ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百十七話「模擬戦の激闘」

――64Fが過剰に豪華な陣容になった背景には、横空や航空審査部の一律的な解体で行き場を失った者が回された事があった。これは昭和天皇の意思であり、誰も反対できなかった。特に航空審査部は黒江の一件で不興を買っていた事が不幸だった。昭和天皇の静かな怒りは軍関係者には恐怖そのものである。横空は若手の機材破壊行為を理由に、航空審査部はクーデターの中心的役目を果たしたという理由で昭和天皇の名のもとに解体が布告された。これに大混乱の両者。幹部たちは弁明の機会を求め、皇居に赴いて直訴した。空自幕僚長の仲介で弁明の機会を与えることとした。1947年、その機会の中で横空代表の志賀大尉は『自分は当日は任務で横須賀に不在だった』と注釈をつけた上で、昭和天皇の前で弁解する羽目となった。芳佳用兼量産試作機として整備予定だった震電試作三号機を放置し、ムザムザ失わせた事を高官から責められ、黒江と対立した事に昭和天皇が不快感を示すなど、志賀にとっては生きた心地がしない場であった。

 

「志賀大尉、何故、黒江君と対立したのかね?」

 

「ハ、ハッ…。へ、陛下。自分は……海軍航空隊の伝統を残したく……」

 

昭和天皇が不快感を示している事は志賀には分かった。下手な事を言えば、不敬罪でその場で銃殺ものである。志賀は語尾が震えている始末だった。高官たちは誰も擁護してくれず、自己保身を図っている。志賀にとっては一世一代のディベートだった。

 

「伝統、かね?」

 

「は、ハッ。我が343空を母体にするのなら、規律は海軍のモノになるはずです。黒江閣下らにも従ってほしかっただけであります。他に他意はございません…」

 

志賀は他意はない事を強調した。343空母体であれば、陸軍航空部隊の気風は無くすべき。それが黒江と対立した理由だと。

 

「閣下がかつての英雄である事は存じ上げております。エクスウィッチへの差別であるとか、見下しでは、けしてございません!」

 

そこを強調しなければ、自分の命はない覚悟で述べた。更に続ける。

 

「私は海軍航空隊の者として、過剰に武功を誇るのは良くないと申し上げました。対外的に必要であっても、部内で天狗になられては、若い者に示しがつきません!」

 

「しかしだ。大尉。そんな気風にこだわってるのは君だけではないのか?カールスラントを見たまえ」

 

高官の一人が呆れたように言う。哀れむような目で。志賀はめげずに続ける

 

「海軍に撃墜王の称号はありません。対外的に必要なら、マスメディアが騒ぎ立てればいいだけではないですか!」

 

志賀は1942年以降に士官になった世代。海軍が七勇士からの世代交代を意識した時代の教育の第一期生。その弊害が表れていた。海軍航空隊系の高官は喧々諤々であった。

 

「欧州やリベリオンで公的に実力が認められた者として、エースが有る、そんな中でエースの顕彰をしないという事は、その軍でウィッチやパイロットを蔑ろにしていると思われるし、実際にそういう問い合わせを派遣部隊や外交官が受けているのだよ、大尉」

 

「山下閣下、貴方が言う事ですか!」

 

「だまらっしゃい!」

 

陸軍と海軍の対立はここまでなのか。昭和天皇の失望が目に見えて表れ、山下奉文大将へ口答えした事が海軍航空隊の高官たちの顔色を失わせた。山下奉文大将は一喝し、場の空気を完全に自分のモノとする。黒江達のかつての間接的な上官であったことが有名であるのもあり、志賀は自分のミスを悟った。

 

「井上閣下、貴方の部下は教育がなっとらんようですな」

 

「申し訳無い、ウィッチは皆、自己主張が激しく……」

 

志賀はかつての上官であった井上成美からも見放された。井上だけではない、古賀峯一、山本五十六などの歴代欧州派遣艦隊司令長官経験者たちは皆、志賀を見放した。特に古賀峯一は艦娘・大和と武蔵の出陣時の連合艦隊司令長官であったため、一番に辛辣な言葉を投げかけた。

