ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百六十三話「~行間 プリキュア、そしてとある世界の記録~4」

――ダイ・アナザー・デイからの四年という時間は第一期プリキュアのほぼ全員を集結に導いた。第一期プリキュアは二期以降のプリキュアより多くが戦闘向きの資質を備えているため、戦闘要員は基本的に第一世代の面々が中心であった。彼女たちは501以外の統合戦闘航空団の存在意義に疑義を呈され、501すら立場が危うくなったダイ・アナザー・デイで統合戦闘航空団に代わる花形と見なされたのがプリキュアなどの異能である。8つあった統合戦闘航空団の大半は宇宙戦艦の導入で一時間以内に世界中の戦場に駆けつける事が可能になったことで501へ正式に統合された。司令部要員になった者、抜けた者(書類上も含む)を除いた全員はそのままダイ・アナザー・デイを戦い抜いた後も所属を続け、そのまま太平洋戦線にも参加していた。それが説明される――

 

 

 

「あの空母のような車両を沈黙させるのに、どのくらいの犠牲を?」

 

「欧州にいた急降下爆撃ウィッチの八割方さ。坂本、サーシャ、グンドュラ、竹井。その中にはお前らの同期も多くいた」

 

地上空母との戦いで急降下爆撃ウィッチは兵種としての終焉を迎えた。数度の戦闘で前線で主力を張っていた者の大半が負傷で後送され、その内の四割近くが再起不能に陥ったため、建て直すよりも、バスターウィッチとして、兵種そのものを世代交代させたほうが安上がりとされたのだ。

 

「坂本、お前の同期の野中、知ってるだろう?」

 

「ああ、野中は確かに海兵の同期だが……まさか」

 

「あたしらに後を託して死んでいったよ。爆弾を抱えながら敵艦に突っ込んだよ」

 

「…!?」

 

坂本Bが動揺する。坂本の海兵同期であり、爆撃ウィッチになっていた野中少佐(1945年当時。特進後は大佐)はA世界では戦死していたのだ。64Fの突入する隙を造るため、天山ストライカーで800kg徹甲爆弾を抱えながら特攻し、戦死を遂げている。彼女の部下達も同様に後を追うように特攻していった。上層部虎の子の『神雷部隊』からサボタージュが出た責任を取ったのだ。その悲壮な最期は坂本Aを絶叫させ、野中少佐から前夜に冗談交じりに品物を渡された意味を悟り、自身最後の出撃を敢行。獅子奮迅の戦闘ぶりで仇討ちに成功している。その時の活躍で坂本Aは空中勤務者としては最後となる個人感状の名誉に預かっている。坂本が空中勤務者として戦功を挙げた最後の戦いは地上空母戦であることが明確に映像付きで説明された。

 

 

 

『さらばだ、坂本』

 

野中少佐が『天山』と共に彗星のように特攻する瞬間に坂本へ遺した一言の音声も流れる。飛行甲板に並ぶゴースト無人戦闘機を道連れに、彼女は壮烈な戦死を遂げる。それを目の当たりにした坂本Aの『野中ぁぁ――ッ!!』という絶叫も入っていた。その弔い合戦は激戦であり、プリキュア達も敵の死物狂いの反撃で数人が負傷し、デザリアム戦役への伏線となった。地上空母という超兵器、鹵獲された『ドーラ』による戦艦への攻撃なども説明され、ベルリン奪還をしたくとも『できない』欧州方面軍の状況もあると説明がなされる。

 

「いくらあたしらが超人的パワーを使おうが、超兵器を使おうが、戦線全体でいえば、一戦だけで大損害な事には変わりはない。海軍主力が健在なだけでも儲けもんだ。急降下爆撃に代わる攻撃方法を見出す必要が出たし、軍のウィッチになる人数がそもそも少なくなったんだ」

 

