ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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第百八十五話「プリキュア達の新たな目標。そして、ティターンズ、バダンの陰謀とは?」

――ダイ・アナザー・デイで日本義勇兵が敢行した『献身的な攻撃』はウィッチ世界の軍隊の心胆を寒からしめた。この攻撃は敵味方を問わず、『人と人が戦う戦争の実態』を思い知らせ、ダイ・アナザー・デイでウィッチ同士の空戦が起きる可能性を下げた。それはぶつける前に脱出するにしても、凄まじいインパクトであった。そのショックは味方にも及び、最終的に64F以外に陸上で実働状態のウィッチ航空部隊が無くなり、64Fに過剰な負担と心労を強いた。その反省で、本土防空に必要な者以外は前線任務に就かせる事になったが、1949年にはそれに耐える練度の部隊そのものが大きく減少していた。従って、64Fの負担を減らすどころではなかった。不幸中の幸いはキュアブルーム/日向咲、キュアイーグレット/美翔舞が64Fに加わった事である。爆発力はなぎさとほのかには及ばないが、戦力としての安定度は咲と舞が上回る。大決戦での恩返しとばかりに、1947年から仕事を開始。その翌年にコミュニティのリーダーを引き継ぎ、1949年には名実ともにプリキュアオールスターズのリーダー格となっていた――

 

 

「アクア、B戦域の状況は?」

 

「50Fが押され気味よ」

 

「パッションを向かわせて。ここは私が持たせるわ」

 

「お願い」

 

キュアイーグレット/美翔舞はこの頃にはプリキュアの序列で実質的に第二位であった。実力でも後輩たちの多くより一段上であるため、陸軍の救援に単騎で駆けつけ、一個大隊を返り討ちにする事も珍しくなかった。また、現役時代には成し得なかった任意でのフォームチェンジもできるようになっていたため、敵からはまさに脅威そのもの。並の歩兵大隊では足止めすら出来ない有様だった。こうしたいぶし銀の活躍が彼女らの華であった。

 

 

 

 

 

 

 

――こうしたプリキュア達の活躍とは裏腹に、扶桑軍が苦労したのが小銃の更新と訓練であった。小銃そのものは自衛隊の供与でどうにかなるが、問題は過剰に命中精度を求め、弾の無駄遣いを嫌がる陸軍将兵であった。また、当時は陸軍先進国であったカールスラントの突撃銃を元にした試作品が三年前に完成していたのが量産に移されない事に不満を持つ技術者も多かったため、その宥めも一苦労だった(これは規格が違うためもある)。そのため、完全に自衛隊と同等以上の装備になっている陸軍部隊はコンバットアーマーやMSを持つ機甲部隊のみであった。訓練も自動小銃などに馴染みの薄い将兵を慣らすための訓練になりがちで、どうにも実を結んでいない。兵器の革新の時代にはこうしたチグハグさがどうしても発生する。地球連邦軍も小型機とビームシールドの登場時にそうであったように――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑軍はMSやVF、コンバットアーマーを扱うための兵科『機動科』を創設した。ウィッチ兵科が需要減で解消が検討されているのとは対照的であった。これは時代遅れとなった軽戦車の乗員を優先してMSやコンバットアーマーに転換させるための処置で、ウィッチは生え抜きであるほど、他兵科の領分をやりたがらなかったが、時代が自分たちを邪魔者と見做すようになっていってることも理解していたため、教養のある兵学校/士官学校卒の者が率先して搭乗訓練を受けている。陸軍は船舶部隊と航空部門が供出されたため、陸上部隊に必然的に予算を振り向けるしかない。その一環で輜重部門が強大な権限を持つようになった上、日本の援助で急速に自動車化されたが、それを扱える者が扶桑では『そもそも少ない』というモータリゼーション的な弱点が足かせとなり、却って軍の大規模行動を難しくしていた。そのために少数精鋭で大部隊を迎え撃つことが常態化している。運転免許証保有者をを増やすために扶桑本土の再開発が始まったが、当時の扶桑本土はモータリゼーションどころか、大衆自動車もない状態。また、都市部のホワイトカラーやブルーカラーも自動車を持たない状態(史実よりはマシだが)であるので、軍隊の補給経路の近代化には困難が伴った――

 

 

 

 

 

 

 

