ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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「1949年への移行」編の続きです。


第四百十六話「1949年~序章~5」

――1949年までに、連合軍の統制組織は米軍式に再編成されたが、その兵力の過半数は扶桑軍の部隊となった。カールスラント軍が手をほぼ引いたがためで、扶桑は史実のアメリカ合衆国の役割を(否応なしに担わざるを得ない事の証明であった。軍を政治の方面から締め上げたら、今度は人員の恐慌を招き、前線で戦いを指揮するべき立場の士官が不足に陥る羽目になったため、黒江達は階級は将官にまで上がったが、やっている事は尉官時代と変化がない状態が定着した。これはM粒子の登場で後方からの指揮が困難になった事、日本の大衆が『指揮官は先頭に立って戦うべし』という認識があり、それが当たり前だと思っている事、参謀の職務を(第二次世界大戦の敗戦の結果もあって)邪魔者と軽んじていることも作用していた。軍隊用語の参謀から幕僚への言い換えが進められたのは、そういう理由である。その流れで、ウィッチ軍人が早期に出世する規則はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの不祥事を理由に、1946年度には廃された。その衝撃は凄まじく、扶桑の農村部の志願数が『壊滅的』に陥るほどであった。扶桑の近代化の一環として、古くからの高等官などの官吏の身分が廃され、戦後式の国家公務員・地方公務員に改編・統一されたことも要因であった。日本も激しい混乱を鑑み、『経過措置として、軍学校などの学費は当面の間は徴収しない。師範学校の在籍者は優先的に新制大学の教育学部への入学を斡旋するから……』という救済措置を発表した。これは1945年当時の扶桑は『都市部と農村部との間の貧富の格差が大きい』が故で、『学費無しで、極貧家庭の子も官吏になれる』という権利を奪うのか!!と世間から文句が出たからであった。とはいえ、兵器の高度化は農村部の子弟が数ヶ月の訓練で扱えるレベルを超越しつつあるのも事実。そのため、士官はそれを補うために、前線での指揮と戦闘能力の高レベルさの両立が重視された――

 

 

 

 

――そのハードルの高さ、非戦闘系ウィッチの生きにくい空気がMATの勃興を引き起こした。同組織は自衛隊の管轄とされているが、怪異駆除専門部署という触れ込みで生まれたため、太平洋戦争の勃発後は各地の小規模な怪異の襲撃を鎮める程度しか出番はなかった。当時としては有力なウィッチ装備を備えており、人員の質も高レベルであったが、怪異の出現が小康状態になり、所属人員の最初の世代交代も始まった事により、技能レベルの低下が緩やかに始まった。これにより、MATは魔法の体系化を急いでいたが、一族の秘伝か遺伝の技能が多く、とても他人に真似が出来ないものであった事、秘伝の流出を恐れ、申告しない者も多く、結局は多くが年月と共に失伝してしまう。それと対照的に、超人たちの持つ技のほうが他者への伝授がされ、使い手を増やしていったため、MATは面子にかけても、技能レベルの維持に多額を費やしていく事になる――

 

 

 

 

 

――非戦闘ウィッチに居場所を与える流れで、慰問専門部署の存在も再注目されたが、カールスラントに代わる最有力国である日本連邦は『慰問』という言葉に強く拒否反応を示すため、議論に入れない問題が発生した。更に、実戦部隊であるはずの64Fが(芸能活動経験者もいるとはいえ)21世紀で売り出しても、全く問題がないほどのパフォーマンスを見せつけたことも、『ルミナスウィッチーズの再検討の進展』に悪影響を及ぼす形になった――

 

 

 

 

――事の発端は、黒江がシンフォギア世界から帰還した事を祝う席での事。ルーデルがノリの良いところを見せ、智子を抱き込んで、ミーナが『リリー・マルレーン』を歌った後、その時点で存在が判明していないはずのウマ娘世界のウイニングライブの楽曲である『BLOW my GALE』をノリノリに歌いこなしたのだ――

 

「嘘……」

 

ミーナ(人格変貌前)が言葉を失うほどのパフォーマンスで歌い上げるルーデル。そもそも、全く音楽と縁のない『ウォーモンガー』なはずの彼女が『21世紀で歌手であっても不思議でない』ほどのパフォーマンスを見せつけた事は衝撃であった。

 

『♪疾走れ!未来のなかへ 新しく吹く風のように今~うなりあげてぇ~到達したぁ~い~未開のゴール I’ll be a real winner!!

