ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百一話「1949年の状況とプリキュアたちのある日4」

――日本連邦は結局、自らの失策で太平洋戦争の長期化を招いた。南洋島が主戦場である事はある意味では幸運だが、扶桑にとっては死活問題である。連合艦隊の規模に『国情に見合わない』という批判が日本からあったのも事実である。旧式戦艦の退役はダイ・アナザー・デイ当時より検討が続けられたが、当時はM動乱で長門型以前の戦艦は退役済み、紀伊型戦艦は艦齢10年以内であったことから、戦艦としての保有継続が模索されたが、戦艦として役に立たないという日本側の判定は軍には覆せなかった。日本側は再利用策として、空母化を検討した。しかし、空母自体の世代交代と重なり、大戦中の巡洋戦艦サイズでは空母として小さいとされ、その代替案が航空戦艦化であった。当時は近江が海上護衛総隊に回されたので、残された尾張と駿河、大和型の武蔵を航空戦艦化し、上陸支援と遊撃を兼ねた部隊に編入した。航空戦艦と超甲巡での構成は中途半端だという声が大きかったが、今更、雲龍型にレシプロ機を乗っけて数合わせしたところで現代戦でものの役に立たないのも事実であるので、結局は扶桑の原案が通った。この頃、超甲巡の主砲格上げについての案が二通り提案された。一つはワンワンク上の『長砲身31cm砲』に格上げする事。もう一つは日本側が推す根本的な大口径化である『41cm砲への強化』。後者は投射重量の低下などのデメリットが大きすぎて没になり、結局は最新技術で31cm砲を更に長砲身にして作り直す案が妥協的に採択された。第三期生産ロットの超甲巡は長砲身(60口径)31cm三連装砲を九門装備し、装甲も若干の強化がなされる事になった。日本のアイオワ恐怖症の表れであった――

 

 

 

 

 

 

 

――しかし、アイオワは艦隊決戦での弱体ぶりが『格上』との戦いで明らかになったために実際には第一線を退いており、艦隊決戦の主力になったのは重戦艦たる『モンタナ』の系統であった。防御・攻撃力で史実大和型に肉薄するため、扶桑はそちらに震え上がっている。扶桑は51cm砲で戦艦艦砲のスタンダードを更新したが、これは怪異への攻撃力を将来に渡って確保しておきたいからでもある切実な実情がある。この重戦艦のオンパレードに、性能面での追従を諦める国が続出した。当時の連合軍の通常の砲熕技術では、46cm砲の実用的な砲身命数を確保出来なかったり、試作に失敗したからだ。旧式戦艦を捨て駒にしたリベリオン軍は量で連合艦隊を圧倒すべく、戦艦と同時に、ミッドウェイ級空母を増産しつつ、フォレスタル級の全艦の竣工を急ぐ。それを察知していた扶桑は宇宙艦隊の整備を急ぐ。通常の建艦競争では勝てないことはよく認識していたからだ。問題はその活用である。『一部隊にすぎない64Fに大艦隊をそのまま与えておくのか』という反対意見も多かったが、64F以外に宇宙艦隊を運用できるノウハウはどこにもありはしなかったため、連合軍統合参謀本部も了承した。結局、最強の鉾を手に入れても、それを政治家が持て余すというのが日本連邦の実情であった。――

 

 

 

 

 

 

――64Fは未来兵器も大っぴらに運用する部隊の一つであるため、量産MSでも新鋭機の『ジェイブス』と『ジェスタ』、『量産型νガンダム』が配備されている。敵がザンスカール帝国残党までも味方に引き入れたからである。無線のM粒子対応型への更新も済ませるなど、装備は最高峰である。64Fに戦力を集中させるのが認められた理由は扶桑陸軍の装備更新がシッチャカメッチャカである上、褒章制度の混乱での士気の低下を隠す思惑があるからだ――

 

 

 

 

――統一された武功章の陸海空の制定、個人感状の実質的な最高名誉化は昔気質の将校達の反発を招いたが、部隊感状の発行そのものが減らされる傾向(ダイ・アナザー・デイで64Fのみが部隊感状を授与されたことへの反発が大きかったための処置)になったため、逆に金鵄勲章の立場が危ういため、武功章及び個人感状の授与基準が緩められる事が検討されるに至っている。(武功章の乱発を日本が嫌がったので、結局は武功章の授与基準を厳しくする代わりに、感状の授与を増やす事になったが)今までの基準では、どうしても64Fの超人に偏るためだが、結局は武功章も金鵄勲章の代替品として必要なため、士気の維持のために数ヶ月ごとに授与の選考と授与者の布告が行われる事で落ち着く。そこに至る頃には、既に1949年も春を迎えていた――