ダイ・アナザー・デイで用いられた兵器は史実大戦後期~朝鮮戦争期の兵器が数的主力であった。その圧倒的物量を抑え込むため、ヒーローユニオン、ゴルゴ13、のび太らと共同戦線を組んだ64Fを以てしても、軍全体の損害率はあまり抑えられなかった。彼女たちの関わるレベルを超えた政治的行為の結果であった。ダイ・アナザー・デイの戦力の建て直しが長引き、それまでに欧州の複数の軍隊が有名無実化した原因は日独の強権的軍縮政策、日本の無茶な要請(自衛隊を参加させるために、先制攻撃を敵にさせる)にある。ラーテの開発と投入が放棄された代わりの兵器はマジンカイザーや真ゲッターロボなどの未来のスーパーロボットたちであり、彼らの働きでダイ・アナザー・デイに連合軍が集中できたのだが、第三者の横槍で兵器の頭数がまったく足りなくなった。扶桑軍の既存機を本国から全て持ち出しても足りないくらいの消耗戦となり、歴代プリキュアでそれを補ったわけだ。航空消耗戦は扶桑軍保有機の大半を費やしてもまだ足りぬ状況であり、地球連邦軍もどんどん部隊を投入したが、地上空母で膠着状態に陥り、地上空母戦で少なからずの犠牲を払い、地上空母を沈黙させたわけだ。自衛隊の秘匿兵器も前後してフル投入され、連合軍は1945年の秋頃にリベリオン軍の撃退に成功した。しかし、それらの投入がなされた時には複数の国の戦力が0に近い状態になっており、遅きに失した感は否めなかった。

 

「終わった時には扶桑の全保有機で5割弱が喪失、陸軍の損害も馬鹿にならなかった。そんなタイミングで本国の中堅ウィッチがクーデター起こしやがった。結果、残ってたウィッチ部隊は殆どが解散。加担した連中、同調した連中は有無を言わさずにアリューシャンに飛ばされた。そんなこんなで、この戦線の最前線はウチと50F、後詰めの52Fだけで持たすってことになった」

 

「クーデター…。馬鹿な、そんなことをすれば!」

 

「そうだ。社会的に疎んじられる。オラーシャでは現にこうなった」

 

「うっ…うぅ……!こ、こんな事…!」

 

オラーシャでの凄惨な虐殺の痕が映る。死体は映らないが、それでも、狂気に陥った人々によるものか、血に染まりし石、斧、棍棒、農業用具、ナイフなどの道具がそこかしこに転がっている無人化した村の様子が映る。

 

「これがこの世界のオラーシャだと!?」

 

「そうだ、大尉。お前の国はこの虐殺の頻発で分裂を起こし、難を逃れた者の多くは扶桑、独立したウクライナなどに亡命した。お前には残酷だが、この世界じゃな、これが現実なんだ」

 

このオラーシャでの虐殺は恐慌状態の民衆が起こしたため、当局の制止も不可能であった。結果、オラーシャはウクライナを失い、ウクライナと長きに渡る領土紛争を繰り広げることになる。連合軍への両国の『復帰』はこの時代から数十年後のことであったという。

 

「扶桑でも、クーデターの事後処理の妥当性で議論があったし、首謀者らに情け容赦なく極刑を下したことで農村が恐慌状態に陥った。それで軍に入るウィッチは減っちまった。お上の玉音放送で送り込むようにはなったが、質が悪すぎて使い物にならねぇときてる。だから、義勇兵や亡命者への勧誘を大規模に行ってるんだ。新人を国内で発掘するのは、今の時代の空気じゃ難しいからな。」

 

「義勇兵といっても、どこからなのです?」

 

「全世界だ。四年前の決戦以降に軍縮の流れになって、職にあぶれたウィッチは各国に大勢いるからな」

 

竹井に圭子は答える。扶桑は新人発掘を日本を含めた各地で行いつつ、軍縮で職にあぶれた退役ウィッチ(エクスウィッチ含む)を義勇兵として採用。この時期には数的主力を占めるに至った。日本連邦の軍服を着る元・ウィッチ主要国の軍人が多数在籍し始めた時代である。カールスラントが自国の予備役ウィッチに自国の軍服の着用を義務付け、現役期間中の勲章や徽章の着用も認めたのは、エースパイロットの大半が扶桑の義勇兵として国外脱出を行った事、そのトップ10に至っては扶桑の永住権すら得ていたことへの緊急対策なのだ。

 

「義勇兵で新人が入らん代わりを?場当たり的ではないのか?」

 

