――連合艦隊の存続は扶桑皇国民の意思であった。また、旗艦が指揮専用艦でなく、最強の艦(戦艦か空母)になる慣習が残ったのも、彼等の意思であった。その兼ね合いで、海援隊を公営化し、海上護衛総隊に組み込むことで海保を黙らせた。恥を晒し、トップ3の幹部が更迭された海保は学園都市とロシアの戦争のとばっちりで失った巡視船を補充できず、老朽化の進行で活動は自然と縮小せざるを得なかった。その代替が扶桑連合艦隊の派遣艦隊のパトロール任務の常態化なのは、2010年代以降の失態が絡んでいる。日本国民にも、法律の関係で『見ているだけ』な事が常態な海保よりも、いざとなれば威嚇射撃をできる連合艦隊の名だたる艦艇のほうが漁業者にも頼りになったのは事実だからだ。特に大和型戦艦や超甲巡はその手の任務にうってつけであった。古典的な砲熕型艦艇のほうが違法漁業者などには威圧効果があったからで、その手の任務に戦艦、あるいはその近縁の種を投入するという点は日本連邦の前途洋々さの表れとされた――
――日本側はウィッチ世界での戦闘で近代艦艇が思いの外、直接打撃戦に弱い(不運にも、護衛艦の一隻が乗組員の不手際で被弾している。幸い、撃沈は免れた)事が露呈したため、その対策に追われていた。とは言え、直接防御ノウハウなどは70年以上前に失われていたため、一からの模索となった。扶桑が戦艦を頼りにする理由が明らかになり、ウィッチは近代消耗戦で主兵力にはなりえないという事実は空母からのウィッチ排除の大義名分にされた。クーデターでの負い目もあり、ウィッチ装備は既存空母から排除され、強襲揚陸艦に載せ替えが進んだ。急速に通常兵器が進歩したため、ウィッチに従来ほどの利点がなくなったためで、強襲揚陸艦の航空兵力への位置づけの変更がなされた。Gウィッチのような『超人』ではない者たちはダイ・アナザー・デイでの自分達の散々たる醜態と、急進的将校らが国賊とされ、処刑される様を見たため、粛々とそれを受け入れていく。第二世代理論の登場でバスターウィッチが生まれ、重ストライカーユニットでも制空任務がある程度はこなせるようになったのは1949年。そこからしばらくの間は第二世代理論が主流となり、ベトナム戦争後期に第三世代理論の初期型が現れるわけだ。第二世代型はMSやコンバットアーマーという巨大な敵を意識しすぎ、搭載量や速度を重視しすぎるという史実第二~第三世代戦闘機の失敗をなぞる進歩だが、第二世代理論でもっとも優秀であったF-4Eの登場でひとまず完成を見る。第三世代型は装甲服状に革新してしまうので、従来の面影を残すという意味での最後の世代がF-4系の世代であった。――
――第二世代は重武装化が進む世代だが、登場初期のものは前世代と大差なく、B世界のウィッチからみても、さほど違和感はなかった。携行武装の重武装化は坂本Bは不満そうだが、B29以降の重爆の邀撃を前提にしているのと、坂本の後の世代は斬撃を用いない者が主流である都合であると説明され、残念そうであった。――
「加藤さん、貴方方はストライカーユニットで出ないのですか」
「敵の兵器を撃破するには、同じ土俵に立つ必要があるのよ、坂本」
「パイロットの訓練を?」
「ええ。この世界ではね」
「そうだ。お前らはあたしたちについてくればいい。無理して戦う必要はないぞ」
「加東。兵隊やくざって言われないか?」
「事変ん時から呆れるくらいにな」
圭子はゲッターの使者でもあるため、首に巻いているマフラーが流竜馬の巻いているそれのようになっている他、B世界での代替存在の桂子が圭子が本来の歴史で獲得するような穏やかな性質であるのと対照的に、圭子自身は『闘争本能だけで動いている』と揶揄されているような素行である。将官になっても素行不良であるのは問題視されているが、戦功がとんでもないためと、式典などでは猫がかぶれるためにお咎めなしとされている。