――扶桑皇国は額面上の兵力こそアジア最大最強だが、実際は少数精鋭の部隊頼りの状況だった。これはクーデターで多くの熟練ウィッチが処分を恐れてMATへ移籍したり、家族に累が及ばないように自死を選んだりしたため、その後の世代へノウハウが伝わなかったためである。教育を怪異戦に特化しすぎていたのを是正するための教育課程のせいで配属が遅れ、その間に脱落者が相次ぎ、少人数に減り、軍部はベテランの抜けた穴を埋められずにいる。それを補うための未来兵器導入であるが、皮肉なことに、それがウィッチ兵科に引導を渡す判断材料とされたのである。とは言え、未来兵器も反連邦組織の手でジオン系MSが敵に流れ始めたため、MS戦も起こり始めていた。50Fが押されているのはそれが理由だった――

 

「やれやれ。アナハイムのグラナダ支社のせいかしら?ザクⅢが流れてるなんて」

 

50Fを苦戦させていたのはザクⅢであった。その救援に駆けつけたキュアパッションは聖域で消息不明のシャイナの後釜で蛇使い座の聖闘士になっていたため、プリキュアの姿で代々の継承技『サンダークロウ』を披露。ドリームに次いで、『プリキュアの姿で聖闘士の闘技を使う』事例となった。

 

『サンダァァ・クロウ!』

 

シャイナから引き継いだサンダークロウの威力はザクⅢをも容易に引き裂く。

 

「MSはあなた達には過ぎた代物よ。とっとっと諦めることね」

 

パッションは白銀聖闘士に任じられた事もあり、『フレッシュ!プリキュア』で最強クラスの能力を得ている。つまり単純な能力値で見るならば、ピーチを超えたわけである。これはキュアベリーも同様である。

 

『イーグル・トゥ・フラッシュ!』

 

「美希、あなた……」

 

「前世の記憶ってやつよ、せつな。お互いに難儀するわね」

 

蒼乃美希/キュアベリーは前世が鷲星座の魔鈴であったのか、正規の聖闘士でない身分ながら、鷲座の継承技を撃てるようにパワーアップしていた。イギリス系戦車なら『ダージリン』としての経験で操縦できるなど、何気に強くなっている。奇しくも、白銀最強クラスがプリキュアになったわけである。ラブはこれに大いに触発されたのは言うまでもない。

 

「貴方、別の世界で高校生してたんでしょう?私なんて、現在進行形で聖闘士よ。アカルンの力でも聖域からは跳べなかったから、そのまま世話になって……」

 

「外見は変わってないわよ?」

 

「大決戦からちょっと後に、事情が知りたくて、アカルンの力で跳んだら、聖域についてしまったのよ。過ごしたのは半年に満たないくらいの時間よ。まぁ、ついた最初はそこから次の場所に跳べなくて、パニクったけど」

 

キュアパッションはアカルンの力でテレポートが可能だが、聖域についてしまったためにテレポートが不可能に陥り(聖域にはテレポート能力を封じる結界が張られている。その効果はプリキュアの妖精の力にも及ぶ)、仕方なく聖域で世話になり、その内に蛇使い座座の聖闘士になったのである。

 

「でも、よく白銀聖闘士になれたわね」

 

「戦闘慣れはしてるし、素質があったみたいでね。貴方もなってみる?」

 

「聖衣の空きがないでしょ?」

 

「魔鈴さんが近い内に引退したがってるようだから、鷲座が空くかも」

 

「アクイラとイーグルは別枠?」

 

「アクイラは最近に発掘されたムー大陸で最後に制作された世代の聖衣みたいでね。女性が着用するのを前提にしていたみたい。だから、孝美に回されたんでしょう」

 

魔鈴はこの頃、引退を仄めかしていたので、正規の鷲座であるイーグルが空く事が予測されていた。シャイナが消息不明になったので、張り合いが無くなったのか?それは紫龍達にもわからないという。

 

「良ければ、私が推薦するわよ?」

 

「聖闘士も安くなったわね?」

 

「仕方ないわよ、その世界、ハーデスとの戦いで殆どの聖闘士が死んだんだから、先代黄金の一部はゼウスが生き返らせたけれど、黄金聖衣も全ての復元は済んでないし」

 