果てない思いは颯 どんな日だって消えない BLOW my GALE……――」

 

ウォーモンガーであるルーデルが智子とのデュエットでとはいえ、1940年代には影も形もないはずの『ポップミュージック』を上層部の前でノリノリに歌い上げた事、更にこの後、シャーリーが秘密特訓の成果で『一度だけの恋なら』を熱唱した事により、正規の歌唱訓練を受けていたはずのミーナの立つ瀬がなくなる事態に陥った。また、帰還して検査を控えていた黒江(容姿は変化済み)が思いつきで、2022年のガンダム最新作の主題歌『祝福』で続いた事がとどめになった。完全に幹部層によるカラオケ大会と化してしまったわけで、居合わせた三将軍に『ルミナスウィッチーズを急いで編成する必要なくね?』と思わせるほどのショックであった。実際、黒江、智子、ルーデル、シャーリーは『21世紀で歌手として食っていける』ほどの歌唱力であり、時代相応の訓練しか受けていないミーナが霞むのは無理もなかった。とはいえ、それはそれとしたかった連合軍はルミナスウィッチーズの検討を続けたが、慰問という言葉が日本連邦評議会の琴線に触れてしまったため、議論が進まず、『広報活動』という事が認知されたのは、ウィッチ世界の数年後のこと。

 

 

 

 

――ルミナスウィッチーズの予算が正式についたのは、64Fの万能性が周知された後の1948年末。ミッドチルダで措置を受け、温存されていた予定メンバーの再訓練が終わったのと同時であった。世論も流石に『戦闘部隊である64Fに広報活動までやらせるのはおかしくない?』という事実に気づき、軍部はその論調を煽らせ、予算を得たわけだ。未来世界のサウンドエナジー研究の輸入で、サウンドブースターも造られ、名目上は『64Fのバックダンサー、もしくは前座』であるが、活動が始められた。予定メンバーは同好会扱いで本部預かりになっており、そこで21世紀に耐えうるダンスなどの訓練を重ね、戦中は広報部の特別班という扱いで活動した。史実より四年遅れであった。その責任者のグレイス・メイトランド・スチュワード大佐(史実の大俳優『ジェームズ・スチュアート』の親族らしい)は女優に転身する事が予定されていたが、リベリオンの分裂でご破算になり、そのまま軍に残留せざるを得なくなった。彼女は45年当時には既に裏方に回っていたが、ダイ・アナザー・デイの人手不足が酷い有様に居合わせたがため、臨時パイロットとして駆り出され、F-105に乗せられていた事がある。ダイ・アナザー・デイ後、戦況が落ち着いた段階で希望通りに裏方に回り、ルミナスウィッチーズの実現に尽力した。そのため、自由リベリオンでは希少な『希望通りに配属先に行けた』エクスウィッチとなっている。――

 

 

 

 

――そんな彼女がルミナスウィッチーズを必死に生み出した背景には、未来世界の情報に触れ、リン・ミンメイやファイヤーボンバーの存在を知ったからである。特に、文字通りに世界を救ったリン・ミンメイの存在は彼女を奮い立たせる理由であった。『歌で世界は守れる』という持論に説得力を与えてくれたからである。正式な曲技飛行隊の側面もあるため、一定の飛行技能がある事が求められたので、当初予定メンバーをキープしてまで、結成が強行された。彼女の苦闘ぶりは同期の間でも語り草になるが、そこまでやれた理由はもう一つある。それは彼女が臨時パイロットとして、ダイ・アナザー・デイを戦った際、あわや撃墜という窮地をキュアメロディ(シャーリー)に救われていたからである。シャーリー自身も気づかなかった。戦場で命を救った女性パイロットが元はシャーリーも名を知るほどに高名なウィッチであり、音楽の力を持つプリキュアである自分の存在が彼女には励ましになった事を――

 

 

――1948年の末頃のある日――

 

「あなたが、あのプリキュアだったなんて…。シャーロット中佐」

 

「ええ。まさか、あの時のパイロットがあなただったとは。グレイス大佐」

 

