ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百四十八話「1949年 11」

――扶桑軍は海軍の軍令承行令や特務士官枠の廃止で人事的混乱が発生したが、海軍機関科問題で東郷平八郎の存命中の発言(信憑性には疑問符だが)が槍玉に挙げられたのもあり、一括で廃止された。そこは陸軍が海軍に勝利した点だった。その影響で芳佳はその時点で『中尉』になり、数年後には『少佐』となった。要は『日本型組織としての海軍の限界』の表れとして承行令は廃止されたが、それが戦時中だったため、指揮序列は大いに混乱した。教育制度も簡略化から真逆の方向性に舵が切られたため、服部静夏、雁淵ひかりは現地任官が許された最後の世代となった。これはウィッチ兵科は次第にウィッチであることに特化した教育へ変遷していたため、ダイ・アナザー・デイで『他兵科に無知である』という致命的な点が顕になったため、事後に転換された。坂本のように、つぶしが利かないウィッチ士官が多かったためだ――

 

 

 

 

――何度も述べるように、ウィッチ兵科そのものは解体へ向かったが、人員募集や教育そのものは続けられていた。補充要員確保のためだが、高等工科学校で再教育を受けた世代とそれ以前の世代との衝突が考えられたことから、再教育組が前線に配置される際には『聡明な指揮官がいたり、前線教育に定評のある部隊』が選定された。64Fもその一つである。その用途のために本土で教育する極天隊(編成としては教育用分隊)が組織されたほどである。64Fは史実343空と台南空、64Fの要素をごちゃまぜにして生まれた部隊だが、予備隊員確保の必要はあったからである。服部静夏と雁淵ひかりはダイ・アナザー・デイ後にそこで戦闘要員としての再教育を受けたわけである。そんなわけであるので、二人と501、502隊員の接点は薄い。ロスマンもひかりとの関わりあいはないに等しいため、日本向けには当たり障りないコメントでお茶を濁している。菅野もひかりとは組んでおらず、芳佳と組んでいるからだ。戦線が事実上、一つに絞られた一方で、連合国としての都合上、兵力の集中は必ずしもできていないため、人員の一点集中は肯定されている。64Fのみがスーパーロボットまで有するのが認められているのは、一定の兵力を各地に残さなくてはならない常任理事国故の都合であった。そのため、戦線の花形である第一戦隊や第一航空艦隊の人気が高い。空軍は事実上、緊急展開部隊としての側面を持たせられたので、装備の充実は全軍で最も優先されているが、要員教育の進み具合の都合上、レシプロ戦闘機はまだまだ現役であった。扶桑全体の課題として、史実占領期の米国の振る舞いが知れ渡ったことでリベリオン人への憎悪が煽られ、自由リベリオン人がリンチされる事件が増えてしまったことだろう。この不信の解決には自由リベリオン人の血の献身を必要とし、扶桑人の信用を得るために多くの血を流す必要があったのは、リベリオンの不幸だったと言える。(本国と自由リベリオンの精神的分断の意味で)ブリタニアも金銭的意味では大打撃を被った。501の設立初期における混乱と、ウォーロック事件における赤城の喪失の責任を負う羽目になり、事件の翌年度に『大和型戦艦が追加建造できる』規模の賠償金を支払った。その賠償金の多くは国民の福利厚生費と五輪の開催費用に消えたが、何割かは『次期空母研究費』に使われた。これは続く、カールスラントからの賠償金がその二倍の金額だったからだ。その正式な支払いが1949年で、同年に空母の建艦が認められた理由だった――

 

 

 

 

 

――服部静夏は史実と違い、芳佳達とダイ・アナザー・デイの時点で面識が出来たが、偵察隊にいたために接点は薄かった。更に、芳佳にさほど憧れていない(飄々とした態度の芳佳は生真面目な静夏から見れば、好ましくなかった)点で、アニメと異なる人物像である。ただし、早期に坂本に素質を見いだされていた点では一致する。また、菅野も孝美と同期であり、芳佳が相棒である点で、アニメと異なる道を辿っている。そのあたりの人間関係の違いはある時の日本の雑誌で大きく取り上げられるほどだった――

