ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前々回の続きです。


第百六十七話「扶桑海の隼と思いを咲かせるヒカリ」

――A世界では、戦闘機としての震電はジェット戦闘機として世に現れた。扶桑旧来の命名規則で開発され、後世に名が継承された数少ない例となった。一方のストライカーユニットは当初は史実通りの姿で完成したが、Gウィッチ達と同レベルの魔力でなけば起動もできないという問題が発覚。試作の魔導増幅スターターを搭載した型の試作機がロールアウトしていたが、1946年前後のクーデター事件の際に焼失。残された試作機はジェット化の素体に使われ、レシプロストライカーユニットとして世に出ることはなかった。吾郎技師はジェットとしての熟成を大手を振って行えると喜んだが、坂本が落胆した。震電は芳佳であれば、そのポテンシャルを発揮できる事を知っていたからで、横空に何度も供出を依頼していたからだ。ところが、横空は『テスト未了』を理由に坂本の要請を蹴った。ダイ・アナザー・デイで烈風を改良して凌いだのは、震電を横空が死蔵したからである。クーデター後に横空のテスト部門が解体された理由。それは志賀が不在の内にクーデター失敗に悲観した若手が勝手に機材を燃やしたからで、世間的にも強く非難された。空技廠もこの責任を問われる形で縮小となり、一部技術者は鉄道業界に転出していった。燃やされた試作機の中にはナイトウィッチ用の新型として期待されていた天雷、震電の競作であった閃電ストライカーも含まれており、小園大佐が怒り狂い、首謀者のウィッチをその場で射殺しようとしたほどだった。結果、月光やキ44などの後継機種はライセンス生産のセイバードッグと震電改の『改一』となるしかなく、天雷を期待していた邀撃部隊を落胆させたという。とは言え、震電改一(吾郎技師の作ではない)やセイバードッグは第1世代ジェットストライカー(第二世代理論式ではない最後の世代)としては優秀であるのも事実だった。七郎技師は震電改一をあくまで原型機のブラッシュアップに留めたため、比較的早くに量産が可能なので、役所には高評価である。ただし、実機とストライカー共に予定エンジンが機体の生産に間に合わず、その生涯の多くを秋水の代替機のように過ごしたという。軍にとっては改二こそが本命で、第二世代理論の中では理想に近いとされるほど、同世代での扱いやすさと武装の幅に定評がある。その初期生産機は64Fに直ちに回され、隊長陣に優先配備されていた。実機の時代を超えた外見が反映され、第三世代の試作型とも言える作りになっていた。――

 

 

「貴方達のそれは何なのです?」

 

「本格的な第二世代理論式の先駆者の機体だけど、その次も見越して作られている、超贅沢品よ。私達しか扱えないわ、バルクホルン」

 

第三世代理論を部分的に適応させた量産試作型と吾郎技師はいう。オーバーテクノロジーであるアクチュエータ、フィールドモーターとマッスルシリンダーの双方を間接駆動に用いる装甲服型ストライカーの雛形。色々と先取りしている機能が多いので、未来世界でタッチパネルとセレクターの操作に慣れていないと手に余るとは彼の談。

 

「昔の鎧甲冑のように見えますが?」

 

「シールド依存から脱却するための強化服型よ。強化服にしたおかげで重装備を軽々と持てるわ。怪力に頼ることなく、ね」

 

武器は57ミリ陽電子ガンポッド、固定武装のレーザー機銃、近接戦闘用の武器(これはウィッチの好みに応じて装備)、各種ミサイル装備、チャフとフレアなどだ。ISと違うのは、あくまで等身大サイズで装甲を纏う点で、この点はフレームアームズ・ガールに近い。ウィッチの素質によるが、サイコミュシステム搭載のバックパックでファンネル装備も対応する贅沢な仕様で、この時点では大量生産を前提にしない受注体制での製作であるとのこと。武子は元の資質がニュータイプ能力に進化したためにサイコミュシステムを搭載した重装備であり、ハイνガンダムのそれを参考にした配置でのファンネル装備だ。

