ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百九話「七人ライダーの登場」

――プリキュア5の世界に魔手を伸ばした大ショッカー。その計画を察知した仮面ライダー一号、二号、V3、ライダーマン、X、アマゾン、ストロンガーは先に現地を訪れていた仮面ライダーBLACKRXに協力。大ショッカーの野望を打ち砕くために、プリキュア5の世界に集結した――

 

 

「あ、来たぁ~!」

 

声が弾むキュアドリームA。B世界のプリキュア5の中では『事情を知らぬ者』たちも『なんだなんだ』と言わんばかりに、建物の外に飛び出る。すると。

 

――その時、けたたましい爆音と共に7人の仮面ライダー達が愛車に跨って、颯爽登場した。新サイクロン、ハリケーン、クルーザー、ジャングラー、カブトローを駆り、俗に言う『栄光の七人ライダー』が駆けつけたのである。――

 

「あの人たちは!?」

 

「俺の先輩たちだよ。仮面ライダーとしての、ね」

 

「仮面ライダーって、貴方以外にもいるんですか?」

 

「ああ。その中でも、最も戦いが激しい時期を戦い抜いた黎明期の偉大な七人。俺を含めた後代の仮面ライダーは『栄光の七人ライダー』と、畏敬を込めて呼んでいる」

 

「栄光の七人ライダー』……。」

 

南光太郎(RX)の言葉はB世界ののぞみ、りん、うらら、くるみの四人にその重大さを実感させた。オートバイで隊列を組んで、颯爽とやってきた七人こそ、仮面ライダーという存在そのものの始祖であり、後世に『伝説』として語り継がれてきた『偉大なる七人』。沖一也以降の仮面ライダー達とは一線を画する立場であるので、実は南光太郎も共同戦線は久しぶりである。あまりに偉大すぎるので、話すのも恐れ多いくらいだ。(RXとしての南光太郎は久しぶりに生まれた『仮面ライダー十一号』とカウントされている都合上、七人ライダーからすれば『青二才』である)

 

「先輩方、よく……」

 

「うむ…。我々のいない世界に手を伸ばそうなど、大ショッカーの汚いやり口だ」

 

「光太郎、我々がスクラムを組んで、奴らの野望を打ち砕くんだ」

 

「そのために、俺たちはやってきた」

 

一号と二号の言葉には重みがあった。何気なく、元が大学で運動部所属だったために、ラクビーなどで使われる『スクラム』を使う辺り、(人間だった頃の時代の都合もあるが)7人ライダーの体育会系の気質が垣間見える。変身を解除し、人間態(昭和ライダーは肉体の元の容姿を任意に取れる。ナノマシンで人工皮膚などを生成できるからである)を見せる。(皆、20代前半~後半ほどの年齢の青年の姿だが、普通に加齢していた場合、本郷猛と一文字隼人などは2008年前後に『後期高齢者』に差し掛かる年頃になっている。1971年当時に20代半ばだった本郷猛と一文字隼人は逆算すると、1945年前後に生を受けた計算になる)

 

 

 

「21世紀か…。普通に生きてれば、俺たちは年寄りだな。俺たちからすれば、君たちは孫くらいに年の差があるからな」

 

「俺達は高度経済成長期の時期の若者ですからね、一文字さん」

 

「まあな」

 

「俺なんて、このシャツっスからねぇ」

 

毎度お馴染みのS字が入るシャツを着る茂。人間態でも手のコイルはむき出しなので、手袋を常にしている。当人は『大学時代の知り合いからもらったシャツ』を愛用しているだけだが、某アメリカン・コミックのファンと勘違いされる事も多い。それが茂の悩みどころである。

 

 

「世が世なら、お前はアメリカン・コミックかぶれだと思われるぞ、茂」

 

「言えてるな、そりゃ」

 

「皆さん、食事は用意してあります」

 

「パック飯だろ?アレにも慣れたぜ」

 

「皆さんも大変ですね」

 

「組織は抜け目のない連中だからな。俺など、洋が現役の頃に定食屋にぼったくられて、文句言ったら、組織の罠だった事がある」

 

一文字が苦笑交じりに語る。彼は後輩の支援のために日本に帰国する事が多めなため、組織の罠にハマる事も割合に多いほうだ。

 

 

「光太郎、お前も二つの組織を倒した割に、割と調子に乗る方だよな」

 

「俺に振ります?頭に血が上るほうなんですよ、俺…。たいていはリボルケインでどうにかなるし」

 

「お前、リボルケインと他の二形態でゴリ押し効くからな。基礎ステータスもZXよりも上だし」

 

