ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百七十三話「走れ、仮面ライダーV3!嵐とともに」

――統合参謀本部の幕僚の八割以上が自衛隊出身者となったのは、扶桑軍生え抜き参謀の多くが史実の行為を大義名分に、殆どが中央から追放された(中には、史実でルーズベルト大統領の親電をわざと差し止めたからという理由で通信課の人員が丸ごと免官されてしまうという混乱もあった。後に事務処理に必要と見做された末端に限って、免官は撤回されたという)軍参謀たちへの魔女狩りじみた免官祭りが終わった後、残されたのは混乱であった。事後、この魔女狩りの弊害で64Fを上手く扱える参謀が殆ど中央からいなくなったため、1948年の若手参謀の独走を招いたのも事実だが、日本は旧軍参謀の気質を忌み嫌っていたため、彼らの失脚を良しとした。ただし、45年からの混乱は1948年の第二次人事異動で助長され、その混乱を抑える名目で、自衛隊の幕僚が多く派遣され、統合参謀本部を掌握した。1949年には殆ど、統合幕僚監部の出先機関化していた――

 

 

 

――参謀の失脚で中央は状況把握に苦労を強いられる事になった。45年からの免官祭りで扶桑の中央官僚の統制力と判断力が弱まったため、1949年度からは現場の判断が重要視されるようになった。ダイ・アナザー・デイの教訓である。そのため、前線部隊の装備に統一性がないという事態が発生した。そのため、F-86ストライカーが後方にまで行き渡ったのが、F-104などの次世代機が出始めた後という情けない有様であった。そのため、余計に64Fの奮戦が際立って報道され、扶桑の大衆の間でウィッチ部隊の必要性が議論されていた。殆ど64Fのみで戦線を支えているも同然だからだ。その種の議論は23世紀でも発生していたが、23世紀では『一時の軍縮の影響で、ロンド・ベルがほぼ唯一の有事即応部隊だから』という理由で収束している。彼女らの華々しい活躍は扶桑軍のウィッチ部隊の規模縮小の表れであった。1944年の最盛期には六個飛行師団を数えたウィッチ部隊も、この時期には一個飛行師団程度の総数。その主要人員の大半が64Fに属するという有様である。これは儀仗的理由で維持されている部隊が多いこと、実戦部隊の数がダイ・アナザー・デイ後に減少したためだ――

 

 

 

 

――64Fの艦隊は戦艦数隻、強襲揚陸艦が数隻、空母数隻で構成される。その艦載機はロンド・ベルの分隊扱いなこともあって豪華で、VFは最低でもAVF以降の高性能機であるし、MSも多くがガンダムタイプである。使用権は基本的に幹部級以上の者に限られた。高性能な反面、整備に時間がかかるモノが多いからである。これは可変機などで顕著である。そのため、シンプルな特性のガンダムXやエアマスター、スローネドライなどは好まれた。とはいえ、新システムのテストは依然として継続中であるので、スローネドライなどはそのシステムのコクピットのままだ。新システムは概ね高評価だが、五感を電子的に変換する都合で調整がシビアであるので、現場の整備兵には受けが悪い。だが、地球連邦軍も度重なる戦争で熟練パイロットが減少しており、システムの導入は利点が多いのも事実である。スローネドライはテスト終了後も人馬一体をモビルトレースシステムより簡便な形で実現可能な状態で使用されたわけだ。ただし、アインラッド対策でビームサーベルは使わず、解析されたコズミック・イラ世界で使用された『MS用の刀』を再現したもので対応していた――

 

 

 

「通常サイズでこのシステムを使うとは思いませんでしたが、こうなったら、やってやりますわ!」

 

キュアエースは通常MSサイズのスローネドライでの戦闘を初めて行った。得物はコズミック・イラ歴の世界からもたらされた技術情報で造られし武器『MS用の日本刀』。スローネドライはミドルサイズMSの規格で造られたので、全高自体は元になったアニメよりは小型であるが、それでも19mほどはある。これは連邦のMS規格の第二変革期に造られたがためで、ガイアよりは小柄である。とはいえ、ザンスカール帝国製の機体よりは大柄である。コズミック・イラからもたらされた『MSサイズの日本刀』。(アストレイレッドフレームのガーベラストレートのデータがストライクルージュ、インパルスやガイアの登録データの解析の過程で地球連邦軍に流れ、興味を持ったアナハイム・エレクトロニクスの持つ技術と資材で開発された)。元になったものより軽量で、ガンダムタイプでは比較的に非力とされるスローネドライやガイアでも扱えるように調整がされている。キュアエースはそれに炎を纏わせて、威力を引き上げる方法を用いており、本来は支援用MSであるスローネドライで白兵戦をしてのけていた。MSは白兵戦向けの構造の四肢を持つ機体は小型機では少ない。内部構造に負担がかかるため、その後の動作に支障が出る可能性が大型機より高いのだ。ザンスカール製MSはカタログスペックは高性能だが、意外に白兵戦では脆い。そこをキュアエースは突いた。

