ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前々回の続きです。


第百七十五話「仮面ライダーV3対ショッカーV3、そして…」

――扶桑海軍は近代海軍として、織田水軍と分けて考える考えができたが、目玉であるはずの任務部隊編成は結局、国民が連合艦隊の存続を選んだ事で没にせざるを得なかった。海援隊との住み分けも日本の意志でダメ出しされた連合艦隊は1949年までに護衛空母の売却と軽空母、雲龍型航空母艦の他用途転用を強引に進められた結果、空母機動部隊が量的意味で大きく弱体化。艦載機のジェット化を進めようにも、信濃型航空母艦の存在が無い事による(日本にとっての)予定外が発生したため、ジェット化はF-8とF-4EJ改を配備した段階で停滞を余儀なくされる。とは言え、陸上でF-14やF/A-18E/Fのテストは続けられており、この時点でウィッチ世界の空母保有国で突出した質を誇っていた。他国は戦後第一世代機の配備ができているのがせいぜいで、リベリオン本国もF-11などをようやく量産する段階であった。日本の言うとおりに機種をポンポン変えられないのは、パイロットの育成がまるで追いつかないからだ。ウィッチ世界では紫電改や烈風、陣風の普及が1946年の年頭に終わったと思えば、その二年後にはジェット戦闘機の普及が図られる時勢になり、49年には超音速機に変わっているので、ウィッチ世界の常識からすれば『早すぎる』。扶桑は戦時だからと『空母は早期に量産できる45000トン級でいいのに』とぼやいたが、平時になれば多数の空母は維持できない!急ぐあまりに水密試験も省略したら、信濃の二の舞だ!!』と押し通した。この決定の兼ね合いで宇宙艦隊は整備されたわけだ。宇宙艦隊を整備したほうが相対的に安上がりだったからだ――

 

 

 

 

 

 

――このように、扶桑にとっての水上艦隊の軍事的価値は低下していたわけだ。とは言っても、史実1980年代以降の水準の性能を持つ潜水艦隊の整備はウィッチ世界にとっては過剰性能であった。とは言え、『分かりやすい海上軍事力』は必要なので、海軍は『ショールーム的軍事力』と見做され始めていた。スーパーロボットという神をも超える力を得たこともあり、扶桑皇国は海軍に力を入れる事へ興味を無くし始めた。とは言え、織田時代から力を入れてきた事をやめるわけにもいかないため、ダイ・アナザー・デイ当時の定数を維持する程度の予算配分を維持するという政治的決定が1940年代後半になされ、後の冷戦時代を通して維持されていく。空軍が将来における宇宙軍化も視野に入れて、主力化への育成へ舵が切られたことに伴う政治的配慮であった。この時の育成方針が間接的に地球連邦宇宙艦隊の誕生に絡んでいくのである――

 

 

 

 

――次元震で来訪したシンフォギアD世界の装者達は基本世界と大差がないが、平行世界を繋ぐ聖遺物『ギャラルホルン』が存在した世界であった。聞き取り調査でドラえもん世界となのはの地球でのアニメに似通った経緯を辿っていたことは確認された。調としてはなんともいえないのが自分の辿った経緯で、『皆と別れて、別世界で二十年もの月日を歳を取らずに重ねた』というのは、調自身の同位体『D』や『切歌D』を憤慨させるには充分であった――

 

「どうして、みんなと別れたの!?」

 

「この手の質問、私にとっては三度目くらいなんだけど……参るね」

 

「それじゃ……!?」

 

「そう。あなた達以外の平行世界の自分自身や皆と会う度に、同じような質問されたから、こっちとしては飽き飽きしてきてるんだよねぇ…」

 

ため息の調A。Dが当然ながら普段着姿なのに対し、Aはギア姿である。その理由を答える調A。

 

「最初にいっとくよ。理由一。私は異世界に事故で飛ばされた時に体質が変化して、シンフォギアを纏うのに制限が無くなってる。その二。元の世界のSONGは抜けたけど、関係自体は続けてる。その三。とある世界の地球連邦軍に入って、そこの将校になったから、国家機関そのものには属してる。その四。切ちゃんとの関係は続いてる。別々に暮らしてるだけ。仕事が別になったから」

 

調AはD世界の装者らに大まかな自分の事情を説明する。切歌との関係は続いているが、一緒に住むことは仕事の関係で無くなった事、切歌もその仕事(聖闘士)に専念するため、SONGは抜けた事を語る。そして、プリキュア戦士達は軍の同僚や上官である事、平行世界を股にかける戦いに自分達は身を投じている事を伝える。

 

「私は精神的には二十代後半から三十代にさしかかるくらいになってる。違う世界で過ごした時間が長くなったし、それに、長年の戦いで存在自体が人を超えちゃったから、肉体的には歳を取らなくなってる。だから、皆の知ってる姿のままなの」

 

「私との違いは何なの?」

 

「これだね」

 

エクスカリバー・フランベルクを出現させる。調は黒江の半同位体化した後、聖闘士になった後にエクスカリバーを与えられた。そこにシュルシャガナの炎剣としての力を掛け合わせる事で生まれた『自分なりの『約束された勝利の剣』。見かけは刀身の長めの西洋剣だが、どこか滑らかな印象を受ける。

 

「私は聖剣の霊格を与えられてるの。オリンポスの神々から。今の本業の一つはアテナを守る闘士ってところ。宗教的に言うなら、神の使徒。私の師匠はその最高位の階級の闘士だったから、自然と同じ道を歩んだ。私は中位の階級かな」

 

「真の神々の使徒…だとッ!?」

 

