――地球連邦軍はジオンが公式に解体された後の仮想敵を大ショッカーや宇宙国家(侵略的)、宇宙怪獣にシフトしていった。外征艦隊が次元航行能力を本格的に得た事もあり、地球人類は30世紀からもたらされた『イルミダス』という国家の情報に恐怖を抱いた結果、科学技術を急速に、貪欲に、凄まじい勢いで発展させ始める。宇宙怪獣がある神の意思で発生したのなら、神をも超えるしかないと。これがオリンポス十二神のゼウスのいう『宇宙を食らう機械のバケモノ』たるゲッターエンペラーの誕生に繋がった。ゲッターエンペラーは『地球人と地球人に友好的な種族』を守護するスーパーロボットだが、敵と判断すれば、星系ごとの抹殺も辞さない。それは自身が誕生する以前における時間軸の存在だろうが適用する。ゲッターエンペラーはそこを指して『暴虐』とされるが、22世紀末期から立て続けに『虫ケラには死あるのみ!!』を地で行くような侵略を受け続け、人類同士でも血で血を洗う争いを続けた結果であるため、銀河連邦でも同情されている存在である。(ガミラス帝国、ガトランティス帝国はゼントラーディと共に、地球人類が『侵略には母星破壊、星系破壊で返す』という恐ろしい選択肢を躊躇しなくなるきっかけと、30世紀の人類(ハト派)に強く非難されている。宇宙の生存競争に親愛などいらないという原初のルールを教え込んでしまった存在だと――
――しかしながら、ガミラス帝国には一応、種の生存のためという目的があった。だが、医療技術の進歩で母星の環境に依存する必要も無くなっており、移民先も見つかったため、ガルマン・ガミラスに体制が世代交代した後は地球の友好国に転じ、銀河連邦での事実上の地球連邦政府の後ろ盾の一つとなっている。ある日、ガルマン・ガミラス帝国総統に就任したばかりのデスラーは個人的に親友である古代進に『ボラー連邦』という国家の成り立ちを教えていた――
「ボラー連邦の成り立ち?」
「そうだ。ボラーは元々、古い歴史がある帝政国家だった。ある時、帝政の腐敗を憂いた一人の思想家が革命を扇動し、帝政を打倒。周辺の惑星国家を取り込む形で連邦を形成した。君等の地球でいうソビエト連邦によく似た歴史だよ、古代」
「しかし、ソビエト連邦は理想と現実の差が次第に歪みを生み、崩壊した」
「うむ。ボラー連邦はやがて、その歪みが表面化するだろう。それを抑えるために、君たちの太陽系に手を伸ばすだろう」
「まさか、太陽系は銀河全体からすれば、片田舎の星系のはずだ」
「私達が過去にそうだったように、地球のある太陽系は魅力的なのだよ。太陽の寿命もシャルバートの技術さえ手に入れば、自由にコントロール可能だと息巻いているのがボラー連邦だ」
ボラー連邦は旧ソビエト連邦に近い歴史を辿った結果、宇宙時代におけるソビエト連邦的ポジションだと認識されている。ガルマン・ガミラスが米国に近いポジションだろう。なお、デスラーはガミラス時代と違い、国民の信任を得た上で総統になったのと、自身に愛があったのを告白したためか、(ガミラス時代は世襲で継いだが…。)以前より地球人類に共感するようになっており、以前より高潔な人格に変わっている。スターシャへの叶わぬ愛が彼を変えたと言える。
「地球連邦はボラー連邦と国境を接している。そのために、国境地帯の移民星と地球の往来に支障をきたしている。どうにかならないのか?」
「私の方でも、ベムラーゼ首相などと話し合いをしてみよう。銀河連邦の議会でも取り上げてみよう」
「頼む」
この時に古代とデスラーが話題にしたボラー連邦の傍若無人さは、同時期の銀河連邦でも問題視されたが、ボラー連邦首相のベムラーゼは『内政干渉である』と突っぱね、国境付近を通る船の拿捕などを通達。運悪く、その被害第一号が小競り合い中のガルマン・ガミラス帝国の民間観光船であり、観光船の乗員乗客を皆殺しにされ、憤ったデスラーは報復のため、第一機甲艦隊(ガルマン・ガミラスは戦艦主体の艦隊に機甲~とつける風習を持つ)に最新兵器「惑星破壊プロトンミサイル」の使用を許可。ボラー連邦の保護領の惑星国家を滅亡に追い込む。しかし、同種のミサイルをボラー連邦も有していたために、戦いは地球でいう『核戦争』の様相を呈していく。銀河連邦はそれに必然的に巻き込まれ、なし崩し的に宣戦布告。ボラー連邦はガトランティスに代わる『敵性国家』と認定されていく。このガルマン・ガミラスとボラー連邦陣営が始めた、銀河の制海権を巡る核戦争級の大戦争を『銀河大戦』と後世では呼ぶ。後に地球連邦はボラー連邦となし崩し的に戦端を開く事になり、ガルマン・ガミラス陣営として大戦に参加。デザリアム戦役から極めて短期間で『オリオン腕の文明の存亡を左右する』大戦を戦い抜く羽目に陥る。しかも、その最大の大艦隊戦は地球と月の近くで起こり、ガイアの地球連邦防衛軍とアースの地球連邦軍が連合艦隊を組む形でボラー連邦に断固たる抗戦を行う事になる…。
