ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百五十七話「Go!Now!3」

――戦闘は再開された。MSはA世界の者たち引き受け、B世界の者達は戦闘機を担当した。これはB世界側にはMSを倒す手段がないからでもあった。(せいぜい、センサーやカメラを損傷させる程度)とは言え、ジェット戦闘機時代の本格的な空戦はお互いの速度の都合上、射撃機会が前時代より遥かに少ない。そこがB世界のウィッチが苦戦する理由だった。

 

「なぁ!?クソ、当たらねぇ!!」

 

「落ち着け、ナオちゃん!相手の動く先を狙うんだ!」

 

「んな事言っても!」

 

B世界のウィッチ達は自分達から見れば、次世代にあたるジェット戦闘機に大苦戦する。この時に戦った相手はF-11。リベリオン本国側の新鋭機であった。機動力はメッサーシャルフ(B世界では改名されていない)Me262の比ではなく、横滑りで管野と『伯爵』の攻撃を軽やかに避ける。

 

「速度は同等レベルのはずだ。ボクたちがジェット戦闘機同士の空戦に慣れてない事が問題だな、こりゃ」

 

B世界では『ジェット戦闘脚を配備さえすれば、ネウロイに圧倒的優位に立てる』とされていたが、実際はそうではない。ジェット戦闘機が出れば、敵も同等レベルのもので対抗してくるという当然の道理の証明になった。

 

「元の世界の上層部が聞いたらひっくり返るな」

 

「確かに。ジェットを配備しただけで優位に立てると思ってるもの」

 

B世界のロスマンも同意するが、ジェット戦闘機が現れれば、敵もやがて同じような対抗手段を講じる。それはA世界の開発競争が証明している。A世界では既にコンピュータ制御の可変翼すら実用化間近であると聞いているため、瞬く間に流線型の機首を持ち、ショックコーンを持つ超音速機が現れた理由も悟っている。また、日本側の意向として『どうせ、この時代の学徒動員の工員には2000馬力級レシプロエンジンはまともに生産できないから、工程が簡便で、一定の性能が約束されているジェットで『純・戦闘機』を早期に置き換える』という決定があったのも関係している。(実際には予想以上に扶桑の工業能力が高かったのと、機種転換訓練の手間があるため、場繋ぎで陣風や烈風などが雇用維持のためもあり、生産されている)

 

「久しぶりで腕が鈍ったかな?」

 

「そんな冗談言ってる場合じゃないでしょ!」

 

ロスマンもだが、なかなか落とせない。ジェット戦闘機はレシプロ機より機体の反応速度が良かったりするため、レシプロ機では必中のタイミングでも、避けられる場合が多い。技術の進歩で機体のコントロール機構が進化したためだ。とは言え、フリーガーハマーの弾速では避けられるだけであるため、この時はロスマンもサーニャBも同武装は携行していない。そもそも弾速が遅すぎるのだ。

 

「向こうがガンガン落としてるのに、ボクたちが落とせないんじゃ、沽券に関わるよ?」

 

「向こうは慣れてるのよ?まさか……、状況が違うだけで、こうも手間取るなんて…」

 

ロスマンBは自分達ほどの古参ウィッチが上手く戦えない屈辱、カールスラントの政治的衰退が起こった世界では、自分たちカールスラント空軍は『口先だけのハッタリ』、『スコア粉飾野郎』と蔑まれている事に衝撃を受けた。1949年では自国の在来式ストライカーは第一線での使用に耐えられず、扶桑製ストライカーを使わざるを得ないという状況に追い込まれている事はカールスラント製のストライカーでの一撃離脱戦法に慣れた者は戸惑っている。(一撃離脱戦法そのものがジェット戦闘機とレーダーの普及で陳腐化しているため)

 

「私の絶対魔眼はあくまで対ネウロイ用で、通常兵器には役に立たない…。まさか、こんな事になるなんて」

 

雁淵孝美Bは自身の能力はネウロイ戦専用で、対通常兵器には使えない事に歯噛みして悔しがる。また、対怪異(ネウロイ)では、ウィッチ一人は戦闘機10機に匹敵する戦力とされているが、通常兵器相手では『ホバリング』などの利点しか存在しない(装甲弱体化効果も無いため)ため、世代が進んだジェット戦闘機を落とすには本来、相当の熟練を必要とする。A世界の自分達が単騎で圧倒できるのに対し、あまりに大きい落差である。

