ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百八十二話「戦い終わって…7」

――扶桑は結局、雇用不安も煽られた形になったため、予備士官制度も大きく信頼性を揺るがされた。のぞみが予備士官になれなかった事は結果的に扶桑の予備役制度そのものの信頼性を大きく揺るがした形になり、日本政府は予備士官達の損害補償に追われる形になった。雇用保険の出費が莫大になるのを抑えるために『再召集』で誤魔化す羽目に陥った。また、軍事教練を仕事にしていた将校達を日本は嫌がらせも兼ねて、最前線に送り込んだが、これも却って傷痍軍人が増加する結果に終わった。他兵科のように大規模に人員を増やせないウィッチ兵科にとってはこの失政で起こる傷痍軍人の増加は致命的だった。『竹井元少将の死を以て、ウィッチ兵科は特技班に縮小改編する』という内々の通達はこの時期に急速に現実問題化し始めた。この頃の古参ウィッチの多くは戦中の促成教育のために短縮化した教育しか受けていない者が多数派であり、1945年当時よりもつぶしが更に効かない。そのため、完全な移行期間の終了は約20年後に当たる1960年代の終わりと見積もられている。気が長い話だが、軍を1949年時点で支える事変世代が高齢化し始める時期がその時期あたりだからだろう――

 

 

 

 

 

 

 

 

――実際、Gウィッチという一握りの『超人達』への依存は軍全体としては好ましくはない事柄であるが、アニメという形でウィッチ世界の本来の歴史が伝わったこと、日本連邦がそれを受けて、ウィッチへの支出を抑え、少数精鋭に絞る方針を定めたため、不祥事も多いウィッチ兵科は縮小改編で『驕りを失くす』という方針になったのだ。(とは言え、40年から44年までに志願した世代の雇用維持という観点もあるので、移行期間が10年以上の期間とされたのも事実だ)1949年には、それを見越しての教育が既に各部隊で始まっていた。政治的に高い地位を確立済みであり、本当に『超人の巣窟』である64Fのみが安寧を享受出来ていたが、それと引き換えに血の献身も行うしかなかったのも事実である。なお、日本連邦評議会の方針として、64Fの所属資格に『最低でも飛行時間が500時間ある者』と記されていた。これは当初、800時間であったが、ウィッチは通常、長くとも10年程度しか現役期間がない事から、激戦地に配属されても負傷などでそこまでいかない実情があったので、ダイ・アナザー・デイ後に緩和されたのである――

 

 

 

 

 

――日本は撃墜王などの英雄を政治的に求めたため、扶桑海軍の集団主義的な慣習は邪魔でしかなく、撃墜王制度の公式化に反対した海軍士官の会議の場でのつるし上げや左遷も公然と行われた。そのため、坂本と若本が選んだ道は茨の道といえる。とは言え、統合戦闘航空団の時代の訪れと共に『撃墜数を公表しないと、他国士官に舐められる』ことが認識されていたのも事実なので、海軍航空隊も組織の方針として認めるしかなかった。とは言え、母艦航空隊しか残されなかった上、陸上で錬成途上の部隊も空軍に移籍させられたため、作戦単位としては使い物にならないとされ、ここ四年は空軍に移籍した旧・艦上機部隊を乗っけて急場を凌ぐ有様であり、ジェット艦上機の登場で人員の入れ替えが必要と考えていた日本側としても、予定外すぎる大チョンボであった。その混乱も扶桑軍が守勢に回っていた要因であった。64Fの力で均衡を保っているため、色々な方面から揶揄される扶桑だが、軍備近代化に努力を払っているのも事実であるため、太平洋戦争は立ち遅れていた通常兵器をウィッチ装備以上のグレードの戦後世代へ強化するのにはいい機会であったと言えた――

 

 

 

 

 

