――自由リベリオン軍は『陸軍管理本部』の束縛が無くなり、メタ情報もたんまり入ったため、史実と異なり、M4中戦車への執着はまったく無くなり、兵器カテゴリーそのものが旧態依然と化した戦車駆逐車も一部以外を手放す事になった。これはM4と戦車駆逐車がよってかかって『鉄の棺桶』と化したダイ・アナザー・デイの戦訓によるもので、欧州の至るところに数多くの屍を晒しまくったものを配備し続けては、兵士の士気に関わるからだが、兵站上の都合、生産力の都合もあり、ダイ・アナザー・デイ後も残存するM4は史実の末期型であるイージーエイトタイプへ改良され、1950年代を通して現役であった。自由リベリオン軍はM48を暫定的に主力としつつ、M60戦車の製造を考え始める。ちなみに、パットンは史実で『M4は必要な性能を満たした戦車であり、更新は不要』と発言したのを論れ、散々に『人命軽視の戦争屋、無知なくせに戦車を語る』とマスコミに叩かれたため、『別のワシの発言にまで責任取れというのか!?そこまではできんよ!!』と、散々にぼやく羽目に陥った。とはいえ、M48はM4に代わる主力戦車(繋ぎ)として双方のリベリオン軍で使用され始める。パットンは自分の名が次期戦車に使われたことにはご満悦(本国では『シャイアン』であったが)であった。この頃になると、自由リベリオン軍の規模も二個艦隊/二個航空軍/二個師団に拡大した。小さいように思えるが、どちらへも帰属を決めない独自勢力化したリベリオン軍部隊も多かったからで、リベリオン軍は1940年代後半、おおよそ三つの勢力に分裂してしまったのである――
――64Fの管轄区域では、この日も敵戦闘機の侵入警報が鳴り響き、戦闘機操縦技能のある者が対応していた。敵機もいよいよ戦後第二世代機に進歩し、本格的なジェット時代の空戦の時代に突入した――
「敵はいつものF-11とデルタダートだ。ケツを取られんように注意しろ」
「了解」
キュアビートはこの日、自身専用にチューニングされたドラケンを使用していた。クラン・クランとして高い操縦技能を持っていた彼女は黒江に薦められ、ドラケンに搭乗。元から1950年代の戦闘機としては極めて良好な機動力があるため、それに未来技術による改良が加えられた結果、ミサイルの搭載量が少なめだが、この当時では間違いなしに第一級の戦闘機であった。史実より早めの戦史への登場かつ、開発メーカーもビックリの『南方での運用』であったものの、運用に懸念されたほどの問題はなかった。ドラケンは扶桑国民向けの愛称は『龍騎』とされたが、現場ではもっぱら、『ドラケン』が使われていた。南洋での迷彩塗装がなされ、日の丸を頂く同機はまさに南洋を守る盾であった。
――当時の扶桑で最高練度を誇る64Fの日課であった『定期便』と揶揄される敵機の迎撃。当時の扶桑の最前線部隊で、現代空戦において、日本の航空自衛隊に何ら遜色ない練度を発揮できるのは64Fを置いて他におらず、敵のジェット機の迎撃はもっぱら64Fの日課の一つであった。キルレシオは64F優位の七対一。これは64Fの搭乗員の大半が実戦経験豊富なベテランであった事、敵方のパイロットの練度が総じて高いとは言えない場合が多かったためと、電子装備の性能差も関係している。また、64Fはパルスレーザーで実体弾機銃を実質的に代替しているため、機銃の射撃回数に制限が無いに等しい。これは敵への大きなアドバンテージであった。元はダイ・アナザー・デイで『レシプロ機の大群をジェット機で突破するため』の対策であったが、有用性が評価され、そのまま装備されている。これは戦後のジェット戦闘機の機銃はベトナム戦争後は『お守り』代わりにつけられている面が強い(すぐに弾切れする)のに不満を持つ者たちが扶桑には多いからである。対重爆対策に『陽電子機関砲』も64Fには導入されており、時代を超えた装備が集積されていた。
――基地の隊長室――
「ウルスラにはショックでしょうな」
「帰ってみれば、カールスラントは内乱でズタボロ、太平洋戦線以外の戦線は殆ど有名無実化しているものね。カールスラントの内乱は?」
「NATOの介入が始まりました。あと一週間もあれば平定されるでしょう」