シャーリーは士官学校の先輩であった元ウィッチの参謀が高名なウィッチであり、ダイ・アナザー・デイの際にはパイロットにされていた事を本人から聞かされた。この頃になると、グレイスはルミナスウィッチーズの『班長』、シャーリーは64Fの魔弾隊の幹部である。リベリオン出身では唯一のプリキュアであるため、プロパガンダに利用されており、シャーリーの変身ということも認知されていた。

 

「あの時、何故、サッドに乗っておられたのです?」

 

「アーノルド元帥の意向で、参謀扱いにする前に実績を上げてこいと言われたのよ。嫌だったけど、ジェット機の部隊ということで呑んだの」

 

F-105の実状は爆撃機であるのだが、当時はP-80やF-84が『最新』とされた時代であるため、振り切れるとの判断で試験運用された。実際、扶桑には爆撃機として採用されたが、自由リベリオンでは『戦闘機』扱いで運用された事例がある。グレイスはその試験運用に関わっていたのである。

 

「あれは攻撃機を戦闘機の名目で作った機体ですよ、私が来なければ…」

 

「ええ。危なかったわ。でも、カールスラントの連中の鼻を明かせたのだけはいい思い出よ」

 

「まぁ、今ではF-111に切り替えが進んでますから、上に戻されても大丈夫ですよ」

 

「やめてちょうだい。縁起でもない」

 

と、笑い話にするグレイス。自由リベリオンでは、兵器開発も活発化しており、F-4Eを採用し、F-111も生産されだした。遠征を控えていたシャーリーのこの日の任務はF-4の爆撃任務の教導で、立場相応のものだ。

 

「でも、メタ情報だけで、こんなに進歩するというの?」

 

「まぁ、下地はありますし、資材と技術さえ与えれば、相応に作れます。それに、扶桑の地下と宇宙の自動工場が休み無しで量産してますから」

 

戦局の逆転のため、史実ベトナム戦争期の兵器を揃えつつある自由リベリオン。シャーリーもこの頃には、乗機をF-100から変更している。

 

「次のF-15には乗られるんですか?」

 

「誘いがあればね。あなたはもう?」

 

「いえ、自分はF-20に乗っています」

 

シャーリーは空軍機はタイガーシャークに乗り換えている。アメリカもびっくりだが、チャック・イェーガーが乗った機種であるので、予想の範囲内ではある。量産仕様の策定に関わっているため、事実上は同機のテストパイロットだ。

 

「ご覧になりますか?上層部もあなたなら、見せても文句はいわないでしょう」

 

シャーリーはその足で自分の新たな愛機を見せる。F-100と違い、嗜好全開で選んだ機種である。また、黒江と智子も愛好するためか、か、自由リベリオン軍は軽戦闘機枠で制式採用。当初からタイガーシャークとして作るため、型式は『F-5G』となった。これは重戦闘機志向の高まりに『グレイス・ボイド』(史実のジョン・ボイドに相当)というウィッチが異議を唱えたためである。アメリカ合衆国としては『所詮はF-16までの繋ぎ』と見なしていたのだが、扶桑のトップエースたちが愛好し、シャーリーも絶賛するため、同機は軽戦闘機のジャンルを生きながらえさせた立役者となった。また、超音速戦闘機の割に小型であるため、遠征に持ち込みやすいとされ、そこで旧東独機相手に立ち回りを演ずる事になる。ただし、リベリオンでは『F-5G』、扶桑では『F-20』名義であるため、兵站関係者を泣かせたのは言うまでもない。

 

 

 

同日 扶桑のとある邸宅

 

「F-20など、本当に量産させて大丈夫かね?」

 

「評議会の方々には、エースパイロット専用機という名目で説明しています。そうでないと、やれ、F-16だの言いますからな」

 

F-16は悪くないが、日本には既に派生モデルのF-2があるため、オリジナル版を敢えて作る異議はない。また、扶桑独自に、F-20などにAMRAAMミサイルをガン積みした改武装モデルが開発され、前線に配備されだしており、防空部門から配備されだしている。(なお、扶桑本土はインフラ整備の都合上、この頃はドラケンが主力になりつつある。)

 

「ドラケンは航続距離が短いと言われるが……」

 

