ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百六十五話「迫りくる者」

――ダイ・アナザー・デイ以降、日本義勇兵を中心に行われた特攻や通商破壊などの苛烈な戦術はウィッチ達が軍隊を避けるようになる理由であった。また、山本五十六の暗殺や都市空襲を大手を振って行った事が知られ、扶桑人に憎悪を持たれたリベリオン人は戦間期には扶桑人にリンチされる事件が続出し、『近代戦争に騎士道や武士道などは無意味であると示した国である』と言うことで、自由リベリオンは戦争が始まるまでは肩身の狭い思いであった。扶桑軍部も通商破壊に慎重な意見が主流だったが、史実の戦訓が示されたために通商破壊そのものは認められた。だが、政治家に戦後賠償が恐れられたため、潜水艦での通商破壊が大規模化するには時間を要した。超甲巡は政治的にはそういう役目に存在意義を見いだされたのだ。また、日本の軍事忌避の意識がモロに政治に悪影響を及ぼす事例がダイ・アナザー・デイから頻発したため、結局は政治の失敗を現場が尻拭いするケースが常態化した。ウィッチ派閥の解体で横の連帯意識が失われる事に失望した中堅ウィッチの多くが軍を離れた結果、軍に残ったのは入隊したばかりの新人と、45年当時に引退間近と見られた古参ウィッチのみ。次の太平洋戦線までに教育が間に合わないのは明白だったので、Rウィッチ化も行われているが、ごく僅かに残った中堅層からの批判が大きかったが、なりふり構わってはいられなかった。気がつけば、現場の数的主力が義勇兵となる事態が発生した。中堅層世代はこれに罪悪感を覚え始めた。栄光の扶桑ウィッチ隊の主力が外国出身者などというのは屈辱だったからだ。しかし、今更戻るわけにもいかないため、自分達の妹の世代に責任を全て押し付けた。この選択が扶桑軍のウィッチの世代間での思想の断絶を招いたと後世に批判されるのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

――1949年になると、シャーリーやエーリカらの世代もあがりを迎えているはずだった。だが、戦乱が続き、新規ウィッチの数が絶望的になっているため、離職は不可能な状況であり、世代の大半が現役に留まった。その筆頭格の三人はG化しているためだが、大量離職が再び発生すれば、軍ウィッチそのものが本当に形骸化するので、シャーリーとエーリカの世代はその後も軍部を支えていく羽目となる。そのため、ウィッチ=10代の少女という認識はこの時期に社会的に崩れたと言える――

 

 

 

「……ウィッチの摂理を覆してでも、戦争をさせるのか」

 

「四の五の言ってられないんだよ、坂本。この状況じゃね。社会的行き場が失われた結果がオラーシャなんだよ」

 

「理屈はそうだが……」

 

坂本Bは黒田に諭されていた。1949年になっても、自分の知るエースたちが依然として現役を張っている事に心情としては納得がいかないらしい。黒田はダイ・アナザー・デイ後半に家を継ぐための事務作業で本国に度々、一時帰国した時期があるため、この戦いが本格復帰であった。A世界では先輩後輩関係が逆転している都合、黒田はタメ口だ。

 

「綺麗事言って、ボイコットした結果が今だからね?だから、社会的に疎まれたから、軍部も保護とノウハウ維持のために、45年の時に古参だった世代を引退させるわけにもいかなくなったのさ。あたしは七勇士で黒田の当主だし、余計にね」

 

「待て、お前は分家の出だろ!?」

 

「本家の嫡男が廃嫡されたんで、前当主に担がれたのさ。親は泣いてたけどね」

 

黒田はお家騒動の結果、なし崩し的に家を継いだ。両親は反対したのだが、本家当主の決定なので逆らえなかった。そのため、持参金が両親の貯めていたそれまでの仕送りの全額になったが。黒田はその関係でこの時期以降は貴族院議員でもあり、黒田家の財産管理を委託されているという名目で建てられた会社のCEOでもあるという複雑な身分であった。その会社は後の時代に『黒田コンツェルン』として発展する一大コンツェルンの礎を築くことになる。