 

 

『扶桑海軍はエースを顕彰したり、メダルかリボンを送ったりしないのか?』

 

『エース認定をしないというのは、エースも新人も一緒に扱っているのかね?それは優秀なウィッチやパイロットを旗頭とした士気高揚等も無い雑兵部隊と言う理解で良いのだね?』

 

「私が連合艦隊司令長官時代、他国の司令長官達からどんなに馬鹿にされたと思うか、大尉。私と幕僚たちがどんなに苦労して言い訳したと思うか!?」

 

古賀が怒るのは珍しいが、一番苦労した連合艦隊司令長官だからだろう。

 

「それはあなた方の勝手ではないですか!私は部下たちに……」

 

「黙れ!!」

 

声をあげたのは岡田啓介と鈴木貫太郎。言うまでもなく、この当時の海軍最長老である。

 

「ここに臨席している海軍軍人の多くは連合艦隊司令長官経験者である!貴様の態度はなんであるか!!」

 

岡田啓介と鈴木貫太郎の怒声にすくみ上がる志賀。海軍最長老たる岡田啓介と鈴木貫太郎の威光はこの時代でも健在だからだ。

 

「も、申し訳ありません!!」

 

鈴木貫太郎、岡田啓介。1900年代の戦役に佐官として従軍した経験がある海軍軍人の中では最後の生き残りである。志賀は土下座するしかなかった。弁明どころか、心証を害する事になった。最悪の展開である。場の空気が最悪になったタイミングで昭和天皇が言葉を発する。

 

「そこまでにしなさい、岡田、鈴木。この子がすくみあがっている」

 

「ハッ。お見苦しいところを…」

 

命からがらの思いの志賀は連合艦隊司令長官の経験者達に睨まれつつ、最後のチャンスとばかりに志賀は昭和天皇に述べる。

 

「陛下、これだけはご理解くださるよう……。私は黒江閣下の名声とは関係なしに同僚として接しようとしたのです。それと海軍航空隊の母体の部隊には海軍の規律を残すべきです!宮藤中尉用の機体の破壊を止められなかった事は幾重にもお詫びいたします!!ですが、海軍航空隊の伝統は、伝統だけは……!」

 

「大尉。事はそれだけでは収まらぬのだ。陸軍と海軍の今までの枠組みに囚われていては、独立空軍は築けぬ。伝統は守るだけでは駄目なのだ。変えていくべき時がある。織田信長公はそうして成功したのは、君も知らぬわけではあるまい?伝統を守ろうとする君の気持ちは分かる。だがね、もはやそのような気持ちでは国防はできぬのだよ」

 

昭和天皇はそれだけ言う。黒江達の間接的な擁護を昭和天皇はしたのだ。昭和天皇の言葉は扶桑の全軍人にとっては神の啓示に等しい。志賀は半ば絶望した表情となる。そこに救いの手が差し伸べられた。航空自衛隊だ。

 

「陛下、我が航空自衛隊から申し上げます。横須賀航空隊にはテスト部門と防空部門が存在いたします。航空審査部はともかく、横須賀航空隊は防空部門のみを存続させ、改組する形態を提案いたします。クーデターをした者の不満は陸軍飛行戦隊に海軍航空が飲み込まれるという不安と恐怖からの行為ですから、海軍主体の航空隊を作ってやれば、落ち着きます」

 

空自の幕僚長が助け舟を出した。横須賀航空隊には防空部門もあったからだ。

 

「それもそうか。君等の案を採用しよう。ただし、テスト部門の人員は64Fへ優先的に回すこととするが、よろしいか」

 

「ハッ。ありがとうございます」

 

空自の幕僚長の助け舟で、志賀は九死に一生を得た。芳佳への贖罪意識はある事、黒江の過去の武功の威光に臆していない事を天皇は評価したのである。

 

「大尉。気持ちはわかるが、目上相手に感情的になるのは良くないことだ。以後は気をつけるように」

 

