ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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四話前の続きです。


第百七十一話「第二の蒼き流星、そして…」

――地球連邦軍では、相模総合補給廠に旧型になったガンダムが放置されていた事案が後で問題になったが、『払い下げ予定だったんだけど…』と軍担当者が泣いた事、デザリアム戦役後の混乱でその話が流れたので、ロンド・ベルが領収し、運用することになった。64Fはその運用を委託されている。アナハイム・エレクトロニクスがフルアーマーを新造。なお、フルアーマー部のバックパックのビームキャノンは技術の進歩でガンキャノン式からヴェスバー式に変更されている。これはバックパックの背負式では、V2アサルトバスターがそうであるように、接近戦では破壊されやすいからだ。その部分は新造されている。扶桑が大っぴらにMSなどの機動兵器を運用するのは、日本の主流派が従来兵器に保有制限を設けることを強く主張したからで、戦時という事に理解がない事の表れであるのと同時に、扶桑でのクーデターを防止したい思惑があった。扶桑はそれを潜り抜けるため、地球連邦軍から機動兵器を大規模に購入した。この政策は扶桑向けに兵器を卸したい防衛産業から問題視された。結局、『質で量を補え』は国家総力戦の状況下では無理があるのだ。自分達の手の及ばない人型機動兵器の普及は防衛産業的には困るのが実情なのだ。10式戦車の扶桑向け生産が決議されたのは、急速に普及の進む人型機動兵器への危惧がある。23世紀の機動兵器なので、21世紀の兵器より高性能であるからだ――

 

――防衛省――

 

「あんたら防衛装備庁が出し惜しみしたせいで……、やっこさんはとうとう、ガンダムやダグラムやバルキリーを買いだしましたよ!?」

 

「だって、1940年代の日本じゃ、61式でさえヒーヒー……」

 

「あんたらがダイ・アナザー・デイで旧軍で比較的にマシな戦車も処分したせいで、抗議が来まくったんですよ!」

 

ダイ・アナザー・デイでトーチカとして使用予定であった九七式中戦車や一式中戦車、三式中戦車も強引に回収したおかげで、戦線は大混乱であった。同じことをドイツもしたため、ダイ・アナザー・デイは顕著に機甲兵器が不足。ラーテも投入が見送られたので、スーパーロボットに頼るしかなかったのだ。自衛隊が秘匿兵器を現存する限りを投入せざるを得なかったので、部内からも抗議が出ている。その分、機甲兵器への見識を改める事に成功したので結果オーライとする意見があるが、現場としてはたまったものではなかった。言葉で扶桑の参謀を鬱病に追い込む事も多い事から、『いっそのこと、殴ってくれたほうがはっきりしてていいのに…』と文句が出ているが、21世紀には21世紀なりの都合があるし、地球連邦軍の兵士たちがそれで問題を起こしていたので、どちらが良いわけでもないが。ダイ・アナザー・デイで扶桑で参謀が極端に不足し、自衛隊の幕僚が多くを占めるようになった。クーデター後の粛清人事で更に深刻化し、遂には統合参謀本部の幕僚の八割方が自衛隊出身という事態に陥っている。とは言え、新領の警備に扶桑軍を駆り出している日本国としては、扶桑に幕僚を送り込む事も精一杯の誠意である。日本では、陸軍大学校や海軍大学校卒の軍エリートの参謀が嫌われ者である(日本でも有名な辻政信や神重徳のせいである。前者はウィッチ世界では戦死済み)ため、ダイ・アナザー・デイ以降は指揮官が自分で指揮監督する羽目になった。これは陸空の分野で顕著である。

 

「しかし、扶桑の分を財務が通すとは…」

 

「向こうは向こうで独自に発注しますよ!向こうは我々より予算が遥かに多いんですから!」

 

「……」

 

「政治が押さえつけようとしても、向こうは戦時下ですよ!兵器はどんどん消耗する。戦時下では、兵器は消耗品ですからね」

 

