※今回もドラえもんのキャラは出ませんので、あしからず。
――のぞみは同位体が一方的に突っかかる形で問題を抱えていた。何故か。それはかれんとこまちを事実上は引き抜かれたという被害意識、大決戦などの大きな戦いで関われなかったことでの劣等感が理由だった。また、自分達に加勢してくれた仮面ライダーBLACKの力になれないという事実が『仮面ライダーと轡を並べて戦える』自分への妬みとなっていた。そのBLACKがシャドームーンに追い詰められた時、のぞみBはシャドーキックのダメージで変身が解けていたが、シャドームーンの前に立ちふさがり、BLACKをかばった。自分にできる唯一のことだからだ。シャドーセイバーの凶刃が振り下ろされようとした瞬間。彼女とBLACKを救ったのは――
「貴様……やはり……」
「そうだ。BLACKとこの子はやらせんぞ、シャドームーン!」
シャドーセイバーの刃を肩口で受け止めたもう一人の仮面ライダー。金属質の体を持ち、重厚な装甲を鎧うその仮面ライダーこそ。
「あなたは……?」
「俺は炎の王子、RX・ロボライダー!!」
ロボライダーだった。BLACKが多くの場合で至る進化形態『BLACK RX』の派生形態。つまり、南光太郎の至る未来の可能性だ。なお、当初の『悲しみの王子』ではなく、『炎の王子』と称するようになったのは、南光太郎曰く『パンチ力不足だから…』との事。
「ロボライダー!なぜ、この世界に!」
「士から連絡があってな。後は任せろ!」
ロボライダーはBLACKへサムズアップすると、自身の宿敵でもあるシャドームーンと戦闘を開始する。BLACKには優勢であったシャドームーンもBLACKが何十倍もパワーアップしたRX、その更に派生形態相手では力押しは不可能と分かったか、距離を取る。
「シャドームーン!これ以上はこの俺が許さんッ!」
「ロボライダー!貴様も来たとは、丁度良い!この世界を貴様の墓場にしてくれる」
既に何度も戦っている故のやり取りを交わし、二人は激しい戦闘を行う。BLACKには優勢になっても、RX相手ではそうはいかないというパワーバランスが窺えた。
(私の力じゃ……、あいつに手も足も出なかった。別の私は……あんなに強いのに……!!)
のぞみBは悔しかった。別の自分(A)は超パワーを発揮し、全ての点でシャドームーンと戦闘できるだけのステータスを持つというのに、自分はBLACKの足手まといになっただけ。『同じプリキュア』であり、位置づけも同じだと言うのに、あまりにも差がありすぎる。そして、ミラクルライトが無ければなれないはずの『シャイニングドリーム』への自力変身すら成し得たA。普通に考えて、初期プリキュア(『フレッシュ!』までを指す)では最強を誇るだろうパワーを持つのは容易に想像できる。そして、ダメージで変身が解けてしまい、再変身もままならずにいる。キュアモの機能低下で再変身が出来ない状況、他の仲間はノックアウト状態。BLACKは戦闘不能状態(当然だが、BLACKにはRXが持つ太陽光での回復能力がないので、回復は肉体の持つ治癒能力の強さに依存する)である。シャドームーンの強大さへの恐怖、自分があがいても届かない領域への悔しさ、自分の微力さへの怒り。それらが入り混じった感情が溢れ、思わず叫びたくなる。だが。
「すみません、遅くなりました!」
この時期にB世界に滞在していたフェリーチェ、ラブリー、ハートの三名が漁夫の利を狙ったエターナルを撃退し、駆けつける。のぞみBは別世界の後輩たちにも及ばない自らに内心で憤るしかなかった…。
――時間軸は変わって――
「……と、いうわけ」
「向こうのあたし、よっぽど悔しかったんだなぁ」
「仕方ないよ。あなたにはある経験値がない状態だもの。それに、RXさんは馬鹿みたいに強いしね」
