ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回は色々と入れてあります。


第三百五十一話「B世界のウィッチ達の憂いと…」

――23世紀地球は結局、宇宙怪獣や異星人の侵略で軍備の放棄を諦め、地球連邦軍を存続させた。政治的にはそういう理由だが、軍事ノウハウを全て放棄した場合の『技術的後退』への懸念、多数発生するであろう『失業軍人』への対策による財政的な都合も絡んでいた。異星人との生存競争が常態化したのも、同胞同士は無くなったとしても、異星人相手には必要という事実が突きつけられたハト派の大誤算であった。結局、同胞同士の闘いですら無くならないのに、異星人相手に毎回毎回の生存競争では、地球が本気で持たない。恒星間移民が進むのは、異星人からの自衛も含んでの選択だった――

 

 

 

 

 

――民間軍事会社が肥大化し、かつての大国の軍隊並の軍備を持つようになったのも、民間軍事会社の法的規制の強化、軍隊の復権に大きく貢献した。民間軍事会社のエース部隊は有事を理由に、軍に根こそぎ編入された。その人員は独立外殻艦隊に回されたため、例として、S.M.Sのスカル隊、ケイオスのΔ小隊は書類上、ロンド・ベルに編入されている。民間軍事会社の政治的取引の結果だ。そのため、新兵器が独立艦隊に集中してしまうという問題も発生し、政府は今度はその問題に悩む羽目となった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑へ輸出された兵器は地球連邦軍で型落ちになったモデルが中心だが、現用品も数多く輸出された。VF-171やVF-11の在庫の多くは扶桑空海軍に輸出され、同国の他国への軍事的優位に貢献した。これは21世紀型戦闘機の大量生産に日本が難色を示したための兼ね合いで、却って、自分達の入る余地がない可変戦闘機の普及を促進させてしまったわけだ。カールスラントに兵器のライセンス料をぼったくられていた事を知った扶桑はカールスラントへの愛想をほぼ尽かし、未来兵器の普及を促進させる。カールスラントは兵器技術の輸出による外貨獲得を地球連邦にコテンパンに潰された形となり、長きに渡って財政難に苦しむ羽目となった。(ヘルマン・ゲーリングの事実上の失脚、燃料噴射装置のライセンス提供を渋ったボッシュ社の苦境、ジェットエンジンの普及に伴うレシプロエンジンの軍用需要の低下など)

 

 

 

 

――B世界のウィッチらはレシプロ機が消えていき、ジェットエンジンが主流になりゆく状況に複雑な心境であった。嫌われる原因であった加速力もアフターバーナー(オグメンダー)の装備で改善され、旋回性能も桁違い。マッハ2以上の速度が当たり前になるなど、技術の発展の速さに目を見張った――

 

 

「こっちのあたしは速度記録を更新したようだし、半分はパイロットに転じてる上、スーパーヒロインだ。そうでないと、仕事になんないんだろうな」

 

「この世界はどうなってるんですか?シャーリーさん」

 

「1945年を境に、全てが変わっちまった世界だろうさ。あたしらにできることはほとんどねぇよ。特に、宮藤、お前にとっちゃ辛いだろうが、これは現実だ」

 

シャーリーBは『自分達の出る余地はない』という見解である。実際、戦ってみたが、動きに一定のパターンがある怪異と違い、有人戦闘機との空戦は駆け引きを必要とする。更に武器の威力も桁違い。元の世界では、若いウィッチの多くは人同士の戦争に駆り出される可能性を考えてもいない。怪異のおかげだが、怪異の脅威が薄れた世界では『それ』が起こり、信じられないスピードで兵器技術が進む。四年の間に超音速機が普及し、旅客機も大型ジェット機が現れ、飛行艇が少数派になり始めている現状は『戦争による技術革新』の実状を表している。二式飛行艇も『旧式化』を理由に、第一線からの近々の引退が予定されているという。

 

「仕方あるまい。技術革新でB-17だろうが、富嶽だろうが、旧式の烙印を押されている。レシプロ機が一線の戦闘任務から消えるのも、時間の問題だろうな」

 