「加藤さん、この艦はどうして、これほどに巨大に?」
「宇宙戦艦として見るなら、標準サイズより上な程度よ。宇宙戦艦は大きければいいもの。別の世界の30世紀には、途方のない大きさの宇宙戦艦がわんさか飛んでるわ。最大サイズで地球より大きいのとか」
「……信じられない…。そんなものが現実に」
「事実は小説より奇なりというだろ?巡洋艦でさえも220m超えだ」
ゲッターエンペラーのゲットマシンは地球より大きく、その状態で月より大きめの衛星をビームで破壊できる。それは規格外だが、30世紀に至るまで、戦艦と言える大きさは400m級からとなる。惑星や星系サイズの宇宙船は移民や戦争での示威で使われるものだが、30世紀では、別宇宙の開拓も始まっている都合による。
「どうして、そんな事を?」
「その世界に行った事があるからよ。その世界の技術供与でこの艦はできた」
「そうだ。原始的な電子計算機もないお前らの世界にはわからんだろうが、コンピュータ装備は必須なんだよ」
装備の機械化のレベルが上がったのに不満気な坂本Bだが、怪異だけが敵では無くなった世界では、一定の機械化の進展はしかたないところである。魔法に機械が並ぶ、あるいは凌駕する事はありえるからだ。
「ウィッチ同士の空中戦もありえると?」
「ここじゃありえるが、レアケースになった。四年前の戦闘で向こう側の主力を尽く負傷させたし、開戦時に潜水艦ごとボカチンした連中もいるからな」
「やったのか?」
「うちの部隊しかやれない事だ。人に銃を撃つなんてのはな。ダーティーと見なされて、他はサボタージュしたが、うちはした。侵略者には死あるのみだ」
「……お前、過激だな」
「そっちのあたしと違って、こっちは地獄を見てきたからな。四の五の言っちゃいられねーさ」
圭子がB世界のウィッチたちに『怖い』、『狂ってる』と言われるの理由は『人を撃つことに躊躇いがない』ことである。その圭子を反論させないほどの剣幕で持論を押し通そうとした芳佳Bの頑固さは折り紙付きである。
「お前んとこの芳佳だが、親父さんが好きだったんだな」
「お前、この世界じゃ会ったのか?」
「若い頃に三人で会った事あるのさ。こっちの芳佳に剣を教えたのは、智子だし」
「なにぃーーーー!?」
「こっちじゃ割り切ったが、お前んとこは親父さんの言った言葉をどんな時も押し通そうとする。姉御も関心してたぞ」
「先輩のお手を煩わせたのは詫びるよ。あいつは……こうだって思うと、誰がなんと言っても押し通す。若い頃の私を思い出すよ」
「あの頃は泣き虫だったからなー、お前」
「そこも同じか…。恥ずかしいな」
芳佳Bは扶桑の名だたる先輩達相手に一歩も引かなかった。そこが赤松に評価された理由だが、坂本Bは冷や冷やものであった。自分が新兵の頃には第一線で鳴らした名だたる先輩たちに強い語気で迫る事は『神をも恐れぬ所業』に等しい。年功序列の風習が史実より弱いとは言え、坂本が新兵だった頃の士官達相手に強弁する事は、軍のしきたりを知らない芳佳だからできた事である。ただし、エクスウィッチになっていた『自分達の世界の智子たちへの無礼』は叱りつけ、詫びさせている。
「宮藤さんがまさか、あそこまで強情とは。お手を煩わせて申し訳ありません」
「去年のことがあったから、予測はしていたけれど、予想以上ね。お父様の想いを自分が実現したいというのはわかるのだけど」
「宮藤さんはそちらでは人柄が変わったと聞いたのですが…」