「元から要地防空の機体として買っているので、問題はありません。それに、今は南洋でしか、F-14やF-4級のヘビー級は運用できませんからね」

 

この頃、政治家らへの説明に用いられた『ヘビー級』という単語だが、これはジェット機が高性能化すると、平均で以前の双発爆撃機級の体躯になるからである。本土は開発途上であるため、大型戦闘機の運用には向かないのも、ドラケンやスターファイターがしばらくの間、要撃機の地位を占める理由だ。そのため、矢継ぎ早に第四世代にまで到達した64Fの優遇ぶりが際立つ。特に、トムキャットは同部隊の優遇のシンボルであった。トムキャットは空母機動部隊にも配備予定だが、新空母が遅れているため、1949年時点では地上でのみ試験されていた。扶桑では単座運用可能な設計だが、自由リベリオンでは、史実通りの複座で採用されたという。

 

「どうするのだ?」

 

「当面はそれで事足りますので、その間に用地買収を進め、軍民双方に使える飛行場を作るのです。我々のようにする必要はありませんが」

 

彼(日本の政権幹部)の言う通り、史実でいう成田空港を早期開業しようと工事中であった。軍馬の新規需要が完全に無くなり、多くの軍馬を育成する必要が失せたからでもある。(とはいえ、国内の複数の牧場はレース用のサラブレッド種の育成施設として払い下げ予定であるし、儀仗用に需要がある。そのため、そのための施設以外はサラブレッドの育成牧場に様変わりし、人員もそれらに転職していった)とはいえ、1940年代末のウィッチ世界はリベリオンの分裂で、旅客用飛行機の開発は進んでおらず、扶桑でさえ、人員輸送に二式大艇が未だに使われる始末である。その時代に大型ジェット機想定の飛行場はオーバーであるという指摘もあった。(史実でのレシプロ世代の旅客機である『ボーイング307』すら満足に行き渡っておらず、『ロッキード コンステレーション』などは試作機が飛んだ段階で開発が止まる有様であった)とはいえ、日本と扶桑の個人旅行の解禁を見込んでの措置は是非とも必要であったのは事実だ。また、史実で飛行場が(景気の悪化もあって)余り、鉄道網の整備、疫病の流行で需要が消えたものもあるため、そういったのだ。また、扶桑軍に残るレシプロ戦闘機用の飛行場も多数が残っており、それらは拡張しなければ、民間への転用は不可能である。

 

「レシプロ戦闘機用の飛行場はどうするのです」

 

「本土防空に必要なもの以外は淘汰されるでしょうな。維持費も高額になりますから。鉄道網もこれから整備されだすでしょうし、自動車道路も…」

 

扶桑は日本で頓挫した開発思想の実験場にされる見通しである。これは史実の戦後と違って、土地の買収が国の意向でどうにもできる故で、日本の左派政党も手を出せない。内政干渉になるからだ。青函トンネルも後世の技術で着工予定で、1978年には開通予定だ。ウィッチ世界の沖縄に中規模怪異が出現してしまい、MATがそこで成果を挙げ、同地を守護するきっかけになる出来事が起こったのも、この頃だ。

 

「政治屋と官僚はこの世界を兵器の実験場か何かと勘違いしている。良くない事だ」

 

「仕方ありません。この世界の扶桑には、私達が戦争で失った全てがある。国民のバイタリティも。華族も『現地がそれで回っているなら、廃止する必要はない』というのが認知されるのに5年以上もかかるほど、羨ましいのですよ」

 

左派がごねたものの一つが華族身分の廃止であるが、戦争で負けたわけでもないのに、『自分たちは身分がなくなったおかげで、社会が上手く回ってきた』という理屈で強要しようとしたため、外交問題になった。結局、扶桑への内政干渉からの戦争を恐れた良識派がその論調を抑えた。軍人勲章についても同様だ。智子がスオムスの最高勲章を受章していた事、ミーナの不手際と、ゴロプのカールスラント至上主義ぶりの露呈により、従軍記章の誇示の意義に懐疑的であった扶桑海軍も慌てて、個人感状の授与を増やした。

 

「カールスラントのあの少佐(ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの事。1948年までに少佐へ階級を戻している)は余計な事をしてくれた。人事書類の確認を怠るなど……」

