ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回からの流れです。


第三百五十二話「もう一組目のシンフォギア装者らと」

――シンフォギアの調整は地球連邦では、真田志郎がしていた。聖闘士が用いると、展開を続けることによるギアへの負担は通常より遥かに少ないが、定期的な機構のオーバーホールは念のためにも必要だからであった――

 

 

 

 

 

――ある日、D世界の装者たちはA世界の装者との違いは比較的に少ないものの、切歌と調の仲が拗れてしまい、調が出奔していたという報には顔を曇らせた。その原因が『事故で他人が入れ替わっていた事である』ことも要因だからだ。しかも、本人がSONGを抜けた要因であるため、手放しでは喜べない――

 

「和解したって言っても、揉めたことには変わりないからなぁ」

 

「それは本当ですよ。私も戻ったばかりで気が立ってましたから」

 

「それで、異世界で20年?」

 

「途中で、肉体的な加齢はしなくなったんで、合計で30年位は過ごしてます」

 

「なんだよ、それ!?」

 

「たぶん、世界を飛び越えたり、魔法を使ったりしたんで、体質が変わったんじゃないかって」

 

「ありえねー!外見はこっちのお前と変わんねーぞ!?」

 

外見上は古代ベルカへの転移時と大差ないが、多くの体験をしてきたため、精神的に落ち着いてきた調A。仕事も多いため、シンフォギアが普段着代わりになってしまったという。心象変化の実験はA世界ではなされていないため、通常の形状のシンフォギア(ただし、ブーツは任意での変形が可能になったため、この時は脚部を通常の形状にしている)だ。

 

「月読、足は通常の形状になったのか?」

 

「厚底だと、踏ん張り効きませんからね。任意で変形させたんですよ。それに、武器は色々使うんで」

 

この頃になると、シンフォギアを纏ったままで通常の武器を使う事も多いので、脚の装甲は用途別に変形させている事を語る調A。元々はツインテールを覆う装甲に小型鋸を内蔵していたが、この時点では『強者には牽制にもならない』ために廃している。その代わりに、腕に『バトルショットカッター』を巻いている他、ダブルトマホークを使うことで補っている。

 

「その気になれば、技の引き出しはあるんで、以前通りの戦法は取らなくなりました。バレバレなのもありますけど」

 

「バレバレだと?」

 

「ええ。たいていはアニメになってるんですよ、私たち」

 

「嘘ぉ!?」

 

「ええ。それも、そこそこ人気あったらしくて、アニメに詳しければ、戦法を読まれます。だから、まったく別の戦法を取る必要があったんです、皆さん」

 

「世界間でまったく関連がなくとも、アニメとして存在すれば、戦法が読まれている……あり得るのか?」

 

「ええ。面食らったのは私だけでなく、プリキュアの皆さんもです。なので、『絶対にしなさそうな攻撃』を覚える必要が出たんです』

 

「それが?」

 

「ええ。私は攻撃魔法はあまり得意じゃないから、武器に魔力を上乗せして攻撃力を上げるっていう、割に古典的なやり方を選びましたが」

 

調は魔力を得たが、資質があまり攻撃魔法向けではなかったのもあり、オーソドックスなベルカ騎士として成長した。そこに聖闘士としての能力を+したため、以前と比べれば、戦術の選択肢は増えている。背丈も伸びているので、総合的にはD世界の自分を超えているといえる。

 

「それで?そっちのあたしは?」

 

「元の世界の戦乱が収まったんで、卒業したら、SONGの活動を本格化させるみたいです。歌手活動も薦めてるんですが、恥ずかしがってて」

 

「そ、そうか」

 

「翼さんとマリアは歌手活動とSONGのエージェント業を継続。響さん。別のあなたがプリキュアになったのは知ってますね?」

 

「う、うん…。信じられないけど」

 

「切ちゃんはSONGを短い期間で離れた後は、聖闘士になりました。すったもんだはあったけど、なんとか和解できまして。SONGを抜けたのは、けじめだって言ってます」

 

「けじめ、か…。そちらでの暁は狂乱で、多くの人々を『手にかけてしまった』というが…?」

 

「ええ。勘違いで思い詰めた結果でした。後から聞かされましたが」

 

自分は響と揉めてしまった事で出奔したので、切歌本人と揉めたわけではない。そこも事を複雑化させたといえる。とはいえ、調にも非があるのも事実である。その償いのため、自分の世界のSONGとの繋がりはを出奔からしばらくして回復させ、彼女らに新たな活動の場を提供している。

 

「でもよ、こいつ(響)はどっちも使えるってことだろ?」

 

