ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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ダイ・アナザー・デイ中の出来事です。


第百二十八話「小日向未来の決意」

――扶桑の華族は日本主導で『1945年度に生存している者が存命の時に限り、華族の地位を認めるが、以後の世襲はさせない』という自然消滅案が真剣に検討されたが、そうすると、ウィッチになる人間の絶対数が絶望的になるという軍部の懸念が大きかったのと、皇室廃止論が起こることが怖れられたため、結局は名誉階級化の促進で妥協された。その一方で、先細りが懸念された日本の皇室に扶桑の皇室から養子を迎えるという選択が採択された。旧宮家の復帰が心情的に許されないため、現在進行形で皇室の一員である『扶桑の宮家』から養子を迎えるというのは、双方に旨味がある選択だった。日本の野党もこれにはケチがつけられなかった。日本では皇籍離脱していても、扶桑では現在進行形で宮家であり、中には大正期に断絶しているはずの有栖川宮系の宮家の男子もいたのだ。扶桑では宮家の出身であろうと、軍人として働いていた者も大勢いるため、いきなり離職させるわけにもいかず、日本はこの懸案に困惑していた。結局、新憲法施行後に皇室軍人の皇室の人間としての権限の行使は基本的に停止されるが、国家緊急権の行使権のみは反乱が頻発する扶桑の事情を鑑み、例外的に唯一、認められた。また、華族廃止議論に扶桑華族たちは戦々恐々であり、その発端となった黒田家を白眼視した。そのために軍人であり、戦功で知られる邦佳が次期当主に抜擢された。これは息女を嫡男が役立たずと扱った事が露呈し、爵位剥奪が危ぶまれたためで、邦佳は実の両親の思いとは裏腹に黒田本家を継ぎ、侯爵位を継いだ。ダイ・アナザー・デイ中のことである。そんな騒動も扶桑社会の変革の過程で起こった。同時に、ノーブルウィッチーズの編成が正式に『なかった』扱いにされたのもこの時期だ――

 

 

 

――ガリア共和国の影響力低下はペリーヌ以外のウィッチが殆ど活躍もしていないこと、軍隊が有名無実化したことで顕著になった。ノーブルウィッチーズの編成がなかった扱いにされたのは、民主共和制を選んだはずのガリアが王制以前の時代の権威に頼ったという事が批判されたからで、政治判断でノーブルウィッチーズの存在は公式記録から抹消された。ただし、そのために集められた人員は501の増員と扱われ、公式記録上は『501への増援』とされた。この処理に時間を要したため、実質的に地滑り的に戦闘要員と扱われたのは数人のみ。数人がサボタージュした事もあり、すぐに戦闘要員となったのは、ハインリーケ(現在はアルトリア・ペンドラゴンへ覚醒)、黒田、ジーナ・プレディの三人のみ。政治的にガリアは面子丸潰れ、ド・ゴールの顔にも泥を塗った事になる――

 

 

 

 

――シャルル・ド・ゴールは506のウィッチの前では好人物を装っていたが、実像は偏執的な愛国主義者でしかなく、実像を知る黒田には嫌われていた。ロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネを懲罰的に司令部へ転属させたため、ペリーヌはその強権的振る舞いを批判し、アストルフォやジャンヌ・ダルクにも公然と『高慢な男』と揶揄されてしまった。この時のヒステリックな決定で、ド・ゴールは黒田から決定的に嫌われるわ、自国の英霊達にも酷評されてしまうなどの屈辱を味わった。皮肉にも、後世に残る名演説の数々はこの時期に生み出されたので、彼のしぶとさの象徴であった。ノーブルウィッチーズ出身者からサボタージュの加担者を出したことに彼は怒り狂い、懲罰としてロザリーに責任を取らせたが、現場の反発を食らい、ガリアは連合軍内での地位を却って損ねてしまった。これは501の運用へ意見を述べる権利すら失ったブリタニアも同様で、大戦初期段階での人員の露骨な調整と引き抜き、ウォーロック事件の咎を受ける形で、イギリスの主導で501運営権をカールスラントへ譲渡した。しかし、今度はカールスラントが咎を受け、権利を放棄。最終的に残った大国である扶桑が一切の権利を得て、64Fと一体化して運用されている。扶桑が連合軍の主導権を握る過程では、こうした他国の失態が重なったのである――