――23世紀でボラー連邦とガルマン・ガミラスがきな臭い情勢になっているのと同じ頃、プリキュア5の世界は大ショッカーとそれに敵対する者たちのにらみ合いになっていた。お互いに動きを取るのを避けているからである。兵站体制が整っていないのに、攻勢をかけるのは愚策であると、お互いに経験則でわかっているからだ。キュアドリームAは作戦の指揮を任され、黒江と圭子はアドバイスはするが、一戦士に徹する事になった。これは黒江と圭子は八甲田山の集団遭難事件の失敗を知っているからである――
「あたしが指揮を正式に?」
「これはお前の仕事だ。俺らはアドバイスくらいしか口出ししない。軍で指揮訓練はやってないわけでもないだろう?八甲田山のことは知らんわけでもあるまい?」
「あー……あれ、前世で三回見ました。二回くらい途中で寝たけど」
「お前なぁ…」
と、いうわけで佐官としての修行も兼ねて、指揮を執ることが正式に決まったキュアドリームA。咲も『いつでも、あたしが動けるわけじゃないから、のぞみちゃんには修行してもらわないと』とコメントを残しており、咲ものぞみを高く買っていることが分かる。
「お前用のV2アサルトバスターの整備は一両日中には終わる。操作系は優しいから、ダブルエックスよりむしろ簡単だ。問題はそれを扱えるかどうかだが」
「ビームシールドと光の翼かぁ…」
「お前、ドリームキュアグレースルートからは外れたろ?それで、日本からファンレターが来てな。その兼ね合いもあって、V2を回した。グレースは変身にまだ慣れてないし、あれになるには、プリキュア5とグレースの持つエネルギーだけでは足りんようだしな」
「しっかり、調査はしてるんですね」
「まっつぁんから言われたんだよ。自分の部下のことはしっかり把握しとけって」
「さすが大先輩……」
黒江はなのはの失態とのぞみの覚醒直後、赤松から『坊主、自分の部下のことをしっかり把握するようにしろ』と言いつけられており、それを守っている。その調査によれば、ドリームキュアグレースへの変身に必要なエネルギーは『プリキュア5全員とキュアグレースのエネルギーを合わせても不足する』ほどであるので、5と「ヒーリングっど」の全員のエネルギーを一つにしなければ不可能だと判明した。その能力値も未知数であるなど、不確定要素が大きく、黒江は『今の所は戦略には組み込めない』としている。
「だから、お前の現役時代の遅刻回数も……」
「ち、ちょっとぉ!?」
「大丈夫だ。日本のオタクは全員知っとる」
「嘘ぉ……」
ズゥンと落ち込むキュアドリームA。自分が現役時代に遅刻の常習犯だった事が『子供でも買える本』に書かれている事はショックだったようだ。
「ほれ、HK417だ、持っとけ」
黒江はドリームAにHK417自動小銃を渡す。ヘッケラーアンドコッホ製のもので、自衛隊も少数を持つとされる。
「あれ、ヘッケラー&コッホじゃないですか」
「89式だと、連中には威力不足だしな。のび太の勧めもあって、用意しといた」
「64式を使えば……」
「あれは武器科とか曰く、状態が良いのが少なくなってるからだと」
64式小銃は21世紀も20年を超える頃には『良好な状態の個体』が少なくなっており、たとえ『戦闘での止むなき投棄』でも、防衛省はいい顔をしないため、Gフォースは自衛隊制式の小銃は実戦ではあまり用いなくなり、G3やHK417などを用いるようになっている。これは対大ショッカー戦では、21世紀標準の5.56ミリ弾より、7.62ミリ弾のほうが確実に効果を見込めるという事情、自衛隊の小銃は投棄した場合、後で大目玉を食らうからでもある。古めだが、名銃の一つである。そのため、真の意味での実戦部隊であるGフォースでは外国産小銃が好まれる傾向が強い。
「先輩、ドイツ製も扱えるんですね」
「ああ。のび太や敷島博士のおかげで、古今東西の自動小銃に触れたんでな」
「あのジイさん、部屋に古今東西の銃を飾ってましたからねぇ…」
黒江はのび太や敷島博士のツテで銃器のエキスパートと言えるだけの知識と経験を得ている。そのため、自衛隊の制式小銃ではない小銃も問題なく扱える。のぞみAはデザリアム戦役でのパルチザン活動の際に使った経験があるからだ。パルチザン活動の時には、古今東西の銃を手当り次第に使ったため、ロシア製も扱えるものの、調達性から、西側諸国製のほうが手に入りやすい傾向にある。
「ここのあたしらには、毎度おなじみのショックガンと空気砲でいいんですか?」
「変身する間を稼ぐ目的に使うだろうから、あれでいい。相手を傷つけたくはないだろうしな。要は変身する時間さえ、上手く稼げれば良いわけだから」
「そこがあたし達との差だなぁ」
「仕方あるまい。お前らは変身に体を慣らしきった上で、更にパワーアップしてんだ。アイテム無しでも上位形態になれるのは、向こうのお前らにとっては凄いことだぞ」