「はい、私達の世界で神とされたカストディアンは実際には超文明を持つ異星人に過ぎないけれど、オリンポス十二神は本当の神々。それでもどうにもならないものはあります。全知全能なんてのは、人の抱く幻想に過ぎません。人を超えても、あまりやることは変わりませんよ?」

 

神格というモノは意外に人間と大差ない。それは後々にそうなる兜甲児や流竜馬、アテナの化身である城戸沙織などが証明している。全知全能というものが幻想である事を一番よく理解しているのが当の神々なのも、実に皮肉な事だ。

 

「それでは私達は?」

 

「カストディアンが旧人類と先史文明の滅亡後に造り出した新人類。なので、カストディアンの一人が再び目覚めるためのキーを遺伝子単位で仕込まれている。私は存在そのものが変わったようなものなんで、それとは関係なくなりましたが」

 

「それは?」

 

「司令は知っています。装者の皆には年長組のみにのみ詳細を知らせたそうです。私の故郷の世界は光明結社の蜂起も、翼さんのおじいさんの陰謀も私の闘士としての仲間が未然に阻止して、光明結社にまつわる戦いが起きなかった世界なんです」

 

「つまり、君の世界ではお父様はご存命、おじいさまは陰謀を本格蜂起の前に暴かれたと?」

 

「ええ。仲間の超能力で廃人にされて、今は正式な死刑判決を待ってる身だと聞きます。肉体的にも死なせるために」

 

調は事後に聞かされたが、乙女座のシャカがその超常的な能力で翼の『祖父』である風鳴訃堂を廃人にしてみせ、アテナの名のもとに『神罰』を下した事、光明結社は蜂起前に天秤座の童虎がすべてをねじ伏せた事は『調の世界』の歴史を変えた。

 

「つまり、魔法少女事変を境に『全部が変わった』世界なのかよ、お前の故郷は」

 

「そうです、クリス先輩。SONGも司令の手でいずれは解体されるでしょうね。超常災害そのものが沈静化に向かった世界ですから」

 

調の世界は世界が魔法少女事変の直後の段階で平和に向かい、シンフォギアもその役目を終えつつある。平行世界の脅威に対応する事を裏の理由に『とりあえず』は存続しているに過ぎない。『備える必要がなくなれば、今度は都合のいい道具にされるか、疎んじられる』と危惧した風鳴弦十郎(A)は黒江の誘いに乗り、適宜、装者を戦力として提供する盟約をダイ・アナザー・デイで結び、太平洋戦争でも派遣している。翼やマリア達がダイ・アナザー・デイ後も黒江達の下に大手を振って行ける理由がそれだ。

 

「司令は私の師匠と盟約を結んで、装者を適宜、派遣することになっています。そんなわけで、この世界にはあなた達と別のあなた達がいます」

 

「……君の世界の叔父様は私達に居場所を与えるためにSONGを維持していると?」

 

「ええ。存在理由の無くなった組織は遅かれ早かれ、解体を迫られる。だけど、平行世界の脅威が知れ渡ったことで当面は維持せざるを得ない。司令はそこを見越した上で盟約を結び、私や切ちゃんを先例に、異世界に慣れさせるための派遣を経験させているんです」

 

「君はそれで、ギアをそうして纏っていると?」

 

「はい。今はこれが普段着のようなものですけど」

 

「……ずるい。私たちはLINKERの携帯が長時間行動には必須なのに…」

 

「それを言われてもね…。私も事故がなきゃ、あなたと同じままだったし、今の立場は偶然と幸運で手に入れたに過ぎない。だから、あまり気にしないで」

 

「気にする……。ギアを戦闘や訓練、救助目的以外にも使えるなんて…」

 

「元の世界の法規には縛られてないからね。それに定期オーバーホールもエルフナインと、その方法を教えてもらったメカニック(真田志郎)の人にやってもらってるから、ギアのポテンシャルは最高を維持してるさ。それに、ギアの貸し借りもしてるからね」

 

「ず、す……!ずるいDeeeaath!!そんなの!シンフォギアを普段着扱いデスカぁ!?」

 

切歌Dがムンクもかくやの変顔で絶叫する。

 

「何だとぉッ!?」

 

クリスもこれだ。こちらは普通に腰を抜かしている。

 

「私たちは本業でシンフォギアよりすごい聖遺物をプロテクターとして纏ってるから。その関係で貸し借りできるんだ」

 

聖衣に体が慣れると、シンフォギアを使うことは苦にならない。その力関係の都合で、黒江達は『コピーしたいくつかのシンフォギア』を状況に応じて使用し、貸し借りをしあっている。黒江がシュルシャガナを借りている率が高かったり、箒がアガートラームを使っていることがあるのはそのためだ。通常、マリアのように『二つのギアを扱える』者は極稀だが、聖闘士になった者であれば、車の鍵感覚で貸し借りができる。聖闘士がチートスキルと言われる所以で、『昭和ライダーやスーパー戦隊、メタルヒーローに伍する力を修行で得るための登竜門』とされるが、のび太とゴルゴのように『普通にそれと戦闘ができる』存在もいるので、何事も上手いこと『バランス』が取れているのだ。

 

「……」

 

 

調Dは拗ねる。自分はバーニングエクスドライブを経た後でも、定期的な『LINKERの投薬と洗浄』を必要にしているのに、目の前の同位体は恒常的に纏える上、ギアを長時間纏うことでかかるはずの負担も無くなっているという違いが劣等感を煽るからだ。(写真で見せられた『ギア姿で買い物をする自分』はショックだったとの事)更に力の差は歴然としており、『攻撃された事を認識する前にノックアウトされているし、組み合いでも、自分のほうがパワー負けしてローラーが空回りしてしまう』ほどであるからだろう。