 

 

 

 

 

――ある日の日本連邦評議会では、64Fの保有戦力の正式な通達が行われた。その中でF91などの高性能なガンダムタイプを要する事が映像付きで見せつけられた――

 

「山口長官、これは……」

 

「彼女らがコネの限りを尽くして集めた兵器だが、それだけで戦局は動かせんよ」

 

日本連邦・評議会は日本側が疫病の対応に追われているのもあり、この日は至ってスムーズに事が決められた。

 

「歴代のガンダムをこうも調達できるとは……」

 

「貴方方のほうで色々なゴタゴタがあるのはわかりますが、彼女達にこんな努力をさせていることは貴方方もご理解ください」

 

オブラートに包みつつも、扶桑側は『日本側も解決に努めてくれ』と意思を表明する。日本側は今、疫病的意味での有事なので、扶桑の戦争に関わる余裕はあまりない。ただし、国内のテロ活動に関しては扶桑と連携している。反日本連邦運動の過激派が扶桑でテロ活動を行っているからである。日本は扶桑の軍事的な力を背景に、昔年の繁栄を取り戻したが、それを『偽りの繁栄だ』とする新しい意味での過激派が台頭してきており、しずかはその過激派の潜入捜査を行い始めている。また、『扶桑を乗っ取れ』的な過激派もいたりする。疫病による閉塞感もあり、のび太の街であるススキヶ原も急速に治安が悪化している。歴代プリキュアの何人かはススキヶ原にいるのも、同地の治安悪化に対応するためだ。

 

「我々としましても、諸機関に対応はさせています。10式戦車についても、内局を説得しておりますので、今しばらくのご辛抱を。頃合いを見て、大戦型と戦後の重戦車を代替いたします」

 

日本側はこの頃、扶桑への償いとして、最新戦車の10式戦車の供与を本格的に検討していた。しかし、新式戦車(とは言え、部隊使用許可から10年が経過しているが)の性能の漏洩を異常に恐れる内局の妨害に遭い、これまで延び延びにされてきた。だが、反転攻勢を見据え、敵を機甲戦で圧倒するためには戦後第三世代の戦車が必要なのだ。

 

「教育人員の派遣は来月より始めます。また、Gフォース向けに30両を追加で配備いたします。それでハルビンなどの攻略の一助になりましょう」

 

「ありがとうございます」

 

ハルビン。敵に奪取された大都市の一つであり、中華系やオラーシャ系住民の多い街である。64Fが基地から移動できない理由の一つである。近頃はハイザックやマラサイのみならず、一年戦争中のジム・コマンドも確認されており、侮れない陣容を整えている。航空機もF-106デルタダートの配備がなされており、近代化途上の扶桑軍では迂闊に手を出せなくなっているのだ。デルタダートについては実戦での運用データが開発元にもないため、その実力は未知数である。元が邀撃機だったからである。仮面ライダー二号たちの偵察から数ヶ月しても扶桑軍が同地の敵との交戦を避けているのは『現時点の自軍より強力な装備を持つ』からである。扶桑軍がなりふり構わずの近代化を行っているのも、ハルビンとその周辺の地帯を落とすためである……。その一方で敵味方の戦車が一気に戦後レベルに飛躍した事で、カールスラント装甲部隊は今や完全に旧式化してしまったり、自由リベリオン軍は大戦型のM4から戦後型のM48パットン以降の新型へ更新(戦車駆逐車は他国に売却か、自走砲に任務を転換)せざるを得なくなるなどのパニックが起きている。これは本国軍の有した戦車駆逐車がダイ・アナザー・デイで鉄の棺桶と揶揄されるほどに破壊されまくった事、M4が敵味方を問わずに合計で25000両近くがスクラップになった事実によるものである。扶桑機甲本部はそれを受け、それまでの戦車整備方針を放棄せざるを得なくなり、砲戦車の155ミリ自走砲化も始め、ここに機甲科は旧時代の騎兵に代わる陸戦の花形に登りつめたのだ。

 

 

 

 