「そうかなぁ…」
「そうだぞ。お前は任意にシャイニング形態になれんだ。向こうのお前から見れば、ミラクルライト、あるいは他のメンバーのパワーを貰わんとなれないはずの変身なんだから、あれは」
二人ののぞみの戦力の差は意外に大きい。本来は変身のパワーソースにミラクルライトを必要とする上位形態に自己意思で変身を可能としたA。現役時代そのままのスペックのBとでは、パワーに大きな差がある。これでようやく、咲や舞と共同戦線を本当の意味で張れるに足りるとされるあたり、S☆Sの高いポテンシャルが窺える。
「まぁ、最後ののセーフティに、Gフォース隊員にサイコフレームフィルターライト持たせてミラクルライト支援させる様にはしてある、本当に最終手段だけどな」
「戦闘になったら、なっても良いですか」
「構わんよ。お前には『お前オリジナルのあれ』がある。あれはいざという時に使え」
「了解」
「神頼みみたいだがサイコフレームの力はいざというときに役立つだろう」
キュアドリームAには、シャイニング形態の更に上位形態『エターニティドリーム』がある。シャイニングドリーム形態を小宇宙で強化し、擬似的に神聖衣と同じ領域にまで能力を高める。黒江がその原型を『入れ替わった時』に発現させ、のぞみAがマジンガーZEROとの融合で自家薬籠中の物にして完成させた『キュアドリーム個人としての最終形態』。小宇宙で強化した形態なので、神聖衣の方向性の外見の変化が起こっており、『シャイニング形態を更に滑らかかつ、神々しくした』姿である。天馬星座や射手座の神聖衣のような滑らかな翼を持ち、神聖衣を纏う聖闘士レベルの攻防速を備える事から、『プリキュアが神聖衣を発現できる領域の聖闘士と同等のポテンシャルを得た場合に得られる究極形態では?』という解釈もされている。この形態の発現後はシャイニング形態への変身を『飛行能力を使うため』に使うようになっている。また、通常の形態でもパワーアップ以前の技を再び使用可能なようにポテンシャルがアップしており、『ドリームアタック』と『クリスタルシュート』を遠距離攻撃に用いることが可能になっている(威力はアップしている)。また、マジンガーZEROとの融合の恩恵で『歴代マジンガーとゲッターの技をいずれの形態でも使用可能』である。
「それと、外見だけじゃ区別がつかんから、技はガンガン使え。『あいつら』をこっちが守らんといかんからな」
「言えてますね。かれんさんとこまちさんにこっちのでのパワーアップは反映されてます?」
「改良型の分身ハンマーだから、元がパワーアップすれば、分身体の能力値も上がるよ」
ドラえもんもそう続ける。
「ここのあたし、それで拗ねたんだよなぁ。やれやれ」
「仕方ないさ。こっちの勝手で引っ張ったからね。ここの君にしてみれば、こっちのわがままで連れていったんだ。拗ねるのは当たり前さ」
「今回で仲良くなれればいいんだけど…」
「君自身でしょ?向こうもわかってると思うよ」
ドラえもんはのぞみBを擁護する。Aも自分が強くなりすぎた自覚があるのと、デザリアム戦役での経緯上、Bとの間にぎこちなさとわだかまりがどうしてもあったからだ。Bはサムライトルーパーになったコージ(のぞみAの知る『ココ』の転生体)が諭した事で、自分が自分自身に『僻みや妬みなどといった負の感情を抱いている』事の珍妙さと愚かさを自覚し、謝罪の機会が訪れる事を願っていた。Aも自分の精神的弱さが『かれんとこまちを自分達の宿命に巻き込んだ』という負い目があったため、実際のところは双方が『謝罪の機会』を欲していたのだ。
「あたしも、あたしの『弱さ』が……かれんさんとこまちさんを『巻き込んだ』ようなものだし、侘びたいんだよね。ラブちゃんやはーちゃんの切羽詰まった気持ち、あの子がわかってくれるかな……」
「君自身を信じなくてどうするの。あの子も『君が辿る可能性の一つ』だよ?」
ドラえもんは迷っていたキュアドリームAの背中を押してやる。ドラえもんは元来、子守用として生を受けた。こういう時にその真価を発揮する。普段は毒舌でフランクな物言いであるドラえもんだが、誰かの背中を押す事に長けるという『子守り用ロボットとして長年培ってきた長所』もきちんと存在する。のび太を一人前に成長させた立役者の一人は伊達ではないのだ。
「うん、そうだよね。ありがとう、ドラえもん君」
「お安い御用さ」
ドラえもんをのぞみAは基本的に君付けで呼ぶ。これは養父ののび太の親友であること、ドラえもんの実際の性格が『毒舌でフランクながら、アニメ通りの可愛いらしさもある』事を知ったり、私生活でも相当にのび太とドラえもんの世話になっているためもある。
「でもさ、いくらなんでも、ショックガンと空気砲はベタすぎない?」