 

「単独であそこまで強いなんて、反則……」

 

「仕方ないって。基礎が違うんだし」

 

調AはDに言う。仕方ないが、お互いの戦力差は予想以上に大きいのだ。あくまで常人のDと聖闘士になったAとの間には第七感の壁というのが立ち塞がっている。第七感は第六感の先の領域なので、第六感に覚醒めた者が更に修行を重ねる必要があるので、Dの現在の実力では到底届かない領域である。

 

 

「切ちゃんは特殊なイベント無く修行して、自力で聖闘士の資格得たから、あなた達にもできる可能性は有る。だから、けしてズルではないよ?それに、私は第六感の三歩先まで行ってる状態だもの。そこまで行くと、阿頼耶識の向こう側だけど」

 

「阿頼耶識の向こう側…!?」

 

「うん。人を超えた領域だよ、そこは。だから、老いや死も超えちゃったわけ。その領域を第九感と呼んでる」

 

「第九感…!?」

 

「そこまで行くと、扱えるエネルギーが莫大で、宇宙を創造できるほどだよ」

 

ナインセンシズ。生前にそこへ到れる可能性があるものは500年ごとに数人。星矢が未来で継いだ射手座の黄金聖闘士の先代であるアイオロスが生存していれば、至れただろうとされる程度である。黒江達は数度の人生の内、二回の聖闘士の人生を経ることで至ったが、それ故に妬みを書いやすい。そこまで至っていながら、人として生活するのもケチをつける輩はいる。調はその時点での黒江の才能が受け継がれ、開花したので、比較的に短期間で白銀上位相当の待遇に至っている。切歌はそれに自己の努力で並んだことになる。なお、切歌の師匠は消息不明になる前のシャイナで、シャイナが『原因不明の行方不明』になった後は魔鈴が育成を引き継いでいる。シャイナの後釜になった東せつな/キュアパッションとは同門にあたる。

 

「その力で何をやるつもりなの、調ちゃん…」

 

「神を超え、悪魔も倒すため。私は数十年の内に守れなかったモノやヒトがある。だから、これからは私に居場所を与えてくれた人たちを守るために生きる。それが答えですよ、響さん」

 

調は師である黒江の聖闘士としての師が天秤座の童虎の関係で、聖闘士の系統としては廬山系に属し、龍星座の紫龍と同門だが、切歌は蛇遣い座のシャイナを師としたために、その系統に属する。(蛇は龍の眷属という話もあるので、遠くはないが)闘技の系統が分かれたのは二人の道の暗示でもある。

 

「それに、別の貴方はややこしいことになってます」

 

「へ?」

 

「別人の人格と共存してる上に、貴方自身はプリキュア戦士ですよ」

 

「えぇぇ――っ!?」

 

響Dは動揺する。Aは内に沖田総司というバーサーカー気味の剣士の魂を抱える上、『立花響』個人としては『ヒーリングっど・プリキュア』に覚醒したので、これまた説明が思い切りややこしい。調Aはその当人に連絡を入れ、D世界の面々の前でキュアグレースに変身してもらうことにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

――黒江が波紋の修行を終えた後はのぞみ、ラブ、咲の三者に波紋の修行を課すことは内定している。そこから更にオーラパワーに繋げる予定であった。これはエネルギーソースが侵されると、いっぺんに力を失う事があった第一期プリキュア達の弱点補強のためである。(もっとも、その当時と異なるエネルギーソースで変身するようになっていたので、吸血鬼などへの抵抗力獲得の意図の方が大きいが)それはザンスカール帝国残党の襲撃には間に合わなかったが、その素質はあったらしく、自然と波紋の呼吸になっていた者が何人か現れていた。黒江が波紋の呼吸をその姿でした影響が生じたドリーム、生まれつき呼吸法が波紋の呼吸だったという偶然であったハート、ブライトの三者がそれにあたる。これは幸運であったが、相手が生身の割合の少ない改造人間では、遠隔で流す方法は使えない。なので、直接触れないと波紋を流せない。しかし、相手がショッカーライダーV3では触れられず、宝の持ち腐れになってしまっている。さて、援軍の要請を受けた仮面ライダーV3は愛車のハリケーン号を走らせ、戦場に向かう。

 

 

『プリキュア・クリスタルシューート!!』

 

『プリキュア・ハートシューート!!』

 

以前の技を形を変えて復活させているドリームとキュアハートの『ラブハートアロー』を用いた『ハートシュート』の同時攻撃だが、ショッカーV3は全く堪えない。

 

「そんな……!?」

 

「こ、これで……む、無傷…!?どーいう装甲してんのよ、こいつは!?」

 

歴戦の二人も唖然とするこの光景。現役時代よりもパワーアップしたはずの必殺技の同時攻撃が通じない。キュアハートも思わず歯噛みし、逸見エリカ寄りの口調で悪態をついてしまう。

 

 

「ぬるいな…。攻撃とはこういうものをいうのだ!」

 

「何をっ!」

 

「なめんじゃないわよっ!!」

 

しかし、ブライトも合わせての三人がかりのラッシュ攻撃も軽くいなされ、ショッカーV3は逆に『V3遠心キック』でドリームとハートを吹き飛ばし、それに巻き込まれつつも、ブライトのみが受け身に成功する。

 

 

「つ、強い…!」

 

「さあ、『始めようか!』」

 

挑発するショッカーV3。興が乗ってきたらしい。三人は単独では対抗困難と悟り、三人がかりで戦う。そのうち二人が最強フォームか、それに近い形態であるのに、優勢に立ち回る彼のスペックの証明と言えた。