 

「はぁっ!」

 

操縦システムの恩恵で生身の状態での剣技をそのまま使えるため、敵MS隊はその動きに戸惑う。

 

「こいつ、モビルファイターか!?」

 

モビルファイターは基本的に競技用なため、有事で使われる事は一部の列強国のものを除いては少ない。通常のMSでは見せない『人間臭い動作』に、ザンスカール帝国兵たちは戸惑う。

 

「あいにく、モビルファイターじゃありませんわ」

 

キュアエースは同位体、あるいは前世が『灼眼のシャナ』である可能性がかなり高く、剣技の癖はシャナを連想させる。サーベル風の日本刀を抜き、アインラッドごと敵機を炎と切れ味で両断する。元が悪役の位置づけのガンダムもカラーリングと振る舞いの差で意外にヒロイックになる証である。

 

「私とまともに戦いたければ、リグ・コンティオやゴトラタンくらいの機体を持ってくるべきですわ」

 

ザンスカール帝国の機体は基本的にビームへの防御は強いが、物理攻撃には脆い。14m級のゲドラフはモロにその弊害が出ていた。なお、スローネドライの僚機は。

 

「まさか、通常サイズのMSをこのシステムで動かすことになるなんてね」

 

キュアサンシャインもガイアを動かしていた。得物はインパルスのそれを改良した対艦刀である。シンの薦めで使ってみているとのこと。

 

「それ、アロンダイトじゃありません?」

 

「インパルスのそれのコピーみたいなもんだから、本当はエクスカリバーって呼ぶべきなんだろうけど、黒江さん達が本物持ってるから、おこがましいでしょう?」

 

「それでは、カリバーンですか?」

 

「うーん。シンは使い勝手良いっていうけど、シンのデスティニーの戦闘データ見ると、割によく折ってるんだよねぇ」

 

そこは不思議がるキュアサンシャイン。

 

『そりゃ、折り畳み式なのが原因じゃねぇの?』

 

「綾香さん」

 

『下手な折り畳み式のギミックなんて仕込むから、ポキンと折れるんだよ。ま、エンペラーブレードが蛇腹剣なのに折れないのは、超合金だからだし』

 

Gカイザーは改装でマジンエンペラーと共通化がなされている箇所も多いが、エンペラーブレードは積まれず、ショルダースライサーを搭載されている。これは黒江の好みの問題だ。

 

『14m級に28mのマシンを使うのは大人気ねぇが、あらよっと』

 

黒江は剣術では扶桑歴代トップ10の実力を持つので、ゲドラフを三枚に下ろすのは容易なことである。ショルダースライサー一閃、アインラッドごと三枚におろす。

 

『ジュンさんの手前、戦果挙げねぇとな。ミネルバのあのZフェチがうるせぇんだとさ』

 

「あの人、元はマジンガーZのパートナーロボだったからですか?グレート嫌いなの」

 

『兜十蔵博士の作じゃねぇからな、グレート系は。そこだろうよ』

 

ミネルバXはヒューマノイドロボットに転生後はZフェチ的発言が多いことで、甲児にも引かれ気味で、炎ジュンを憤慨させる『G嫌い』な発言が多い。兜剣造も『創造性がない』と言われて落ち込み、十蔵を模した疑似人格コンピュータに愚痴り、『オジイちゃん』もため息である。兜剣造は十蔵がアイアンZとエネルガーZを造っている時に『お前は創造性が足りん』と指摘され、地獄大元帥からも『兜剣造は創造することは苦手な青二才よ』と言われるように、創造する才能では父に及ばない。その一方で『あるものを特化・発展させる才能』は父を大きく凌いでおり、十蔵もそれを期待して、Zの基本フォーマットを教えた節がある。実際に兵器としての完成度でグレートはZを大きく凌いでおり、攻撃特化型のマジンガーというジャンルを切り開いた功績は大きい。

