ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第百九十四話「のび太、キュアグレース、キュアドリームの三者三様」

――ススキヶ原は歴代のヒーロー/ヒロインの静養所代わりになっていた。ダイ・アナザー・デイ後はそれが顕著になっており、歴代プリキュアや仮面ライダー達の姿が見られる事で話題になっていた。そして……。

 

「うーん。放映が終わって、プリキュアが次の世代に代替わりしたはいいんだけど、あたしは力がアニメとは変質しちゃってるし……。ここに来ていいのかなぁ?」

 

「花寺のどかとしての記憶はあるんだろう?なら、問題はない。パートナー無しで変身できるのは、パワーアップとパワーソースの変化で説明できるからな」

 

野比家にキュアグレースが来ていた。変身者は立花響であるので、二重に主役補正がかかっている。ガングニールのギアよりもプリキュアへの変身が優先される(ギアがプリキュア型になることは起きなかった)都合である。この日のTVニュースは冷戦期に米軍が細菌兵器の漏洩を隠蔽するため、列車ごと乗客を犠牲にしたという噂の証拠が発見されてしまい、米軍が釈明に追われているという情けないもの。懲罰的に新空母の建造期間を延ばす、当時の関係者の栄典取り消しの検討などの施策が新政権によって決められたという。だが、東西冷戦時代の終焉からも既に40年近くが経過した時代、当時の軍の高級将校はとうに死に絶えているために真っ当な反発もあるが、東西冷戦時代の罪の発覚で前政権末期で下がり気味の国際的信用を更に失墜させるのを恐れた新政権による場当たり的な政策であった。とは言うものの、グレースは興味がないだろうと気を使い、マーチはチャンネルを変える。

 

「しかし……。お前、踏ん切りはつけたのか?」

 

「うん…。正直に言うと、微妙な気持ちなんだよね。記憶はあるんだけど、私自身の体験とは思えないところもあるし。ギアを持ってるから、そっちの方を優先したいのが本当。だけど、どっちも自分の力だしさ…」

 

立花響自身は自分のプリキュアの力に懐疑的なところを見せた。史実ほどガングニールの力を示すことが出来なかった事での『自分が最初に信じた力』への執着。それがキュアグレースとしての力を変質させたと思われる。声色は立花響としてのそれではなく、花寺のどかとしてのそれで、全体的にトーンが高めである。ただし、言い回しは立花響としてのものであるというアンバランスさを見せていた。ステッキを持たなくていいという利点が生じた他、ガングニールのギアを使っていたためか、攻撃力はアニメより遥かに上回るなどの細かなステータスの違いがある。

 

 

 

 

「お前がシンフォギアを使っている状態で力が覚醒めたためか、本来より戦闘向けになっているようだ。単独で変身しているためか、ステッキを持たんしな」

 

「でも、私、インタビューとかは苦手だよ?そういうのに無縁だったし、プリキュアになったっていうか、戻ったのもつい最近だし」

 

「滅多にそういうことはないから、安心しろ。お前からキュアサマーに代替わりしたから、メディアの注目はヤツだ。映画の注目も現役扱いのお前ではなく、ドリームだしな」

 

「うぅ~。妙に落ち込むなぁ」

 

そこは気にするあたり、いっぱしにプリキュアとしての人気を気にするグレース。アニメは疫病で序盤からケチがついてしまうなどの不幸続きなのは知っていたからだ。

 

「ドリームは俗に言うレジェンド枠だ。人気もまだまだ健在だし、戦闘経験値も歴代随一だ。メタ的にいえば、声優さんがまだ全員を呼べる中では、もっとも過去の作品。人気もまだまだ健在という条件に合ったんだろう」

 

「メタ的すぎない?」

 

「野比氏のご友人が制作側に絡んでいてな。嫌でも、そういった事情は聞かされる。ドリーム自身が一番に驚いていたぞ。現役を退いてから13年近くにもなるのだ。ヤツも今になってピンで登板させられるとは思うまい」

 

