――近代兵器がスタンドオフ能力をM粒子下でもある程度は維持したこともあり、ウィッチは空戦分野で顕著に衰退した。魔導師ほどの優位性がなく、一般ウィッチは航空機と大差ない動きしか取れない上、シールド強度も魔導師ほどのものはないため、空戦分野では怪異対策に使える程度のメリットしか見いだされなかったからだ。ウィッチ達には気質的に戦えない者もいるので、居場所を求め、多くはMATに流れた。代々に渡る国家への献身で公的地位を得た事を知るウィッチ出身軍人達はこの流れを危惧し、突然変異のように現れたGウィッチに公的地位の保全を託した。だが、当のGウィッチからも『現金なこった』と冷ややかに見られていた。異常までに強かった彼女らを事変当時から迫害したのは自分達だったからである。迫害の風潮の形成に一役買ってしまった江藤とミーナはそれぞれ、同期や上層部から睨まれる羽目となった――
――カールスラント空軍はカールスラント至上主義的風潮が強く戒められ、他人種への優越意識を持つことも公では禁止された。ルーデルはドイツによるこの締め付けを『大げさだ。他人種への優越意識など、よほどのバカでない限りは持っていないし、私達は他国軍人の実力を図る目的でわざと口に出していただけだ。古くはメルダースもやっていた事だぞ?』と呆れた。フーベルタ・フォン・ボニンも『戦闘技術と経験に優れた者が指揮を取るべきだと思っているだけだぞ!』とボヤいている。フーベルタはダイ・アナザー・デイでその考えを日本のマスメディアに憶測で散々に叩かれたため、(彼女自身は『お高く留まっている』わけではなく、厳格に実力主義なだけであり、年上に敬意を払えないわけではないので、そこも彼女を憤慨させた)最近はマスメディア嫌いである。コンドル軍団所属の過去があることもあり、ドイツによる締め付けが強くなった祖国を早期に捨て、日本連邦の永住権を取得している。こうした例は『1945年当時にカールスラント空軍で名うてであったエース』に顕著に見られ、日本連邦が厚遇した事もあり、カールスラントでエースと言われた者の多くは日本連邦に義勇兵として渡った。カールスラントは相次ぐ人材の流出に顔面蒼白になり、ドイツに猛抗議した。ドイツは『エースパイロットは却って扱いにくいから、いいの』と冷ややかであったが、新人教育に必要なベテランが全ていなくなる危険が増大してしまい、結局は一定数のベテランの囲い込みに乗り出すを得なくなる。結果、この人材の流出による質の低下と秩序の崩壊もあり、カールスラント空軍の栄光は地に落ちた。代わって、日本連邦空軍が『大空の王者』として台頭し始めるのだ――
――その日本連邦空軍も実態は『陸海軍航空隊の寄り合い所帯』感が強く、主導権争いが設立後しばらくは存在していた。実際の制空権の確保は一部の精鋭部隊に依存しているのが実態。これは主導権争いの弊害で規律が部隊ごとに違うことも由来で、他国空軍と遜色ない風土を持つ64Fが重宝される理由でもあった。統合戦闘航空団への在籍経験者が主要メンバーであるからだ。それと関連し、扶桑海軍航空隊の風土は時代が変わり、変革を余儀なくされた結果、淘汰され始めている。陸上航空隊を主力化しようとしていた施策は強く批判されており、その旗振り役だった井上成美は空軍へ移籍している。当人は『私は軍政の方向を示しただけだぞ!戦争に負けたからと、全てを否定するのか!』と憤慨したが、マリアナ沖海戦と台湾沖航空戦で無残に敗北して『海軍としての仕事も果たせない』状況に陥った記録を見せられ、反論の余地が無いことを悟った井上はショックを受け、空軍へ移籍した。史実を考えると皮肉な顛末であった。海軍最大の誤算は空母航空団の母体として存在していたはずの600番台航空隊が日本側の思い込みで空軍へ移籍させられたことであった。彼らは空軍移籍ということで、保有機材から空母運用装備を機材から自主的に外したら、逆に上層部に呼び出されて強く叱責されたため、抗議のために、一部がストライキを起こすに至った。だが、太平洋戦争の戦局の推移と共に空軍が宇宙艦隊を整備し始めたという報がそれを終わらせた。自らの存在意義喪失による予算削減を恐れ、急いでジェット機への機種転換を行ったが、『ジェット機の実戦経験の無さ』を理由に実際の出撃は控えられたため、海軍航空隊の『予算対策組織』感は強まってしまった。とは言え、機材については比較的優遇されており、1949年時点で1950年代以降のジェット艦上機を組織的に運用できている点は恵まれている。しかしながら、現場は量を必要としているのに、政治家は質をとにかく重視する。その違いが太平洋戦争での悲劇と言えた――