「ハハハ……」

 

光太郎はRXにパワーアップ後はリボルケインが一撃必殺であるためか、細かい戦術をあまり磨いてこなかったため、クライシス最後にして最強の怪人(怪魔獣人と怪魔ロボットのハイブリッドという)『グランザイラス』にリボルケインが通用しなかった時、バイオライダーで内部から破壊するしか為す術がなかったという事態を招いてしまった。そのため、現在はZOとJには先輩風を吹かせられるが、ライダー全体で言えば、まだまだ『青二才』扱いである。

 

「あなた達も……その、サイボーグなんですか?」

 

くるみBがおそるおそる質問する。

 

「ああ。そこにいるアマゾン以外は機械式の改造人間だが、サイボーグの括りには入る。光太郎と違い、肉体の多くが人工物に置き換えられているよ」

 

「人工物……」

 

「この時代の科学技術では、机上の空論かもしれんな。頭脳の維持に必要不可欠な器官以外を機械に置き換えている。いや、ZXの世代に至っては、脳を機械のボディに入れたようなものだからな」

 

「あの人はパーフェクトサイボーグですからね」

 

ドリームAは頷く。ZXはアンドロイドとの境界が曖昧なほどに改造されている。暗闇大使は『99%の改造と1%の生体こそがパーフェクトサイボーグなのだ』と述べているが、本郷からすれば、アンドロイドと大差ないように思える。

 

「俺達と光太郎はそれぞれ、別の組織に改造されたからな。だから、使われた技術も異質のものだ」

 

「あなた達はいつに改造されたんですか?」

 

「1970年代初頭から半ばまでの五年間だ。その当時に20代で、身体的に頑健だった若者が組織のターゲットになった。元々は組織の次期最高幹部候補としての確保だったが、次第に目的は変質したようだがな」

 

本郷は渋い声と顔立ち、影を背負った雰囲気もあり、改造時の年齢からかなり年嵩に見られる。武道家としても、23世紀で名声を得ているのもあり、元が生化学者志望であったとは思えない。趣味がオートレースと武道な資産家の子息で、立花藤兵衛とは父の友人だった関係で元から面識があったという。(立花藤兵衛の遺した記録から、本郷の病死した父親は元・日本海軍の若手造船官で、戦後には客船などを設計して生計を立てていたという。また、藤兵衛も日本海軍航空隊出身。特攻出撃を免れた後の戦後にオートレーサーをしていたというが、後半生では仮面ライダーのサポート役が生きがいになったようなものだが、表向きは一貫して、喫茶店とオートレースクラブの経営者だった)

 

「本郷さん、敵はどういう手を使うと思いますか?」

 

「ああ、それで言付けがある。インペロが敵の基地から出港したのが確認されたそうだ」

 

「インペロが?」

 

「そうだ。こちらも定期ドック入りの轟天に代わり、廻天号を投入する事になった」

 

「完成したんですか!?」

 

「本来は公試運転をしたいんだが、その余裕がないそうだ」

 

本郷がキュアドリームAに言及した『廻天』とは、轟天の予備艦として計画され、轟天と同時期に建造されたラ級戦艦である。ベース艦はもちろん、大和型戦艦である。これは日本戦艦の完成型が大和型戦艦だからであるからだが、大和型戦艦には『装甲板一枚あたりの面積が小さい』という的外れとも言えるトンデモ批判もあったが、総合的に見て、日本戦艦で最新の艦型であるため、大和型戦艦を基本ベースにするのは当然であり、更に宇宙戦艦として造るので、構造は水上艦時代と別物になる。上部構造物の基本レイアウトが大和型戦艦と変わらないのは、宇宙戦艦ヤマトと超時空戦艦まほろばの開発資産を使うからである。ただし、武装面はかなり異なっており、その名の通りに火力重視であり、主砲の基数も増えている他、熱線砲、試作のプロトンサンダーを装備している。なお、プロトンサンダーは『原子破壊砲』の意で、着弾した地点に残留放射能などを発生しない『核爆発』を起こす。ソビエツキー・ソユーズに搭載されていた試作品を解析し、小型改良化して搭載したものだ。

 

 

「インペロにぶつけるんですね?」

 

「そうだ。イタリアの火砲は侮れん性能を持つが、廻天の初陣にはもってこいだろう」

 

「何を話してるのよ、ドリーム」

 

りんBが怪訝そうにドリームAに質問する。

 

「うーん。敵がね、ムッソリーニ時代のイタリア軍の遺産を持ち込んだみたいでね」

 

