ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

300 / 788
今回の主役はキュアハート/相田マナ、ヴィヴィオ、キュアダイヤモンド/菱川六花です。


第百八十六話「高町邸にて」

――デザリアム戦役後 ミッドチルダ 高町邸――

 

M動乱を経た後のミッドチルダ。ダイ・アナザー・デイでの失態で出世コース(エリートコース)から外れたなのはは心機一転、それまで抑えていた自我を解放したために、口調も子供時代よりグンと荒くなり、ガラッと印象を変えていた。とは言え、ヴィヴィオを養子にしているという点は史実と変わっていない。『地球連邦宇宙軍の少佐』という副職に最近は専念しているため、局員の肩書は有名無実化している。偶然からアルター能力に覚醒したが、それが大方の予想と異なる『シェルブリット』であった事から、色々とツッコまれたのは言うまでもない。(大方の予測は『心を読む』能力だったため、皆に『そっちかよ!?』とツッコまれ、げんなりしたという。なお、当人はプリキュア志望だった)その影響で指ぬきグローブをするようになっているなど、変化も生じている。なのはもフェイトも留守がちであるので、調をお手伝いという形で雇用(調がヴィヴィオのオリジナルに仕えていた事を勘案し、雇用した)している。そんな環境だが、ヴィヴィオの辿った道そのものは史実と大差なく、フェイトが一度だけ出場したインターミドルに興味を持ち、格闘技を始めている。周りが超人だらけな環境になっている分、格闘技に史実以上に入れ込んでいる。ただし、デザリアム戦役後の時点ではまだ、ノーヴェの弟子というわけではないなど、史実と微妙に差異がある。(素で大人モードのヴィヴィオを圧倒する猛者が身近に多いためもあるだろう)

 

「あ、マナさん」

 

「ヤッホー。アリシアちゃんの頼みで様子を見に来たよ~」

 

のぞみと入れ違いで休暇に入った(波紋の修行も一段落ついた)相田マナ/キュアハートは先輩である花咲つぼみ/キュアブロッサム(アリシア・テスタロッサでもある)の頼みでミッドチルダに来訪していた。ハウスキーパーのバイトをしている調も同時に休暇を取るためで、マナを制するたんめか、チームメイトの菱川六花/キュアダイヤモンドも同行している。

 

「学校の方はどう?」

 

「順調ですよ、六花さん」

 

「ノーヴェのジムに入ることは決めた?」

 

「まだ考え中です。決心つかなくて」

 

「ゆっくり決めるといいよ。時間はたっぷりあるし」

 

ノーヴェはこの世界でも史実同様に敵として現れたが、史実と違い、仮面ライダーZXという『バケモノ』を相手取ったこともあり、あっさりと倒され、捕虜になっている。また、ノーヴェ・ナカジマとなった後に歴代プリキュア達にも『腕試し』として挑んでみたが、百戦錬磨の彼女らには歯が立たずじまいであった(キュアホイップにも手も足も出なかったという)。そのため、史実ほどのヴィヴィオへの威厳は得られていない。また、この頃には史実通りにアインハルト・ストラトスとも出会っている。ただし、その彼女に最初に土をつけたのは、ノーヴェのジム設立などを手伝っていた相田マナ/キュアハートである。(第二期プリキュアで最強を誇る彼女であれば、ヴィヴィオと出会う前のアインハルト・ストラトスは敵ではない)

 

「でも、カッコよかったですよ?ノーヴェが映像見せてくれたけど」

 

「あの子、なんか寂しそうだったからね。ちょっと手加減したよ。全力でやったら、ちょっと格闘技齧った程度の子は手も足も出ないくらい叩きのめせるからね」

 