 

「その関係で爵位も継いだんだ。だから、軍を辞められなくてね」

 

「馬鹿な、そういう状況なのか?」

 

「ああ。華族ってのはそういう身分なのさ」

 

実は黒田の両親はどこかへ娘を嫁に出させるつもりであった。だが、皮肉にも、七勇士であるために貰い手が見つかるはずもなく、逆に黒田本家の養女になり、本家当主となることになった。黒田は黒田家の体面を守るために押し付けられた地位に執着はないが、廃嫡された長男の娘があまりに不憫だったため、その代わりになろうとしたのだ。黒田の家柄は新華族になった黒江たちに前田家と同様の後ろ盾の効用をもたらし、同時に華族に新陳代謝をもたらすのだ。

 

「さて、久しぶりだし、マシンの整備してくるよ」

 

「待て、マシンだと?」

 

「ゲッターノワール。その二号機のテストパイロットなのよね、あたし」

 

黒田は本格復帰後はゲッターノワール二号機のテストパイロットであることが明確になった。ゲッターの使者となった圭子の記憶するゲッターノワールシリーズをゲッターエンペラーのいる30世紀の技術で再現を試みた機体であるのが正確な出自だが、その使用技術のレベルが高いが故に、23世紀当時の最新鋭機とされるゲッターロボアークをも圧倒的に超える性能がある。圭子の証言では、『本物』のノワールGはゲッターエンペラーの『地球型惑星での行動用端末』の側面を持つであろう事がわかる。G系統の機体であるので、当然ながら『シャインスパーク』系の武装も搭載しているであろう事も。

 

「お前たちは何なのだ、黒田……」

 

「ウィッチを超えたウィッチとだけ言っとくよ」

 

そうとだけ言って去る黒田。ノワールのパイロットスーツに身を包み、B世界の同位体と違い、闘争に身を委ねている節がある背中に、坂本Bは薄ら恐ろしさすら感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――それはGウィッチ達全般に言えることでもある。ゲッター線に見いだされたため、同位体より遥かに闘争本能が強まっているためだ。それは何人かのプリキュアにも言えることである。ZEROとの融合後のキュアドリーム、ゲッター線を制御したキュアフェリーチェ、キュアブルーム、キュアピーチ、ゲッター線の効用で肉体的にボロボロであった素体を治癒されたキュアサンシャインは特に闘争本能が強い部類に入る。(キュアメロディは元から高いが)その闘争本能が結果としては彼女らを新たな次元に導いたわけだ。とは言え、順風満帆ではないのも事実。キュアドリームは別の自分自身に反発され、現在進行系で揉めているからだ。(同位体の一方的な反発に近いが、『大決戦』の記憶がないことが強いコンプレックスであることは確かだ)――

 

 

 

「何してるんだい?」

 

「いつきちゃん。同位体に見せるための記録映像のコピーさ。あの子はあの時の記憶がないのがコンプレックスみたいだしね」

 

「あの時の二人、相当に暴れてたからねぇ。あの時は傍観者だったけど、豪華だったしね。日本の三大スーパーヒーローが一堂に会して共闘した『血湧き肉躍る』戦い。君の同位体は不可抗力で蚊帳の外に置かれてしまったのが悔しいのさ。それと、君のためにかれんさんとこまちさんを連れ出した。こっちの都合で。それが君の同位体は納得できないんだろうね」

 

「やれやれ。自分自身とは言え、現役時代はあんなだったかな~って思っちゃって」

 

「君は精神的には大人になってる状態だしね。向こうは正真正銘の14歳。昔の自分を見るようだと思えばいいさ」

 

この頃には特訓の成果で、プリキュアの状態でも平常時の精神状態を保てるようになっているため、キュアサンシャインの口調は普段のボーイッシュなものに近くなっている。

 