扶桑の前線では、兵器はどんどん消耗されている。レシプロ機がターボプロップエンジンに強化され、ジェット戦闘機は超音速機に飛躍したのもその表れだ。日本の当局者はここに至り、防衛産業の突き上げもあって、自身の兵器の売り込みを必死に図る。それは地球連邦軍を主な調達先にしつつある扶桑を動かし得るのか。それはまだ分からない。

 

 

 

 

――扶桑としても、『小さく纏め上げた事を誇る』としていた大和型戦艦を『小さいから浮力に余裕がない!魚雷に弱いんだ、ボケ!!』と批判され、その後継艦を必要上、大きくせざるを得なかったことは不本意であった。とは言え、現実問題として、51cm砲以上を戦力としての余裕を持って積むには、最低でも350m以上が必要とされたため、播磨型はそれを『最低限満たす』大きさで設計されている。とは言え、構想されていた欧州諸国の新戦艦案の多くが250m級であったため、モンタナと殴り合いで戦うためにサイズが大きくなった超大和型戦艦は異端中の異端と言える。とは言え、日本が想定したのがレイテ沖海戦や坊ノ岬沖海戦という『自軍に制空権のない』特異な状況下であったため、過剰に頑丈になった面はある。ダイ・アナザー・デイでその生存性能は高く評価されているが、あまりに単艦の防御性能を追求してしまったため、艦隊を組む護衛艦の近代化が必須になるなど、意外に苦労がある――

 

 

 

――文化面では、扶桑人は織田幕府の下で外征をしてきた過去がある上、怪異という『負けるわけにはいかない事情』があった。徳川幕府の下での260年以上の平和を享受した後に明治時代を迎え、太平洋戦争で負けた歴史の日本人とは気質が違う面がある。とはいえ、軍隊に冷淡な風潮はすぐに定着し始めたため、心のどこかで軍隊を嫌う考えが扶桑の人々にもあったと言える。軍人達はその掌返しに失望し、民間軍事会社を相次いで立ち上げ、部隊ごと軍を抜けるケースが相次いだ。軍が64Fに人材を一極集中させ、最前線で使い倒したのはその目的での退役防止の側面もあるが、逆に言えば、扶桑空軍で反転攻勢にも耐える練度を持つ前線部隊は1950年代を目前に控えた時期には、64Fを含めた僅かな精鋭部隊のみだった表れである。軍人という職業が日陰者扱いされ始める時勢でも、森蘭丸を発端にするウィッチ信仰は健在であり、それがウィッチそのものの発生が続いた理由であった。華族の階級としての解体も取りやめられ、扶桑は日本での疫病流行が日本からの政治干渉に終わりを告げたが、その負の影響はかなり残り、『軍人街』という基地周辺に軍人の邸宅が建ち並ぶ現象の解消のために『団地』などの高層集合住宅の普及が早いペースで進む。軍への差別意識の解消は64Fの太平洋戦争と第二次扶桑海事変の奮戦をきっかけに起こるので、まだまだ先のことであった。軍部も他部隊の育成を急いでいたが、MSやCB、VF、SPTなどを完全に使いこなせるまでの練度を持つ部隊は未だ現れていなかった――

 

 

 

 

 

 

――会議では、B世界の統合戦闘航空団も参加するにあたり、訓練が完了している501と502を参加させることが決まり、彼らにF-86が支給される事になった。坂本Bは『扶桑製の機体は無いのか?リベリオン製の機体で、宮藤の膨大な魔法力に対応できるのか?』と機体に不満を述べたため、震電改一をカスタムして支給する事になった。これは万人向けに造られているリベリオン製の機体で、1945年当時、その成長が目覚ましい芳佳Bの魔力に対応できるのか?という坂本Bの不安からの提言だが、実際にはF-86は震電よりも遥かに許容魔力量が大きい。更に1945年当時のシュワルべとは比較にならない安定性があるが、坂本Bは『扶桑製の機体』を与えたがった。それはストライカーユニットの独自開発力に長けていた扶桑軍の誇りと言える――