 

『とはいえ、戦闘向けの開発は剣造博士は天才だよ。いくら電子頭脳をボディに仕込まれてるったって、それをうまく形にできるかは本人次第だしな』

 

剣造の功績はフォーマットを発展させることの才覚で、生前の早乙女博士は剣造に戦闘特化ゲッターたるゲッタードラゴンの開発でアドバイスをもらっているからだ。黒江もその才能は高く買っている。

 

『さて、雑魚の始末にはこれが良い。ゴッドサンダー!』

 

ゴッドサンダーでゲドラフを叩き落とす。破壊はせずに内部機械を焼き尽くすのみに留めているので、加減が効く武器であることが分かる。

 

『リグ・シャッコーやゾリティアの姿がないな。ゲドラフばかりだ。ブルッケングは増産されたが、殆ど残っていないと聞くから…』

 

『記録によると、リグ・シャッコーは生産数が多くないと聞きますが?』

 

『いや、記録を見ると、ゲルググくらいは生産されたことになってるんだ。いくらモトラッド艦隊が吹き飛んだ時に失われたとしても、他部隊や本国で配備待ちの機体が数百はあるはずだ』

 

戦後に残されたザンスカール帝国製MSは旧式のゾロアットが圧倒的多数で、帝国解体後のサイド2でも未だに使用されている。残党が持ち出せた機数を考えると、後期の新型になるほど希少である。ゲドラフはアインラッドとの連携の関係で生産数が多いために残存機が多めなのだろう。

 

「とはいえ、意外に脆いですね?」

 

『物理攻撃はあまり想定してないからな、ザンスカール帝国のは。まだクロスボーン・バンガードのほうがしてたって言うぜ』

 

黒江の言うように、ザンスカール帝国はビーム攻撃想定の防御は強いが、実弾射撃などには意外に脆い。そのため、対艦刀や機斬刀による攻撃は有効なのである。

 

『後は戦闘機の排除だな』

 

「向こうの統合戦闘航空団はどうでしょうね?」

 

『あまり宛てにできんな。意気込みの良いのと怖気づいたのが半々づつだ。リーネとジョゼは駄目だろう。戦力と考えられん』

 

ジョゼやリーネはおっとりとした性格なので、B世界の二人は戦力と見られていなかった。これは怪異戦に慣れすぎている者の特徴でもある。その一方で、芳佳のように、『大義名分さえあれば、人相手でも戦う覚悟がある』者もいる。管野や孝美のようなタイプはむしろ珍しい。黒江は冷静に分析していた。坂本は魔力減衰の恐怖さえなければ、指揮は優秀なので、グンドュラBと共に現場指揮を担当している。むしろ、ジェット嫌いだったために、F-86に戸惑うハルトマンBもいるので、A世界から見て『いないよりはマシ』なくらいの総合戦力でしかない。キュアラブリーとキュアフォーチュンが護衛を担当しているが、ジェットの扱いに大多数が戸惑っている様子が報告されている。

 

『ラブリー、子供たちの様子は?』

 

「うーん。やっぱり、アフターバーナーで急加速できる敵が多いから、それで弾を外す子が多いですよ。エイラも外してますから」

 

『あいつの未来予知は数秒後程度のものだしな。あいつで無理なら、バルクホルンでも当てられんだろう』

 

実際、多くが使い慣れた武装で出た事も重なり、F-11に苦戦していた。坂本B曰く、『ジェットのくせに小回りが利くぞ!?』との事で、シュワルベ基準で考えてしまっていたツケを払わされている。最も、技術レベルの違う超音速機とシュワルベは比較すべきものではないのだが、B世界側はいた年代の都合でジェット機を侮っていた。F-11は同期がF-8であるために『失敗作』とされるが、運動性・加速性などでシュワルベの比ではないため、B世界側の認識の甘さを浮き彫りにした。

 

「ラブリー、仕事はしてる?」

 

「してるよー。あたしのほうが多く落としてるから、向こうの坂本さんがすごく焦ってるよ」

 

「むしろ、エーリカさんのほうが焦ってるんじゃない?ジェット嫌いだって言ってたし」

 

キュアサンシャインにラブリーが伝えた状況。B世界側は『射撃機会の少なさ』にとにかく戸惑い、ジェット戦闘機の進歩の速さを思い知らされている事である。

 