「イタリア軍の?つか、イタリア軍に動かせる船が残ってたの?」

 

「イタリア軍はまともな戦はしなかったからね。予定していた新戦艦の名にも事欠いていたらしいが、ある戦艦のパーツは完成していた」

 

本郷も続ける。イタリア海軍は第二次世界大戦では無用の長物に近かった上、タラント空襲で醜態を晒したのもあり、軍事に詳しい者からは『やる気のない海軍』、『燃料なしの番人』など散々な評判だが、造るもの自体は海洋国家らしく、そこそこの質は持っていた。

 

「プラモデルで『戦艦ローマ』というものがあると思うが、その改良型をある世界のムッソリーニが超古代文明の遺産で宇宙戦艦化させようとしていたのさ。」

 

一文字も言う。その艦は戦艦ローマの後継を目指していた改良型だと。正確に言えば、改リットリオ級一番艦。その名も『インペロ』。候補艦名にレパントがあったとも記録があるイタリア海軍のラ級戦艦。38cm砲を三連装、あるいは四連装砲塔を四基備え、大和型戦艦を意識した重装甲を予定していたという。

 

「主砲口径は?」

 

「あの時代のイタリアの工業力では、40cm砲以上の口径の砲は造れんはずだ。情報を調査したが、門数で勝負しようとしたらしい形跡がある。ただ、試作段階の砲を積んだ可能性はあるが」

 

「そんなのありますかね?」

 

「英国のクイーン・エリザベス級の例がある。あれと同じ手法をイタリア海軍も使う可能性はありえる。起死回生のために」

 

「起死回生、か」

 

「そうだ。日本海軍も実際には51cm艦載砲を完成させていたようにね。日本陸軍も20cm高射砲の試作品を隠していたようだから、試作品を乗っける事はありえる」

 

「世界最大の高射砲ですか?そんなのを陸軍が?」

 

「そうだ。五式十五糎高射砲のさらなる改良型で、コードネームは『ガロン』。なんでも、開発に協力したドイツ人技術者の名を取ったらしい」

 

Dr.ヘルがまだ人間であった頃に、光子力研究所に近い山の中腹の日本陸軍の武器庫に隠されていたその高射砲を発見した後、ヘルから奪取した光子力研究所の手で保管されているその試作高射砲は全ての性能で五式高射砲を上回る『日本最強の高射砲』である。使用する炸薬は専用品であり、炸裂時の衝撃波だけでB29を数十機も粉砕できるというほどの威力を予定していたといい、鉄人計画の一環で『鉄人28号をアメリカ本土に特攻させる』ための大砲に転用する計画もあったという。終戦間近のある日の一回だけの試射はB29を40機以上も粉砕する威力を示したともいい、『負けた国のトンデモ兵器』の代表格に上り詰めた高射砲だ。それを引き合いに出し、ドリームに釘を刺す一文字。

 

「あのDr.ヘルも、戦闘獣に匹敵する能力を持つ新機械獣の軍団を隠したままで人間としては死んだそうだから、俺たちの世界の日本には何が埋まってるかわからんね」

 

風見志郎も言うように、Dr.ヘルが戦力を再編出来ている理由の一つが『兜十蔵と兜剣造親子が率いる軍団』用に秘匿していた最終型機械獣の存在がある。Dr.ヘルは基本的に冷酷非情だが、かつての親友でもあった兜十蔵への親愛を捨てきれないという人間臭さを残していた。それは兜十蔵とDr.ヘルは同じ女性を愛し、大学生の頃は切磋琢磨した仲だったからでもあった。彼の『誰からも疎んじられた』暗い人生で得られた唯一無二の友にして、ライバルの子や孫と敵対する行動の本音には、自身に立ちふさがった『兜家』への愛憎入り交じりつつも、倒錯と屈折した心境があるのだろう。

 

「なんですか、それ」

 

「イタリアを笑えんってことだ。日本は掘れば、すぐに日本軍の秘密兵器にぶち当たる」

 

「それも怖いですね…」

 

「日本軍が如何に血眼になっていたかの表れだな。米軍による接収を恐れたんだろうからね」

 

「のび太くんの世界はどうなってんの…?」

 

「ヘルはかつて、『かつて、アレクサンダー大王が!!ナポレオンが、そして、ヒットラーが!!彼らが成し遂げれなかった世界征服をこのDr.ヘルが成し遂げるのだ!!』と豪語してたっていうからね。先祖がナチスの科学者だったDr.ヘルはラ級の存在を知ってたかもしれないな…」

 

