――501で起こった問題は重大視され、カールスラントは501の運営権を放棄した。隊員はそのまま派遣したままで。運営権は査問の翌日付で扶桑皇国の手に渡った。黒江達は武子の着任と共に先任中隊長になり、将官となった。プリキュア達の覚醒はその時期に相次いで起こった。黒江達の戦技が卓越しつつ、人智を超えたと理解されるにそれほどの時間はかからなかった――
「この場に集められた全ての統合戦闘航空団の手練れより強いなんて、どうなってるのさ…」
「言ったろ、伯爵。あの人達は人外魔境だって」
菅野は覚醒後は黒江たちに従順である。343空時代に口答えした後にヤキを入れられた事で覚醒したので、なんとも苦笑気味である。
「でも、開戦初期から飛んできてるのにさ」
「バカが。あの人達は1936年以前からだ。それに未来帰りだ。次元が違う」
菅野は覚醒前に『一旦、現役をやめた奴に現役の俺らの気持ちなんて分かるわけがないんだ!!』と噛み付いたが、黒江にライトニングフレイムを浴びせられ、そのショックで記憶を取り戻した。それからは黒江の腹心と化している。記憶を取り戻した際の最初の一言は『殺す気スか、アンタ!?』であった。ダイ・アナザー・デイで一気に表面化したウィッチの『現役至上主義』は旧日本軍出身の義勇兵らにも快く思われておらず、お互いの軋轢のもとになっていた。ミーナとサーシャが処罰されたのは、義勇兵やRウィッチなどと現役者の軋轢が連携に支障を来たしていることを助長する行為として、軍規違反になったからだ。
「ミーナは事実上の更迭だろ?なんで表ざたにしないのさ」
「したら、ただでさえ、地上空母への攻撃の失敗で士気が下がってるところにトドメになるろーが。おまけにエディタ・ノイマン大佐が理不尽な理由で左遷させられてんだ。極秘にされるよ。指揮権は今日から正式に武子さんのもとに移行した。これからはあの人の下で戦うことになる」
「『扶桑海の隼』の指揮下か。ボクたちの代は知ってるからいいけど、若い子が従うかい?」
「この間の事もあるから、総当たりの模擬戦で実力見せてんだろ?あの人達には予知能力とかの小細工なんて意味ねぇからな」
菅野は黒江たちの実力をそう評した。七勇士であった者が、7年後の現在も最強であり続けているはずがないと高を括った者たちは皆、天国が見えるほどに叩きのめされている。343空の者の大半もそうだった。模擬戦を挑んでは、無残に敗北することの繰り返しであった。それを『伯爵』に教える。
「でも、僕たちは数千にもなろうかっていう敵と……」
「七勇士は万単位だよ。事変の最終決戦で連合艦隊がよく霧散しなかったくらいだって言われるくらいだったって、姉さまから聞いた事がある。」
「ま、万!?」
「正確な数はわからんそうだぜ。あの7人だけでその数を倒せたそうだしなぁ。つか、四人が飛び抜けすぎなんだよ」
聖闘士の技能、ゲッター線、光子力を用いた攻撃により、七勇士の内の四人は赤松とその弟子筋の者となった。(黒田は異なるため)昭和20年当時にはおとぎ話同然の話扱いだったが、黒江達が普通にスーパーヒロインであるプリキュアを問題としない戦闘力である事が知れ渡ったため、江藤は七勇士で唯一、立場が危うくなった経験を持つことになった。あまりに強力な戦闘力は扶桑ウィッチ最大派閥で問題視されており、協調心がないと嫌うものは海軍系を中心に大勢いた。それが皮肉にも、40年代後半以降におけるウィッチ閥そのものの衰勢を決定づけてしまう。この時の菅野と伯爵の会話こそ、ウィッチ問題の核心でもあった。