 

「ビーム・ライフルに、腕部装甲のレーザーマシンガン。えらく重装備ですな」

 

「コンベアやボーイングの新型対策よ。それでいて機動戦に対応するためでもある」

 

「そんな装備で大丈夫なのですか?」

 

「何、見てなさいな、ペリーヌ」

 

ペリーヌBも怪訝そうにする。鎧甲冑のようでありつつも、露出箇所も多い作りだからだろう。そして、装備違いと思われるが、シルエットは違うストライカーを纏う武子の護衛が到着する。

 

「すみません、お姉さま。Gバードの細かい調整が遅れて」

 

武子の従卒である『檜大尉』は最もオーソドックスなようだが、メインウェポンはなんと、Gバードである。Iフィールド持ちのモビルアーマーを撃墜するために持ち出したあたり、殺意は充分だ。

 

「隊長も人が悪い。こんな面白いもんを用意してたとはね」

 

セラはクレイバズーカとロングライフル装備であるが、バックパックはリゼル(ウイング装備)を模した高機動仕様だ。本来は指揮官用だが、64Fでは高機動戦闘が多いので、中堅のセラでも使用許可が降りる。因みに後に流通する標準型はリゼルを参考にした『ボックスユニット型バックパック』なので、機動性能は向上するが、じゃじゃ馬的な挙動になるウイングユニット』はリゼルがそうであるように、一部隊に数基の支給が標準となる。 64Fのものはその更に試作であるため、特性はむしろ、トールギス的な『殺人的加速性能』である。

 

「セラ、呼び戻したのだから、それなりに、ね」

 

「アイアイ、セイレーンと呼ばれてるのは伊達じゃないんでね」

 

セラは武子の復帰後は部隊の先鋒的ポジションに落ち着いた。高機動パックのスラスターが点火され、あっという間に突撃していく。

 

「なんですの、あの加速……」

 

「これが魔導オグメンダの威力だというのか!?シャーリーの加速をも上回る!」

 

高機動パックは量産品ではマイルドな調整になるが、試作品は採算度外視のピーキーなものであるので、『肉体が頑強でないとダメージが入る』ほどの急加速ができる。セラはその条件に合致していた。紅海で黒田と唯一、スコアを争っていた豪傑は伊達ではないのである。

 

「ビーム兵器に、打ちっぱなしのできる誘導ロケット……。技術格差がありすぎますわ」

 

「私達の履いているコイツが廉価品というのがよく分かるな…」

 

欧州勢に与えられたF-86もこの時点では充分に高性能で、国によっては1980年まで使われたという名機だが、贅を尽くした最新試作機とは格差が大きい。とは言え、ジェットの機体特性に戸惑ったリーネ、芳佳B、エーリカB、坂本Bなどと違い、数回の飛行で乗りこなしたバルクホルンやペリーヌBは高い順応性がある証だ。

 

「ハルトマンはどうした?」

 

「マルセイユ中佐のレクチャーを受けていますが、手間取っているようですわ」

 

「エンジンストールをさせやすいからだろう。まさか、奴に教えを乞うとは…、なんか悔しいぞ…」

 

B世界でもバルクホルンはマルセイユの上官の経験があるからか、A世界のいたずらっ子的な好人物なマルセイユに思いっきり戸惑っている。マルセイユ曰く『私も色々あったからな。お前、伯爵は名前呼べんだろ?』との事で、相当にからかっている。

 

「しかし…あの野郎よりは……うぅ……」

 

伯爵嫌いはバルクホルンの固定属性である。これはハルトマンを今の性格にしてしまったのが『伯爵』であり、妹のクリスを毒牙にかけようとした事もあり、バルクホルンは彼女を嫌いである。(A世界では態度は軟化したが)バルクホルンは傍からみれば真面目そうだが、実は要所々々でコミカル要素を持つ。自身も突撃しつつも、そのことを気にして、ペリーヌを戸惑わせるなどのコミカルさを見せる点はA世界での『転生』を経た彼女との共通点である。A世界では過去生の晩年期の事もあり、温厚な性格がデフォルトである。B世界ではそうではないが、コミカルさは垣間見えている。