プリキュアオールスターズはフレッシュの代からは一年ごとに代替わりしていくことが定着したので、人によっては印象に残らない。そんな中、二年間を戦い抜いたという経験を持つのは初代の二人と『5』の5人のみ。ある意味、後年に至るまで、プリキュアとしての存在を求められるという点では、のぞみはなぎさに匹敵しうる唯一の後輩であると言える。

 

「仮面ライダーを知っているな?彼らの中でも、初期の七人は伝説と言われている。のぞみはその条件に合致していたのだろう。私のチームは第二世代の先頭だったが、後年に語り継がれるほど記憶に残ったか……寂しくもあるが、時の流れだな」

 

プリキュアと言えど、時の流れで周囲から忘れ去られていくことは普通にある。マーチはのぞみがデザリアム戦役まで恐れていた事をこの時には理解していたので、自分の属する『スマイルプリキュア』も忘れ去られているであろう寂しさを覗かせた。

 

「なんだか寂しげだね?」

 

「現役時代から8年も経てばな。そのくらいの時間が経つと、子供は知らんだろう?興味を持って調べん限りはな」

 

「確かに」

 

「のぞみは前世でそれに耐えられなかった。それが転生後においても、あいつの精神を不安定にさせていた要因だ。前世で一度だけ共闘した記憶が?」

 

「うん。その一度きりだけどね」

 

「そうか、それであいつがお前に先輩風を吹かせたがるのか」

 

「そ、そのようだね、あはは……」

 

グレースは現役時代に『たった一度』だけ、プリキュア5と出会った事がある。それを思い出したのはつい先日である。

 

「でも、不思議だよ。アニメで話題になってる姿、ちょうどその時に……」

 

「そういうことはままある。ただ、今回のドリームキュアグレースは想定外だったそうだな?」

 

「うん。ドリームはその時、シャイニングドリームって姿になってた記憶があるから」

 

「細かい差異は生じるものだ。ただ、お前の持つ『つなげる力』がドリームキュアグレースを実現させるやもしれんな」

 

「そういうことって、あると思う?」

 

「お前は基本世界でシンフォギア装者として奇跡を起こしてきた。その帳尻合わせが起きるとすれば……」

 

マーチはその可能性を考えていた。立花響の思いはプリキュアの力にすら干渉できるほどのものなので、もし、『ドリームの力になりたい』とグレースが願えば、『ドリームキュアグレース』を実現させうる。

 

「ドリームキュアグレースを実現させちゃうってこと?」

 

「お前が願えば、な」

 

「あいつは思い出したのさ。自分に夢がなくても、誰かの夢を守ることはできる、戦うことが罪なら、自分が背負うってことを」

 

マーチはデザリアム戦役でドリームが立ち直った際に述べた言葉を一つにまとめて、グレースに教えた。

 

――戦うことが罪なら、あたしが背負ってやる!!――

 

元は仮面ライダー555こと、乾巧が言った言葉だが、仮面ライダーディケイド/門矢士を通して黒江たちに伝わった。Gウィッチ覚醒後の黒田が好んで用い、それが更にキュアドリーム/夢原のぞみへ伝わった結果、起こった光景である。また、その時、戦いの中で損傷してしまった『キュアモ』を自分の得ていた能力で我流に場当たり的な修復をして変身した際には、ファイズフォンのようなやり方で起動させた。どういうわけが、ファイズフォンのような電子音声が出るようになっていたので、使えればいいと言わんばかりの適当な修復と思われたが、内部構造が不明だったので、たまたま見ていたファイズフォンを模して、一回だけでも使えるようにしたというのが正解である。その後はヒーローユニオンの手で正式な修復に入ったので、この一回きりだったが、仮面ライダー555ばりのかっこよさであったと語り草である。

 

 

「この世界は色々なことに耐性があるよね?」

 

「それも、ここはドラえもん氏がいた街だ。たいていのことでは動じんよ。たとえ、マジンガーZやゲッターロボが戦っても、な」

 

「なにそれぇ~!!」

 

「怪獣王の出現が本気で考えられてたかはわからんが、旧日本陸海軍のあった時代から色々な研究がされていた。その後の時代になって、色々な形で花開いた分野のな。その遺産なのか、後の時代にマジンガーやらゲッターなどの超兵器が生まれている。私達の存在もなぜか、全員がアニメとして知られている。そのせいで、日本のお役所は涙目だがな」