 

原忠一中将。史実で珊瑚海海戦を指揮した提督である。彼はミーナの不手際をきっかけに、扶桑海軍航空隊の権威が失墜し、ついには空軍の二軍扱いになった事を愚痴っていた。海保による苦言もあり、ここのところは兵卒上がりの特務士官出身者が(士官学校たる)兵学校出身者より先に昇進する現状を憂いていた。

 

「お宅の風土に問題があったのですよ」

 

「うむ……志賀少佐だが、戦争が終われば退役するだろうから、テストパイロットと教官として『飼い殺し』で良いな?」

 

「それがいいでしょう。彼女は堅物にすぎる。あれでは、グローバル化のご時世にはついていけません」

 

「階級を据え置いたのは、君らの温情か?」

 

「降格すれば、故郷でいじめに遭うでしょうから。テストパイロット、あるいは教官として功を残せば、退役時に名誉昇進させます」

 

 

それに関連し、志賀少佐の最終的な処遇も内々に決められた。ストライカー『震電』の焼失事件の咎として、彼女の所属先を連帯責任で解体したのに続けて、テストパイロットや教官として、戦争中は飼い殺しにすると。海軍航空隊の面子を潰す原因になった以上、この措置は充分に温情があった。これはなのはに適応されたのと同様のもので、抜群の功をそれまでに立ててきた者を一度の失敗で過度に罰すれば、急進的将校のクーデターで組織が滅ぶきっかけになりかねない事はギガノス帝国のマイヨ・プラート大尉で証明されている。(なのはも、将官への昇進の道は閉ざされたが、引退時の名誉昇進は約束されている)

 

「まぁ、身も蓋もない言い方ですが、将校のクーデター防止のためです」

 

「どこの国も、カリスマ性のある将校がクーデターを起こすからな。そうした航空科や機甲科の将校は前線で使い倒すのが、最善なのだろう」

 

原忠一中将は志賀少佐の例を鑑み、64Fの存在を使い、エースパイロットを上手く使うための部署を持つことの重要性を認識したようだ。日本の粛清人事で、戦える正規将校が不足しているため、64Fの特異性を認めざるを得ないからだ。彼自身、史実の珊瑚海海戦の指揮の不備、真珠湾攻撃の第二次攻撃の反対を理由に、強引に左遷させられていたため、その名誉挽回を望んでいたからだ。(彼はその後、空母戦を数度は指揮した後、後方の役職について軍役を終える事になる)この会合では、ルミナスウィッチーズの予算についても話し合われ、ついに承諾された。1949年度からの執行とされた。史実よりほぼ5年遅れの誕生である。64Fの万能性は疑う余地無しだが、それにより埋もれてしまう『凡百のウィッチ』達の輝ける場所を与えること。その意義が理解されたのが、1949年である点で、日本連邦の『戦闘への偏重ぶり』は批判されて然るべきと、ガリアのある高官はボヤいたという。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――本来、ウィッチやプリキュアは代ごとの『継承』が根幹を占めていた。だが、それを許さない風潮が日本にはあり、人々は『英雄は不滅であるべき』だと願った。その願いが依代になり、マジンガーZEROの因果律操作にも関わらず、自己の存在をギリギリで保てたプリキュアがキュアフェリーチェである。そして、本人の意思と別のところで、キュアブラックやキュアブルームの意思を継ぎ、プリキュアの実質的なリーダー格の役目を負わされたキュアドリーム。その役目は重荷であったと言わざるを得なかったが、中心格という役目はブルームに役目を譲った後も担っており、七人ライダーにおける『仮面ライダーストロンガー』に似た立ち位置にシフトした。本人はその気がなくても、自然と音頭を取っているためだ。個人の苦しみよりも、公的な自己犠牲精神を尊ぶ風潮が日本との交流で強くなっていくことで、個と公の相克に苦しんだのは、転生の素体が軍人であった彼女かもしれない。ウィッチも『英雄は周囲の範るべし。堕ちたら、隠者になるか、もしくは死で罪を償え』という風潮の強い日本と交わることで『英雄たり得ない者はどうすればいい?』という問題に突き当たり、結果、戦争の凄まじい『暴力』に耐えられなかった多くが軍を忌避し、自分達の元来の存在意義とされた『怪異駆除専門組織』へ流れてしまった。だが、日本のヒーロー達との交わりで、転生、もしくは転移後の世界での存在意義を見出したプリキュアなり、ウィッチも多いのは事実である。仮面ライダー達も『仮面ライダーBLACKの敗北』により、『ゴルゴムの起こす悲劇を止めるために』十人ライダーが復活させられた。目覚めた先の世界で存在意義を見失っていた者もいたが、彼等なりの理由を見出し、新たな敵と戦っているように――

