ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百五十八話「Go!Now!4」

――1949年。連合艦隊の運用は参謀の離反で機能不全に陥っていた扶桑海軍に代わり、連合軍統合参謀本部が代行している。そのため、海上幕僚監部が連合艦隊の運用も代行する案があったが、彼らは戦艦や巡洋艦などの砲熕型艦艇の運用ノウハウを持たないために頓挫。それがダイ・アナザー・デイ直後の話だ。翌年度のクーデター後にウィッチの社会的地位が悪化した後、扶桑皇国は『ウィッチ以外の異能を発掘したらどうか』と議論を始めた。歴代プリキュアの例もあり、かなり有望な選択肢であったが、社会的地位がかなり低下したウィッチを慮る『ウィッチ出身参謀たち』の反対運動で潰えてしまった。ウィッチの社会的地位と立場の喪失を恐れたのであろうが、クーデターを起こした時点で日本は軍から排除の意向であったが、社会的な魔女狩りの誘発を招くために取りやめた経緯がある。64Fに負担を押し付ける形が継続するのは好ましいことではなかったが、中堅がごっそりとMATに移り、クーデター後の任官世代が多数派になった時代では、前線に新人だけの部隊はおけないため、1949年時点での前線のウィッチ空戦部隊は二つしか存在しなかった――

 

 

 

 

――菅野は1945年以降、Gウィッチにはなったものの、これと言った能力がないのを気にしており、陰陽道の修行など、それなりに努力した。修行の結果、1948年の冬に『獣神ライガー』の力が宿った。本人はこれに大喜びであるが、黒江に『獣神ライガー、プロレスラーしか知らんだろ、お前』と言われ、黒江によって全話を視聴させられるというロードワークを課された。その甲斐あり、獣神サンダーライガーの領域に至り、黒江たちには及ばないものの、かなりのパワーを得た――

 

 

「貴方、リバウに出征できたの!?」

 

「坂本さんが根回ししたおかげだよ、雁淵」

 

と、孝美Bに答える菅野。リバウ攻防戦の当時、菅野はまだ兵学校生だったが、メタ情報を持つ坂本Aが兵学校の教官になっていた後輩などに根回しをし、二人を呼び寄せ、早期に実戦の経験をさせた。菅野は攻防戦の当時は12歳前後。文字通りに新人だった。とは言え、下原共々、メタ情報がある坂本は三人を鍛え上げた。撤退戦に坂本がいた理由も三人の面倒を見ることが含まれているが、グンドュラと『下原は502がもらうから、宮藤をスカウトしろ。手はずは整える』という密約も事前に交わしている。坂本が絶頂期とされる時期に多忙だった理由も未来の土台作りのためである。

 

――『昔は七五三終わったら修行初めてお赤飯前後には初陣なんてざらだが、今は怪異と対峙する空気くらい感じさせれば良い、将来に肝の座った魔女にしたいからな!有望な後輩は!!』――

 

その当時に坂本が公言していた題目はこんなもので、当時には珍しくなりつつある10代前半の者を駆り出すことへの批判を交わすための大義名分である。坂本はGウィッチの有力候補である三人を育てる一方、自身の史実を鑑みて、スコアを1943年までの時点で稼いでおり、『海鷲』もこの時期に使用している。それ以後の501配属時にも使用した事はあり、まだ501の黎明期の頃、バルクホルン、エーリカしか同志がいなかった時期に数回ほど使用している。坂本がバルクホルンとエーリカの信頼を勝ち得たのは、表向きにはこの必殺技のおかげとされる。だが、ミーナが公式な報告書から削除させたので、伝説のみが整備兵の間で語り継がれるのみとなった。とは言え、リバウ攻防戦に立ち会った者たちの間では『弓矢で炎の鷲を飛翔させた』坂本は『ファルケンの坂本』という渾名で呼ばれていた。奇しくも、圭子が『血まみれの処刑人』の渾名を頂いたのと同時期の話であるため、ミーナの降格の度合いでかなり議論を呼んだのは事実だ。アイゼンハワーは懲罰的に『中尉に降格、指揮資格剥奪』を考えたが、パットンに諌められ、更にロンメル、山本五十六、ニミッツなどの協議で『ノイマン大佐の左遷と降格で恐慌状態になったから、あまり大事にも出来ない』と結論づけられた。更に黒江が『人格変わっちまったし、記憶あっても責めるのは酷だぜ?』と具申したのもあり、人事的処分は予想よりはだいぶ軽い『一階級降格、数ヶ月の飛行資格と指揮資格停止』で済んだ。501の指揮権は64Fへの吸収で武子が引き継いだので問題はなく、それ以後は武子が統合戦闘航空軍司令も兼任する形である。坂本はダイ・アナザー・デイの時期のみ、戦闘隊長の座にあった。坂本の引退後は赤松が引き継いで、現在に至る。