 

「え?なんで?」

 

「ドリームの事だ。あいつ、元々は教職志望でな。軍隊を予備役……そうだな。非常時にのみ召集される予備自衛官のようなポジションになって転職するつもりだったんだが、軍隊嫌いの文科省が勝手に潰したんだ。既に昭和天皇陛下の裁可も下っていたのにも関わず、だ。事態の深刻さに気づいて慌てた文科省は、のぞみを馬鹿にした犯人をトカゲの尻尾切りで『自分達は関係ない、そいつの独断だ!』と知らん顔しようとしたが、既に事態は彼らの想像を超えていたんだ。昭和天皇陛下の顔に泥を塗ったから、外交問題一歩手前にまで行った。結局、あいつは抗議の意図で予備役編入願いを取り下げたが、あいつの他にも似たような事になった連中がいた。それで財務省とも揉めたらしくて、補償として、予備役になりそこなった連中を宥めるために『出世させる』羽目に陥ってな。今は防衛省と文科省が責任のなすりつけあいしあって、揉めてる。九割方、文科省が悪いがな」

 

「文科省は謝れないの?」

 

「日本のお役所はだな。責任逃れをするのは天下一品なんだ。さっきのニュースも言っていたが、米国でさえ、トカゲの尻尾切りをするんだから、日本はもっとたちが悪い。総理大臣が連中になにかかしら責任を取らせるつもりだと言ったそうだが、日本は全体的に戦前戦中の反動で軍隊嫌いだ。左派の連中が猛抗議するだろうから、のぞみへの補償も今言った以上のことはされんだろうな……」

 

――キュアマーチ(ラウラ・ボーデヴィッヒ)は悲観的であったが、実際には懲罰的な『文科省の再分割』を恐れた各方面の要請、のぞみへ同情する世論の沸騰もあり、のぞみへは『プリキュア5のリーダー戦士』(本人にそのつもりはないが、実質的にはそうである)という事もあり、戦後日本としては異例と言えるほどの『かなり気を使った補償』(女子の募集が減るのを強く恐れた防衛省の要請とも)がなされた。これはダイ・アナザー・デイでのポカで将官への出世の道がほぼ絶たれたなのはとは対照的である。具体的には、支給される危険手当の倍額化、階級の『少佐への昇進』などの手厚いもので、『プリキュアである』という事実を防衛省が扶桑国防省と協議し、戦功も大きいことを考慮してのもので、以後の昇進速度も早められた。要は日本による慰謝料代わりの措置であった。こうして、のぞみは必ずしも望んではいなかったものの、以後、軍隊で(錦としての)同期より早いペースで栄達してゆくのだった。――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――地球連邦軍はデザリアム戦役後も戦乱期をまだまだ終えておらず、ベガ星連合軍はまだ健在だし、百鬼帝国亡き後の残存戦力をまとめあげた『プロフェッサー・ランドウ』の台頭に加えて、ミケーネ残党などが存在し続けていた。彼らはティターンズ残党に手を貸し、ティターンズ残党にメタルビーストやベガ獣などが渡る事になった。それはのび太も承知しており、黒江達に伝えた。こうして、ウィッチ世界は文字通りに世界全体が戦乱の炎に包み込まれ、歴代プリキュア達は未曾有の戦いに本格的に関わる事になった――

 

 

 

「ベガ星連合軍め、まだ諦めてないのか。本星を失ったんだ。大人しくしてればいいものを」

 

黒江はのび太が宇門源蔵博士から聞いたという情報を聞き、思わず毒づいた。ウィッチ世界は長い戦乱で主要国も財政難に陥り、太平洋戦争では事実上、扶桑が孤軍奮闘を強いられているも同然であったからだ。また、同位国の介入で軍縮が強引に行われ、軍隊の外征が不可能に陥った主要国も続出するなど、連合軍も名ばかりになった。日本連邦は事実上、一国で各勢力を相手取るという『史実の太平洋戦争を笑えない』状況に陥ったのだ。その都合上、超兵器の使用は公認され、1949年という時代を考慮すると『オーバーテクノロジー』が敵味方双方で飛び交う事になった。