「大人になったのよ、大人に、ね」
「は、はぁ」
真意を掴みかねるミーナBだが、芳佳Aは複数の人物が混じり合った人格であるため、角谷杏の戦略家で老獪なところ、星空みゆきの天真爛漫さ、宮藤芳佳の筋が通った一本気なところを併せ持つ。Bに比べると、『世の中の理不尽さ』を味わってきた経験を持つ為に『大人の腹芸』を身に着けている。Bは正真正銘の15歳なので、良くも悪くも青二才である。これはのぞみもそうで、錦の姉御肌、レントン・サーストンの純情さや彼が持っていた機械いじりの腕やサーフボードの技能が受け継がれ、ZEROとの融合でそれが完全に覚醒し、サーフィン大会荒らしになっている他、MSなどを整備できるようになっている。そこも、彼女らがこの時代に勝ち組でいられた理由である。
――この頃になると、ウィッチになっただけでは軍隊には入れず、本人がある一定の教育水準に達していなければならない。そこがこの時代の農村部からの猛抗議に遭う理由で、この時期には地方への救済措置としてのウィッチの集団就職がなされた。とは言え、全体的な質はピンキリ。ほとんど地方へのポーズに近く、前線の補充要員にはなりえない。義勇兵に頼ってばかりでは面子が立たないのも事実だが、今の時代は軍ウィッチの暗黒時代。教育の変革の混乱、ウィッチを見る目の変化、軍隊に入ることへの忌避感が大きくなり、人員の世代交代が止まり、本来はこの時期には引退して然るべき世代が『新兵扱い』であるあたり、ウィッチ兵科の枠組みは既に有名無実化しつつあった――
――この時代になると、扶桑国民の軍人への忌避感が一気に広まり、一定以上の地位の軍人たちが基地近くに居を構える事も増加していた。これは日本の軍隊への偏見も大きく作用しており、扶桑にある基地の近くに軍人街が形成された理由でもある。これに困った扶桑軍は戦前期からの伝統の多くを捨てざるを得なくなっていき、次第に自衛隊と似通った組織へと変貌してゆくが、戦前の『大日本帝国陸海軍の空気を持っている』状態であったのは、史実第二次世界大戦時の提督や将軍たちが現役であった最後の時代である太平洋戦争までである。既に1949年を迎えた扶桑は一般人が戦争の空気を感じないようにと、関連報道も控えられていた影響で、本土は平和そのもの。そのギャップが堪える者も生じてきている。そのため、1948年からの軍部は質のいい新規志願者の奪い合いをする有様であった。ただし、南洋島が本格的に戦場になった1949年も春を迎えると、軍需産業は徐々に活気づき、企業ごとの役割分担がなされていった。山西航空機は得意の四発飛行艇に再び注力することになり、旧式化した紫電改の生産終了と陣風の減産が決定された。長島航空機は大型航空機の市場を開拓する一方、ドラケンのライセンス生産で『誉エンジン』の不採用通知で被った損害を補填することに成功。宮藤重工業の生産力の躍進もあり、この時代以後は扶桑第二位の航空メーカーに落ち込むが、自動車産業がその後に大成功したため、多角経営という点ではもっとも成功した部類に入った。宮菱重工業は官の支援もあり、ジェット時代では扶桑第一の航空メーカーに躍進する。メーカーは開発費の高額化で、この時期に統廃合が進むが、尾張航空機のみが攻撃機などのメーカーとして生き延びるのである。――