 

 

『うわあああああっ!』

 

『うおおおおお!!』

 

『はぁあああああっ!』

 

三人はそれぞれ必死に防戦をする。防戦一方ながら、キュアウィンディのような致命的な隙は晒さずに立ち回った。とは言え、プリキュアの防御力を上回る攻撃力は流石に防ぎきれず、コスチュームから鮮血を垂らすほどの傷を負う。ブライトは『V3電熱チョップ』での手刀で袈裟懸けに斬られ、ドリームは『V3フルキック』を受けた後にレッドボーンパワーからのリング状に変形しての体当たり『レッドボーンリング』を受け止めようとした際のかまいたち的な衝撃波で、ハートも触覚から発射される冷凍光線『フリーザーショット』を避けきれずに肩口を凍らされ、ドリームに炎で解凍してもらったが、軽い凍傷は負った。そんなショッカーV3の猛攻を負傷しつつも、必死に凌ぐ三人の防戦がおよそ15分ほど続いた時に到着する。

 

『ハハハ……』

 

お馴染みの高笑いと共にV3がお馴染みのファイティングポーズを取りながら、アドラステアの艦橋の頂部に陣取っていた。昭和のヒーローお馴染みの構図だ。

 

「V3さん!」

 

『仮面ライダーブイスリャ!!只今参上!』

 

本家大本のダブルタイフーンの独特の甲高い作動音が響く。V3は改造された年代はダブルライダーに次いで古いものの、能力そのものは相当に高めになっている。総合戦闘力向上のための試みがされたボディだからだ。改造当初の総合性能で完全に追い越せた後輩がストロンガーという時点で、その高性能が窺い知れる。

 

『行くぞ!!』

 

V3は戦闘を開始する。ハリケーンに乗ってのひき逃げ戦法『ハリケーンダッシュ』で吹き飛ばし、ひとまずのプリキュア達の安全を確保すると、改めて、ショッカーV3と格闘を開始する。風見志郎は元々、器械体操でオリンピック候補(時代的にはモントリオール五輪か)とも言われたほどの身のこなしを持つため、ショッカーV3がパワータイプなら、風見志郎はテクニカルとパワーをある程度兼ね備えるわけだ。(現役当時にパワー特化型に負けることが多かったのは、改造人間にもある『三すくみの関係』による相性の悪さによるものだ)

 

「うーん。どっちがどっち?」

 

「手袋が白で、仮面が70年代風なのが本家大本だよ」

 

「あ、本当だ」

 

V3同士の戦闘は凄まじい。風見志郎はスペックでは伺い知れぬ『経験』で戦い、ショッカーV3はそれと対照的に戦う。アクロバティックに立ち回る風見志郎だが、パワー技がないわけではなく……。

 

『空中四の字固め!!』

 

空中で四の字固めを行い、そのまま地面に叩きつけ、締め上げる。この技は現役を退いた後に会得し、スカイライダーの時代に初披露したプロレス技の応用で、相手にダメージを与えるための『小技』である。

 

『リバースストレッチ!!』

 

しかし、相手もさる者。四の字返しをしてみせる。V3は技を解き、上手く倒立前転半ひねりで脱出し、ファイティングポーズをそこから『V3ドリルアタック』へと派生させる。

 

「すごぉい~今の見た?」

 

「仮面ライダーって、あんな事もできるの?」

 

「あの人、元は器械体操選手だったらしいから」

 

一号や二号のように武道を嗜んでいないものの、器械体操を生かした攻撃がこなせる点は大戦隊ゴーグルファイブに通ずるものがある。また、正統派仮面ライダーであるが、単体のキックの威力は秀でてはいないため、それを補うための戦法が多い。反転キックはその典型だ。ショッカーV3は肩のスプリング筋肉でドリルアタックを相殺し、そこから反転キックをしようとする。

 

「そうくるか。ならば!」

 

V3もジャンプし、こちらは特訓で編み出した『フル回転キック』で対抗する。ライダーキックの押し合いになるが、ここは風見志郎が打ち勝ち、ショッカーV3はアドラステアの艦橋にめり込む。

 

『む!レッドホーンパワーを使って脱出したか!』

 

ショッカーV3の胸の赤い部分が発光し、パワーを跳ね上げ、めり込みをむりやり解く。風見志郎はそのパワーアップ具合は自分のそれを超えている事を悟った。

 

「このパワー…!やはり改良されていると言うことか」

 

風見志郎はそれにも動じない。レッドホーンパワーはパワーを引き上げるが、長時間の維持はできない。一時的なブースト機能だからだ。

 

「パワーだけで私は倒せん!!」

 

風見志郎はパワーを引き上げた攻撃を華麗に避けていく。そして、相手のフルパワーパンチをいなし、全力でジャンプすると、V3ホッパーのロケット噴射を回転の補助に使い、大回転スカイキック張りの高速回転を行う。

 

『V3ィ……ホッパーキィィック!!』

 

V3は自分のボディの弱点も熟知しているため、特殊スプリング筋肉で覆われていない箇所に全力のキックをぶつける。

 

「ばか……こちらの装甲を抜いただと……」

 

「貴様の敗因はボディの性能に胡座をかいたことだ!」

 

V3はショッカーV3の装甲を即興の新技でぶち抜いた。その間、わずか五分とちょっと。風見志郎一流の冴えが勝利をもたらしたわけだ。ショッカーV3は昏倒し、甲板に叩きつけられ、変身が解ける。ぶち抜かれた箇所は穴が空き、電子系統由来の火花が散っているが、爆発はしない。