――64Fの超兵器が公にされたのは、空軍の実情が敵に知られ、多方面からの攻勢をかけられる事を防止する思惑によるものだった。64Fはバダン帝国とも交戦中であり、軍も近代化途上にあるため、攻勢に出られないからである。グレートマジンガーやゲッターロボGの存在の公表は大いにハッタリも含まれていたが、スーパーロボットの装甲は23世紀以降の技術でも『鉄壁』である上、火力は戦艦以上。その存在一つで抑止力になるのなら儲けものであった。当時はクーデターを大義名分に、陸海軍の参謀たちが大量に罷免された後であるために、実際の作戦考案は自衛隊が主体になって行われており、中央に残った扶桑軍人の参謀は史実で功がある者に限られていた。また、扶桑の国力を以てしても、攻勢限界点は西海岸までであることは現場は知っており、西海岸を抑えた後に東海岸に宇宙艦隊で一撃を加え、和平に持ち込む案は統合参謀本部で本命視されていた。対案があまりにひどすぎるからである。また、当時は扶桑人の自由リベリオンへの憎悪犯罪も増加しており、自由リベリオンは実質的に日本連邦の一角として積極的に戦うしか選択肢がなかったので、流れ的に東西冷戦の訪れは必然化していたと言える――
――統合参謀本部――
「もっとまともな対案を出せんのかね…」
「無理ですよ。陸軍大学校出の連中は大半が軍事的視点からしかモノを見れないボンクラ共ですから。海大も似たようなものですが」
とはいうものの、防衛大学校出の者も実戦経験はないため、同じ穴の狢のようなものである。違いは兵站を考慮できるか否かであろう。統合参謀本部の参謀は殆どが自衛隊出身者に入れ替わったため、防衛作戦の立案は長年のノウハウで手慣れていても、攻勢作戦は得意ではない。これは自衛隊の専守防衛のドクトリンの弊害であった。それが扶桑生え抜きの有能な参謀が少数は中央に残った理由である。とは言え、日本の防衛官僚の少なからずは史実の日本軍を笑えないレベルの案を出すので、一番マシな案が自衛隊・制服組の出す案という状況であり、最近は地球連邦軍も作戦立案に噛み始めていた。そのため、地球連邦軍の軍人と自衛隊の自衛官が書類を見せあってはため息をつく光景がここ数週間の統合参謀本部の日常であった。64Fの素晴らしい働きを帳消しにしかねないほど、作戦立案がシッチャカメッチャカであった。
「64Fの人員の働きを帳消しにしかねんな、これでは」
「ええ。彼らがいくら無敵を誇っていても、これではね」
地球連邦軍の中佐と自衛隊の二尉がため息を付き合う。扶桑の正式な戦争遂行プランが三年目に突入しても出来ていないからだった。
――黒江は大決戦以降、多忙となったキュアドリーム/夢原のぞみと時たま入れ替わっていた。のぞみの負担を減らすためで、デザリアム戦役での経緯を踏まえた措置で、咲と舞も承諾済みである。そのため、どこかの世界での『ドキドキプリキュアのオールスターズでの初陣』においては、黒江がのぞみに代わって『キュアドリーム』として参戦していたという。ヒアリングの過程で、黒江が何回か入れ替わった際に予定調和を無視して目立ったために激闘になった戦いがあることが分かった――
「それで、何回か入れ替わった際に巻き込まれたと思われる戦いなんですが、どうしても史実と差異が大きくなりますね。綾香さんは聖闘士である以上は目立ちまから。ある戦いでは、ものすごいエネルギー波撃ったとか?」
「えーーーー!?」
「は、はい。単独でマーブルスクリューも霞むエネルギー波を撃ったそうで…」
ドリームはローズと共同でイレギュラー的な光線技を放った事が一度だけあるので、光線技を撃てないわけではないが、黒江は単独で石破天驚拳などの応用(気を扱う原理は同じ)でバトル漫画で有名な『かめはめ波』をキュアドリームとして撃った事をみなみはかれんに伝える。突拍子もないが、黒江の戦闘力ならば(扱えるエネルギー量)、数あるかめはめ波でも事実上は最高峰の威力を持つという『ビッグバンかめはめ波』として撃てるはずだという推測はされていた。構えが通常のかめはめ波と違っていた事、初代の最強技『プリキュア・マーブルスクリュー・マックススパーク』を真っ向から受け止める敵をも一撃で塵一つ残さず『あの世へ送った』ことからも『ビッグバンかめはめ波』である事は容易に推察可能だ。
「証言によると、咲さんと舞さんは相当に苦笑いしたとか?]