黒江たちが聖闘士でも高い地位に短時間でなれた理由は人手不足も大いに関係している。中でも黄金聖闘士の全員の死亡は痛手で、ゼウスが最高神の権限で何人かを蘇生させるほどである。また、ハーデス戦でほぼ全損したものもあるため、黄金聖衣の復元はゼウスの力で行われたが、神の力でも復元は完全ではなく、所々は蘇生した前教皇のシオンが自ら行っている。なお、ゼウスによる蘇生は生前の全盛期の肉体での蘇生を無条件でできるので、シオンは若々しい時代の容姿で蘇生し、教皇に復帰している。全員が蘇生を選んだわけではないが、童虎は青年期の姿で蘇生しており、復帰している。アイオロスは蘇生を選ばず、星矢にかかった呪いを解くことを懇願する仁を見せた。(次代にアテナを託したと言うことで)。アイオリアも同様だが、後継と目した一輝が若齢である事から、自らが憑依した事があるフェイトに自身が会得し、また、生存した世界線で会得するはずの闘技をフェイトと正統後継者の一輝に継承させた。シュラも霊魂状態で黒江に闘技を正式に継承させ、黒江に『お前は先々代様……『山羊座の以蔵』の衣鉢を継ぐのだ』と告げた。(彼自身の聖剣は紫龍が継いでいるので)蘇生を選んだのは何人かのみだったが、それでもシャカや童虎などの強者が蘇生されたため、ゼウスはハーデスの肉体の死を良いことに、好き勝手したと言える。

 

「私達がすぐに白銀以上になれるんだから、人手不足は分かるでしょう?だから、星矢の呪いを解くことが最重要課題なのよ。神殺しの天馬だし、彼」

 

「神殺しの天馬ねぇ…。私をスカウトってこと?」

 

「そう取って構わないわ」

 

「ラブがぶーたれるわよ?」

 

「あの子も強くなってはいるけれど、私たちやのぞみほどは顕著じゃないもの。それでも、現役時代ののぞみくらいは軽くのすけれど」

 

「そののぞみはラブや響と休暇でしょ?」

 

「ええ。あの子達宛にガンスミスから荷物が届いてるから、後でメールするわ」

 

「ああ、のび太さんが馴染みとかいう『デイブ・マッカートニー』とかいう……」

 

のび太はプリキュア達の携帯火器の選定にも協力しており、カスタマイズをデイブ・マッカートニーや敷島博士などの『ガンスミス』(敷島博士は兵器技術者だが)に依頼する。銃の取り扱いができるものには高度なカスタマイズをするか聞き、そうでないものには護身用の範疇のものを渡している。例えば、のぞみは素体が正規軍人であるため、大口径のものを好み、『スーパーレッドホーク』をカスタマイズしている。ことはも同様だ。対して、戦車道などで銃器に触れる機会が多かったキュアレモネード/春日野うららは(生前の女優業でモデルガンに触れるケースがあったのもあって)、ワルサー系のオートマチックを二丁拳銃で携帯するのを好む。また、変わり種でP90を注文した者がおり、黒江を関心させている。意外な事だが、プリキュアの技は破壊力が強すぎるため、負傷させる、眠らせるなどの用途での銃器の使用は任務の選択肢に入る。仮面ライダーたちのように、格闘攻撃だけで、常人よりタフな兵士達を昏倒させられるほどの打撃力を持つ者は意外に少ないからだ。

 

「でも、まさか、変身した姿で銃器を使うとはね」

 

「まぁ、普通に殴り返してくる奴も多いし、敵は『短命化』するのを覚悟で初歩的なサイボーグ体になった連中も出てきてる。ナチの断片的な資料から、元・枢軸国のイタリアで20世紀の終わりくらいに秘密裏に研究されていたものを発掘したんでしょうね…」

 

「どこかの漫画での『義体』まがいのことやらかしてくれちゃって…!そうか、断片的な資料は枢軸国に渡ってたのね」

 

「そう。サイボーグを組織は完成させたけれど、イタリアは既存技術と薬物による洗脳で非合法手段に用いていた。最も、ゴルゴ13やのび太さんに勝てない公算が大だから、試験運用段階のまま、政権交代で封印されたらしいけど」

 

「日本で2000年代頃にあった漫画みたいな話ね」

 

「その当時の技術じゃ、短命すぎる『使い捨て』だもの。倫理的に不味いでしょう?仮面ライダー達が不死身なのは、自己修復のナノマシンが体内にあったり、組織の超高度な技術によるものだもの」