 

 

「クソ、敵はアメ公だけで充分だってのに」

 

「この世界の軍隊の援軍は当てにできないね。ランドウやベガ星連合軍が乗り出してきた以上、みんな本国の守りに入るだろうからね」

 

「普段は国際協調を謳うくせに、こういう有事だと当てにならんな」

 

「そういうもんさ。ウルスラちゃんがいたら、まちがいなくヒステリーもんだね」

 

ウルスラ・ハルトマンは技術発展が歪になるのを極端に嫌い、時代相応の兵器を使うことを具申するなど、あまりに状況対応力に欠けていた。Gウィッチながら、『頭でっかち』と揶揄されていたため、日本に強引に留学させられた。実際にはダイ・アナザー・デイ時点で兵器開発競争は始まり、戦車はM4のあまりの損失で、M26が早期に現れたばかりでなく、M46以降のMBTシリーズも現れ始めており、扶桑機甲本部はダイ・アナザー・デイ開始の時に掲げていた楽観論を叩きに叩かれている。だが、ウィッチ世界では通常兵器の刷新には五年はかかるのが普通であったため、ダイ・アナザー・デイの矢継ぎ早の投入を予期出来なかったのは擁護されている。新兵器の博覧会になり、対抗する術を他国に持たれるのを恐れた扶桑機甲本部だが、兵器開発競争が加速し、他国の追随が却って不可能になるという結果となり、日本連邦とキングス・ユニオンは安堵した。しかし、それは二国に世界の安全保障が委ねられたも同然の結果である。

 

「今はうちもアップアップで、大陸領奪還どころじゃない。それに日本側はシベリアを売り払う話を出して顰蹙を買ってる。住民だった連中にどこを代替地として用意するかって話になるからな。補償金も出す必要があるからな。1960年代にならんと、決着はつかんだろうな」

 

「いや、事なかれ主義で90年代かもよ。日本だって、北方領土は永久に帰らないなんて言われてたしね」

 

「ありえるな……」

 

こののび太の予測は的中し、扶桑がこの問題と向き合うのは、東西冷戦時代も雪解け期を迎えた時であり、問題が完全に解決するのは更に後の時代であった。これは太平洋戦争とその後の戦争でそれどころではなかったからだ。

 

「それと、君。ドリームの姿でシャインスパーク撃った事あるだろ?」

 

「何度かな。入れ替わった時に一回、代理で変身した時に三回くらい……」

 

「大決戦にいた、あるいはその事を聞いた子たちが他の戦いで伝えてたみたいで、えらく苦労したらしいよ、かれんちゃんたちの世界のあの子。もっとも、キュアハッピー(B)の初陣の時は僕たちの知るあの子が呼ばれたから、シャインスパークやカイザーノヴァの大盤振る舞いだったってさ」

 

「なるほどな」

 

「それで、僕もランダム説に確信を持ったよ。それで、B世界ののぞみちゃんがコンプレックスこじらせそうなんだって」

 

「まぁ、あまりに強さに差があるからな。余計に開きそうだしな、波紋法で。多分、完全に修行を終えれば、普通の状態で初期の変身より全ての能力で上回るだろうよ」

 

「君がけしかけたとこあるから、責任取りなよ」

 

「わーっとる」

 

黒江ものび太も、のぞみAは現役時代を遥かに超えた修羅場をくぐり抜け、修行を重ねたために、既に通常の状態で極初期の頃の変身を上回る強さを得ている事を知っている。のぞみ自身も波紋の修行に入る前の状態でも、B世界の変身した自分のパンチを変身しないで受け止められる事を示していたため、B世界ののぞみは『戦闘力の差』に強く悩んでいる。

 

「それに、あの子への後輩の印象が随分荒っぽくなってる責任もね」

 

「それもか?」

 

「時々は入れ替わってやりな。そうでないと、色々と面倒くさい事になるからね」

 

のび太の忠告に困る黒江だが、自分に責任があるのは事実なので、その責任を取る事にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