「うちの国の海軍は撃墜王の制度そのものをとってなかった。対外的には撃墜王を誇示してるが、部内じゃ『多量撃墜者』であることは認めても、大っぴらに言えば睨まれるような閉鎖的なコミュニティだった。その理屈を空軍にも持ち込もうとしたが、陸軍のほうが人数が多いから、逆に飲み込まれる事を怯えてたのさ。しょうがないから、母体部隊ごとに一定の伝統の維持は認めつつも、対外的意味での撃墜王褒章はすることって海軍系部隊向けに規則ができるほどなんだよ。海軍航空の政治的敗北だな」
海軍航空隊は風土的意味では再構成されたため、この時期の伝統は殆ど後世に残る事はなかった。航空分野では『桜花』という汚点、水上分野で『回天』が存在する事から、風土の変革が積極的になされたためだ。もっとも、ブルーインパルスに相当する曲技飛行隊も戦後に創設されたため、完全な否定でもない。一方の陸軍航空部隊は伝統がほぼそのまま引き継がれた。撃墜王に寛容な文化であった事、空自の精神的母体の役目を果たした史実が大きな要因であったとされる。
「大拡充が実る前に部隊構成が空母機動部隊主体に戻されたから、教育の切り替えや艦載機の世代交代。いろんな事が重なって、今の状況になった。陸上要員のほうが多くなってたから大パニックだがな。空母の空きを埋めるために義勇兵が集められた。それでも足りないのは空軍が埋めてる。次の戦争まで、海軍にグチグチいわれそうだ」
「どうしてだい」
「教育隊から教員引き抜いてよ、そいつらを前線に送る計画があったけど、横槍で潰されたんだ。俺たちの交代要員も兼ねてたのに。それで、昨日に来た連中以外は寄港地で足止め。船も軍籍を外されちまう珍事だとよ」
「教育隊から人員を引き抜いて、前線に送るのはよくあることなのにね」
「そうだろ?おかげで、俺たちは交代で休暇ももらえん」
愚痴る菅野。地上空母出現前後の時間軸では、64Fは休暇無しで数週間も戦っており、疲労が表れていた。これはプリキュアたちも同じで、ドリーム達の敗北の一因となったと言える。
「あいつらもそれで負けたようなもんだ。いくらプリキュアでも、休み無しで何週間も連日連夜で戦ってみろ、気づかないところで疲れは出るだろ?」
「通りでさっき、あの人が顔を青くして、すっ飛んでいったわけだ」
「今は七人ライダーに助勢を乞うしかないからな」
「未来世界で伝説になったっていう、七人の改造人間の事だね」
「仮面ライダーってヒーロー自体は次元世界全体を見回しゃな、大勢いる。その中でもそもそもの源流になった最初の七人こそ、仮面ライダーの中でも最強と言われる連中だよ」
菅野は黒江から仮面ライダーというヒーローの詳細を聞かされていた。仮面ライダーそのものは大勢いるが、その中でも『改造人間』である『原初の系譜』の最初の七人こそが最強であると言うことを。七人ライダーはそもそも人間に戻ることを夢見た事もあるが、人々の英雄を求める嘆きの声に応えられる存在である事が彼等の見出した『改造人間』としてのアイデンティティとなったことで、正式に仮面ライダーというヒーローになりきる事を選んだ。本郷は自分達が目覚める事がない事を願っていたが、いつの時代も邪な野望を持つ者は現れる。ゴルゴムとクライシス帝国のの登場がそれであった。ゴルゴムに仮面ライダーBLACKが敗れ去った時、人々は伝説の再来を望んだ。その願いが10人ライダーを蘇らせたのである。その後にクライシス帝国との戦いになった後、仮面ライダーJの力で前史以前の記憶が宿ったことで『誰かのために戦う』というアイデンティティを確立。この時期には64Fと協力関係にあった。彼等の生きる道を決めたのはゴルゴムとクライシスのようなものであった。そして、彼等の存在を知ったプリキュア、特に前世での悲しい経緯を引きずっていたキュアドリームには『自分が持てなかった希望を見出し、自分たちがいるべきだった時代を超えて生きている』男たちの事が他のプリキュア達よりも眩しく見えていた。その心境こそが、後に一号ライダーこと、本郷猛を強く尊敬するようになる理由である。
