――日本連邦は結果として、超兵器に戦線維持を頼った。兵器の数を減らしたら、国家総力戦は戦えない事が明らかでありながら、日本は少数精鋭を志向したからだ。自分達がダイ・アナザー・デイで宣った言葉も忘れ、超兵器に頼るのは虫のいい態度と取られ、冷ややかに見られた。だが、日本側としても戦後型兵器は高度化しており、財政的に第二次世界大戦型のように『数を揃えられない』という事情があり、一種のジレンマがあった。また、ウィッチ達によるF-35への誤射事件もウィッチ達が疎んじられる理由になった。ダイ・アナザー・デイ後にクーデターを起こした事で政治的に排斥の流れができてしまったが、怪異への手頃な対応策である事、オラーシャでの虐殺で保護政策が急務になり、厳しい教育を施した上で部隊配属の運びになった。疾風と美也はそうした環境の変化を経て配属された最初の世代である。社会的に以前の権勢が許されなくなった中、その例外と言えるのがGウィッチであった――
――64Fは最前線に配置されているが、ダイ・アナザー・デイほどは忙しくはなく、全体の戦況が膠着状態な事もあり、交代で休みは取れる状態であった。キュアミラクルが戦線に本格的に参加したのは、1949年の初夏である。そのため、キュアブラックとキュアフローラを除くピンクプリキュアの大半が64Fに集まった。海での機龍の部隊の活躍などもあり、敵は上陸軍の後続が当分は来ない状態になったが、味方は味方で、人型機動兵器単独での戦線構築が政治的に不安視されたことから、進撃もままならなかった――
――ダイ・アナザー・デイで前線部隊が購入した戦車は本来、1947年には国産次世代車で代替する計画だったが、16式機動戦闘車の配備計画の頓挫と74式戦車の生産遅延で英国製のセンチュリオンとコンカラーのみが再整備され、配備が行われた。(パンターⅡとティーガー系は砲弾が独自規格であったことから、兵站上の都合で再整備は見送られた)センチュリオンは105ミリ砲を積む改修が施されていたからだ。当時はセンチュリオンの後継として『チーフテン』が順当に開発中であったが、扶桑が購入できる余地はまだ存在しなかった。ダイ・アナザー・デイで活躍したセンチュリオンは1949年当時はMBTの先駆けであると同時に、国産の既存車の最高性能である5式中戦車改よりも『出来が良い』事から兵器庫からの『再配備』を望む声が多く、残存車の攻防性能を全て、史実最終型相当以上にアップデートをして再配備することを条件に再配備が行われ、新規生産も始まった。当時は機甲兵器の数を揃えることが何よりも条件だからだ――
――1949年にはコンバットアーマーの登場で、64F以外の人型機動兵器もさほど珍しくはなくなったが、21世紀の人間たちの多くからは費用対効果が疑問視された節がある。アニメ同様の無敵さが発揮できるとは思えなかったからだ。だが、ゲッターロボGやグレートマジンガーが一騎当千ぶりを示すと掌返しをした。かのマジンガーZ以上のマシンだからだ。特にゲッターロボGは近年、悪役のイメージが強いが、初代のブラッシュアップとして脚光を浴びた。後継機の真ゲッターロボのような常軌を逸したイメージがないヒーローロボットとしての一面と悪役になりやすい二面性がゲッターロボGの魅力でもある。64F保有機はネイサー開発の量産型であるが、オリジナルと同様のヒロイックな塗装のプロパガンダ用の機体、実戦用の灰黒の機体がある。30世紀に名を馳せるゲッター軍団の始まりは23世紀におけるゲッターロボGの量産であった。64Fでは持ち回りで機体を回しており、プリキュア達も搭乗経験を持つが、最初は安定性のある三号機からである。プリキュアで二号機乗りなのは、スピード戦法を好むイーグレット(ウィンディ)、メロディ、ベリーの三人である。一号機に乗るには一定の経験がいるため、ピンクが一号機に乗れるとは限らない。ドリームもミラクルも、最初は三号機で経験を積んだ後に一号機に乗り換えている。(技のボイストレーニングも必須である)――