 

「坂本さんはこの世界だと飛べるけど、引退した。引退セレモニーもやったよ。結婚もしたし、今度は子供作る時に話題になるかもな」

 

A世界の坂本もそろそろ産休に入りそうなので、その間の飛行長は圭子が代行する事が決まっている。地上指揮は圭子が名手だったからだ。その事もあるのか、ゲッターノワールGでストレス解消をしている圭子の姿が見える。『前線空中指揮』の名手でもあるが、智子は指揮官としての才覚は他の二人に劣るため、黒江を折衝役に使いたい武子は圭子に打診したのである。

 

「機動兵器の事を知らねぇと、この世界の戦闘は戦えねぇぞ。F-11なんぞに手間取ってるようじゃな」

 

菅野はサンダーソードでF-11を落としつつ、そう明言する。F-11は超音速戦闘機としては失敗作の部類に入るからだ。

 

「あれをそんな扱いできるのかい?」

 

「運動性はいいが、特段に性能がいいわけでもないぜ、アレは。もっといいのがあるからな」

 

味方側のF-8のほうが格段に高性能であるから言える台詞だが、この当時の艦上機としては高性能の部類に入るF-11。実際に史実の弱点を鑑みると、実はいいカモと言える点が存在する。それは低速なら機動力を発揮するが、最大速度付近であると、機動が鈍くなるところである。菅野が突いたのも実はそこの点で、特性さえ知れば『鴨が葱を背負って来る』の要領で落としやすい。

 

「とは言え、この当時からすりゃ、充分な性能なのは事実だけど」

 

「テメェ、あれよりいいの知ってんのか?」

 

「帰ったら見せてやる。海軍もまだ一部の空母にしか積んでないライセンス生産の機体だけどな」

 

それはF-8のことだ。F-8は第二次大戦型の大型空母でも運用できる最高性能機であるので、この時期には主力機の座にあった。また、扶桑のライセンス生産機は史実と搭載機銃が異なる関係でガンファイターとして良好な信頼性を得ている。シャークマウス塗装も普及しており、64F以外の部隊でも見られるようになっている。旧601空もこの頃には同機に機種変更済みであり、実動機数は少ないが、制空権確保に貢献している。この機の存在が震電改シリーズの要求仕様のハードルを引き上げたと言っていいほどの名機である。(カールスラント航空産業が涙に沈んだと評されたのも、ジェット機を大火力での一撃離脱戦法専用の機体と見る風潮によるものだが、F-8の高性能ぶりはカールスラント航空産業を絶句させたという)

 

「さーて、もう一丁!!サンダー電撃フラァァシュ!!」

 

菅野が放つ闘技は凄まじいの一言。A世界では誉とされる一騎当千の強さはB世界のウィッチを絶句させるが、噛ませのポジションが嫌になっていた菅野にとっては福音と言えた。

 

「菅野、そっちはどうだ?」

 

「俺達でどうにかなるよ。黒江さんはザンスカールの本隊に専念してくれ」

 

「分かった。……!まずい、菅野!連中、グランザムなんて持ち出しやがったぞ!散れ!!」

 

「何だって!」

 

一同のすぐ近くを極太のメガ粒子砲が通過する。その余波だけでジョセのストライカーの外板が溶けてしまい、片肺飛行に陥る。ザンスカール帝国にジオン残党が横流しした一機のモビルアーマー。かのビグザムの血を受け継ぐ機体『グラン・ザム』である。

 

「な、何あれ!?」

 

「連中め、どうやってあれを手に入れやがった……!地球圏のジオンに力はもうないはずだぞ…!?」

 