――扶桑海事変後は陸軍ウィッチの空母着艦訓練は形式化し、実戦で着艦できる者は大きく減っていた。そこが事変世代がダイ・アナザー・デイで大量に復職させられた理由であった。海軍航空隊を中心にあった『集団主義』と『精神力信仰』が否定され、失望した中堅層の多くが軍から離れた影響で太平洋戦争開戦時には海軍ウィッチ航空隊は形骸化していた。坂本が海軍航空隊に残留したのは、その再建のためである。坂本自身、同位体の影響で中傷を受けることになった。だが、坂本自身は同位体と違い、源田実へは悪感情を持っておらず、アニメと違い、現役を綺麗サッパリ引退済みである。同位体が嫌った政治に関わり、海軍航空隊再建の音頭を取りつつ、本来は複座機であるF-14の単座型を造らせている点からして、行動原理が異なる。坂本は教官職には就かなかったが、竹井が抜けた分を補うために政治に関わり、海軍航空隊を長い時間をかけて再建していく。それが宮藤一郎技師への恩返しであり、黒江への『償い』であった――
――ダイ・アナザー・デイ以降に相次いだプリキュアの覚醒はひとまず落ち着いた。その最初の覚醒者であったキュアドリーム/夢原のぞみはデザリアム戦役で心を病みかけたものの、周囲の支えとコージの愛で立ち直った。重荷になっていた『プリキュアのリーダー』役を先輩のキュアブルーム(キュアブライト)/日向咲へ譲って気が楽になり、デザリアム戦役でマジンガーZEROと融合した事も関係している。この頃には、かつての想い人の転生である野比コージと入籍済みであるのは言うまでもなく、普段は薬指に結婚指輪をしている。平行世界の自分が拗ねた事は知っており、デザリアム戦役終了直後に後輩達を派遣したり、平行世界の仮面ライダーBLACKに助っ人を頼んだりと忙しかった。また、『夫婦』(コージはサムライトルーパーへ覚醒しており、烈火の鎧を纏う)で最終決戦には加勢し、コージは輝煌帝を使い、のぞみも新形態の『エターニティドリーム』形態を披露している。同一人物とはいえ、お互いの戦闘力に差があるのは仕方ないことで、素体が正規軍人で草薙流古武術の継承者であったのぞみAはBが二年間で培ったものよりも上の次元の強さを持つ。また、ZEROとの融合でGウィッチとして『完成された』ため、偉大な先輩であるブラックとホワイトにも比肩するポテンシャルを手に入れている。(戦闘での安定度は上である)――
「ああ、その節は先輩が誤解を与えちゃったみたいで、ごめんね」
「えりかに怖がられるわ、つぼみちゃんにはドン引きされちゃったんだけど~!」
「先輩、悪ノリするけど、強いことは強いから、どうにかなったっしょ」
「なったけどさ~……」
「こっちはこっちで大変だったんだ。危うく闇堕ちしかけたし、スーパーロボットと存在単位で融合しちゃってさ」
「…へ、融合…?」
「存在自体が単なるプリキュア変身者じゃなくなってねぇ…。たぶん、なぎささんとほのかさんとも対等に戦えるんじゃないかな…」
「な、なにそれ!?」
「こっちは輪廻転生した後だからね。その影響もあって、今じゃ不滅の体と力を手に入れちゃったんだ。世界を滅ぼせるロボット……有名なマジンガーZが歪んだ自我を持った奴を説得してね。こっちにいるつぼみちゃんがそうするように薦めたんだ」
「え、そっちにつぼみちゃんいるの!?」
「うん」
プリキュア5の世界はのぞみ、うららが元いた世界をA世界、かれんとこまちがいた世界をB世界、りんがいた世界をC世界と区別されている。B世界とは連絡網が出来上がり、のぞみは自分自身と会話をしている。Aは入籍も済ませ、軍の将校という公務員、Bはまだ正真正銘の年端も行かぬ少女そのもの。見かけは同じだが、精神的には違うところが多々ある。Aが血気盛んなら、Bは昔日のままだ。
「そっちは仕事もして、ココとも結婚できて、スポーツもできるようになってさ…。ずるいよ」
「ココとまた逢えたのは奇跡だよ。世話になった人の養子になってたからね。転生先での仕事をそのまましてるだけだし、スポーツは息抜きだよ、本当」