――プリキュア達も機動兵器の訓練は受けている。ゲッターロボGに乗れる資格を得ているのは各チームから数名づつ。ドラゴン号に乗れるのはドリーム、ミラクル、ピーチの三名である。(ハッピーは現役時代に自分がロボにされた事があるため、あまり乗りたがらないが)ドリームはポセイドンを経て、49年にドラゴン号への搭乗資格を得た。圭子にさんざ罵られたが、元々、前世(レントン・サーストン)に機動兵器のエースだったため、他のプリキュアよりスムーズにドラゴン号の搭乗資格を得た。調、キュアミラクル、キュアブライトがD世界の装者達と接触している頃には、新京で防衛関係者向けのデモンストレーション飛行中であった――
――D世界の装者達がいるホテルのロビー――
ホテルのロビーに設置されているTVモニターにそのデモンストレーション飛行中の量産ドラゴンの合体の様子が映し出される。プロパガンダ用の位置づけのオリジナル機同様のカラーリングの三機のゲットマシンがドリーム、メロディ、ピースの三人の操縦で飛行している。日本の防衛大臣や三自衛隊のお偉方向けのデモンストレーションの意図もあり、オリジナル機と同じカラーの機体が選ばれたわけである。要はゲッターロボの実在を証明するための飛行である。
『ピース、来ていきなりで悪いね』
『戦車道世界でロシア留学するよりは楽しめそうだよ。ロシアは寒いし』
キュアピースはカチューシャとして、プラウダ高校の隊長の座を次世代へ明け渡す作業のため、デザリアム戦役からしか参加できなかった事は相当に不満だったが、部活の引退後であるため、太平洋戦争にはスムーズに参加できたわけだ。
『さーて、ゲッタードラゴンに合体するよ!』
『YES!』
『チェーンジ・ドラゴンッ!!スイッチ・オン!』
ゲッターロボの合体はモーフィング合体かフレームの伸縮、外装チップの展開の組み合わせである。最も単純なゲッター1でも、最低で二種の変形合体の組み合わせである。ドラゴンは無茶な変形が多いように見えるが、実際はドラゴン号の機首が頭部に変形する際に首の伸縮とクラウン(冠)の展開をするだけであるなど、意外に単純である。変形し終えた後に展開されるマッハウイングについては、アニメ版と違い、大まかな形状は同じだが、パネル展開であるものの、よく見てみると、マント状になっている。反重力技術の賜物だが、これはオリジナル機の板状のウイングが竜馬から不評だったためだと思われる。ゲッタードラゴンが合体したタイミングで搬入された大型の立方体。23世紀のチタン合金セラミック複合材で作られたものであり、強度のアピールのため、五両の10式戦車の徹甲弾で近距離から撃たれるが、立方体にはピンポン玉が通るかどうかの微細な穴しか開かない。高い金を出して作ったAPFSDSの信頼性に疑念が持たれるが、21世紀の有翼徹甲弾でその程度の傷しかつかない事が示される。そこでゲッタードラゴンが動く。
『ダブルトマホークブゥゥメラン!!』
ダブルトマホークを標的代わりのチタン合金セラミック複合材製の立方体に向けて投げるゲッタードラゴン。チタン合金セラミック複合材は23世紀の標準的装甲。当然、21世紀のチタン合金より頑丈な素材だが、合成鉱G(第二世代ゲッター合金)の刃は容易く5m四方の立方体を斬り裂く。ゲッター1にアニメではトマホークで胴体ごと切られていた印象が深いゲッタードラゴンだが、実際にはゲッター1などは相手にならない性能差なのだ。ダブルトマホークはカミソリで削ぐようにして、立方体を斬り裂く。デモンストレーションに立ち会っていた、前任者から交代したばかりの陸上幕僚長(機甲科出身)と機甲科の高官が安堵した表情を見せる。