「昭和ライダー最強の呼声高いからなぁ、RXさん。普通にリボルケインが刺されば、クライシス皇帝も死ぬし」
「ありゃチートだしね」
キュアハートはディケイド風に言えば『プリキュア5の世界』からの帰還後、その世界である『B世界』での出来事を報告していた。B世界の自分は現役途上なので、自分にはある膨大な実戦経験がないことで嫉妬されていることを知っているキュアドリームは休暇を終え、ススキヶ原の怪異を倒した後、基地に戻った日に、キュアハートから報告を受け、苦笑する。
「黒江先輩は?」
「会議中。B世界のウィッチの故郷探しも、もう三、四年目だしね。もっとも、向こうじゃ時間経ってないとも考えられるけど」
「だろうね。SFでお馴染みの展開だから」
「とはいえ、B世界で多少の時間が経過していた場合、3つの統合戦闘航空団がいなくなったから、連合軍の攻勢は失敗するよ。連合軍が瓦解してるかも。そうなったら、私達が無双して勝たせるしかないだろうね」
「だね。B世界の人たちはあくまでも『普通のウィッチ』だから」
B世界のウィッチ達はA世界での三年をそれなりに平穏に過ごしてきたが、実戦に出られないことを不満に思う者が多くなってきている。とはいえ、A世界の実戦はB世界より、ある意味で進歩した一方、凄惨になっているからで、武子も悩んでいる。
「この世界は基本世界と違って、人同士の殺し合いが定着しちゃったからね。あたしらは良くも悪くも慣れたけれど、あの子達はそれを知らない。年少組は出せないと思うなぁ」
「どうだろうね。あの子は特に強く主張するんじゃない?」
「芳佳なら、あり得るだろうね」
二人はプリキュアとして長い経験があるので、この後に起こり得ることを予測していた。芳佳Bが『実戦に出させろ』というのは目に見えていた。とはいえ、A世界での怪異退治は軍の管轄から半ば外れた形である。そんな『大人の理屈』を無視してでも、やりかねないのが芳佳本来の性格だ。(実際、圭子をも圧し、最終的に赤松が決めるため、芳佳は頑固な一面が元からある)
「年長組にしても、まだ18、9の子供。問題は、特攻も普通にある戦場に耐えられるかどうか」
「だよねぇ。今んとこは陸は膠着状態だけど、敵も味方も海で活発に動いてる。それはまだ知らせてない。四年前、特攻で多くのウィッチが敵味方を問わずに病んだからね。空母に爆弾を抱えた攻撃機や爆撃機が突っ込んで来りゃ…」
ダイ・アナザー・デイでは、帰還が不可能になった爆撃・攻撃機を(搭乗員の生死はともかくも)敵艦に突っ込ませる事が普通に行われた。特にウィッチが発進しようとしている最中に突っ込むのがウィッチには精神的に効き、敵味方を問わずに精神を病むウィッチが続出。戦争神経症、シェルショックの研究がウィッチ世界で本格化するきっかけとなった。
「映像は見せた?」
「彗星や九九式艦爆が突っ込んでいくのをね。エセックスに爆弾抱えたまま突っ込んでみ?坂本先輩でも顔色失うって」
義勇兵向けに少数が使われたそれらは特攻にも使用され、敵艦をスクラップにしていった。それとウィッチの心も持っていった。ドリームもいうが、坂本Bでも顔色失うほどの衝撃があり、ミーナBやサーシャBなどは吐き気をもよおすほどであった。また、ダイ・アナザー・デイ中盤で欧州系ストライカーの整備部品の備蓄が枯渇し、後半はF-86や扶桑系ストライカーを皆が使わざるを得なかった事も伝えられた。欧州機は反復出撃を前提にしていたために航続距離が短く、敵の絶え間ない攻撃で整備中に格納庫が爆撃される事もあり、中盤頃には64Fといえど、部品の備蓄が尽きてしまった。欧州諸国は同位国の横槍による軍縮や生産縮小で64Fにさえ部品供給が不可能となり、扶桑系で穴埋めをするしかなかった。それに至り、欧州では過剰性能とされていた扶桑機の長い航続距離が脚光を浴びたのだ。また、衝撃なのは、敵がジェット戦略爆撃機を低空で侵入させ、戦線の航空基地に痛撃を浴びせる映像だろう。