 

「リベリオンの機体を信用していないわけではないが、万人向けすぎる」

 

「少佐はうちの国のが気に入らねぇのか?」

 

「いや、機体にはこだわりはないが、震電系があれば、宮藤にはそれがいいと言ってるだけだよ、シャーリー」

 

「やれやれ。うちの国も舐められたもんだぜ」

 

「お前、そういう性格だったのか?」

 

「…色々あってな、こちとら」

 

シャーリーAは会議に途中参加だったが、口が悪い事を坂本Bに指摘される。B世界の自分自身は唖然としているように、ウィッチからプリキュアに転じた者では、最も口が悪い事で通る。これは相棒のキュアリズムが現役当時の清楚キャラからおちゃらけキャラに転じたためで、スイートプリキュアは全員が現役当時のキャラではない初のプリキュアチームとなった。5は全員がバラバラの世界線から集まった初の事例であるので、現役時代の時間軸から集まったプリキュアは意外に少ない。

 

「基になった機体がなんだろうが、根本的にエンジンが違うんだぜ?レシプロとは許容量が違うんだぞ?」

 

「わかってはいるが…、その…」

 

B世界では、ジェットへのカールスラントの現場での評判は悪い。それを鑑みての事だったが、坂本にしては迂闊な発言である。言い淀んでしまっているのも、ここが技術が驚異的に進歩した世界であるのを思い出したからだ。レシプロで双発にすることで芳佳の魔力を受け止める案まで出ていたのを大馬力エンジンの登場で通常サイズに落ち着いたのは同じだが、A世界ではすぐにジェットの時代になった。

 

「それにだ。ここはすぐに色々と改良されてるんだぜ?」

 

「シャーリー。当てつけはやめなさい」

 

「はーい」

 

武子が諌める。とは言え、シャーリーAは自国の技術力に自信がある様子を見せる。

 

「咲、舞。貴方達は後輩達を束ねての初の本格的実戦よ。大丈夫?」

 

「なぎささんとほのかさんがいなくても、あたし達がいるってこと、見せてやりますよ」

 

自信満々のキュアブライト。二代目でありながら、直接の先輩と後輩がアクの強い二人であるために、なぎさのコンパチとさえ言われる事がある。とは言え、第一世代のプリキュアはほぼ『同世代の人間』であるので、普段はなぎさにもタメ口を聞く者もいる(例えば、りんはなぎさにはタメ口だが、ほのかには敬語である)。のぞみも現役時代はなぎさとほのかには敬語であったが、咲と舞にはタメ口だった。(現在は公の場では敬語を通している)

 

「咲ったら、こんな調子で……」

 

「元気があるっていいね~。若いのは」

 

「義子か。そちらでは統合戦闘航空団に?」

 

「一応、分隊長してる。そっちと違って、任地で教官経験もあるしな」

 

西沢義子。B世界では曹長のままだが、A世界では坂本の戦士としての後釜になったため、空軍大尉に昇進済みである。現場の叩き上げとしては最高位に近い。服装は以前のセーラー服にフライトジャケットを羽織ったものに変わっている。一人称に俺が混じり、二人称に貴様が入るなど、おちゃらけキャラだった元来の姿より硬派な振る舞いになっている。また、この世界では若本より格上という自負があるのか、口論した事もあるなど、日本海軍撃墜王である同位体の影響を受けたと思われる面がある。なお、彼女にはロボットガールズの素質もあったのか、この時点ではゲッターロボアークの力を得ており、同機の武器を扱える。その影響もあり、言動はB世界にいる彼女自身より荒々しい。

 

「義子、お前。そちらだと士官に!?」

 

「驚くことなかろう?特務士官になってたのが、規則の改定で正規将校になっただけだ」

 

西沢Aは圭子に近い、荒くれな雰囲気になっている。ゲッター線に選ばれた者特有の特徴だ。のぞみや咲も同位体に比べれば、遥かに好戦的に変貌している。これはゲッター線を浴びたことによって、遺伝子単位で闘争本能が呼び覚まされているためだ。現役時には見せなかったような『好戦的な表情』を見せるようになった者がプリキュアに多い理由でもある。