「この世界のことだから、あたしらにつべこべ言える権利ないもんな」

 

「そうだな。宮藤、お前のような若い者にはわからんだろうな、こういう気持ちは」

 

坂本Bとシャーリーは分を弁えている。芳佳Bは救難任務に顔を隠して参加しているが、『なにかしないと落ち着かない』という気質が招いた騒動の末に充てがわれた仕事である。(本人としては)別の自分が成功しているのを邪魔するつもりはなく、力になりたい一心だったが、結果的に『同郷』の二人の先輩を精神的に傷つけてしまったのは、自分の本意ではないと釈明している。

 

「わかります。この世界に来て、もう一人の私が『変わってる』ことに歯がゆさがあったんです。だけど、この世界じゃ、震電でも追いつけない敵がいて……。何のために呼ばれたのか…」

 

「私のためかもしれんな」

 

「坂本さん…?」

 

「私は近いうちに魔力の枯渇が起きる。そして、あのまま戦っていれば、お前を巻き込んで魔力を失ってしまった。それを避けるためのお召しぼしだろうな」

 

苦笑交じりの坂本。一つの結果を知った故でもあるが、一つの隠し事がある。

 

(まぁ、あれは言うまい)

 

坂本Bは密約により、64Fの武力でB世界を統べ、その後に割腹自殺するつもりであった。元の世界で、派閥抗争の末に師のウィッチ生命が絶たれたことは坂本の軍上層部への怨恨の根源である。また、やはり事変における内部抗争は起こっており、坂本Bは上層部の大半を弑逆してでも、その排除を考えていた。言わば、やることは大罪に近い。全てを墓へ持っていくため、実行に先立って、『航空機事故で行方不明』という形で死亡を装うという事前準備も行うつもりである。また、上層部のクーデター計画をでっち上げた上で『錦の御旗』を得る算段であるなど、かなり練った計画を立てていた。坂本はB世界で怪異がいなくなった後にどうなるかを憂いており、A世界の武力で『統一』し、戦乱の根を摘むことを自らの死と引き換えに実行するつもりであった。皆を巻き込まないよう、先立って『死』を偽装した上で。これは『派閥抗争から師を守れなかった坂本Bが、自らの死を以て実行する壮烈な復讐劇』と言えた。それを隠した上で、変わりなく装うという高等テクニックを見せるあたり、Bが軍内で『はみ出し者』と見られていた故だろうか。

 

 

「この世界では、零式の後継は烈風という機体らしいが、すぐにジェットに取って代わられたと聞いた。なんとも寂しいよ」

 

「私たちの世界だと、ないのか?」

 

「通常戦闘機の開発は遅れ気味でな。零式も数年前(B世界での1942年)に採用されたばかりだ。そこにさらなる新型機など。この世界の開発速度は異常極まりないよ」

 

B世界では、零式が1945年次でも、全空母へ行き渡っていないなど、通常兵器の開発・生産はおざなりにされていた。A世界では、紫電改/烈風の量産開始と同時に、次の世代である『陣風』が開発開始されている。未来世界の援助がなければ、通常兵器は二の次にされがちであるという現実である。

 

「確かに、そこから更に四年ぽっちで、再燃焼装置で加速性能を改善したジェットが量産されてるからなー、この世界」

 

「宮藤の気持ちは分からんでもない。だが、この間に、宮藤に全てを教え込めることでもある。宮藤を一人前にしたら、私は田舎にでも引っ込むさ」

 

「冗談はやめてくださいよ。縁起でもない」

 

「すまんな。だが、実家の両親のこともあるからな。半分は本当だ」

 

不安げな芳佳Bに、坂本Bは冗談と笑う。芳佳Bはホッとした顔を見せる。シャーリーBは僅かながらも、坂本Bから『影を背負っている』ような雰囲気が出ている事を感じ取り、次第に不審に思い、こちらも行動を起こす。その点でシャーリーは伊達に、『坂本とバルクホルンの後継を目指しての育成がされてきた』わけではないところを見せたといえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