――ちなみに、扶桑が範としていたカールスラント軍はこの頃、数年の内に軍縮で完全に自力での外征能力を喪失。自国産兵器の整備にさえ事欠く有様で、治安も最悪レベルに悪化した。NATOが治安回復を名目に駐留を始めたものの、失業軍人達による抗議デモと破壊行動が加速。カールスラントはモチベーションが失われたことで、一転して内乱へ突入してしまったわけだ。ドイツも予想外の結果に困惑。『代替役』としての福祉への再就職、将校や下士官の軍復帰の容認を進めることを容認する。カールスラントからここ10年のモチベーションを奪い去った事での重い代償であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この時点での64FはB世界のウィッチにも訓練を課し、補助要員として訓練を始めた。ただし、転移時点で現役である統合戦闘航空団所属の者のみである。芳佳Bが予想外に奮戦したおかげであった。芳佳BはF-11などを五機ほど落とし、気持ちが割り切れれば、潜在能力を発揮し、B世界での常識を超える機動をこなせるわけだ――

 

「へー、なかなかやるね」

 

黒田はダイ・アナザー・デイ後半には不在がちであったので、肩慣らしも兼ねての教導任務についていた。B世界では同年代である事もあり、黒田のほうが敬語を使う身だが、A世界では純粋に先輩後輩の間柄である。

 

「この世界の黒田中尉……、事変から名を轟かせたというが……。バルクホルン、ハルトマンの二人相手に単騎で互角とは…」

 

「紅海であたいと竜虎を謳われたからね。カールスラントの二強だか知らないけど、今やその威光も堕ちたんだけどね」

 

「セラ大佐、貴官は紅海戦線に?」

 

「そっちにあたいの同位体はいないと思うよ。あたいは何分、生まれがややこしいから」

 

セラは出自がややこしいので、B世界に同位体がいる可能性は低い。実力は当代屈指で、覚醒後の黒田と紅海で唯一、スコア争いで追従できた実力を誇る。元・隊長代理だが、この時点では離任後の再配属なので、一中隊長の任についている。

 

「名簿にある君の名だが、広瀬というのは?」

 

「父方の姓だよ。母方の姓はバルナック。母親や同僚は愛称のセラで呼んでるし、公の場じゃないとフルネームは名乗らないから、普段はセイレーン・バルナックって偽名を名乗るようにしてる」

 

セラはオリエンタルな容姿、妖艶な雰囲気を持つ美女。見かけや振る舞いのせいでB世界のミーナやグンドュラよりも年上に見えるが、実は1945年当時に15歳で、黒田と同年齢。意外にまだ若いのだ。戦闘でも、黒田も切磋琢磨した戦友として信頼を置くほどの手腕を誇る『セイレーン』である。紅海戦線から帰国後は明野飛行学校の教諭になっていたが、日本で半年ほど任務で滞在後に64F隊長代理になり、着任。その時に圭子の小学校の後輩であると判明。離任後に異動願いが受理され、改めて配属。一中隊長になった。坂本Bと対等の口を聞いているのは、彼女は1944年冬時点で既に中佐になっていたからだ。

 

「君も事変組か?」

 

「幼年学校と士官学校でクニカと同期だったからね。事変は後期しか参加してない。クニカは幼年学校の中じゃ特別だった。アヤカに才能を見込まれて、特例で前線に配属されたからね。事変を通して、アヤカの二番機か三番機を務めてたよ。ケイ先輩に呼ばれて、一時はアフリカでも名を轟かせた。それを考えれば、アンタのところのヨシカはよくやってるよ」

 

黒田Aは立場が黒田家当主で、大層なものになったが、軍で古くからのエースパイロットとして知られ、七勇士の最年少である。B世界の彼女自身と違い、一言で言えば阿修羅。本気になれば、陸軍一個連隊を全滅させると評された喧嘩の強さを謳われ、黒江のよく知られる相棒の一人。それを教え、B世界の芳佳はよく食らいついているほうだと述べた。実際、ジェットストライカーでも、スロットルレスポンスのレシプロ比の悪さにぶーたれつつ、黒田に食らいついている。B世界の黒田自身より実戦経験が豊富なA相手に渡り合えるのは、あっぱれと言える。

 

「この世界では、人相手に戦うようになった反動で、ウィッチそのものの在籍人数が減っているというが……」

 

「兵科もそのうちなくなるってさ。軍も費用対効果が薄れたものに金はあまりかけられないからね」

 

「いるだけマシか。怪異専門組織が別口でできると、切り捨ても早いな」

 

「竹井少将が生きてるうちは、まだ安泰だよ。問題はその後さ」

 

「他の兵科に統合されるのか」

 

「たぶんね。統合戦闘航空団に行くような奴以外のウィッチは『空戦がこなせる歩兵』でしかないもの。それが問題になったのが四年前。それで、ノゾミみたいなヒロインを祀り上げてんのさ」