 

「ナノマシンが修復に入ったか。だが、これで動けんはずだ」

 

「爆発しないですね」

 

「一般怪人は戦闘コンピュータなどの重要部が胸部にある事があってな。それが誘爆するなどの要因で大爆発する。だが、ホッパータイプはそれとは違う構造になっている。そう簡単には倒せんわけだ」

 

「普通の怪人って、組織も制作費ケチってるんですか?」

 

キュアブライトが疑問を口にする。ヒーローモノでは大爆発がお馴染みの戦闘終了の合図だからだ。

 

「いや、組織の怪人は証拠隠滅のために自爆装置や自害装置が備わっている事が普通でな。自爆装置の誤作動が『大爆発』の原因だよ。本郷先輩曰く、ごく初期は自害装置というもので証拠隠滅を図っていたらしいが、割にあわない機能だったのか、すぐに爆発するようになったと聞いている」

 

 

機械工学に若干疎いV3の説明はアバウトだが、正確には『血管と平行して通っている機械部分駆動用のエネルギーチューブを流れる物質が空気に触れると、生身の部分にあるタンパク質と反応して爆燃現象を起こす』ので、辺りを吹き飛ばす大爆発が起きる。つまり、一般怪人はホッパータイプほどには高度な構造で造られていない。これは一般怪人の場合だが、より高性能な幹部怪人は爆発しにくい構造であるので、自爆装置で自害しているのである。

 

 

「どうします、風見さん」

 

「その前に、棒と接着剤はあるかい?」

 

「ええ。帰ったら日曜大工でもやろうかなーって…。それを何に?」

 

 

キュアハートが首を傾げつつも、所望のものをV3に手渡す。V3はおもむろにショッカーV3のダブルタイフーンに棒を突き刺した上で、接着剤を垂らす。

 

「これでこいつは組織の手でないと、タイフーンを修復できんようになる。ショッカーライダーには有効な手だ」

 

「それで、一号さんのタイフーンにもカバーが?」

 

「あれは腐食弾頭での狙撃対策だがね」

 

仮面ライダー達はこの頃から、組織が流通させ始めた腐食弾頭『コローション弾』対策で、タイフーン構造のベルトに防弾カバーを備え始める。アポロガイストやショッカーライダーBタイプが処刑に使用していた試作弾頭の量産化である。この弾頭は超合金Zも容易く数秒で腐食させるが、それを超えるニューZ以上の素材は腐食させられないという特徴がある。やがて、タイフーンのファンを超合金ニューZで作り直すというアイデアに行き着くという。

 

「のび太君が持ってるあの弾頭ですか?」

 

「ああ。あれは組織から流れた特殊弾でね。元は改造人間の処刑用だったらしい。連中も本格生産に入ったらしくて、対策を急いでいる」

 

ドリームに答える。すると。

 

「お武ちゃんから連絡だ。サイド2から処分してくれと正式に要請があったから、横から51cmパルサーカノンで撃ち抜くそうだ。離脱しろと」

 

「方針転換ですか?」

 

「敵もどうせ降伏せんだろうしな。跡形もないほど吹き飛ばしたほうが後腐れもない」

 

武子はサイド2の要請で『破壊』に方針転換し、轟天の高度を下げ、横合いから51cm砲(パルサーカノン)三連装十二門の一斉射撃を行うとV3に伝えてきた。

 

「直経で二キロは吹き飛びますよ。向こうの統合戦闘航空団の子たちにも?」

 

「連絡を終えたらしい。泡くって離脱しているとのことだ」

 

「エネルギー兵器を当てるだけでドーラも裸足で逃げる衝撃波出るなんて信じらんないでしょうね」

 

「キュアウィンディはハリケーンで運ぼう。まだダメージが残っている。……奴はこれくらいでは死なんから、放っておけ」

 

『突撃開始線まで下がれ!グングニルの束が降ってくるぞ!!』

 

64Fの各部隊も塩を引くように離脱する。それほどに轟天の新たな鉾の威力は凄まじい。

 

 

 

「主砲、左砲戦。目標、アドラステア級!」

 

「友軍の離脱、完了しました!」

 

「よし。全砲門、一斉射!」

 

艦橋でこのようなやり取りが交わされ、轟天の主砲塔が動く。ショックカノン時代よりも更に迅速になっている。最も、この一斉射撃での危害半径は六キロだが、遮蔽物も多いために二キロの退避に留まっている。ややあって、十二門の砲からまばゆいばかりの閃光が奔る。閃光は容易くアドラステアを撃ち抜き、同艦を瞬時に破壊せしめる。

 

「うへぇ。跡形もないや……」

 

「アルカディア号の主砲と同じものを移植したらしいから、本当はオーバーキルだけどね。あ、隊長からだ。はい……。皆、シーガルがピックアップポイントに来るみたい」

 

キュアドリームが武子からの連絡に返事する。武子曰く、『ポイントF7に集合』(元の地形でいう車両基地付近)とのことで、そこでコスモシーガルと合流せよとのことだ。

 

「今頃、向こうの子たち。今の砲撃で肝潰してるかもね」

 

「まー、エネルギー兵器だから、実感ないかも。実体弾よりわかりにくいしさ」

 

「実体弾はアドラステアだと、当たりどころがタイヤだと徹甲弾も弾くからね。エネルギーだと確実だしね」

 

「君たちも慣れてきたな」

 

「私は今度の休暇で次の戦車道大会に出ないといけないんですよ。それが面倒で」

 

「君は戦車道部の次期部長だったね、キュアハート」

 