「新しい国際条約の関係で、ウィッチが戦場に出れる年齢の下限が上がっちまった上、兵器の近代化で教える知識が桁違いに多くなった事の兼ね合いだよ、グンドュラ。これまでのような『見て覚えろ』的な教育は通じないんでな。望ましいのが学部卒程度の知識といえばいいか?」

 

「なんだと…!?」

 

「坂本の若い頃やルッキーニみたいな例はもう無くなった。純粋培養の軍人は嫌われ者になってる時代なんだ」

 

幼年学校は日本連邦では1947年に廃止されたが、それまで陸軍で『エリート』と見なされてきたコースを歩んだ軍人をそう簡単には日陰者にできないために日本連邦の人事局は対応に困窮している。統合士官学校の入学年齢下限も最低で15歳以上と定められたため、1945年に工科学校に入れ直された人材の任官辞退も生じ、ウィッチ全体の人手不足は顕著になった。そのため、軍ウィッチの任期制からの転換はなし崩し的に始まったと言える。また、軍部が約束した転職を分野を管轄する省庁の判断で反故にした例すらあるほどに軍部は政治的に弱い立場に置かれていた。(例えば、ダイ・アナザー・デイ後ののぞみ。軍部が正式な許可書類を発行し、扶桑天皇の裁可も下っていたものを日本の文科省が日本連邦の名のもとに、自己判断で本人を前にして役人がせせら笑い、その場で反故にしたが、のぞみがプリキュア5の中心戦士であることが後からわかり、怒りの猛抗議がファンからなされたこと、何よりも『扶桑天皇の裁可も出ていた重要案件』であったため、文科省は顔面蒼白に陥った。文科省は『だ、大学の講師にはなれるように取り計らうから……』と保身に走ったが、中高の教諭に戻ることを志望していたのぞみとは相容れず、決裂。のぞみは64Fから去ることはなくなった。文科省は大臣が部下の監督責任を問われて辞任するという不祥事となった。軍部はその埋め合わせも兼ねて、のぞみを大尉としての勤務日数が短いことを考慮し、『デザリアム戦役の戦功を評価する』という名目で少佐に昇進させたのである。のぞみ以外にも似た事になった予備士官は大勢いるが、のぞみは『プリキュア5』だったために余計に大事になったのだ。また、財務省から雇用保険の支出がとんでもないことになるという指摘もあったため、この不祥事の幕引きは相当に文科省を悩ませた。そして、何よりも『プリキュア5のリーダー』という肩書が文科省を震撼させた。『本人が扶桑で職業軍人になっていた』とは露にも思わなかった上、応対した担当者はプリキュアに無知だったのだ。結局、文科省、軍部、財務省の三者会談で『予備士官の教職への転職は規制する方向だが、希望者は大学の講師になるか、軍学校教諭に優先的になれる権利は保証する。夢原大尉については少佐への昇進と危険手当の倍増で手打ちにする』妥協案が妥結された)

 

「今は軍人ってだけで、他の商売への転職も難しくなったから、副業も事実上は認められた。あたしなんて、物書き続けてるしな」

 

「そういえば、お前は物書きの才能があったな」

 

「ああ」

 

軍人の転職そのものが社会的に疎んじられるようになり、軍人という職業への見方が社会的に冷淡になったダイ・アナザー・デイ後の時代では、扶桑軍人の副業が事実上、解禁された。これは日本警察が扶桑軍からの扶桑警察への転職を規制しようとしていた事も絡んでの現象であった。そのため、黒江と智子はその後の時代に俳優/モデルを兼業し、圭子はジャーナリスト/作家を兼業することになる。軍の給与平均金額の向上は急激に起こったハイパーインフレに追いつかずに遅れがちであり、双方が危険手当の金額の再策定で揉めていたのも副業の事実上の解禁に繋がった。これはのぞみの一件をきっかけに容認された、社会的に疎んじられ始めた軍人全体の金銭的意味での救済措置でもあった。

 

「聞いてると、なんだか世知辛いですね…」

 

「これが民主主義国家の軍隊って奴だ、ミーナ。平時には物的にも金銭的にもオケラ、あたしらは有事になって初めて、働きが認められるのさ」

 

「民主主義国家、か。聞こえはいいが、なんでも金で解決なのか?」

 