――1949年にもなると、アニメとはかけ離れた力と属性に至ったプリキュアは意外に多く、キュアミラクル/朝比奈みらいはのび太が趣味で集めていたロボットアニメの映像ソフトやゲームで暇を潰していたためか、気がついたら、ロボットアニメオタクへ転じていたし、キュアドリーム/夢原のぞみはどこぞの勇者王もかくやの『機械と人が融合している』肉体を手に入れ、なおかつ草薙流古武術などを嗜むようになっている他、剣術もそこそここなせるようになっている。その一方で、医者やパティシエなどの夢を本当に叶えたプリキュアもいる。水無月かれんや宇佐美いちかが該当する。また、立神あおいは音楽活動を志向し、バイトで美雲・ギンヌメールの影武者をしている北条響(シャーリー)をライバル視しているなど、現役時代の夢を明確に追い続けている者もいる。プリキュアオールスターズは基本的に野比家を21世紀世界での活動拠点にしているので、交代でのび太の嫡子『ノビスケ』の面倒を見ている。(ちなみに、ノビスケが結婚したのはのび太が55歳、自身も30歳を迎えた頃で、父親より5年遅く、どちらかというと晩婚気味であった。これは自身がサッカー選手になった事で、20代のうちは結婚したくなかったり、中学以降から色々なガールフレンドと浮名を流していたことが災いし、意中の幼馴染がなかなかOKを出さなかったことも関係している)2021年当時の年齢は小学校低学年。当時からわんぱくであった他、幼稚園時代に事件に巻き込まれたことから『体を鍛える』事に傾倒し始めている。キュアルージュとキュアマーチの影響でサッカー少年となっているが、高学年になったらラクビーに手を付けたいとも述べているなど、のび太似の外見ながら、内面は若き日のしずかに似ている。幼稚園時代のバスジャック事件の解決の糸口は彼がのび太から持たされていた非常ベル(当番で野比家にいるプリキュアやウィッチに非常警報が伝わる仕組み)であったが、事件の際の恐怖を期に自身が強くなろうとするなど、野比家の歴代の嫡子の中では異端と言える気の強さを持つ。2021年には母譲りの気の強さが表れだし、きかん坊になっていたが、ことは達の前では素直になる。両親が不在がちな環境故だろう――

 

 

 

 

――この日の業務を終えたドリーム達は駅ビル(のび太が高校~大学在学中の頃に建て直された)まで戻り、この日の買い物を済ませる。(マリアもこの頃にはリコと出会った事による感応や血の滲むような努力で適合率も初陣の頃より遥かに向上しており、半日ほどはギアを装着できるようになっていたため、ギア姿のままで買い物をした)――

 

「スネ夫くん、良いのかな。重要な情報をお漏らししちゃって」

 

「いいんじゃない?あの人のコンツェルンがスポンサーなんだし、あなたの戦いが忘れられていない証よ。一年で代替わりするようになってからは正直、忘れられていくのよね。子供はどんどん新しいものに興味が移るし、5年も経てば、知らない子供も出てくる。現役時代から14年も経ったのに、アニメ映画で新フォームを書き下ろしで用意されるあなたは凄いわよ」

 

「14年かぁ……。普通に歳取ってれば、20代後半になってるんだよな。……あれ?」

 

「どうしたのよ」

 

「いや……はなちゃんの生年月日、2005年って聞いたから……って、あの子、あたしの現役時代に……?」

 

「二歳の子供って計算よ…のぞみ」

 

「嘘ぉ~!考えるんじゃなかったぁ~…。」

 

のぞみは2007年からその翌年にかけての時期に『14歳』であったので、1993年前後に生まれていることがわかる。そのため、2005年生まれの野乃はなとは一回り以上の差が存在するのだ。(第三世代の先頭である春野はるかと朝日奈みらいとも、本当は10歳近い差がある)

 

「いいじゃない。実際の年齢差は気にしなくて。そんな事だったら、のび太さんなんて、1988年生まれで、あなたより5歳くらい上よ」

 

「うーん……なぎささんたちも実際はかれんさんとこまちさんより二歳は上だしなぁ…」

 

「そう言えば、なんで咲さんにリーダーを譲ったの?」

 