「そんなわけだ。俺も釘を刺されたが、出戻りを批判してみろ。社会的に抹殺されちまうよ。気ぃつけろよ」
「現役に戻るのは個人の好き勝手だから、僕は気にしてないさ。扶桑は現役至上主義すぎるよ」
「ウチの難点だな。A級ウィッチを全部の戦線から根こそぎ引き抜いたって批判されてるが、夜戦も着艦もできるって条件だと、A級になっちまうんだよ。それで一定のステゴロの実力だからな。ウィッチを政治的に守るために、万能選手が必要ってのはわかる。だから、そのまま空軍に行ったんだよ」
菅野は『輪を乱すな』と強制する海軍航空の風土に嫌気が差しているとし、空軍にいの一番に移籍した。芳佳の正式な移籍が遅れたのは、坂本が『海軍軍人として一人前にし、宮藤博士へ恩返しする』と譲らなかったためで、1946年の留学の頓挫を大義名分に空軍へ移籍する。64Fで死文化した条文が生まれたのは、坂本が芳佳を海軍に留めたい故に根回しした結果で、芳佳の空軍移籍後には削除されている。
「坂本さんも無駄なことを。どうせ宮藤の留学は頓挫するんだ。多くの世界で怪異が現れてな。前世で起こった以上、今回も起きるだろうしな」
「留学?」
「あいつは医者志望でね。坂本さんがあれこれ取り付けたが、結局は戦争でパーになるんだ。どの場合でもな」
「それは言ったよ。あれは殆ど儀式のようなもんだな」
「儀式?」
「宮藤の親父さんへの恩返しの、な。そうしないと、満足できないんだと思うぜ。宮藤の親父さんの詳しい消息は誰も知らないっていうしな」
「でも、理論が直に世代交代するのに、何で彼の名を?」
「敬意を払うのと、基礎は変わらんかららしい。第二世代はジェットエンジンのアフターバーナーを実現させたものだよ」
菅野は解説する。数年後にはレシプロストライカーを第一線機材から引きずり下ろす事になるのが第二世代宮藤理論式ストライカーであると。
「一年半もすりゃ、開発の目処は立つ。そうすりゃ、ハチロクもお払い箱だ。怪異が主敵じゃ無くなった以上、機種の世代交代速度も早まるだろうしな」
菅野の予測は悲観的であったが、その後の流れのおおよそは当てていた。この頃から加速し始めた兵器開発速度はそれまでが嘘のように早まる事になり、1949年度にはF-4EJ改が量産されるのである。
「でも、ナオちゃん。あの子と閣下が入れ代わった時に閣下が好きにやった事が騒動の原因じゃないの?」
「黒江さんはアイツのことを知らない状態だったんだぞ?どう考えても無理だろ」
「そう言えばそうだったね…」
「ま、手落ちがあると言えば、あの人の振る舞いが自由人過ぎたことだな。それであいつがのび太んとこにいくきっかけになっちまったのは事実だしな」
調が出奔した理由はいくつかある。一つは響の善意からの何気ない一言が調の琴線に触れた事、もう一つは黒江がいた場所は自分がいるべき場所ではないと感じ、本当の意味での居場所を自分で見つけたかったからである。菅野はそこを黒江の手落ちと評価しているが、調にとっては共依存関係でない関係を持てるきっかけになった面もあるので、微妙なところだ。
「あいつはのび太んとこに行くことで、自立できたのは事実だ。たとえ、それまでの全部をかなぐり捨ててでもな。のび太のとこで社会的常識は学んだし、大学にも行けたからな」
調は自分がフィーネの器になる世界もある事を知り、自我を保ったままでいられる上、異世界で騎士をしていた事は幸運であると悟り、のび太の世界で暮らすことを選択。野比家に住み込みで手伝いをしつつ、地球連邦大学で学問を修めた。シンフォギアが普段着の一つになった感があるが、ともかくも幸せな生活を手にいれた。ダイ・アナザー・デイの時期には聖闘士になり、正式な士官教育を受けるために23世紀に出張中の身である。
「先方に写真は見せた?」