「でしょうね。スパイラルスター・スプラッシュをマックススパークに加えたとしても、エネルギー量の桁自体は変わらないもの。だけど、アテナエクスクラメーションと同等以上のエネルギーを単独で扱える聖闘士がそれと同様の要領で気を操れば、どこぞの戦闘民族の変身でなくても、それと同等以上のエネルギー量を扱えるってことよ。私達はキュアレインボーになったとしても、せいぜい惑星破壊程度のエネルギーを共同で放つ程度。上位のスーパーロボットであれば、その程度は軽く叩き出せるもの。聖闘士は『神と戦うため』の集団。その最高位となれば……」
かれんは聖闘士という存在はシリアスなバトルものの力としては最高位級である事を認識している。黒江はそれに加え、魔力、気などの技能を有する。それらを複合して操れば、有名な『戦闘民族』と同等のポテンシャルを得れることは、ヒューマノイドタイプの人類の中で肉体的に脆弱の部類に入る地球人でも、神と戦えるポテンシャルを持てる表れであった。もっとも、肉体的には『かの有名な戦闘民族』も地球人と変わりない(重力が高い環境に適応して進化した)が。
「私達は何も変哲のない中高生でしたからね。それを思えば、凄いことではありますよ」
プリキュア達は共同で放つ技であれば『惑星破壊級のエネルギー量を叩き出す』。しかし、それは単独では、それぞれの究極形態であろうとも、扱えるエネルギー量には限度がある表れである。ただし、それを自覚した上で『限界を超える』意志があれば、いくらでも道は拓けるのである。
「限界を超える事が肝要よ、みなみ。私達はアイテムや外的な助力でパワーアップしてきた。だけど、それには限度がある。はーちゃんは潜在能力を覚醒めさせたけれど、今はその力は失われ、別のパワーアップをしたように」
「光子力とゲッター線によるパワーアップ、ですね」
「ええ。あの子が受け継ぐはずの世界は滅ぼされ、そうなる因果からも切り離された。言わば、単なる一プリキュアにされたのよ。その事で精神不安定に陥って、一時は変身を解除できなくなっていた事もあるわ。だから、今はフェリーチェの姿でも、『素が出る』事があるって聞いてるわ」
「のび太さんと一緒に20年いたせいだと思いますか?」
「それもあるでしょうけど、拠り所が必要だったからだと思うわ。みらいとリコを倒され、モフルンも自分をかばって、普通のぬいぐるみに戻ってしまった事で『帰る場所も、守っていくべき世界』も無くなってしまったから…」
かれんはことはが何故、のび太の義妹になったのか?という疑問に一つの回答を見出していた。ことはは『何一つ守れなかった』ため、その悲しみが作用したか、ディケイドと鎧武によって救出されてから数ヶ月ほどはプリキュアの状態を解除できなかった。のび太と暮らすようになって数ヶ月後にことはに戻れたのだが、中学に通い始めた後に『言動に幼児性が残っている』のを恥ずかしがるようになったため、フェリーチェでいる時間が増えていった。大学時代には、プリキュアオールスターズという概念が定着した時代に入っていたため、フェリーチェの姿で通学し、学生生活を満喫するなどの大胆な真似もしている。
「みらいが思いっきり地団駄を踏んでましたよ。のび太さんの家にあるアルバム見て」
「プリキュアの姿で日常生活なんて、普通は考えつかないもの。元は言動に幼児性が出るのを気にしての選択だったようだけど、思わぬ効果があったから常態化したのよ。最近は私もこの格好だし」
苦笑交じりのかれん。キュアアクアの姿だが、コスチュームの上に白衣を羽織っている。
「みらいも、のび太さんの世界の東京は物騒だからって、大学に通い直す事を決めてからは『私も変身して通う~!』って言ってるのよ」