菅野も毒づく、そのモビルアーマー。デカデカと旧ジオン公国の紋章が描かれたそれは旧ジオン公国系の残党がネオ・ジオン討伐のために作ったともされる切り札。ビグザムのかつての栄光にすがる点でジオンの妄執を示している異形の機体だ。

 

「ね、ネウロイ!?」

 

「馬鹿、どこの世界にホバークラフトで移動するネウロイがいるかよ!」

 

その機体はザンスカールのそれと根本的に設計思想が異なり、移動砲台ともいうべき代物だが、46mを超える大きさとそれを稼働させるジェネレータの出力もあり、巨体の割に良好な機動性を持つ。そして、機体各部のメガ粒子砲はストライカーには容易に致命傷を与えられる事もあり、菅野はB世界のウィッチを下がらせようとするが…。

 

「あ、この馬鹿!」

 

「やってみなくちゃわかりません!」

 

「ひかり、戻れ!死ぬぞ!!……ええい、クソ!!」

 

菅野は飛び出したひかりBを追う。下手に大型怪異を見慣れていた事がこの時は仇になったわけだ。ひかりBはメガ粒子砲を避けつつ、13ミリ機銃を当てるが、ガンダリウムの装甲には当然ながら効くはずがない。もう一撃をかけようとするが、メガ粒子砲の弾雨がひかりBを捉える。それを菅野が庇う。メガ粒子砲は菅野のシールド出力では完全には受け流せず、右のジェットストライカーのノズル周りが損傷してしまう。

 

「ぐあっ…!」

 

「菅野さん!!ユニットが!」

 

「何、まだ飛べる。ノズル周りが溶け落ちたがな」

 

「あ…」

 

「何、後で治してもらうさ」

 

右腕が火傷している。先程の余波だろう。ひかりBは狼狽し、取り乱す。とは言え、菅野は涼しい顔だ。火傷くらいは日常茶飯事なためだ。

 

「ごめんなさい……私のせいで……」

 

「悔やんでる暇はないぜ。乾パンみてぇにされる前にずらかるぞ!掴まれ、まだこっちの方が足は早い!……サンダークロー!」

 

菅野はストライカーの可能な限りの速力で離脱する。サンダークローを目眩ましにして。グラン・ザムは小ゆらぎもしないが、隙を作るには充分だ。

 

「あの化け物はなんなんだい、ナオちゃん!」

 

「後で説明する!501に警戒を呼びかけろ、伯爵!あのビームは宮藤でやっと防げるくらいだぞ!」

 

菅野はそう告げ、B世界の502を下がらせる。その様子はB世界の501がいる側の空域からも確認できた。

 

「うじゅ!?な、何アレ!?」

 

「ネウロイですの!?」

 

「いえ、ネウロイの反応はありません…。明らかに人の技術で出来てます!」

 

サーニャBもその異形感たっぷりな外観から可能性を探ったが、怪異を示す反応がないために『人の作ったものである』と判断したようだ。もっとも、クローアームやインテークの存在など、兵器である事を示すアクセントも確認できるのだが。

 

「あれは菅野少佐、被弾しているようだ!」

 

「援護しないと!」

 

「しかし、我々の火器では……」

 

「でも、このままじゃ!」

 

喧々諤々の議論が起こるが、その間に。

 

「菅野さーん!」

 

「お前、コスモタイガーのパルスレーザーを改造したのかよ!?」

 

「整備班がでっち上げてくれたんですよ。重いけど、援護します!」

 

話を聞きつけたひかりAが援護に来た。メインアームはパルスレーザーを手持ち式に改造したでっち上げのものだ。当然ながら、レーザーであるので、Iフィールドに阻まれない。ひかりAは接触魔眼を応用し、操作方法を把握しており、菅野とBの離脱を援護する。ひかりAを捕縛しようと、クローアームが動くが。

 

『グレートブーメラン!!』

 

黒江がGカイザーのグレートブーメランを投げ、左のクローアームを切断する。超合金ニューZαのグレートブーメランなので、ガンダリウムくらいは余裕で切断できる。切断部から電気系統のスパークらしき閃光が散る。

 

『ギガントミサイル!!』

 

撃破が目的でないため、ギガントミサイルで牽制する。

 

『ダブルトマホォォクク!!ブゥゥメラン!!』

 

圭子もノワールGのトマホークブーメランで足止めを行う。

 