「通常の戦車装甲と同じくらいですかねぇ、貫通出来て良かった、MSには作戦次第で対抗出来ます」
「そこですか?」
「100年以上経っても、我々の武器は有効である事が示されたのですぞ?航空幕僚長。これで財務に予算削られずに済みそうだ」
妙なところで安心する陸自。
「……にしても、ゲッターは凄いな、あの装甲板の塊をバターを切るように両断とは……」
「潰れた様子もなく綺麗に切り口が立っている……」
21世紀の自衛隊関係者らは一様に驚愕する。この頃はGフォースを抱える都合で空自が色々と忙しいが、MSにハエと扱われそうだと戦々恐々であったというのが本音。(この時期の航空幕僚長は黒江が入隊時の第一線パイロットであった世代で、直に交代を控えている。)
――そして。
『ゲッタービィィム!!』
ドラゴン以降のゲッターは使い勝手の問題で額にビーム発振器が搭載される事が増えた。ゲッター1のビームは高出力だが、炉心直結かつ、炉心に負担がかかる構造であった。ドラゴンは実験的に額にゲッタービーム発振器を積んだモデルである。ドラゴンのビームはビームは高出力であれば、メガ粒子砲のような太いビームだが、通常出力では稲妻状になる。アニメ版と同じような『便りなさそうな』ビームだが、それでもゲルググ程度のMSなら一撃で溶解せしめる威力は保証されている。数秒ほどの照射でチタン合金セラミック複合材は赤熱化し、瞬く間に溶け落ちる。
『どうですか、自衛隊の皆さん。ドラゴンのパワーは』
「すごいものだな…。初代ゲッターの10倍は強いと若い頃に見た覚えがあるが……ここまでとは」
「これ程の代物があるなら、我々のメカゴジラを出す必要があったのか……」
と、メカゴジラの秘匿を担当してきたと思われる高官の一人が嘆息する。学園都市の鎮圧に備え、贅を尽くして作ったはずのメカゴジラやMOGERAもゲッターの前では見劣りするからだろう。だが、ゲッターはあくまで23世紀以降に現れる兵器である。しかも、目の前にあるのは本格戦闘向けにブラッシュアップされた第二世代モデルなのだから、運動性などで時代相応の差が出るのは仕方ない。
「陸将補。向こうは天下のゲッターロボ。それもただのゲッターロボではなく、ゲッターロボGなのだよ?時代の差がでるのは仕方ないことだ。機龍やメカゴジラのアップデートの方向性が見えたじゃないか。機動性向上、出力改善、火力向上とどこまで攻められるか楽しみだよ」
「例のファイルの封印機材、チェックさせるか」
空幕長はつぶやく。
「また面倒が増えるのか、だが面白い……」
と、海幕長は微笑う。そして、彼がセッティングしたのか、三式機龍がやってきた。現状での最新鋭のメカゴジラだ。
『へー。三式機龍をわざわざ?海幕長さん、貴方の差し金ですね?』
『君の上官でもある統括官は私の防大時代の後輩なのでね。セッティングさせてもらった』
それまでのメカゴジラが砲撃戦主体のデザインであるのに対し、機龍は2000年代に計画されたためか、格闘戦を考慮している作りとなっている。映画のように怪獣王の骨格は使用されておらず、似た骨格の20世紀後半当時の新種の恐竜の骨格が使用されている。これは2000年代当時の不況に伴う予算削減の影響であり、予算が許せばだが、フレームから新造のつもりであった。だが、内部に骨格を持つという点は後にムーバブルフレームとして花開く事になるため、その真の意味での祖と言える。(のび太の世界で怪獣王の出現はならなかったが、太古に生息していた恐竜の生き残りの種が『それに進化し得た』ことから、その種は『ゴジラザウルス』と畏敬の念を込めて呼ばれるようになったという)
『それじゃ、こっちも……オープンゲット!!』
『チェーンジ・ポセイドン!スイッチ・オン!』