 

「しかし、ウィッチは元来、推力に対し、上半身が自由なのが売りだというのに、甲冑のように背中も覆うとは」

 

「ロケットの爆発時の破片からの防御のためよ。近頃のロケットは超音速を軽く超えていくから」

 

ストライカーユニットが装甲服状に発達する理由は『ビームの不意打ちやミサイルの爆発時の破片からシールド無しでも身を守るためだ。ダイ・アナザー・デイ当時、ミサイルの破片で大怪我をしたり、腕や足を切断する事例が続出したため、数十年ほどの時間を使って、ISや時空管理局の魔導理論を形にできるだけの技術を育成。その関係上、制式量産化は1960年代の事になる。64Fがその遥か前に使用できたのは、吾郎技師がメタ情報を有し、彼が妻の芳佳のツテで第三世代理論を実現できるだけの資材を確保できたからだ。もちろん、この時の使用は公にはされない。あまりに当時の平均技術レベルを超えているからだ。

 

「それと、敵が強力だからよ」

 

武子は空の狙撃兵と言われたくらいには射撃の名手である(圭子がその渾名を返上して格闘戦好きになったため)。ガンポッドを構え、バルクホルンBが携行しているマウザーの20ミリ砲よりも遥かに大口径の銃器を軽々と撃つ。当然、戦闘機程度は容易く粉砕される。30ミリ砲も問題外の口径であるためだ。(連邦系MSの頭部60ミリバルカン砲にほぼ匹敵する口径)

 

「戦闘機が一撃で空中爆発を……」

 

「本当は巨大ロボが持つレベルの口径の砲だもの。貴方がシュワルベで持つはずだった50ミリ砲よりも大口径よ」

 

戦闘機相手に使うには、ジェット戦闘機相手でもオーバーな口径の弾丸を圧倒的連射速度で叩き込む武子。バルキリー用のものをストライカーユニット(第三世代理論式)用にダウンサイジングしたガンポッドは陽電子機関砲化されているため、一発でB-29を粉砕できる。MSの装備の中でも強固とされるアインラッドも例外でなく、旧来型バルカン砲では傷すらつかないアインラッドすら破壊する。そして、武子本来の剣術も健在であり、マジンガーブレードでアインラッド付きのMSを大胆に斬り裂く。

 

「さすが超合金ニューZ+。なかなかの切れ味ね」

 

第三世代ストライカーユニット用の刀剣の刀身に用いられる超合金ニューZ+とは、超合金ニューZの派生型の一つで、エネルギー転換装甲材との合成で造られる合金である。ウィッチ用の装備として最適な特性を持つため、マジンガーの装甲材としてよりも、武器としての使用法が主流となった。また、怪異の装甲をエネルギー転換装甲材製の刀なら斬り裂けるため、ダイ・アナザー・デイで通常ウィッチ用に比較的少数が使用されたのを皮切りにその改良合金として実用化された。MSも切り裂けるが、刀剣の達人でなければ難しいことから、自身のサイズを大きく超える相手に使うウィッチは達人とされ、後世の21世紀の頃でも羨望の的である。

 

「ターボスマッシャーパァァンチ!」

 

一同の横をすり抜ける形で飛来したロケット噴射で飛翔する篭手はMSをアインラッドごと動力である核融合炉までぶち抜き、爆発させる。この時の使用者は智子ではなく、キュアドリームである。

 

「すみません、隊長。後輩(キュアフローラ)からの事情の聞き取りで遅くなっちゃって」

 

「来たわね。進路を切り開いていって。援護は引き受けるわ」

 

「わかりました!」

 