「それが資本主義ってモノだぞ、坂本」

 

 

日本連邦は民主主義で運営される上、福利厚生費に予算が多く分配される都合、基本的に軍隊の扱いは良くない。その分、『人員の質を相対的に強化しなければならない』という自衛隊的ドクトリンが太平洋戦争で扶桑にも根付いていくのだ。圭子の説明は自分たちには関係がないと思われた分野にも及ぶため、かなりの長丁場となった。その間には幾度かの差し入れがあった。

 

「圭子君、長丁場になりそうだから、いちかたちにチョコパフェを作らせてきたぞ」

 

「さっすが、北郷さん!ゴチになります!」

 

第一弾はキュアマカロンがチョコパフェを持ってきた。キュアホイップとキュアジェラートに作らせたのである。一同の分も用意しているのが抜け目がないキュアマカロン(北郷章香)。この時にはプリキュアでは最高の『少将』に任ぜられている。彼女がA世界の北郷が変身した姿であることは既に伝えられており、年甲斐もなく、猫のような格好(当時、北郷は既に戸籍上は30代前半のアラサー女子である)なのに、坂本Bは相当に困った顔になっている。

 

「先生、恥ずかしくないのですか。その格好。この時代には……。その、あの……30代でしょうに……」

 

「肉体的には10代後半を保っとるよ。それに、プリキュアしとるのに、恥ずかしいも何もあるまい?好きにやってるだけ、気にしない気にしない」

 

北郷としての口調は保っているが、態度そのものは琴爪ゆかりとしての自由気ままな態度であるキュアマカロン。坂本Bで遊ぶかのような表情を見せる。実際はプリキュア覚醒後の基本人格は琴爪ゆかりのそれになっているが、TPOを弁えており、北郷としての『厳格ながらも大らかな人柄』と琴爪ゆかりとしての猫のような自由気ままな人柄を状況に応じて使い分ける硬軟織り交ぜた生き方をしており、『転生した人生を一番に楽しんでいる』。

 

「ああ、みんな。この人は坂本の先生だった人だ。少将だから、敬礼しとけ」

 

『えぇえぇ!?』

 

圭子のその一言で一同が大慌てになる。坂本の師であるということは、事変当時に18歳を超えている事は確実で、階級も将官であるということから、この時点では最古参級の世代だからだ。

 

「さ、坂本少佐の……先生!?」

 

ミーナBなど、パニックでしどろもどろとなっている。

 

「作戦中だし。私なんてメンコの枚数と階級章の星が多いだけの無頼者さ、敬礼なんていらないから、今夜はしっかり休んで、次の仕事始めなさいな。それと、宮藤少佐は私の孫弟子という事になる」

 

「宮藤が少佐!?」

 

バルクホルンBに至っては、この反応だ。

 

「この世界では軍令承行令が廃止されたので、医務官でも指揮権があるのでな。それに、陸海空の士官学校も統合されたので、芳佳君は海軍兵学校で基礎教育を受けた最後の世代だな」

 

「基礎教育?」

 

「その後の教育は統合後に行ったのでね。宮菱重工業の技師とその時に結婚して、直に親になる」

 

「そうですか。……純潔じゃなければシールドが機能しないというのは……迷信だったのですか?」

 

「正確に言えば、制御が難しくなるだけだった。君には悪い知らせになるな」

 

ミーナは幼馴染のクルトに淡い思いを抱いていたが、その関係で想いを打ち明けられずに終わった。A世界では人格の変化もあり、割り切っているが、B世界では引きずっているため、表情を暗くする。

 

「とは言え、それも一時的だ。今では子を持っても現役を続ける者が多数派だ」

 

「時代は変わったのですね…」

 

「我々のような異能持ちが増えたのでな。相対的に純粋なウィッチは戦力たり得なくなったのだ、中佐」

 