相田マナは格闘技の本格的な経験は無いが、プリキュアとしての百戦錬磨の経験値と、素質だけで覇王流を使い、それなりに熟達しているであろうアインハルト・ストラトスを圧倒できる。彼女の直接の後輩である愛乃めぐみが技とパワーでの『力押し』を主体にしているのに対し、マナは立ち回りなどでテクニカルである上、調との手合わせで古代ベルカ時代の格闘術を知っていた。そこがアインハルトの誤算だったと言える。

 

「でも、あなたたちが本気出したら、並の選手は軽く倒せるような……」

 

「本気出したら、たぶん、どんなインターミドルの選手も数秒でいけるね。あたしは第二期最強って称号持ってるから、局の実戦部隊員とでも勝てる確率が高いね」

 

「プリキュアの中で、敢えて優劣つけるなら、ね」

 

菱川六花が注釈をつける。子供の夢は壊せないからとも続ける。立花響の前では昔のよしみで、『サンジェルマン』としての低めのボイスを出していたが、この時は菱川六花としての高めの声である。素体の婚后光子は両者の中間程度の声色なので、彼女の『声色だけで人格を切り替えられる』技能は高く評価されている。そう言われ、マナは苦笑する。とは言え、彼女の『ピンクチームの歴代でも五指に入る基礎能力の高さ』は疑いようがなく、変身前でも大人モードのヴィヴィオと互角に戦えるらしい。(ヴィヴィオが格闘技を嗜む一方、マナは現役時代から通して、格闘技を習った経験はまるでないので、凄い事である)

 

「手厳しいなぁ、六花は」

 

「単純な強さなら、今ならのぞみとはーちゃんが五強に入るじゃないの。そのおかげで、のぞみの同位体が僻んじゃったのよ?」

 

「え、本当ですか」

 

「オフレコだけどね。士さん……仮面ライダーディケイドが仮面ライダーBLACKを別の世界から連れてきたから、余計にね」

 

「BLACKの状態でも、素でバケモノ級に強いですからね、光太郎さん」

 

ヴィヴィオはデザリアム戦役の後の時間軸では、初等科の高学年。二人の南光太郎とも面識があった。のぞみBがAとの能力差で僻んでいる事も知っており、ちょっと同情しているようだ。なお、南光太郎はBLACKの時点でさえ『世紀王』に相応しい能力値を誇るため、『プリキュア5の世界のミルキィローズ』の出番を尽く奪う事になり、めちゃくちゃに抗議されている。その彼でも、パワーアップしたシャドームーンには手も足も出ずにノックアウト寸前に追い詰められた。シャドームーンはB世界のプリキュア5にどうにかできる相手ではなく、ミルキィローズを含めた六人がかりでも歯が立たなかったので、のぞみBは絶望しかけたが、RXによって救われている。それが却って、のぞみBのコンプレックスを刺激してしまったが。

 

「あの人はRXになると、全ての能力がBLACKから更に数十倍にパワーアップするし、キングストーンの力も増幅されてるから、『神に等しい』とさえ言われてる仮面ライダーよ。別次元ののぞみが僻むのも無理はないわ」

 

「言えてますね。RXさんなら、クロックアップも見切れるんじゃ?」

 

「創世王に等しい状態になってるから、クロックアップやアクセルフォームも見切れるわ。まさに最強の昭和ライダーって言えるわね」

 

「あれはチートだよね」

 

「歴代でも屈指のパワーアップしてるあなたが言うことでもないでしょ、マナ」

 

「いや、本当じゃん?」

 

マナもこの感想なので、創世王というものの力は世紀王すらも凌駕するのがわかる。

 

「そういえば、前にママ達が平行世界の自分自身と会ったとか聞きましたけど?教えてくれませんか?」

 

「それね。なのは、めっちゃ『直視できない』とかボヤいてたわよ」

 

「あー。こっちのなのはママ、出世コースから外れたし、喧嘩っ早いですからね。」

 

「向こうのヴィータがね、思いっきり怖がったとか?」

 

「のぞみちゃんが最後の挨拶に間に合って、サービスでキュアドリームになったら、めっちゃ喜んだとか」

 