「は……ハッ。お見苦しいところを見せて申し訳ありません…」

 

昭和天皇のその一言で、第一回の申し開きは閉幕した。言いたいことを全部言えたわけではないが、空自の幕僚長は志賀を助けることで、黒江が空軍で動きやすくするための布石を作ったというのが真の目的だが、副次的効果として、志賀の心の奥底にあった陸軍航空関係者への敵意が消えるという戦果をもたらした。彼女は海軍航空の伝統が自分の代で途絶えることが怖かっただけなのだ。守られる事が確認さえされればいい。彼女はそれ以外には私心がない純真な青年将校であった。それを昭和天皇は感じたのである。ただし、志賀にとっては自らの罷免は避けられたが、64Fの気風が陸軍主体(ひいては空自式)になる事は間接的に承認させられた形である。だが、昭和天皇がそうする以上は従う。それが彼女の生き方であった。

 

 

 

 

 

 

 

――と、言うわけで、64Fは昭和天皇の庇護もあり、1949年には自由で洒落の効いた気風となり、軍隊とは思えぬアットホーム感溢れる部隊となった。一度、戦闘になれば鬼神のような強さで戦場を支配する一方で、普段はだらけっぷりが凄いため、転属してきた人員は戸惑いを感じる。オンオフがハッキリしているとも言える。ただし、訓練は坂本、赤松が内容を仕切る事から、スパルタ。歴代プリキュアが尽くバテるほどの厳しさである。――

 

 

「ほう。いい結果を出しとるじゃないか。富くじ娘は」

 

「大先輩。それ、まだ言ってるんですね」

 

「いいじゃろ?儂の趣味だ」

 

赤松はキュアドリームに、宝くじからの発想の渾名をつけた。本人は当初は憤慨したが、扶桑ウィッチ最長老の赤松が言い出したのでは反論の余地はない。自分が赤松の孫弟子(愛弟子の黒江の弟子であるため)になるからだろう。デザリアム戦役後は赤松が精神的に鍛え直したため、この頃にはそれまではなかった激しさと熱さを持つようになった。グレちゃんをオレオールブースターGで下したのがその表れである。赤松がどのような特訓を課したかは定かでないが、ZEROとの融合で兜甲児が元来持っていた熱血漢の側面が反映され、元々の負けず嫌いの側面と混じり合った事、一度は闇に堕ちかけた経験からか、言葉づかいと振る舞いが荒くなった(錦の姉御肌の側面が受け継がれたとも)が、概ねは現役当時の天真爛漫さが保たれている。坂本はあだ名をつけることを好む赤松に「やれやれ」とため息だ。もっとも、キュアブライトとキュアピーチ、キュアドリーム(パワーアップ後)が束になろうとも、余裕で返り討ちにできるのが赤松である。彼女も孔雀座の聖闘士(女性聖闘士最強と代々謳われる星座)だからだ。

 

「坂本、他の子供達の様子は?」

 

「概ね、なんとかロボットガールズ相手に戦えているようです」

 

「今までの経験だけでは、これからは戦えん。それをわからす必要がある。儂も出るとするか」

 

「先輩御自ら?」

 

「現役を終え、自信が中途半端についとる子供達にはいい薬になるじゃろう?」

 

赤松は自ら模擬戦に参加する。坂本がかしこまった物言いで接するあたり、赤松の立場がわかる。北郷の従卒の経験を持ち、1949年時点では最長老として絶対的な権威を持つ。その戦闘力は微塵も衰えておらず、歴代プリキュアの最強フォームも問題としない点で『Gウィッチ最強』と言われる。スプラッシュスターの精霊の力すら寄せつけないことから、プリキュア達からも『バケモノ』扱いであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――こちらはブループリキュア組。猪突猛進気味のピンクプリキュア組と違い、多くが参謀格であったり、キュアアクアが医務官についているため、キュアビートとキュアダイヤモンド以外は模擬戦には参加していない(変身はしているが)――

 

「わざわざ変身しておく意味あるのかしら…?」

 

