ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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本編補完です。


太平洋戦争~1949年への移行~
第百三十三話「64戦隊復活の裏話2となのはの秘密とは」


――ウィッチ世界で黒江がいなくなった期間は実はそれほど長くはない。だが、その間に起こった出来事は劇的で、ミーナの大失態は後世の語り草になるほどであった。カールスラント連合帝国樹立後初の失態となってしまったため、そこも後世で悪く言われる理由となった。本人の言い分があるとすれば、本当に知らず、ウォーロック事件などで司令部に不信があったところだろうか。圭子は坂本の了承を得て、『本気』を初めて見せることになった――

 

「ねぇ、シャーリー。あの分だと……」

 

「マジかよ……去年(この時点では、1944年を指す)か一昨年くらいの『あの出来事』を知らねーのか」

 

「うん……」

 

「今日はシャインスパークを撃つぞー」

 

「おいおい、ミーナ隊長の心臓止める気か?」

 

「あれくらいでかいの撃たねーと、あたしが未だに現役張ってる理由の説明にならねーだろ」

 

当時はシャーリーのプリキュア能力は目覚めていないが、その記憶は蘇りつつある頃である。後々の粗野さが垣間見える口調ではないので、まだ口調はマシであった。もっとも、この時点では、圭子しかシャインスパークは撃てないが。

 

「おい、智子と竹井から緊急連絡だ。中島の奴がプリキュアの過去生持ちだとよ」

 

「お、おい。もしかして」

 

「夢原のぞみを名乗ってるそうだ」

 

「あいつが一番手かよぉ!?」

 

腰を抜かすシャーリー。既に記憶はあるためだ。

 

「ん、知り合い?」

 

「昔のダチだ……。参ったな…。あのアホ野郎が一番手なんて。同世代だったから、よく知ってるけどさ」

 

「そうなると、お前の能力も直に解放されるだろう。だが、今日はあたしに任せろ。度肝抜いてやるぜ」

 

「アンタの本気見たら、隊長は腰抜かすよ」

 

「さて、先に行ってるぜ」

 

圭子はゲッターの使者になっているため、しているマフラーがゲッターウイング化し、ストライカー無しで飛行が可能である。そのため、ウィッチ能力こそ維持はしているが、戦闘で使用する事は減っている。

 

「あれ、どう説明すんの?」

 

「今はゲッターの使者が本業だしな、あの人…」

 

苦笑する二人もストライカーで続く。この時期はダイ・アナザー・デイ前であるため、相手はまだ怪異だ。統合本格化前における最後の出撃となったこの日だが、圭子の独壇場と言えた。

 

 

 

 

――戦場――

 

「食らいやがれぇええ!」

 

圭子は咆哮しつつ、ゲッターマシンガンを乱射する。怪異が忌み嫌う『ゲッター線』を仕込まれた弾頭に魔力が加わったため、怪異は大きさや数の関係なしに叩き落とされていく。なお、アフリカ戦線では、刀、斧、槍、鎌、ナイフと刃物全般を扱うからか、同地の一般兵からは「ブレードダンサー」とも呼ばれ、一時的に赴任していた黒田とともに恐れられていたりする、

 

「ストライカー無しで飛んでいる…。それにどうして、怪異を薄紙のように……」

 

「あのマシンガンの弾には、ゲッター線が仕込まれてるのさ。アンタも去年に見たろう?あのエネルギーだ」

 

「それじゃ、大佐は未来世界の武器を!?」

 

「そういうこと。あの人はそれが許される立場なんだよ。扶桑最高の撃墜王の一人なんだからな」

 

「ケイはハンナの上官だよ?その時点で察するべきだったね」

 

ハルトマンもこの言いようだ。ミーナはここでようやく、圭子が扶桑最高の撃墜王の一人である事を示唆されたわけだ。カールスラントが世界最強とされていた時期には『七勇士』は遠い昔のおとぎ話も同然に扱われていたわけだが、その一人である圭子の実力はミーナの予想を遥かに超えていた。