 

「……いいのか悪いのか……」

 

実際、B世界でも統合戦闘航空団以外のウィッチで戦局に寄与しないで引退を迎えた者は数知れないし、501最初期メンバーの行方も知られておらず、設立メンバーもその事を口にしないなどの問題点がある。そこもひっくるめて、A世界では問題視された。ミーナの失態を大義名分に、同位国から責め立てられたカールスラントは扶桑皇国に、ブリタニアから譲渡されていた501の運営権を同国へ更に委譲したわけだが、こうした水面下の交渉が明るみに出た事も、カールスラントやブリタニア空軍の権威が失墜し、日本連邦空軍が設立前の段階から『台頭した』理由である。

 

「いいんじゃない?食い扶持は確保されてるし、あんたの世界はここと違って、政治に振り回されることもないから。ここは政治のゴキゲン一つで部隊の存廃が決まるからね。行き場を無くしたベテランの大半はここにいるよ」

 

セラのいう通り、64Fは『教導部隊の縮小や装備テスト組織の廃止』で行き場を無くしたベテランの引き受け場の側面もあり、未だに芳佳が若手扱いである。そして、新選組はその中でも最前線部隊に位置づけられるため、主要メンバーは新選組の所属である。

 

「ここの編成だが、部隊名は陸軍式だが、編成は海軍式だな?」

 

「色んな都合の産物さ。向こう側には、海軍の部隊の『ガワ』を受け継いだってセールストークしたほうがウケが良いから、人員が集められるからね」

 

64Fの組織は源田実の直接の配下の部隊なこともあり、343空の組織を基本的に引き継いでいる。中隊名もそのまま343空時代のものを流用しているが、先任大隊長の存在などは陸軍航空式の枠組みである。志賀は『そこまでするのに、何故、部隊名が変わるのか』という子供じみた理由で黒江と対立、離反。結果として、坂本の顔に泥を塗ったわけで、坂本の出戻りの原因となった。基本が343空ながら、部隊名が64になったことについての扶桑内部の理由としては『事変の最強部隊の復活のほうが人員が集まるから』、日本向けは『加藤隼戦闘隊と343空の合併とセールストークしたほうが予算が通るから』で、意外と現実的ながらも『夢のない』理由であった。また、日本の要請で『防空部隊』に予算配分が多く取られるようになったため、進攻部隊の予算が足りないという事態に陥っており、進攻部隊の機材更新が軽視され、相対的に遅れてしまうという事態も起こっている。64Fはその中では、最高に恵まれている環境であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――こちらはオヤツタイムを終えた黒江たち。ドリームについてしまった『桜の修羅神』のあだ名がどこでついたのか、それを業務のついでに調べることにした――

 

「タイムテレビ~!」

 

「あー!先輩、もらったんですか」

 

「のび太からな」

 

タイムテレビをどこからか取り出した黒江は大決戦の直後から見ていく。すると、オールスターズDX3相当の戦いについては、仮面ライダーJがゼウスの使いという形で参戦したこと以外に『史実との差異』は少ない事が判明した。次の世代のプリキュアたちのの初陣に相当するニューステージシリーズはというと……。

 

「なんだ、お前も意外にノリノリじゃないか」

 

「いやはやなんとも……あ、アハハ……」

 

ニューステージシリーズの第一作に相当する戦いはDX2相当の『大決戦』の再来と言える様相になり、のぞみとラブ、響が転生後の状態、咲と舞、エレン、アコなどが現在の状態であったので、キュアエコー、当時の現役プリキュアである『スマイル!』を差し置いて活躍した。その時にキュアムーンライトはタネを知り、その流れでガイアの新見薫へ転生していたわけだ。

 

「スマイルの見せ場盗ってんな、お前ら。完全に霞んでるぞ、連中」

 

「目立ちすぎですかね」

 

「俺に比べりゃ、我慢出来とると思うぜ?それにダイナミック・ロボット軍団もいるんだ。場の主役が完全に入れ替わってるぜ」

 