この時のドリームはシャイニング形態である。歴代プリキュアの多くが通常形態では飛行能力が無い。それはマジンガーZEROと融合した後のキュアドリームでも例外ではない。飛行するにはシャイニングドリーム以上の形態になる事が必須である。(シャイニング形態になる条件が緩和されたため、さらなる上位のエターニティドリーム形態を開拓後は通常フォームに代わる戦闘時の形態にした。)

 

「白い羽根を持つヒロイン、か…」

 

シャイニング形態以降の上位変身は基本的に純白のコスチュームと天使のような羽根での飛行能力がつく。バルクホルンBはヒロイックなその姿を見送り、そうつぶやく。それでいて、その加速はシャーリーをも上回るため、シャーリーBが思いっきり地団駄を踏んで、悔しがっている様子がバルクホルンから見える。

 

「なんだよ、あれ!?あんなチートありかよ!?」

 

「あー、リベリアン。ここでのお前も同じ能力を持ってるそうだ」

 

「何ーーーー!?」

 

A世界の自分も同じ能力を持つことを知らされ、愕然となるシャーリーB。プリキュアは攻防速で通常ウィッチ(第一世代理論式装備)や並の空戦魔導師を上回るため、上位形態のスペックは元から上位の白銀聖闘士に匹敵しうる。第二世代以降の持つ究極フォームは黄金聖闘士にも対抗できるスペックを持つ場合があるが、原初の世代である『第一世代』はそれがない場合が多い。(それに相当するのが最終フォームである)プリキュア5では、のぞみが最初にモノにした。プリキュアはパワーアップを重ねると、初期技も威力と連射性が大きく向上する特性があるので、実はキュアドリームはこの時点で既に同位体を圧倒的に超えている。仮面ライダー達のフォームチェンジのようであるが、自由にはなれないという特徴があり、ミラクルライトの力が必須という弱点も把握されている。それを克服し、さらなる形態の道を開いた事で、それまでの最強形態が中間フォーム扱いになった点では、どこかの世界での仮面ライダークウガを思わせる。つまりは第一世代のプリキュアでは最初に、第二世代以降の究極フォームと同じ境地に達したため、黒江も成長性を賛美している。

 

 

「扶桑系の国のヒロインはね、リベリオンコミックのマッチョ系とは一線を画するのよ。むしろ、外見からは想像もつかないパワーってのが好みなのよ」

 

武子は律儀にそこを解説する。日本系の国家はウィッチの有無に関係なく『外見から想像もつかないパワーを持つ』のを好む。Gウィッチが扶桑よりも日本で受け入れられた理由も『マンガ文化』のおかげである。特に、のぞみは普段が国宝級のドジなのに、戦闘時だけは歴代屈指の戦士という点が人気である。扶桑で『中島錦が変身している』ということになっているのは、扶桑側の都合によるもので、本人も嫌がっている。

 

「しかし、あんな能力持ちが何人も?」

 

「そうね。調べたら、少なくとも60人は超えているのよ」

 

「ろ、ろくじゅう!?」

 

「チームが代替わりしていけば、ね」

 

プリキュアは令和になる時点では70人近くになっていたので、武子も『ネズミ算式に増えてるじゃないの!』と頭を抱えた事がある。仮面ライダーがおおよそ数十人なので、その倍以上はいる。スーパー戦隊もかくやの数だ。その70人近くの中でも、純粋に戦闘向けの能力持ちは意外と少なく、戦闘面での中心は基本的に第一世代のプリキュアがその場に応じて担うのが慣習だという。ブルームとイーグレットはこの時期から折衝などで多忙になったので、戦闘の指揮はそれまで同様にドリーム、あるいはメロディ(シャーリーA)、ピーチ(ラブ)のうちの誰かが担う。これは仮面ライダーを見習って、自然にできた簡単な指揮序列だ。

 

「まだ来ますわ!」

 

ペリーヌBが警戒を促すが、この時はキュアスカーレットがどうにかした。

 