「いつ受験するんです?」
「予定よりずれて、2022年以降になるわね。疫病が流行ってるから。それに、あの子はリコとモフルンがいないと変身が出来ないから……」
「そこは協議ですね…」
「ええ。響は単独変身ができるようになっていたから、個人差があるのは確かよ」
プリキュアの能力自体が現役時代からパワーアップし、全員の単独変身が可能となった『スイートプリキュア』の例もあるので、個人差はあるだろうというかれん。また、戦闘での変身アイテムの破損で、やむなく別アイテムとの併用に切り替えたところ、基礎能力がアップしていたプリキュアもいるので、その辺はまだ調査中である。そんな二人あてに送られてきたドラえもんからの動画付きメールを開いてみると……。
『これであの世に送ってやる!!……ビッグバン!!かめはめ波――ッ!!』
「……本当にやったのね」
「ええ……派手ですね…」
動画では、エターニティドリームの姿で『大地を削り取る』勢いの極太エネルギーを撃っている姿、アチャーと言わんばかりのリアクションをキュアブライトとピーチがしているのが見える。『その世界のキュアハート』は目を輝かせて尊敬の眼差しで、『その世界に呼ばれたキュアブラック』は圧倒的極太の光線技に呆然となりつつも、技の名が自分が夢中になっていたバトル漫画の技とほぼ同じことに気がついたのか、『あ、あ、あ……ありえなーーーーい!?★※』と素っ頓狂な叫びをあげつつも、ギャグ顔でパニックになっている様子が録画されている。その世界の大地を削る勢いの光芒である。
「何々、『様子を見に行ったらこうだった。綾香さん、自重しないもんだから……』か。確かに」
黒江は『戦いでは自重しない』気質なため、ドラえもんが様子を見に行くと、ビッグバンかめはめ波で『予定調和』そっちのけでぶっちぎったと、ドラえもん自身が多少呆れ気味にメールに書いている。黒江が呼ばれる度に大暴れするため、のぞみの後輩たちからの印象が時々『ぶっ飛んでいた』理由はそこにある。本人も必然的に特訓する事になったわけだ。
「あの人はこんな感じなの?」
「ええ。若い頃からです。悪童のベスト3に入るぶっ飛びぶりで、江藤参謀の頭痛の種でした。とはいえ、戦果が一級なので、色々と黙認されてましたね。それが今じゃ中将なんですから」
みなみは竹井醇子として、黒江と古い付き合いである。事変中は仲間内で悪童とされていたはずの黒江や圭子が戦功でどんどん出世し、1949年では権力の中枢についている事は信じられない(いくら転生しているとしても)思いがあるからだ。
「転生しているとはいえ、ぶっ飛び過ぎですから。私は覚醒が遅いほうでしたから、やりすぎだって思いましたね。結果が吉と出てますから、良かったとはいえ」
「あの人は何事もうまくいくとは限らないことを転生を繰り返すことで学んだと言っていたわ。だから、最終的にいい方向に転べば儲けものと考えているんでしょう。のぞみに似てるわ」
「え?」
「私達は一度、敵の策略にまんまと乗せられた挙句に絶望させられ、罠にはまってチームが全滅の危機に陥った事があるの。一年目の頃だったわ。その時はココとのぞみがどうにかしたけれど、私達は後で自分の愚かさを恥じたわ。あの人も転生を繰り返したから、どんでん返しで吉にすればいいって考えてると思うわ。それにはーちゃんは影響され、結果として、のぞみと私たちを引き会わせた。強引にでも連れて行っても。私達の世界ののぞみ自身には辛いだろうけど、はーちゃんが救おうとしたのも紛れもなく『自分自身』。別の道を辿った、ね。それを分かるには時間が必要なのよ。あの子はラブとも戦う羽目になったことでショックを受けてるから」