 

「ティターンズはそれを承知でわざと?」

 

「22世紀の軍隊がその100年以上前のものをそのまま使うのは妙だけど、恐らく、彼らは体内で宿主のコントロール下におけるナノマシンの製造ができないギリギリの時代の生き残りなんでしょうね」

 

テラフォーミング目的以外に使用できる実用段階のナノマシンや人工的に増設された心臓補助器官などを完全な形で有した最初の軍隊は第一次ネオ・ジオン戦争時代のアクシズ軍で、アクシズ軍の崩壊で地球連邦軍にその技術が流れたので、人工器官技術はあっても、高度なナノマシン技術をグリプス戦役時のティターンズは有していない。そこが『短命で稚拙な技術レベルのサイボーグ』をティターンズが『使い捨て』で使う理由だった。その事はナチス・ドイツの戦中の研究データを断片的にしか入手できず、組織に比すれば稚拙な技術しか有さない2000年代頃のイタリア共和国が『数年は生存するサイボーグ』を非合法処理に用いていたとする事実を『発掘された当時の記録』で知ったティターンズは『使い捨て大いに結構!』と言わんばかりに用い始めている。彼らにとっては『精神的にイッてる強化人間より戦力になる』程度の感覚で、各地から拉致したりした身体障害や重体の少女を改造し、戦力にし始めている。これはイタリアが過去に犯した『罪』をティターンズが蘇らせたのと同義である。

 

「ティターンズはまさか?」

 

「リベリオンは土地との結びつきが弱く、ウィッチの数が宛にできないのを彼らは知ってる。だから、義体なんてのを用いるのを選んだんでしょうね」

 

「ラブやのぞみが聞いたら、顔を真赤にして怒り狂うでしょうね」

 

「ええ。裏づけが取れたら知らせるわ。戦線に義体らしき子の姿は確認されているから」

 

「どうやって見分けるの?」

 

「可愛い顔と子供の背丈で物騒な火器を軽く扱えるとか、かしらね」

 

「やれやれ。ジオンも子供を積極的にパイロットにしてたというけれど……」

 

「未来世界じゃ、私達の元の時代での年齢くらいから、パイロットに適するっていうから、人のことは言えないわね」

 

ティターンズが旧イタリアの秘匿資料から発掘した『義体』なる初歩的なサイボーグとは何か?短命である事を勘定にしても投入する『使い捨て』という実情は組織のサイボーグ技術が23世紀から見て尚も高度であることの証明であった。また、兜十蔵もロボット工学の応用で超高度な技術を有していた事でもある。また、彼女たちは現役時代は13~17歳前後の年齢の少女であったので、年齢についてはあまり言えない立場である。

 

「住んでる世界を超えて、私達が集められているのは何故なの?」

 

「世界を超えた脅威に対抗するためよ。ゴルゴム創世王、大首領JUDO……、シャドームーン。仮面ライダー達を始めとしたヒーローユニオンが昭和の頃から対峙している強大な組織。かつてのナチス・ドイツすら操っていたと思われる存在。巻き込まれた……というべきね。大決戦で敵対した時から」

 

キュアパッションは元は地球人ではないので、冷静に組織を評する。ゴルゴムがバダンに取り込まれる形で復活。仮面ライダー達を始めとするヒーローとその支援者たちが支援者の世代交代を挟むほどの長い年月を費やして対峙している強大な組織との大戦に自分達は巻き込まれたのだと、ベリーに教える。ベリーを含めて、『大決戦に参戦していないプリキュア』も大勢いるが、大決戦を一種の引き金とする形で、自分達は仮面ライダー、スーパー戦隊、メタルヒーローらと組織との戦いに巻き込まれたのだと説明した。

 

「ヒーロー達とその支援者の戦いに巻き込まれた…か。連邦と反連邦組織との戦いにも、って意味も入ると思わない?」

 

「言えてるわね」

 

二人は50Fを苦戦させたMS隊を闘技で蹴散らしていく。自分達は複数の意味合いで『巻き込まれたこと』を自覚し、お互いに苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