マジンカイザー達の活躍もそうだが、ドリームとピーチも目立っており、スマイルから完全に場の主役を奪っていた。この時にピーチはアギトの力を大っぴらに使い、アギトの紋章を浮かべての『プリキュアキック』を披露している。二人で仮面ライダーアギトの『ストームハルバード』と『フレイムセイバー』も使用しており、戦闘者として、本来の自分達を超越した姿を見せている。その次の戦いが黒江が参加した戦いであり、『ビッグバンかめはめ波』を撃った戦いである。それは既にわかっているので、のぞみAが次に参加した戦いである『ハピネスチャージプリキュア』の時代のオールスターズ戦を見る。本来は夢の世界で起きた戦いのハズだが、現実世界で起こった出来事になっているという差異があった。また、パワーアップ後ののぞみが全力を出した初の戦いである。そうなるように仕向けた黒幕が大ショッカーであったため、のぞみは激昂。黒江たちから伝授された全てで以て戦闘を行い、その戦いぶりが凄まじかったのは映像を見ると分かる。

 

『真覇!!猛撃烈破ぁ!!』

 

黒江がデザリアム戦役当時に『ゲームの再現』ということでまとめた『機神拳』。ちょうど付き合わされた咲、のぞみ、シャーリー、エレン、響、ラブ、マナにレクチャーされ、のぞみはその成果をその戦いで発揮。その強さは『その戦いのプリキュアオールスターズ』では突出していた。

 

「はーん……。お前、トサカにきたろ?大ショッカー相手とはいえ、全力の真覇猛撃烈破とはな。これが原因だよ。間違いない」

 

その戦いは『本来の相手』から『大ショッカー』への戦いに移行し、同じ世界から呼ばれた七人が、救援に駆けつけた昭和七人ライダーと共に戦ったわけだが、デザリアム戦役後の時間軸ののぞみは素体である錦の持っていた攻撃性が『ブチ切れると表面化する』ため、何かと『プリキュアオールスターズの場』にいると誤解を受けやすいので、黒江の二つの戦いでの行為と併せ、人物像で後輩の大いなる誤解を招いている。

 

「ですかね…?」

 

「ボクから見ても、君は相当にキレると怖くなったと言おうか……。あちゃーだよ。ちゃんと、その世界の本人と違うって宣言しないと確実に誤解されるわけで……」

 

「シャーリーがあのアホって言ってた理由がわかったぜ。俺はちゃんと釈明はしてるぞ」

 

「いやぁ……わかるかと思って」

 

「わかるか(わかんないよ)!」

 

そのポカが祟り、のぞみBが僻んでしまったわけだ。しかしながら、史実を鑑みた場合、ドリームキュアグレースになる未来がBには待ち受けているはずである。

 

 

「うぅ……」

 

「いいか?俺達は転生組だ。何かと嫌われやすい。最初からチートしてると思われるからな。最初からチートできるほど都合よくないが、世の中はそう見てはくれんからな。いくらドリームキュアグレースの存在を向こうのお前に教えたとしても、2021年になるまで起きんの確実だろうが」

 

「そ、そうですよね」

 

「それに君、2021年ったら、君等は普通に年齢を重ねていけばアラサーになってる時期だからね?」

 

「あ~~~~~!!そーだった!!」

 

 

のぞみたちは2007年に10代半ばの世代なので、普通に年齢を重ねた場合の2021年時点の年齢は27~29歳の間。つまりはアラサーになっているということだ。映画で共演する『ヒーリングっど』のメンバーが赤子の頃に現役を張っていた計算になるため、のぞみはキュアドリームの姿でがっくりと肩を落とす。

 

「え?それじゃ……」

 

「気がついたかい?ヒーリングっどの子達は君等の……」

 

「あ~~~~~!!ものすごいジェネレーションギャップだぁ~!!」

 

「14年位がなんだ。俺を見ろ、俺を。戸籍上は大正後期の生まれだぞ」

 

「それに仮面ライダーなんて、23世紀時点で数百歳。君とのどかの年齢差なんて、たかが14年じゃないか。ボクなんて、アストルフォとしては1000年近いよ、年齢」

 

「うぅ~。励ましてるって言えます~?」

 

「なぎさとほのかなんて、2021年には31だぞ、31!親になってもいいくらいだぞ」

 

「見た目や肉体年齢は忘れて、戦歴と階級で上下関係はコントロールするべきかな、この際」

 

「そうだな。のび太なんて、32くらいで戦歴は百戦錬磨だしな。俺の戦歴は数百年だが、通算だし、肉体的に何度も死んでるからな」

 

「先輩は死ぬ時ってのが分かるんですか?」

 

「戦いで無理したりして、肉体的にガタがくるとな。二度目の時は300年に届かないくらいの長さだった。霊魂になっても、二度目以降は住まいがあの世になるだけだったからな」

 

