからです。複数のパラレルワールドに跨る文明圏として成立してるので、別世界からの技術流入もあり技術は混沌としている有様、しかもそれらが絡み合って貴方方が知るフィクションとしての姿のまま、という訳でも有りませんしな。現に、オリジナル機は既に真ゲッタードラゴンに進化を遂げておりますし…」

 

 

 

『真ゲッタードラゴン』。その単語にピンとこない日本側。

 

「真ゲッターロボというのがあるでしょう?ゲッターロボGがそれと同じ次元の強さに自己進化を遂げたロボットですよ」

 

真ゲッタードラゴン。これは別時空のゲッター真ドラゴンと区別をつけるための便宜的な名称だが、未来世界のオリジナルのゲッターロボGが進化した人型兵器は『真ゲッターロボG』が登録上の名称である。

 

 

「貴方方の知るゲッターエンペラーの前段階の前段階ですな、真ドラゴンというのは」

 

「どういうことです」

 

「真ドラゴンはゲッター聖ドラゴンに進化し、そこで真ゲッターロボと融合し、ゲッターエンペラーとなるのです。遠い未来で」

 

「ゲッターエンペラーはゲッターロボGの到達点だと?」

 

「遠い未来におけるゲッターロボそのものの究極ですよ。マジンガーの究極がZマジンガーのように」

 

Zマジンガー。マジンガーの究極の姿であり、マジンガーが兜甲児の魂魄と融合し、オリンポスの長となった姿でもある。兜甲児の後身である事は公然の秘密だが、甲児の未来の姿であるからこそ、善神になったのだ。

 

「Zマジンガー…」

 

「そうです。マジンガーの行き着く姿。ミケーネの神々と単騎で戦い、撃退できるほどの力を持つ機械神。マジンガーZの成れの果てと申しておきましょう」

 

山本五十六はZマジンガーをマジンガーZが善神としての最終進化を遂げた姿と表現した。ZEROが悪の側面を肥大化させた歪んだ進化体なら、正常に最終進化を遂げた場合はZマジンガーとなる。Zマジンガーとして進化した甲児は『Z神』と名乗り、オリンポスを統治する一方、娘のアテナを溺愛するなどの親バカぶりを見せる。それが星矢が『神に愛されし者』となった理由であり、アテナに与した黒江と智子が三度目の人生となる今回に『苦労はあれど、報われる人生』を送っているからくりでもある。また、ZEROとバダンに倒される寸断であったキュアフェリーチェを仮面ライダーディケイドと鎧武に救わせるように動いたのも彼であり、のぞみにチャンスを与えてもいるなど、色々と動いている。フェリーチェに光子力とゲッター線の力を授けたのも、何を隠そう、Z神である。

 

「64Fはオリンポス公認の戦闘集団と申しておきましょう。あなた方が兵器の配備を渋る以上、突出した何かが無ければ、今次大戦は負けますからな」

 

「いくらなんでも好き勝手に装備を揃えすぎでは…?」

 

「仕方ないでしょう。三年前のクーデターの理由にもあったでしょう。伝統の破壊と個人主義だと。我が軍は集団の秩序を重んずる伝統があった。それを破る集団が現れれば、必ず反感を買う。当然のことです。ですが、貴方達はそれを無視した」

 

「ですが、閣下。1944年以降に、まともな練度の航空隊があるとは…」

 

「南雲機動部隊の主力が健在な時点で違うと分かるでしょうに」

 

山本五十六は皮肉った。日本側のミスは『1944年以降なら、まともなパイロットは前線に残っているはずないから、全部からかき集めて最強部隊を作るのだ』という勘違いを源田実の反対を押し切る形でダイ・アナザー・デイ当時に押し通した事から始まっている。それを聞いたアメリカが『500番台部隊を統合させちまおう』と持ち出し、日本は『デルタ・フォース』や『ネイビーシールズ』のような精鋭部隊を作る事を志向していた事で双方の思惑が一致。連合軍にそれを呑ませ、統合戦闘航空団は統廃合された。現場の反対を押し切って。それがミーナの悲劇の始まりでもある。ミーナが黒江達を冷遇した理由の一端はそこにある。ミーナは後年に至るまで『カールスラント衰退の引き金になった』と陰口を叩かれるのだが、頭越しに統合を決めた司令部への反発で冷遇したのだが、相手が悪かったとしかいいようがない。