 

 

 

 

 

――結局、サボタージュが収まったのは、地上空母という目に見えてわかりやすい脅威の出現によるものであった。また、ウィッチ達がサボタージュをやめる頃には『F-84F』、『B-36』と言った新鋭機が出現し、陸でも『M26パーシング』、『M36ジャクソン』などの新兵器が登場し、既存のウィッチ用機材との基礎性能差が開いており、空中では接敵以前の問題になり、陸では熟練兵でなければ、戦闘にもならない有様となった。そんな苦しい戦況に置かれた中、孤軍奮闘する64Fは外聞をかなぐり捨て、未来兵器の使用を公然化した。B-36の邀撃にドラケン戦闘機やF-8E、F-20を使用しだしたのもこの頃だ。B-36はダイ・アナザー・デイ当時には最高性能の戦略爆撃機の一つであり、既存のストライカーユニットでは接敵すら不可能であると判定される中、64Fは悠々と未来兵器で邀撃が可能であった――

 

 

「敵は高度12000。上昇るわよ」

 

「待ってくれよ、少佐。あんた、どこで戦闘機の操縦なんて」

 

うろたえるエイラ。ローテーションで要撃班になったが、ストライカーユニットでは上がれない高度なため、シャーリーの乗るF-4Eの後部座席に座らされている。この時の指揮官はキュアビート/黒川エレン。乗機はF-8である。

 

「元々、民間軍事会社でおまんま食ってたけど、未来世界でゴタゴタがあって、それで正規軍人に転じたのよ。だから、元から扱えるってわけ」

 

「あんたらはウィッチ以外の力で戦ってんのに、なんでウィッチ扱いなんだよ?」

 

「そうしないと、この世界の人間たちが納得しなくて」

 

キュアビートは苦笑交じりに教える。異能はウィッチ扱いでなければならないという、この世界特有の事情によるものだと。また、ウィッチがプリキュアに覚醒めた例も多いため、一律で『Gウィッチ』扱いになったのだと。

 

「つか、大丈夫なのかよ、こんなすげえの使って。時代超えてるぜ」

 

「お前なぁ。IS使ってるくせに、そりゃないぜ。一応、通常兵器の範疇だぜ?」

 

「でもよ、シャーリー。なんでそんな姿なんだよ!」

 

「変身してりゃ、マシンマキシマムを引き出せるかんな。後世の耐Gスーツ使うと、ハルトマンの妹が拗ねやがるし」

 

「ああ、あの『お硬い』メガネの妹か」

 

ウルスラは後世の技術を先取りして用いる姿勢には異を唱えており、姉にも呆れられる始末であったが、この時期になると、智子が自衛隊へ出向させていた。そのために未来兵器の使用が解禁され、こうした光景が実現した。カールスラントがシュワルベの部隊配備の途上であった時期であるはずだったが、前線では早くも戦後第三世代機が出現しており、カールスラントを大いに涙させた。カールスラントが開発中、あるいは構想していた兵器の完成型、あるいは発展型を普通に用いている。この時代には一撃離脱戦法が前提とされたはずのジェット機で格闘戦を普通に行うこと自体がカールスラント空軍が模索していたジェット機の運用法を根底から覆す事なのだ。また、ミサイルも万能では無いことが示されたため、自主開発をしていた国の多くは日本連邦の仲介で完成品を買う形で済ますようになり、カールスラント自身も例外ではなかった。しかし、そのウィッチ装備化プロジェクトは続けられ、自由リベリオンが数年後に完成させる。それが魔導誘導弾であり、64Fが与えたサンプルをもとにリバースエンジニアリングで開発を行ったのである。