「それと、君がココと結婚できた上、超プリキュアを更に超えたプリキュアになった。そこだろうね」

 

黒江も冗談交じりに『超プリキュア2』と呼ぶ『エターニティドリーム』形態。怒りと悲しみをキーに覚醒したことやオーラを纏った際に火花が散る様子などから、そう形容される。黒江がドリームの姿でナインセンシズを発動しても同様の形態になることから、『プリキュアがセブンセンシズの壁を超えた場合に目覚める上位変身』であるとする推測がなされている。ドリームの場合は元々、通常フォームに飛行能力などが付与されているパワーアップが『超プリキュア形態』とされているため、彼女にとっての位置づけはむしろ『超プリキュア3』と言えるだろう。

 

「あれになれたのは偶発的なものだけどね。ZEROと一つになったことで得たんだし。その代わりに第二世代以降の究極フォーム相当にパワーアップしたけど」

 

「僕たちは『最終フォーム』はあっても、究極フォームはない世代だしね。そこが君の同位体の嫉妬を買った点だろう。無双できるだろ?問答無用で」

 

「うーん……」

 

「僕たちプリキュアはメタ的には『セー○ー戦士たちへのアンチテーゼ』として生まれたはずの存在だけど、代を経るに連れ、逆に近づいてきたってのも皮肉なものだよ」

 

「先輩やのび太くんも言ってたよ、それ」

 

「だから、僕たちはガチのガチンコをしなければ、存在意義を見いだされないのさ。キュアエールはセー○ー戦士を知ってる世代からすれば『中途半端で、鼻につく事を言う』んだよ。そこが、あの子が同性からそう言われてる事がある理由だろうな」

 

「ああ、21世紀でいう……」

 

「そう。世の中、『なりたいものにはなれない』ことのほうが当たり前だからね。あの子が聞けば怒るだろうけど、前世の君がそうであったように、現実は厳しいからね」

 

キュアサンシャインは自分の素体になったステラ・ルーシェの事もあり、キュアエール/野乃はなが言っていた『誰でも、なりたい自分になれる』という事には否定的である。それは野乃はなの言葉と正反対に『誰かの道具にされて、最後には使い捨てられる』経緯を辿った記憶がおぼろげにもあるからである。

 

「あの子には悪気はないのはわかってるけど、それでも、あの子は同性には好かれない要素が多いよ。生き方は人それぞれ。21世紀以降は昭和の時代みたいな一辺倒な答えは同性には嫌われやすい。しずかさんの選択が同性に強く叩かれてるみたいに。あの子は命を育むという選択を取るが、それが色々な理由でできない人は大勢いる。あの子は賛否両論を招くのが宿命のプリキュアなのさ」

 

よく言われるが、野乃はなは歴代でも特に同性に叩かれやすい要素を持つプリキュア戦士である。主張の時点で先輩達の反感を買ってしまっているように、彼女個人が辿った道よりも、その振る舞いが世間の反感を買う点は哀れと言える。彼女個人とは関係のない次元で反感を同性に買われやすいのは、彼女が過去のいじめから精神的に立ち直るために見出した価値観そのものが『なりたいナニカになれず、生活のために仕事をしている』大人たちや、戦闘へのスタンスが異なる先輩達に反感を買いやすいというところで、そこが彼女の持つ不幸なところだろう。

 

「いつきちゃんもあの子のことは?」

 

「個人としては嫌っちゃいないけど、主張が鼻につくんだ。ステラ・ルーシェとしてのおぼろげな記憶があるせいかもしれないけど、なりたい自分を目指す努力は否定しないがその中で折れる事を否定してはならない。その否定で折れた心が『壊れる』から。かつての君のようにね、のぞみ」

 

「あの子はかわいそうだなぁ。見出した価値観そのものが反感を買いやすいもの」

 