 

「あなた方の頭越しの決定が一人の前途あるドイツ空軍士官の未来を暗転させた事について、コメントを聞きたいですな」

 

「彼女の無知が悪いのですよ。ドイツ軍には当然の報いですな」

 

「上への嫌がらせなら、部隊に来た者に嫌がらせしても上には響かん。上から押し付けられた人材をたらしこんで味方に付けるくらいの機転が効かなきゃ、部隊長の器では無いな、上に対しての嫌がらせなら補給が足りないとか部隊が疲弊したとか定数に足りなくてシフトが組めないとか報告書を大量に出すに限る。少佐の失敗はひとえに無知と青かったことですよ、山本閣下」

 

山下奉文大将もこのコメントである。ミーナの人事処分は21世紀の人種差別問題の再燃の影響で同情されない事が多かったが、ミーナは本来、『話せば分かる』士官であり、カールスラント空軍の将来を担うと評価された優秀な軍人であった。黒江達の過去の武功は査問の映像で本当に初めて知ったのだ。ただし、エイラやニパの言うことを本当と受け取っておけば、査問は避けられた公算が強かったため、カールスラント空軍を貶めたとして、中尉までの懲罰的降格も俎上に載せられていた。これはエディタ・ノイマンが降格と左遷の後に鬱病を発症し、退役願いを出してきたのと重なった事もあり、撤回。前線の士気の崩壊を避けるために人事処分そのものが終了まで極秘にされた。また、ミーナの単純ミスでもあるため、モントゴメリーが『単純ミスを大事にするわけにはいかんよ。ノイマン大佐は文化財を顧みないということで降格は当然だが、これは外交的に問題にするほどでもないよ』と漏らしたが、時既に遅し。外交問題になっていたのである。日本連邦はダイ・アナザー・デイ中に公式にカールスラント連合帝国へ抗議。先の愛鷹の一件と併せ、賠償責任をカールスラント連合帝国に激しく迫った。だが、カールスラントとしても、空母愛鷹の一件でアップアップなのに、ミーナの問題を国際司法裁判所に持ち込まれ、恥を晒される事はなんとしても避けたかった。501の運営権放棄はミーナの一件を大事にしない代わりに出した条件であり、ダイ・アナザー・デイ後半は完全に64Fと一体化して運用されていた理由である。

 

「501の運営権放棄も先方が必死に考えた侘びなのですよ。愛鷹の賠償をぼったくるのはこれ以上…」

 

「使い物にされなくされた以上、せめて回航できる程度に直してくれないと、元が取れないでしょう。アレが使えれば、雲龍に無理して烈風や紫電改を乗せる必要はなかったのですから」

 

「信用保証と仲介で多少儲けさせて貰うあたりで世論は収まるでしょうがね。あまりのぼったくりは我々がさせませんよ」

 

「前線では雲龍型の後期艦を輸送艦代わりにするのに反発が出ています。ですが、雲龍は小さすぎる」

 

「代替の空母はやっと認められたが、排水量を80000トンに増やせとも言ってきています」

 

「54年になっても完成しなさそうな大きさではないか」

 

「背広組はあなた方に攻撃型空母をもたせたいようでして…」

 

「だからと言って、65000トンから80000トンに拡大させんでも…」

 

「雲龍型はSTOVL機10~12機程度を積んだ軽空母として揚陸支援がいい所ですよ、どんなに改装しても。それ以上なら新造の方が安い」

 

「ダイ・アナザー・デイでコア・ファイターを載せたが、それでも20機ほどしか乗らんかったからな。レシプロが退役しつある今、雲龍に固執する理由はないですよ」

 

「よし、その代替の空母の新造で話を進めましょう。その繋ぎと戦線の維持のため、宇宙艦艇の導入も進めています。64Fはそれの運用部隊でもあります」

 

「左派からは『少数の超兵器で戦局は覆らない』と物笑いにされそうですよ」

 