「万一、敵がきた時に備えておくのは悪くないですよ、アクア」

 

「それはそうだけど」

 

やれやれとため息をつくキュアアクア。変身後のコスチュームの上から白衣を羽織っており、公的には医務官である事を示している。(この当時には医務大尉に昇進しており、少佐への昇進を控えていた)キュアアクアは形式上の上官である宮藤芳佳/星空みゆき/キュアハッピー同様に医務官メインだが、戦闘に出ないわけではないポジションである。代の離れた後輩の海藤みなみ/キュアマーメイドと共通点が多いため、最近は行動を共にする事も多い。

 

「一応、みんなのデータは集めておいたわ、アクア」

 

「ありがとう、ウィンディ」

 

キュアウィンディは白のプリキュアだが、ホワイトプリキュアは合計で三人のみである事から、枠がブループリキュア枠に統合されている。普段はかれんに敬語を使う舞だが、プリキュアになっている時は先輩後輩関係が逆転する関係で対等に接している。(この現象は舞のほうがプリキュアとしては先輩であるためのもの。意外に知られていないことだ)

 

「ロボットガールズ相手だと、こちらが不利ね…。レモネードとミントがあっさり…。」

 

「仕方ないわ。向こうは一騎当千のスーパーロボットの力を好きに使えるもの。こちらは現役当時とさほど変化がない。差があるのは当たり前ね」

 

ロボットガールズは全般的にプリキュアよりも強大な力があり、プリキュア達は一部の者以外はロボットガールズに対し、何ら抵抗できないケースが続出している。現在、奮戦している者は元から戦闘力に定評がある世代のプリキュア達だ。不参加組を除けば、ドリーム、ピーチ、メロディの第一世代三羽烏、ハート、ラブリー、ハッピーの第二世代三羽烏が主に奮戦している。ハッピーはここのところは宮藤芳佳としての仕事が多かったため、プリキュアになるのは久しぶりであるが、後輩のキュアロゼッタ以上のシールドを活かし、宮藤芳佳としての思い切りの良さと角谷杏としての老獪さを駆使し、ロボットガールズを嵌め、地味に複数を下している。

 

「みゆき、腕を上げたわね。現役の頃はのぞみよりドジだったのに」

 

アクアは率直な感想を述べるが、あまりにストレートなため、マーメイドとウィンディはずっこけてしまう。現役当時の星空みゆきは夢原のぞみ以上のアホの子であったのは事実であるが、あまりにストレート過ぎて、先輩と後輩の二人を苦笑いさせるほどであった。

 

「食事を持ってきました~」

 

「これがのび太さんの差し入れなの、ホイップ?」

 

どこからどう見ても大根が机に置かれる。複数を運ぶために変身して運んできたキュアホイップ。彼女は緊急時以外は戦闘に従事しないため、こうした雑事などで変身している事が多い。

 

「カパッと開けて見てください。」

 

「こう……?ぇ、え!?中にカレーライス!?」

 

「ドラえもんさんの道具で作った大根型の食料品だそうですよ」

 

「か、彼の…?」

 

「噂に聞く『畑のレストラン』ね。七万年前の日本での冒険で使ったひみつ道具」

 

ウェンディが解説するが、この大根(見かけは殆どカブに近いが…)型の容器に入っている食事こそ、ドラえもん達が往時の大冒険で使ったひみつ道具の一つだ。相方に自慢の種ができたのか、どこか嬉しそうな表情だ。

 

 

「ウィンディ、知っているの?」

 

「ブライト(日向咲)が好きなのよ、彼のアニメ」

 

キュアウィンディは相方のブライトがドラえもんのファンである事を告白する。彼女らが現役の時代にアニメのリニューアルがあったため、実際に会った声のドラえもんの映画はリアルタイムで殆ど見れていない。だが、元々、キュアブライト(キュアブルーム)は実家にコミックを買い込んでいるほどのファンであったため、ドラえもんにプリキュア姿でサインをねだるなど、地が出る行動をしまくっている。そこがなぎさに比べ、子供っぽいと言われる点だが、2006年当時に14歳であった事(なぎさとほのかの二年後輩)を考えれば、ずいぶんと歳相応である。