 

 

――21世紀 ノビスケを迎えに行った帰り道――

 

「あれ、ハルトマンさん、何見てるんです?」

 

「コンビニで買った雑誌なんだけど、あたし達の人間関係の違いが特集されてるよー」

 

「皆さん、有名ですからね」

 

苦笑するキュアドリーム。ハルトマンは若干、不満そうだ。

 

「あたし、鬼教官?なんて書かれてんだけどー!」

 

「間違ってないだろ、今のお前なら」

 

「前世のマルヨンの一件があるからなのにぃ……」

 

拗ねるハルトマン。一方のバルクホルンは『お姉ちゃん』と書かれており、シスコン扱いだが、角も取れ、この頃には温厚な人柄で通っており、上層部からの評価も改善しているのは事実だ。

 

「芳佳はなんて?」

 

「??マークだね。プリキュアになったけど、あいつ、最近は飄々としてるだろ?」

 

「口も立ちますからね、芳佳。前世はあたしよりアホだったんだけどなぁ」

 

キュアドリームもこの評価だが、芳佳は複数の人物の要素が混じり合っており、一言では説明不可能であるのは事実だ。とは言え、星空みゆきの要素もないわけではないが、大まかには角谷杏の要素が強いので、プリキュア化しても飄々とした態度を通している。同じチームのキュアマーチ(ラウラ・ボーデヴィッヒ)をして『あいつは変わったよ』というのが精一杯である。

 

「えーと、シャーリーは『ガサツなプリキュアの問題児』だってさ」

 

「原子崩し使うと、子どもたち泣きますからね。向こうのルッキーニが本気で泣きましたし」

 

「それと、紅蓮乗ってるから、バンダナつけるべしだって」

 

「紅蓮のパイロットスーツ着てるとこ報道されてますからね、シャーリー」

 

「あ、ミーナは戦車乗りに転向?だって」

 

「よく調べてあるな。だが、まさか本来の人格ではなくなったとは思うまい」

 

ミーナは飛行禁止の懲戒処分を受けた後は戦車乗りとして戦い、レーヴェ戦車でパーシングの戦車中隊を撃退してみせた。その模様は日本にも知られている。ダイ・アナザー・デイ後期は飛行禁止の懲戒処分が下っていたため、戦車部隊を率いて戦っている。その際に乗車していたのが、カールスラントが辛うじて完成させたⅦ号重戦車『レーヴェ』のプロトタイプである。タンクジャケット姿が定着したのもその時だ。

 

「でもさ、人格が変わったのを整備員は諸手を挙げて歓迎してたよ?」

 

「整備員に取って、ミーナは禁欲強制の上、冷遇する上司だったからな。閣下たちが整備員を入れ替えたのも分かるよ」

 

「そいやさ、あーや、どこから熟練の整備員を引き抜いたの?」

 

「先輩曰く、いろんな部隊の幹部は後輩だからってんで、その人たちに旨味を与えて、引き抜いたそうです」

 

64Fは501を取り込む時に501にいた整備兵は他部隊に転出させ、他部隊で定評のあった者を新たに引き抜いている。黒江の実行力の賜物だが、源田の指示でもある。そして、その人員に未来兵器の整備教育を施して、一定数を教導部隊に戻し、扶桑軍全体に未来兵器の整備力を与えている。また、吾郎技師はダイ・アナザー・デイ時はメーカーから派遣された整備指導技術者であったので、芳佳のストライカーの整備を任され、彼が今でも整備している。

 

「ミヤフジの旦那、良い腕だけどさ、震電の筑紫の技術者じゃないんしょ?」

 

「宮菱からの出向ですよ、彼。親父さんの最後の弟子で、転生者です。そうでなきゃ、第二世代理論は短時間でモノに出来ませんよ」

 

「宮菱?なんで?」

 