『ジェットはスピードの関係で、あっという間にすれ違うんだ。同じジェット同士の空戦の訓練をもっとさせてから出すべきだったな…』

 

とはいうものの、シャーリー、バルクホルン、孝美などは高速怪異との戦闘に慣れているため、B世界側のウィッチにしては健闘している。

 

「どうします?」

 

『こっちの戦闘機隊を加勢させるか?」

 

「もうちょっと様子を見てみます」

 

B世界側はバルクホルン、シャーリー、孝美の三人が健闘している一方で、エーリカが精彩を欠くという珍しいことになっていた。エーリカはA世界では『剣神』、『黒い悪魔』だの異名で畏れられているため、それを意識しすぎている。ハルトマンBは普段より弾丸の消費が多く、動きも硬さが残るなど、緊張しすぎている。元の世界での本国のテスト風景を知っているためだろう。その硬さはA世界の自分自身をしてこう言わしめた。

 

『うっわ、何してんだ、むこうのあたし。あれじゃ、まるでヒヨコだよ…』と。

 

「あーや、あたしが加勢しようか?」

 

エーリカAも話に加わる。A世界では黒江と気心が知れた仲であるので、渾名の『あーや』で呼んでいる。

 

『やめとけ、のぞみみたいに揉めるぞ』

 

「うーん。あれじゃ新兵並だよ。アニメでもあんな事してないってのに」

 

『エンジンストールが怖いんだろ』

 

正確にいえば、ストライカーの暴走が正解だろう。B世界では決戦兵器にするために開発を急いだ結果、テスト段階で多くの問題が露呈したため、B世界のウィッチはジェットを嫌う。それもあり、ハルトマンBはF-86の全力を引き出せずにいる。

 

『86なら、スロットルミリタリーにぶっ込んだら速度落ちた時に降下するか、バーナー焚いて加速するくらいの基本教えてねーの?』

 

『教えたと思うんだがなぁ。震電改一のほうが良かったかなぁ…。どう思う?ジェラート』

 

ここで、無線を聞いていたキュアジェラートに話題を振る黒江。

 

『あたしに聞かれてもなぁ。ラブリー、あんたが守ってやったほーがいいんでね?』

 

「うーん。そう言われてもなぁ」

 

ハルトマンBが精彩を欠くことはA世界の面々からも驚きだった。その一方でバルクホルンは喜々として乗りこなしているため、対照的である。キュアジェラートはB世界側に座学を仕込んだ一人だが、ハルトマンBが精彩を欠くのは想定外だったようだ。

 

『向こうのハルトマンはストライカーの暴走を恐れてるんだろう』

 

『ハンナか』

 

『それしか考えられん。ほら、シュワルベとそのコピー品にはその危険がつきまとってたろ?』

 

クスィーガンダムが降り立つ。その際にファンネルミサイルで敵戦闘機を落としている。そのため、敵からは『白き鷹』と呼ばれ始めている。

 

『それはそうだが、そう起こるもんでもなかったはずだが…』

 

『向こうではアニメよりかなり早い段階で試験が行われている。その時にバルクホルンが落っこちていたのなら…』

 

『それはありそうだな』

 

クスィーガンダムは劇場アニメでの悪役チックのフェイスではなく、RX系ガンダムによくあるフェイスデザインの頭部を持つ仕様である。これは地球連邦軍に正規のガンダムとして納入されたための都合で、予備機は劇場アニメと同様にZ系に近いフェイスを持つ。これはへの字スリットの有無や全体のデザインが『冥王計画ゼオライマー』の八卦ロボ風であるかどうかで、黒江は予備のクスィーのデザインを『あれじゃ八卦ロボだよ』と酷評している。マルセイユ機は当初の第一案通りの姿であるので、こちらのほうがνガンダムとペーネロペーとの繋がりを容易に感じさせる。

 

『だいたい、戦闘機は落としたぞ。問題は戦艦の制圧だ』

 

『敵にショッカーライダーがいるようで、手間取っとる。俺達はバグの掃討もあるから動けんし、のび太は制空権確保でブイマキシマムしてる最中だ。ヒーローユニオンに連絡を取る』

 

黒江はヒーローユニオンの公用周波数に無線を繋ぎ、援護を要請する。V3タイプのショッカーライダーがいる事も伝えると。風見志郎が無線に出た。黒江は風見志郎に事情を説明する。

 

 