「言わせておけばいい。結局、ダイ・アナザー・デイは超人と超兵器頼りで支えていたも同然なのですから」

 

評議会はそこで笑いが起きる。実際、ダイ・アナザー・デイで戦局を左右したのは超人と超兵器なのだから。その流れでグレートマジンガーやゲッターロボGの保有も認められた。64Fは花形として活躍するが、その優遇措置を認めさせるのにかなりの苦労が伴うのである。他部隊がせいぜいイチナナ式までなのに、フルスペックのグレートマジンガーとゲッターロボGを有するのだから。

 

 

 

 

 

 

 

―― 同日 64F 基地の格納庫

 

「こいつはレアだな。ガルバルディとは。地上用のA型だぞ」

 

「アストナージさん、どうです?」

 

「近代化も特に施されておらん。ブラック・マーケットに流れていた機体だな」

 

「なんで分かるんです?」

 

「安物の装甲だから重くてニブいだろうからカモだったろ?それに近代化がされてあるのなら、コックピットは全天周囲モニターとリニアシート仕様にされてるはずだ。だが、こいつは一年戦争の統合整備計画の規格のパネル式だ」

 

黒江が開放されたハッチから中を覗いてみると、一年戦争当時の旧式の構造のコックピットである事がよく分かる。地球連邦もデラーズ紛争頃まで採用していた構造のパネル式コックピットである。

 

「これで一年戦争最高グレードなんですか?」

 

「当時の限界だよ。その分、装甲がケチられたんだよ」

 

「今どき超硬スチールに放射性物質同位体のサンドイッチ複合材とか本当に舐めてんのかと」

 

「えーと、今は最低でも、チタン合金複合材でしたっけ…」

 

「そうだ。それも軽量化進んでるからな。スラスター機材も戦時急増のようで、質が悪い。決戦兵器っていうにはお粗末だな。おっと、装甲の穴に素手で触れるなよ!放射線で火傷するかもしれんからな」

 

「マジ?ケチってんなぁ」

 

ガルバルディはジオニック関係者から『ジオン最後の決戦兵器』と豪語する声があるが、それはハッタリで、実際のスペックはゲルググと大差なく、ジムスナイパーⅡに実性能で劣る程度の個体が大半であった。回収された専用ビーム・ライフルの出力も一年戦争レベルのもので、現在となってはνガンダムのシールドのビームキャノンより小さい威力しかないものだ。

 

「ま、ブラック・マーケットでこいつは売れるんだよ。アッグを持ってきたのはお手柄だぞ。博物館に売りさばける」

 

「キュアジェラートがライガーで捕まえたんだよ。ホバークラフトを吹かして抵抗したけど、チェーンアタックに捕まえられて諦めたみたいだ」

 

ガルバルディとアッグは戦争博物館行きであるが、キュアミントがポセイドンで投げたフィンガーネットに引っかかっていた無傷のM48戦車は自由リベリオンに送る事になった。自由リベリオンが生産するつもりであるからだ。

 

「で、フィンガーネットに引っかかってたM48は?」

 

「自由リベリオンに送る。先方がM4を変えたいんだと」

 

格納庫で整備を受けるM48戦車。自由リベリオンが鹵獲品として解析し、自分達で生産したいと要望を伝えてきたからだ。

 

「まだ残ってんのか」

 

「先方も金ないからね。イージ8仕様にできない分を変えたいそうだけど」

 

「つか、M46はどうした?」

 

「改修しきれないってんで、改修が止まっちまったって。金ないから」

 

「ダイ・アナザー・デイで売りさばいておきゃ良かったのに」

 

「あそこも戦力不足なんだよ」

 

後日、アメリカ軍が『いっそのこそ、M60にしちまえ』と助言したため、日本連邦は大慌て。74式の配備を急に進める事になる。そして、74式に代わる『10式』のライセンス生産を数年後から検討しだす。ただし、74式のラインが整ったところに混乱は与えたくないため、10式のライセンス生産は1953年まで棚上げとなる。

 

「でもさ、急激に戦車を変えたとしても、教育が追いつかないでしょ?」

 

「基本は変わらんが、戦後型はベトロニクスの概念が入ってくるから、ハードルが上がるぞ」

 