のび太も肯定するが、Dr.ヘルが一見して無謀な『世界征服』に打って出た理由には、日本軍の秘密兵器が絡んでいるのは間違いないだろう。Dr.ヘルは裏社会の最大勢力の一つのシンジケートをブロッケン伯爵に手中に収めさせることで『人手と資金』を手に入れている。その際にラ級戦艦の実在を確信し、世界各地を調査させていた。Dr.ヘル自身、世界線によるが、だいたいがナチ政権下のドイツで技術者をしていた経歴を持つので、ドラえもんの世界でも、『ナチ政権時代の先祖の野望を自分が継ぐ』という形で野心に目覚めたのだろう。ドリームAも『どうなってんの……?』とだけしか言えない。

 

「君たちがこれから戦う相手は、第二次世界大戦の以前から世界征服を企んでいるような連中だと言うことだ」

 

神敬介(Xライダー)がいう。そんな巨大な敵に改造され、その改造された肉体で『人間の自由のために戦う』。仮面ライダー原初の使命である。

 

「俺たちは……その組織が何かかしら関わる形で改造された。そして、奴等に抗うための牙を……爪を持った。元の目的が何であれ、な」

 

「俺たちはチンケでチャチな『正義』なんて言葉とお題目はあまり使わん。あのナチスも上辺だけとはいえ、ドイツのための正義を掲げたからな。だから、俺たちは人の自由のために戦う。歴史上、何かかしらの理由で『自由』は戦う理由になるからな」

 

一文字隼人は仮面ライダーの戦う理由の本懐をキュアドリームAに教える。『人間の自由のため』だと。元々、『ココの笑顔が見たい、ココを守りたい』一心でプリキュアになった彼女にとって、高潔なまでにヒーローをしている仮面ライダー達は眩しい存在(ストロンガーが『正義の味方』を堂々と謳う事もあって)だったが、この時に仮面ライダー達の本来の戦う理由を知ったのである。

 

「なんか、嬉しいです。皆さん……あたし……ううん、あたしたちより全然ヒーローしてて……、正直、あなた達に引け目を感じてましたから…」

 

「人は色々な理由で戦いのきっかけを持つ。だが、単なる私怨などではなく、大事な何かを守りたいと願い、自分なりの戦う理由を見いだせた時、初めて英雄と呼ばれるようになる。人は何かに『希望』を見出そうとする。それが俺たちであり、君たちのような存在だ。誰かの希望を運ぶ風になれればいい。この心の愛にかけて、な」

 

本郷は長年戦い続けるうちに、組織が何度も息を吹き返し、後輩という『地獄への道連れ』が何人も生まれてしまうという観点からの精神的疲弊も溜め込んでいたが、復活した先の世界で自分を求める人々の姿、自分に純真に憧れ、父のように慕う黒江の姿が彼を変えた。『自分達の力になりたい』がために転生をも繰り返した黒江へ罪悪感を覚えた本郷猛だが、『自分は孤独ではない』事を再認識させてくれた黒江を、いつしか『娘のように可愛がるようになっていた』。本郷は本来、博愛精神を持つ男(亡き父親が『男は優しくなければ、生きる資格はない』と教えていたため)だからだ。

 

「君たちもいずれ分かる事になる。誰がためにということの意味をね」

 

「誰がために……か。あたしには重い言葉ですよ、結城さん」

 

結城丈二が引き合いに出した『誰がために』という言葉。戦う理由は千差万別だが、戦うことの意義を見失うなという意味合いで引き合いに出した。前世で半ばそれを見失った挙句の果てに『プリキュアオールスターズ』を割った経験があるキュアドリームAには『耳の痛い』言葉であり、『重い十字架』のようであった。

 

「君は前世で失敗を犯したかもしれんが、それは一つの結果でしかない。結城さんや本郷さんの言うように、生まれ変わった先で戦う理由や意義はこれから見出していけばいい。それが君に与えられたチャンスだ」

 

神敬介はキュアドリームAの事情を絡め、上手く発破をかける。

 

「そうだ。走り出すんだ、お前が求め、守ろうとし、目指したモノへ。自分の限界なんか超えちまえよ」

 

「さすが、先輩の兄貴分ですね」

 

「こいつが俺に似たんだよ」

 

「長年の付き合いだしな」

 

茂も続く。岬ユリ子と立花藤兵衛の亡き後はどこか寂しそうでもあったが、黒江との付き合いが長くなり、妹分を得たことで精神的意味での安らぎを再び得れるようになったために『現役時代のやんちゃさ』がだいぶ戻っている。

 