 

「向こうのお姉ちゃんは超人になったって聞いたよ?」

 

「え、ええ。魔力に頼らなくても、それ以上に強くなったと聞いたわ。でも、そんな力、どうやって…」

 

孝美Bは伝え聞いたA世界の自分の評判は戸惑いを感じさせ、『鷲座の孝美』と自ら称するという『冷静に考えると、ものすごく恥ずかしそうな渾名』を持つという点では、自分と異なる感性であるのが分かる。とは言え、この時期には自分は引退して然るべき年齢に達しているはずなのに、未だ現役なのは不思議である。

 

「事前に情報は渡されていたが、まさか……。ここまでとはな」

 

グンドュラBも思わず愚痴る。ジェット戦闘機は1945年当時の常識では、『スピードはいいが、加速力がなく、旋回性能も低いから、対戦闘機戦には使えないだろう』と見積もられていたが、改良といくつかの技術革新だけで多くの弱点が無くなり、自分達とまともに空戦がこなせるまでになるとは夢にも思ってなかったのがよくわかる。しかもF-11は事実上の失敗作である(エンジンの出力不足など)のに、だ。

 

「くっ…!!」

 

ロスマンBはなんとか隙を突いて、一機を落とす。ロスマンほどのベテランでも、初の対峙はこんなものだった。慣れない機体、初めての敵のコンボでは、レシプロに慣れていたB世界の者達にはきつい仕事となった。

 

 

 

 

 

――対照的に、A世界のウィッチ達は激戦で鍛えられたため、F-11はいいカモであった。こちらはジェットでの戦いに慣れているためで、更に言えば、手慣れているからと、旧来型の武装で戦ったB世界側と、積極的に最新武装を用いるA世界側の差でもあった。

 

 

「向こうは手間取ってるようだな、セラさん」

 

「ま、昔の武器じゃあんなものよ。ジェットの装甲を正面からぶち抜く火力は無いもの。通常兵器相手の火力はせいぜい15ミリ銃相当の火力しかないから、向こうは」

 

64F側はエースであるほど未来兵器を使う傾向があり、セラも魔導誘導弾の他はZ系MSの使うロングライフルのダウンサイジング版を使用している。セラは菅野の先輩にあたるので、一応は敬語を使われている。隊への復帰後は中隊長格で遇されているが、他部隊なら航空団の司令でもおかしくない階級である(大佐)。

 

「向こうは俺達の階級がやたら高いのに驚いてたよ?」

 

「そりゃ、本当なら部隊の隊長や航空団の司令でいいくらいの階級の連中がゴロゴロいるもの。先輩達からして、本当なら方面軍司令級よ」

 

セラも言うように、黒江達は本来であれば、各方面軍の司令であっておかしくない地位であるが、日本側が『無敵の部隊を持つ事』を目指したのと、ウィッチ兵科の将来的解消が決まったため、継続的な新人の大規模育成の必要が薄れたのも、64Fのダイ・アナザー・デイ後の存続が決まった理由の一つである。もう一つは『1945年』が終わったため、1960年代まで日本系国家には『天才』と呼ばれそうな腕っこきが出ない事がわかっているため、現役の撃墜王を一点集中で使い倒そうと考えたわけだ。それが中将まで昇進していた黒江達が一部隊の大隊長という『少佐でも務まりそうな役職』であるのは『転生者である』事を公にしない代わりの役職であり、なおかつ、現在籍者での日本版44JVを目指した結果なのだ。そのため、大佐でも使い走りであり、金鵄勲章が部隊章代わりとも言われる所以だ。日本は『教官として分散配置して、新人に足を引っ張られて死なれるより、全員をエースにして、戦場で無双させるほうが人材の空費にならない』と考え、(戦車エースのヴィットマンの例も引き合いに出して、強引に押し通した)64Fは生まれた。そのため、ダイ・アナザー・デイでは友軍の支援はまともに受けられなかったが、この時代では、50Fが64Fの露払いとして配置されている。扶桑の空戦ウィッチ兵科そのものが解消に向かい始めたため、連合軍参謀本部のコントロールが効く精鋭部隊のみを戦線に置く方針もあり、多くのウィッチは本土か台湾の防空の名目で留め置かれていた。これは1949年に在籍するウィッチの多くは古参を省いた場合、大半がクーデター後に任官された実戦経験のないウィッチであった上、ストライカーのジェットへの世代交代で練習用ジェットを用意する必要に迫られるなど、教育体系の見直しが遅れていたため、前線は少数派の古参ウィッチで支えるしかないのだ。