――B世界のウィッチ達は基本的に、定期的な飛行訓練が許されている他、リーネのように、A世界の自分の『影武者』を演ずる日々を選ぶなど、多種多様な生活を送っている。芳佳は気質もあり、救援班に顔を隠して参加している。坂本から『この世界でのお前は有名人なんだ。軽はずみな行動は控えろ』と戒められつつも、何か手伝いたいと懇願した末の妥協であった。サーニャはせっかくだからと、ピアニストとしての活動をしている。A世界での『サーニャ』は(公には)退役軍人だからだ。A世界で起こったカールスラント、オラーシャの混乱に戸惑う者も多く、B世界でも『502の隊長』であったサーシャ、『504の副隊長』であった竹井は息を呑んだ。特に、事変の様相が根本から異なる事、ウィッチ以外の異能が確認され、基礎的な魔力値が高くない黒江や圭子はウィッチでありつつも、別の異能をメインにして戦って成り上がった事、異能が目覚めたために、人格までが変わった者までいる事は衝撃だった。更に、先祖伝来の剣が他国の国宝級の代物だったなどの事例もあった。扶桑の苛烈な政治的報復がカールスラントを襲った結果、『第三国』の干渉と併せて、いっぺんに衰退を起こし、わずか数年で、見る影もないほどズタボロになった経緯、オラーシャは内乱で帝国が分裂、紛争地帯化していることはB世界からすれば、信じられない出来事であった。更に、異世界の超兵器が有無を言わさない力で怪異を倒していった事もウィッチの権威の失墜に繋がった事も――

 

「異世界の超兵器、その力を異能として宿した者の出現……」

 

竹井Bは、ウィッチ以外の異能が発見され、それが市民権を得るにつれ、つぶしの効かない旧来的意味のウィッチは長期的に従軍するしかなくなってきていることに複雑だった。元々、ウィッチは成人するまでの10年限定の異能で、10年で世代が入れ替わることは当たり前だった。育成費に見合わない成果しか出ない世代が生ずるのも当然だが、合理性を突き詰められていくと、突出した才能を持つ者ばかりが優遇される。当然、集団主義の強い扶桑では反発が起こったが、ウィッチ以外の異能が次々と確認され、しかも、その保有者が軍のトップクラスの撃墜王。その活用に舵を切ったのは当然の流れであると。

 

「どういう事でしょうか、竹井少佐」

 

「この世界では、私も含めて、そちら側なのよ、大尉。ミーナ中佐はその事が記された人事書類に目を通さず、先入観で敵視した。それが彼女のこの世界での失敗の始まりだった」

 

「何故?」

 

「彼女はウォーロックや、同志の大将の失脚の一件で上層部不信に陥っていたそうよ。それが災いし、上層部の良識派の厚意を額面通りに捉えなかった。この世界の扶桑で五指に入る手練れを『年齢だけで』お目付け役と思い込んだ」

 

「それが彼女の?」

 

「そう。失墜の要因。隊を乗っ取られるのを警戒し過ぎて、外交問題を起こしかけた。それで、上層部も指揮権の停止を指令するしかなかったそうよ」

 

「それで、扶桑の部隊に?」

 

「戦闘団そのものが取り込まれる大義名分に使われたそうよ。彼女はそのショックで錯乱し、一時的に療養施設に入れられたそうな」

 

A世界での公式記録では、そうなっている事がわかる。人格の変容は『元帥や大将クラスしか閲覧不能な機密事項』となっている事がわかる。ヘルマン・ゲーリング元帥が失脚した事も併せ、カールスラント空軍の権威失墜の原因になったとも。

 

「この世界では、異世界の情報で、上層部も政治的理由で揺さぶられたそうよ。それで、ヘルマン・ゲーリング元帥は失脚、カールスラントの将校は政治家から品位を疑われる事態になった。それで民間軍事会社に転じた者も多いと言うわ」

 