――扶桑皇国は短期間で軍用機の刷新が起こる状況に末端の工場が追従出来ないこと、戦線では未だにレシプロ機の需要があるので、パーツと新規生産は減産しつつも続けていた。扶桑皇国政府と軍部は軍需省の創設を目論んだが、地球連邦軍の介入で先延ばしにされ、更に日本の介入で正式に『お流れ』になった。日本の意向もあり、軍需に限らず、民需面も含めての『生産技術の向上』や各種物資の製造ラインの近代化は急ピッチで進められたが、完全に終わるまでに長時間を要することもあり、戦線の需要を満たせていないことが最大の問題であった。扶桑軍は需要増加に対し、地下に大規模工廠を造ることで対応、日本に事後通告する形で採用した兵器も多い。装甲戦闘車両の不足へ対応するため、自国でパーツや換装用エンジンを生産したコンカラー、センチュリオンの両戦車、センチュリオンの後継戦車であるチーフテンがそれにあたる。これは扶桑の既存戦車の大半がダイ・アナザー・デイ寸前に日本側が旧式を理由に、代替の物を手配もせずに現地から強引に回収したり、廃棄を命じた通達の後遺症で、部隊によって雑多な戦車が存在する現実への対処策だった。日本も『世代も製造国も違う雑多な戦車が存在する事』を良しとせず、16式機動戦闘車の失敗を踏まえ、10式戦車の供与と扶桑での『ライセンス生産』の交渉を進める。これは軍需産業の要請によるものだが、防衛省内部の制服組の意向も働いていた。チーフテンもセンチュリオンも徹甲弾の世代が進めば、薄紙の如く貫かれるという危惧によるものだが、それは些かの危惧だった。ウィッチ世界の通常兵器技術の水準は日本連邦とキングス・ユニオンが異常に発達しただけで、他は良くて史実1944年前半の水準で、徹甲弾技術も良くて高速徹甲弾がある程度。粘着榴弾や装弾筒付徹甲弾、装弾筒付翼安定徹甲弾などは理論としては存在しても『机上の空論』扱いなのだ――

 

 

 

 

――そのことは扶桑軍も事前に認識しており、原型から幾分かの改良を施している。そのため、未来兵器以外には圧倒的優位を持っていた。特に戦中型すらも配備がされていないガリア軍との差は明らかであった。未だに旧式の『R35』が数的主力。ルノーB1bisも現役だが、それらは戦間期の水準でしかないため、日本連邦の機甲部隊に比して旧態依然とした代物だった。カールスラントの誇った装甲部隊すら旧式となったダイ・アナザー・デイ後の時代においては、ガリア軍は完全に時代遅れとなっている。ド・ゴールの意気込みとは裏腹に、この格差を後の時代でも解消出来なかった事が後の時代での『アルジェリア戦争』の敗戦に繋がるのである。日本連邦は兵器開発競争をリベリオンと行っていく内に、1949年時点でさえ、欧州の大半の国の20年先を行くと評されている。その日本連邦は量を必要とする現場と、質でどうにかしろと喚く政治との対立がある。その折衷が未来兵器の配備なのである。とは言え、それを使いこなせる部隊は限られており…――

 

 

 

 

――64F 基地――

 

「おばあさま、ストライカーの部品を持ってきたわよ」

 

「ああ、ありがとう。トリエラ」

 

未来の64F自身から物資等の援助が入る64F。フランチェスカ・ルッキーニの孫娘『トリエラ・ルッキーニ』が物資を運んできた。フランチェスカ自身はクロになっているので、身内同士の会話には見えない。

 

「ミナコやツバサからの土産と手紙も」

 

「渡しておくわ。貴方が私の『孫』とは思わないでしょうね」

 

「私はおじいさまの系統からの隔世遺伝らしいから」

 

トリエラは祖母のフランチェスカにはあまり似ていない。フランチェスカが後に迎えた夫の系統の特徴が表れているからである。その証拠に金髪である。だが、ツインテールの髪型であるなど、祖母との共通項がないわけではない。同年代の頃の祖母と違い、大人びた態度である。

 

「貴方、向こう側の子にはなんて?」

 

「ロマーニャ空軍の連絡員って誤魔化したわ。嘘はついてないし、おばあさまにあまり似てないから」

 

トリエラは祖母にあまり似ていない事を利用し、B世界のウィッチらに見つかった時に上手く誤魔化した。ツインテールである以外に共通点があまりないからだ。ただし、ルッキーニBは肉体の波長などからか、『他人の気が死ないんだよねぇ……』とは言われている。