「お互いに部活追い出され女王だったのに、差つきすぎだってぇ~~!」
Bが涙声になる。だが、Aとて、今の強さは現役でなくなった後だからこそ到達できた高みである。加えて、錦の魔力も引き継いでいるために、みらいやリコのように魔法も使える。
「魔法も使えるからね、あたし」
「えぇぇ~~!?みらいちゃんとリコちゃんみたいな!?」
「うん」
「ずるいよ~~!」
「仕方ないじゃん、こっちはウィッチとして転生してたんだし」
「うぅ…。そうだ、くるみがメッチャクチャに愚痴ってたよ。あなたの先輩が連れてきたエースやスカーレット、ビートたちに見せ場取られたとか」
「やっぱそうなるかぁ。あたしも見せ場取ったから、もしかして…、そっちのくるみは…。」
「ミルキィローズとしての見せ場がなかったんだ、殆ど。スカーレットやエース、フェリーチェが加勢しちゃった上、仮面ライダーBLACKさんがねぇ」
「あの人、本気で強いよ。こっちの南光太郎さんはパワーアップしてるけど、何万の敵も物ともしない」
「BLACKの時点でエターナルの上級幹部を一方的にボコボコにできるのに?」
「うん。BLACKの比じゃない力を持ってる」
「あ、みんなが聞き耳立ててるみたい。」
「ああ、スピーカーに切り替えて。みんなと話すから」
B世界には、太平洋戦争への二人の出征時に分身ハンマーで作った分身がいる。その二人はそれぞれの家の都合で、この日はナッツハウスに不在だったため、いるのはのぞみ、りん、うらら、くるみとその世界のココとナッツである。
「あなたが噂に聞く『別の世界ののぞみさんですね?」
「やっほー。りんちゃんは?」
「いるわよー。スカーレットやフェリーチェから聞いたわよ、結婚したんでしょ?言ってくれれば、祝いの花を持たせたのに」
「結婚したの、戦争の後になったんだ。それにさ、こっちにもりんちゃんがいるから、ややこしいかなーって」
「実家の店の名義があるじゃない。ま、いいわ。結婚おめでとう。まさか、ココが地球人に生まれ変わって、しかも戦士してるなんて。しかも、あたしと同じ炎属性。……アイデンティティの危機感じるわ…」
「こっちも似たようなこと言ってるよ、りんちゃん」
「仮面ライダーBLACKさんが加勢した時はなんだと思ったけれど、まさかねぇ。それに、あんた。キャプテンハーロックやクイーンエメラルダスとどうやって知り合いになったのよ。あんな大海賊を……」
「元は世話になった人の友達でさ。そのツテをはーちゃんが頼ったわけ」
「あんたが世話になった人、どんな人よ」
「うーん。子供の頃に日本で一番に有名な猫型ロボットと一緒にいた人」
「なぁ!?」
りんBが固まる。日本で一番に有名な猫型ロボットといえば…。
「のぞみ、貴方……そっちじゃどういう……」
「その声はくるみだね?」
「色々と言いたいことあるんだから!後輩達に見せ場取られるわ…、あなたが強過ぎて、おいしい登場が台無しよ……」
「ごめんごめん。今はもっと強くなってるからさー…」
「何よそれーーー!!」
くるみはB世界では見せ場を尽く後輩達に取られるわ、異世界からやってきた仮面ライダーBLACKが強すぎたため、自分の存在が霞んでしまったと不満気である。
「色々あってねー。こっちだとガンダムパイロットになったし。くるみだって、こっちじゃ歴女に…」
「え!?」
「こっちじゃ、地球人に生まれ変わっててね。普通に女子高生してたよ」
「いったいどうなってるのよーーー!?」
A世界にいるプリキュア5は転生者とB世界の二人とで再結成された経緯を持つ。うらら、くるみは戦車道世界でまだ学生をしているが、のぞみ、りんは正規軍人となっている。