カールスラント空軍の将校の内、扶桑にコネがある有力者はガランドの誘いに乗り、G機関の一員となっていったが、そうでないものは民間軍事会社に転じたり、隠遁生活に入った。それもあり、カールスラント空軍は凋落の一途を辿っている。艦艇攻撃のノウハウもは愚か、渡洋攻撃のノウハウも持っていなかったのが仇となり、この時代には『二流の軍隊』と嘲笑される立場にあった。地政学的立地が変わってしまったため、それまでのノウハウが適応できなくなったのである。

 

「それで、今では航空機の航続距離も1500キロ以上が当たり前。ベルリンからドーバーへ飛び、30分以上も現地で空戦ができるなんて、欧州の人間からは信じられないでしょうね」

 

欧州用に航続距離を切り詰めた改良がされた機種は太平洋戦線では切り捨てられ、逆に航続距離延伸がなされる様相となったのは、地政学的には仕方なかった。南洋を守るには、紫電改や雷電の航続距離でも、まだ足りないくらいなのだ。また、異世界の技術である熱核反応タービンエンジンの登場で、補給基地さえあれば、そこで戦い続ける事も夢ではない。

 

「でも、まさか、魔力による身体強化を上回る人間がいるなんて」

 

サーシャは記録にある『敵の超人』に目を見張る。ウィッチの優位性が絶対ではない事が示されたのも、権威の失墜に繋がった。プリキュアやシンフォギアなどの力を持とうと、素で極限まで鍛えた、あるいは科学で強化された人間がそれを上回るという時点で、ウィッチの優位性は儚いものであると認識させられた。気などを高度に制御すれば、瘴気の無効化もできるというレポートはある種の衝撃であった。また、治癒魔法も万能ではないので、四肢を失ってしまった場合は傷口の止血などにしか効果はないというレポートは宮藤芳佳にとってはショックだろう。

 

「ルーデル大佐の事でしょうか、このレポートは」

 

「おそらくは。片足を義足にしていたから。大佐はウォーモンガーのようだから。私たちの世界では退役しているはずだけど」

 

「しかし、階級が佐官どころか、将官になっても前線に出ているのは」

 

「仕方ないことだけど、この世界では、日吉という土地に連合艦隊の司令部を移動させようとしていたのだけど、世論の圧力で頓挫して、昔のように、戦艦の艦上から指揮する方法が続いてる。武士の時代の名残りね」

 

竹井は世界線が違おうと、連合艦隊司令部を陸に上げる派閥寄りであった。A世界においては日吉への移転に賛成していた過去がある。事変の教訓で、長門型戦艦や大和型戦艦などの決戦兵器の出撃に躊躇する事態を避けるためであったが、かつての東郷平八郎元帥のもたらした功罪はあまりにも大きく、(A世界においては)結局は妥協的に、『大和型戦艦とその後継艦らの一隻を海上司令部代わりに使用するが、自らも前線で戦う』運用が定着した。その兼ね合いで、結局は最新最強の戦艦が旗艦となる事が未だに続いている。竹井は事変の経緯を鑑み、全艦艇を機動的に運用すべしという持論を持っていたが、結局は宇宙戦艦ヤマトなどの強力な戦艦でもなければ、単艦運用は夢物語である現実に打ちのめされているようだった。どこか悲しげなのは、宇宙戦艦の時代になっても、ワンオフの高性能品でない限りは艦艇の単艦運用は難しいという厳しい現実によるものであった。更にいえば、自衛用の艦載機が搭載可能であることも、高性能艦の証であるという現実は竹井Bを幻滅させるには充分であったらしい。

 

「時限付きの異能に溺れた者の顛末としては明るいほうかもしれないわね…」

 

竹井は自分達を『異能に溺れた』と表現した。B世界では、ウィッチ至上主義が幅を効かせているのが現実だからだ。そして、B世界での政治抗争を鑑み、『いっその事』と考える。事変で醜い政治抗争を目の当たりにし、師を再起不能にされた者がたどり着く答え。それは……。

 

 

 

 