「元は筑紫への業務提携なんですけど、震電のレシプロが燃やされた時に経営状況が悪化したんで、震電のパテントや技術情報を売ったんですよ。それで彼が引き継いだんです」

 

「それで、あの改二を?」

 

「ええ。戦闘妖精雪風でも直前に見てたみたいで」

 

「ウルスラが泡吹いてたぞ。F-16と同じ作りのボディを持つなど、贅沢すぎる」

 

吾郎が採用した『ブレンデッドウィングボディ』。本来はF-16で採用される未来技術であり、日本の技術者も『オーパーツ』と漏らしたほど未来的な外観である。ウルスラはニュースを見るなり憤慨したというが、吾郎技師曰く『並行案があったから、じっくり煮詰められたし、やりたい事詰め込んでみた』とのこと。

 

 

「実機はシルフィードだか、ファーンそのまんまな外見だぞ?時代的にオーパーツすぎて、日本側が懸念を示したそうじゃないか?」

 

「だから従兄弟さんに常識的な改を造らせたそうです。贅沢すぎて、今の生産能力じゃ大規模生産が危なさそうとかで」

 

「あれさ、秋水みたいな運用じゃ?」

 

「予定のエンジンの完成が遅れて、在来型を積んだらしいですから、初期型」

 

「どうするんだ、これから」

 

「改でひとまずごまかしてる内に、改二を量産しときたいそうです。改二は二一世紀でも第一線機で通じる性能だそうなんで…」

 

「ウルスラが文句言うはずだよなー。ベクタードノズルつけてるようだし、推力も第五世代機水準だそうじゃん?」

 

「オーパーツですよ。一種の。セイバーがまだ充分に使える段階で戦闘妖精雪風みたいなの出すんですから。スペックじゃチートもいいとこです」

 

震電改二の実機は戦闘妖精雪風かとツッコミが入るレベルの外観であり、ウィッチ世界では最高性能である。もっとも、VFを持ち出して模擬戦した黒江も大人気ないが、吾郎技師も充分に大人気ないほどに本気を出しすぎである。

 

『目指せる上を目指さないのは技術者としての敗北さ。輸入機の技術を習得し、更にその上を目指す、将来的には可変戦闘機すら我々の手で開発したいからね。まずは空力の限界、そして、宇宙戦闘機の究極を目指すのが我々の開発陣の目標になるかな?』

 

……と、吾郎技師は結婚披露宴で大風呂敷を広げたが、彼は有言実行した。従兄弟の七郎からは『従兄さんは博打打ちだ』と批判されているが、技師としての冒険心は見習うべきである。

 

「芳佳の旦那さんは技師としては天才タイプですから。軍の一部からは量産性を気にしろと言われてるみたいですけど、源田の親父さんからは高評価ですよ」

 

キュアドリームも錦から引き継いだ要素か、源田実に心酔しているようだ。なお、吾郎技師は『ただ直感で博打の様な開発が出来ないよ。技術の蓄積と理論の実証、テストの繰り返しから何処まで突き詰められるかギリギリの所を攻めて結果が出てきただけで、賭けみたいな思いつきでは開発計画は立てないよ』と黒江に言っており、彼なりに勝算はある。源田実も彼の冒険心を買っており、以後、吾郎技師と七郎技師は互いに切磋琢磨しつつ、扶桑の航空業界を牽引してゆくのだ。

 

「源田閣下はパイロット出身だというが…。坂本少佐は好きでは無かったと言っていたぞ?」

 

「親父さん、考えをよく変えますから、武士道の権化な坂本先輩には好かれなくて。大西中将を差し置いて選ばれたのもアレかも」

 

「大西中将か」

 

「竹井さんの叔父さんな関係で面倒見てもらった時期があるとかで、大西中将を推してたんですよ、坂本先輩」

 