「使い切りの護身具としては上々さ。それに空気砲も、改良型は『第二次世界大戦前期の頃の対戦車砲』くらいのパワーを引き出せる。鉄人兵団や、ニムゲのリサイクル円盤には効いたよ」
ドラ・ザ・キッドなどが使うフロントサイト付きの銀色の空気砲はタイムパトロールが暴徒鎮圧に使う後期モデルとのことで、『実用品』としての改良型らしい。ドラえもんがのぞみBたちに渡したのは、そのモデルだ。
「へー……意外だなぁ」
「ここの君は技を一つしか使えないけど、君自身は記録されている限りの全部の技を撃てる。その分の戦力差は大きい。それは自覚してるね?」
「基本的にあたしらはパワーアップすると、エネルギーソースが上書きされるみたいで、コスチュームも変わるからね。そこまで長く戦ったの、あたしらが最後だけど」
「他のみんなはパワーアップ形態が追加される程度だしね」
基本コスチュームが変化した最後のプリキュアチームであるのは自覚があるのぞみA。プリキュアとしての復帰後は自分より更に強い者たちの存在を知り、その上で現役時代以上の高みを目指す選択をした。故に、のび太たちの勧めで『変身に体を完全に慣らす』修行もこなした。変身していても、素が割合に出ているのは修行の成果である。
「そういえば、向こうのお前、寝相悪かったぞ?」
「昔は寝相悪かったんですよ。夏はふとん蹴飛ばしてたし。就職してからは意識してたんで、自然に直ったけど」
「のび太みたいなもんか。ほれ、自衛隊のレーション用意してっから、朝飯は済ましとけ」
「はーい」
黒江たちが調理した戦闘糧食が提供され、皆が食事を済ませる。戦闘糧食については、軍に無理解な政治家からは『軍隊は白米だけ食わせておけば喜ぶだろ』という暴論まで飛び出ているが、実際は士気の意地に必要不可欠であるので、戦闘糧食のバリエーションも二次大戦以前より遥かに増えている。ダイ・アナザー・デイでその重要性を認識した扶桑軍もレーションの質を向上させることを目指すようになり、自衛隊からの既製品の供給の他、自前での開発にも乗り出している。その一方で、一つの問題も抱えている。教導で優秀と目されたウィッチの多くがマスメディアからの批判を(転職のためもあって)強く恐れ、新人教育に携わる事を避けるようになっている現状があり、新人教育の観点から困った扶桑軍は徒弟制度由来の育成に見切りをつける事を選び、時空管理局由来の近代化されたカリキュラムを導入し始めている。そのため、芳佳、ひかり、静夏は『徒弟制度で育ち、大成した最後の世代』とされる。
「それと、僕たちの世界のことは説明しておくよ。あの時の『サイコフレームの共振』で、一年戦争からシャアの反乱までを見た子もいるから」
「お願い。ブリティッシュ作戦のことは?」
「言うしかないね。あれがアースノイドとスペースノイド、とりわけサイド3との対立の根源だから」
大決戦に参加したプリキュア達の一部はサイコフレームの共振現象で『一年戦争~シャアの反乱』までの戦禍を垣間見てしまった。それがドラえもんの文明社会を崩壊させ、文明社会を再構築させた『統合戦争』を経て起こる本格的な戦乱期であるのは、21世紀頃に『地球連邦ができれば、平和になる』考えを持っていた者にはショックそのものであろう。(のび太らがメカトピア戦争時に地球連邦の肯定を『過去の人間』として行った事がジオンの落日を決定的にしたので、のび太の子孫らがジオニストに怨嗟を買ったが)
「ジオンの連中の暴虐ぶりは?」
「僕たちに存在を否定的に語られたからって、僕たちの子孫を殺しにかかるかい、普通?だから、連中は負けたんだよ?のぞみちゃん」
ドラえもんの言うように、ジオン共和国が解体を免れることができなかった理由の一つが『公国軍残党の暴虐』ぶりで、シャアが制御しなければ、サイド3にゲッターエンペラーの制裁が下る可能性が大だった。ミネバ・ザビでも制御できないほどに論調が尖鋭化してゆくため、シャアがデザリアム戦役で強硬手段を講じたわけである。つまり、シャアは何らかの手段でゲッターエンペラーという『機械仕掛けの神』の存在を知り、ゲッターエンペラーが時空を超えて制裁に現れるのを防止すべく、ジオン残党内部の武闘派を戦線で戦死させるように仕向けたのだ。
「月を爆破する計画は誰が考えたの?」
「一説によれば、ギレン・ザビがエギーユ・デラーズに研究させていたってさ。それをタウ・リンが引き継いだ……いや、利用したというべきだな。」
「あいつらは何考えてたの?あんな計画……。そもそも、グラナダがあるのに…」
「死なば諸共だろうね。ジオンを受け入れない世界に死あるのみって。結果、サイド3のほうが逃げる事になったけど。それを考えれば、充分に温情さ。火星に行った連中はそこでそれなりに暮らすだろうさ。火星は地球よりかなり小さいけどね」