「平たく言えば、そうなります。あ、こちら特有の現象かもしれないけど、ギアは関連性のまったくない世界に飛ぶと、一時的に機能に支障を来す事があったんです」

 

「どういうことだ?」

 

「つまり、任意での解除が一時的にできなくなるってことです。私もそうなって、恥ずかしかったですよ。ギア姿で下宿先の家主さんの家族に挨拶する羽目になって」

 

「おおぅ……」

 

「まぁ、いっその事って事で、そのままにしてたのもあるかもしれませんね。これは私達に限った話でもなくて、プリキュアの皆さんにも起こりましたけど」

 

プリキュアも転生者であった場合、もしくは現役時代と異なる点が多い場合、覚醒直後は任意での変身解除ができない事が多い。真田志郎曰く、『力が新しい体に馴染むまでの移行時間だと思われる』とのこと。クリスはたじろぎ、翼は微妙な表情だ。

 

「でも、ギアを普通の時でも使っていいの?」

 

「私は元の世界を離れたのもあって。それと、元の世界と違って、色々な人たちがいますから」

 

平時にギアを纏う事は訓練目的以外にはご法度なのがシンフォギア世界だが、別の世界では普段着代わりでも問題はない。規制の根拠である法律がそもそも存在しない上、シンフォギアと別の方向性で高性能なパワードスーツが存在するため、特段驚かれない。

 

「私は何をすればいいんだろう?」

 

「せっかくだから、影武者って形で関わってみませんか、響さん。こちらのあなたはプリキュアとしての力を慣らす必要もあって、プリキュアの姿を維持してます。なので、あなたが戦っても、公に問題はないことになります。悪く言えば、こちらの都合ですが」

 

「いいのか、立花?」

 

「この世界に来てから、ホテルにカンヅメが続いてたし、何かの役に立ちたかったんだ。そっちのみんなは?」

 

「今はそれぞれの任務をしています。翼さんとマリアは歌手の仕事が来てるんですが、二人に急な要請があって。クリス先輩は期末試験。切ちゃんは聖闘士の任務で、別の世界に」

 

「こちらの貴方には何を依頼するの?」

 

「パトロールかなぁ。この世界はシンフォギアを普通に使うだけじゃ、ボロボロにされるくらいにバイオレンスなところあるから」

 

「風鳴司令みたいな人間が?」

 

「異世界人含めて、人外な人たち多いんだよねぇ」

 

調Aは遠い目をする。未来世界の人間達はゲッター線の影響もあるだろうが、長きに渡る戦争で、戦闘に関する技能が研ぎ澄まされたり、科学技術で強化された結果、23世紀初頭の時点で、並のゼントラーディ(メルトランディ含む)を凌駕する戦闘技能を持つ者が出現している。(ガイアにいる竜崎一矢も含む)生身で鉄筋コンクリート造の超高層ビルを蹴り出せるドモン・カッシュ、生身で爬虫人類を撲殺できる流竜馬、素手で人の鼻や耳を削げ落とせる神隼人がその筆頭といえる。そのため、調Aはそんな世界を人外魔境と例えている。(最も、今では彼女自身も片足を突っ込んだが)プリキュアを素で圧倒できる人間が敵味方に多くいるため、シンフォギアを纏った程度では『強敵への戦力になれるかは分からない』のだ。更に、シンフォギア最大の弱点であるコンバーター部をピンポイントで特殊弾で狙撃されると、機能に異常が生ずる。(もっとも、通常の銃弾では傷つかないが)それをやってのける人間がいるのも驚きである。

 

「おい、なんだよ、その目は」

 

「いや、多いんですよ。司令みたい人。特に未来世界には」

 

苦笑交じりに、クリスDに言う調A。

 

「嘘だろッ!?」

 

風鳴弦十郎のような人間がゴロゴロいるというのか。その衝撃はそう言いたくなるのも無理はなかった。更に。

 

「おまけに、積むだけでとんでもない現象起こせる機械も作れますからね」

 

「なんだと?」

 

「サイコフレームやバイオセンサー……。リアルロボット用の部材でも、オカルトに片足突っ込んでますから。こっちの世界のみなさんも腰を抜かしてました」

 

シンフォギアが思いを束ね、引き出した最大出力でようやく起こせた奇跡以上の現象を起こせるサイコフレームとバイオセンサー。真田志郎曰く、『偶発的にできたオーパーツに近い』という。

 

「なぜ、そこまでに至れる?」

 

「長い戦争ですかね。口で説明してもわからないと思うんで、映像を借りてきました。こっちの世界のみなさんも見ましたが、ショック受けますよ」

 