A世界ではウィッチの権勢が衰え、科学兵器が魔法力を追い抜く事態が発生したため、緊急で第二世代理論が開発され、それが普及し始めている。プリキュアや超拳法(流派東方不敗や南斗聖拳などの人外級の拳法)使いが現れ、ウィッチの運用面のメリットが薄れてしまったためだ。また、ラーテなどの超兵器が全て開発中止になったため、相対的に多種多様な兵器の性能を強化する必要があったこと、ダイ・アナザー・デイで通常兵器の大攻勢にウィッチそのものは殆ど戦況に寄与しなかったため、怪異の活動がスーパーロボットに抑え込まれた事実と併せ、ウィッチの運用規模は全世界で縮小された。特に空戦ウィッチは通常兵器相手では『空戦ができる歩兵』の域を出なかったために顕著に運用規模が縮小された。その時勢での生き残り策がマルチロールファイター化に相当する進化を内包する第二世代宮藤理論なのだ。

 

「人同士の戦争ではウィッチは運用メリットが薄いと見込まれた。敵は素の身体能力で並のウィッチを超え、我々(プリキュア)すら正攻法では歯が立たない超人を有し、それで我々を大いに苦戦させたからな」

 

南斗聖拳などはウィッチ世界では怪異以上の脅威として君臨し、プリキュアすら正攻法では歯が立たない(ドリームたちも敗北している)者が多い。対抗するには素の身体能力を鍛えるしか方法がないため、ウィッチの立場はますます失われた。現実という壁の前に投入が取りやめられた『ラーテ』や80cm砲を自走砲化した『モンスター』などの超戦車(いずれも試作車は完成済みだった)に代わる『決戦兵器』はスーパーロボットであった。超戦車が玩具に見えるほどの破壊力を有しつつ、運用制限が事実上は存在しないため、ダイ・アナザー・デイでは各方面の怪異の抑え込みが主な仕事であった。また、真ゲッターロボやマジンカイザーなどはラーテなどが担うはずであった『破城鎚』としても使用された。その映像も始まる。

 

 

「馬鹿な……。どんな兵器を用いても、コアを壊せなければネウロイは無限に再生するはず。それを…」

 

「あの兵器たちは一撃で粉砕していく…」

 

B世界の者達はその圧倒的破壊力に息を飲む。自分たちの世界では、大和型戦艦の主砲やドーラの特殊弾でも倒せないはずのネウロイをただの一撃で粉砕していく。変形合体するわ、雷を操る、剣を振り下ろすだけで怪異の巣が叩き切られる(ファイナルゴッドマーズ)など、超常的なパワーを見せつける。

 

「先生。これは……」

 

「超科学力の更に粋を集めて生み出された機械仕掛けの神のような存在『スーパーロボット』。あれ一機で星を滅ぼせるよ」

 

「ほ、星!?」

 

一同は腰を抜かす。映像が映し出したのは真ゲッターロボの必殺技『ストナーサンシャイン』だ。

 

『ストナァァァァァァ!!サァァァァンシャァァァァイン!!』

 

竜馬の雄々しい叫びとともに撃ち出されるストナーサンシャイン。その威力はネウロイを事も無げに粉砕する。

 

『喰らえぇ!!カイザァァァ・ノヴァ!!』

 

マジンカイザーのカイザーノヴァも間髪入れずに流れる。いずれも原爆が玩具に思えるくらいの極大の爆発を引き起こし、全てを消滅せしめている。星を滅ぼせるという言も嘘ではないのだ。

 

「四年前の戦いでラーテなどの代替として、これらが使われた。それでようやく撃退に追い込めたほど、敵の物量がな」

 

ダイ・アナザー・デイでぶつかりあった総兵力は史実第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦の更に倍を数える。連合軍の兵器数減少は超人と超兵器で補ったが、それでも根本的な兵器数の不足で撃退が精一杯であった。とは言え、海軍については『大勝利』であったので、制海権は確保できたのが救いだ。しかしながら、陸軍は作戦の直前までの主要二カ国の無理な軍縮で広範囲に渡って攻勢を維持できる兵力の確保が困難になったことで、恐れていた長期的な消耗戦に追い込まれ、Gフォース麾下でいくつもの機甲師団が再建に専念せざるをえない状況に追い込まれている。これは事後における扶桑陸軍の機甲師団の保有車両の種類が開発国単位でバラバラである理由に繋がっている。

 

「敵味方ともに新兵器の投入ラッシュになり、戦車は90ミリ砲や105ミリ砲が当たり前になって、空では2000馬力級レシプロ戦闘機のみならず、ジェット戦闘機までもが矢継ぎ早に投入された。あまりに新兵器が短時間で投入されたものだから、ウィッチのデメリットが際立ってしまったのだ」