「ツボレフがこっちの防空の隙を突く映像は?」
「見せてると思うよ?あの巨体が巡航ミサイルをぶち込んでくるのは衝撃だろうから」
「どこから手に入れたのかな、ツボレフなんて」
「ロシア空軍からだと思うよ?あそこ、反統合同盟の盟主でもあったし」
「あそこって嫌な国だねぇ、ほんと」
ダイ・アナザー・デイ以降でのロシア連邦の暗躍は公然の秘密のようなもので、プリキュア達の間でも嫌われ者であった。学園都市に敗れた後も中興を夢見ているロシア連邦は22世紀で統合戦争を引き起こす事も知られており、もっぱら敵国同然であった。カールスラント空軍の凋落の一因である『スコアへの疑義』もロシア発なので、オラーシャがその分、割を食った形である。
「そう言えば、つぼみちゃんの素体になった子、どうやって生き残ったの?」
「フェイトちゃんが『一回前の時』に歴史改変をした時の名残りかな?今回は『生き残った代価に昏睡状態になったんで、フェイトちゃんのお母さんが肉体を冷凍保存してて、フェイトちゃんを生んだ後に一縷の望みをかけて、新薬を試したら覚醒めた。その時にはもう、つぼみちゃんとしての要素が混じってて、M動乱のタイミングで、キュアブロッサムとしての力が戻った』んだそうだよ。今じゃ、研究者が本業だけど」
アリシア・テスタロッサは本来は活発な性格であったが、花咲つぼみの要素が入ったので、運動神経は良くない部類になっており、頭脳明晰になっていた。そのために現在は魔導研究者になっているので、戦闘が本業ではない。また、フェイトはハラオウン家の養子になったが、彼女はテスタロッサ家を継いだため、別々に暮らしている。
「つぼみちゃん、けっこう今の人生楽しんでるみたいだよ?えりかに会いたがってたけど」
「えりかちゃんとどういう関係だったの、のぞみちゃん?」
「出身世界だと、大学ん時の同じ学部の後輩でさ。卒論手伝わせちゃったんだ」
「のぞみちゃん、いいの~?そんなの」
「気がついたら期日の二週間前でさ…。えりかに泣きついて、そのまま…後でちゃんと焼き肉奢ったよ~?いやぁ、申し訳無い…」
大学生になっても、どこかでドジを踏むのは変わっていなかったのが窺える。また、出身世界で同じ学部の先輩後輩の関係であるため、来海えりかのことは呼び捨てで呼んでいたのがわかる。
「あたしは違う大学…っーか、世代が違うか」
「マナちゃんはラジカセ知らなかったじゃん?あたしは子供の時から使ってた世代だからね」
のぞみとマナは元々、世代がかなり離れている。その関係のジェネレーションギャップは当然あるのだ。
「うーん。それを考えると、かなり離れてるね、お互い」
「本当なら会うはずない差だもんね、はるかちゃん以降の代とは特に」
「大人になると、そういうの意識しちゃうなぁ」
「あたしはそれで失敗したけどね、ハハハ…」
「あたしも戦車道はありすに負けるわ、黒森峰の再建の道筋を一年でつけろなんて言われてるからね。苦労が多くてさ」
「ありすちゃん、今はどうやって来てるの?」
「大洗が大会をする間を縫って来てる。ダイ・アナザー・デイでも、隊長に電話で戦術指南してたよ。大洗にいる子は忙しくてね」
プリキュアも大洗女子学園在籍組はイベントが多いので、その間を縫って来ている事が示唆された。また、ダイ・アナザー・デイでは秋山優花里に協力してもらい、ミーナに戦車戦術を仕込むなど、自分が来られる以前から協力してはいた。また、覚醒のタイミングが7人ライダーに助けてもらった後なので、遅くても、大学選抜チームとの試合の時にはキュアロゼッタとしての能力を取り戻している。また、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの立場になった姉の同位体(みほの世界には別個体のまほが別に存在している)とも良好な関係である。この時点では『四葉ありす』名義で中尉の階級を得ており、キュアソード/剣崎真琴以外の『ドキドキ!』勢は揃っている。