「昔、メロディたちのデビュー戦ん時、なぎささん、大ざっぱすぎる指示でさ……えらい目にあったよ。それで、ダイ・アナザー・デイの時に、その時にいた4人で話し合って、咲さんを立てることにしたんだ。それに私、リーダーってさ、柄じゃなくてさ……。必要なのは分かってるけどさ」

 

「嘘ぉ。立派にリーダーしてたじゃないの」

 

「あれとこれは別だってば。」

 

「なぎささんが聞いたら、なんて言うか」

 

「うぅ。それ勘弁~~!」

 

のぞみは『一戦士としては』なぎさを宛にしているものの、指揮能力がないことで自分たち後輩が散々な目にあった教訓から、咲をその面で信頼するようになったと漏らす。咲は部活でキャプテンだった経験があるので、ある程度の指揮を取れる。(ただし、素の頭脳のほどはのぞみと似たりよったりだが)そこがのぞみ、ラブ、つぼみ、響の『オールスターズDX3』への従事経験を持つピンク組が連名で黒江、武子、圭子へ連名で咲の推薦状を提出した理由である。(なぎさが聞けば憤慨間違いなしの事柄だが)

 

「この街は不思議よね。私達がこの格好で出歩いてても、違和感持たれないって」

 

「ドラえもんくんが普通にいた街だしね。むしろ、ファンにサイン攻めに遭うほうがめんどいけどね」

 

「ま、そこはね」

 

プリキュア姿で駅ビルの中の商店街(昔、のび太達がCMして繁盛させた和菓子屋『あばら屋』も入る)をぶらついていても、通行人に気にされることがあまりないことに不思議な感覚のキュアドリームとキュアマジカル。(そもそも、駅ビルに駅前商店街のテナントを入れるのが駅の建て替えの協議に商店街が応じた理由なので、繁盛していないわけではない)

 

「おっちゃん、どらやき詰め合わせを一丁~」

 

「あいよ~」

 

あばら屋の主人(ドラえもんとのび太が出会った主人が老齢になっても営んでいる)からどらやきの詰め合わせを買っていくドリーム。

 

「ドラえもんくんへの土産。今日はノビタダくんと会ってるそうだから、遅くなるそうな」

 

「えーと、のび太さんの?」

 

「孫の孫の曾孫だって」

 

「遠いわね」

 

「のび太くんの一族、30歳までに子供を設けるから、代替わりが早いんだってさ。それで、23世紀には財団運営で生計立ててるから、政治家や財界、軍に顔が効くそうな」

 

「それで?」

 

「ドラえもんくんはXのディバイダー装備を取りに行ってるって。調整に手間取ってるって聞いてたから」

 

「でも、日本は何がしたいの?扶桑の国力でも、ワシントンに日章旗をおっ立てるのはどだい無理な話よ?」

 

「扶桑でも西海岸を落とすのが限界だよ。五大湖工業地帯があるかぎり、物的に無尽蔵。五大湖工業地帯を破壊するか、無力化するしかないだろうね」

 

「海軍にそこまでの能力ある?」

 

「戦後型艦艇の継戦能力は正直言って、昔の駆逐艦と乙巡よりはマシな程度だからね。それで揉めてるんだ。おまけにミサイルは値段も維持費もお高い。未来のレーザー兵器を設置するにしても、旧軍式巡洋艦は船体のスペースがね…。おまけに、日本側が船体構造まで頑強に改造しろと言うんだ。そんなの、一から新型を造った方が早いよ」

 

日本側は旧軍式巡洋艦を『米軍巡洋艦に比しての耐弾能力の低さ』をその理由に一律で退役させたかったが、最上型や利根型のように、艦齢が比較的に若い艦も多いために、近代化改修での再利用策が持ち上がった。(逆に、扶桑で実現していた『超甲巡』の存在が中途半端だと槍玉に挙げられ、主砲換装と装甲強化による戦艦化が持ち上がる事になるのだ)伊吹型の巡洋艦としての造艦が続いた理由も『軽空母の陳腐化』で空母改装計画が一瞬で『吹き飛んだ』からで、用意された空母改装用の資材が死蔵される事態にもなった。また、45000トン級でも『軽空母』というレベルの空母の大型化は諸方面にパニックを起こしている。