 

「今はこれで事足りるけど、将来はF-15系やトムキャットも使わんとならんだろうなぁ」

 

「第五世代機は使わないわよ」

 

「あれは非対称戦争に特化されすぎてる。大戦型の乱戦には向かねぇよ。この間もあったって聞いたぞ。米軍のF35を誤射して、穴ぼこだらけにしちまったバカが出たの」

 

第五世代機は兵器搭載量が減少している事や、低視認性や怪異との外見の類似性もあり、ダイ・アナザー・デイの戦場では好まれておらず、その前世代機までが好まれた。米軍はF-15Eを戦闘爆撃機の主力として用い、敵軍の侵攻阻止に大いに貢献していたが、同時に、21世紀の時点での新鋭機であった『F-22とF-35』の実戦テストとしても、ダイ・アナザー・デイの戦場を用いた。そこで続出したのが、ウィッチがステルス機を怪異と誤認し、持っている機銃で穴ぼこだらけにしてしまう事例であり、修理費が嵩むため、米軍から連合軍へ厳重抗議がなされる事態に発展した。連合軍は敵味方識別装置のストライカーユニットへの装備を急ぎ、ステルス機の存在の周知を徹底したが、現場から『紛らわしいものを持ち込まないでくれ!!』というトンチンカンな要請が出る始末。それに窮した米軍は第四世代以前の機体を使い潰す覚悟で増派。F-15、F-16、F/A-18系統の三羽烏が急速に増勢され、ダイ・アナザー・デイの空軍勢力の近代化を推し進めた。戦闘機のデザインの観点からは、如何にもわかりやすいデザインだったのも功を奏した。そして、ステルス機にも識別塗装が特別になされていくきっかけになった。

 

「あれなー。米軍が抗議したけど、バカどもが『そんな紛らわしいの持ってくんな』ってヒスってさー。問題になってんだ。だから、ユニットに敵味方識別装置を組み込んで、存在の周知の徹底が図られる事になった。」

 

「面倒な時代になったよなー」

 

「今は人類同士で戦争するご時世だ。敵味方で似たようなの使ってるケースも増えるから、必須アイテムだ。それと、ステルス機の特徴覚えておかねぇと、営倉入り食らうぞ?」

 

「マジカヨ……」

 

「凹んでる場合か。レーダーに反応は?」

 

「あ、あったぞ!一時の方向だ」

 

「いた!あれだ!」

 

一同から見て一時の方向に飛行中のB-36と護衛機の編隊が見えた。当時の最新機種で護衛機も固められており、できたてホヤホヤの新型機という雰囲気が素人目にも分かるもので、当時のレシプロ機を寄せ付けない高度を飛行している。

 

「すげえ。あんなの飛ばせられんのか……」

 

「逆にプロペラの推進力不足で、ジェットエンジンを追加した代物だ。史実だとすぐに純ジェット爆撃機に取って代わられてるマンモスだよ」

 

B-36は富嶽を上回る搭載量を持つが、運動性や空力性能では下回る。そこが史実での難点だが、この世界では当面は現役であるだろうと推測される巨人機だ。エイラはその巨大さに圧倒される。

 

「B29が小型機に見える代物だからな。防御武装は初期型のままだな。よし、攻撃開始!」

 

キュアビートの号令一下、一同はミサイルではなく、機銃で挨拶代わりの一撃離脱を行う。コンバットボックス編隊すら確立されたばかりなリベリオン本国軍はせっかくの新型機の性能を活かせず、編隊の最後尾の機体がM24/20ミリ機関砲を撃ちまくるが、いくら当時最先端の射撃管制装置と言っても、時速900キロ台までの敵機を想定したものだったため、超音速機相手には弾幕を張る以外の効果は見込めなかった。また、機銃が対応できないミサイル攻撃で出鼻を挫かれ、編隊は爆撃機を集中的に狙われ、バラバラされてしまう。