 

「ブルーム(ブライト)、意外に可愛いのに目がないですからね。去年、プリキュアの姿でドラえもんさんにサインねだった時、あおちゃんが腹抱えて笑ってましたよ」

 

「昔、彼のファン歴は6、7年とか言ってたわ。妹のいのりちゃんと見てるとか言ってたし」

 

「彼がどこでもドア見せてくれた時なんて、すごく喜んでたものね。咲さん、ああ見えて意外にファンシーな趣味なのね」

 

「と、いうよりは彼の冒険に憧れてたのよ、マーメイド。咲、夏休みに街で上映会あると、試合の直後でもいってたし」

 

「あれ、咲さんって、部活してるんですか、舞さん」

 

「ソフトボール部のキャプテンよ」

 

「嘘ぉ」

 

驚くキュアホイップだが、キュアブルーム(キュアブライト)はソフトボール選手として優秀である。それまで弱小チームだった所属校を優勝にまで持っていくほどの統率力を持つため、のぞみからコミュニティのリーダーを必然的に受け継いだ。直接の先輩後輩関係である咲とのぞみはプリキュアの能力では似た傾向を持つが、咲がスポーツに秀でるのと対照的に『何をしても長続きしない上にド下手』な部活追い出され女王であったのぞみは戦闘で素養を開花させた面が大きいため、戦闘に躊躇しない気質を持つ。そこが微妙な差である。また、最近は咲がリーダーの仕事を引き受けてくれたおかげで気が楽になり、シャーリー共々、趣味人化しつつある。

 

「あ、ドリームがガイちゃんと戦闘に入りますよ」

 

「遂にロボットガールズ筆頭格のお出ましね…」

 

ロボットガールズの筆頭格はZちゃんではなく、ガイちゃんと見られている。これはガイちゃんが最初に現れ、黒江と親友の間柄である事、黒江に真龍ハイドロブレイザーを伝授し、ミラクルドリルランスを与えた事が理由だ。また、ガイキング・ザ・グレート及びガイキング・ザ・ナイトの力も行使できるため、Zちゃんと格が違う強さを持つ事も関係しており、概ね、ロボットガールズ最高位と見られている。

 

「フフフ~。あ~やが鍛えてるガキってのはお前かー。ZEROと融合したてのタマゴじゃあ、このあたしには勝てんぜ」

 

ガイちゃんは黒江を渾名で呼ぶ数少ない一人である。ガイキング・ザ・グレートの形態を既に取っており、Gウイングを広げ、仁王立ちである。

 

「先輩から話は聞いてますよ。ガイキング・ザ・グレートの力を持つすごい人だって」

 

キュアドリームはエンペラーオレオールとエンペラーブレードのセット装備でガイちゃんと相対した。ドリームも奥の手として、ZEROとの融合でシャイニング形態を超える形態を手に入れており、保有ポテンシャルは未知数である。二人の戦いは音速を遥かに超えた次元で始まる。Gウイングとエンペラーオレオールの性能は互角であり、二人は同じ土俵での戦いを必然的に強いられた。

 

『ギガパンチャーグラインド!!』

 

『ターボスマッシャーパーーーンチ!!』

 

ギガパンチャーグラインドとターボスマッシャーパンチがぶつかり合う。威力はターボスマッシャーパンチが上回り、ガイちゃんの右頬をかすめる。

 

「おっと!流石に皇帝の力を使えるこたぁあるな。デスパーサイト!!」

 

手刀のデスパーサイトがドリームの頬に傷をつける。そして、追撃のガイキングミサイルが撃ち込まれる。牽制技だが、動きを止めるには充分。次いで角からの電撃を撃つ。

 

『ボルトパァライザァアア!!』

 

ガイキング・ザ・グレート形態でのパライザーは密着しての電撃ではなく、サンダーブレークやスペースサンダーのような電撃の放射である。それを更にお見舞いする。怒涛の攻撃だが、ドリームも耐える。そして、胸の蝶型のリボンを放熱板代わりにし、光子力を炎に変える。