ここで意外な事に、大西瀧治郎は竹井の叔父にあたり、坂本は彼に心酔していた事がキュアドリームの口から伝えられた。とは言え、大西瀧治郎には史実の悪評があるため、選考から外されていた。源田は航空幕僚長の経歴が同位体にある事から、レースで有利であり、黒江たちを統率できる人材であるのもあり、選ばれた。その関係で源田を好きではないと言いつつも、なんだかんだで仕えているのも坂本のいいところだ。

 

「へー。少佐。大西中将を慕ってたんだ」

 

「中将は人としてはいい人なんですが、史実の特攻の悪評で出世コースからは外れてますからね。それを知った以上、あの人は自決するかもしれませんね」

 

大西瀧治郎の史実の顛末を考えるに、勝っても自決しそうと言われるあたりに彼の実直な人柄が分かる。ちなみに坂本曰く、『仕事に人物の好悪は関係ない、その辺は上手くやるさ』とのことで、源田になんだかんだで仕える幕僚に抜擢されたという。

 

「私など、ここに来るまで五回もサインをねだられてな。ドイツ語で名前を書いたが、それでいいのか?」

 

「アイドルのサインもそういうもんですよ、バルクホルンさん」

 

「ああいうことは苦手なんだがな…」

 

「一言添えると、より喜ばれますよ」

 

「さすが、慣れてるね」

 

「プリキュアしてると、だいたい分かってきますって、エーリカさん」

 

「そう言えば、ドリームがドイツ語できるのは、素体になった子からの?」

 

キュアミントがここで疑問を口にする。よく考えてみると、ドリームの言語スキルが上がりすぎだからだろう。

 

「ええ。引き継ぎの一環ですね。元は外国語苦手だったけど、今はマルチリンガルですよ。でも、なんで急に?」

 

「かれんが不思議がっていたのよ。あまりに私とかれんの知るあなたと違いすぎるから」

 

「欧州にいると、英独葡伊仏はしゃべれないと困りますからね。あと、できればヒスパニアか。それと、元はテストパイロットだったんで、技術書や医学書読めるくらいのスキルが必須で」

 

現役時代は教師になるのにすごく苦労したが、転生後は錦のスキルが受け継がれたため、方向オンチが治り、洋上航法、夜間飛行技能も有するキュアドリーム。現役時代との差異はかなり大きい。また、錦の趣味だったサッカー、レントン・サーストンのサーフボードの技能も引き継いだため、意外に高スキルに変貌している。

 

「戦闘じゃ、スーパーロボットの力を使えるようになったし、かなりハイスペックになりましたよ、あたし」

 

「そう言えば、前に別世界のスマイルのオールスターズの初陣に呼ばれた時…」

 

ミントも言及するが、その戦いではドリーム、ピーチ、ブライトの三人がその世界での『スマイルプリキュア』の出番を食ってしまうばかりか、四大スーパーロボットの大技も披露された。その世界に呼ばれていた、別世界のキュアブラックとキュアホワイトは三人のあまりの強さに絶句していたとは、立ち合っていたキュアミューズの談。

 

「その時、かなり暴れたんだろ?」

 

「インクルードしたエクスカリバー撃って、ピーチがフレイムセイバーとトルネードハルバードを出しましたからね。それがみんなのど肝を抜きましたね」

 

キュアピーチはアギトの力に覚醒めていた都合上、仮面ライダーアギトが使う武器を召喚できる。ドリームはそのうちのフレイムセイバーを借りて、敵を斬ったと明言する。思いっきり、巷で言うプリキュアのタブーに反する行為だが、ドリームは剣戟の経験があるプリキュアだったので、その世界にいた妖精たちも認めた経緯がある。また、黒江から渡された三つ目の『斬艦刀』も使用し、その世界にいた多くのプリキュアを驚かせたともいう。

 

「先輩からもらってた三振り目の斬艦刀も使ったんですけど、後で質問攻めにあいましたよ」

 

「あーや、斬艦刀もキープしてあるんだ」

 

「斬艦刀、結構取り回し難しいんですよ。全力だと、グレートソード状になるし」

 