「なのはママ、子供の頃、魔法少女もの、好きだったんですか?」

 

「綾香さん曰く、なのはは父親が入院して、母親も多忙、歳の離れた兄弟たちは構ってられない日々だったらしいから。魔法少女ものが好きだったらしいわ」

 

「ママにもピュアな頃があったんですね」

 

「ま、あの子は自分を必要にしてくれる場所が欲しかったっていうから。でも、なのは、『二回目』だからって、羽目を外してね。闇の書事件の時のヴィータをガチでボコボコにして泣かせたらしくて、向こうのはやてに文句言われたとか」

 

 

「シェルブリットの第一形態の時点で、グラーフアイゼンを一撃で砕けるとか言ってますから、アハハ…」

 

「で、フェイトはもっと凄いわよ?ほら、今は辞めてる管理局のお偉いさんの使い魔、いたじゃない?知ってるから、ライトニングプラズマどころか、ライトニングフレイムしたらしいわ」

 

「炎とアーク放電で焼くなんて。フェイトママ、意趣返ししたかったんですかね」

 

「たぶん。その使い魔達、本気で『殺される』と思ったらしくて、フェイトちゃんが睨んだだけで命乞いし始めたって」

 

「獅子の幻影でも見たんですかね」

 

「たぶん」

 

「でも、リインフォースのアインさんや闇の書の闇相手にピンで優勢に立ち回れる分、楽だったんじゃ?」

 

「向こうのクロノ執務官が狼狽するレベルで人間辞めてるから、ヴォルケンリッターも驚いてたとか?フェイトなんて、ザフィーラを片腕で持ち上げたとか?」

 

「ママ、ライトニングプラズマ一つでインターミドルを勝ち抜いたからなぁ……かわいそうに、ザフィーラ」

 

「おまけに、真ゲッタードラゴンの真シャインスパークで闇の書の闇は一撃必殺、間に合わなかったとは言え、のぞみが来た。子供のなのはがすごく喜んで、子供フェイトが膨れたとか」

 

「変身ヒロインは好きだったとか言ってますから」

 

「はやてはその中間くらいね。出番がなかったから」

 

「そりゃ、今のママ達が本気でやったら、闇の書の闇も一方的にボコボコにできるし、真シャインはたしか、次元に穴が…」

 

「で、最後にその年の次のプリキュアのお披露目。子供はやても喜んでね。のぞみも鼻高々だったって言ってたわ」

 

「咲さんと舞さんのTVは見てたのかな、なのはちゃん」

 

「少なくとも、プリキュアを知ってたから、見てるんじゃ?」

 

 

咲と舞は現役時代の活躍を意外に知られていない。放映時、のび太も大学受験でアニメどころではなかったと述べるように、2005年から2006年は微妙な年代である。なのはAはその当時にプリキュアを視聴していたため、咲と舞の来訪を喜び、咲もその事を嬉しがっている。初代と5に挟まれたポジションなのは、咲自身も気にしていたからだ。その関係で、咲はなのはに目上として接している。咲と舞は成人後のなのはが丁寧に接する人物となった。

 

「ママの実家にスプラッシュスターのビデオがあったから、見てたかも?」

 

「え、ビデオテープ?DVDでも、ブルーレイディスクでもなくて?」

 

「マナ、2005年の時点じゃ、まだビデオが残ってるわよ。のぞみも現役時代、ラジカセを使ってたし」

 

「嘘ぉ……」

 

信じられないと言わんばかりのマナ。のぞみがいたら、激しく落ち込むこと請け合いだ。マナの現役時代は2010年代以降なので、当然、昭和の頃からあるビデオテープやラジカセはその頃には廃れている。咲とのぞみの現役時代はその過渡期の頃なので、そうしたところでのジェネレーションギャップが少なからず発生するのだ。のぞみAもそこは気にしている。

 

「のぞみちゃんの現役時代って、そんな前だっけ……?六花」

 