『事情はわかった。ここは俺が行こう』

 

『風見さん、そこ、新京っしょ?』

 

『ハリケーンのロケットブースターを使えば、そう時間はかからんさ』

 

『え、ハリケーンのあれ、ロケットブースターだったんですか?』

 

『滅多に使ってないがな』

 

ハリケーン号は元々、新サイクロン号の後継として複数が製造予定だったため、新サイクロン号の機能を発展させた機構を持つ。それがブースターでの飛行である。連続使用限界時間は10時間。クルーザーに飛行機能がある理由は神博士が新サイクロン号とハリケーン号を知っていたからという。昭和ライダーでは数少ない飛行機能を持つマシンである。

 

『そんなわけだ。あの子達に15分は持ちこたえろと伝えてくれ。新京の北部でオーバーホール明けの慣らしをしていたところでな』

 

『あれ?確か、ネオサイクロンのテストって聞きましたけど?』

 

『本郷先輩に無理を言って、ハリケーンのオーバーホールをねじ込んでもらったんだ。足回りがボロボロになってきてたからな』

 

『地雷原の中をジャンプするからですよ。それにモトクロス戦も多いっしょ』

 

『仕方あるまい。モトクロス戦は仮面ライダーの花形だよ?』

 

仮面ライダーの花形であるオートバイ戦。二台か三台もあった改造サイクロン号が乗り潰された理由は各地で戦闘員のオートバイ部隊相手にモトクロス戦を派手にしたからで、歴代仮面ライダーのマシンはボロボロになる率が高い。

 

『平成や令和にもなると、地雷原作れる野っ原が日本にゃ、ねーですよ?』

 

『その辺は安心だが、俺達が現役当時はモトクロス戦する機会が多かったからな。その関係でレース出てたがね』

 

『昭和中期ですねぇ…』

 

『茂はその関係でカブトローを一台潰したそうだ。海辺を走っている時に真下で炸裂したらしい』

 

『え、それじゃ、今乗ってるのは』

 

『二代目だそうだ』

 

風見志郎は話をしつつも、ハリケーンのエンジンの様子を確認する。オーバーホール直前にはエンジンのかかりが使い込みのせいで悪くなり、遠隔操縦機能がそれで異常を来していたからだ。仮面ライダーのマシンは原子炉で動くが、それでも使い込みでエンジンの立ち上がりが悪くなるのは普通のオートバイと変わらない。また、激戦で酷使されるため、足回りも駄目にしやすく、一号の新サイクロン号はその関係でスカイライダーの現役時代には使われず、保管していた改造サイクロンを持ち出している。

 

『俺のハリケーンは足回りとエンジンが駄目でね、とっかえてもらってたのさ」

 

『この前、みなとみらいできる前の横浜を走ってる写真をアルバムで見つけた時は驚きましたよ』

 

『ハハ、洋の現役時代の頃だよ、それは。みなとみらいは影も形もない時代さ。では、今から向かう』

 

『頼んます、風見さん』

 

雑談を挟みつつ、オーバーホールを終えたハリケーン号の乗用車形態に跨った風見志郎はオーバーホールを行っていたヒーローユニオンの事務所から出発。市街地を抜けた辺りでお馴染みの変身ポーズをオートバイに乗ったままで行う。これが風見志郎の十八番であり、真骨頂だ。

 

『ムゥン!!変ッ身……ブイスリャァ!!』

 

この独特の発音も風見志郎一流のものだ。初陣からしばらくはちゃんと『ブイスリー』と言っていたのだが、仮面ライダーとして熟れた辺りでこの発音に切り替えた。風見志郎のキザでアクの強いキャラもあり、キュアドリーム達からも『仮面ライダーでも一番にヒーローしてるけど、やたら目立ちたがりな人』と思われている。かつて、妹がいたこともあり、年下などの面倒見が良い面もあるが、ヒーローとしては実にストイックな一面も持ち合わす。それが彼の持つ複雑な過去の証だ。

 

『ハリケェン・ジャンプ!』

 

ハリケーン号のウイングを展開し、ブースターを点火させて飛行に移り、三大プリキュアの援護に向かう。敵は組織が造った自分とほぼ同型の改造人間。仮面ライダーV3は本郷と一文字の言うショッカーライダーとの戦いを、今になって自分が味わうことに仮面越しに苦笑しつつも、彼は『嵐となって』愛車を走らせるのだった。

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