 

「咲、舞はのぞみやシャーリーと一緒に子供たちの統率を頼むわ」

 

『はいっ』

 

「坂本、B世界の子達に震電系を貸与して欲しいの?」

 

「はい。リベリオンの機体を信用していないわけではありませんが、私や宮藤などの扶桑の軍人には自国機の提供をお願いしたいのです」

 

「震電改の邀撃仕様であれば、手配はできるわ。エンジン換装型のテストを頼まれていたから、貴方達にも回すわ」

 

「申し訳ありません。私のわがままを聞いてくださって感謝します」

 

この時に使用された震電改シリーズ。七郎技師の開発した改一、吾郎技師が贅を尽くし、『第三世代理論の実証機』として試作した改二の双方が投入されたわけだ。なお、歴代プリキュアの内、入隊手続きが戦闘に間に合わなかった剣崎真琴/キュアソードは待機を命じられている。プリキュアの内、戦闘の柱はキュアドリーム、キュアメロディ、キュアピーチ、キュアブライト、キュアハートの五人の雄であり、ブループリキュア達の内、キュアアクア、キュアダイヤモンドが参謀、キュアジェラートとキュアビートは前線担当である。イエロープリキュアはサポート中心であり、ピンクプリキュアの指揮はブライトが担当することになった。そのため、戦闘は人同士の戦闘に不慣れなB世界のウィッチをプリキュア達が中心になってサポートする構図になった。そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――シャイニングドリームはサーニャBをお姫様抱っこで助けた。サーニャBはその姿に見とれてしまい、すぐに恥ずかしさで赤面する。エイラBは人語にならない絶叫を挙げた後、ドリームに食ってかかる。

 

「おい!サーニャを離してやれよ!」

 

「エイラ、そんな言い方!……すみません、少佐」

 

「なーに。エイラがああなるのはしょっちゅうだから、慣れたよ~」

 

ドリームもこの調子だ。エイラBは不満そうだが、上空からアインラッド付きのゲドラフが急降下してくる。エイラが迎撃しようとするが、それをドリームは制止し、すぐに横合いからレーザーの閃光が走り、ゲドラフを粉砕する。ややあって、凄まじいスピードで一機の蒼き流星が飛来した。

 

「すまない、変形機構のデータ取りに手間取ってね」

 

一同の前に姿を見せた一機のSPT。それこそ、デザリアム戦役の折、のび太が自らの転生体に当たる末裔『ノビ・ノビタダ』に命じて造らせた機動兵器の後継機種。ナイトメアフレームを知ったのび太がそれとは異なるアプローチで開発方向性を定めた小型の人型兵器『SPT』。そのハイエンドモデル『レイズナー』の最新モデル『レイズナーマークツー』であった。前型と違い、可変機構を取り入れているため、V-MAXの第二世代型『V-MAXIMUM』を巡航形態で発動する戦法も取れる。管制OSも移植されており、この時点でののび太の主な乗機(SPT)は同機となっている。

 

「さて、この機体を使うからには、それなりに働いてみせないとね」

 

レイズナーマークツーの性能は前型をも上回る。サーニャBとエイラBが驚くほどの急加速を見せる。80年代のロボットアニメで未登場に終わった最終後継機を具現化させた同機だが、ナイトメアフレームの製造で得られたノウハウをつぎ込んだため、ナイトメアフレームよりは大型化したものの、それを上回る機体強度を誇る。それでいて、紅蓮聖天八極式をも突き放す『切り札』を備えている。前型の特徴だった汎用性を切り捨て、可変機構で補うなど、開発思想的にはZ系MSに近い。可変機構の運用に特化した機体であるため、純粋な意味でのSPTではないとはのび太は言う。とはいえ、地球連邦のリアル系機動兵器では最速に近い上、敏捷性であのV2ガンダムをも(サイズの関係で、だが)上回るなど、驚異的なポテンシャルを持つ。