 

「日本は何考えてんの?」

 

「大方、自分達の時代の兵器が過去の兵器の完全な代替にならないことの腹いせだろうさ。ホント、嫌になるよ、官僚連中の事」

 

 

 

――扶桑の攻勢限界点は大陸西海岸。それをよく知っている扶桑軍は西海岸を占領後にワシントンとニューヨークを空挺降下で攻撃し、一時的に占拠してから和平に持ち込むというビジョンを抱いていた。それに必要な戦略爆撃機の確保などの難点も多く、現在のところはハワイの占領が扶桑の目標である。戦争長期化の要因は日本と扶桑の『戦争終結のビジョンの違い』も含むと言える。ハワイ一つ取っても、扶桑は『太平洋共和国のものだから、無血開城できないか?』と考えていたが、日本の政治家や防衛官僚は『目につくものは殲滅あるのみ。二度と基地として使えないように地形を変えて、全てを灰燼に帰させるべきだ』という有様で、史実太平洋戦争のトラウマの強さを感じさせる主張を展開する始末である。この強硬論は極端にすぎる一例だが、日本のトラウマの表れでもあった。とは言え、太平洋共和国領であったハワイの都市を破壊してしまうと、政治的に太平洋共和国との間にしこりが生まれてしまうため、将来的な大海戦は必然的なものと見られている。また、ミサイルは魅力的だが、『調達・維持に経費がかかり、怪異戦での主力にするには、むしろ非効率である』と結論づけられた事、戦艦がミサイルや戦後型魚雷にも耐えられることが判明したこと、戦後型艦艇の直接防護力の無さが怪異の存在で却って際立った結果、戦艦が花形に返り咲いた。それに伴い、日本が計画し、ダイ・アナザー・デイ当時に売り込んでいた『軽巡洋艦サイズの指揮専用艦』は採用されず、艦隊旗艦は戦艦か、それに近い規模の戦闘艦、あるいは空母という、それまでの慣習が継続されていく。怪異との遭遇では強力な自衛力が必須なためであった――

 

 

「それで、これからどうするの?」

 

「あたしたち、アニメとはかけ離れちゃったしね。こうなったら、勇者シリーズの剣の技でも覚えるさ。酔狂だって言われるだろうけど、こっちの能力は晒されてるからね」

 

「あなたも好きねぇ」

 

「切実だよ?あたしなんて、昔に使ってた技は子供でも知ってるから、最近はどの技も敵に通じないこと多くてさ。草薙流古武術を使ってフィニッシュ決めてんだ」

 

プリキュアほど有名なヒロインだと、技の詳細を子供でも知っているため、ドリームの技は最近では防がれるケースが多く、草薙流古武術でフィニッシュを決めているという。錦の遺産の中では最大の恩恵だ。

 

「あなたが草薙流古武術ねぇ…。りんと属性が被ってない?」

 

「よく言われる。だけど、もらったものは使わないと損っしょ?精度上げるために、戦間期はギアナで修行したんだから」

 

「向こうの世界の貴方自身が泣くわよ?他のプリキュアの技を撃てるようになってる上に、草薙流古武術なんて」

 

「まーねぇ…。向こうのあたしはエターニティと別の境地…、スネ夫くんの情報にあったあの画像のフォームに到れるだろうから、悲観することないと思うけどなぁ」

 

「メタ情報でしょ、それは。それはそうかも知れないけど、グレースいないと無理っぽいっしょーが」

 

「だよねぇ、たぶん」

 

「基礎能力が違いすぎるのも拗ねてる要因なのよ、のぞみ。あなたは色々とチートできるようになってるけれど、向こうは現役時代そのままなのよ?」

 

「言えてるよねぇ。りんちゃん、どう説明する気だろー?」

 

「さあ…?」

 

なんとも言えない気持ちの二人。

 

「姉さんが戻ってきたら、帰るわよー」

 

 

「でもさ、それにしても遅くない?」

 