 

『ダブルトマホォォク!!ブゥゥゥメラン!!』

 

圭子お得意のダブルトマホークブーメランである。ミーナは度肝を抜かれる。両刃のポールアックスと思われるものをブーメランのようにぶん投げ、怪異を切り裂いていくのだから。『安っぽいロックンロールは踊るにゃ向かねーな、グラムかパンクのメロディアスでパンチの有るヤツが良い』と言い、その場の兵士が理解できないこともあったほどで、ケイと同じ戦線にいた北野古子(リコ)は『鬼強いのに、踊ってるみたいに避ける』と述べている。そして、更に。

 

『ダブルトマホーク!!ダークネス!!』

 

トマホークを連結させて一つの大斧とし、それで大型を斬り裂く。圭子のマフラーが黒いものになっていたことや、目つきが鋭くなっている事、声にドスが効いていることにより、シャーリー達は『ケイは猫かぶりをやめた』と判別がついた。

 

「猫かぶりやめたようだね、ケイは」

 

「あれが本性だ。七勇士最狂と言われたってのは伊達じゃねぇようだ」

 

「七勇士って、事変の頃のおとぎ話じゃ……」

 

「ミーナ。そうじゃないんだ。扶桑軍が隠しただけで、七勇士の存在は認めてる。非現実的だったからね。つか、おとぎ話っていうほどの昔でもないだろー?」

 

「たった七年だしな。あんたが入隊する時期くらいに名を馳せた連中だから、知らねぇのは無理もないな」

 

「……!」

 

ここでミーナの顔が青ざめる。自分が入隊した前後の時期はオストマルクが陥落し、とても座学どころではなかったからと、元々は音楽家志望であり、根っからの軍人志望ではない。そこが彼女自身の不幸だった。

 

『ゲッタァァァ!!ビィィィィム!!』

 

圭子は額の前辺りでゲッターエネルギーを集束させ、ゲッタービームを放つ。額からのビームは位置的に自由度があるため、ゲッターG以降のゲッターの少なからずが額にゲッタービーム機構を積んでいる。圭子はビームを薙ぎ払うかのように照射し、怪異編隊を薙ぎ払う。

 

「へへっ……人間ゲッターだな、ありゃ」

 

「うん、あたしも思った」

 

「こりゃ、あたしらの出る幕なさそうだ」

 

シャーリーとハルトマンは仕事放棄をする有様だったが、圭子が余りに強すぎたので、出る幕がないというのが正解だった。圭子の闘技はまだまだ披露される。

 

『バトルショットカッター!!』

 

圭子の腕の篭手に巻き付いている布と思われていたものがゲッターカッター化し、展開される。そのカッターで怪異を細切れに斬り裂く。まさに『ゲッターの恐ろしさ』である。

 

『ヌウン!』

 

更に背面のマントが10枚のウイングとなり、展開する。それが帯電し、サンダーブレーク以上のエネルギーを誇る雷を起こす。

 

『サンダァァァ!!ボンバァァァ!!』

 

ゲッターアークの必殺技『サンダーボンバー』を披露し、本業が『ゲッターの使者』であるところを見せる圭子。ゲッターアークの特徴である背面の10枚で構成されるウイングを出現させた後は幾何学的な高速飛行を見せ、戦場を完全に支配してみせる。

 

「うーん。ありゃ、助太刀の必要はないね」

 

「真ゲッターと同等のスピード出てんじゃね?」

 

「真ゲッターより上はみんな光速寸前の移動力だからなぁ。今のストライカーじゃ、あんなの追従もできやしないし、見学会だね」

 

ハルトマンをして、そう言わしめる攻防速を見せた圭子。『一騎当千』。その言葉が相応しいと言える強さであった。

 

「嘘でしょ、怪異をまるで模擬標的のように……」

 