 

「は、はえー…。一瞬で蒼い流星になりやがった…」

 

エイラBがそう言うしかないほど、レイズナーマークツーは疾かった。大気圏内限界速度であるマッハ5.5にまで瞬く間に加速する性能は前型より何秒も速く、スラスターの推力も高められている。

 

「レイ、V-MAXIMUM、発動!」

 

『レディ』

 

のび太が管制OS『レイ』に声で指令を発する。すると、マークツーに搭載されたV-MAXの第二世代型『V-MAXIMUM』のスイッチが入り、ツインアイが輝く。特殊なフィールドが展開され、機体がそれに包まれて青く発光する。この状態を指して『蒼き流星』なのだ。

 

 

 

――V-MAXは元々、アナハイム・エレクトロニクスがMS用に研究していた『特殊自己防衛プログラム』だが、『非常時高速戦闘システム』としての用途に転用された。マークツーのそれは強電磁界の磁束密度を上げる事で攻防力を主に強化した『V-MAXIMUM』であり、実証実験機名目でビスト財団が建造させ、カイン(のび太郎)へ強奪の体で譲渡したザカールが推進剤に強化剤を入れる事で機動力を強化した『V-MAXスーパーチャージ』(機体が赤く発光するので、レッドパワーとも)を有するのと対を成す。のび太はV-MAXIMUMを使ったわけだ――

 

 

 

 

 

――特徴的な機動音が印象づける流星の如き速さは、まさに『蒼き流星』。時間制限はあれど、紅蓮聖天八極式も追従不可能なほどの急機動、急加減速が可能となっている。そのため、全力で体当たりした場合、アインラッドごとゲドラフを破壊するだけの威力を誇るのだ――

 

 

「おおおっ!」

 

チタン合金の中でもかなりの強度を持つ『ハイチタン合金セラミック複合材』を正面から破砕できる力をレイズナーマークツーは発揮。ドリームの露払いを行う。

 

『ドリーム、露払いは僕が引き受ける!君はアドラステア級に向かってくれ!』

 

「わかった!エイラ、サーニャを」

 

「お、おう」

 

エイラBにサーニャBを託すと、シャイニングドリームはレイズナーの後を追うように敵旗艦のアドラステア級戦艦に向かう。その背中の翼を羽ばたかせて。それを見送るサーニャBはシャイニングドリームにときめいてしまったらしき表情だったので、ショックのエイラBは心の中で『アンニャローーーー!!』と八つ当たり気味の叫びをあげたのだった。

 

 

――そして。『轟天』格納庫にて

 

「GカイザーとゲッターノワールGが出るぞー!」

 

Gカイザーは予めブレーンコンドルが合体した状態で起動され、ゲッターノワールは大型ゲットマシン形態で発進態勢に入る。

 

「いいか、お前の証言ともたらした情報をもとに再現してみたが、性能は未知数だ。慎重に扱え」

 

「サンキュー。ネイサーに無理を言って造ってもらったんだ。テスト代わりにはちょうどいいぜ」

 

カタパルトに接続されるノワールのゲットマシン。そのデザインはどことなく、ドラゴン号、ライガー号、ポセイドン号の新ゲットマシンの面影を見いだす事ができるもので、ノワールGがゲッターロボGの子孫の一つである事が比較的に簡単に判別できる。単独で初代ゲッターの各形態を模した姿に変形可能であるため、そこは黒江に『ゲッターが光速電神アル○ガスをオマージュしたのか?洒落てやがるぜ』と感想を述べられており、ゲッターロボ同士が三機で合体して更に巨大な強化形態になるというギミックはマイナーなスーパーロボットアニメとされる『光速電神アル○ガス』を連想させたようだ。

 

「準備はいいか、黒田、西沢!」

 

「言われるまでもありませんよ!」

 

「やってやろうじゃん!」

 

『ゲッターノワールG、発進!!』

 