統合戦争以前に存在した『ひみつ道具文明』の名残りの産物がサイコフレームとバイオセンサー。その文明が統合戦争で崩壊し、立て直したら、内輪もめどころでない事態になる。そして、恒星間航行の時代に入る。まとめても映画並に長い。その上、宇宙移民の劣等感も戦乱の要因。それは地球人類が成長する過程で起こっていくこと。調Aはその世界で過ごしているため、地球連邦の民主主義が腐敗しきり、専制主義が『地球帝国』という形で蘇ってしまう事態にならなかったことに安堵している。国はどこかで官僚なり、政府なりが腐敗し始める。アフリカ諸国の指導者の少なからずが『体制の安定しだした年代に不正を働き始めた』のは有名な逸話だし、安定に飽いた民衆が刺激を求めた結果、専制主義が墓場から蘇るというSFも存在しているからだ。

 

 

「統合戦争はなぜ起こった?」

 

「2100年代に大きく発達した人工知能が人類を支配する恐怖が爆発した結果。そう聞いています。西洋が日本を戒めようとしたら、当時に力をつけていた日本が反攻し、数十年の戦争で欧州主要国の大半が没落し、アメリカも政治的地位を失った。それが地球連邦の大元の体制だそうです」

 

翼の質問にそう答える。地球連邦体制が生まれた後、文化学的観点から、地域別の文化や風習が絶えてしまう懸念が生まれ、旧各国系の住民を収容し、国家時代の風習や文化を踏まえての生活を営むコロニーの必要が叫ばれ、多くが生まれた。これがネオ国家コロニーの始まりだが、やがて、存在そのものをスペースノイドの団結を乱すとしたジオンの攻撃の対象となっていった事も、ジオンの傲慢の表れであった。そして、地球が異星人の攻撃で灰燼に帰したと思われても、市街地ごとジオフロント部に避難することで難を逃れ、様々な手段で異星人を撃滅。23世紀の大航海時代を迎える。宇宙全体を考えれば、人類の版図など、天の川銀河とその近隣の銀河にかかるのみ。かつてのアケーリアス超文明はおとめ座銀河団全体を版図に収めていたので、その1000分の一以下と言える。

 

「これだけ戦争して、よく滅びないな、その世界」

 

「戦争が進歩を促すこともありますからね。異星人が来なかったら、地球人は太陽系全体を植民地にする程度で満足していたかもしれません」

 

強大な異星人が立て続けにくるため、必然的に宇宙のルールを叩き込まれた地球人は敵対者に情け容赦しなくなり、イルミダスの暴虐がゲッターエンペラーという怪物を目覚めさせてしまう。ウインダミアの過激派が地球を滅ぼそうとした結果、時空を超えてのゲッターエンペラーの介入を招き、ブリージンガル球状星団のいくつかの惑星は滅亡してしまった。(ゲッターエンペラーに物理的に潰された無人惑星も含む)

 

「それに、人類の意志が遂には怪物を生み出しちゃうんです」

 

「怪物?やぶさかではないな」

 

「見ればわかります」

 

――チェーンジ!!ゲッターエンペラーァ――ヌゥワン!!――

 

ゲッターエンペラーのゲットマシンがロボ形態に合体し、周囲の惑星を余剰エネルギーの放出だけで消し飛ばす光景。敵がいかなる攻撃を試みても、傷すらつかない。それどころか、物理的に惑星(地球大)を握りつぶす。まさに圧倒的な力だ。

 

「何……、これ」

 

「一つの究極ですよ。科学の頂点を極まる超怪物兵器。ゲッターエンペラー。そう呼ばれてる合体ロボです」

 

「ロボットだと?これが…?」

 

「ええ。太陽系がまるごと動いてると思ってください。地球が真に危なくなった時に姿を見せる『機械仕掛けの神』ともいいましょうか。星間国家がどんな手段を講じようが、傷一つ負わせられない存在です」

 

ゲッターエンペラーのあまりに強大無比な姿は衝撃だった。あまりに大きく、無慈悲。無慈悲な相手には無慈悲で応じるとでもいうのか。気が重くなる話だ。

 

「異星人が無慈悲に侵略を繰り返す内に、地球人が行き着いた答えです」

 

「そこまでの存在が目指すべき敵とはなんなの?」

 

「そうだね……宇宙の外にいる『神を超えた存在』と戦うために、神の意志で導かれた地球人が生み出した『機械のバケモノ』がゲッターエンペラーと言うべきかな。これはお偉方の推測だけどね」

 

「お偉方って、あなた」

 