黒江たちは本当に肉体の死亡からの転生を数百年の周期で繰り返すうちに神域に達した。そこまでに約500年ほどの時間を要したし、何度も愛する者たちとの別れを経験している。そのために倫理観が人としてのもののままである。『愛』がなければ、死後にゼウスに認められない。それが善性を司る神格への条件である。

 

「一言で言えば、愛だよ。邪な属性を持つ神々ってのはやることも人間臭い。ハーデスなんて、神々の聖域に美青年の姿の肉体を隠してたしな」

 

ハーデスはいくつもの姿を持つ。未来世界における『巨人』としての姿と、その精神の依代であったミケーネ帝国ありし日の皇帝『ギャラハン二世』としての姿は偽りの姿である。その精神体がミケーネ闇の帝王であるが、真の肉体は星矢の世界における美青年のものである。神々は基本的に美青年の容姿であり、オリンポス十二神も基本的に美青少年の姿であるのは周知の事実。黒江も聖戦後に聖闘士になった者として聞いている。ゼウスは人々の前には最高神としての威厳もあるので、基本は壮年から初老の容姿で現れるが、黒江達の前には兜甲児であった頃の若々しい容姿で現れる。ヘラも同様に弓さやかであった頃の容姿で現れるので、お互い様である。

 

「お前らはこれからは肉体的には老けんから、俺らの気持ちが分かるようになるだろう。戦鬼と言われようが、なんかのために戦うってのは覚悟がいる」

 

「ボクなんて、元は英霊だから。時代を超えることは抵抗ないけど、君等はね」

 

「わかってるよ、アコちゃん。シャーリーには紅月カレンや麦野沈利の記憶があるし、あたしにだって、レントン・サーストンの記憶がちょこっとだけど、残ってるからね」

 

「やっぱり、君はレントン・サーストンの転生だったか…。そうじゃないかって思ってたよ」

 

「シャーリーも『アネモネとしての記憶が極僅かに残ってる』そうだよ。本当に断片的だけど、レントン・サーストンとして生きたことは覚えてるんだ」

 

「ずいぶんややこしいな、お前とシャーリー…。組ませて正解だったな」

 

「ルッキーニがクロになってくれて、本当に良かったですよ。今でも、向こうのルッキーニに散々言われてますから」

 

「どーせ、シャーリーの胸は渡さないもんねー!だろ?」

 

「あ、今の声真似、似てる似てるよ、あーや」

 

「あ、イリヤともつるんでるだろ、お前ら。エイラがものすごく嫉妬してるぞ、二人で」

 

「えーーー!」

 

黒江はルッキーニの声真似をする。ルッキーニはスバル・ナカジマを幼く、わがまま風にした感じで演技すればだいたい似る。クロはそれに知的な感じが入るため、ルッキーニとは雰囲気が違うのだ。

 

「向こうのエイラ、お前に嫉妬してるぞ、のぞみ。それも血の涙で」

 

「サーニャをお姫様抱っこしましたからねぇ…」

 

「お前、妙に同性が惚れる要素あるからな」

 

サーニャBは先の戦闘で体勢を崩した際にシャイニングドリームにお姫様抱っこされている。エイラBは人の声にならない叫び声をあげて錯乱したが、サーニャBはその時、見惚れて赤面していた。これがエイラを錯乱させたわけだ。

 

「エイラの奴は……言い方悪いが、同性愛者だ。ウィッチだから許されてるけど、この時代、男なら『社会的抹殺』もあり得た。ミーナの一件があるから、エイラには『公の場じゃ控えておけ』と言ってある。」

 

「ウィッチには多いですからね……そういう手合」

 

「もし、うるさく言われ続けるなら、既婚者だっていっとけ。お前と芳佳は旦那持ちなんだし」

 

それは本当である。日本でもココの転生した人物との婚約は公表済みなので、のぞみは割合、現役時代からの年数経過もあり、許されている。黒川エレンもクラン・クランとして彼氏持ちであることは有名。芳佳はキュアハッピーでもあるが、技師との結婚自体は公表済みである。

 

「向こうの伯爵が手を出したら?」

 

「地獄を見せてやれ。こっちは本当に貴族になったから、渾名関連のネタはできんが」

 

「それと、どう説明します?」

 

「なんだ?」

 

「あたしたちの転生の事ですよ、向こうに」」

 

「向こうの俺たちには話した。自分自身から始めんとキリがないからな。問題はお前だよ。お前は実質的に錦の人格の上書きの形での転生だったから」

 

「記憶が上書きじゃないから、なんとも言えるさ。それと、日本でボクらが叩かれるのは、ネットで素人が書く二次創作小説みたいな状況になってて、能力でチートしてるようなものだからだけど、願いはしても、本当にそうなるとは死ぬ時は考えもしないじゃん?」