「……ミーナさ、悪いことは言わないからさ、あの人たちの人事書類を今からでも見直したほうが……」

 

それとなく切り出すハルトマン。

 

「隊長、あれ見てもさ。司令部の回し者と思うのか?扶桑とカールスラントの国際問題になりかねないよ?」

 

シャーリーもハルトマンに同意する。既にロンメル、パットン、モントゴメリーのアフリカ戦線帰り三将軍から、ミーナへの『査問』の連絡は入っていたからだ。噂話だが、自国最高のエースである黒江たちの扱いを聞いた昭和天皇が激怒していると現場で伝わっているため、ミーナを諌めておかないと、彼女の進退問題に発展する。

 

「大々的に宣伝してこなかった扶桑にも非はあるけどさ、七勇士の噂話はあったよ、オストマルク落ちた時点で…」

 

ハルトマンはミーナより軍の入隊年次は早いため、その噂は元から知っている。ミーナの不幸は志願時の座学の省略にあった。

 

「書類の確認、手伝うよ。下手したら、あんたの進退問題になるよ、これ」

 

「な、何故……?」

 

「世代的に一世代は前だけど、文字通りの世界最強レベルを無理して送ったのに、あんたはぞんざいに扱ったからさ。最低でも降格は覚悟しなよ?」

 

「そ、そんな!」

 

「ノイマン大佐も降格の内示があったけど、現場がパニクったから、一階級で済んだけど、ミーナは多分、指揮資格の当面の停止は免れない。扶桑のエース部隊に統合戦闘航空団そのものを取り込む計画が決定的になったよ」

 

「そんな計画が何故……」

 

「あんたが上手くやってれば、前世の記憶があるエースを世代問わずにあっちこっちに送りこんで、前線要員の教官をさせる計画が進んでたんだよ。あんたの行いで、それがパーになったのさ」

 

シャーリーはぶっちゃける。その計画はG計画という名があり、小園大佐や大西瀧治郎中将が進めていたもので、源田も噛んだ計画だったが、ミーナの行いを日本側が『それ見たことか』と言わんばかりに批判したので、航空幕僚監部が上奏した『エース部隊案』が代替にされたのだ。人材の一点集中による『安定した戦果』。これが64Fの設立が決められた理由である。折しも、ダイ・アナザー・デイ直前であったことからトントン拍子に話は進み、ついには『統合戦闘航空団そのものの代替物』と見なされていく。つまり、分散配置でのボトムアップよりも『一点集中での大戦果』が政治的に求められ、カールスラント主体の統合戦闘航空団という枠組そのものの代替と見なされたのが、扶桑で64Fの再結成の構想が急速に具体化した背景だ。

 

「その代替構想が具体化した。伝説の『64』の復活としてね。509ナンバーで部隊を作り直すより、伝説の部隊の復活と拡充って形を取ったほうが政治家と官僚を納得させられるからね」

 

「戦力分散より集中、索敵と通信の充実による機動的運用で戦力の有効活用、というドクトリンだね。源田大佐の主導だよ」

 

この日からちょっと後に正式に結成される『二代目64戦隊』は別案の第509統合戦闘航空団/ユナイテッドウィッチーズ案を押しのける形で採択された。これはカールスラントの501の運営権放棄と扶桑の501運営権取得、空軍独立内定の関係でもあり、64Fは様々な思惑が入り交じる中、空軍部隊の第一号として設立される。なお、その隊長には黒江が『仁・義・体に優れる』ということで上層部から推されていたが、黒江はそれを辞退し、武子を推薦したことで、武子が隊長となるのである。(武子は事変での総指揮官代理の経歴があるのに関わず、1943年になっても大尉で留め置かれていた事で人事部が扱いに困っていたため、渡りに船であったのも事実)そのため、武子は大佐まで昇進の後、隊の活動開始とともに准将(中将勤務)に昇進。ダイ・アナザー・デイでは、将官として従軍するのである。人事部を泣かせる昇進だが、一応は各階級の時期が多少あり、隊の戦力化完了時には中佐、活動開始時は大佐、ダイ・アナザー・デイ本格化で准将(騎士爵位付随)である。