「はい。ズタボロの部を立て直せったって無理ですけどね。あー。帰ったら、理事会やPTAの相手かー…軍人してるほうが楽だよぉ…」

 

キュアハートは逸見エリカとしての使命がまだ残っている事を愚痴る。声色は相田マナのものを維持しているものの、言うことは逸見エリカ寄りになっていた。二年連続準優勝に終わった部の再建ほど難儀な仕事もないからだ。

 

「マナちゃん、相当にキテるねぇ」

 

「二年連続準優勝の高校の部活の次期部長だよ、咲さん。いくらマナちゃんでも、これは嫌でしょうよ」

 

キュアハートの愚痴る様子から、相田マナの博愛精神を以てしても、黒森峰女学園戦車道部の再建は難儀な仕事なのが容易に感じ取れる。黒森峰女学園は機甲科という戦車道主体のカリキュラムを課す学科があり、西住しほは高校時代に同学科の戦車道部の隆盛の基礎を造った事で知られている。しかし、その子のまほが入学した時代には西住流に取り入ろうとする者たちの手で非西住流の有望株を追い出す愚行をPTAや理事会が推進した挙句の果てに二年連続準優勝という屈辱に甘んじた。まほが主将だった二年が準優勝で終わった事、妹のみほが大洗女子を優勝させたという事実に打ちのめされた黒森峰女学園機甲科は非西住流の手法の再建を模索するしか選択肢がなかったわけだ。

 

「とは言え、あそこは西住流頼りなんだよね。うららが言ってたけど、戦車の質で押してるだけに成り下がってる感が強いとか」

 

「戦車の部活ねぇ…。多分、たいていは変に思われるか、本気として捉えないんじゃないかなぁ。あの部活」

 

キュアブライトはズバリという。戦車を部活に使うというのは奇抜すぎるからだ。のび太も最初は冗談と思ったと述べているように、他の世界からすれば奇異なものである。

 

「今度、隊長(ミーナA)に言って、レーヴェを持ち込めないか聞いてみよう……」

 

キュアハートはこれだ。レーヴェを使いたいらしいが、レギュレーション的には危ない事この上ないからだ。パーシングの派生型がサンダース大学付属高校に卸され、無双の活躍を大学選抜チームとの試合でしたが、それはパーシングの派生型は「1945年8月15日』までに試作が終わっているからで、そもそもレーヴェは史実では試作すらされていないので、使えるかは微妙過ぎる。機材の試作がされたかどうかの記録がないのもあり、このアイデアはミーナAの諌めで、一度は頓挫したという。(とは言え、ショッカーから西ドイツ軍が鹵獲していたパンター戦車の中に『超長砲身』の個体がおり、後に『100口径75ミリ砲』なる試作砲を積んだパンターであると確認されたので、希望は出たが)

 

「戦車道の関係?貴方達が戦車にやけに詳しいのは?」

 

「そうなんだ、舞さん。あたしはうららがやってるからって感じで引きずり込まれて」

 

「あたしはやよいちゃんたちが原因かな?」

 

ハリケーンに二人乗りで運ばれているキュアウィンディが質問し、二人は答える。戦車道をしているメンバーや後輩の関係で覚えたらしい。最も、ウィッチ世界ではそれほどティーガーⅡは出回らぬ内に生産ラインの縮小に逢い、ダイ・アナザー・デイで消耗した後は旧式扱いで退役中なので、ウィッチ世界の戦車史は史実よりペースが早くなったが。

 

「戦車で思い出した。俺の遠戚が三菱重工業にいるんだが、陸自は近い内に一〇式を売り込みたいらしい」

 

「え?最新鋭のあれを?74式を散々に妨害しといて」

 

「その贖罪もあるんだろう。90式でないのは、あれの運用想定が北海道だからだろう」

 

正確には『扶桑と日本との戦術ネットワーク構築』目的が含まれており、16式機動戦闘車がダイ・アナザー・デイ序盤で芳しくない戦績であったことの詫びも入っている。他の目的としては『ティーガー系やコンカラーなどの旧世代重戦車の淘汰のため』で、ダイ・アナザー・デイ当時に現地部隊がそれらを大量購入したことは事後に補給の観点で大問題になったからである。コンカラーはブリタニアがマチルダ以前の歩兵戦車などを代替する目的でパーツや砲弾を潤沢に供給していた都合もあり、あまり問題にならずに済んだが、ティーガー系は特に問題視された。部品の多くや砲弾が独自規格だったからだ。とは言え、旧来の扶桑戦車にはない重装甲と高火力は魅力的であったので、ティーガー系を好む戦車連隊も多かったのは事実だ。M動乱とダイ・アナザー・デイ。ドイツ系重戦車の魅力を見せつける戦闘がたて続けに起こり、脆弱な自軍の旧式戦車に見切りをつける戦車兵は多かった。ドイツ系重戦車の外見の無骨さもその傾向に拍車をかけたのは言うまでもない。

 

「ティーガー?(アインツ)ならまだしも、(ツヴァイ)は重すぎる。日本や扶桑の本土じゃ田んぼに埋まるか、山でひっくり返るか二択だぞ?」

 

「欧州で使ったからまだいいんですが、本土に持って帰れないって参謀本部が目を回してました。日本はドイツ系重戦車を退役させたいんですかね?」

 

「補給の観点からすれば、独自規格の部品が多く、部品供給がおぼつかないドイツの戦中戦車よりも、自国でフォローが効く国産MBTのほうが楽だからな。とは言え、105ミリ砲戦車も一部しか出回っていないのに、戦後第三世代以降の戦車を与えるというのはおかしくもある」

 

「どういうことです?」

 