斬艦刀は取り回しの難しさから、地球連邦軍でも使用者があまりいないほどだが、基本的に赤松の系譜にあるウィッチであれば、示現流の心得があるので、扱える。調もその気になれば扱えるが、そもそもの体格が小柄過ぎた(元は153cmで、感応後も160cm前半)のと、素の筋力が黒江より下なので、普段遣いはしていない。むしろ、調は龍王破山剣や磁光真空剣の写しを得意とするので、斬艦刀は選択肢の一つだ。

 

「剣で戦った経験のあるプリキュア、少ないんですよ。ラブリー、アクア、あたし……あといたかな…」

 

「ビューティーも経験あるわよ」

 

「あ、そっか」

 

ミントに指摘されて気づくが、60人以上いて、剣で戦ったプリキュアは数える程度しかいない。貴重な属性であるが、ピンクプリキュアで括ると、二人しかいない。ドリームはその戦いで斬艦刀、フレイムセイバー、エクスカリバー、エンペラーソード、ショルダースライサーの五種類を使い分けたが、武器の殺意が高すぎるため、その世界のキュアハッピーに使用を止められたほどだ。

 

「あなた、あの時、殺意が高すぎるから、あの世界のキュアハッピーに止められてたわね」

 

「ガチの剣を使ってましたから。でも、ブライトも斬魔光(ゲッター斬のゲッタービーム)撃ってたしなぁ」

 

殺意マシマシな三人を静止しようとしたその世界のキュアハッピーだが、なんと、キュアエコーの変身が解けていた坂上あゆみをかばい、敵に取り込まれるという事態に陥った。そして、三人以外のプリキュアの如何なる攻撃をも無効化。横浜港を飲み込もうとした。敵(フュージョン)はキュアハッピーを取り込んだことで一気に巨大化。キュアエコーの努力を無に帰した。そして、全プリキュアをも取り込もうとし、何人かは逃げ切れずに飲み込まれてしまうという緊急事態に陥った。その救援にグレンダイザー、ダブルマジンガー、真ゲッタードラゴンが現れ、最終的にはプリキュアたちも混ざっての『アルティメット・ダイナミックスペシャル』で敵を消滅・浄化させた。その際に真ゲッタードラゴンはシャインスパークではなく、浄化の作用があるストナーサンシャインを使用。真ゲッタードラゴンもストナーサンシャインが撃てる事が判明した。プリキュアの力を無効化する敵も、ゲッター線と光子力、光量子の『可能性の光』にはひとたまりもなかったわけだ。その時の圧倒的光景を目の当たりにしたキュアムーンライトは『これがあのロボット達の力だというの!?』と瞠目。事態を知らされた事もあり、Gウィッチの戦線に加わると約束した。後日、そのムーンライトはなんと、ガイア側の新見薫に転生していた事が判明。後に正式に『月影ゆり』名義でプリキュアに復帰する。ガイア側に戸籍がある初のプリキュアであり、来海えりか/キュアマリンもガイアで普通の中学生をしていたところを発見されており、ガイア側にもプリキュアが転生している嚆矢となった。ガイアの地球連邦防衛軍はプリキュアの兵器利用を目論んだが、それを察知したキュアムーンライトはアースとの接触を開始していた。フェイトはこの頃(ザンスカール帝国残党が動くタイミング)にはガイアに赴いており、キュアムーンライトと接触し、参戦の約束を取り付けていた。

 

「あ、フェイトちゃんからだ。……え!?ゆりさんとえりか、ガイアのほーに転生してたんだ…。それで、ガイアの連邦軍があくどい事考えたから、ヴィルキスで一個航空師団をぶっ飛ばしたぁ!?」

 

フェイトはガイアの連邦軍高官の芹沢虎徹が自分を信用しておらず、プリキュアを我がものにしようとすることを読んでおり、ダイ・アナザー・デイで使ったヴィルキスを使い、現地の地球連邦軍の空軍の航空師団を壊滅させた。その報告が入ったのだ。ドリームは驚く。

 

 