 

「ノォォ!!敵の新型ジェット機だ!!」

 

無線を傍受すると、敵爆撃機間の悲痛な無線会話が聞こえてきた。12000mまで余裕で上がれる敵戦闘機の存在が完全に想定外だったようだ。

 

「史実で自分達が作るはずとも知らずに。さて、ミサイルをブッパするぞ!小型機に使え。大型機に使うと、無駄遣いになる公算が大きいからだ!」

 

シャーリーは敵機へ自機のミサイルを放つ。目標はF-84Fだ。この当時、ミサイル対策を味方はしていても、敵はしていない。そこが味方の圧倒的キルレートの理由の一つである。F-4Eは空対空任務では10発以上のミサイルを積んでいるため、小型機の掃討向けではある。当時の第一世代機と第三世代に相当する機体とでは、加速性能などに差があるため、シャーリーは大して空戦機動しなくとも、敵が照準に入ってくる。また、当時としては魔法とも言える誘導弾に粉砕される敵機が続出し、拍子抜けである。

 

「やれやれ。この時期の旧型じゃ拍子抜けしちまう。ミサイルの発射ボタンを押すだけのルーチンワークだぜ」

 

シャーリーはこの軽口だが、F-4Eはセンチュリーシリーズよりは機動力があるため、一応はドッグファイトに一定の対処はできる。この時代の戦闘機より随分と大柄の機体だが、機動力は見かけによらず高いからだ。

 

「でもよ、胴体にエンジン入れただけで、こんなに運動性違うのかよ」

 

「ポッド式は爆撃機や輸送機、旅客機にしか使われなくなるんだ。戦闘機は胴体内蔵式で統一される。こいつはズブい機種に入るが、それでも、ミサイル運搬機化してた世代よりはマシだ。こいつもミサイル運搬機として造られたが、なんとか格闘戦に適応させようとした型だ。だから、ある程度は対処できる」

 

シャーリーはF-4Eにはあまり乗らなかったが、複座機であるため、ジェット機の事を教えるのに丁度いいため、ジェット機への搭乗技能が無い者を乗せるのに使っていた。扶桑の航空兵には不評だが、同機は太平洋戦争の中期には普及し、その次の世代までの繋ぎの役目を果たす事になる。ちなみに、シャーリーがキュアメロディとして敵の捕虜になってしまったのは、この戦闘の数日後のことである。数日で落差が激しいが、現実は厳しいのである。

 

 

 

 

 

 

――さて、黒江がシンフォギア世界で交流を持った小日向未来。なし崩し的に巻き込まれたため、説明の暇がなかった。これが後に響との間で一悶着を起こしてしまう原因であり、同時に響を正面から諌められる唯一の存在として脚光を浴びることとなる。史実でも彼女は響への愛が重すぎて、シンフォギア装者に一時的になったり、神の依代になってしまうため、響と揉めるのは一種の歴史の帳尻合わせのようなものだった。A世界でも、結局はシンフォギア装者になってしまうが、黒江の介入でギアが失われなかったため、ダイ・アナザー・デイ時点では正式に装者になっていた。彼女のギアは対シンフォギア機能に特化したシンフォギア『神獣鏡』。技能は未熟だが、意外とポテンシャルを秘めている。聖遺物の力を分解するとされるが、その真物と言える宝具の力には効力はない。そんな彼女、調の一件を解決するために仲介に動き、のび太、ドラえもんとは調の件で連絡を取り合うようになっており、療養中の響の前に姿を見せた。本人の強い要望によるもので、この時にプリキュア達と面識を持ったのである――

 

――療養中の響が使用している病室――

 

「え、み、未来!?どうしてここに!?」

 

「のび太さんたちに頼んだの。響の事は私が一番よく分かってるから」

 