 

『光子力を炎に変える!!ファイヤーブラスターーーッ!!』

 

マジンガーの代名詞『ブレストファイヤー』系列の必殺技『ファイヤーブラスター』をZモードで放つキュアドリーム。その威力はマジンカイザーのそれに劣らぬものであるが。

 

「あめーんだよ!」

 

ガイちゃんはブレストファイヤー系の武器は見慣れており、ミラクルドリルランスを出現させ、ファイヤーブラスターのエネルギーを切り裂き、自分のパワーと変える。

 

「悪いな、マジンガーだけが光子力使ったロボって誰が言った?」

 

「なっ!?」」

 

「それに、炎はあたしのエネルギーなんだよ。……来な」

 

『来いよ』と言わんばかりにガイちゃんは挑発する。バトル漫画でありがちなジェスチャーだが、ガイちゃんは遊ぶつもりはない。

 

「コレで純粋な力比べ…!」

 

「フ…かかったな!」

 

瞬時に組み付いたドリームだが、ガイちゃんはその一手先を行った。

 

『アブショックライッッ!!』

 

「うわぁああああっ!?」

 

ドリームはガイちゃんの戦術の妙にハマってしまい、目潰しをされた。ドリームが目を開けていられなくなった瞬間、ガイちゃんは最大技を放った。

 

『ハイドロブレイザー・ギガバースト!!』

 

ガイちゃんの手加減なしのハイドロブレイザー・ギガバーストは凄まじい炎の矢となり、ドリームを炎に包み込む。ドリームは炎に包まれていく。

 

「一つの形態の技に拘るな、原典の技のつまみ食いが出来るのも強みになるからな」

 

ガイちゃんはドリームにそう忠告する。

 

「分かってるさ……あたしも超える!セブンセンシズの壁を!!」

 

ドリームはギガバーストの炎をキーに、自身の新たな最強形態『エターニティドリーム』を見せた。これは闇に堕ちかけたシャイニング形態の状態でZEROとの融合をしたことでナインセンシズに目覚めたことで目覚めたもの。小宇宙の高まりでの一時的なものではない恒久的なパワーアップかつ、融合で『壁』を超えたことで生まれし新形態である。姿そのものは大決戦で先行して黒江が見せている。シャイニングで純白だった翼が白金色に変わり、より滑らかで神々しい形状に変化している。コスチュームそのものはシャイニングと大差ないが、所々で神聖衣のように神々しい意匠が見られる。

 

「そうか、お前らが神聖衣を纏えるレベルに小宇宙を高めれば、今までの壁は超えられるってか。おもしれぇ!!GO!!ガイキング・ザ・ナイト!!」

 

ガイキング・ザ・グレートの更に上の『ガイキング・ザ・ナイト』形態を披露するガイちゃん。どこからか射出されたパーツがコスチュームを更に変え、趣を変える。騎士を思わせるコスチュームになる。

 

「さあ、始めようか!」

 

ガイちゃんがどこかで聞いたようなニュアンスの台詞を決める。ドリームはそれに応える。最終形態になると、お互いに手加減なしである。

 

『聞いてみる?銀河の星々の砕ける音を!!ギャラクシアン・エクスプロージョンッ!!』

 

ドリームは手加減なしのギャラクシアンエクスプロージョンを放つ。先程の返礼だ。ノリがいいのか、前口上も完璧だ。ガイちゃんの不意を突いて放つ大技は大爆発を起こす。キノコ雲と見間違えるほどのものだ。技そのものは『ニューステージ戦』で通常形態で使用し、その場の誰もが度肝を抜かれているが、今回は新たな最強形態で使用したため、発生した爆発エネルギーはその時の三倍を超える。その閃光と爆風はキュアアクア達のいる場所からも普通に見えた。

 

「ドリームったら、ギャラクシアンエクスプロージョンを撃ったわね」

 

「あれ、整地作業が大変なのよね…。ホイホイ撃たないでほしいわ…」

 