 

「あたしらも昇進の内示出たし、いよいよ、お武さんの部下になりそうだね」

 

「あの人、真面目だからなー。ちょっち苦手だぜ」

 

このやりとりからもわかるが、武子は真面目で通っていたからだ。だが懐刀である檜大尉曰く、『仕えてみると、ユーモアを解する』との事。また、カメラ小僧であるのだが、コンタックスが消滅している事に血の涙を流すほどのオタクである。

 

「誰、その人……」

 

「うっそだろ……扶桑海の隼も知らねーなんて…。ガチで本当に知らねぇんだな…」

 

ミーナは憐れられるほどに無知な事が判明し、本人はウルトラ級の赤っ恥をかき、シャーリーとハルトマンは固まるほどに愕然とする。1941年以降、軍に詳しい者なら、嫌でも耳に入る『扶桑海七勇士』伝説。本国で顧みられていなかったのも事実だが、ミーナが無知過ぎたのも、国際問題に発展しかけた理由だ。

 

「二人共……どうすれば……」

 

「うん。半分以上は手遅れだよ。査問で本当の事言ってさ、上にガチで土下座でもするしか……。それでも許してもらえるかは微妙だけど」

 

ハルトマンが真面目にいうので、ミーナの顔から見る見る内に血の気が引いていく。

 

「帰ったら、書類の再確認を手伝うよ」

 

「あ、ありがとう……」

 

そう態度を繕うのが精一杯なミーナ。彼女にはまだ、一応は再起のチャンスがある。そして……。

 

「ゲッターァァァ!!シャイィィィン!」

 

圭子がゲッターシャインを発動し、白色の光を発してその身を包む時、ミーナは自分の犯した重大な過ちを悟り、扶桑に恐れを抱くと同時に、内心、今すぐにでも泣きたくなるのだった。

 

 

 

 

――さて、Gウィッチたちにとっての目下の問題は『高町なのは』だった。なのはがやらかすことは因果で分かっており、いくら学習させようとも、何らかの形で失敗を犯してしまう。それには複合的要因があることは突き止められた。『事後』の時間軸になるが、その時の様子を見てみよう――

 

 

 

 

 

 

――と、言うわけで、圭子達もこの時期からはもっぱら、なのはの『やらかし』の予測で精一杯であるが、なのはのやらかしは仕事上のミスに入る。指示の拡大解釈や家での教育の自己解釈が含まれているため、ガツンと叱るにしても、デリケートな問題を含んでいる。後に、なのはが本当にやらかした時、その処理に、はやてを始めとした一同は悩むことになる。処理に困ったはやてがなのはの兄である高町恭也らに知らせたところ、思わず腰を抜かしたと伝えられ、しばしの間、一同の頭痛の種になるのである。最終的には参戦した円亜久里(アリサ・バニングス)/キュアエースの尽力でなんとかなったのだが、なのはの人物評に『転生しても自制心がつかず、やらかすから、学習能力も無いただの馬鹿だ』という悪評がついてまわる事になってしまう。もっとも、なのはは『やらかした後にフォローした方がまとめやすいから、事が起こるまで放置する』という対応がはやて、ヴィータなどから周知されていたが、見かねたキュアエースがガツンと叱ったわけである。後に、なのはの謹慎処分が終了する日に、ある事を気になっていた圭子が知り合いの地球連邦軍の軍医で、カウンセラーも兼ねている新見薫のカウンセリングに連れて行って、カウンセリングと精神鑑定を受けさせるが、『軽いアスペルガーの傾向あり』と診断されたという。――

 

 

 