ドラえもんはサイド3に残されていたギレン・ザビの保管していた書類を調査し、タウ・リンが利用しようとした計画の原点を発見。一年戦争で実行されず、タウ・リンが実行しようとしたその計画は、ジオンという存在の命運を完全に尽きさせた。23世紀初頭、ついにジオン共和国は自治権をムーンクライシス戦役の責任を取る形で放棄。移民船団へ衣替えした。これに激怒した強硬派は生き残りが尚もテロ活動を継続。ジオン残党の暴虐が却って世に示される事になった。強硬派の多くは火星へ逃れていき、一定のコミュニティを形成していく。アナベル・ガトーのように、最期に愛国心を見せて、死に花を咲かせた者は幸せだが、『一年戦争で振り上げた拳を引っ込める事ができなくなった』者たちはネオ・ジオンの終焉後も戦い続ける。文字通りに『過去の亡霊』として…。彼らは後にこう呼ばれる事になる。『オールズモビル』と。
「この世界で組織は何をするつもりなの?」
「まだわからない。奴らは文字通りの戦争屋共だからね。ゾル大佐は二号ライダーへの復讐だろうけど、ジオン残党も取り込んでるって噂だし、ザクやドムが出ても、ちっとも不思議じゃないね」
「なにそれ…」
「連邦に復讐できれば、掲げる旗がなんだろうが構わないんだろうよ」
「元の世界でも、そんな感じでクーデター起こったし、なんかなぁ…」
「組織はまだ巨悪的な目的がある分、まだ良いぜ。クーデターを起こした、あの連中は既得権益の維持のために政権を転覆させようとしたからな。2.26や5.15、宮城事件の連中と同じ穴の狢だ」
黒江もウィッチ・クーデターをそう断じた。のぞみ達の登場後、彼女たちの華々しい活躍が報じられる一方で、40年代半ば当時の『中堅世代ウィッチのクーデター』はウィッチの政治的立場を悪化させるだけに終わった。クーデターは『突然変異』で生まれた『Gウィッチ』への『ウィッチの迫害』を浮き彫りにし、Gウィッチが社会的地位を正式に得る一方で、ウィッチ・コミュニティの閉鎖性の問題がクローズアップされた。全世界で兵科解消の流れが政治的に急激に醸成された理由。それはコミュニティの閉鎖性がウィッチ・クーデターを期に異常視され始めたからで、日本連邦が航空部隊の中核からその世代の将校を排除したのは、閉鎖性を誇り、改革派の将校を集団リンチも辞さないという異常性を危険視したからだ。また、穏健派とされた志賀でさえ、自分達の伝統に固執し、連合艦隊司令長官経験者達の前で海軍航空の伝統を盾にして、一方的なヒステリーを起こす失態を犯したので、強硬派はもっとみっともない有様だった。その事が表ざたになるきっかけは『ミーナの錯乱』であったので、人格が入れ替わった後のまほは『三十年はノイエ・ベルリンの土は踏めんな』と自虐気味に語っている。ミーナへの罰は具体的には降格(戦時階級剥奪)と指揮資格の半年の停止処分、減俸処分だが、罰を決める時、表で叱責しつつ、裏で擁護したパットン自身も自身の同位体の発言が発掘され、かなり危ない状況であった。それはM26重戦車の採用が自身の発言が遅延させた理由の一つであると報道され、人命軽視と叩かれていたためだ。パットン自身は同位体の発言まで責任は持てないとぼやいていた。彼自身は前線で戦闘しているため、分裂前にはM26となる重戦車の採用を催促していた側に立っていたからだ。ちなみに、陸軍管理本部の枷から解き放なたれたパットンはかなり奔放な発言をしまくるため、『炎上将軍』の渾名を得た。ダイ・アナザー・デイ中に『勉強したぜ?その上でパーシングは役に立ちそうもねぇ、エイブラムスをどうにか手に入れたいって思ってるよ』と述べ、アイゼンハワーを顔面蒼白にさせたのは有名だ。
「ウチのガールズにもちっと楽させてやりてぇんだ、解るだろ、MBTが欲しいんだよ!!」
と、公の場で連発しまくるため、日本のマスメディアからは『炎上将軍』と渾名がつき、『パットン将軍、またも炎上す』とワイドショーを賑わせた。アイゼンハワーは胃を痛め、21世紀の米軍も『閣下、段階を踏んでください』と苦笑いするほどであった。その結果、M4後継がM48になったのである。仕様はディーゼルエンジンの最終型であり、レーヴェを使用弾の世代差で上回るので、量産化された戦車では最高ランクの火力である。あくまで、M60までの繋ぎ扱いだが、自由リベリオンの台所事情もあり、しばらくは現役に留まる。これはM103重戦車が同時期に実用化され、同重戦車の需要が前線で多く生じたため、中戦車の更新が遅れたためだ。また、同時期の日本連邦が重戦車枠を『コンカラー』のマイナーチェンジで済ませていた都合でもある。これは旧来型車両の多くが処分された後の代替ということで、新式重戦車を砲戦車としても運用したい扶桑の現地部隊の都合である。日本連邦型はエンジンに過給器をつけて強化し、速度性能などを改善させたもので、非公式にキングス・ユニオンは『コンカラー・ランページャー』と呼んでいる。また、扶桑本土にはウォーカーブルドックやチャーフィー軽戦車が旧来型日本戦車の代わりに置かれ、インフラ整備までの繋ぎで使用されたという。