アストナージはそこを指摘する。戦車はある時期から急激にシステムが複雑化するため、数を揃えるためにある程度は敵も世代交代をセーブすると推測する。実際、74式の生産に日本が難色を示していた理由も『レーザーレンジファインダーの整備力はどうなん?』という切実なものだ。

 

「日本はなんで、74にも難色を示してたんだろう」

 

「一つはレーザーレンジファインダー。もう一つは設計が待ち伏せ特化だからだ。戦後日本の戦車は戦車駆逐車じみてたからな」

 

74式戦車は姿勢制御機構が複雑で、外征軍隊の扶桑軍向けではないという意見があった事、レーザーレンジファインダーの存在と設計が待ち伏せ特化のようなものなため、外征軍の扶桑での使用に反対論があり、ダイ・アナザー・デイの開始まで優勢だったため、生産開始が大きく遅れた。だが、旧軍式戦車が処分された後では、替えるべき車両が他に無いことから、自衛隊が比較的状態がいい車両を使用した。意外に多くが不意打ちなどで放棄されているが、陸戦ウィッチの有用性が見直されたのは、74式を擱座させたウィッチがいたからでもある。だが、ハマった運用をすれば、74式はM26までの車両には無敵を誇り、熟練部隊の記録したキルレートも一方的であった。10式が羨望されたのは、ウィッチの攻撃を探知し、先に攻撃できる能力を持ち、第二次大戦型では不可能なスラローム走行からの一撃を命中させられるからで、まほもダイ・アナザー・デイ後半では10式を借りて指揮を執った事がある。また、地球連邦軍61式より遥かに小型である点を活かし、同車を連携で撃破するものも現れ、金鵄勲章を授かった自衛官もいる。10式はダイ・アナザー・デイで真価を発揮したことで存在価値を認められたが、23世紀の戦車も連携で撃破しうるポテンシャルが怖れられた(61式戦車はM1の系譜に属するという)。もっとも、戦車はMSや航空機と違い、旧型でも新型を撃破しやすい土壌がある兵器なので、ジャイアント・キリングは起きやすい。61式の撃破は21世紀型戦車にとってはジャイアント・キリングそのものである。

 

「しかし、10式で61式を撃破したの出たんだろ?陸軍が腰抜かしてたぞ」

 

「100年落ちくらいの戦車で地球連邦最善のMBTを撃破するってのは、ジャイアント・キリングだしね」

 

「しかし、よく10式の砲で61式の装甲が抜けたな?」

 

「聞いた話だと、連携で仕留めたんだと。性能じゃ勝てないから、誘い込んで集中打浴びせたんだと。それでも61式は原型保ってるの驚いてたよ、陸の連中」

 

「155ミリ防げる装甲だしな。自衛隊はなんて?」

 

「でかすぎるってさ。M1の子孫だから、取り回しもしにくいとか評価してるよ」

 

61式は米軍のM1戦車の遠い子孫である。米軍系の思想で作られたため、大きさなどが極限に達しており、10式に撃破されるのも無理はないほどの大きさである。装甲などでは圧倒的に有利な61だが、M粒子で電子機器を外した車両では小型化していた時代の戦車である10式は狙いにくい。そこが盲点であり、カタログスペックでの不利を覆した。なお、地球連邦軍が61式にM粒子対応型電子機器を載せ直して製造する新規生産車を配備したのは、ダイ・アナザー・デイでの自衛隊の活躍によるものである。

 

「61式の改修型が出た理由はそれか?」

 

「ロストテクノロジーが一部戻ったからね。MSも脚部とか背部狙われれば弱いから、特に昨今の小型機とかは」

 

「しかし、155ミリ砲の搭載自体は悪くないって言われてたんだろ?」

 

「なんで連装にしたんだって言われてるけどね。巡洋艦の砲の流用みたいじゃん?」

 

自衛官たちは地球連邦軍61式を『電子機器ないと、第二次大戦の重戦車と大差ないやん』と酷評したものの、車両のスペックは評価している。電子機器がちゃんと機能さえすれば、61式はグフまでのMSは一撃で撃破し得るためだ。

 