「私が彼女をここに連れてきた。まさか、このような形でお前に再会するとはな」

 

「その声は……サンジェルマンさん!?で、でも、私の世界じゃ……?」

 

「確かに、私はお前の世界では出会う事はなかった。だが、月詠調が並行世界のお前達と出会う事がきっかけで、私にも、お前達と出会った記憶が宿った。もっとも、今は私自身、プリキュアに転生しているが…」

 

小日向未来を連れてきたのは、キュアダイヤモンド/菱川六花である。彼女はシンフォギア世界の錬金術師『サンジェルマン』の転生体でもあったのだ。キュアダイヤモンドの姿ではあるが、声色はサンジェルマンのものである。響に事情を説明するためだろう。

 

「と、言うわけ。事情が事情だから、訓練からそのまま連れてきてもらったの」

 

「まさか、未来……」

 

「私にも力にならせて。いつも、響を見送るだけだったもの。それに……」

 

「お前は月詠調と揉め事を起こした事を気に病んでいたな。話は聞かせてもらった。お前が善意で言ったのは分かるが、相手の地雷を踏む癖は直せ。そうでなければ、相手に反発されるのがオチだ。別の世界の私や月詠調のように」

 

「何でだろうって思うんです。お父さんとのこともそうだったけど、自分のした事が裏目に出ちゃうんです。調ちゃんが飛ばされる前の時も……」

 

「お前は誰かのためになることをするか、誰かを笑顔にする事が行動原理だ。……優しさでは人を救えなかった事例は枚挙に暇がないが、天羽奏がお前を生かした事は成功と言えるのではないか?そして、別の世界では私達に死に場所を与えてくれたではないか」

 

「でも、私達はサンジェルマンさん達を……」

 

「あれで良かったのだ。全て…な。だが、神は私に償いの機会を与えてくださったようだ。キュアダイヤモンドとしてな」

 

サンジェルマンとしての記憶が宿ったのと、響の前であるので、サンジェルマンとして振る舞うキュアダイヤモンド。後に、響自身もキュアグレースへ覚醒する事を考えると、双方が成し得なかった『本当の意味での和解』をプリキュアになることで成し得た事になる。

 

「サンジェルマンさん!!!!なんで、プリキュアになったんですか!?急すぎて心の、心の準備が~!」

 

「……普通に転生したのだ。転生した以上、どこで何をしていても不思議ではなかろう?」

 

微笑うキュアダイヤモンド。

 

「私も調ちゃんの事は黙ってたし、非があるのは事実だよ。だけど、あの時の響、頭に血が上ってたでしょう?」

 

重大な告白をする未来。バツが悪そうだが、しかたないことだ。

 

「え!?そ、それじゃ未来……調ちゃんがいなくなった理由を知ってたの!?」

 

「ごめんなさい。実は私が手引きしたんだ。響に知られたら、全力で止めるのは目に見えてたから、夜遅くに、ね」

 

「う、嘘ぉ~~……ひ、ひどいよ~!」

 

落ち込む響だが、調との一件の時は言い合いになって、自分が頭に血が上ってしまったのは事実ではあるし、黒江が了承してくれたとは言え、一年も演技を無理強いしたことへの負い目がないわけではない。

 

「とは言え、この件は誰かどうか、非がある。黒江綾香には月詠調という人物への認識を固定させた責任があるし、暁切歌には混乱を余計にややこしくした責任がある。お前には月詠調の現況を顧みず、以前の暮らしに戻れと無責任に言ってしまった事、彼女にいづらさを余計に与えてしまった責任があるし、小日向未来には出奔の手引きをした事への責任がある。要するに、我々はお互いにボタンをかけ違えてしまったのだ」

 

キュアダイヤモンドはそうまとめた。この件は些細な行き違いと勘違い、その場のお互いの感情が絡み合い、複雑化してしまったと。その責任を取るために、未来は無理を言って来たという。

 

「責任って……未来」

 