キュアピースは喜々としてポセイドンにチェンジさせる。パワーのある相手にはポセイドンが最適だからだ。まさに時代を超えた対決とも言える。21世紀の持てる技術で生み出した『怪獣王』を模したロボットと23世紀のゲッター線技術が生み出したゲッターロボの正統な後継者。出自と時代は違えど、同じスーパーロボット。まさに夢の対決であった。
――その模様はニュース映像という形で装者達も確認したわけだが、メカゴジラとゲッターロボという怪物の存在が大きく報じられた。D世界の装者は三式機龍の存在を知っていたようだが、当然、それとも別世界の存在であると教えられる。更に言えば、この世界も本筋からずれた世界であるからだ――
「この世界からして、本筋からずれてるって言うからね」
「うん。そもそも、イレギュラー要素が強いしね、この世界」
キュアミラクルとキュアブライトも言うように、この世界はイレギュラー要素が強い。そもそも、智子、黒江、圭子の三人が1949年で未だ現役のウィッチであり、なおも戦闘技能で最強の一角を占めているままであるところからして、大きくずれている。そして、ウィッチ世界が陥りがちな『現役者至上主義』もこの世界では打破されており、多少の年功序列的風潮も生まれている。扶桑での人的意味での黄金期は事変世代であり、それ以降の世代は小粒扱いであるのもそれに拍車をかけている。また、ミーナが覚醒前に起こした重大な過失がカールスラント軍そのものの権威を政治的に(直接的ではないにしろ)失墜させてしまった1946年以後、部内(仲間内という意味)の受けが悪い士官に分類されていった。西住まほは公平中立に接する(プライベートではシスコンだが)ため、人格の変化を知る者達の手で庇護されたために窓際族にはならないが、デスクワークとは無縁の生活を送る事になったのも部内では有名になっている。(この時代のウィッチはダイ・アナザー・デイを経て、現役者至上主義が脆くも崩壊した様を見ているため、ミーナは出戻りを冷遇したとされ、部内でも受けが悪くなっている)
「あたしらが恒常的に一箇所に集まる事もイレギュラーだけど、敵は強大だしね」
「あんたら、何と戦ってんだよ」
「平行世界を股にかけたナチス・ドイツの残党さ。日本のスーパーヒーローの敵の黒幕でもある」
「ナチス・ドイツだぁ!?そんな昔の連中……」
「いるんだよ、それが。しかも、平行世界を股にかけた組織に再成長してね。あたしも存在を知ったのはここ最近のことさ」
大ショッカー。バダンを中核にする、平行世界を股にかけた組織である。ディケイドはその首領経験者でもある。海軍部門はM動乱で名を馳せた。ヒンデンブルク号はその総旗艦である。扶桑が超大和型戦艦を建造する契機になったのも同艦であるように、残党が持つには過分な装備である。日本側が扶桑の戦艦部隊の維持を認めた背景は『モンタナ級やH級戦艦などの超弩級戦艦たちが実際に造られている』からで、近代装備では『破壊に必要な費用がかかりすぎる。費用対効果に乏しい』事だ。近代装備は高額化が極まり、大正期の旧式である長門型戦艦のバイタルパートに打撃を与えることでさえも数十億以上の経費がかかる試算が問題視されたため、戦艦部隊の維持がなし崩し的に認められた。また、護衛艦は装甲が無く、戦艦同士の砲撃戦に対する抵抗力が低い部類(漫画のようにミサイルで砲弾を落とすことは危険であるのと、ミサイルの装弾数の都合で非推奨である)事も戦艦部隊の維持の助けになった。
「ニュースでやると思うよ。連中がこの世界のアメリカの後にいるのはわかってるから」
「なんで、ドイツの残党がアメリカの背後にいるんだよ?」
「戦時中のナチズムにはこだわりがないからだよ。ありゃ、ヒトラーの妄想みたいなものだしね」