 

「とは言え、向こうのおばあさま自身は感づいたような感じですよ?」

 

「肉体の信号か何かでしょうね。血縁者だから」

 

ルッキーニBはカンと言うより、肉体の信号か何かを感じ取ったらしい。ルッキーニAであるクロはそう推測した。

 

「驚くかもね、貴方が『私の孫娘』なんて」

 

「想像つきますよ」

 

トリエラは完全にはヨーロッパ系ではない。これは父系がヨーロッパ系ではないためで、ルッキーニAはシャーリーの影響でヨーロッパ系の男に魅力を感じなくなったらしい事が分かる。

 

「貴方、今日は?」

 

「泊まっていきますよ。皆さん、事情は知ってるから」

 

祖母と孫の何気ない会話だが、見かけはお互いに差がそれほどない。それも少し不思議なところと言えよう。

 

 

 

 

 

 

――ショッカーライダーV3との戦闘で力不足を実感したピンクプリキュア達は志願し、波紋の修行に入った。休暇ではないが、非番のキュアハート、キュアラブリーの第二世代組が先行して修行を始めた。プリキュアになっていても、波紋の修行は難儀である。まずは波紋の素質があるかどうかを調べ、その上で『ある』と判明した者を充てる。選定の段階でふるい落としが行われるわけで、ピンクプリキュアといえど、全員がそうではなく、ブループリキュアなどのほうが波紋の素質があるケースもあった。そのため、ピンクプリキュアでも特に強い想いを持ち、なおかつ『背負っているものが重い』者に素質があるのが確認された。色々な出来事の関係で、ブルーム/ブライト、ドリーム、ピーチ、メロディ、ハート、ラブリー、ミラクルの六人に『素質』が確認された。この六人は前世や転移直前の出来事の関係で素質が芽生えた。ミラクルは皆と切り離された数年間の寂しさ、ことはを一人ぼっちにさせてしまった悔恨、強さへの渇望。ラブリーはドリーム、ピーチ、メロディの三人への大恩。ハートは愛の一途な強さ、ドリームは自らの前世の因縁や想いの光、ピーチは光の力(アギトの力)を宿した者として。それぞれに素質が芽生える理由があったのである――

 

 

 

 

 

――波紋の呼吸でなければ呼吸ができないマスクを着用させられたプリキュア達はのび太の監督の下で順次、波紋の呼吸の修行を行う。副次的効果として、戦闘持続可能時間が伸びる(基礎体力が強化される)のと、肉体そのものが鍛えられるため、結果的に基礎ポテンシャルが上がるという事が確認されたため、先陣を切っての突撃が仕事であるピンクプリキュアには最適な技能と言える。ミラクル、ハート、ラブリーの三名は古参の五人の見せ場が多い現状を打破しようと誓い合っており、率先して修行に入っていた。ドリーム達が休暇中の時には地獄の昇柱に入る段階には到達していない初歩の段階であるが、かなり努力しており、やる気がみなぎっているとはのび太の談――

 

 

――その日の夜――

 

「あ、先輩」

 

「ミラクル達が波紋の呼吸の修行に入った。お前らはその次だな」

 

「いよいよですか」

 

「お前も、この間のことで力不足は感じたろ?のび太のスケジュールの都合もあるから、当分は先だな」

 

「うーん、草薙流覚えて、ZEROと融合しても、仮面ライダーと同型のサイボーグには苦戦するんですねぇ」

 

「世の中、そう甘くはないさ。俺なんか、何回か転生したがな。強くなるたびに、もっと上の連中に叩きのめされてきたんだ。お前だって、タウ・リンに歯が立たなかった時に信じられない気持ちがあったろ?そういうもんだ。仮面ライダー達もそうだ。平成ライダーにはクロックアップやアクセルフォームがある。あの疾さの領域には届くには、RX以外の昭和ライダーは苦労したんだ。解析や原理の解明やら…」

 

昭和ライダーは基本能力値では平成ライダーの多くを凌ぐが、特殊能力面では及ばない。創世王に近い存在であるRXはともかく、それ以外の昭和ライダーはクロックアップやアクセルフォームの解析からの対抗策(組織がその能力を怪人に与える可能性から)を編みだすのに労力を費やしている。ネオ一号はその対抗策の一環だと、黒江は電話で言う。

 