 

キュアミューズ(アストルフォ)は妙に的を射た発言をした。

 

「あれ、お前。今日は理性が戻る日だっけ?」

 

黒江はこの扱いだ。とは言え、キュアミューズとしての姿であれば調辺アコとしての知性が活かせるので、英霊としての理性の能力値はあまり関係ないのだが。

 

「と、とにかく!ボクたちは叩かれやすいってことさ。主人公補正も何重に持つの多いし」

 

「そんな次元になったら、本来、俺だって脇役だぜ。ほとんどモブの」

 

「先輩、そこはメタいですね」

 

「のび太なんて、ギャグ補正がシリアスな物語でも働くチートだぞ。大人になってもだ。それに比べりゃ、脇役出身の俺なんてな…」

 

黒江が叩かれる理由は『えこひいきなくらいに目立って、本来の主役である芳佳たちの出番を奪っている』という点だが、黒江は本来の歴史を知っているので、自分は脇役という自覚が残っている。芳佳もそんな黒江の気持ちを理解しているので、覚醒後は黒江を立てている面がある。圭子と違い、本来は主人公属性を有さない一脇役であったために、黒江は智子や圭子の持つモノを求めてきた側面がある。そして、ドラえもんも度々発言してきたメタい発言を連発する。

 

「主役も脇役もねーんだよ、生きてるお前がお前の物語の主役なんだよ」

 

「ケイ先輩」

 

「アストルフォが菓子を買ってきたって聞いてな。あたしはハンナと会うことでそれを学んだ。お前らもそうだ」

 

「お前、たまーに的を射た事言うよな」

 

「そういうのがあたしの役目だ。それに、そういう道は20年前にフェリーチェが通ったぜ」

 

黒江は自分の立ち位置に不安を抱えていたが、圭子は持ち前の言動でぶっ飛ばす。圭子も転生前の事故の後に悩んでいたし、自分の立ち位置の変化に最も抵抗がない。黒江の姉代わりとも取れる態度なのは、転生前は『黒江ちゃん』と呼んでいた頃の名残りだろう。

 

「フェリーチェも20年前、神様の後継になる因果から切り離されて、みらいたちがいなくなったのを知らされた時は、あの姿で泣きじゃくった。それに手を差し伸べたのがのび太だったからな」

 

アイデンティティを失い、家族も失って、生き残ってしまったキュアフェリーチェ。のび太が12歳の頃、こうぶちまけた。

 

――どうして、私を助けたのですか!?私にはもう……祝福を与えるべき大地もなければ、守りたい家族も誰もいないのに!――

 

キュアフェリーチェはその時、自分よりも年下の少年に『花海ことは』としての悲しみを吐露し、悲憤のあまりに感情的に喚いた。だが、のび太は12歳とは思えぬ態度で諭した。

 

「いいかい、はーちゃん。君が生き残ったのはね。君だけでも生きてほしいっていう、君の家族の思いなんだよ?」

 

12歳の少年とは思えぬ、達観した口ぶり。のび太は物言わぬぬいぐるみに戻ってしまったモフルンを見せる。自身も悲しい別れを幼少期から何度も経験してきたからこその言葉であった。

 

「この子が身を挺して君を庇った。ZEROに力を奪われた君を生き延びさせるために。それはこの子の思いなんだ。今、ここに君が居る事を僕も嬉しく思ってるんだ、僕も大切な家族を喪ったけどまた会う機会があったんだ、前を向いて、また会える可能性を信じよう。ね?」

 

のび太のこの時の顔はとても優しく、彼の手が何よりも温かく感じたキュアフェリーチェ。彼女はのび太にそれまでの愛とは別の何かを見出し、のび太を信じ、やがて親愛を懐き、家族の一員になることを選んだ。それを教えるケイ。

 

「のび太くん……かっこいい~~!はーちゃん、メロメロじゃないですかー!」

 

「調がそれまでの全てをかなぐり捨てる勢いで来て、フェリーチェも落としやがった。それ聞いたとき、あたいはスケコマシだと思ったぜ。妙にモテやがる」

 

のび太の慈愛あふれる側面に触れた者はもれなく、自分を犠牲にしてでものび太を守ろうとした。フー子しかり、満月美夜子しかり……イチ(犬の国のリーダー)しかり…のび太は子供の頃は相応に邪なところもあるが、二人の『妹』を得たことで、そういった邪さは消え、高潔な人物に成長した。ガンスミスや仲介役以外でゴルゴと友情を育めたのは、『ヒューム卿』以外では彼が唯一である。