キュアブライトも現役を終えた後は多少なりとも賢くなったようである。ニュースが切り替わり、その残党から鹵獲したH41級戦艦の修復作業と、その内の一隻の引き渡し式典の模様が報じられた。カールスラント海軍は第一次大戦で失った大海艦隊(大洋艦隊とも)の再建を志向していたが、国情とドイツ連邦の干渉で諦めざるを得なくなった。しかしながら、モチベーションを失った軍隊の退廃が見るに耐えないレベルに達したため、戦艦六隻を基幹とする規模までの再建は防衛の必要上から認められたが、空母保有は政治的理由で四隻が認められるに留まった。ドイツは『旧領がオーストリアハンガリー帝国相当まであるから、しかたなく容認してやった』という体裁だが、リベリオンに威圧を与えられる程度の海軍は連合軍にとっても必要であったのは事実だ。
「戦艦か…。あたしらからすりゃ古臭いけど、火力は侮れねぇからな」
「そもそも、戦艦は船同士の殴り合いに勝つための船だからね。下手なミサイル艦をたくさん使うより安上がりだよ」
戦艦の利点は継続的に大火力を投射できるところである。ズムウォルトが開発されたのも、艦砲射撃の実効性からである。存在するだけで一定の威圧はできるため、日本は『原子力潜水艦と核兵器の代替になる抑止力』と見なしている。キュアミラクルも実家の仕事の手伝いにアメリカ軍の関係筋と関わった事があるため、元からある程度(一般人よりは詳しい程度だが)は知識があった。
「あなた達は普段はどういう仕事してるんですか?」
「便宜的に自衛官。この子と同じさ。戦うってことを日本の法律で合法にするには、選択肢がそれしかなかったってことさ。」
「特異現象がなにもない世界じゃ、そうでしょうね」
「民間軍事会社の扱いさえ揉めるのが日本だもの。国連も21世紀に入ると形骸化してきてるから、結局、自衛隊預かりなわけ。この世界で軍人してて、記憶が戻った子がいたからってのも大きいけどね」
自衛隊預かり。官僚の派閥抗争からプリキュア達を保護するのに公職にする必要があった故の選択である。人的には実質的に源田実の子飼いのようなものなので、日本ではかなりの批判も出ている。だが、1940年代も半ばを超える頃にはA級の技量を持つウィッチは世代交代で少なくなっており、64Fを文字通りの精鋭部隊にするには、空母機動部隊を含めた全部隊に犠牲を強いなければ達成できなかったのも事実である。源田とて、そこまで集めるつもりではなかった。だが、日本が44JGを例にして『お墨付き』を与えたために全戦線から引き抜きが行われ、おおよその陣容が完成した。更にカールスラント政変で44JGそのものが加わったダイ・アナザー・デイ以降は孤軍奮闘でも戦線を支えられる地力の持ち主となり、ダイ・アナザー・デイ唯一無二の連合空軍ウィッチ部門の実働部隊となった経緯がある。精鋭部隊というのは、政治的にも都合がよかったのだ。
「問題もあったんですけどね。私はこの前の戦いで途中で士官学校に行った期間あるんですけど、周りの部隊が全然動いてくれない事があって、参謀本部が周りの部隊の幹部を叱る事も多かったんですよ。懲戒免職処分を持ち出すことで、ようやっと動いたってのがねぇ」
「それ、あの人が愚痴ってたね。おかげで『ピンで戦線を支えるしかなかった』って」
「その人、こいつが入れ代わったヤツだろ?なんていうんだ?」
「黒江綾香。この子(調)の師匠で、この世界最高のエースウィッチの一人」
――調はダイ・アナザー・デイの全期間に参加したわけではないが、64F単独で戦線を支えるしかなかった現状は知っていた。1945年当時、古参とされるウィッチと言えど、通常のパイロットでベテランとされる1000時間には届いていない。64Fの人員にもかなり注文があったが、世代交代の最中であった扶桑軍にそんな飛行時間のウィッチはGウィッチ以外にいなかった。(広瀬大佐や宮部大佐も1945年当時は750時間程度であった)そこも64Fのダイ・アナザー・デイ中の人員拡充の多くが外国からの義勇兵だった理由であった。