「いじめから立ち直るために見出したのは分かるんだけど、『母性を押し出す』ことそのものが同性から反感を買うのはしょうがないことさ。あの子は過激な連中に言わせれば、『男性から見た女性の理想像の押し付け』だもの」

 

野乃はな本人が聞いたら『私はイケてるおねえさんになりたいだけ、自分のなりたい野乃はなになりたいだけなのに!!』と怒り狂うだろうが、彼女の振る舞いそのものが世間の反感を買いやすいのは事実である。キュアサンシャインも主義主張と個人を分けて考えた上で、はなの主義主張には昔は反感を持っていた事を打ち明ける。

 

「昔は鼻について、いけ好かないと思ったこともあるよ。だけど、今は気にしてないさ。人間、大人になれば、あの子の辿り、勝ち取ったものが輝かしいか理解できるからね」

 

「大人になるってのは、そういうものだしね」

 

彼女達は精神的に成人の状態である故、『若かりし頃の心情』などをこうしてさらけ出す事もある。むしろ同位体との精神年齢の差で手を焼いているのぞみを考えると、不思議なものである。

 

「君の同位体はあの戦いの記憶がないことがコンプレックスだと、さっきにいったろ?ないがいいと思うとこあるけどね」

 

「先輩、なぎささんを怯えさせて、えりかをブルらせてるからなぁ。いくらトサカに来てたって言ったって、あたしの姿でブチ切れないでほしかったなぁ。ブチ切れると、戦鬼だし、先輩」

 

黒江は大決戦の際にドリームの姿で激昂したが、その際にキュアブラック/美墨なぎさが怯え、来海えりか/キュアマリンが『怖いー!!』と泣くなど、のぞみBには迷惑な事もしてしまっている。そのため、日向咲(キュアブルーム)曰く、『あの戦いの後、なぎささん、すごく怖がってたよ』との事で、のぞみBにははた迷惑なことになっていたとのこと。(非常時だったので、仕方なかったが)

 

「見てたけど、なんかすごい威圧感で、なぎささんの足、見るからにガタガタ震えてたよ」

 

「あーーー、もーーー!!先輩ーーー!!何してくれたんですかーーー!?」

 

絶叫するのぞみA。その頃、黒江は……。

 

「うおおおお!刻むぜ、波紋のビート!!」

 

地獄昇柱の油の噴出を波紋のコントロールで凌ぎ、柱から壁に飛び移り、難所を乗り切っていた。波紋使い特有の呼吸法も板につき、波紋疾走もこなせるまでに成長していた。不死の肉体を持つ黒江が波紋を得たところで肉体的な旨味がないが、精神面の鍛錬効果は充分にある。黒江は肉体的効果よりも精神面の効果を得るために波紋を修行しているのだ。

 

「はひー……」

 

「どうだったブルーム。何回かの模擬戦は?」

 

「あの子(キュアグレース)、シンフォギア装者としての特性がプリキュアとしての特性を変えてる。パワーがアニメのスペックを超えてるよ。受け流すのは骨だったよ、のび太くん。あれ?まだ修行してんの、綾香さん」

 

「今日で二日になる。戦闘の合間にやってるからね、最短期間は無理だったよ」

 

黒江は『メタ情報あるから、一日半だぜ』と豪語したが、実際は作戦会議や出撃を挟んだので、合計で二日は費やすことになった。とは言え、難所を乗り切ったので、残りは数mだ。

 

「あと4mってところか」

 

「その間にあたしは大変だったよ。あの子、バリアを普通に破ってくるし、打撃も的確だったから、こっちも本気出すしかなくてね。まいった。あの子、中国拳法使うんだね」

 

「風鳴弦十郎さんがカンフー映画好きで、彼から習ったって聞いたな」

 

「通りで香港映画で見た動きしてたわけだ」

 

「君、対応できるんだね」

 

「あたしは二代目だよー?ぽっと出の若い子に負けちゃあ、スプラッシュスターの看板に傷がつくよ」

 