「61式も条件によるが、ドムまでなら一撃で撃破しうるぞ。だいたい全部がグフ・カスタムやドワッジじゃないんだし」

 

 

「そういえば、グリプス戦役の後は地上でホバー移動できるの増えたよね」

 

「ドムの移動式は受けが良くてな。連邦も擬似的にホバー移動できるようにしたんだ。足の関節の整備の頻度減らすために」

 

「飛べるの増やしたのも?」

 

「メタルアーマーのリフターは意外に高級でな。MSも飛べるようにしたんだよ、オーバーテクノロジー入れてでも」

 

「スーパーロボットはそのへん楽だよな」

 

「ありゃ、オールラウンダーだからな。ポセイドンの潜航限界は10000超えだろ?マリアナ海溝潜れるんじゃね?」

 

「真ゲッター3は限界無いけど、ポセイドンは13000くらいのはず。ま、大抵の海底には到達できると思う」

 

後に、フレームが改良されたポセイドンがブラックホール爆弾に転用された旧木星の跡地に出現した別時空の木星の調査に使用されたという。ガイアの転移していた時空の木星と思われるそれはガイアに付随して現れたと推測され、ガイアと同軌道にあるいくつかの太陽系のウェイトになっている星の調査に駆り出されたらしい。ガイアが持ってきたのは木星だけでなく、金星や火星も持ってきていた事が判明するのは、太平洋戦争後のこと。そのため、太陽系は惑星がかなり増加してしまい、天文学者がひっくり返ったともいう。

 

「それと、噂だが、ほら、ヱルトリウムの三番目を木星の代わりにする案あったろ?あれ、撤回された」

 

「なんで?」

 

「木星が復活してたんだよ。そっくりそのまま。それで建造継続。それと火星、テラフォーミングで青いだろ?その反対側の空間に赤い火星が現れたらしい」

 

「なんで!?」

 

「俺だってわからん。とにかく大パニックだよ。木星は元に戻る、火星と金星は増殖したんだから」

 

「赤いってことは別時空の?」

 

「だな。青くする案があるそうな」

 

ガイアに取っての火星は放棄された惑星だが、アースが入植に大成功しているのを見て、再興を考え出す。そして、金星は入植に向かないため、『増えてどうする…』と嘆息であった。ただし、増えた金星のおかげで、地球連邦の領海は広がり、バード星のあるお隣の太陽系への別ルートが開拓されるという恩恵もあった。また、アース側は増えた金星を『アフロディーテ』、火星を『アレス』と通称し、区別した。ガイアはやがてアレスの再興を選び、アースの技術で再度のテラフォーミングを開始。ボラー連邦戦役が始まる頃に復興の目処が立ったという。また、ボラー連邦が後に機動要塞を太陽系に持ち出す理由に、二カ国の地球連邦軍を相手取る必要があったからだとされる。そして、ボラー連邦戦役最大の戦闘が皮肉なことに、地球の近くの空域で生起、ボラー連邦主力艦隊と地球連邦軍主力艦隊が連日連夜の砲撃戦を演ずる羽目となるのは、太平洋戦争からそう遠くない未来である。ボラー連邦は面子にかけて、地球連邦軍を殲滅するつもりで持てる艦隊を全て投入するが、地球連邦軍も予備戦力まで駆り出す必死の防戦を展開。バード星とガルマン・ガミラスの援軍が地球側に到着し、形勢が逆転するまでの一週間は薄氷の上の戦闘を強いられたのは言うまでもない。そして、その激戦にはガルマン・ガミラス総統のデスラーも馳せ参じ、ガルマン・ガミラス最新最強の新型デスラー艦をお披露目したという。

 

 

 

 

 

 

 

 