かれんはのぞみBの気持ちを慮る。のぞみBは戦友であるはずのラブもことはと同様のことを口にし、戦う事になった事に激しく動揺し、周囲を顧みない攻撃に走ったが、ラブはその上を行く攻撃で打ち破り、かれんとこまちを連れていった。そのショックはB世界の様子を見に行ったりんAも同情するほどに憔悴していると報告を受けている。
「どうします?」
「時々は会う方向で話を進めてるわ。向こうもまだ戦いが続いてるし、組織の動向も気になるもの。向こうの世界が私とこまちの故郷であることは変わりない。だから、分身ハンマーで分身を残した。あの子が私達の真意に気づくには、時間が必要なのよ。こちらののぞみが立ち直るのに、私達とりんの言葉が、ココの愛が必要だったように」
のぞみAはりんの記憶喪失で発狂寸前に陥り、ダークプリキュア化しかけた。だが、ことはとラブの献身、北条響の叱咤で踏みとどまり、かれんとこまちの来訪、コージの愛で立ち直る事に成功し、ことはの奔走をドラえもんとのび太が後押しした。
「時間、ですか」
「みなみ。あなたはまだ若い。この問題はあなたにわからない事はあるわ。どんな人でも支えというのは必要なのよ。こちらののぞみは前世の薄幸から、りんに縋っていた。それがある時突然に失われたことで、自分の拠り所が消えてしまう恐怖心にさいなまれたのぞみはあの男にりんへの思いを侮辱されることで理性のタガが外れてしまった。そして、のぞみが『超プリキュアを超えた超プリキュア』に覚醒めたのは――…」
――お姉ちゃん……。あたしのパパやママを……この街を守ってね……――
名も知らぬ少女が致命的な隙をタウ・リンへ晒してしまったのぞみ(ドリーム)を庇い、タウ・リンの凶弾を受けた。タウ・リンはその少女の思いを侮辱し、切り捨てた。のぞみは悲しみと怒りをキーとなる形で、自力で強化形態への変身をし、更にZEROを赦し、一体化することでエターニティ形態を手に入れている。それを引き合いに出す。
「怒り、悲しみ、愛。この三つの感情と仁の心があの子を独自の境地に導いた。あの子が『エターニティドリーム』という境地になるのなら、私達の世界ののぞみは『ドリームキュアグレース』になればいいのよ。あの戦闘民族の変身だって、二通りの道があるでしょう?」
「アニメ、見てたんですか?」
「アニメ同好会の要望をチェックするために、DVDを借りてね。私達の頃は動画配信サービスは一般的じゃなくてね」
「あれって普及した時代が新しいんですね…」
「昔はビデオテープを巻き戻してたのよ?私達の頃はDVDの頭出しも慣例的に巻き戻しって言ってたし」
プリキュア5の時代は2000年代後期。ちょうどDVDがビデオテープから世代交代を果たしつつあった頃である。のぞみとラブは自分で昭和の残り香を目にし、体験した事のある最後の世代である。両親が音楽家という裕福な家庭に育ったかれんでも、ビデオテープとは無縁でない。海藤みなみは2000年代以降の生まれで、自分が学生になる頃にはスマホが普及し始めていたため、こうしたところで世代差が生じる。
「のぞみじゃないけれど、ジェネレーションギャップを感じるわ…」
「あ、あはは……自分が若輩者だってことがよくわかります」
第一世代プリキュアと次世代のプリキュアとはこうした面でジェネレーションギャップを感じるわけだが、みなみは竹井醇子として、ウィッチ世界の1930年代と40年代を通し、若者として生きたはずである。そうなると、逆におかしくなる。そうしたところが転生の不思議なところであった。二人はそれに気づき、お互いにおかしくなって吹き出したのだった。