ブルームはラスボスであるカレハーンとガチンコの格闘を行い、勝った経験を持つためになぎさほどのパワーを持たない反面、テクニックでは上を行く。そのため、キュアグレース(立花響)の中国拳法の動きに対応できたのだ。

 

「あの子、八極拳の使い手だったようだね。掌底での攻撃も使う。だけど、このあたしの敵じゃないナリよ」

 

「君、まるでコロ助みたいな事言うね」

 

「そんなー!」

 

「ま、いいさ。懐かしくなってね」

 

「え、知り合い?」

 

「小学生の頃に、コロ助を作った子と会った事あるのよね、僕。多分、あの子の先祖の残したメモ、未来人の道具を江戸期の技術で解析したものじゃないかなぁ」

 

のび太は少年期に学校同士の交流行事の際に木手英一という少年、彼が作った『コロ助』と会った事があると明かす。数回しか顔を合わせなかった上、お互いの住所を交換しあうほどの交流の時間がなかったため、その時きりとなったが、二人に共通点が多い事から、交流が深まれば親友になれただろうと、ドラえもんは評している。彼が持っていたキテレツ大百科はドラえもんに言われたのび太がコピーを取って保管しており、それが未来デパートの道具の基になったのでは?という推測がある。

 

「今だから話すんだけど、その時、ドラえもんに言われて、コピー取って保管したんだ。ドラえもんが未来デパートに確認取るとか言って。だけど、ドラえもんの奴すっかり忘れててね。家に保管してあった昔の机の引き出しに入ってたままだった」

 

「え、どうしたの?」

 

「アナハイム・エレクトロニクスに送ったよ。大株主が僕の孫の孫の孫でね。奴に解析を頼んだ。23世紀の世界でロストテクノロジーを蘇らせられるキーかもしれないしね」

 

キテレツ大百科はオリジナルは捨てられて現存しないが、コピーがあったのだ。のび太はすぐに23世紀の子孫に送り、解析を命じた。大株主である都合、アナハイム・エレクトロニクスを動かせられるからだ。

 

「意外だなぁ…」

 

「僕も二度か三度きりだったから、忘れてたよ。親戚ののび太郎のほうがまだ会う機会があったよ」

 

「のび太郎?」

 

「片岡家の血筋なのに、何故か僕に瓜二つだった同年代の従兄弟だよ。あいつも30になってるはずだ」

 

のび太の親戚ながら、遠いためにのび太も数回会った程度の面識がしかないのび太郎。野比家の人間ではないはずだが、先祖に野比家の人間がいたのか、11歳当時はのび太に瓜二つだった。その消息は不明であり、どこで何をしているのかはのび太にもわからない。

 

「最後に会ったのは成人式だった。あいつ、どこで何をしているのか…」

 

『のび太郎』。その存在を思い出したのび太は彼を捜索することになる。彼はどこで何をしているのか。だが、のび太郎はのび太と瓜二つであったことに強いコンプレックスを成人後は持つようになっていた。そして、のび太と同じ顔を持ちつつも、社会的成功を掴めなかったのを原因に、のび太への歪んだコンプレックスが過激な選民思想に走らせ、従兄弟であるのび太との敵対の道を選ぶ。23世紀の世界でSPT『ザカール』を得て、のび太やプリキュア達と戦うことになるのだ。のび太も予想だもしない事。それは自分と同じ顔を持つ従兄弟が敵として現れ、しかも、タウ・リン張りの破壊思想被れのテロリストに転じている事であった。

 

「嫌な予感がする。だから、レイズナーマークⅡを急がせたんだ」

 

「どうして?」

 

「ビスト財団の残党がザカールを誰かに横流ししたからさ。あれを横流しするにしても、扱いにくいマシンのハズ。と、言うことは…」

 

のび太の嫌な予感は的中していた。ある世界でキュアブラック、次元震で飛ばされ、共闘していたキュアフローラを捕まえ、拷問している主こそ、のび太の従兄弟ながら、容姿を変装で別人に変え、名も『カイン』と名乗るのび太郎だったのだ。