「2007年からの二年だから、なのはがちょうど小学校高学年くらいね。ラブの頃には卒業してるって言ってたから、ラブが落ち込んでね」

 

「そうなんだ…」

 

「のぞみは二年も現役張ったから。最後の二年組よ。なのはがのぞみに憧れてるのは、リアルタイム世代だからかも。それで、ラブを慰めるのに苦労したわ、後で……。」

 

「そ、そうなんですね」

 

「ええ。ラブ、なのはに泣きついてね。なのはも流石に気まずくなって、コメントに困ってたわ」

 

 

六花はなのはAが『フレッシュ!プリキュア』の放映時期には、プリキュアから『卒業』していたと、ラブに言ったところ、ラブは『なんでなんでぇ~~!?』と泣いてしまい、コメントに困ってしまったと、ヴィヴィオに教える。仕方ないが、なのはは2005年当時に小学三年生。プリキュア5が終わる頃には小学校高学年。リアルタイムでは、プリキュアを『卒業する時期』であるので、自分の活躍を見ていないと言われた桃園ラブは大ショックであった。自分も『歴代で人気が高い方』と自負していた故だ。なのはAはのぞみを尊敬している一方で、ラブのことはプリキュアだと知らなかった。そこも地味にショックであったようで、のび太に慰められる始末だった。なのはAはラブが本気で落ち込んでしまったのに気まずくなり、その更に後輩のキュアメロディでもあるシャーリー(シャーロット・E・イェーガー)に相談したという。

 

「あ、その事でシャーリーが言ってた。なんて言ってやるべきか、アドバイスにすごく困ったって。なのはちゃん、シャーリー(北条響)の現役時代も見てないんじゃ?」

 

「いや、その頃にはこっそり録画してたそうです」

 

「あー…」

 

なのはAはちょうど、故郷に帰還した時期がスイートプリキュアの放映時期だったとの事で、キュアメロディたちの事は知っており、シャーリーをご機嫌にしたが、ラブが落ち込んだ事へのアドバイスは実に困った。たまたま通りかかったクロの鶴の一声『上映会すればいいんじゃない?』で、なのははのび太に頼み、しずかの私物を借りる事になった。

 

「その時ののび太君、カッコよかったって?」

 

「ええ。知られてないなら知ってもらえば良いじゃない?うちのカミさんの私物にDVDがあるから、この電話で聞いてみるといい。カミさんとのホットラインだよって。あの人、昔の刑事モノみたいな言い回しするのよね」

 

青年期以降ののび太は『もう一つだけ……』、『うちのカミさん』など、かつて、一世を風靡した刑事ドラマを連想させる言い回しを多用している。また、私物にその刑事ドラマの主人公の愛車を抱えているなど、かなり凝っている事が窺える。菅野とはそのドラマの同好の士で、どの話が好きかなどを語り合っているという。

 

「そいや、のび太さん、やたらと古めかしいプジョー持ってますよね?」

 

「そのドラマで登場する車種よ。のび太は妙に渋いチョイスなのよ」

 

ヴィヴィオも『プジョー』という自動車メーカーのことを知っているらしい。のび太は『刑事コ○ンボ』、『ミニミニ大作戦』など、小型車が印象的に登場する映画やドラマを現代劇では好むのか、ヴィヴィオにも教えているのがわかる。プリキュア達をイベントに送る際にも、色々と車種を日替わりで変えており、ある時はミニ、ある時はクラシカルスタイルのアルファロメオなど、カーマニアである。

 

「その影響ですか?フェイトママがカーマニア気味なの」

 

「たぶん」

 

「アリシアママは車の好みは普通なんだけどなぁ」

 

「反面教師にしたと思うよ…」

 

マナは思わず漏らす。つぼみ(アリシア)は現役時代、先輩のラブが『ハンドルを握ると、スピード狂になる』事を味わったため、自分は安全運転のファミリーカーである。その事をマナにボヤいた事があるのだ。