「いや、90ミリ砲搭載戦車が一線級と見なされている時期に105ミリ砲はともかく、戦後型120ミリ砲を流通させるには手間がかかると思ってね」

 

「現場の士気が下がってますからね、ここ最近の粛清人事で。海軍航空隊よりはマシですけど、参謀が飛ばされまくった上、機甲本部のお偉方もアリューシャンに飛ばされたんで、あそこ、人材の墓場扱いに」

 

「ある意味、死ねと言ってるようなものだな。アリューシャンは最前線にもなり得るからな」

 

アリューシャン諸島は1947年以降は『左遷された人材の墓場』という評判がついている。兵器も二線級のものばかりで、地球連邦軍でいうトリントン基地のような扱いにされていたが、アリューシャンは北海道などの防空上、重要な位置にある事に気づき、ようやく兵器が更新されはじめているという有様である。とは言え、この頃は日本のトラウマの関係で防空部隊に新鋭機が優先されていたため、前線部隊の機材はチグハグさを拭えないのは事実である。64Fのように、コネで機材を調達できるのは希少な例だった。特に戦闘機は整備ノウハウも必要なため、可変翼やデルタ翼などの『1949年当時に最先端とされている翼型』を有する機体の整備は64Fの特権であった。とは言え『扱いやすい兵器』を集めたという参謀本部の言い分は確かで、アリューシャンの人員には扱いやすい型落ち兵器であったのも事実だが。

 

 

 

「史実の日本軍はまともな戦車を造ろうとしても、資材がない、技術がない、そもそも運べないの三重苦だったと、ウチのじいさまがぼやいてたのを覚えているよ。俺が子供の頃に亡くなったじいさまが陸軍の戦車兵で、親父は整備兵だったそうだが、それを思い出した」

 

風見志郎は1950年生まれである。その父や祖父は時代的に軍歴を持つ。自動車修理工場を営んでいた父親は戦時中は戦車の整備をしていたといい、日本軍の機甲兵器の貧弱ぶりには嫌気が差していたという。日本軍はアジアでは最先端の軍備を有していたのは事実だが、機甲兵器の発達は日本軍を周回遅れにしたのも事実だ。そのトラウマは日本の関係者に変に根付いており、61式相当の五式改の量産に消極的な一方で、74式のコピーはライセンス生産に切りかえさせ、ダイ・アナザー・デイには一部の先行生産車が間に合った程度になるなどの弊害にもなっていた。10式への切り替えの打診はその贖罪と、人型機動兵器の普及で機甲兵器の市場が奪われるのを危惧した三菱重工業(その同位企業の宮菱重工業)の後押しであった。とは言え、74式から10式への切り替えには色々なブレイクスルーが必要であるのも事実であるため、当面は74式戦車の配備が進むだろう。

 

「それよりは幾分かはマシなはずなんで、四年前に揉めたんですよ。四式や五式まで生産中止にしようとしたんですよ、防衛装備庁。先輩が怒鳴り込んで撤回させましたけど、その時にはチハ系が回収された後で」

 

「あの時、扶桑の戦車を見る機会が少なかったのはそういうわけか」

 

「トーチカに使うはずのチへやチヌまで回収していった上に現地で廃棄処分命令なんて出すから問題になったんですよ」

 

ドリームはぼやく。ダイ・アナザー・デイでの自分達の酷使は機甲兵器不足も理由の一つで、欧州戦線で問題になったのは『トーチカにするはずの旧式戦車がない』ことだった。特にこれは日独系で顕著であった。

 

「だから、書類上処分済にして員数外装備にしてつかってた隊も多かったんだよ」

 

「あ、先輩。グラン・ザムはどうしたんです?」

 

「あのビグ・ザム野郎、俺とケイのマシンを見た途端にケツをまくって、盛大に逃げやがった。スーパーロボット相手じゃ、あんなモビルアーマーは大したこたぁねーかんな。気持ちは分かるが、いけすかねぇぜ」

 

「君たちのマシンを見れば、よほどのジオニストでもないかぎりは逃げ出すよ。外見からして、グレートマジンガーとゲッターロボGの後継機種だとわかる。常識的に相手したくはなかろうさ」

 

グレートマジンガーとゲッタードラゴンはガトランティス戦役の戦功でジオン残党にも恐れられていたため、グラン・ザムが逃げ出すのも分かる。特に皇帝系のマジンガーの超合金ニューZαはザメルの『680ミリカノン砲の接射』でも傷一つつかないのは知れ渡っているからだ。

 

「肩透かし食らったぜ。せっかくエンペラーソードで細切れにしてやろうとだな…」

 

「あれ、そのマシンだと『カイザーソード』じゃ?」

 

「前の時にZERO対策でエンペラーソードに換装されたんだよ。使われなかったけどな」

 

Gカイザーは因果律兵器の効力が及ぶ存在という事で、ミネルバXからは散々にこき下ろされていたが、科学要塞研究所も改良作業は続けていた。ドラえもん世界では『オリジナルのグレートマジンガーが進化した存在』だったからだ。ミネルバ曰く、『マジンパワーで強化して生まれた平行時空ではZEROに戦闘では敗れた』とし、用いる事に反対した。それを見かねたライオネル博士(ゼウスが姿を変えて人間界を散策する時の隠れ蓑である)が助け船を出した結果がマジンエンペラーGの新規開発であった。要はマジンカイザーやゴッドマジンガーに『相棒が必要だ』としていた兜剣造はグレートマジンカイザーを添えるつもりが、ミネルバXの猛反対で潰えたためと、グレートマジンガーの性能面での陳腐化への対処を兼ねて『皇帝級のマジンガーを新規開発する』ことに同意したという妥協なのだ。