 

「こっちの事情は?」

 

「説明したわ。向こうは納得しない者も多かったわ。この時期になっても後輩に襷を渡さないのかって」

 

「誰だ、そんな根性論と言おうか、なんてーか」

 

「貴方とひかりよ。向こうの、ね。とは言え、この時期は本来、貴方もあがりが見える時期だから、押し黙ったわ。それに、戦う事ができるのなら、神に忠誠を誓おうが、悪魔と手を結ぼうが、個人の自由よ」

 

セラや菅野は1949年には18歳を過ぎ、そろそろ減衰期に入るはずの世代である。その事実はB世界の管野をハッとさせた。そして、A世界では本来、1945年以降の中堅指揮官層を担うはずの中堅がごっそりとMATに移籍し、軍ウィッチの屋台骨をダイ・アナザー・デイ後も残った少数の古参ウィッチで支えなくてはならないという状況に至り、精鋭部隊を常設し、太平洋戦線に備えるしか選択肢がなかった。名うてのウィッチ達の大半は1948年までに寿命を迎える。それは絶対的物量の劣る扶桑の死を意味する。それを回避するには『超科学でのウィッチの寿命をコントロールする』か、『それ以外の新たな異能を見出す』か。その二つが扶桑の選べた選択肢だった。後者は歴代プリキュアの例もあり、かなり有望と言えた。だが、ダイ・アナザー・デイとクーデター後に社会的地位がかなり低下したウィッチを慮る『ウィッチ出身参謀たち』の反対運動でそれが出来なくなったため、やむなく前者を取った。これは1944年度からいる反対派からは『悪魔と手を結ぼうというのか』と罵倒されたが、状況的にはやむを得なかった。その後ろめたさから、ウィッチ出身参謀たちは八木大佐、明樂大佐の例に習い、徐々に前線に指揮官として復帰し始める。だが、所詮は場当たり的対応であるため、成功は収められなかった。そこも余計に反対派の立場が損なわれた理由だ。

 

「言えてるな、そりゃ」

 

「あの子達をフォローするわよ」

 

「あいよ!」

 

菅野は芳佳が産休なため、セラの護衛についていた。管野はそれに膨れた顔を見せたが、芳佳が産休に入っている事、雁淵姉妹との接点がA世界では殆どない事を思い出し、寂しそうな顔だった。そして、それを援護するのは。

 

『プリキュア・サファイア・アロー!!』

 

キュアアクアであった。普段は芳佳と共に医官なのだが、この時は『プリキュア5』の一員としての責務を果たすため、戦線に立っていた。ドリームがパワーアップした以上、彼女がしていないわけはない。姿は『シャイニングアクア』とも呼ぶべき形態であった。

 

「サンキュー、かれんさん!」

 

菅野とセラはキュアアクアにサムズアップし、B世界502への援護に入る。こちらは手慣れたもので、瞬く間にF-11は蹴散らされる。

 

「なんなんだ、お前ら。いくら練度が違うったって……こうも一方的になるのかよ!?」

 

「わりーな。年季が違うんだよ、年季が」

 

A世界の菅野はB世界の管野と違い、基本的にぶっ飛んでいる性格かつ、猛々しい気性が多少なりとも素になっている(B世界の管野はそう繕っているだけである)ため、敵には情け容赦しない。なお、持っているサイドアームもゲッターマシンガンである。

 

「うおおおおおお!!」

 

菅野はゲッターマシンガンを乱射する。一時は荒くれ者的意味で『圭子の後継』と目されていたためもあり、管野に比べるとかなり荒々しい。15機ほどいたF-11も避ける間もなく、半数が一瞬で粉砕される。

 

「ふん、俺に傷を負わしたきゃ、出直してきやがれ」

 

「菅野さん、貴方…どういう戦い方を!」

 

「ロスマン先生、そんなこと言ってる場合かよ!?」

 

「そうよ、ロスマン。敵の本命が来るわ」

 

アクアはドリームとは別世界の出身であるため、ドリームが知らなかった技を持つ。彼女の出身世界である『プリキュア5の世界』での最終的な極め技である。

 