 

 

 

 

 

 

 

――未来世界でガンダムという神話が『初代からZとZZ、更にはνガンダム』に受け継がれ、戦艦大和の持つ『日本の軍艦の象徴という偶像』が宇宙戦艦ヤマトに引き継がれたように、キュアブラックらの紡いだ思いは後輩達が令和の時代に至るまで継承していった。それはウマ娘も同じであるが、史実の因果に引っ張られ、本人が本来は目指したものに手が届かなかったことの方が多い。だが、『その運命を覆せるとしたら?』。オグリキャップ、タマモクロスは『お互いに、言葉で傷つけあった過去を変えられるのなら』という思いで過去改変を選び、それと別に、トウカイテイオーとナリタブライアンは『戦いの遺伝子は時代を超えて受け継いでいく』とし、テイオーは前世での父であり、今生では慕う相手の『シンボリルドルフ』の意思を受け継ぐ事を、ブライアンは姉である『ビワハヤヒデ』、前世での父『ブライアンズタイム』、自身に続く『ブライアン』であった『サニーブライアン』。それらの意思を引っくるめて受け継ぎ、自分達に刻まれた因果を超える決意を固める。自分の知名度を後世に残すのに、一役買った功労者である『ナリタブラリアン』にも感謝しつつ――

 

 

 

「因果を、運命を超えろ、か。なら、足掻いてやるまでだ。たとえ、相手が『親父』(ブライアンズタイム)の築いた勢力図を塗り替えた『偉大な名種牡馬』の子々孫々の魂を宿す連中であろうとも」

 

ナリタブライアンは前世の記憶が覚醒した事により、因果や運命を強く意識し、それを超えることにこだわるようになった。それは自身の早世、その後の『直接の兄弟達の種牡馬としての失敗』が大いに関係しており、三冠馬であった分、テイオーよりも『失った名誉を取り戻したい』という思いが強い。ゴールドシップへ明言するほど、自身の味わった名誉の失墜、と失意の日々を覆したい意思は強い。

 

 

 

「♪そうだ忘れられない~がむしゃら過ぎる生き方~血潮が燃えるなら、ただそれだけで何もいらない――!」

 

「その歌、好きなのか?」

 

「今となっちゃ、私は王者でもなんでもない。だからか、歌詞になんとなく共感するのかもしれんな…。忘れていた、三冠を取ってから置いてきた何かを思い出すようでな」

 

ブライアンはゴルシに誘われたカラオケで、その歌詞がある歌『HEATS』を熱唱した。ブライアンは戻ろうとしているのかもしれないと、ゴルシは思った。ただひたすらに強者とのレースを求めていた頃の青かった自分に。

 

「んじゃ、次はデュエットでもすんか?」

 

「おい、何を入れる気だ」

 

「Reckless fireだけど?」

 

「スクライドだと?渋いな。って、待て。お前の『親父』(ステイゴールド)の時代のアニソンだろ?」

 

「野暮なこと言うなって。お前だって、HEART OF SWORD ~夜明け前~を入れてるけどよ、お前、あれが発売した年にはもう引退してたんじゃね?」

 

「失礼な、私の引退はその年の暮れだぞ!暮れ!」

 

その日はゴルシの酔狂で、勝負服姿で歌うという『罰ゲーム』に近い状況であったが、ブライアンを応援したかったのか、『HEATS』に始まり、『DRAGON』、『Reckless fire』、『HEART OF SWORD ~夜明け前~』など、ゴルシの好みらしき『熱くなる曲』を連続で入れていった。ブライアンはそんなゴルシの計らいが嬉しかったのか、この日は姉のハヤヒデ、親族のタイシンも見たほどないほどに上機嫌だったという。

 

 

 

 

 

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