「プリキュア・フェニックスブレイズ!!」

 

キュアスカーレットは声色も口調もペリーヌに元から酷似しているため、ペリーヌBは一瞬、固まってしまう。

 

「スカーレット、ペリーヌが固まったわよ」

 

「それは悪いことをしましたわね、クロステルマン中尉?」

 

喋り方から、出現している人格は紅城トワであることが辛うじてわかる。元から何から何まで酷似しているため、芳佳A曰く「上級のウ○ーリーを探せをしてるみたいだ」とぼやかれている。よく聞いてみると、一国の王女だったため、スカーレットはペリーヌより若干だが、高貴そうに聞こえるという。(黒江は『聞き分けが難しすぎだぜ…』と愚痴っているが)

 

「あなたは…?」

 

「私はキュアスカーレット。またの名は紅城トワ。プリンセスプリキュアの一員であり、あなたの後任ということになりますわ」

 

トワは表向き、『扶桑皇室のとある一人がさる理由でガリア人をこっそり娶り、生まれた子で、その皇族が体面上の都合で臣籍降下した親類の華族に引き取らせた』という無駄に長いバックストーリーが広報部によって創作されている。これは元が一国の王女であったためでもあるが、国内向けのバックストーリーをひねり出す必要がある扶桑軍広報部の苦心の作である。とは言え、日本では既にバレバレなので、スカーレット自身も『日本のほうが気楽に過ごせますわ』とぼやいている。扶桑では、表向きはさる侯爵家だか、伯爵家令嬢を装う必要があるからだ。

 

「あなたが…私の」

 

「ええ。母方の先祖はブリタニアからのガリアへの移民のようで、家伝のこの剣を持っています」

 

スカーレットが見せた剣はクラレント。思いっきり、ブリタニアの宝具である。キュアミントも驚いていたように、古代における王位継承の証として用いられていた剣であるので、後世でのカーテナに相当するポジションの剣である。クラメントはモードレッドの死で失われたとされ、後世ではカーテナが王位継承の証とされているため、キュアミントは初めて見た時は大いに腰を抜かして驚いている。

 

「この剣はブリタニア涙目な宝具よ、ペリーヌ」

 

「どういう事ですの?」

 

「この子が持つその剣はかの円卓の騎士が一人のモードレッド卿が奪い、アーサー王への反逆の際に用いたとされる王剣。その関係で呪われたともされる『忘れられた聖剣』なのよ」

 

「なぁぁ!?」

 

「この事はブリタニアでも、チャーチル首相と陛下しか知らないわ。色々と国際問題ありありな剣な上、何時頃に扶桑に渡ったかの記録もないから」

 

バルクホルンBも腰を抜かすが、クラレントはアーサー王への反逆の呪いがかかった邪剣とも言える。その関係で、ブリタニア首脳の間でも自国への返還要請を出すのは大いに議論になったという。結局、ブリタニアはカーテナとの兼ね合いで『無名の聖剣』と扱うことにし、扶桑も表向きはそうしている。日本ではバレバレなので、大っぴらにしており、トワが使えることで掲示板やSNSが盛り上がったこともあるという。

 

「とは言え、切れ味は相応ですわ。神話の怪物も中級のものまでならば斬れます。上級だと、エクスカリバーが必要ですね」

 

トワはそう明言する。元は儀仗用だったので、威力はエクスカリバーには劣ると。

 

「エクスカリバーはそれほどの業物だと?」

 

バルクホルンは気を持ち直して質問する。

 

「扶桑の神剣・草薙剣や天叢雲に匹敵する威力だそうよ。もっとも、エクスカリバーは王権の剣にして戦の導き手の剣だから、性格が違う。単純には比べられないわ」

 