「かれん、頼むわ」

 

「了解。プリキュア・アクアキィィック!!」

 

セラに促され、アクアはサファイアアローではない技を披露した。手の甲から水流が出現し、それがキックをする方の足を包み、ドリル状に先端部が固定される。ビジュアルが仮面ライダー555のクリムゾンスマッシュによく似ているため、黒江からツッコまれたのは言うまでもない。

 

「はぁあああっ!」

 

 

アクアは螺旋状に回転する水流の貫通力と自身のキック力で後続の『B-50』を3機まとめて上面から貫き、へし折って墜落させる。こうなると、機体の防御力など無意味だ。ロスマンBはあまりの光景に固まる。怪異相手ではありえなくもない光景だが、通常兵器相手にやられると『常軌を逸した光景』である。

 

「あれが『ウィッチでない異能』の力なのか…?」

 

グンドュラBは唸る通常兵器相手では、怪異相手には発揮できる利点がほとんど発揮されないため、対爆撃機相手では『危険な接近戦闘もやむなし』とされているが、プリキュア達は殆ど有無を言わせないほどの威力の闘技で爆撃機を粉砕していく様に唸る。

 

 

「アクア、援護するわ!プリキュア・エメラルドソーサー!!」

 

駆けつけたキュアミントがエメラルドソーサーを形成してぶん投げる。大型の円盤型オーラを固形化し、グレンダイザーのスピンソーサーのように斬り裂くのが主用途である。もちろん、彼女もシャイニング形態にパワーアップ済みである。

 

「ヒュウ、流石」

 

菅野が口笛を鳴らすと同時に、ソーサーはB-50を次々と斬り裂く。

 

「直枝さん、セラさん。背中は任せるわ」

 

「あいよ、任せな」

 

ミントは防御担当とされるが、意外に応用力に優れているため、バリア担当でも戦闘力が高いプリキュアチームの魁と言える。実姉が『如月ハニー/キューティーハニー』へ転生している事を知った後は如月邸に居候しつつ、64Fに入隊。中尉(かれんと違い、こちらは純粋に戦闘要員)として任についた。その兼ね合いで『姉妹でスーパーヒロインをしている初の例』でもあった。

 

「菅野。なぜ、あの子達はこうも実戦に慣れている?」

 

「あの人たちはスーパーヒロインですよ、グンドュラさん。俺達より多くの修羅場を潜ってる猛者ですぜ?」

 

「何だとぉ!?」

 

菅野もプリキュア5の事はドリーム(のぞみ)から聞いていたため、その経歴に敬意を払っていた。そのため、プリキュア5の年長組には敬語を使って接しているようだ。

 

「さて、ここはあのおふた方の露払いと洒落込みましょうぜ」

 

「待てよ!なんでそう、あっさり割り切れるんだ、テメェ!!」

 

「言ったろ?花形と思ってあぐらをかいてたら、えらいしっぺ返し食らったって。あの人達はそのしっぺ返しをもたらした連中に素で対抗できんだよ。俺たちがトレーニングを重ねて、ストライカーの世代交代を必要にしたのとえらい違いだぞ?」

 

菅野は芳佳のように、自分にプリキュアの力がない事を悔しがったが、それとは別の方向で強くなる事を志向している。親戚にせがんで『陰陽師』や法術の修行を積むなど、彼女も実のところは別ベクトルで常人を超えつつあったりする。管野が癇癪を起こすのを受け流しつつ、言葉でボディブローをかます。別の自分相手でも容赦ないのが菅野だ。

 

「同じ顔同士で言い合ってると、双子みたいだねぇ」

 

「ん、そりゃそうだな」

 

「あんだと!?」

 

伯爵の一言に同意する菅野。それと対照的に怒る管野。精神年齢の差であろう。菅野は相手にせず、必殺技の態勢に入る。

 

「さーて。俺もいっちょやるか。ここぉぉぉい、サンダーソォォド!」(たぶん、プロレスラーのほーが90年代以降は有名だよな、あのアニメ)

 

とは言え、菅野もGウィッチの端くれ。スーパーロボットの技が使えないわけではない。叫びと共に雷を招雷し、その一閃が収まると、菅野は剣を握っていた。西洋のブロードソードのような形状のものだ。

 

『サンダー!!ファイナルスラァァッシュ!!』

 