――その頃、未来世界では、SVワークス(可変戦闘機製造・開発企業の一つ)が摘発され、ウィンダミアの蜂起を防ぐための外堀を埋める作業が進展していた。ウインダミア王国には可変戦闘機を整備する技術はあるが、製造施設はない。更に、純然たる地球人がヴァールシンドロームへの耐性を持つ事を公表し、主戦派の拠り所を潰そうとした。ゲッターエンペラーの時空を超えた行動を抑えるためである。だが、主戦派は既に現地の地球連邦軍の不手際により尖鋭化しきっており、願いも虚しく、後々に地球連邦へ宣戦を布告する。だが、地球の破滅を口にしたことが災いし、怒れるゲッターエンペラーの介入は避けられなかった。後々の時代の記録によれば、『ウインダミアの全ての攻撃はゲッターエンペラーには無力であった。次元兵器の起こしたワームホール、ついには星団の惑星すらも、こともなげに握りつぶす姿にウインダミアの首脳部は恐れ慄いた』という一文が記されているのみ。後世の記録によれば、ウインダミア王国は諸事情で王統が絶えてしまった後、共和国や自治区としてやり直すだけの気力もなく、国は自然解体。住民は地球連邦体制を次第に受け入れていったという――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ワルキューレは動乱でゲッターエンペラーを鎮め、地球連邦とウインダミアの和解に貢献したものの、フレイア・ヴィオンが寿命を燃やし尽くして死去。その意志は偶発的に生み出されたクローン(正確には、プロトカルチャー時代の遺産である『星の歌い手の細胞』がフレイア・ヴィオンの歌の影響で彼女を模した姿に成長したというべきか)に引き継がれた。彼女の遺した歌そのものは図らずも、ウマ娘『アグネスデジタル』が歌い継ぐ事になったという。――

 

 

 

 

 

 

――不思議なことに、歌声が生前のフレイアと瓜二つな事、その歌唱力も同等であった縁で引き継ぐ事になり、テイエムオペラオーに引導を渡した彼女が『勇者』と語り継がれる一助となった。この事はナリタタイシンが発見し、シンボリルドルフにその旨を伝えたことで具現化していく。折しも、テイエムオペラオーは肉体的なピークがシニア級で過ぎてしまったことも重なり、その覇道に終止符が打たれていく。アグネスデジタルはそれと入れ替わる形で台頭し、世代代表格のオールラウンダーとして名を馳せていく。その更に後輩が、シンボリ一族では外様に当たる分家の出ながらも、シンボリ一族の中興を担う雄『シンボリクリスエス』である――

 

 

 

 

 

 

 

――新世代を迎え撃つことになるナリタブライアン、トウカイテイオーの両名は同期達や先輩たちがターフを去り始める中でも現役を継続。シニア級の王者として君臨していく。それに引っ張られる形で、引退を検討していたナイスネイチャなどのウマ娘たちも現役を継続。結果的には、各世代の強豪たちがひしめき合う魔窟と化した。そんな中、スペシャルウィークとエルコンドルパサーはグラスワンダーを再起させるため、ドリームシリーズへの出走を表明。全盛期の実力を取り戻しつつある古豪達に挑む。タマモクロスが前走で見せた往時の『白い稲妻』な姿はドリームシリーズとトゥインクルシリーズの垣根に疑義を生じさせるには充分であり、更に、往時のG1ウマ娘たちが続々と全盛期の実力を取り戻し、現在のクラシック級が霞むレースを見せつける現象は協会をも驚愕させた。ウマ娘初の協会長となった、かつての三冠ウマ娘『シンザン』はこの事をドリームシリーズの盛りたてに利用し、夢の対決を印象づける。往時の実力を完全に取り戻した者たちによる『夢』だと。現役ウマ娘達とドリームシリーズ出走のウマ娘達の対決はこれまで、『平等ではない』とされ、見送られてきた。だが、シニア級にいかず、ドリームシリーズに行くウマ娘達が生じた事、タマモクロスが往時の『稲妻』に戻った事が確認されたため、シンザンはドリームシリーズの規則を変更することを決める。そして、新世代のウマ娘に前世代のウマ娘を舐め腐らないことを教え込むため、シンザンの遠謀深慮が動き出す――

 

 

 


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