「ドイツの高慢が招いた事態ね」
「史実でナチと東ドイツに与した者を未然に権力の中枢から排除し、戦前の支配層の基盤を破壊し、民主共和制にするための下地を整えたかったんでしょうが、ガリアの醜態で『象徴を持たない』民主共和制に不信が生まれたんですから。当のガリアの権力者が権威に頼ろうとしましたからね。とんだお笑い草だ」
坂本Aの言う通り、ウィッチ世界では、象徴的存在を欠いた上での民主共和制はあまり広がらなかった。怪異やティターンズの脅威に立ち向かうためには、『人心を一つにまとめる象徴』が絶対に必要だったからだ。立憲君主制がベターとされたのは、この時代から『世界の覇者』として成長し始めた日本連邦が立憲君主制であったからである。ノーブルウィッチーズが死産に終わってしまった時点で、体制としての民主共和制はウィッチ世界での『国の体制のベストな選択』から滑り落ちてしまったのだ。
「ペリーヌも言っていましたが、革命で貴族や王族を大量に虐殺しておきながら、今更、その権威に頼るほうがアホらしいんですよ、あの国は」
政治に興味のない坂本にさえも断言されるほどに権威が失墜したガリア共和国。同時にガリアの様々な派閥に敵視され、暗殺未遂されまくっているペリーヌに同情する。とはいえ、今や権力者となったド・ゴールに物申せるために、ペリーヌは本国で人望がある。
「Bを影武者に使っているのは?」
「本人も了解している事よ。慈善活動の様子を向こうに流しておかないと」
ペリーヌAは現在、『紅城トワ/キュアスカーレット』として、プリキュアオールスターズの一角を担っている。その一方で、扶桑のニュースで『予備役中佐』として慈善活動に精を出す彼女の姿が報道されている。そのからくりはBがAの『影武者』となっているからである。ペリーヌBは1948年頃に、ひょんなことから、Aが紅城トワと同一人物であることを知ってしまった。Bは口を閉ざす代わりに、Aの予備役編入後の表向きの活動である慈善活動を自分が行うという条件を提示。Aも呑んだため、ペリーヌはこの頃になると、慈善活動家としての名声を得ていく。ちなみに、Aは『紅城トワ』の人格に肉体を委ね、休眠中である。
「ガリアが今、戦争どころでなくなっているのが救いか…」
「ええ。多分、50年代にアルジェリアで一戦交えるつもりでしょう」
「馬鹿な、そんな余裕があるはずが」
「資源地の確保のために、日本連邦が進めるであろう『植民地解放』に抵抗するでしょう?向こうの軍事力は日本連邦に抵抗できないくらいに衰弱しきっているのを理解できないのよ」
「リシュリュー級で超大和型戦艦に勝てるとでも?一発で轟沈しかねませんよ」
「多分、こっちの戦艦を見ただけで泡吹くでしょうね。リシュリューは所詮は前大和型戦艦。こっちは太平洋で鍛えられた超大和型戦艦。多分、一瞬で決まるでしょうね。轟沈しなくても、浮かぶ廃材になるでしょうし」
ガリアは大和型戦艦に対抗できると目されたアルザス級の残された船体の完成が遅れた(三番艦と四番艦の完成がペリーヌの提言で遅れた)事もあり、旧型になりつつあるリシュリューで大和型戦艦を更に超えるバケモノと対峙せざるを得なくなる。これは確定している『未来』である。日本連邦は他国の戦艦を時代遅れにするべく、50cm台の超大口径砲を艦砲として普及させる。純粋な汎用性より『艦隊決戦の勝利』のために艦砲を大口径化させたことは、1945年には失笑を買っていたが、怪異の進化、未来技術による強化で超高性能化に成功し、物量に勝るリベリオン軍を向こうに回しての大活躍をしたことを軽視していたのである。
「ガリアはわかっているんでしょうか?」
「わかってたら止めるでしょう?モンタナ級を複数相手取っても、尽くを返り討ちにできる事の意味をね」
日本連邦は強力な戦艦を『敵の戦闘・補助艦艇の量産阻害のためのデコイ』として活用しているが、日本連邦としても、予想以上の強化にご満悦である。特に史実では、砲身製造能力の都合と日本海軍の方針で整備が避けられた『大口径長砲身砲』がポンポンできる上、未来技術でショックカノンとしての運用も可能という事に。敵の物量は圧倒的と言えど、国の人的資源そのものには限りがある。それが日本連邦にとっての一縷の希望である。史実の大日本帝国が開戦から一年半か二年で軍の人的資源の備蓄を使い果たしたように、如何にリベリオンと言えど、人的資源には限りがある。ウィッチ部隊が早くも有名無実化したように。日本連邦はそこに勝機を見出そうとしている。戦争の大義名分は自らにあるが故に。