「ああ。ブーブー言われたらしいが。シンフォギアを普段着代わりに使ってるのは、向こうじゃあり得ない話だしな」
調はススキヶ原では、訓練と修行も兼ねて、心象変化を起こさないノーマルのシンフォギアで生活している。黒江は特殊なケースであるため、転移前の適合率が天羽奏以下とされたはずの調が帰還後は第一種適合者と同等以上の適合率になっていた事は説明のつかない現象であった。また、そのごく一時期には磁光真空剣が飛来、それを得物にしていたため、真っ向両断で敵を消滅させることがあるのに響が反発したところもある。
「あ、あとは磁光真空剣だな」
「磁光真空剣?」
「ドラえもんの世界での戸隠流正統・第35代宗家『山地闘破』って忍者が現役時代に使ってた刀さ。戦いが終わって、宇宙のどっかに飛んでいったらしいが、どうも異世界の同じ血筋にあたるあいつの前に飛来してきたらしい。今は山地闘破さんに渡したけどな」
調は月読神社の宮司の孫娘という説があるが、宮司の子の夫婦のどちらかが戸隠流の血を継いでいたのではないか。その推測は確証を持って語られている。戸隠流の血が流れてなければ、磁光真空剣は使えないからだ。調は磁光真空剣の真の機能『レーザー刀』を発動させ、黒江から得た記憶の見様見真似ながら、『磁光真空剣・真っ向両断』を使用している。響が反発心を持ったのは、『敵に情け容赦がない』面を無慈悲な殺人マシーンと取られたところだろう。
「あいつはそれで敵を両断したらしいからな。揉めた方の青くせぇお嬢ちゃんにゃ、『悪・即・斬』は分かるまいよ。ただ、あいつは戦場から日常に戻れる身分でも無くなったからな。そこが揉めたり理由だろうさ」
菅野は随所でこの時代の軍隊の教育の影響が精神的に残っている事が分かる。ただの文学少女をここまで変えるのも戦乱の世の常だが、黒江は話し合いの余地がない敵は『悪・即・斬』の思考で斬るため、斎藤一の影響もかなり受けた事がわかる。その黒江との感応で、調に薩摩武士の『戦闘狂』とも取れる苛烈な面が生まれた表れか、風鳴翼をも怯えさせるほどの『狂奔』が年月と共に表れるようになった。タイ捨流/示現流の複合剣術を修行で会得した事もあり、他の世界の彼女自身にはない『薩摩武士』然とした思考を持つ。風鳴翼もその恐ろしいほどの一面を『武士のやり方とは思えんが……身震いする』と語っているが、風鳴翼が傾倒した武士道はあくまでも江戸期以降に生まれた道徳概念にすぎない。調の戦闘面のベースになった思考は『あらゆる手を尽くして戦いに挑む事こそが礼儀である』という戦乱期の道徳である(そこに近代軍の軍人思考とベルカ騎士道が混じるため、ややこしいが)。菅野は調が帰還直後は響に引かれ、翼にも共感されにくかったのは、そうした倫理観の違いだろうと目星をつけていた。
「まぁ、そこは同情するぜ。元の世界に居場所を見いだせなかったってところは」
「それで、あの子は?」
「のび太んとこで20年近く生活したよ。途中でプリキュアの子(キュアフェリーチェ/花海ことはのこと)も加わって、のび太は実質、二人の妹を持った。それがあいつを『男』に変えていった。いくら、グータラなのび太でも、二人も妹ができれば、精神的に律されるよ。見てて面白かったよ」
「楽しんでないかい?」
「まーな。あいつの親父さんの仕事の通訳のバイトしたことあるんだ、俺。のび太が小学生くらいの頃が初めてだったっけ。ちょうどドラえもんが検診でいなくてよ。俺が通訳引き受けたのよな」