 

「あ、そうだ。頼まれてた地球の対戦格闘ゲーム、買っといたよ。それと、明日にジムでも見に行こっか。家事はあたしと六花がやるから」

 

「すみません~…」

 

「いいって。偶にはこういうのも悪くないさ」

 

マナと六花は歴代プリキュアでも比較的に万能選手である。だが、マナは歌だけはジャイアン級の音痴であり、キュアメロディのシャーリーには殺人音波と言われる始末。とは言え、シャーリーは歌唱力は後天的訓練で身につけたので、歌声までランカ・リーと瓜二つの愛乃めぐみにコンプレックスがある。

 

「あ、電話だ。あたしが出るね。はい、高町です……。あ、スバル?あたし、相田マナ。なのはちゃんに頼まれて留守番。ノーヴェが気にしてるって?明日にもジムに連れてく。ガランド閣下はお元気?」

 

「おばーちゃんは元気だよー。孫が増えて、隠居生活を楽しんでる。あたしは時々、雑用頼まれるんだ。G機関はおばーちゃんが指揮してるし」

 

スバルは時空管理局に在籍は続けていたが、G機関で義理の祖母のガランドの秘書をしている。声がルッキーニ/クロに似ている事は自分でネタにしているという。

 

「それで、チンクのことだけど、ラウラに似てるよね」

 

「他人の空似にしては不気味だって、チンクがボヤいてるよ。とは言え、ラウラは今、プリキュアっしょ?」

 

「うん。あたしの一期先輩」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒはキュアマーチとして主に活動している。これは元の姿だと、オタクに騒がれると本人が懸念したためで、ISも『改良してもかさばるデザイン』であるので、最近はプリキュアとして行動している。とは言え、ラウラ・ボーデヴィッヒとしても、キュアマーチとしても有名なので、『どっちもどっちじゃねぇの?』とは黒江の談。本人は『機体は砲撃型だから、格闘戦に持ち込まれるとキツイ』と気にしているが。

 

「でも、あの坊やにどう説明したの?」

 

「ダイ・アナザー・デイの後に知らせたって。キュアビートの説明が一番キツかったって」

 

「あの子のお姉さんだった過去生持ってるんだっけ?」

 

「うん。別個体だけど。あの姉弟、すごく……その……反応に困ってた」

 

「エレンもすごく気まずそうだったなぁ。でも、日本のメガネの代表候補生がエレンに懐いたとか?」

 

「生徒会長の妹さんだって。エレン曰く、キュアアースみたいな声だって驚いてたけどね」

 

黒川エレンはIS世界と無縁ではなく、過去生で織斑千冬だった。それを聞かされた織斑一夏は驚き、千冬も『別の自分の生まれ変わり』である黒川エレンには息を呑むしかなかった。

 

「私も生徒会長に声が似てるって言われてさ、あの坊やに。苦笑いしちゃったよ。声が似てるから、ドキッとしちゃうって言われたよ」

 

「エレンはなんか言われたの?」

 

「いーや、むしろ、ケイさんじゃないかな?ケイさんがくると、坊や、挙動不審でさ」

 

圭子は何回かIS世界に来ている。ヤサグレモードでは千冬をヤサグレさせたような声色になるため、一夏は『千冬姉が飲みすぎたかと…』と愚痴るほど酷似している。また、言動や行動の青臭さなどが原因で、一夏はスバルからも『坊や』呼ばわりされている事はショックだが、何故か逆らえないと言う。(これは声がIS学園の生徒会長に似ているかららしい)

 

「それで、ISのデータは?」

 

「提供したよ。まぁ、博士もサガとシャカの監視下じゃ動けないからね」

 

「博士はなんて?」

 

「めっちゃ愚痴ってる。どんな手段でも逃げられないから」

 