――1949年になると、オラーシャはなし崩しにウクライナの独立を承認せざるを得なかった。弱体化が顕著なオラーシャ軍にウクライナを叩く力は残ってはいなかったからだ。日本連邦がラ級の売却を伸ばしたという予定外もあり、オラーシャはウクライナを失い、21世紀まで領土紛争に明け暮れることになる。とは言え、ウクライナも基盤が弱体であり、21世紀のウクライナの援助で軍を加速度的に近代化。その時に史実戦後ロシア系兵器がウィッチ世界に出回る事になる。オラーシャがそれらを自力で開発するのは史実通りの年月が必要であり、ウクライナの独立はその軍事的優位で得られたことになる。ウクライナはウィッチの亡命先の一つであり、元から供給源の一つだった事から、ウィッチは豊富で、太平洋戦争にも義勇兵が参加しているほど。その存在が皮肉なことに、独立したウクライナを守護する事となったため、オラーシャは大いに悔しがったという。ブリタニアはキングス・ユニオン体制確立でコモンウェルスの喪失は大まかには避けられたが、主力艦隊の構成変更には長い年月を必要とした。戦艦主体から空母主体にするには、少なくとも10年は必要だからだ。(潜水艦はウィッチ世界では研究が遅れている)また、ウィッチ・コマンド母艦化が扶桑より顕著だったため、ウィッチ主体から艦載機主体に切り替えるのも一苦労である。扶桑でさえ、世の中から疎まれ始めたとの僻みから、クーデターが起こったのだから、ブリタニアでは余計に歳月がかかった。このように、ダイ・アナザー・デイは結果的にウィッチの権勢に終止符を打った。近代技術がウィッチの魔法を上回ってしまった事が衆目に示されたからで、極限まで鍛えた人間はウィッチを超えるという事実が明らかになった事もウィッチの優遇に疑問が持たれる理由だった。結局、サボタージュ後に保身に走った事でウィッチは政治的立場を各地で喪失。Gウィッチを抱える事で、辛うじて保たれた扶桑は奇跡のようなものだ。通常ウィッチは強襲揚陸艦の直掩任務、あるいはバスターウィッチとして対艦・対地攻撃に従事するようになった。扶桑でも、以前のような『制空の花形』からは滑り落ちていたが、それなりの働き口は得ている。ウィッチ閥そのものは解体されたが、コミュニティの維持は相互扶助の面から認められたのも、ウィッチの立場が扶桑で比較的に保たれた理由だ。Gウィッチは超人的な力を持ち、最初の三人は上層部と主流派から疎まれた過去を持つため、余計にウィッチ閥の解体がされた理由だ。カールスラントが501の運営権を放棄した理由が『扶桑最大の英雄を冷遇した責任を取った』からという事は49年には知れ渡っており、連合軍でカールスラントは政治的に肩身の狭い思いをする羽目となったが、連合軍から脱退した後は新皇帝の方針もあり、ウィッチそのものが辺境の冷や飯食いに落ち込んだオラーシャに比べれば遥かにマシだった――

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイで運用の齟齬もあって、その評価を落とした16式機動戦闘車。自衛隊用の機動戦闘車の調達数を維持するため、早くもマイナーチェンジがなされることになった。それが『20式機動戦闘車』である。ウィッチ対策で装甲や索敵機能が強化されるなどのマイナーチェンジしかされていないが、予算対策上の理由で新型扱いになった。太平洋戦争で歩兵支援に使われる機動戦闘車はこの車種である。(もっとも、74式戦車も側面や背面などを突かれれば撃破されてしまうことには変わりない。10式が評価を上げたのと対照的である)。16式の失敗から、Gフォースのみに使用が許可されている。対照的に10式戦車は74式の指揮戦車のような形でこの頃から姿を見せており、日本側の都合もあり、小出しになっていた。本来なら花形と言えるのだが、マスコミの注目はMSやコンバットアーマーに移っていた。ダイ・アナザー・デイで批判したのにも関わらず、まとまって運用される太平洋戦争で称賛する事は批判されて然るべきである。とは言え、配備部隊が多いのはコンバットアーマーの方である。MSは核融合炉などの取り扱いを覚えないとならず、整備教育に一手間かかるが、コンバットアーマーはそうではないからだ。この時期の主力であったラウンドフェイサーは運用ノウハウの確立に寄与したと言える――

 

 

 

 

 

 