「先輩、どうなると思います?」
「前世とは違う歴史になり始めてるから、なんとも言えん。だが、ウィッチが上手く生き残るには第二世代理論が必要ってこった」
空戦ウィッチの戦闘方法の画一化が問題視されるようになった結果、接近戦闘のカリキュラムが盛り込まれた。その第一義の目的は対重爆対策である。航空ウィッチが『空戦のできる歩兵』の粋を出ないことが航空機の進化で問題になった事、二挺拳銃でM2、あるいはMG151を持つ者もいたが、12.7ミリを魔力で強化したところで、20ミリガトリング砲やリボルバーカノンの圧倒的火力には及ばないという、第一世代理論式ストライカーの『武装強化限界』が露呈。第二世代理論式への世代交代が急がれた。折しも、ジェット化で『ミサイル攻撃から始まるようになった』ことで、ミサイル攻撃に対応できないストライカーを纏うウィッチがダイ・アナザー・デイで撃墜されまくった事がストライカーの根本的な世代交代を促したわけだ。南斗聖拳や華山系の拳法使いがウィッチの固有魔法をねじ伏せる事が度々起こった(強化形態のプリキュアでさえも上回る)事も航空ウィッチの軍事的価値を下落させたのは否めず、巡り巡って、軍部での航空ウィッチの需要が減ったわけである。陸戦ウィッチは逆に、機甲装備の高度化による高額化を補える『有用な存在』とされ、航空ウィッチから花形としての地位を奪取。1949年度ではそちらのほうが志願者に人気がある。昔年の『七勇士』の威光もあり、社会的地位は一応は維持していたが、旧式陸戦ストライカーでも『MBTに対抗できる』という利点の発見は陸戦ストライカーの開発速度加速に貢献する。『戦車の火力を歩兵が持つ』事の利点はMSにとっても侮れないものであるので、対抗戦術の研究、魔導徹甲弾の世代交代もあり、一年戦争中の量産機くらいなら、対抗可能となった。
「陸戦ストライカーの連中も待機させてある。俺たちの後方支援をさせる」
「あれ、ストライカー、国産のは……」
「機甲本部が使ってくれとせがんでたチトを装備した連隊だ。使ってくれと宮菱のエンジニアが泣いたそうで…」
「あー…」
四式中装甲脚。その名をチト。早い段階から開発されていたが、パンター装甲脚を意識し、重武装化と防御力を強化し、履帯での移動時の補助に油圧サーボ機構を用いるという新機軸の搭載で開発が遅延していた。スピンオフ先の四式中戦車の方は早々に改型になり、この頃には五式改との交代で退役が始まっていたが、ストライカーの方は本命視されている。チヌ以前のストライカーが嘘のように高性能だからで、現地部隊からは『ダイ・アナザー・デイに間に合っていれば…』と嘆かれている。
「チヌ以前のは防御力がヘボすぎて、外征部隊は使わなかったろ?それを嘆いた陸戦ストライカー開発部門が意地で作ったとか?」
「どんだけ金使ったんですかね?」
「Ⅳ号の後期型やパンターを輸入して、その思想で作り直したらしいからな。履帯のサスペンションや変形機構の作動時間短縮が苦労したらしくて、試作の完成がクーデターの後らしい」
扶桑は陸戦ストライカーの武装を軽量かつ、連射速度に秀でる口径のものを好んでいた。これは騎兵時代の風習の名残りである。だが、怪異の強大化などで大口径砲が求められると、扶桑も陸戦ストライカーの手持ち武装の見直しを進めた。何せ、北野古子は三八式歩兵銃を使っており、覚醒後の圭子曰く『三八式なんぞ、アフリカの怪異には豆てっぽうだぞ』とのこと。圭子が大暴れした理由の一つは『チハの武装なんぞ、アフリカじゃな、ドアノッカーだぞ!!』と憤ったからでもある。
「連中は実戦テストだと張り切ってるが、相手はパンター後期型やティーガーを持つドイツ軍だ。いないよりはマシだが…」
黒江はこの調子だ。とは言え、長砲身の火砲を手持ちで用いる事ができ。戦車の死角を突けるため、黒江の悲観的憶測と裏腹に強い。また、のび太が敷島博士に極秘裏に依頼した砲弾が支給されていた都合、ティーガーⅠの装甲であれば貫通が可能な貫通力を備えている。それは元になった火砲の優秀性が大きい。
「でも、チトの火砲は高射砲由来の長砲身型で、野砲をプロトタイプにしたチヌよりよっぽど使えると思うよ?」
「そっか、忘れてた。チヌの奴の武装は元は野砲ベースだっけ」
黒江も混合していたらしいが、実は四式中戦車の主砲は高射砲由来の長砲身型で、チヌの九〇式野砲由来のモノより断然、威力が上である。ストライカーでもそこは同じであったが、これは既にチヌストライカー用の武装の生産が始まっていたところに、チトが完成したためのもので、チトストライカーの武装はまだ事実上の試作段階である。
「Sガンダムのスマートガンあるでしょ?あれ見て、機甲本部がほすぃといったんだって」