「真琴ちゃん以外はいるんだ」
「まこぴーは元々、トランプ王国の戦士だったからなぁ。なんとか会いたいんだ」
「ファンだったんだっけ」
「うん!ああ、どこにいるんだろう、まこぴー…」
と、落ち込むマナ(キュアハート)。キュアソードの事を探しているらしいが、数年間の捜索でも見つかっていないからだ。
「よ、二人共」
「奏ちゃん」
「先輩達へのあいさつ回りが終わったとこ。階級は少佐になったし、ゼッツーじゃ地球圏は飛べないから、プロトを回してもらった」
「えー!Zガンダムを!?」
「そそ。これでもエゥーゴ時代からの古参だしさー」
南野奏/キュアリズムは地球連邦軍人『クレア・ヒースロー』を素体に転生したため、現役当時の清楚さと無縁のおちゃらけたキャラになっている。クレア・ヒースローとして、MSのエースパイロットであったため、普通にZ系を回してもらえる立場である。下士官から叩き上げたためもあるだろう。この頃には少佐に任ぜられ、ロンド・ベルに転属済みである。キュアリズムの姿にはなっているが、振る舞いはクレア・ヒースローとしてのおちゃらけたものだ。
「その、ずいぶん変わったね」
「20代になってから覚醒したしね。それに、確固たる自我があると、前世の記憶が覚醒めても、人格はそうは変わらないさ。響だって、似たようなもんじゃん?」
「言えてる。でも、Zなんて、よく乗れるね?」
「あれを乗りこなすのが一流の証だよ、のぞみちゃん。
Zガンダムの系譜にあるマシンは基本的に『尖鋭的な挙動を示す』ため、ジム系に慣れたパイロットでは乗りこなせない。また、戦闘機操縦技能も必要になる都合で『乗り込み』は敷居が高いとされ、一般向けのMSではないと有名だ。だが、可変戦闘機の普及後は幾分かハードルも下がり、管制MSの進歩でリゼルが生まれたが、性能は『メタスになれるジェガン』程度であるので、本式のZ系統は需要がある。
「Zはじゃじゃ馬だから、ジム系やリゼルより乗りこなしがいがあるさ。特にプロトはね」
「プロト?」
「後発のプラス系統が出来た後のオリジナルの呼び方だよ。オリジナルは装甲が柔いって批判があるけど、エプシロンで作り直してるから、問題ないよ」
デザリアム戦役前後の時期からの地球連邦軍がガンダムタイプの装甲やフレームに採用し始めた『ガンダリウム・エプシロン合金』。本来は核パルス推進器の素材として開発されていたが、核パルスの必要性が波動エンジンの採用で無くなると、生産面と強度の改良が施されたモデルがガンダリウムγに代わるMS用高級装甲として採用され、新造ではペーネロペーやガンダムレオパルドから採用された。その優位性はネオ・ジオン製MSの高出力ビームの一斉攻撃でもダブルエックスの装甲が損壊しないという事実で証明されている。
「たしか、核パルス用を転用したんだっけ」
「そそ。その名残りで耐弾能力は従来のガンダリウム合金の比じゃない。γを壊せるビームもエプシロンの前には無力。高級なガンダニュウム合金に一番近い性能が得られたガンダリウム合金だね。ジオン残党やザンスカール残党にはオーバースペックだけど、Fシリーズが出た後は型落ちのZガンダムも、あれま、第一級に返り咲きさ」
ガンダリウム・エプシロンの高性能ぶりは本来の目的外で使用されることで注目された。旧式になった過去のガンダムタイプを第一級の機体に生まれ変わらせるほどの効能があるからだ。(使用される機体内部の各装置の耐久性が飛躍的に高性能になるため、型落ちの旧式機をベースにしていても、性能が高性能化する)流石にガンダニュウム合金ほどではないが、それに近い特性が得られる『量産可能な装甲』である点では特筆に値する。特にガンダムタイプの中では軽装機で有名なZガンダムの防御力を飛躍的に向上させるという点は多大なメリットである。