――その鑑定結果の通知の日(ダイ・アナザー・デイの第二週の金曜日)――

 

「軽いアスペぇ?マジかよ、新見さん」

 

「あの子の生活態度や思考を分析するとね。片親が大怪我を負って、年の離れた兄弟は構えないっていう幼少期を過ごしたせいもあるわね…」

 

「……わーお……」

 

「ソシオパスの傾向も見られるわ。自分の立てた予定は絶対、夢中になったモノにのめり込むとか。因果もあるのでしょうけど、あの子の資質の問題よ」

 

新見薫がなのはを分析して下した診断は『ソシオパスにアスペルガー症候群が複合した精神状態』。圭子も思わず絶句してしまう。圭子が絶句するのはめったに無いため、相当な衝撃である。

 

「軍隊で将校になれたのが奇跡のような精神状態よ。一歩間違えれば、まともな生活は無理なほど。おそらく、幼少期の寂しさを『いい子であるように取り繕う』ことでむりやり誤魔化してたのがその後の成長に悪影響を与えたのね」

 

なのははアリサ・バニングスとの諍いを少女期に起こした事があるが、そのアリサ・バニングス曰く、『年齢が年齢なら、校内暴力で退学になる』レベルの暴力沙汰だったとという。その際に両親が精神鑑定を受けさせていたが、両親がそれを誤魔化した事、アリサ・バニングスなどとの交流で幾分かは改善されていったため、両親の手でその事実は隠されていた。だが、響へのやらかしで、アリサ・バニングスが転じたキュアエースがそれを明かした。なのははショックで荒れたが、キュアエースは敢えて叱責した。年齢が年齢であること、なのはは既に一児の母であるからであった。

 

「相当にキュアエースから叱られたのが堪えたようね。不意に泣き出して……」

 

「だが、転生しても自制心がつかず、やらかすから、学習能力も無い馬鹿なんて人物評がついてまわっちまう事は理解させないといかんっしょ。下手に善後策を講じるよりも一度ガツンと言い聞かせた方が良いって、あいつの兄貴と姉貴は言ってたけどさ」

 

「とは言え、アスペルガー症候群の患者に強く出るのは悪手なのよ。意固地になるから。あの子は軽めだから、功を奏したようだけど、覚えておいて」

 

「あい」

 

この精神鑑定は彼女のその後の昇進に大きく響き、なのはは将官への道を閉ざされる事になった。とは言え、戦功で大佐になる道は拓かれていた。戦士としては優秀であるのには変わりはない事、更に後のシェルブリットへの覚醒、ラグナメイル『テオドーラ』の受領で戦功を挙げたからだ。

 

「ジャンヌは先代黄金たちでの説得が上手く言ったが、なのががまさかな……。これは考えてもみなかったぜ…。」

 

「貴方達が察知できなかったのも仕方ないわ。あの子は幼少期の体験の結果、『品行方正ないい子』を装える演技力があるもの」

 

なのはは成長後も国語能力が低い傾向があり、それは大人になっても、さほどは改善されていない。その理由を知り、狼狽え、対応に困る圭子。圭子も流石に『正常に見えるが、実はおかしいところがある』タイプとの遭遇は経験がないからで、善後策にはなるが、佐渡酒造が雇った若いカウンセラーであり、医務少佐でもある『新見薫』のところへ、なのはを定期的に通わせる事になる。今後のカウンセリングのためで、仕事は一通りできるものの、精神的意味合いでの『問題』が発覚した以上、ケアは絶対に必要だからだ。これもGウィッチたちの抱える『問題』であった。(アスペルガー症候群と言っても、一応は軽度であるため、社会生活が送れないほどではない事を考慮し、一部で叫ばれた懲罰的な辞職勧告はせず、温情でカウンセリングで経過観察を行う事になる。これは後に、調がカウンセリングに興味を持ち、カウンセラー資格の取得を目指すきっかけともなる)