 

「そっか、はーちゃんが大事にしてる、子供の頃ののび太君とドラえもん君との写真って……」

 

「ああ。その数日後に撮った奴らしい。結構、その間の数ヶ月を見てみろ、おもしれぇから。元の姿に戻れなくてパニックになったり、あの姿でのび太の親に挨拶する羽目になったり…せっかく、綾香がタイムテレビ出したんだ。見てみろ」

 

「今、ダイヤル合わせてる。たしか、2000年の前後だったな?」

 

「そうだ。おもしれぇ構図満載だぞ。みらいたちを呼ぶか?」

 

「いや、あいつら、今日はシフトで出てるぜ」

 

「んじゃ、ボクたちだけで独り占めだね」

 

黒江はダイヤルを圭子の言う日付に合わせていく。かつての一軒家時代の野比家の居間が映り、そこで元・神の後継者にしては情けなく見えるが、緊張を和らげるためのおまじないをこっそり繰り返している姿が見える。キュアフェリーチェは基本的に超然とした態度を取る場合が多かったので、冷や汗タラタラでおまじないをこっそり行う姿は先輩である二人も初めて見る。そして、のび太の両親がやってきて……。

 

「なんか新鮮だなぁ。あの子、超然とした態度取る事多かったし」

 

「表情も素の時のそれだし、めっちゃ緊張してない?」

 

「プリキュアの姿でちゃんとした挨拶なんて、普通に考えれば羞恥プレイだよ、のぞみ」

 

ミューズもドリームもこのコメントである。カチコチに緊張しつつも、『花海ことはと言います。今度ともよろしくお願い申し上げます』と挨拶をするフェリーチェ。緊張しているのか、言い回しが多少変であったが、のび太の両親は快く迎え入れる。のび太と調が予め、お膳立てをしたこともあるが、フェリーチェの大人びた外見と裏腹の純真さを感じ取ったからだろう。その後は野比家の一員として徐々に馴染んでいく風景が映っていく。みらいとリコがいたら悲鳴確実な『少し不思議』な日常。そして、この頃から再整備され始めたのび太の部屋の向かいの部屋(のび太の祖母が生前に使っていた部屋)にみらいたちとの写真を置き、のび太の気遣いで、のび太が祖母からもらい、その後も大事に保管しているくまのぬいぐるみの隣にモフルンを安置したりするなどの様子が映し出される。元々、見かけは10代半ばでも、言動などに幼児性が強かったことはだが、フェリーチェの姿でいる時間が長くなったため、ことはの姿に戻れるようになった後は精神面での成長が始まり、数年後に中学校に入学する。正式に野比家の養子になったのは、のび太の中学生時代のこと。プリキュアであることが認知されたのは、咲と舞のアニメが放映された頃以降の事だが、それ以前でも『キューティーハニー系の魔法少女』という認識であった。

 

「みらいとリコが見たら、泡吹くよ。家族でレストランに行く時に変身するなんて」

 

「まー、はーちゃんがプリキュアだって認知されたの、2006年を過ぎた頃だからな」

 

これものび太の街の凄いところ。普通に変身した魔法少女がレストランや喫茶店で食事ができるのだ。しかも、変身が正装扱いされるというおまけつき。これものび太の街の真骨頂。フェリーチェは後に、『私は本来の運命から弾かれた別の存在なのでしょうね』と、野比家の養子になった事などを上げて、アニメとは別の道を辿ったことを明示しているが、野比家での暮らしが彼女に新たな拠り所を与えたのは事実である。そして、2011年頃に大学に入ると、フェリーチェの姿で通い通し、町内新聞を賑わせた。

 

「みらいちゃんがキュアミラクルの姿で大学にいきたいって言った原因は……」

 

「この時の様子だね。ボクもやろうかしら」

 

ミューズも冗談めかして言うが、後にそれは実現する。プリキュア達は各自の判断で後々にキャンパスライフをやり直す事になるのである。シャーリーも高級将校になるために大学に行くことになるので、結局、プリキュアの多くはキャンパスライフをやり直すことを選んでいくのだった。

 

 

― 一同がフェリーチェのキャンパスライフに触発されたからだが、やがて、大卒という学歴が大衆のステイタスになりはじめると、他のウィッチたちも通信教育や夜学で大学に行くケースが生じ始める。日本との接触での一番のメリットは良質の高等教育の女子への浸透だったと言える――

 

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