『ガキ共、ここは一旦下がるぞ!』

 

「何故だ、加東!」

 

『あれを出してきたのなら、敵の狙いは別だ!こっちも補給と整備の必要があるってことだ』

 

如何にスーパーロボットといえど、補給と整備は必要である。手土産に切り落としたクローアームを回収しつつ、一旦下がることにする圭子。

 

『足並み揃わねえ面子でブッコミに行ける訳ねーだろ!戦線整理しなきゃデカブツは落とせん!!坂本、ガキ共の面倒を見てろ!』

 

坂本Bに指示を飛ばし、戦線の整理の意図もあり、一旦は母艦に戻る一同。とは言え、轟天のほうも大忙しだったりする。

 

『大丈夫、地は染まっとる今なら、装備変更も補給もゆっくり出来るぜ?』

 

と、圭子は言う。とは言え、その頃の轟天の格納庫では。

 

「なにィ!?リ・ガズィ用のBWSが届いてないだぁ!?」

 

「どうやら向こうの手違いのようで…」

 

「BWSのないリ・ガズィなど、ただの廉価版Zだぞ!」

 

轟天に出向しているアストナージ・メドッソは目を回した。64F隊員が発注して届いたリ・ガズィにBWSが付属していなかったのだ。アストナージもこれには大慌てである。リ・ガズィはMS形態の基本性能こそグリプス戦役当時のZガンダムに匹敵するが、戦闘機形態を自前で取れない点が不評であるため、再生産決定後も増産は鈍いペースである。

 

「いや、相手がアレならBWSあってもビームでジリ貧……よし!ドダイ出せ!予備倉庫の奴だ!」

 

「了解!」

 

アストナージは指示を飛ばす。倉庫から本来はデルタガンダム/百式系統用のクレイ・バズーカとグレネードの追加弾倉が運ばれてくる。

 

「リ・ガズィにはクレイ・バズーカを持たせろ!グレネードは追加弾倉をつけておけ!」

 

エゥーゴ時代の標準的な対艦攻撃兵装をリ・ガズィに持たせるアストナージ。

 

「機体の暖機運転、始めます!」

 

「頼む!」

 

第二波は主要メンバーではない二軍による攻撃だが、他部隊の一軍級の実力はある。他部隊では良くて、リゼルかアンクシャであるところを、高級機であるリ・ガズィを使えているのだから。

 

『第二波攻撃の搭乗員は搭乗せよ、繰り返す…』

 

艦内アナウンスが響き渡る。ザンスカール帝国残党相手では、RGM系では力不足とされ、MSZ/RGZ系が用意される。RGM(ジム)系の使うジェガン以来のショートバレル式のライフルでは、ザンスカールのビームシールドを破れないからだ。ジェイブスでロングバレル式のライフルが試行されたが、新型である分、高価であるため、カービンタイプのライフルがジム系では好まれる。この時はバズーカやグレネードなどが倉庫から持ち出され、相次いで装備されているが、エゥーゴ時代にかけての地球連邦で確立された『対重モビルアーマー』対策の兵装かつ、エゥーゴ時代の標準的兵装でもある。

 

「Z系でも、クレイ・バズーカを持っていかせろ!敵はIフィールド持ちだ!実弾はいくらあったって良い!」

 

MSにクレイ・バズーカを装備させるアストナージ。モビルアーマー相手のベターな兵装は実弾である。対ビームコーティングやビームシールドのある時代には古臭いとも言われがちだが、ビームに鉄壁の防御力でも、実弾相手では脆かった場合が多いため、実弾は未だに重宝される。ビームと違い、機構は原始的な武器なので、宇宙人は対策をしていなかったりする。その意外性を重視しているのだ。

 

「味方機、帰投してきます!」

 

「第二班は受け入れ準備!第三班は武装の再装填と充填を行え!」

 