菅野は面白おかしく語る。のび太の父『野比のび助』はのび太が小学五年当時に36歳。当時の役職は課長で、出世コースに乗る若手商社マンであった。ある商談の相手が外国人だったのだが、のび助は2000年代では珍しくなった『外国語ダメダメ』なサラリーマン。すくみあがってしまい、商談しようにもできない状況に陥った。ドラえもんに翻訳こんにゃくを借りようとしたが、その話が出た時にドラえもんは定期検診で不在。翻訳こんにゃくも切らしており、大ピンチであった。ちょうど遊びにきた菅野にのび太が仕事を依頼。菅野はのび助の通訳として随行。マルチリンガルぶりを発揮し、商談をまとめた。それがきっかけで、Gウィッチたちは野比のび助の仕事を時たま手伝うようになり、のび助の立身出世に貢献した。のび太29歳前後の頃には重役で定年退職した後であり、息子夫婦とは別のアパートで隠居生活を送っている。
「僕たちはあらかたの言語は喋れるから、いいじゃん」
「中国語はわからんから、黒江さんに頼んだよ。あの国はこの世界では滅んだからな」
「あ、ああー。明国の…。華僑は残ったけど、殆ど現地語になったしね」
正確には華僑は残ったが、言語的にはそれぞれの生活圏の言語に取り込まれた場合が多く、俗に言う中国語は死語に近い言語と化していた。また、文化も扶桑に伝えられた文化と歴史がほぼ全てであり、マルセイユが諸葛孔明を素で知らなかったり、孫子の兵法を知らないことで赤っ恥をかく羽目にもなっている。
「伯爵も赤っ恥かかねぇように勉強しとけ。マルセイユみたいに赤っ恥こきたくないだろ?」
「ハンナを言ってやるなって。あの子はウチの訓練校の問題児だったけど、優秀な成績だったんだから」
『伯爵』の擁護は擁護になっていない。マルセイユは素行不良が原因で卒業が危ぶまれたが、圭子にしつけられた後は圭子に基本は従順であり、むしろ、圭子の抑え役になっている面が大きい。マルセイユの素行を正したということで、バルクホルンは圭子を尊敬するようになった。
「トゥルーデもあの人を尊敬してるようだけど、君は知ってたかい?」
「あの人は昔からイカレポンチ扱いだったって、訓練生時代に聞いたよ。二挺拳銃を振りかざして暴れ、上官だろうがなんだろうがお構いなしの狂犬。アフリカ戦線じゃ『血まみれの処刑人』って渾名つけられてる。名前くらいは聞いたことあんだろ。あの人の事だ」
「……マジ?」
「マジだ。あっち方面でもテクニシャンって噂だ。手出したら、戻れねぇぞ。別の意味で」
「……」
圭子は七勇士で最も『イカレポンチ』と同期・先輩らから評価された。上層部も扱いかねる問題児であるため、未来行きにしたら、余計に強くなってしまったという顛末である。また、圭子は智子をして『戻れなくなりそう』と言うほどの『テクニシャン』であり、その手で味方を増やしたとも言うほどの噂が伝わる。ヴァルトルート・クルピンスキー(伯爵)は大尉に戻ったが、現在では一介の士官である。(バルクホルンからは毛嫌いされているが、バルクホルンが丸くなったために一定の改善はなされたが、ハルトマンのスパルタを諌める事になったことには困惑中の身だ)
「あ、大事な用だった。転生でエーリカは子供たちをしごくようになったのは困るよ。アレじゃ子供たちを心的に潰しかねない」
「お前が諌めろよ」
「なんだかんだで似てるんだよね、あの姉妹さ。ボクじゃねぇ」
「先生は嫌がってるが……頼むか」
「あれ、何が原因?」
「療養先の世界でスケバンしてたんだとよ」
エディータ・ロスマンは異世界からの帰還後はスケバン化しており、容姿は戻したが、服装は日本の学ランを羽織って、現地から持ち帰った学帽を趣味でかぶったままで通している。口調も日本のスケバンと化しており、まるで別人だ。帰還後は雁淵ひかりとの関係でつつかれるのに嫌気が差したか、教育には殆どタッチしなくなった。が、エーリカのスパルタぶりはクルピンスキーから見て『目に余る』ため、ロスマンに諌めてもらう事にした二人。ハルトマンのスパルタぶりは黒江の懸念しており、黒江からの指令という形で二人はロスマンを引っ張り出し、ハルトマンを諌めてもらうのだった。