エクスカリバーは黒江、調、イリヤ、美遊、そして、当のアルトリアの手で気軽に使われているが、威力は乖離剣エアを除けば最強格である。それはガングニールに化せられた『呪い』でロンギヌスの効果が得られている場合でも変化しない。ガングニールの力がエクスカリバーのエネルギーに干渉できなかったのは、そもそもの宝具の格が違う上、シンフォギア世界の聖遺物は先史文明の遺産であり、本当の宝具ではなかったためである。

 

「その口ぶり。エクスカリバーがあると?」

 

「グンドュラはもう知ってるわ。ハインリーケ大佐が持っているのよ。これでハインリーケの帰属先が揉めたのよ。あの子、ツーザインとつく王位継承権持ちだから…」

 

「あー…」

 

ハインリーケに転生したアルトリアが困ったのがダイ・アナザー・デイ後の帰属で、アルトリア個人はハインリーケの衣鉢を継ぐ腹づもりだったが、『その人の可能性の一つ』と知ったブリタニアが外交戦を展開してしまう珍事が発生した。本人はブリタニアに未練はなく、むしろ、食べ物の関係で『日本連邦に住みたい』と漏らすほどだった。ブリタニアは高待遇を提示したというが、チャーチルはアルトリアの意をダイ・アナザー・デイで知ったので、戦間期以降の運動には関わっていない。結局、カールスラント軍の将軍がブリタニア女王の前で、ブリタニア軍の将軍と剣で決闘しようとしたため、即位間もないブリタニア女王が一喝したというような与太話まで生まれたという騒動に発展した。本人はどこ吹く風で、ジャンヌに『カールスラントのヴルストも悪くありませんが、日本のシャ〇エッセンには敵いませんし…』と力説し、ジャンヌをずっこけさせたのは言うまでもない。そのジャンヌは明堂院いつきの法的後見人であり、ジャンヌ自身は死後の時代の名声には興味はない。この時点でも地球連邦軍で普通にパイロットである。(ルナマリアの衣鉢を継いだ)

 

「なるほど。大変ですな……」

 

「そうなのよ。色々とウチも…。さて、貴方にいいものを見せてあげる。フィン・ファンネル!」

 

武子のストライカーのバックパックからフィン・ファンネルが射出される。空間把握能力がニュータイプ能力へ発達した恩恵だ。武子はこの時期にはフィン・ファンネルを自在に操れる。フィン・ファンネルは連邦で唯一、武装として実用されている正規の意味のファンネルなのだが、ジオン系のファンネルよりかさばる難点がある。しかし、大型である故に持続性と攻撃力でジオンのファンネルを上回っており、連邦を代表するファンネルとなった。翼についている放熱板と思いきや、ビームを撃つ攻撃端末なので、バルクホルンBとペリーヌBはこれまた唖然としてしまう。しかも、母機の動きを阻害せず、それぞれが独立して行動できる点で、完成度はセシリア・オルコットのブルーティアーズの比ではない。そして、フィン・ファンネルの特徴が『強力なIフィールドを張れるというものだ。戦闘機のミサイルをバリアで通さず、MSのビームすら捻じ曲げるという凄さを見せた。

 

「それっ!」

 

武子はバリアに使わないフィン・ファンネルでMSを追い立て、アインラッドの懐に入り込ませ、至近距離で打ち抜き、墜落させる。アムロから指南された『アインラッド対策』である。アインラッドは強力だが、動きはコンピュータの予測が充分に可能な直接的なものになる、『ビームシールドが邪魔なら、内側から撃てばいい』との指南を受けた。武子は実践した。アムロ曰く「筋のいい子だ」との事である。

 

「すごい……まるでハヤブサのようだ」

 

バルクホルンBがその戦術の妙に唸ると、武子は気を良くした。ハヤブサが好きだからだ。

 

「昔とった杵柄、扶桑海の隼と言われたのは伊達じゃないのよ、大尉?」

 