「私の選択がこんな事を招いたのも事実だもの。その責任を取らせて。Rei shen shou jing rei zizz……」

 

未来は頷くと、この件の長期化を招いたことへの責任のとり方と言わんばかりに、A世界では失われなかった神獣鏡のギアを展開する。心象の変化と適合率の違いか、他世界と違い、通常形態でもバイザーが無く、色合いが鮮やかになっているという違いがある。

 

「え、神獣鏡……持ってたの?」

 

「うん。実は綾香さんが復元してたの。それでS.O.N.Gが預かってて、今回のことで正式に受け取ったんだ。それと、今の私には、ギアの展開時間の制限ないんだ」

 

「えーーー!?」

 

未来は黒江と関わったことで、小宇宙に目覚めていた。その関係でギアの使用制限が無くなったのである。史実では自らの意思で纏うのは、神獣鏡のファウストローブであるが、A世界では神獣鏡のシンフォギアであった。

 

「いつも守られてばかりだったし、ある平行世界だと、アナンヌキの依代になっちゃって、みんなに迷惑をかけた。だから、こういう選択を選んでいいと思うの」

 

「未来……」

 

「戦うのを選ぶのは、この子の自由意志だよ」

 

「ドリーム、来ていたのか」

 

「のび太くんに続いて、調ちゃんを諌めてきたところだよ」

 

ドリームも姿を見せた。響は自分の陽だまりであり、日常の象徴である未来が戦う事を選んでほしくないという本心を滲ませ、悲しげな表情を見せたが、未来自身の願いである事と、キュアドリームにもそう言われたので、それ以上はできなくなった。

 

「確かに貴方が戦うことは当然って思うよね?だけど、その後姿を見送るだけって事も辛いことなんだよ。貴方と同じ力を持てて、同じ土俵に立てる。守られるだけじゃ嫌なのは、誰だって思う事だよ。貴方の友達はそれを選んだんだよ。」

 

「わかります。怖いんです。未来を失ったら、私はたぶん……。正気を保てない。だから、だからこそ、本当は戦ってほしくない。だけど、未来がそれを選んだのなら……。総司さんやあなた達を見て……考えたんです。誰かが自分を愛していてくれれば……誰かが自分を求めていてくれるなら……貫きたい気持ちがあれば、それは誰かが何かのために戦う理由になるって」

 

「響、ありがとう。私を想っていてくれて。……決めたの。私を助けてくれて、私達の世界に平穏をもたらしてくれた人達を今度が自分が助けたいって。だから、今度は私に響の背中を守らせて」

 

「未来……」

 

 

響は今や、自分の別人格として独立した沖田総司や、スーパーヒロインである歴代のプリキュア達の姿を見ることで、他者の『誇り』や『愛が心にあれば、それが戦う理由になる』という真理を理解した。本心は小日向未来には戦ってほしくないが、未来の選択を尊重すると明言した。ドリームの言葉へのその返事に淀みはなかった。

 

「立花響には療養がまだ必要だ。折を見て…というところだ。ドリーム、この子の訓練だが…。」

 

「あたし達で引き受けるよ。先輩が残していったトレーニングメニューをこなしてたみたいだしね」

 

「よろしくおねがいします」

 

「お、お手柔らかにお願いしますよ~!」

 

「お前が心配してどうする?」

 

ツッコむキュアダイヤモンド。

 

「先輩への報告はあたしがするよ」

 

「頼む」

 

ドリームは小日向未来を自分達が鍛えると告げる。神獣鏡のギアを纏い、黒江達の予想や意向を覆す形だが、キュアダイヤモンドに頼み、遂に自らの意思でウィッチ世界へ来た小日向未来。その報告に黒江が腰を抜かしたのは言うまでもない。このわずか数日後にドリームは南斗鳳凰拳に敗れ、捕虜となってしまう。この数日で戦況は大きく動き始めるのである。地上空母という超兵器の存在で。

 

 

 

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