「あたしだって色々あったんだからね。結婚するわ、人を超えた存在になるわ…」
「ち、ちょっと待ちなさいよ、結婚はわかったけれど、人を超えた存在って!?」
「説明がややこしいんだよ、そこは。そっちのあたしに説明したとこだけどね」
出撃前の一コマ。のぞみAはこの時には、プリキュアとロボットガールズの間の子とも言える存在となっており、マジンガーとゲッターロボの力が中心であるが、プリキュアの姿で行使が可能となっている。戦闘力は以前の比ではなくなり、ニューステージ戦では『プリキュアの皮を被ったナニカ』と評された。Bが拗ねたのも、黒江やのぞみAの戦闘力が自分の比ではない事などが原因である。そこを思い、苦笑するのぞみAであった。
――グレートマジンカイザー。本来は剣鉄也の搭乗を前提に用意された機体であった。オリジナルのグレートマジンガーを進化させた機体だが、ヒューマノイドロボットタイプに生まれ変わったミネルバXに『GカイザーはZEROに敗れる』と警告され、実際にその映像を見させられた事で、Gカイザーは数回の運用だけで予備機扱いにされ、新規でマジンエンペラーGが建造された。炎ジュンはミネルバXの鶴の一声でベンチウォーマーにされたGカイザーを不憫に思い、結婚後に鉄也へ改装案を提案。デザリアム戦役後に採用されたが、マジンエンペラーの存在から、Gカイザーの改装は疑問視されていた。その価値の証明のため、64Fに貸与されたわけだ。本来は鉄也の搭乗を前提に調整されていたが、鉄也が乗らなくなったため、鉄也以外でも乗れるように操縦性に改良を加えなければならない。その費用は高額になるため、Gカイザーは日陰者扱いにされたのだが、オリジナルのグレートマジンガーと同一の存在である事から、炎ジュンの提案は『鉄也と同等にG耐性が強い者をパイロットにすればいい』という趣旨のものでもあるが、並外れたGへの耐性を持っていた剣鉄也と同等の耐性がある者は地球圏全体でもそうはいないため、Gカイザーの改修には反対論は強かった。そこで起死回生で、甲児や鉄也が可愛がっているのを知っており、自身がウィッチ世界で最高のエースの一人である黒江にジュンは個人的にテストを依頼。黒江が引き受けた事で具体化した。(ミネルバXは自身からすれば、兄弟にあたるはずのグレートマジンガーについて、『Zの活躍の場を奪った』とし、存在そのものにあまりいい感情は抱いておらず、兜剣造が造ったグレート系のマジンガーには冷ややかであった。そこをあからさまに見せたため、炎ジュンから強く反感を持たれた。グレートもZも同じ血を分けた『兄弟』であることには変わりないからだ)――
「先輩、Gカイザーをどうして受け取ったんです?」
「実は三週間くらい前に、ジュンさんから個人的に頼まれたんだよ。Gカイザーをなんとかしてあげたいって。それでこいつに俺が乗れるってんで、科学要塞研究所が送ってきた。維持費も高額だってんで、連邦政府の一部から攻撃されててな。下手にロボット博物館に置いてると、いつぞやみたいに敵に奪われたりするから、俺達に貸与されたんだ」
黒田に説明する黒江。炎ジュンに懇願されたので、ゲッター乗りだとして断るわけにもいかなかったのも事実だ。
「俺、スーパー系はゲッターに乗ってきたから、マジンガーは初めてなんだけど、ジュンさんの頼みじゃ断れねぇしな」
黒江は黒田と話しつつ、マジンガー系の操縦マニュアルを読みふけっていた。一夜漬けであるが、黒江は元々、テストパイロットの経歴を持つために選ばれたのだ。
「一夜漬けどころか、数時間で覚えるなんて無茶ですよ」
「やるっちゃないだろ。ゲッター乗れてるんだ、マジンガーに乗れない道理はねぇさ」
「がんばってください」