 

第1世代理論が発展限界に近づいた時期であったこと、ウィッチの多くが対人戦を忌避した事もあり、そのデメリットが政治家に広く認知されてしまい、世界的に軍での運用縮小に舵が切られてしまったことは映像を見なくとも、話だけで容易に想像できる事だ。ウィッチの潜在的問題であった一般将兵への高慢さがダイ・アナザー・デイで木っ端微塵に打ち砕かれ、1949年度では『軍に残ってる連中は家の義務か、よほどの物好きか、だ』と言われているまでに陰口が蔓延っていた。こうして、説明がだいぶ進んだ頃には、キュアブルーム/日向咲とキュアグレースとなった立花響の模擬戦が始まろうとしていた。

 

 

――模擬戦用のトレーニングルーム――

 

「いいんですか、こんな時間に模擬戦なんて」

 

「許可はもらってあるさ。それに、あなたが2020年のプリキュアだってんなら、先輩として、実力を見ておきたいんだ」

 

時刻は夜7時20分。食事も終え、自由時間に入った頃。立会人はシンフォギア側がマリアと翼の年長組。咲は相棒の舞だ。

 

「よろしいのですか、日向女史」

 

「そっちの司令のおじさんにも伝えてあるさ。この界隈じゃ、実力もある程度は物言うからね」

 

翼は生年月日で咲のほうが先である事から、咲には敬語で接している。

 

「咲はこんな感じなのよ、翼」

 

「貴方達のほうが生年月日が先なのは、今でも信じられないわ…」

 

「いた時間軸の違いだもの。生年月日は一種の目安みたいなものだから、深く考えないの、マリア」

 

「そ、そう言われても…」

 

見かけは自分たちのほうが年上だが、実際の生年月日で相手の方が上というケースはキャロル・マールス・ディーンハイムの例であるので、慣れていないわけではないが、この場合は現実的に考えられるくらいの年齢差であることもあり、調子が狂う二人。

 

(本当はガングニールで手合わせしたいけれど、この力も前世の私が持ってた力なんだ……けして否定はできない。それに、四年前にのぞみさんが言った事の意味を確かめたい。それと『理解したい』。プリキュアであることのへ誇りや思いを。それが私にできる事なんだ……もう、あの時の失敗は繰り返したくないから!)

 

立花響は調と手を取り合うどころか、却って対立を煽るような言動を取ってしまった自らの言動と行動を悔い、他人が誇りとしていることやその想いへの理解をしていこうと心に決め、そのきっかけを与えてくれたキュアドリーム/夢原のぞみを尊敬するようになっていた。そして、自らの過去生の記憶と能力が覚醒めた今、彼女の後輩としての立場を得た。その記憶――花寺のどかとしての自分――と向き合うための機会を求めていたため、咲にこの模擬戦の話を持ち込んだ。それは調のことで失敗した自分の罪を清算するため、花寺のどかという自分の過去生にあたる少女がどんな想いでプリキュアの力と向き合い、受け入れていったのか?それを拳を通して確かめる意味合いを含めた、彼女がプリキュアとしての自分を受け入れるための『儀式』であった。

 

「それじゃ、準備はいい?二人とも」

 

「いいよ~、舞」

 

「お願いしますっ!」

 

『始めっ!』

 

美翔舞/キュアイーグレットの合図で、二人は模擬戦を始める。立会人は風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴ。キュアブルームとキュアグレース(ステッキを必要としないのは、彼女がガングニールの装者でもあるためであろう)。二人は同時に勢いをつけて飛び出し、それそれの拳をぶつけあう。

 

 

 

――本来はタブーである正規のプリキュア同士の対決。ブルームにはブラックほどのパワーはないが、百戦錬磨の技がある。グレースはプリキュアとしての能力が完全に復活しているかは不明であるが、ガングニールの装者として培ってきた突破力とスキルがある。これまでに判明している『額面上の能力』だけでは、二人の勝敗は誰にもわからないということわけは分かる。至って冷静なキュアイーグレットと対照的に、ハラハラドキドキな風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴであった――

 

 

 

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