さすがの束も、本当の神に喧嘩を売れる聖闘士が監視についていては逃げられなかった。何度か癇癪を起こし、『箒ちゃんにあいたーい!!』と喧嘩を売ったが、人智を超える二人の前には流石に無力であり、渋々と従うしかなかった。さすがの束も、セブンセンシズの前では歯が立たなかったわけだ。(五感剥奪すら任意に行える相手では、束も流石に力量差を悟り、人生初の挫折感を味わう羽目になった)

 

「でも、なのはさん、前に博士をぶん殴ってたよ?」

 

「博士のせいで腹黒いイメージついたとかで怒ってたからねぇ。どの段階で?」

 

「第二段階。博士も流石に泣いてた」

 

なのははどこかで束を殴っていたらしい。マナはそれをスバルから聞かされる。最終段階のシェルブリットで殴りたいと言ったのを止めるのに苦労したらしく、半分は愚痴だった。箒曰く『別に構わんよ。シェルブリットの最終段階をぶち込んでも、ウチの姉さんなら生還するから』と冷淡な反応で、束を泣かせたというが、箒もこれまでの人生の意趣返しに、アトミックサンダーボルトを打ち込んだ事があるので、束への認識が超人であることが分かる。当の本人は『ちーちゃんやいっくんを楽しませたいだけだもんねー!』と反論しているが、子供じみた行動原理であるので、シャカに制裁されている。束はアトミックサンダーボルト、ギャラクシアンエクスプロージョン、天舞宝輪などの闘技を生身で連続で食らっても生還する超人だが、精神が流石に参ったらしい。更になのはにボコボコにされたため、地味に落ち込み、泣いているという。

 

「逆にすごくない?」

 

「うん。ISが何回も塵になる破壊力食らって生きてるんだから、超人だよね」

 

千冬曰く、『一言で言えば、束は超人だ。だが……よく生きてるな…』と漏らすほどの破壊力をぶつけられても五体満足で生還するので、改造人間説まで出るくらいに頑丈で、仮面ライダーらによる再改造後の戦闘機人のスバルよりもタフネスである。スバルも思わず『博士は改造人間ですか?』と千冬に聞いてしまったという。束は『イタズラっ子がそのまま成人した』と表現できるような幼い精神状態と思考が騒動のもとである。天才ゆえに親でさえも制御ができなかったのか、どちらかと言えば、礼儀を重んずる箒に比して傍若無人である。彼女を教育するのに、星矢の代の黄金聖闘士で『強さで定評があった二人』が呼ばれるあたり、束の高いポテンシャルがわかる。黒江は回復力の異常さから、『実は波紋使い』の線を追っている。荒唐無稽なようだが、ギャグ漫画の登場人物でも無いのに、異常な回復力があるからだ。

 

「内容的に……。箒さん、お姉さんの行動で根に持ってますね」

 

「博士のせいで何回も転校したそうだから、相当だよ。それで凡人の自分にコンプレックス強かったから、今の聖闘士とシンフォギアの力は大歓迎だって」

 

ヴィヴィオや六花にも容易に推察される箒の姉へのコンプレックスの強さ。それでいてのマリア・カデンツァヴナ・イヴとの共通性。なんとも複雑な篠ノ之家の家庭事情はマリア・カデンツァヴナ・イヴ、セレナ・カデンツァヴナ・イヴ姉妹の生い立ちとも似た物がある。それも箒にアガートラームが扱えた理由だろう。箒が超人である姉へのコンプレックスを振り切るのに、自分も超人になる必要があったというのは、箒と束の間には『越えられない壁』が本来は存在していた証だろう。

 

「あ、飲み物とお菓子を地球で買ってきたから、用意するわね」

 

「お盆とかはそこの棚に入ってます」

 

「わかったわ」

 

―― ある日の高町邸で繰り広げられる、こんな光景。マナとスバルの会話も何気に凄いが、10歳かそこらで箒のコンプレックスに気づく洞察力もさすがである。伊達にベルカ聖王のクローンではないということだろう――

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。