「一応、公には自衛官ってことになってるから、国家公務員なんだ。法的問題が一応はあるからね」

 

調AはマリアDへそう返す。自分は公には、『自衛官』であると。自衛隊は事実上の軍隊であるので、軍人と言って差し支えない。日本の法的縛りから外れる手段が『日本連邦軍構成部隊に転属になる』というもの。ウィッチ世界は自衛隊の能力検証の場とされているわけだ。

 

「ギアごと?」

 

「今は個人の所有物だけどね。ギアも身体能力は上げてくれるけど、感覚までは強化されないから、別の力と組み合わせる必要が生じたけどね」

 

シンフォギアは最大限までリミッターが外れても、光速の動きを視認することまではできない。(正確には、反応が追いつかないということでもある)そのため、黄金聖闘士と戦うためには同等の境地に達する必要があった。立花響(A)はプリキュア化した結果、双方の力が感応しあい、プリキュアの力が『リビルド』された結果、単独変身と『戦闘で必ずしもアイテムを必要としない』ように変化し、現役時代から変質した能力となった。ガングニール寄りの特性へ変化したというべきか。

 

「響さん、あなたの場合はプリキュアの力すらも変質させるほどの思いだったみたいで、双方のハイブリッドになってます。ですので、調査の必要が出たんです」

 

シンフォギアの爆発力と特性がヒーリングっどプリキュアの力と組合わさり、変質させた事は歴代プリキュアもびっくりの事態である。現役時代の能力にプラスαする(ドリームのパワーアップは小宇宙を加える事での変化である)ことで、戦力を向上させることが当たり前であったため、能力そのものを大きく変質させたケースは前代未聞。調査のためもあり、ここ最近はキュアグレースの姿を保させているという。

 

「どういうことぉ!?」

 

「こっちもわからないんで、調べてるんですよ。前代未聞だし、あなた本来の爆発力はそのままなので、余計に」

 

「そっちの私はどうして、そうなったの?」

 

「うーん。たぶん、前世の記憶が蘇ったのと、キュアドリームへの憧れがあったんじゃないかと。断定はできないけれど」

 

少なくとも、キュアドリームへの憧れは事実である。精神的に荒んでしまったドリームが奈落の底から立ち直れたのは『時代が下っても、自分は誰かの憧れになれている』という事を知れたことも関係している。のぞみが前世で失敗した原因の一つは、身も蓋もないが、就職後に不幸が続いたこともあり、いつしか『現役時代の純真さを失ってしまった状態で戦うようになっていった』事だ。いつからか、戦う事で心の隙間を埋める』という精神状態に陥っていたわけで、それに前世で気づけなかった事をコージは後悔しており、それがサムライトルーパーの力を継承するきっかけとなった。図らずも、のぞみと響の出会いは双方に大きな影響を及ぼし、のぞみは『誰かからの憧れ』が再起の一つのきっかけとなり、響は騒動以来の鬱屈した気持ちを晴らし、状況の打開、自らの劣等感の解消(自分達で解決できなかった事柄が大事であったからだ。邪神エリスの一件で蚊帳の外に置かれたり、自分の言葉が事態の悪化を招いたりしたこと、聖闘士の強大さが明らかになるにつれ、拠り所、ないしは居場所が奪われる事への恐怖を抱いていた)に繋がった。

 

「それに関係する事ですけど、私にも、非があるのは本当です。貴方にはすまなかったと思ってますよ」

 

「そっちの私はなんて?」

 

「お互いに非がありますから、謝りあいました。こちらのあなたがプリキュアになったのは、それから少し後のことです」

 

わだかまりが解消され、滑らかな気持ちになれたこともキュアグレースの因子が目覚めた要因ではないか?調Aはそう推測している。」

 

「それじゃ、貴方の実力を図りたいんで、模擬戦しますか?」

 

「いいの?」

 

「そちらの私と違って、接近戦を鍛えましたから」

 

そう言って微笑む調A。Dが切歌との連携を前提に訓練され、単独での戦闘は避けるように育成されているのに対し、Aは単騎での戦闘をベルカ時代から多く経験せざるを得なかったこともあり、個人戦闘力はDの比ではない。それを教えたかったのも、模擬戦を持ちかけた理由だった。

 

 

 

 

 

――所用を終えた調Dが連絡を受け、模擬戦の行われている演習場に赴くと――

 

「ライトニング・フォーーーール!!」

 

ちょうど、別の自分(調Aのこと)が回転蹴りで竜巻を発生させ、空中で相手を拘束、その真上から叩き落す技を披露するところだった。

 

「え、えぇぇ――ッ!?あ、あれが…私!?」

 