いつの時代も整備兵は苦労が多い。MSの時代を迎えると、推進剤補充や機体管制コンピュータの再調整も行われるため、戦闘機のみの時代よりやることは多い。MSを始めとする人型兵器は戦車や戦闘機以上の精密機械だからで、一つ間違えると大事故につながる。その防止のために念入りなチェックが行われる。特に64Fはワンオフ、もしくは少数生産の高性能機を持つため、通常よりチェックは厳格である。地球連邦が高性能だが、整備性に難があるワンオフ機を嫌う傾向がある理由は、整備時間の長時間化は困るからである。とは言え、アナハイム・エレクトロニクス製のMSは部品規格が統一されているため、一年戦争当時の各陣営製MSより整備性が高いが、専用部品が多い傾向にあるガンダムタイプは兵士達の羨望の的だが、兵站的意味では負担がかかるとして嫌われ者なのだ。練度が高い整備兵がいればいいが、整備に不備があると、ガンダムタイプやそれに類する高性能機は不具合を起こしやすいからだろう。各格納庫で忙しなく働き、機体を受け入れたり、ウィッチを受け入れ、装備の点検整備を行う整備兵がいてこそ、64Fも初めて機能するのである。黒江達が整備兵を手厚く扱うのも、それを理解していたためで、ダイ・アナザー・デイ当時にミーナに整備兵の取り扱いを忠告したのも、そのためだ。裏方を軽視して戦争は出来ない。史実で額面上は強力な軍隊であった大日本帝国陸海軍が国家総力戦に負け、一年戦争でジオン公国が負けた経緯を知れば、否応なしに重要視すべきなのは兵站だ。その意味でも、扶桑は太平洋戦争でその重要性を理解していくのだ。

 

 

「ストライカーユニットの点検急げ!損傷が酷ければ、予備機を準備しろ!」

 

口を酸っぱくして指示を飛ばすアストナージ・メドッソ。ロンド・ベル、ひいては地球連邦きっての名メカニックと謳われる彼はついにストライカーユニットの整備すら可能にし、その名声を更に高めた。彼の功績は地球連邦にストライカーユニットの詳細な整備要領を齎したという点で、その意味でも地球連邦による部品供給を助けていた。また、第2世代理論式ジェットストライカーからは魔導ジェットエンジンの機体からの着脱が容易になっており、通常のジェットエンジン同様の整備が可能になっているのも、普及の助けとなる。

 

「おおう…。ひでえな。メーカーに問い合わせた後に廃棄だな…」

 

運ばれてきた震電改二の菅野機は損傷が酷く、ノズル部が完全に溶け落ちている無残な様相を呈している。さすがのアストナージでも、こればかりは直せない。タイムふろしきもドラえもんからの供給頼りなので、あまり使うなとお達しが来ている関係で、菅野機はメーカーからの回答を待って、正式に廃棄の運びとなった。対照的にセラの機体はピカピカで、彼女の腕の良さが窺える。

 

「アストナージさん!武器を作ってくれて、本当にありがとうございます!」

 

「あんなもんで良かったのか?時間があれば、もっと軽量化出来たと思うんだが」

 

「いえ、とっさに作ってくれただけでもありがたいですよ」

 

帰投したひかりAがアストナージに感謝を伝える。無茶な申し出を曲がりなりにも実現させてくれたのだから、当然である。この時にアストナージがでっち上げた『パルスレーザー銃』はアストナージから話を聞いた真田志郎と大山敏郎(キャプテンハーロックの親友であるトチローの先祖の一人)が後に完成型を造り、ウィッチ世界に輸出される。その完成型パルスレーザー銃は小型軽量化がされ、ウィッチであれば容易に携行できるサイズに小型化されつつ、エネルギーカートリッジ式が採用され、太平洋戦争で使用され、改良が重ねられつつも徐々に空戦ウィッチの主要兵装に登りつめていくのだ。

 

 

 

――なお、ひかりAが使った試作品は後日、『試製九式光線銃』という名で扶桑空軍が正式に領収。真田志郎と大山敏郎はこの試作品をベースに機構をブラッシュアップし、小型軽量にしていくため、扶桑空軍の兵装の技術革新の第一歩はまさにこの試作品から始まるわけだ。現地急造のなんてことはない武器なようだが、扶桑空軍はジェット世代の代表的な武装のリボルバーカノンやバルカン砲が小型化してもウィッチにとっては嵩張る事、最悪、格闘戦に移行するには投棄の必要がある事に悩んでおり、小型化が容易とされたパルスレーザー砲に注目したわけだ。量産できれば、メガ粒子を使うビーム・ライフルよりも安価になるというのも魅力的であり、1951年に『一式光線銃』として採用されたのだった――

 

 

 

 

 

 

 

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