――カールスラントの内乱は失業軍人(皇室親衛隊など)の抗議デモを火種に、同位国の言いなりになるカールスラント政府を打倒しようと、軍部隊が蜂起。NATOはこれを21世紀型兵器で鎮圧していった。レオパルト2やチャレンジャー2、M1などのMBTとNATO軍の航空支援の前に為す術もなく反乱軍は鎮圧されていき、数週間もあれば、全土を鎮圧の見通しであった。とは言え、カールスラント国民の不満がかなり大きいのをようやく実感したドイツ連邦共和国は軍備再建についての制限を遅まきながら緩和し、NATOの監視のもと、『オストマルクまでの地域の防衛に足る程度まで』の陸空軍の再建、リベリオンへの抑止力たるまでの規模の海軍の再建が容認された。戦艦は旧式のビスマルク級をただ増勢するのではなく、バダンからの鹵獲戦艦(H41級)の修繕で規定数まで増やすこととされたが、カールスラントの面子にできるだけ配慮しなければ、今度は民衆の手による蜂起が起きる。NATO諸国はそこまでの事態を避けるため、早期の鎮圧を行う一方、『ナチスが影も形もない世界に、ナチスがあることを前提にした』公職追放や軍のリストラを強権的に進めたドイツ連邦共和国を強く責め立てた。ドイツ連邦共和国はこの『同位国への強権的振る舞い』という政治的失敗で、結果的に、自分の世界での欧州連合やNATOでの地位の低下に喘ぐという自業自得の結果となってしまう。ウルスラはその内乱の直後に帰国してくる事になった。――
――キュアドリームらの実在は2020年当時に日本で制作中のアニメ映画に影響を及ぼした。扶桑が(戦争の軍資金を得るために)意図的に流したダイ・アナザー・デイ、大決戦、デザリアム戦役での彼女たちの奮戦の映像は衝撃を与えた。特に『栄光の七人ライダー』を始めとする『昭和仮面ライダー』との共闘は度肝を抜いた。特に、ドリームは七人ライダーの筆頭格と目される『仮面ライダーストロンガー』や『仮面ライダーV3』から『妹分』と見なされている様子が伝わった結果、扶桑への売り込みも兼ねて、当初予定より『プリキュア5』の『出番』が増やされる事になった。また、ダイ・アナザー・デイ~デザリアム戦役の期間に『新パワーアップフォーム』に開眼したり、自己意思による『シャイニングドリーム』への変身を可能にしていたことは、当時の現役プリキュアである『ヒーリングっど』のキュアグレースに付与する事が検討されていた新フォームの構成の見直しに寄与した。これが『ドリームキュアグレース』の誕生に繋がることとなった――
――ドリームが実質的にブラックに次ぐプリキュアの顔役と見なされた理由は多々あるが、『プリキュア5』が映画のゲストに選ばれた理由は『アニメに出しやすい』、『初代に近い世代のプリキュア』である、『2021年当時に若者となった世代にとってのプリキュアである』の三つが大きな理由であった。現実に現れたキュアドリームが独自の新パワーアップに覚醒めていたことは制作側には予想外の出来事であったが、普通に『シャイニングドリーム』のさらなる強化系であったことは一応の安堵をもたらした。本人は扶桑の戦争に参加中であったが、映画の監修に、のぞみの後輩のキュアミラクル/朝日奈みらいとキュアラブリー/愛乃めぐみの二人が携わる(制作側の要請にスケジュールが合い、なおかつ、のぞみ達と直接の面識がある後輩がこの二人であった)事になり、制作側の計らいで二人がカメオ出演するシーンが加えられることになった――
「あ、みらいちゃん?どうしたの?……え、春のプリキュア映画の監修をめぐみちゃんと一緒に!?」
「うん。他のみんなはスケジュールが合わないって言うし、のぞみちゃんたちをよく知ってる後輩を先方が望んでね。リコを通して、わたしに話が来てね。それでもう一人を探したけど、みんな長期休暇取れないでしょ?で、どうにか捕まえられたのが、めぐみちゃんだったわけ。リコに拝み倒して、舞台挨拶にはキュアミラクルの姿で出るよ。サポーターの名目で。わたしたちは、はーちゃん以外は単独変身できないしね」