先がボロボロになっているマフラーを首に巻き、蹴り技を主体にしている自分自身に驚きを隠せない調D。ギアの基本デザインにはあまり差異はないように見受けられるが、足を覆う装甲が厚底シューズの形状ではなくなっている。蹴り技を用いる都合であろうか。

 

「つぅ……。は、速い…!?」

 

Aは自身の足で、ギアのローラーの全速力以上の速度を出せるためと、忍者ライダーと名高い『仮面ライダーZX』からの特訓を受けた影響もあり、蹴り技を多用する傾向にある。響Dは得意の拳を用いるため、背中のスラスターなどを用い、突進する。Dであれば、巨大な鋸で拳を受け止めるが、Aは拳をぶつけ、打ち合わせる事で受け止めた。

 

「え!?」

 

「鍛えてますから」

 

そう微笑うと、打ち合わせる拳を解き、がっしりつかむと。

 

「秘技・きりもみシューーートッ!」

 

ライダーきりもみシュートを行う。投げ飛ばすと同時に竜巻を発生させ、相手を上空に投げ飛ばして動きを封じるわけだが、響Dは背中と腕部のスラスターを最大で吹かす事で強引に態勢を安定させる。

 

「この…くらい!」

 

「へぇ。さすがは。だと思ってました」

 

「へ、へ…!?……み、ミサイルぅ!?」

 

「私は、あなたの知ってる私じゃないんですよ、響さん?」

 

なんと、それを読んでいたかのように、膝を覆うギアの装甲からミサイルが飛び出し、撃ち出される。往年の名作漫画であったような光景に、観戦している全員が唖然としてしまう。更に、ミサイルが途中で無数の子弾を放出する。

 

「嘘、ミサイルが途中で分かれ……!?」

 

この不意打ちはかわせず、全弾が直撃する。一つ一つの威力は小さいが、全弾が直撃すると、地味に効くのだ。爆風で吹き飛ばされ、またも地面に叩きつけられる響D。

 

「いったた……なに、今の!?」

 

「ギガントミサイル。普段は追撃に使ってるんですが、効いたみたいですね」

 

起き上がり、驚く響D。流石にミサイルから更に無数の子弾を撃ち出して来るとは思わなかったらしい。

 

「クリス先輩のお株を奪うみたいですけど、これはどうですか?」

 

今度は片手用のマシンガン(ゲッターマシンガン)を二丁拳銃の如く持ち、撃ちまくる。模擬戦なので、模擬弾を装填しているのだが、鋸を使うかと身構えているところへの銃撃では『話が違う』。

 

「うわわわ~!?そういうのは、クリスちゃんの専売特許だってぇ~!?」

 

弾幕をなんとか避けるが、腕の装甲などにペイント弾が当たり、ペンキがつく。拳で打ち落とす、あるいは装甲で防ごうとしても、『嫌らしい狙い方』なため、その場に留まってのガードができない。

 

「やるわね、火線を巧みに使う事で、踏みとどませずに、体力を消耗させようとするなんて」

 

感心するマリアD。

 

「~~あんにゃろ、火器はアタシの専売特許だってのに……」

 

憮然とするクリスD。アイデンティティの危機を感じたらしい。

 

「鋸を使わずに、あんな戦い方を……どうして?何があったの……!?」

 

眼前の光景が信じられない調D。そして。

 

「ドリルプレッシャーパァーーンチ!!」

 

左の籠手をロケットパンチとして撃ち出す調A。しかも『ドリルプレッシャーパンチ』で。左拳を咄嗟に合わせるが、推進力と回転力の勢いに負けて弾き飛ばされ、態勢が崩れる。その隙を突き……。

 

「エレクトロファイヤー!!」

 

腕をこすって静電気を発生させた後、地面に手を叩きつけ、電流を走らせ、しびれさせる。御坂美琴がその原理を解説してくれたことで、コツを掴んだという。瞬時に砂鉄を浮き上がらせ、相手の足元まで導線代わりにしているという。美琴も同じ原理の攻撃はした事があるからだとのこと。

 

「流れるような連携攻撃……。なるほど、話に聞いた経験は伊達ではないということか」

 

「確かに、個人戦闘力に差があるようね」

 

「……これが別の……世界線の私なの……?」

 

感心する年長組の装者たちと、歯噛みして悔しがる調D。自分はギアのスペックを用いるのが前提なため、バリエーションも多くないし、ワンパターンである自覚がある。一方、別の自分は流れるような連携攻撃を見せられる上、自主的な格闘もこなせるようになっている。無性に悔しい気持ちがこみ上げるのだった。

 

 

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