「あ、ココ?フェイトちゃんの護衛に……。A級を2隻墜落させた……うん。そっちの連邦のお偉方はアホなの?」

 

コージも護衛に同行していたが、竜馬から借りたブラックゲッターでガイアの前衛武装宇宙艦を含めた相当数の本土防衛兵力をなぎ倒したと言ってきた。これはキュアムーンライトとキュアマリンを兵器利用しようとしたのを阻止したフェイトとコージに怒った芹沢が配下の本土防衛師団と艦隊で捕獲を狙ったが、A級を含めた相当数が撃滅されたという解任&アース激怒ものの案件である。フェイトは芹沢に通信越しで『アンジュ』さながらの罵倒を織り交ぜながら、キュアムーンライトとキュアマリンを『頂いてゆく!!』と啖呵を切るなど、大活躍。その模様が動画で送られてきて、一同は確認するのだが、ヴィルキスがD級を撃沈するわ、ブラックゲッターがA級の艦橋にスパイクブレード付きの拳を叩きつけてコントロール不能にさせるシーンが入っていた。

 

「これ、解任ものだな。ガイアはなんて処理するつもりだ?」

 

「さー。メガロポリスにA級が二隻も墜落して、ブラックバードが1000機は落ちてるんですよ?無人艦の暴走での同士討ちにするには派手すぎますね」

 

首都に無残な姿を晒すA級。ブラックゲッターとヴィルキスは知らせを聞いて飛んできたアースヤマトに回収されていったが、その前にA級が立ち塞がるが、歴戦のアースヤマトの前には無力であり、主砲の小口径化の弊害を示してしまう。動画はネームシップのアンドロメダがアースヤマトに立ち塞がるが、練度の差で若干の性能的優位を覆され、ロケットアンカーで市街地を引きずり回された挙句に擱座という奇策で撃退されるところで終わっていた。

 

「向こうのアンドロメダを引きずり回せるのか、ヤマトは」

 

「こっちのヤマトはスーパーチャージャー付きの第三世代波動エンジンに変えてるんです。トルクが違いますよ、トルクが」

 

動画でのアンドロメダはロケットアンカーを引き剥がそうとするが、逆にヤマトの圧倒的トルクに負けて引きずり回されていた。姿勢制御スラスターを使っての抵抗は無意味、メインノズルも噴射しても、逆に引っ張られる有様だった。そして、市街地を引きずり回され、連邦議会ビルに突っ込んで止まるという哀れな姿。アースヤマトに目立った損傷はないという無残な敗北だった。

 

「しかし、向こうのアンドロメダ、まるで虚仮威しだな…」

 

「ええ……。どういう作りなんでしょうね」

 

この敗北はガイアの造船部に衝撃を与えるわけだが、アース側の追求を恐れたガイア側は隠蔽を図るが、アース側の象徴であるヤマトに負けた事実は覆しようはない。なお、これは波動機関へのチャージャーの有効性が示された事件でもある。ヤマトは加速重視のチューンナップが何回も行われており、A級を引きずり回す芸当もこなせた。波動エンジンそのものに大きな性能差はないはずだと造船部は泣いたが、アース・ヤマトの波動エンジンのメインノズルが太いものであると気づいたのは、擱座したアンドロメダの曳航に先立つデータ回収でのこと。のぞみたちはこの後、お歳暮を野比家に持ってきた出木杉に解説してもらい、その謎を解く。出木杉はノズルの太さの違いがアースヤマトの勝利の要因だと解説し、アンドロメダがメインノズルを吹かしても、アースヤマトに抵抗できずに引きずり回された理由を説明してやった。加速力の差だと。一同は納得しきれていないようだったが、宇宙戦艦もトルクが違うと、生存率が違う。これはアースのガトランティス戦役で証明されている。

 

 

 