武子にしては珍しい、ドヤ顔であった。武子はハヤブサに傾倒しており、キ43に隼の愛称を推した張本人でもある。黒江にバイクのハヤブサを強請るなど、意外に智子に似た凝り性なところがある。カメラはコンタックス党だが、コンタックスは21世紀には現存しないため、そこで落ち込むなど、智子と似た者同士な点も多い。智子と違うのは、自分の実力に慢心しない点で、そこは黒江と共通している。なんだかんだで黒江たちの親友なので、共通項も多いため、アムロ・レイやブライト・ノアからは『似た者同士』と見なされている。

 

「隊長にしちゃ、珍しいドヤ顔だなぁ。先輩も見た回数少ないとか言ってたっけ。おっと、向こうのリーネとサーニャが危ない。プリキュア・クラッシュイントルード!」

 

シャイニングドリームも武子のドヤ顔にそんな感想を漏らしつつ、リーネBとサーニャBを上空から奇襲しようとしたF-106『デルタダート』の編隊を視認。フェリーチェと同様に鍛錬で身につけた突撃技『クラッシュ・イントルード』を発動。火の鳥のようなオーラを纏って突撃する。その様子を目の当たりにした芳佳Bは思わず『これが……プリキュアの力なの…』と絶句する。要は高速域での突進とその衝撃波で敵を粉砕するという原理だが、ドリームはシューティングスターを応用・発展させて放っているため、オーラに貫通力が伴うという恐るべきものと化している。聖闘士なら視認できる速さだが、グレートブースター級の速度は大気圏内では最速である。ドリームが先輩後輩に『チートになってない?』とツッコまれる点はその飛行速度であり、宇佐美いちかからは『ずるいよ~!』と拗ねられたという。そして、ミサイルの爆発を防御したが、態勢を崩したサーニャBをお姫様抱っこで助けたため、助けようとしたエイラBが絶叫している。

 

『あーーーーー!?おま、おま……☆※:!?』

 

途中からはまともに喋れていないエイラB。芳佳BもリーネBも呆然としている。白い羽根が舞い、羽根を広げてみせた、天使のようなシャイニングドリームの姿に見とれてしまうサーニャB。もはや人語になっていないエイラBの絶叫。芳佳BとリーネBの驚きに満ちた顔。その劇的なシルエットもあり、あまりに絵になる構図なので、実は出撃前の圭子に写真をスナップされている。

 

「ケイ先輩、艦内の機器でスナップですか?」

 

「坂本にエッセイ頼まれててな。その挿絵の参考にするのさ」

 

「アイザックかAWACSジェガンに撮影させれば…」

 

もっともな黒田の指摘。64Fには写真撮影に定評がある偵察機も質がいい。アイザックもティターンズが使い古したお古ではなく、新造機である。艦内の機器は外宇宙用であるので、遠距離撮影でも精度が落ちないが、設置場所は多くないため、偵察機に撮影させればいいのでは?と指摘された。M粒子による鮮明さへの影響を受けることを心配でもしたのだろうが、安全牌ではある。圭子はカメラマニアであるため、鮮明さにはこだわりがある。

 

「バッキャロー。M粒子でぼやける危険があるだろうが。カメラには自信あんだぞ、こう見えても」

 

 

圭子は艦の偵察用カメラを遠隔操作し、ドリームの勇姿をファインダーに収める。外宇宙時代になろうと、こうした撮影は個人技能の妙が冴える。圭子は黒田には理解困難なカメラ小僧であった。高機能なAWACS機の撮影を信用しない点では偵察隊を憤慨させているものの、圭子は写真に一家言を持ち続けている。それが圭子が圭子たるところだろう。

 

 

 

「M粒子もあるっつーのに、機械のオートで撮影なんざ、シロートの考えだ。真のプロはマニュアルなんだよ、ダホ!」

 

圭子のこのマニュアル撮影主義は隊の揉め事の原因なのだが、AWACS機に回った元・彩雲や司令部偵察機の者たちの内、撮影の熟練者は圭子の方法の支持者である。これが圭子を圭子たらしめる重要要素と言えた。カメラ小僧。黒田はそれを再認識した。

 

 

 

 

 

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