「大変だねぇ。それとゴメン。あたしがやらないといけない仕事を押し付けちゃって」
「いやぁ、こういうのさ、いっぺんやってみたかったんだよね~」
「めぐみちゃんにも、よろしく言っといて~」
「オッケー~」
みらいとの電話を終えたのぞみ(キュアドリーム)。みらいは長期休暇を取り、めぐみと共に野比家に滞在中だが、制作が佳境に入りつつあった映画の制作に携わる事になったと伝える。映画の箔付けとして、他の世代のプリキュアの『監修』のクレジットを載せたいのだろうが、のぞみも信頼する二人が監修に入るのであれば、問題ない。
「みらいちゃんから電話でした。春の映画の監修に入るそうです」
「映画の箔付けに呼ばれたな?製作が佳境に入った映画にちょっとした追加要素でも入れたくなったんだろう。お前ら『プリキュア5』は、2021年に高校生くらいの世代にとってのプリキュアだ。本物がいるとわかりゃ、製作側も箔付けに声をかけるだろうさ」
黒江はそういうが、実際に話が来たタイミングは追加シーンの挿入がまだ間に合う段階であったため、みらいたちの要望に沿う形で軌道修正がなされ、のぞみの変身シーンのみは挿入に成功した。『本人たち』に配慮するため、シナリオに多少の変更があり、グレースとドリームの見せ場を増やしたため、しわ寄せでミルキィローズなどの出演シーンが予定より削られてしまったという。
「でも、実際のあたしの強さは反映される可能性は低いですよね?」
「いや、お前は扶桑のプロパガンダで使われてるんだ。歴戦の勇士ってことで『現役時代』よりは盛られる程度には描かれるだろう。お前が実際にどんだけ強くなったかは『大人の事情』で描けないけどな」
「大人の事情か~……」
「草薙流古武術、波紋法、流派東方不敗、飛天御剣流、機神拳。日本でアニメやゲームの中の産物扱いされてるような代物……流派東方不敗は後に実在が確認されたか……を覚えさせたが、大人の事情でアニメには出せんからな。おまけに、ココのおかげで『超弾動』にも覚醒めただろ?そんなの、アニメで出せるか?」
「無理ですね~。波紋法もやっとマスク取れたけど、大変でした」
「日本は扶桑のプロパガンダを半分は信用してないが、お前が南斗聖拳と渡り合えるくらいの実力を持ってることは信用してるからな」
「ボクだって、アストルフォと同一人物だってのはさ、コ○ケで暴露しなけりゃ信じてもらえなかったさ。君は前世の不幸な後半生を背負ったおかげで、波紋法の素質を偶然に得た。神様の褒美だろうね」
「でも、肉体的に老けないんだし、メリットはあまり…」
「老けないことのとりあえずの大義名分にはなるさ。それに心の鍛錬にもなる」
キュアミューズはアストルフォが転じた姿としての存在になっている分、『大人』としての発言が増えている。英霊がプリキュアとして転生し、双方の要素を備えて再度の転生を遂げた。その数奇な経緯もそうだが、この時点では『プリキュアのご意見番』の一人としての地位を確立させていた。
「みらいたちが映画をどう監修するかは楽しみにしておこう、今後のね」
「うん。でも、めぐみちゃんに悪いなぁ。めぐみちゃんが現役時代に一緒に戦ったあたしは『あたしじゃない』し……」
「君自身であることには変わりないだろ?めぐみが君達の叱咤激励で立ち直れたのには変わりないからね。そのうち、取り上げられるかもね。その時にしたっていう『ラッキークローバーの応用技』」
「みらいからの追加メールで、お前がドリームアタックを何度か撃ったおかげで、今の姿(GOGOのコスチューム)でも、あれを使える設定に直されたそうだぞ。後期のクリスタルシュートはアイテム必要だから、無理があると判断されたそうだ」
「流石に前口上は省略してますけどね、アハハ~…。もう『夢見る乙女』って歳でもないし」
「ま、そんな事言ったらさ。ボクだって、小学生はとっくにやめてるさ」
「ま、実際のあたしはアイテム無しで撃てる様になってますけどね。でも、良いんですかね?あのショッカーV3にトドメをささなかったの」