――このように、宇宙戦艦ヤマトの武勇伝の一ページに関わったフェイト・テスタロッサ・ハラオウンだが、仕事の日頃のストレスを芹沢虎徹にぶつけたらしく、ヴィルキス越しに芹沢へ指差しつつ、『地獄へおちろぉ!!』と叫んでいたとコージは後日、のぞみに報告し、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンはヴィルキスに乗ると、やたら口汚くなるという特徴があることを改めて実感。これは仲間内でネタにされまくる事になるが、フェイトは相当にストレスの貯まる仕事をしているのは事実なので、フェイトが成人後は酒を飲むようになった理由に合点がいった。近年はなのは関連の出来事の処理で胃が痛いからだろう――

 

 

 

 

――帰還後、野比家に報告しに来たフェイトが体調不良で寝込み、フェイトのスーツケースから胃薬の処方箋が出てきた時、その場に居合わせたバルクホルンとエーリカはフェイトに同情したという。フェイトは家庭では実質の父親役であり、最近はなのはのやらかしの後始末などにも心を砕く有様。いくら黄金聖闘士でも、病気ばかりはどうしようもないため、フェイトは帰還後は野比家で寝込む羽目に陥った。バルクホルンとエーリカははからずも、フェイトの看護をすることになったという――

 

「さ、さ、佐渡先生。ふ、フェイトの容態は…」

 

「なーに、心配せんでいい。軽い食中毒じゃよ。ガイアで食べた何かが当たったかもしれん」

 

突然倒れたフェイトに大慌てのバルクホルンに呼び出され、23世紀から21世紀へ往診に来た佐渡酒造。彼の診断は食中毒。佐渡曰く、ガイアにあった『なにか』に当たったかも知れないとのこと。佐渡酒造の専門は『獣医』だが、ヤマトのドクターであるため、実地で経験を積んできた叩き上げである。

 

「処方箋を出しとくよ。それと二、三日は点滴をするから、泊まってゆくわい」

 

フェイトはミッドチルダ人であるため、宇宙に植民地がある星間国家の食べ物に耐性が無かったのか?バルクホルンは訝しげな顔をした。とは言え、寝込んでいるフェイトの寝顔は穏やかで、ひとまず安堵はする。

 

「佐渡先生、酒持ってきたよ」

 

「おお、気が利くわい」

 

ハルトマンが酒を持ってくる。佐渡酒造にとっての酒はカンフル剤。カップを口にすると、治療精度が良くなるという。

 

「ん?これは封の空いた……ほほー。この子はこれに当たったんじゃな」

 

 

「佐渡先生、これは?」

 

「連邦軍の非常食じゃが、封が空いておる。これじゃな、原因は。中身が腐っておったんじゃよ」

 

「小腹がすいて非常食食ったら腐ってたみたいだ、俺としたことが……迂闊だった……」

 

「おお、気がついたようじゃな」

 

「お前としたことが、迂闊だぞ」

 

バルクホルンは注意するが、どことなく優しげで、ハルトマンは膨れる。バルクホルンは自分とマルセイユ以外には優しいからだ。

 

「今は養生するんじゃ。それと、偶にじゃがチェックしないと、こういうのが戦時中の製造だと混じっててのう、ちょくちょく腹痛で運び込まれてたもんよ」

 

笑い飛ばす佐渡。ヤマトでも見慣れた光景であるともいい、非常食は戦時の製造では、極稀に荷役作業中に破損した状態で出回ってしまうのは、あのヤマトでさえもあることだともいい、笑い飛ばす。フェイトは驚く。その様子にひとまず安堵したバルクホルンとエーリカだが、こうして、休暇の前半は倒れたフェイトの看護に費やす事になったのだった。

 

「お前さん、小腹がすいていたとはいえ、良くガンバレ食を食おうと思ったもんじゃな?」

 

「聖域の修行の時のオートミールよりはマシだと思う…」

 

「うーむ」

 

と、フェイトのその回答は佐渡も苦笑させ、二人をずっこけさせたのはいうまでもない。聖闘士の料理事情が垣間見れたが、フェイトは修行時代、相当に簡素に食事を済ませていたらしい事もわかり、姉気質なバルクホルンを心配させるのであった。

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