(1947年までに軍の都合で700時間以上に条件が緩和されたが、ウィッチはそこまでの飛行時間を稼ぐほうが難しかった。日本はそれに狼狽えた)自衛隊の人手不足が叫ばれる時勢、ある程度まで出世すれば、60代前半まで雇用、高額の年金が約束されている扶桑軍は自衛隊関係者にとっても、魅力ある出向先であったため、魔力の才能がある者が出向を志願する例が増加している。自衛隊はウィッチ運用のノウハウがなかったので、扶桑軍に出向させていた。ウィッチ運用のノウハウを得るためである。日本連邦には異能に理解がある素地があったため、そこも23世紀の中興に繋がったと言える。――
――それから数日後。青年のび太はデザリアム戦役で使った『強化型レイズナー』に続き、公費に加え、自家の私費も入れて、ようやく完成させた『レイズナーマークⅡ』を引っさげて、64Fの援護に駆けつけた。ちょうど『定期便』の爆撃機編隊と戦闘を繰り広げていたキュアウィンディ、キュアドリーム、キュアピーチの近くをフライパス(通過)していく。一機の小型戦闘機だが、その戦闘機は爆撃機の上空に上昇すると、聞き慣れた声と共に蒼き流星となる。――
『V-MAXIMUM、発動!!』
――戦闘機が青色の発光をするオーラのようなものに包まれ、爆発的加速を行い、爆撃機をオーラを纏った突撃で粉砕していく。それはまるで流星であった――
「あれは!?」
「そうか、のび太くんが完成させたんだよ、ピーチ!アレを!」
興奮気味のドリーム。ピーチも嬉しそうである。
「そっか、アレを完成させたんだ!」
「待って、二人共。あれって?」
「のび太くん、何年か前から出資して、自分用の機動兵器を作らせていたんだ、ウィンディ。それの大トリが完成したんだよ」
「うん。のび太くんが大人になった後に、私達の助けになるために未来科学で造らせた機動兵器『SPT』。昔のアニメのロボットをそのまま具現化させたようなものだけど……、たぶん、23世紀の地球圏で最高レベルの小回りと敏捷性があると思うよ」
その一言で搭乗者が青年のび太であることがそれで判明する。ドリームとピーチ曰く、先程の戦闘機はのび太が造らせた機動兵器シリーズのトリを飾る『第二の蒼き流星』。戦闘機から人型ロボットへの可変機構を有する形に用途特化したものの、総合性能では以前の機体を凌駕する。やっているのはドリームの『プリキュア・シューティングスター』を思わせる突撃技だが、可変機構を有する機体で行うというのは、整備の面では心配される事柄だ。
「かなり強引じゃない?あれ」
「エネルギーフィールドで機体を覆ってますから、この時代の爆撃機くらいの爆発なんてへっちゃらですよ。ほら」
爆撃機を体当たり戦法で撃墜した戦闘機が頭部にキャノピーを持つ構造の小型人型ロボット(とは言え、ナイトメアフレームより大型であるが)に変形する。カメラアイを点灯させ、プリキュア達と挨拶を交すその機体こそ『レイズナーマークⅡ』。のび太が青年期に自身の末裔『ノビ・ノビタダ』を介して用意させた自身用機動兵器の大トリであり、強化型レイズナーの後継機種であった。
「おーい、のび太く~ん!」
と、嬉しそうに手を振るドリーム。のび太は50代頃には、のぞみの義父(結婚相手のコージの義父であるので)となっているが、のび太とはのび太が青年であった時から家族同然の付き合いになっていたので、普段はあまり気にしていないらしい。君づけで呼んでいるのは、出会った時に肉体の年齢差があまりなかったためと、家族関係になったことで呼び方を変える必要が無くなったためである。年上にタメ口を聞くのは、目上の人物には基本的に敬語を使うのぞみにしては珍しい。キュアウィンディはドリームとのび太の関係を知っているため、どことなく兄を頼る妹のようであり、(舞自身にも兄がいたためもあり)どことなく共感し、微笑ましく思うのだった。