――ダイ・アナザー・デイで特攻がウィッチ世界の戦史に始めて登場した。日本義勇兵が止むに止まれぬ事情で行ったのが主だが、空対空、空対艦特攻などは機種を問わず網羅しており、『本当の戦争』に耐性の無かったリベリオン軍に甚大な人的損害を精神的側面からも強くもたらした。ウィッチ部隊は敵味方問わず、帰還を顧みない体当たりを平然と行う事に強く恐怖し、多くのウィッチが軍を去った。この人的打撃は扶桑皇国でMATの勃興に影響を及ぼし、リベリオン軍ウィッチ部門の形骸化の一因となった。それに関連し、日本側が雲龍型を空母としての任から殆ど解き、鋼材の質がいいとした『葛城』までの三隻以外を徐々に他用途へ転用していったが、第一線空母の代替となる大型空母の建造遅延もあり、前線の要望で、比較的に使用鋼材の質がいいと判定された『笠置』、『生駒』の二隻については『繋ぎ』を理由に1947年から工事を行い、1949年に空母へ復帰させた。しかし、それでも空母機動部隊の母艦数は一桁のままであるため、戦線への投入は控えられてしまっている。強襲揚陸艦も制海艦運用が決まったが、それを勘定に入れても『数が足りない』とされた。これは艦上機のジェット機化によるつ搭載機数の減少、護衛空母の強制退役による空母の物量の低下によるものだ。それを補うために行われたのが『宇宙艦隊』の編成であり、海軍式の部隊を空軍が大規模に持つことに強い反発はあるが、リベリオン海軍の大規模空母機動部隊を戦闘で捌ける練度が水上空母の航空隊には全くないため、熟練者の多い空軍が防波堤になることは黙認されている。生粋の海軍軍人である坂本と若本はそこからの空母機動部隊の再建を模索しているが、任務の都合で、64Fにいる。二人の努力が実るのは『後の時代』の事になる――

 

 

 

 

――こうして、雲龍型航空母艦は20隻超えの建造数に比して、実際に予定通りの『空母としての任を果たせた数』は初期建造の五隻のみ。六番艦以降は建造工程が簡略化されていたためだが、これは扶桑にとっては戦時量産化のための簡略化であったが、日本の軍事評論家からは手抜き工事と糾弾された。エセックス級の存在のためだが、エセックスも細かい仕様の改正がされているのが本当のところ。また、日本側が超大型空母をとにかく志向したことの弊害で建造期間が長期化したのを補う施策が宇宙艦隊の整備になったため、雲龍型の再整備は結局、二隻で終了してしまった。蒼龍と飛龍の改装工事も遅延してしまい、そちらに予算が取られたためだ。要するにウィッチの破壊工作の修復ついでの改装に手間取っているのだ。日本の勘違いで退役予定なのを引っ張り出したため、工事開始時期も遅かった上、途中で破壊工作に遭ったためだ。この混乱もあり、空軍の宇宙艦隊の整備は急ピッチで進んだわけだ。そして、ウィッチ世界に迫る脅威を迎え撃つための準備は64Fにおいても、確実に進んでいた――

 

 

――黒江とのび太の会話の翌日。その黎明――

 

 

「ブレーンコンドル、スイッチ・オン!!」

 

のぞみはこの日の早朝からブラック・グレートで定期的な操縦訓練を消化していた。『マジンガーと魂のレベルで一体化した者がマジンガーを動かす』というのは、よく考えれば珍妙な状況だが、プリキュア達にも、スーパーロボットの操縦技能が必要になってきたのは事実である。いつでも『好きな機体を使える』とは限らないため、あらゆる機種の機種適応訓練は日々の日課として組み込まれていた。それはスーパーロボットでも同じ。朝焼けの陽光を背に、黒と白のツートンカラーで彩られしブレーンコンドルが飛翔する。

 

「マジーンゴ~!」

 

ブラックグレートの本体が基地近くの沿岸部から射出され、ブレーンコンドルのスラスターを操作し、逆噴射で減速しながらドッキングする。

 

『ファイヤー・オーン!!』

 

このプロセスは難度が高いので、グレートのパイロットには高度な訓練が課される。カイザーパイルダーやゴッドファルコンなどの後続機より難度が高いと言われるのは、マジンガー本体と高速で空中ドッキングを行うからである。