「組織の手でベルトを修復するしか無くなるし、本物のV3なら、また返り討ちにするさ。なんなら、お前の手で奴に引導渡してもいい。クリムゾンスマッシュ、タキオン粒子でのライダーキックでも良いぞ?」
「先輩、したんですね?」
「ああ。大決戦の時に、お前の姿でな。智子はピーチの姿で『ドラゴンライダーキック』かましてたっけな。あん時、キュアマリンにお前の姿で怒鳴っちまったから、それで誤解が始まったんだろうが……」
「せぇんぱ~い~~!!」
「そう怒るな。その代わり、強烈に印象は残したと思うぜ。エンペラーソードも使ったし、シャインスパークも撃ったからな」
マリンに誤解される直接の原因がわかり、思わず怒るドリームだが、黒江が大決戦であれこれしたおかげで、一部の後輩から『伝説の戦士』扱いで見られているのも事実。Bが僻んだ一つの原因は『シャインスパーク』の存在で、シューティングスターの完全上位互換の技を『別の自分が撃っていた』ことにある。のぞみは二年目以降は『初の正式なピンクをカラーにするプリキュア』である事の自負からか、その時期からの極め技である『プリキュア・シューティングスター』に自信があった。Aは特訓などで技を破られ、実戦でも破られる事が何回もあったので、実質的な上位互換の必殺技の『シャインスパーク』やエネルギー放出技の『カイザーノヴァ』の習得で活路を見出したが、Bは『代替となる技がない』という心理状態で技を何回も封じられたり、真っ向から破られた結果、僻んでしまった感は否めない。
「シューティングスターと違うって言われませんでした?」
「殆どの連中には、二回目の時な。ゲッターシャインの時に腕をクロスさせないで、両腕を広げてから、空間に満ちるゲッターエネルギーをチャージしたからな。光も白色で、破壊力もシューティングスターの比じゃなかったから、驚かれたよ。それより、エンペラーソードかな?雷を召雷して、見るからに無骨なデザインの大剣が実体化して、それで剣風を巻き起こして斬りまくったから、大決戦の時にいた5の連中は目が点になってたっけか」
「君、得意分野で暴れるわ、戦場で響と一緒に歌は歌うわ、完全につぼみたちを食ってたもんねー」
「え、歌ったの?」
「打ち上げの時に、『ライオン』、『僕らの戦場』、『ニューフロンティア』、『ダイナマイトエクスプロージョン』、『リメンバー16』、『ワルキューレがとまらない』、『星間飛行』……あ、『愛・おぼえていますか』も歌ったっけ?」
「ライト・ザ・ライトもだ。シャーリーとデュエット、エレンのギターでな。なぎさが完全に固まってなー。うららはお株を奪われて、悔しそうだったな、そいや」
「うららは本職だからねー」
「え、えぇぇ~~!?」
腰を抜かすドリーム。ここで、キュアレモネードがキュアメロディに時々、歌い手としてのライバル心を見せるのか気になっていたが、大決戦の際に本職(うららは芸能プロダクション所属のれっきとしたアイドルである)の自分が霞む『スペシャルライブ』を披露されたためだという事が明らかになった。春日野うららがポップな曲調の『如何にも』なアイドルソングを持ち歌にしていたのに対し、黒江とシャーリー(北条響)はポップミュージックのみならず、本式のロックミュージックも華麗に歌いこなし、うららは二人のキメ台詞の通りに『女神の詩』を聞かせられた。うららが最近になって、生前は女優業のついでという認識だった音楽活動に精を出しているのを怪訝そうに見ていたのぞみは、この時にようやく、『事の真相』を知ったわけだ。本式に歌の訓練を詰み、『その気になれば、歌手として食っていける』ほどの歌唱力を持つ二人が本気でライブすれば、サウンドエナジーが可視化するほどのエネルギーが観測される。
「それでうらら、歌の訓練しだしたんだ」
「シェリルやランカ、ファイヤーボンバーと知り合いだからな、俺とシャーリー。俺なんてな、グレイス・オコナーに『才能がある』って言われてたぞ」
「うららが気の毒になってくるなぁ」
「真琴もそうじゃない?」
「あ~~~~~!!」
ライブという単語に最も反応するであろう春日野うららと剣崎真琴。二人の後輩の事が頭に浮かび、素っ頓狂な叫びをあげるキュアドリームだった。