「本当?」
「君たちがGバードやら、ヴェスバー撃ちまくったせいかもね」
「えー!」
「それがセンチュリーガンダムにも影響与えたんだから」
「あのガンダム、ネオとF91の間の子だよね?」
「当たり前だよ。シルエットフォーミュラの完成型だよ」
シルエットフォーミュラの集大成はネオであったが、最大稼働状態のF91に並ぶため、さらなる機体が造られた。それがセンチュリーガンダムと呼ばれる機体だ。ネオガンダムをベースに『質量を持つ残像』の機能を持たせ、ヤケクソのようにGバードとヴェスバーを装備し、額にハイメガキャノンまでも持つ。これは『F91の機動力とネオの火力を兼ね備えよ』という無理難題な要求仕様による産物で、当初の15m級ではミノフスキー・ドライブでもなければ不可能なものだった。アナハイムは第三世代の反応炉をミドルサイズの機体に搭載することで要求仕様を満たした。外観は『F91の特徴をふりかけたネオ』と言えるが、一回り大きい。また、火力の要求水準を超えることに固執した設計陣の暴走でハイメガキャノン持ちになったため、第三世代の反応炉の中でもハイエンドのものが積まれている。アナハイム・エレクトロニクス内部で『ネオの皮を被ったZZ』と揶揄されているのは、ヴェスバー、Gバード、ハイメガキャノンを同時にドライブできるようにするため、新世代のジェネレータを積んだためだ。最も、Gバードはジェネレーター内臓の火器のはずなので、ヴェスバーとの同時使用は理論上は他の機体もできる。予備機であるが、納入はされており、テスト予定だ。なお、Gバードは大量生産されなかったが、火力は評判が良く、Iフィールドも撃ち破れるために対艦武装名目で増産がされていた。ロンド・ベルは必要上、複数を持っている。特殊な事例だが、16m級MSの武装として制作されたため、比較的にMSにサイズが近いマジンガーも使用した事がある。これはマジンガーZの二号機の武器管制装置がテスト中に故障し、武装が使えなくなった際の緊急避難的に使用したため。これはマジンガーZの二号機の製造の際に不備があった事を示すものだが、結果的にイチナナ式の運用に影響を与えた。なお、レディロボへの装備も検討されたらしいが、レディロボでは発砲の衝撃に耐えきれない場合が予測された。(反動をこらえきれずにコケるなど。ミネルバXやビューナスAの両巨塔でやっとの事だが、レディロボは大半がマジンガーの強大化に追随できなくなり、細かい使役作業に駆り出されていた。現役の乗り手がマリアやひかるの二人のみになってしまったためでもある。ジュンはデザリアム戦役後に出産し、半引退状態。さやかは光子力研究所の第三代所長となり、パイロットどころでなくなったためだ。ただし、さやかはダイアナンAの旧式化を名目に、ビューナスAの後継機を模索していた。その操縦法にマスタースレーブ方式を選んでもいる。これはマスタースレーブ式のほうが再訓練の際に時間を省くことができるという判断であった。そのテストも兼ねて、ミネルバXのロボとしてのボディは思念操縦とマスタースレーブ方式の併用式に改造される形で新造されており。パワーも50万馬力と高性能化している。)――
――マスタースレーブ方式はガンバスター以降は採用される率が上がっているが、操縦訓練の手間を省くためであるのと、『思い通りに動く』事の利点を生かした作業性を狙ってのものである。この思想を更に進め、五感を機体に電子的に接続させるシステムもテスト継続中だが、これは地球連邦軍のパイロット育成が追いつかない事情も絡んでいる。一連の実験を弓さやかは知り、模索していたビューナスAの後継機に盛り込もうとしている。地球連邦軍は基本的に、デザリアム戦役の前後からは人型機動兵器のコックピットをマスタースレーブ方式への換装ができる構造に変えている。これはパイロットの育成が戦争の起こり過ぎで、需要に供給がまったく追いつかなくなったためでもあるが、『パイロットの人手不足』を理由にモビルドールの軍事的な復興を目論む勢力を潰すため、開発と普及が急がれた背景がある。プリキュア達にパイロットとしての訓練がなされた理由も地球連邦軍の人手不足が理由である。また、23世紀でも強大化した民間軍事会社への規制が進んだため、地球連邦軍のパイロット確保と待遇充実は重要課題となっていたというのも大きい。(有事には民間軍事会社のエース部隊を政府要請で徴用できるという規則も設けられた)民間軍事会社の際限なき強大化を嫌うハト派の要請だが、当時、既に度重なる戦乱で軍部は疲弊しており、軍縮時にかなりの軍人が民間軍事会社に転職していた事もあり、社会的混乱が起こった。結果、妥協的に民間軍事会社出身者の召集の受け皿にロンド・ベルが使われた事で、ロンド・ベルの編成は肥大化していっている。それが、ロンド・ベルは一独立部隊としては過大と言えるほどの戦力を得た理由。要は通常の部隊で扱いきれない『アクの強い人材』をロンド・ベルに押し付ける格好の口実として『民間軍事会社の規制』は使われたわけである。ロンド・ベルは『英雄』だが、軍内には疎んじる者も未だ多い。かつて、色々な理由で『ティターンズ寄り』だった者たちの全てが追放されたわけではないのだ。地球連邦軍も全てがレビルの帰還を喜んでるわけではない。だが、そんな派閥抗争は更に次の戦争……『ボラー連邦との戦争』で突如として終止符を打たれるのだ――