――コンバットアーマーは『二足歩行の戦闘ヘリコプター』という位置づけであり、MSほどの万能選手ではない。だが、地球連邦軍(アース)はガイアの地球連邦軍と違い、有用性を見抜き、デザリアム戦役で計画に躓きがなければ、配備が完了していた。奉天市の攻略に投入予定の扶桑皇国陸軍第一戦車師団及び第二戦車師団には、合わせて50機が配備されている。その内の20機は新鋭機のDAM(ダグラム量産型)とヘイスティであった。当時の敵主力はM47戦車になりつつあり、戦車の劣勢をコンバットアーマーやMSで補おうとするのは自然な流れであった――

 

 

 

 

「前進!」

 

奉天と市境を接する市境の一つでは、コンバットアーマーの新鋭機『ヘイスティ』がM47を蹴散らし、前進していた。頭部がない独特のデザインながら、ラウンドフェイサーより格段に高性能であり、M47戦車程度はカモであった。

 

「隊長、リベリオン戦車はでかくなってますな」

 

「うむ。此方側が遅れているというのに、連中は確実に強力になっている。こいつを使わんといかんとはな」

 

「こいつはあくまで、『二足歩行の戦闘ヘリコプター』ですからね。まぁ、チハやチヘであれとやりあうよりはマシですが」

 

「航空部隊は?」

 

「制空権を確立したようです」

 

彼等の上空をF-4EJ改が通過する。当時は敵の主力はF-106などに切り替わり始めていたが、熟練度と戦闘システムで圧倒的に日本連邦は優位にあり、F-4EJ改は勝利を重ねていた。日本連邦空軍はあまりの機種転換の速さでパイロット育成が追いつかない有様であったが、この時期には流石に一息ついており、F-4EJは『重戦闘爆撃機』扱いで重宝されていた。また、ドラケンもなんだかんだで邀撃機として名声を得ており、B-29を第一線から引っ込めさせ、B-36にも猛威を振るう竜となっていた。日本側がジェット機にこだわった理由は『B-29をカモにできるか?』である。この時期、戦後第二世代以降の高性能ジェット機を近代的な指揮統制システムで統制できるウィッチ世界の国は日本連邦とキングス・ユニオンのみ。カールスラントが当時、軍縮で軍の体を成さなくなっていたためである。そのため、優秀なカールスラント空軍将校は義勇兵として太平洋戦争に参加しており、技能維持に努めている。

 

 

 

 

「これからどうなると思う?」

 

「わからんな。ただ、この戦争はハワイを落としたくらいで終わりじゃないだろうことくらいはみんな知っている」

 

「本土侵攻があると?」

 

「あるな。少なくても、西海岸は落とさなくてはならんだろう」

 

日本側がリベリオン本土(五大湖工業地帯)を衛星軌道から攻撃してしまえと主張した事で本土侵攻の方針が定まないという本末転倒ぶりであるように、ハワイ攻略についても、太平洋共和国領であるが故に海上封鎖を主張する扶桑と完膚なきまでに破壊し、二度と使用できないようにしようとする日本側とで折り合いがつかない状態であり、彼らの会話と裏腹に、本土侵攻は未定であった。更に日本への嫌がらせ目的で韓国がリベリオン本国に21世紀技術を流した事が判明し、大問題になっていく。結局、韓国ルートで21世紀技術が流出した事に日本連邦は対策を講じなくてはならず、日本連邦の軍事的突出は必然的に起こっていく。日本連邦には64Fの装備の贅沢ぶりを咎めたい勢力がいたのだが、その問題が発覚したことで、『それどころでは無くなってしまう』のだ。23世紀以降の軍隊に通ずる『エース部隊には無茶をさせる代わりに、装備は好きに使わせる』風習の始まりと言えるのが、日本連邦での64Fの事例である。こうした横槍は後に大問題になるが、結局、ウィッチ世界に同位国が存在しない第三国の横槍の結果、太平洋戦争は血みどろの戦いとなっていった。その中でウィッチを政治的になんとしても生き残らせようとする取り組みが第二世代宮藤理論の成熟を促し、第三世代宮藤理論の芽を蒔く事になるが、その成功と釣り合わないほどの血が流されていく。戦争は日本側の思うような展開にはならないが、扶桑もこうして『目論見』が外れる格好であり、昭和24年時点で戦争は長期化の様相を呈してきていた…。

 

 

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