「いいなー。ダブルエックスには乗ってるけど、Z系はまだ訓練中でさ」
「のぞみちゃんなら、プルトニウスが合うと思うよ」
「先輩が乗ってる機体だね?」
「第二世代のプラスタイプに分類される新鋭機で、防御重視の機体さ。なのはみたいに、火力をばらまくってのは君の性には合わないだろ?」
「あのさ、Zガンダムって、そんなに人気あるの?」
「少なくとも、デブッチョのZZよりはあるよ、マナちゃん。ZZはね、派生機が『デブッチョ』とも『
奏(キュアリズム)は転生した先の都合でZ乗りであった。Z系はフェイスデザインなどがRX系のガンダムのものとは一線を画する独特のものであり、(ZZを除いて)、スタイリッシュで細身の体型を持つ。その外観の美しさから、MSマニアの間でも人気が高く、複数の戦争博物館にレプリカが陳列されるほどである。
「へー……」
「君が戦車道で乗るティーガーみたいなもんさ、ダブルゼータは。もっとも、ダブルゼータは攻防速が共に高いけれど、エースパイロット、それもかなり上位のエースじゃないと真価は発揮しない。なのははレイジングハート・エクセリオンの助けで動かしてるから、できるのさ」
「時空管理局をどうやって納得させたの?」
「デバイスが動かせるような改修と、補助動力に管理局式の魔導エンジンをぶっこんだんだって。管理局なりのプライドだけど、あそこに保つだけのプライドはもう無いと思うけど」
「あそこ、政庁とかあるっけ?」
「行政も管理局が殆ど握ってたみたいで、連邦も目を回してるってさ。三権分立?なにそれ状態だし、犯罪歴があっても高位に登れちゃうとか…」
地球連邦はデザリアム戦役後からミッドチルダの間接統治を正式に始めたが、地球連邦も目を回したと言うように、組織運営が杜撰の一言。三権分立はされていない、警察なのか、軍隊なのかはっきりしないため、地球連邦の高官は「よくこれで多くの管理世界を持ったものだ…」と嘆息したという。時空管理局の内幕はM動乱の分裂後に明らかとなったが、次元世界の平和維持の名目を掲げているが、ミッドチルダ出身者が独善的に最高意思を決めていた事から、内幕を知る世界からは反発も大きいのと、一部の局員の横柄な態度がもとで肝心の管理世界から援軍が得られなかったという大失態も犯したため、ミッドチルダの政治的発言力は大きく低下。代わりに未来世界の地球がミッドチルダに代わり、実質の管理国になり、その運営権を引き継いだ(ミッドチルダを含めた『現生人類』タイプの人類の起源は地球であるため)。再編の過程で三権分立が進められ、なのはは軍事部門、フェイトやティアナは警察機構(実務的な執務官の数が少ない上、優秀な魔導師が軍事部門に偏るのを恐れたクロノ・ハラオウンとリンディ・ハラオウン親子が両名を必死に警察機構に引き止めた)に属する事になったが、フェイトとティアナは乗り気ではなかった。(フェイトは軍へ移籍する計画であり、ティアナは生存の確認後、リンディ・ハラオウンが管理局籍を復活させており、そのまま執務官資格を与えてしまった。ティアナは既に扶桑軍へ転じていたが、クロノが『籍だけでもいいから残ってくれ…。君の兄さんを貶した連中は全員が動乱で死んでいるのを確認している…』と懇願した。フェイトは『このクソ兄貴!!そんな言い方があるかぁーー!!』と激怒し、クロノをボコボコにしている。ティアナ本人も、兄の公的な名誉回復と『執務官にしてくれる事』をバーターの条件に提示。クロノが呑み、リンディが最終的に承諾。管理局籍が復活した)
「フェイトちゃんとティアナ、相当に愚痴ってたよ?」