「でも、こっちは他の部隊から愚痴られてるんですよ?水上機の部隊は『俺たちを失職させる気か?』と怒ってるし」

 

「あれは使い道がない。ジェット化も進展した時代に今更、瑞雲などはな。死ににいくようなものだ」

 

「ハリアーか何かでも動かせるようになれとしかいえんな。水上機はもはや、飛行艇以外に需要はないしな」

 

当時、爆撃機の製造に定評があった尾張航空機はせっかく完成させた瑞雲の発注が打ち切られたばかりでなく、多くのレシプロ艦上機が一線を退く時代を迎え、財政難に陥っていた。これは東南海地震の余震で当時の主力工場に打撃を受けたためであったが、自前の航空機製造能力の減退を恐れた国の方針もあり、投資を受け、ジェット機の製造に主力を切り替えていくわけである。川滝は更に悲惨(精神的意味で)で、三式戦闘機の新規受注を空冷エンジン型のキ100に全面的に切り替えられた事による工場の工員の士気低下、ハ40の第二世代発展型のハ240の目処がたった頃には既にレシプロ機の時代は終わっていたという現実問題の損害補償を国に要求するほどだった。(キ100はベストセラーになったが、川滝のお家芸であった航空液冷エンジンに『役に立たない欠陥品』との評が広まった事のショックは大きかったのだ。川滝にいくつかのジェットの製造を担当させる事になったのは、その救済措置である。)これはカールスラントも同様で、ドイツ側の手で仲裁が行われた結果、日本連邦に軍需技術のライセンスを安価で提供する羽目に陥った上、科学者の相次ぐ流失で次世代の自主開発能力をほぼ失った。日本連邦軍も航空技術者の強いプライドと不満には手を焼いており、カールスラントの衰退を受けて、震電系統の開発継続をなし崩し的に認めざるを得なくなっている。(航空技術者の他分野への流出が相次いでいたため、航空技術維持のために開発をさせている)

 

「本当、うちの世界はややこしい事になってますよ」

 

「色々な世界に振り回されている上、君たちの存在だ。軍部も泣いてるだろうさ」

 

「まぁ、気持ちはわかりますけど…」

 

プリキュア達が相次いで転生、あるいは来訪したことで実質的に日本連邦に集めざるを得なくなったことは軍部の悩みのタネであった。しかも、軍部のトップエース級の人員が相次いでプリキュアに覚醒めていたため、日本連邦に事実上引き抜かれた(ド・ゴールなどの高官級は転生の事実を知っている)ことは、日本連邦軍の突出を決定づけてしまうといい、ド・ゴールなどの一部の者は強硬に反対した。だが、ウィッチ世界のどの国も長引く戦争に全ての面で疲弊しており、遠い太平洋での戦争に殆ど関わらない方針を決める事が相次いだ。キングス・ユニオンのみは余裕があったためと、長年の同盟国である都合で東洋艦隊にバックアップさせているが、他の国は財政難を理由に、軍事物資の援助すら渋るようになっていた。日本連邦はウィッチ世界各国の傍観の方針に困惑する羽目となり、『キングス・ユニオンだけでも戦争に深く関わらす』ことに血道を上げる。扶桑皇国内部も軍人を中心に『前線と銃後の落差』に愕然となる事が増えていたため、軍人にかなりの精神的負担が溜まっていた。仕方なく、『扶桑の経済活動に影響が出ない範囲で戦争経済と戦時の空気を構築する』事になり、日本と扶桑の首脳陣は苦悩する羽目になった。扶桑の国民は『戦時』に突入してしまうと、自主的に『ぜいたくは敵だ』と言い出し、経済活動を自粛してしまうため、日本政府は『国民に戦争をできるだけ感じさせるな』と要請していたが、前線の軍人にかなりの負担がかかっており、各所に『限界』が生じ始めていた。南洋から本土に疎開してきた者が多くなっていたからだ。

 

「君の時代なら、国民精神総動員とかいい出しそうだがね」

 

「事変の時に戦争計画と経済の難しさを思い知ってますから、扶桑は。それに、日本から『史実の太平洋戦争』のメタ情報が入った以上、あんなのする必要もないですからね。自分達が滅んだ後の後釜になった自衛隊の苦労を考えれば…」

 

「あの惨状は、君の時代の国家首脳にとってはショックそのものだからね」

 

「ええ」

 

キュアドリームAは半分は仕事での本音をライダー達にいう。ライダー達もドリームの苦労は知っているため、なんとなく世の世知辛さをわかちあうかのようであった。

 

 

 

 

 

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