「姉さんのことだから、惣菜コーナーでめまいでも起こしてるんでしょ。姉さんと前世の私はウクライナの戦災孤児で、小さい頃はあまり食べられなかったのよね」

 

「調ちゃんからそれ聞いた。それでアメリカに?」

 

「今からして思えば、フィーネの次の器を探すためにアメリカは各地から子供を多く誘拐してた。日本はフィーネの末裔の一族がいたとかで、非合法的に拉致した。切歌や調はその有力候補。その内の調が本当の器だったみたいだったようだけど、綾香さんが玉突きで入れ替わった時に感応現象が起こって、あの子は綾香さんの半同位体になった。それで歴史が大きく変わったと思うのよね」

 

「キャラ変えなくていいの?」

 

「セレナ・カデンツァヴナ・イヴとして振る舞うのも疲れるのよ?。温厚で清純、そして天使のように純真だったのを、意識して演るには気力がいるし」

 

「昔の自分なんだから、他人を装うよりは楽だよ?ケイ先輩なんか、何重か猫被って、式典とかごまかしてんだから」

 

「あの人はそれで楽しんでるでしょうが」

 

先輩後輩関係を意識しない同年齢の友人らしい会話である。仕事とプライベートが半々だが、プリキュア姿であるので、なんだか少しおかしな感覚を覚える二人。

 

「現役時代にはあまり会えなかったから、不思議だよね」

 

「仕方ないわよ。私達がプリキュアになったのはオールスターズの大戦期の最末期なんだから。それに、本当は生きてる時代もズレてるから、同じ年頃の姿で会えただけでも儲けもんよ」

 

ドリームは2007年から2008年の二年が現役時代。ミラクルとマジカル、フェリーチェは2016年が現役時代。お互いに時代が9年もズレている。もちろん、普通の手段では会えなかったので、こうして同じ時代、同じ場所に世代を超えて集まっているのは『少し不思議な奇跡』である。

 

「あ、はるかちゃんからメールだ」

 

療養中のキュアフローラ/春野はるかからメールが届き、タブレットを操作して、メールを開くと、琴爪ゆかり(またの名を北郷章香。キュアマカロンである)と宇佐美いちかから事情を聞かされ、戦列に加わる事を明言したと書いている。また、『のぞみちゃんの思いは受け取ったよ。私も力になるから~!!』と締めており、プリンセスプリキュアとして戦う事を約束している。

 

「良かった。はるかちゃんも戦ってくれるんだ」

 

「あなたに起こった事情聞けば、私達は誰だって一緒に戦うわよ?」

 

「ありがとう…」

 

感動して、ちょっとウルっときたキュアドリームだった。

 

 

 

 

 

 

 

――こうして、プリキュアオールスターズが順調に揃いつつある状況を座視するバダン帝国ではなく、刺客を送り込む。その刺客とは、かつてのドグマ王国の支配者であった『帝王テラーマクロ』。地球に潜入調査していた頃は『黒沼外鬼』と名乗り、赤心少林拳の一派を率いるまでに腕の立った格闘家であり、沖一也/仮面ライダースーパー1の師であった玄界老師は若き日に同門であった。その格闘技の技能をバダン大首領に見込まれ、人格を含めて再生。沖一也への雪辱、副次的にプリキュアオールスターズの実力を図るため、送り込まれたのである――

 

「よろしいので、大首領。テラーマクロ如きを単独で……」

 

「……フッ、良いのだ、ジェネラル・シャドウ。奴は戦力にはなるが、ネオ・キングダークの建造までの時間、かつて、サンプルとして採取した本郷の細胞を培養して生まれた『ガイストライダー』の完成、そして、お前の再改造が定まるまでの時間を稼ぐための囮……沖一也と会わせてやるのは私のテラーマクロへの慈悲だと思え」

 