 

 

 

――なのはの『秘密』はGウィッチ達も一様に驚くものだった。鑑定結果が部内で大まかに伝わった翌週には、Gウィッチの間で話題が持ちきりとなった。――

 

「なのはちゃんが、まさかねぇ……。先輩達が困るはずだよ」

 

「エースはさすがね。付き合い長いからか、上手くやったわね」

 

「あの子との付き合いも長いですから。しかし……改めて分かると、なんとも…」

 

「新見さんのところに通わせるって?」

 

「謹慎処分がそろそろ解けるからってのもあるみたい。あたしたちさ、馴れ合いしてるって批判も出てるから、エースは上手いことやってくれたよ」

 

「一か八か、でしたわ。あの子は意固地になりますから。ですが、馴れ合いをしていると言われてますし、甘い対応をしていては『私達』の沽券に関わるのも事実ですわ」

 

ドリームとダイヤモンドはエースと、なのはのことで話をしていた。なのはの鑑定結果はプリキュア達にも衝撃を与えたからで、なのははこの鑑定結果で『扱いにくい』と上層部から認識されるが、なのはに自制と学習という言葉を改めて突きつけた点では、キュアエースは功労賞ものである。

 

「それであの子、シェルブリットに?」

 

「うん。謹慎処分が終わった日にヴィヴィオちゃんの様子を見に帰った時さ。誰と会ったと思う?」

 

「誰ですの?」

 

「キュアアムール」

 

「あ、アムールとぉ!?」

 

ドリームは妹分と言える調が高町家でも仕事をしている都合で、調の仕事ぶりを見に行くついでに顔を見せたのだが、キュアアムールと遭遇したのだ。なのはのコピーと言えるシュテル・ザ・デストラクターが覚醒した姿がキュアアムールなのだ。それを目の当たりにしたなのははあまりのショックで自暴自棄になり、無人の建物の壁をぶん殴り始めた。その時にシェルブリットへ覚醒めてしまったのだ。なんとも情けない話である。ちなみに、キュアアムールは相方のキュアマシェリがいなくとも、変身できている事から、『自分たちと同じ極致に達したのでは?』と推測されている。

 

「どうも、なのはちゃんを模して生み出されたコピーみたいな子が覚醒めてたみたいでさ」

 

 

「ややこしいわね」

 

「仕方ないね。なのはちゃんはこの精神鑑定で少将以上とは縁が無くなった。今後は大佐止まりさ。とはいえ、現場で使い倒せる大義名分が組織にとっては『立った』って事。管理局と軍からの辞職勧告も検討されたけど、精神に多少の問題があったとしても、仕事自体はできるから、経過観察になった。ま、管理局が穏便に済ませるように要請したんだろうけど、重い処罰の体にはなってる。クビにならない分、はやてさんも胸を撫で下ろしてたよ。連座的に何人かにも厳重注意はあったし」

 

「まぁ、鬱病にかかってた人でも働いてるのは大勢いるし、自閉症だからって仕事できないってわけでもないし、無難な対応ね。当たり障りないとも言えるけど」

 

「ま、そういう事だね」

 

「子供の頃から変わっているとは思いましたが、まさか…。驚きましたわ」

 

「自閉症の一種だっていう見解もあるけどね。現役の時のあたしだって、親にそれを疑われた事あるから、わかるよ。とは言え、叱ってくれたのはありがたい。よくやってくれたね、エース」

 

「ありがとうございます」

 

三人は胸をなでおろす。ひとまず、なのはの問題は当人には人事的に重い懲罰と、その後の出世に大いに影響するレベルでの懲戒歴がついたこと、なのはにはカウンセリングが必要ということで決着した。黒江と圭子、武子がSONGへ詫びを入れ、なのはの今後の減俸の度合いは会議で検討中という。ダイ・アナザー・デイも三週間目に入る頃はそんな状況であった。

 

 

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