「おう」
機体特性が根本的に異なるマジンガーとゲッター。黒江とて、一目でわかるはずはない。だが、ジュンが送ってきた操縦マニュアルのおかげで、幾分かは楽になっていた。出撃前、黒江はマジンガーの操縦マニュアルと格闘するのだった。
――日本連邦内で問題になっていたのは、自由リベリオンの人間の取り扱いであった。市井に極秘事項であったはずの『扶桑がリベリオンへの敗戦後、軍を解体させられた直後に怪異に蹂躙されて国家が滅んでしまい、日本列島が放棄された。リベリオンはその責任を負わされ、生き残った扶桑人を未来永劫、自国民として養う羽目になった世界』がある事が漏れた事で在留リベリオン人が扶桑人から虐げられる事が増えてしまい、自由リベリオンは緊急声明を出す羽目に陥った。自由リベリオンが冷戦期まで常に矢面に立たされていた理由も扶桑人からの信頼を得るための行動であった。新島群がドラえもんによって作られたのは、扶桑との精神的な一体化を恐れる者が樹立時の高官層に多かった事、数十万のリベリオン人がいきなり混ざることでの治安の悪化を恐れた政治家と官僚たちの妥協の結果だった。当時は1946年に大量にオラーシャ人が亡命してきたため、その扱いにさえ難儀していた頃でもある。南洋新島群はリベリオン人を穏便に受け入れるために用意された場所であった。冷戦が終わった後に永住権を餌に、ハワイの日本連邦の領有が認められたのはその経緯が理由である。日本連邦は1946年から次第に人口が拡大していったが、それは大量の亡命者と義勇兵のおかげでもある。日本の左派も、自分達が極東ロシア地域の統治をせざるを得ない状況に陥ったため、扶桑に外地放棄を迫ることができなくなった代わりに、亡命者と住民との対立を煽るという卑怯な手を使ったのも彼等の常套手段であった。この時の左派への不信が間接的に未来世界でのガトランティス戦役での左派政権の崩壊の要因となった。(他の要因として、ズォーダー大帝への徹底抗戦宣言がある)1949年になると、ようやく扶桑の世情も安定しだし、亡命者や義勇兵の扱いも決まり始めた。リベリオンは扶桑人の信頼を得るための血の献身を太平洋戦争以降は行っていく。その献身がリベリオンの精神的分断を決定づけ、冷戦後の時代にリベリオン本土のミリシャ掃討が後世への『宿題』として残されることになった――
――そして、64Fの出撃準備と時を同じくして、奉天市のリベリオン軍の前線司令部へ制空権確保のための戦闘が指令され、64Fの先手を打つ形で空で戦闘が開始される。その間の時間を守ったのが50Fであり、50Fは64Fの護衛部隊の側面を持ち始めるのだった――
――50F司令部
「偉大な皇(おう)の準備が整うまでの時間稼ぎか……ダイ・アナザー・デイ以来、そういう仕事にもなれたよ」
「例によって、64Fのお守りですか」
「仕方あるまい。ダイ・アナザー・デイ以降、64は花形だ。我々は言われた仕事をこなすのみだ」
当時の50Fの司令である河本幸子少佐は自部隊が64Fの露払い扱いで見られていることを受け入れていた。機材の面では64Fに次ぐモノが与えられていたからだ。
「我々にもジェット戦闘機を与えてくれれば…」
「我々は戦闘機の操縦訓練は積んでおらんからな。贅沢は言っておられん。出撃!目的は時間稼ぎだ!」
50FがF-86ストライカーで出撃していく。50Fに与えられた役目は殆ど、64Fの露払いのようなものだが、グレートマジンカイザーの整備が終わる数時間の間、制空権を守ることが彼女らの役目であった。ダイ・アナザー・デイを戦い抜いた部隊ほど優遇される傾向があるこの時代、50Fは紛れもなく、優秀部隊と言えた。