 

「カイン様、小娘共の処置は如何なされますか」

 

「フン…。好きにしろ。小娘など、私の眼中にはない」

 

のび太郎は南斗聖拳でも極めてそうな服装をしている。髪も赤髪に染めており、のび太と瓜二つであったはずの少年期の面影はない。声も成人後ののび太とは似ても似つかぬながら、イケメンボイスであるのもあり、南斗聖拳を極めてそうと評される。部下にプリキュアの拷問をさせるあたり、俗事に興味が薄いことが分かる。だが、彼はほんのちょっとのミスを犯した。キュアフローラをブラックが決死の覚悟で逃したのだ。フローラは必死に逃げ、次元震が起こした時空の歪に身を投じる。その歪はウィッチ世界に通じており……。

 

「大変ですーーー!」

 

血相を変えて、キュアレモネードが吹っ飛んできた。何事かとサンシャインが問うと……。

 

「フローラが……フローラが来たんです!!それもボロボロの姿で!」

 

「なんだって!?」

 

一同は顔色を変える。キュアフローラがボロボロの姿で現れた。何かあったのは確実だ。

 

「それで今、フローラは…はるかは?」

 

「マーメイドが付き添ってます。かなりボロボロで、私達の顔を見た途端に崩れ落ちて…。マーメイドが血相を変えて医務室に連れていって…」

 

話を聞いたサンシャインとブルームはすぐに医務室に駆けつける。外にはアクアが顔面蒼白のマーメイドを元気づけている。

 

「かれんさん、はるかの様態は!?」

 

「かなり危険な状態よ。今、輸血をしているわ…」

 

サンシャインにアクアはそう答える。マーメイドは顔面蒼白で茫然自失の状態であり、アクアがいなければパニックを起こしかねないほど取り乱している。

 

「こんな時にハッピーがいれば…」

 

マーメイドのつぶやきに一同はなんとも言えなくなる。キュアハッピー(芳佳A)の力なら、致命傷すら治癒できるからだ。とは言え、そんな反則手段を常に取れるわけではない。できるかぎりの医療を施すしかないのだ。

 

 

 

 

――顔面蒼白、今にも泣きそうな顔で震えるマーメイドの姿にいたたまれなくなる一同。一報を聞いて駆けつけたスカーレットも一同の様子にショックを受け、崩れ落ちそうになる。すると、タイムマシンの扉が開き……――

 

「連れてきたよー!」

 

「の、のび太さん、ど、どこへ行ってたんですか?」

 

「七ヶ月後さ。その時間軸の芳佳ちゃんを連れてきたよ!」

 

「待たせたね!7ヶ月後からすっ飛んでき…あら…気をつけないと駄目だよー」

 

「あたた……場所が悪かった」

 

七か月後の芳佳は産休を終えている。その時間軸から連れてきたのだ。キュアハッピーに変身し、白衣を羽織り、輸血が行われている医務室に入っていく。

 

「お願い、宮藤さん……はるかを……私の大切な友達を……」

 

「そのために来たんだよ、マーメイド…、いや、竹井さん?」

 

キュアハッピーは宮藤芳佳として答える。マーメイドも竹井醇子として頼み込んでいる。ややあって、キュアハッピーの治癒魔法が室内で発動し、室内を青く照らし……。その様子にスカーレットは胸を撫で下ろす。

 

「これでよしっと。数時間もすれば目が覚めるよ」

 

ドアを開け、キュアハッピーがそういうと、一同は歓声を挙げて大喜びである。

 

 

―だが、のび太にとってフローラとの出会いは新たな宿命の胎動でもあった。その名はザカール。それを操る者こそが…。轟天の格納庫に置かれている二つのレイズナーと互角に戦える性能があるという金色の機体。その存在を彼女から知らされるのである――

 

 

 

 

 

 

 

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