「当たり前さ。お偉方の都合で警察機構に残る事になったんだよ?軍からお誘いがあったのに。たぶん、執務官の多くが内勤志向で、事なかれ主義だったのが理由だろうな。そうでなきゃ、異世界で本式の軍事訓練を受けてる人を残す理由がない。それにティアナはともかく、フェイトは子供時代に『強要された』とは言え、犯罪歴がある。本当なら、警察機構じゃ大した出世は出来ないし、上の方針一つでクビにできる身の上だ。だけど、はやてがそうであるように、管理局は元から人手不足の組織。それがあの動乱で余計にひどくなった。組織が空中分解しておかしくないくらいに。だから、『更生した』と判断すれば、都合のいいように重用できるようにする体制が出来ていったんだろう。それの元は旧体制下での軍隊の雇用方針だって話もある」
ミッドチルダの現体制は良くて、100年とちょっと程度の歴史しかない。その短い間に肥大化した組織が地球連邦政府より早い速度で腐敗した結果、M動乱での破綻を招いた。ミッドチルダは古代ベルカが戦乱で滅んだのと似た顛末を辿ったと言っていい。また、最高評議会そのものが地球の元ドイツ軍人(第二次世界大戦時。あくまで、『このミッドチルダにおける時空管理局』の話だが)だったため、時空管理局の存在意義そのものが疑義を呈された。とは言え、ミッドチルダの築いてきた社会秩序の崩壊は次元世界の望むところではないため、実質は地球連邦政府(地球星間連邦)の傘下に収まりつつも、時空管理局はなんだかんだで存続していく。 また、ベルカ自治領における聖王協会の自治も、オリヴィエの護衛騎士であった調の尽力でそれまで通りに認められ、調は以後、ミッドチルダでは聖王協会を隠れ蓑にしていく事になる。(聖王の護衛だったため、それを奉じる聖王協会では、かなり高位に任じられているとのこと)
「なるほど。あそこの旧体制の資料はないの?」
「無限書庫にはあると思うけど、なのはの幼馴染が過労死しちゃうレベルだって」
「なにそれ…」
「古代ベルカの資料も奥深くにあったから、探すだけで数ヶ月かかったんだってさ」
黒江が行方不明になった事件の際、圭子は無限書庫の司書長で、なのはの幼馴染『ユーノ・スクライア』をこき使い、黒江が飛ばされたと思われた古代ベルカの資料を探させたが、数ヶ月も時間を要し、ユーノはイライラする圭子へ逆ギレを起こした事もあるほどに果てしなく広く、膨大である。ミッドチルダ旧体制の遺した資料など、どこにあるか見当もつかないという。なお、なのはとユーノは無自覚ながらも恋愛感情があるが、ユーノの多忙、なのはの粗野さが原因でそれを自覚するには至っていない。黒江やのび太は『そのうちひっつくな』と見当をつけているが、いつになるかをトトカルチョで賭けているという。
「そう言えば、フェイトちゃんがかれんさんとこまちさんを探してくれた時にも、彼、そんなこと言ってたなぁ」
「あの人、なのはちゃんに気があるんじゃ?」
「そうだよ。問題はなのはがアレ以降、粗野になった上、もう子持ちだしなぁ」
なのはがユーノ・スクライアと過去にいい感じだった事はプリキュア達にも周知の事実だが、なのはが『いい子である』ように取り繕う事をやめ、粗野になった上、既に養子縁組を結んでいる身なので、結婚は難しいだろうと思われている。この頃にはかれんとこまちの居場所の関係で、彼と面識があるのぞみ(キュアドリーム)だが、なのはが既に子持ちであるのがネックであると見抜いており、なのはとユーノの二人が表立っては恋愛絡みの話はしていない理由も悟っていた。とは言え、ユーノを過労にさせた一件の際には圭子に詰め寄って、『ユーノ君を殺す気ですか!?』と怒鳴り、書庫の中でエクセリオンバスターを撃とうとするなど、成人後も彼を大事に思っていると思われる場面もある。そんな話を、基地ののどかな日差しの差し込む位置にある、ある晴れの日の休憩室で、ジュースやコーラを片手に、プリキュア姿でしあう三人だった。(のぞみ、奏、マナ)