菅野もノリがいいため、大仰に技名を叫びつつ、『サンダーファイナルスラッシュ』を放つ。要は電撃の渦を剣を振り回しながら生成し、渦と共にエネルギー波を飛ばす技である。B-50と護衛機の後続編隊の一部はその渦と電撃のエネルギー波に飲み込まれ。消滅する。

 

「へへーんだ!俺だって、このくらいはできんもんねー!」

 

 

と、嬉しそうなのは『最近に発現させたばかり』の力であるからだ。

 

「新しい力を試すのはいいけれど、使い所は見極めなさい?」

 

「分かってるって、かれんさん」

 

キュアアクアに通信で嗜められつつも、黒江たちに模擬戦の度にギャフンと言わせられてきたため、『獣神ライガーの力』を得られたという僥倖で『やっと追いつけた』という嬉しさを覗かせる菅野。

 

「~~!くそぉ!!俺、こんな役回りばっかかよぉーーー!!」

 

模擬戦でカモにされ、力の差を突きつけられ続けた管野は思わず悔しがり、悔し涙を滲ませる。それは何も、管野ばかりでない。

 

「この世界の先輩達だけでなくて、菅野さんまで……あんな一騎当千の力を…。私の絶対魔眼は何、何なの!?」

 

取り乱す孝美B。絶対魔眼の力を信じていたが、A世界では発動前に阻止されるケース、発動しても『本気を出したGウィッチ』達の動きを視認できず、反応速度でも及ばなかったという屈辱を味わったからか、妹や空母を守るためとは言え、消耗仕切って昏睡状態に陥った自分の微力さを思い知らされたからだ。とは言え、B世界では覚醒系魔法の最高位に近い位置づけの固有魔法であるため、B世界でのリバウ撤退戦参戦の世代としては最強に近い。その自負があるため、菅野の『サンダーファイナルスラッシュ』は予想以上に孝美Bの精神を揺さぶった。

 

「お姉ちゃん…」

 

「だったら、この世界にいる内にウィッチを超える事を目指したらどうだ、雁淵」

 

「菅野さん」

 

「テメェ、孝美をそんな呼び……」

 

「俺にとって、雁淵孝美は同僚で、同期の桜なんでな」

 

「嘘…だろ…?」

 

「マジ話さ。リバウ攻防戦にもいるよ、俺。ペーペーだったけど」

 

 

管野の怒りを気に留めず、お互いにとっての孝美の立ち位置が違う事を冷静に教える菅野。A世界の菅野は孝美と海兵同期であり、343空以来の同僚であるため、管野とはその人生における人物的立ち位置が全く違うのだ。そのため、呼び方も名字と名前での呼びかけが混在しているが、B世界では教官であると同時に憧れでもあったため、崇拝に近い気持ちを持つ。その温度差が管野は『いけすかない』のだろう。A世界での自分はウィッチとして、どういう立ち位置なのだろう?管野は冷静になって考えてみる。

 

「待てよ、お前。孝美がアレに参陣した時、俺はまだ……」

 

「特例措置だ。坂本さんが根回ししてくれたんだよ。俺もまだ青っちょろいガキンチョだったけど、人数合わせでな」

 

坂本Aが1942年から1943年頃のリバウ攻防戦の後期に、菅野と孝美Aをメタ情報で参陣させた事、菅野はその戦功が後日、昭和天皇の目に止まり、敢闘精神を高く評価され、ブレイブウィッチーズ配属時には大尉に昇進済みであった事を教える。

 

「ちくしょぉぉぉ!ちくしょぉぉぉ!!テメーはリバウで孝美と一緒に…!!俺は…おれはぁ……」

 

悔しくてたまらない管野。憧れた孝美が名を挙げた戦に別の自分は立ち合えていた事、それに引き換え…と考えたのだろう。

 

「おいおい、泣くのは止めてやれ。ひかりが気まずそうにしてるぞ」

 

「……」

 

指摘され、気まずそうな表情のひかりBに気づく管野。菅野は心のなかで、『自分で自分を宥めたり、諌めるってのは妙な気分だぜ…』とため息をつきつつも、過去の自分を見ているのとほぼ同義なため、なんとも言えない表情でグンドュラBに視線を向け、グンドュラBも『心中を察してやれ』という管野に同情的なアイコンタクトを返すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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