「爆発が大きいから、事故と思われそうだし…。」

 

三人のブループリキュアもこの頃にはすっかりなれたか、このコメントだ。

 

 

「うーん、はなちゃんやひかるちゃんが見たら腰抜かすだろうなぁ……」

 

まだいない自分の後輩達に思いを馳せつつ、キュアドリームが『単なる一プリキュアの領域を超えた事』を実感するキュアホイップ。自分が戦闘向けのプリキュアでないことは自覚している故なのか、どこか羨ましそうだった。

 

「ドリームも色々あったんだなぁ…」

 

エターニティドリームと呼ばれる白金の翼を持つ新形態を会得した事に羨望を見せると同時に、のぞみが転生後に抱え込んでいた苦しみと悲しみ、血を吐くような努力、そして、親友のりんへの思いを間近で見てきた者として、嬉しそうでもあった。その点はキュアミラクルと共通していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――かくして、源田実などの戦闘機搭乗員出身高官の強い後押しで採用されたF-20。単座型戦闘機を欲する生え抜きの戦闘機搭乗員の要望に則っての採用であった。F-16への繋ぎという条件で日本側も承認した採用だが、1949年当時の状況では世界トップレベルの性能を持つ戦闘機であった。史実より30年は前倒しされた理由は『F-106デルタダート』が前線で確認されたからであり、同機が如何に警戒されていたかを表している。『ダイ・アナザー・デイ当時にF-20が戦果を挙げられたのは、トップエースが乗っていたから』と日本防衛省背広組は考えており、並のパイロットでは扱いきれないとしていた。だが、実際にはジェット戦闘機の素人と言えるのぞみ、ラブが乗っても戦果が出せるほどの素直な特性の機体であったため、扶桑空軍は採用を決めていた。だが、日本側の国防族はF-2再生産のたたき台としてのF-16採用の圧力をかけており、同位体が空自の第三代幕僚長たる源田がその圧力をのらりくらりと躱すうちに採用を急いだ経緯がある。F-16の採用は扶桑がF-2の製造に必要不可欠な技術をものにした後になるので、ここから5年以上後のことである。日本は戦時の技術進歩に異常までに怯えており、ウィッチ世界からすればだが、明らかに異常な速度で航空兵器を世代交代させていた。戦後第三世代機から第四世代機へ早くも交代させる見積もりが立てられていることは各国の顰蹙を買っていた――

 

 

 

 

 

――当時、ウィッチ世界一の富と有数の基礎技術を持つリベリオン合衆国を以てしても、戦後第二世代戦闘機を早めるのが精一杯であったし、それ以外の国は戦後第一世代機がようやく普及してきたばかり。日本連邦の主力機の世代交代速度は際立って早かった。これは史実の太平洋戦争で開発競争に遅れを取っていた反動であったが、余りに頻繁に軍全体の主力機が世代交代するようになった現状に現場は苦労している。施設の更新が装備更新に追いつかなくなったからだ。太平洋戦争の長期化はこの軍備更新の時間が必要になったのも理由だった。当時、ウィッチ世界はウィッチの軍事的価値の低下でウィッチコマンド母艦としての空母運用が取りやめられつつあり、その目的での空母保有も意義が薄れた。ロマーニャは領土防衛の必要上から認められたものの、カールスラントは空母保有そのものが領土への野心と取られてしまい、議論が続いたために結局、バダンの鹵獲艦再利用にさえ、1949年からも更に5年の月日を要した。ウィッチ母艦としての伊400潜型のミサイル潜水艦への改装が取り沙汰されたのも、クーデターの一因である。この時期にはウィッチは『特別扱いされないと、すぐに癇癪を起こす厄介者』と社会的に見られており、かなり肩身が狭くなっていたが、半ば自業自得であった。そんな彼女らの中の良識派が縋ったのが、『個人主義の超人』と集団主義の観点から一度は『異端者』としてコミュニティの和を乱すとして迫害したはずのGウィッチだったのは皮肉そのものであった――

 

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