 

「それで俺に回されたんだよ。死蔵されそうってんで、ジュンさんに泣きつかれてな。断れなかったから、波紋の呼吸を覚えたんだよ」

 

「なんで、マジンガー乗るのに波紋の呼吸なんですか?」

 

キュアブライトがキョトンとする。

 

「マジンカイザーもそうだけど、乗り手を試すんだよ、皇帝は。それに耐えられるタフさが必要でな。ある意味、ゲッターよりじゃじゃ馬だぞ。だから、波紋の呼吸を覚えて、精神を鍛え直したんだよ」

 

皇帝の名を持つマジンガーはある意味、ゲッター線に認められれば、高位のゲッターロボも精神力で乗りこなせるのとは一線を画する。それはガイアで発見されたばかりの『ドクロのパイルダーで動くマジンカイザーの模造品』が乗り手を廃人にする『悪魔』として恐れられているのもその側面を模倣したと思われる。黒江はご機嫌斜めだったが、ザンスカール残党もジオン残党も、普通なら『マジンガーZが玩具扱い』の『魔神皇帝』と同等以上のマシンを相手にしたくはないだろう。

 

「このまま合流地点まで行こう。母艦を撃沈した以上、敵は追ってはこないだろう」

 

V3に促され、一同は合流地点まで急ぐ。尻切れトンボのような幕切れであったが、スーパーロボットが敵の抑止力になることの証明にはなった。黒江は意気揚々と出撃したため、雑魚を散らしただけなことに不満だったが、抑止力にはなったのである。

 

 

――この時期に航空主兵論が対空兵器の急激な発達やジェット機の登場での高額化で事実上の崩壊を迎えると、潜水艦の高性能化が図られるようになる。とは言え、ウィッチ母艦や輸送船扱いされていたものを攻撃兵器に使うことにウィッチ閥の反対が強かったのも事実だった。ウィッチはこの時期に政治的発言力を急激に喪失していった。海軍ウィッチの暴走が日本側を危惧させ、彼らの手で中央から追放されたからだ。陸海軍の戦前のエリートであった参謀達は中央に殆ど返り咲くことはなかったが、クーデター勃発当時の中堅ウィッチ世代の追放で従来のウィッチ組織も事実上は崩壊していた。海軍航空隊も『予算対策組織』とさえ揶揄されている有様で、熟練者が空軍に引き抜かれた影響が尾を引いていた。旧601空が旧任務専従を命じられたのはその関係だが、彼らが習得していたレシプロ機の時代は既に終わっており、彼らも苦労を強いられている――

 

「時代は変わるのだな…」

 

坂本BはMSやVFなどの未来兵器が跋扈し、更には戦場を支配できるスーパーロボットの存在に寂しさを覗かせる。自分達が戦場の主役と驕ってさえいたウィッチにとって、自分達が脇役扱いなのは我慢ならないことだが、未来兵器の予想以上の破壊力に息を呑む。戦艦でしか扱えないはずの口径の弾丸が普通にバズーカとして使われる。ウィッチ用装備も超先進的なパワードスーツ状になっており、ケタ違いの戦闘能力を個人に与える。その様に坂本Bは一抹の寂しさを覗かせた。自分の知る姿とかけ離れているからだろう。しかし、年々のネウロイの強化に現実的に対応する手ではあるのは認めるところで、特に年々、近接戦闘を決め手にできるウィッチが扶桑でも減りつつあったのに苦々しい想いがあった坂本Bにとって、黒江達が絶対的存在に君臨することは嬉しいことだった。森蘭丸以来の伝統を守っていると解釈したからであったが、『扶桑ウィッチの魂は近接戦闘にある』という事をダイ・アナザー・デイで黒江達が示した結果、接近戦で死傷率が上がる事を恐れた世の母親達が自分の子を強引に退役させるという暴挙があちらこちらで発生し、玉音放送で止めるしか方法がなかったという窮状がある。

 

「この世界では、我々の出る幕はないかもしれんな…」

 

芳佳Bに聞かれないように、そっとつぶやく。芳佳Bの強い意思を尊重して参加したものの、めぼしい戦果がなかった者が多いからだろう。とは言え、比較的に高速戦闘に慣れていた者はそこそこの戦果は挙げている。当の芳佳は若い故か、見事に適応してみせた。

 

 

――旧来の戦法に凝り固まった自分の出る幕はないかもしれない――

 

そう思いつつ、七勇士を謳われた『A世界の自分』が羨ましい坂本B。501統合戦闘航空団の戦闘隊長である坂本Bが自信に揺らぎが生まれるほど、超音速ジェットの戦闘は迅速に事が運ぶ。それに適応してみせた統合戦闘航空団Bのメンバーはバルクホルン、シャーリーを始めとして、一撃離脱戦法に慣れ親しんだ者達だが、ジェットに恐れを持つのか、ハルトマンBが精彩を欠くという事態も起こっている。戦闘は拍子抜けな顛末を迎えたが、とにかく、地域の安全は確保されたわけだ。

 

 

「あの子に頼りがちだったのは反省せねば…。強い。これが『プリキュア』か…。」

 

とは言え、自分達の護衛についていたキュアラブリーの圧倒的な戦闘力に頼りがちであった自分を反省する程度には向上心は残している。とは言え、プリキュア達も15分もショッカーV3の攻撃に必死に耐えなくてはならなかったため、当初の戦術目的は果たせていない。仮面ライダータイプ(ホッパータイプ)の改造人間は敵に回すと厄介なのだ。その証明だった。

 

 

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