 

『スクランブルダァァッシュ!!』

 

グレートマジンガーは元来、ゴッドのプロトタイプとして製造されていた。それを戦闘用に転用・改良した存在である。開発系統で言えば、グレートは純然たる『兵器』としてのマジンガーの雛形となったと言えるだろう。

 

 

『先輩、どうですか?』

 

『悪くないタイムだ。グレート系のマジンガーは追加装備式のZの系統のマジンガーより空中では小回りが効く。その代わり、スクランダーカッターは多用できないぞ』

 

『どうしてです?』

 

『変形機構がある分、負担をかけられんからだ。そういう時のためにブースターが開発されたんだ。カイザーやゴッドとかなら気にしなくていいが、グレートレベルの強度だと、変形機構の作動不良が起きる事がある』

 

スクランブルダッシュの弱点は複雑な変形機構を内包する故の構造的脆さであり、オリジナル機においては『翼の付け根付近に強度の衝撃を瞬間的に受けると、機体内部の制御回路がショートを起こして、機体の全機能が停止する』という致命的弱点があった。ブラック・グレートにおいては、内部機構の独自改良でそれは解消されている。元来は量産型グレートの生産に際しての機体稼働データ取りと、オリジナル機の機能再現を兼ねた特別の機体だったからだ。

 

『そいつはオリジナルより改良されている分、動かしやすい。MSとは勝手が違うだろうが、攻撃力や防御力は遥かに上だ。まだ細かい調整中だったんで、あの時には使わなかったがな』

 

『武器は全部使えるんですね?』

 

『あらかたな。MSより威力が遥かにある分、確実に当てられるように鍛えろ』

 

『了解』

 

黒江は管制室から指示を飛ばし、訓練を見守る。のぞみは変身した状態でブラックグレートを動かしている。そのほうが防護服要らずだからで、歴代プリキュア達は機動兵器を動かす時は基本的に変身した状態である。(キュアハッピーは自分がロボットに変身した事があるが…。)

 

『そういえば、ロボに乗ると言ったら、みゆきちゃんがすっごぉ~く複雑そうに』

 

『ああ、それか。お前、マーチから聞いてねぇの?ハッピー自身、巨大ロボに変身した事あるんだよ』

 

『へ?またまた~……』

 

『マジだよ。なんでも、敵の攻撃でそうなっちまったらしくて』

 

『本当なんですかーー!?』

 

『マジだってんだろ。その時はキュアビューティがなんとかしたそうだけどな。確か、しずかがその回を持ってた気がする。後で借りて見てみようぜ』

 

『それで、みゆきちゃん』

 

『そうだ。みらいを見習えと。あいつなんてな、のび太のコレクションにあったロボアニメ見たおかげで、すっかりヲタクだ』

 

『リコちゃんに殴られますよ、それ』

 

呆れるのぞみ(ドリーム)。とは言え、ロボアニメを見ていた事はあるので、『グレートマジンガーを動かしている』事は自慢にできそうと考えてはいる。

 

『そういえば、向こうのブンビーさん、まだ敵なんでしたっけ?』

 

『そうだが?』

 

『りんちゃんが言ってたんですけど、あたしがGXとDXに乗ってるって言ったら……』

 

――うおおおおお!それは私のガンダムだぞぉぉぉ!!――

 

『……って言われたとか』

 

『ものすごくメタい台詞だな。さすがはブンビーさんだぜ』

 

妙に納得してしまう黒江。

 

『あの人とは長い付き合いだったから、懐かしいなぁ…。メタい台詞も久しぶりで……。あ、急上昇に移ります』

 

『荒く乗り回してやれ。そういう用途のために製造されたらしいからな、そいつは』

 

『わかりました~!けってぇ~い!』

 

のぞみも苦笑しつつ、お馴染みのキメ台詞をルーティン的に言った後、この日の訓練行程に従い、ブレーンコンドルのスロットルを全開にし、ブラックグレートを朝焼けが眩しい南洋の透き通るような青空へと急上昇させるのだった。

 

 

 

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