圭子の一言から、パイロットの死亡率の高い事で有名であるので、プリキュア達にも訓練で乗ることを避けられるという『三号機』には西沢を乗せた事がわかる。ゲッターノワールGの『本物』には合体に『三人が乗っている』ことなどの厳しい条件があるが、真ドラゴンの調査と調整で得られた技術、更に圭子が記憶していたゲッター艦隊の情報から再現したレプリカ機である同機にはその条件はない。これは神隼人の意向でもある。機体性能面は『本物』と同等である。これは建造する際に30世紀の技術も用いたためで、必然的にゲッターロボアークを上回る性能になったわけだ。開発時のコードネームは黒龍。ゲッターG系であることがその時点で暗示されている。

 

 

 

『Gカイザーも出るぜ!スクランブルゥゥゥ…ダァァッシュ!!』

 

Gカイザーのスクランブルダッシュは元祖グレートマジンガーのグレートブースターが変化した代物であり、性能は内装化されたカイザースクランダーとゲッターバトルウイングに比肩する。それだけの性能がありつつも、Gカイザーには『ZEROに敗れた世界』があるのだから、ZEROがマジンカイザーとグレートマジンガーという『Zを超える魔神』の存在を否定するためにひたすら進化した事が窺える。とはいえ、Gカイザーもグレートマジンガーの進化の可能性である事は誰にも否定できないはずだ。それが炎ジュンの想いであり、夫のかつての愛機だった元祖グレートが転じた姿として、未来世界では生まれてきた故のグレートマジンカイザーの哀しい出自であり、改装までして黒江に与えられたのは、ミネルバX(ヒューマノイドロボットタイプに転生した)に『ZEROに負けた機体』と断じられ、基になったグレートマジンガーをも侮辱する発言をしたため、憤りを顕にした炎ジュンはエーリカ・ハルトマン(A)を介し、夫の鉄也が妹のように可愛がり、パイロットとしても優秀な手腕を持つことで慣らす黒江にGカイザーを託した。

 

 

――Gの血統はZのマガイモノじゃないし、噛ませ犬でもない事を証明して!鉄也と私の青春のためにも!――

 

 

黒江もこの懇願は断れず、乗ることになったが、皇帝の名を持つ魔神が搭乗者にかける負担の大きさは甚大である。黄金聖闘士である黒江でも、精神面のさらなる鍛錬が必要になったように、精神が脆弱な搭乗者をシステムが飲み込むというゼロシステム張りの危険度があるため、自分の脆さを痛感していた黒江は波紋法の修行を行う事でマシン側からのフィードバックを御した。皇帝の名を持つマジンガーは強力な反面、ゲッターが関わりを持つが故の制御の難しさがネックである。パイロットとして既に完成の域にある黒江がさらなる鍛錬と修行を必要としたのに、お互いで軽く乗り換えが効く甲児と鉄也は『マジンガーに選ばれし者』なのだ。慣らし運転を終え、64F最大の切り札と言えるスーパーロボットの実力の程が明らかとなるのだ…。圭子達は亡き早乙女博士や歴代のゲッターチームに恥じぬように、と祈りながら。黒江は『Zを超える者』として生まれてきた『グレートマジンガー』という存在の存在意義の証明と、炎ジュンの切なる願いを叶えるためという意外に重い使命を果たすために。今一度、機械仕掛けの神々を戦場に降臨させる。グレートマジンガーの存在意義の証明と鉄也とジュンの青春の日々の意義の正しさの証明。64Fにグレートマジンカイザーが回された理由であり、弟分のマジンエンペラーGの影に隠れ、更にミネルバXに『ゲッターエネルギーの無駄遣い』とさえ宣われたその存在を世に示す事。黒江は炎ジュンに同情しつつも、ミネルバXの出自由来の『歯に衣着せぬ、兜十蔵が造らなかったマジンガー系列機』へのあからさまな嫌悪はどうにかならないものかと、ミネルバX本人に苦言を呈したい気持ちだった。

 

 


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