ジェネラル・シャドウは蘇生後、自身を半機械人にランクアップさせる再改造を志願するが、新たな姿にホッパータイプか、ビートルタイプになる(双方の共に仮面ライダーのボディの組織における型式名で、前者はオーソドックスなタイプ、後者はストロンガータイプである)事を希望していた。改造魔人であり、元から歴代組織の大幹部級の実力者である彼だが、生涯で唯一無二の宿敵である城茂との再戦に燃えていたからだ。大首領はそれを気に入り、彼に仮面ライダータイプへの再改造を許可すると同時に、キングダークの後継機『ネオ・キングダーク』を建造させつつ、本郷猛から採取した細胞を育成したホムンクルスにポッパータイプとしての改造を施した『ガイストライダー』の生産を進めさせつつ、歴代組織の大幹部を相次いで蘇生させ、対ヒーローユニオンの指揮官として配置している。

 

「は……」

 

「テラーマクロがしくじった時は…」

 

「案ずるな……アポロガイストを監視に差し向けている」

 

「ほう。アポロガイストを?」

 

「私からの沖一也と神敬介へのプレゼントというわけだよ、シャドウ。それと、小娘共の事は情報を集めんとどうにもできんからな。客将のシャドームーンは一匹狼だからな、難儀しておる」

 

「ご察しいたします」

 

「しかしだ。小娘共の戦力を図るためには我慢せねばな」

 

バダン大首領はここでシャドームーンを客将として遇しているが、RXを狙うのに執着する一匹狼ぶりを発揮しているのに難儀している事を漏らすなど、微妙に人間臭さを見せる大首領。テラーマクロの事は『捨て駒』と見做し、信頼するアポロガイストを助力の体裁での監視に差し向けているなど、抜け目のなさを垣間見せる。また、シャドウを含めたデルザー改造魔人は『大首領直属の親衛隊』であるために、大首領との直接の会話を許されているなど、他の組織における大幹部よりも格上として遇されているが、死神博士、地獄大使、アポロガイストなど、歴代組織の中で信任が篤かった大幹部は比較的に高待遇である。アポロガイストは特に信任の厚い『お気に入り』に属する幹部で、デザリアム戦役で再復活を宣言し、姿を見せてからはXライダーとかつてのライバル関係に戻っている。大首領はシャドームーンの潜在能力を見抜き、クライシス帝国滅亡後に客将として迎え入れたわけだ。かつてのショッカーライダーに代わる『ガイストライダー』とは何か?ネオ・キングダークというキングダークの末裔を生み出そうとするなど、仮面ライダー達を始めとするヒーローユニオンと戦火を交える準備を始めていく。プリキュアオールスターズの偵察もその一環であるのは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

――23世紀世界のどこかにある『バダンシティ』の改造人間・ホムンクルス製造工場の培養カプセルで培養される本郷猛のクローン体と、それに対して施されるポッパータイプとしての改造。その計画を察知していた一号ライダー/本郷猛は自身を必要とする世界の自由を守るため、自身のさらなる再改造を受け入れ、自身の新フォームである『ネオ一号』フォームを完成の域に持っていく。その体に合うマシンとして『立花藤兵衛最後の遺産』を完成させ、本郷用に細かく調整する結城丈二。このように、ヒーローユニオンもけして無策ではなく、戦力強化に努めているのだ――

 

 

 

 

 

――この時期に、のぞみやりんを変身後の姿で被写体にして撮影された数種類のブロマイドに『のぞみが言及した事』の解答の一端がある。ブロマイドでキュアドリームとキュアルージュの手に握られている剣はのぞみのいったように、『勇者シリーズ』の内の一作『勇者指令ダグオン』のファイヤーダグオンやパワーダグオンが主に用いた『ライオーソード』を模したデザインのもので、キュアミラクルの薦めで持ってみたという代物である。このように、ミラクルのロボアニメオタク化はのび太も予想外の出来事で、事の次第を知ったキュアマジカルは相当に取り乱し、元凶とされたのび太に詰め寄る一幕もあったという。だが、真の元凶はのび太ではなく、のび太にその類の映像ソフトを薦めたキュアピーチ/桃園ラブとキュアピース/黄瀬やよい(カチューシャ)の両名であった。キュアマジカルは後日、のび太からそれを教えられ、二人に一撃を食らわせるため、半日は箒で追っかけ回したという――

 

 

 

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