「うーん。アナハイム、切羽詰まってますね」
「V2の存在で基礎技術力の差を見せつけられたからな。アナハイムは地球圏から戦争が消え、軍需産業で儲けられなくなる危険を恐れたんだ。ジオンが消えることで、な。結果として、宇宙の文明対文明の生存競争の時代が始まったから、その心配は無くなった。だが、当のジオンはコスモリバースシステムを何よりも恐れた。地球が一年戦争の惨禍から一瞬で回復し、デラーズが与えた北米大陸の穀倉地帯へのダメージすらも『何事もなかった』ように回復させた。だから、タウ・リンの口車に乗せられたんだろうさ。奴の破滅思考の道連れにされてな」
「コスモリバースシステムは、ジオンには悪魔に見えたんですね」
「俺の推測だがな。そして、コロニー同士が殺し合いを始める時代、スペースノイドの大人はネオ・ジオンの再興を望んだ。だが、若者は連邦の掲示した大航海時代の夢を選んだ。地球連邦は勝ったのさ、結果として、な」
「ジオンは時代遅れ、か」
「反連邦の旗印に何度も使われたんだ。もう嫌気が差してるスペースノイドも山程いる。それに、連邦が曲がりなりにも治安を維持してなきゃ、宇宙戦国時代になってるだろうさ」
地球連邦軍がレビルの統制のもとで一年戦争以前のような輝きを取り戻し、穏便に治安維持を行った結果、宇宙戦国時代の到来は防がれた。コロニー国家が自力で問題を解決する能力がないことをザンスカール戦争が妙実に示した上、星間戦争に『コロニー国家の力は微力である』事が示されたため、地球連邦の権威が回復したわけである。皮肉にも、連邦は外宇宙との戦乱を経験するようになったことで体制の中興を成し遂げた事になる。
「ジオンって、なんなんだったんだろう……」
「スペースノイドが一時、見た夢さ。スペースノイドなら、アースノイドより上手くやれるっていう幻想が生み出した夢。だが、実際は地球と宇宙の双方に災厄を撒き散らす『悪魔』でしかなかった。タウ・リンも『ウジ虫共』と吐き捨ててたろ?結局、宇宙大航海時代に取り残され、他のコロニーからも『アナクロニズムの輩』と言われるようになったから、あの戦いで一花咲かせようとした。たとえ、ジオンって存在が消えてもな。戦争末期の日本軍のような連中だよ」
ジオンは消えた。『ナチスの尻尾』と歴史家に揶揄されるほど、一年戦争から蛮行を働き続けたことへの報いだった。彼らは周囲に『アナクロニズム』と言われるようになった時代に抗うように、戦争を挑んだ。だが、デザリアム帝国との戦争が同時期に始まった事、ハインライン計画と呼ばれた『月爆破計画』がテロリストの手で実現しかけ、それをロンド・ベル隊が阻止した経緯は「最後の戦争」と呼ぶには余りにお粗末だった。せめてもの救いは「ソロモンの悪夢」と呼ばれたアナベル・ガトーが最期に、サイド3をデザリアムから守るために散っていった事だろう。
「ガトーのあの死に様は良心だったんでしょうか、先輩」
「奴なりの祖国への最後の償いだった。そうでなきゃ、遺言を言い残すか?奴には戦時中の逃亡罪がかかるし、デラーズ・フリートでの行為で、どのみち共和国からは『戦争犯罪人』扱いだ。だが、奴の愛国心は本物だったよ。せめて、戦争でない時代に出会えてればって、コウさんも言ってたよ」
コウ・ウラキとアナベル・ガトーは長年の因縁もあり、最後には奇妙な友情で結ばれていた。デザリアム戦役が終戦を迎えた時に『戦争でない時代に出会えてれば……』と漏らしたと、キュアドリームAに伝える。ドリームにも影響を及ぼした「アナベル・ガトーの武人としての姿勢』。彼の声が彼女がかつて倒した『ムシバーン』にとても似ていた事もあるが、アナベル・ガトーの『ジオンの理想を信奉する』一本気な姿勢は『のぞみAが前世での教師生活で失った姿』を本人に強く自覚させるきっかけになったのも事実。死後恩赦を申し出た一人として、彼の事をふと思い出したのだ。そして……。
「あの子(B)の姿を見てると、若い頃を思い出しますよ」
昔年の自分を客観視する機会であるため、キュアドリームAは懐かしそうに『別の自分』を遠目に見る。
「そんな事言ってると、あの子がボヤくよ?」
ドラえもんが茶化す。
「もー、せっかくいい感じになってるのに、茶化かないでよー!」
「ごめんごめん」
――朝、一同は食事をしつつ、話に花を咲かせるのだった――