「それと、お前とシャーリー、咲、ラブには言う事がある。初期のプリキュアであるお前らは昭和ライダーに通ずるモノがある。それ故に本郷さんはお前らを巻き込む事を迷ってたんだ。俺らは自分から飛び込んだからいいが、お前らはプリキュアと言っても、昭和ライダーのような宿命じみたものを背負ったわけではないからってな。その内にお前がZEROと融合して、シャーリーには紅月カレンとしての記憶も覚醒して、ラブにはアギトの力が覚醒めている。本郷さん達の背負うものをお前らも背負っていくことになる。向こうのお前と違って、お前自身はまともな老いも来ん。友人は愚か、同世代の家族を見送る事になるからな。言ってることの意味は分かるな?」

 

「ええ。覚悟の上です。彼ら仮面ライダーが『時代が求める限り死なない』ように、わたし達『プリキュアオールスターズ』も『助けを求める声がある限り、永遠不滅』です。それにあたしは旦那もサムライトルーパーなんですよ?」

 

「そうだったな」

 

「錦ちゃんの家族を見送ったら、夢原のぞみとしての活動に専念しますよ。半世紀以上は先のことだけど、錦ちゃんへの手向けと言おうか、恩返しをきちんとしたいし」

 

「お前も難儀なことするな?」

 

「ラブちゃんやめぐみちゃんと違って、ウィッチ世界の誰かを犠牲にして転生してる以上、手向けくらいはしてあげたいんです」

 

「シャーリーは同化型の転生だから、その辺は気楽に考えてるけどな」

 

「りんちゃんにはデザリアム戦役で迷惑かけたから、あたしはその分も強くなりたいんです。わがままなんでしょうけど、咲さんと本当の意味で轡を並べて戦えるようになりたいんですよ」

 

「お前はピンで直近の先輩後輩と共闘した事ないんだっけ?」

 

「ええ。キュアブルームとも、キュアピーチとも、ピンでの共闘経験はないんですよ、あいにく。ピーチはメロディと組むほうが多かったし、あたしはハッピーと組まされる事が多くて」

 

「お前、ハッピーが聞いたら怒るぞ?」

 

「ハッピーは現役時代、あたしよりアホでして…困るんですよ」

 

「お前も現役時代は似たりよったりのアホだろ。ハッピーが聞いたら、他の連中にチクるかもしれんぞ」

 

「な、何をですか」

 

「お前の現役時代の学校での渾名」

 

「ま、まさか」

 

「あいつは老獪さがある。もうバラしとる可能性もあるが。ピーチとブルームにはそれとなくお前の願いを教えておく。ま、お前はまだ幸運だぞ」

 

「どういう事です?」

 

「お前、前世や今までを通して、神社のおみくじで『大凶』は引いたことねぇだろ?」

 

素っ頓狂な黒江の質問を疑問に思いつつ、のぞみは黒江にそれはなかったと教えた。

 

 

「ありませんよ。でも、なんでまた突然?」

 

「ハッピー……みゆきはあるそうだ」

 

「へ?あるんですか、みゆきちゃん」

 

「あるんだよ。それも修学旅行で」

 

「あー……なるほど~…って!?」

 

「あいつ、現役時代で最大のトラウマがそれらしくてな。それ言ったら、必殺技撃たれたぜ」

 

「……大丈夫でした?」

 

「な~に。黄金聖闘士はあれくらいの破壊力で傷は負わねぇさ」

 

笑い飛ばす黒江だが、黄金聖闘士はプリキュアの通常技程度は軽く受け流せる事の証明である。

 

「お前ら、休暇を楽しんでこい。ミラクルやハート達の事は俺達とのび太で見る。ノビスケの相手をしてやれ」

 

「分かってます。それと、アクアとダイヤモンドがコラボの審査の最終承認をしてくれって」

 

「よし、電話を代われ。俺も審査してやる」

 

黒江は冗談を交えつつ、アクアとダイヤモンドと電話で仕事の電話を始める。受話器をアクアに渡したドリームはリビングを出ると。

 

「ノビスケ君、あたしが勉強を見てあげるよ」

 

「ほんとー?」

 

「これでも、元・中学教師だよ?」

 

2021年当時はまだ小学生だが、のび太の子と思えないほどきかん坊であるノビスケの相手をしてやるついでに、勉強を見るのだった。

 

 

 

 

 

 

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