――結局、M粒子が旧来的意味のネットワークを無力化し、21世紀以前から整備された情報インフラをほぼ無力化したジオンが専制主義的な傾向があったため、情報インフラの復興に際し、M粒子の妨害を受けないものの研究が進み、23世紀初頭ではタキオン通信の確立がされ、フォールド通信を更に置き換えていく。これにより通信の遅延問題は無くなり、波動エンジンの高性能化が進み、地球本土の主力艦隊が迅速に銀河のどこにでも行けるようになったことで、星間国家としての地球連邦は完成されたといえる。――
――真ゲッタードラゴンがデザリアム戦役以降に地球の象徴として君臨したことはウィンダミアの反乱を早めたが、それすら霞むバケモノを呼び寄せてしまった失敗により、王国そのものが自然消滅するに至る。ヴァールシンドローム罹患者への非人道的扱いが銀河中で糾弾された事、少年国王の早世による王統の断絶も要因であった。だが、ジオン残党はそれらが挟まった後もテロ活動を継続。共和国も、ネオ・ジオンも公的に解体された後の時間軸では、ジオンの名も自主規制で報道されず、『オールズモビル』という名で報じられていく。また、払い下げされたギラ・ドーガやギラ・ズールは他のコロニーに配備された。コロニー自衛軍はジオン系を好むため、そこへの提供もなされている。連邦軍は再生産されているジェガンR型にギラ・ドーガで導入されているアビオニクス技術を導入し、追従性を向上させている。こうして、ジェガンは一年戦争後のMSとしては、異例なほどのモデル寿命となり、ジオンとの戦争を経験した中では最後のジム系の一つとなった。外装と内装が分かれているフレーム構造であることで整備がし易いからだ。フレームと電装部の境目が薄いマルチプル・コンストラクション・アーマーはゲリラ運用に適さないとされ、次第に廃れていく。これは過度な小型化による整備性の悪化も理由であった――
――スーパーロボの技は割合、会得し易いものも多いため、デザリアム戦役以降は会得が一種のステイタスになり、プリキュア達も次々と技を会得していった。その嚆矢となった形のキュアドリーム。元々、絶対パワーがキュアブラックに劣る自覚があったため、その分を戦闘テクニックで補おうとしていたためと、戦闘面での天性の才能、融合の恩恵の相乗効果で1948年中には会得に成功し、その練度を実戦で使えるまでに上げたのが翌年度の事。そこに加え、ナリタブライアンの能力が継承されたわけだ。それはBとの予てからの約束を果たすため、タイムマシンを用いて参加した、『プリキュア5の世界』がまだ戦闘に巻き込まれていない時間であった『マラソン大会』での事――
「のぞみ、ごめんなさい。いくら約束って言っても……」
「あたしの都合で二人を巻き込んだようなものだし、お安い御用ですよ、かれんさん。それに……ブライアンちゃんから継承しちゃったものを試したいってのもあったのと、久々に学生気分を味わいたかったんで」
Bと入れ替わる形で参加したのぞみA。ブライアンと入れ替わっていた事で、彼女の能力を継承してしまったため、それを試す意味もあると。Bが怪我(ベットから落ちて、足をくじいたらしい)で『二年目』の頃のマラソン大会に参加不能になったため、その代わりという形だ。ブライアンの体を借りていた影響で『オーラを発している』ような雰囲気を感じさせる。
「その力は最後の瞬間にだけ使いなさい。あの子の逸話にも合致するのはもちろんだけど、こちらのあなたが迷惑しない範囲でね」
「ええ。分かってます」
今ののぞみAは変身していなくとも、下手なプロのアスリートよりも高いパフォーマンスを発揮できる。特訓の成果という奴だ。見かけは現役時と変わってないようだが、遥かに高いパフォーマンスを発揮できる。
「それと、その鼻の絆創膏は『彼女』(ナリタブライアン)に肖って?」
「ええ。鼻を打った手当と言えば、違和感はないと思います」
実は、ジャージの下はさらしを巻いているだけだったりする。ブライアンに肖った形だ。そのため、ブライアン同様の『差し』の戦法を使うつもりであった。通常なら、学園一の運動神経のりんが一位だが、過去の記憶(Aの世界における過去)と違う結果にするつもりなため、事前に、りんBへ侘びている。なお、来訪にあたっては、タイムマシンと自家用機代わりに保有していた五式戦闘機(バラスト代わりに武装は維持)を併用している。元々、素体となった錦がテストパイロットであった都合上、戦闘機の操縦はお手のものでるためで、水無月邸の正面玄関に乗りつけた。
「でも、まさか、旧日本軍の戦闘機で乗りつけてくるなんて。あれには皆が腰を抜かしてたわよ?」
「退役して、払い下げになったのを個人で買ったんですよ。転生先の実家のツテで、隼や疾風を買ってもよかったんですけど、実家が中島飛行機との癒着でバッシング受けてるんで、迷惑がかからない川崎系にしたんです」
五式は言うなれば、旧式の三式のエンジン換装型であるため、ダイ・アナザー・デイ後は初期製造分から順に退役が始まっていた。とはいえ、すぐにはジェット戦闘機へ切り替えられないので、退役ペースは緩やかで、多くはまだ現役である。中島家はウィッチ世界随一の名家だが、長島飛行機の上層部との癒着を疑われ、バッシングを受けていたため、自費で購入する機を五式戦にしたらしい。
「飛燕の液冷エンジンを空冷エンジンに取っ替えただけの奴なんですが、思いの外に扱いやすくなったんで、最後に一矢報いた。良い機体ですよ?単純な運動性能なら、日本機は世界随一ですから」
日本の戦闘機は機動力を第一に開発されてきたため、横方向の運動性能は世界でも、一級を誇る。全体的に軽武装なのは、二〇ミリ砲を主武装にしたためだが、米軍機の重防御化が顕著であるため、三〇ミリ砲への切り替えを模索していた記録がある。日本のプロペラ技術が旧式化していたため、速度向上の足枷となったと評されている。とはいえ、ウィッチ世界の扶桑軍では、新技術よりも『堅実な技術で稼働率確保』という運用上の理由があったため、新技術の二重反転プロペラなどを避けていたのだ。だが、P-51などの高速機が続々と登場し、技術的に零戦などが旧式化してしまったため、推進式の『震電』に賭けていたが、ジェット戦闘機が花形になってしまったため、同機の量産の意義は薄れ、結局は試作機による飛行までは行われたが、クーデターによる蛮行で水泡に帰した。横須賀航空隊の出身者の多くが白眼視されつつも、前線で勇戦奮闘の末に散っていったのは、震電や閃電を焼却した事への贖罪代わりであり、ある中堅ウィッチはB-29をジャックし、爆弾満載の機を敵基地の弾薬庫に突っ込ませ、見事に散華したという。震電シリーズのジェット戦闘機化はその者達の犠牲という後押しで実現したと言っていい。
「なぜ、それを?」
「ジェット機の時代になったから、ですかね。超音速機も飛び始めてるんで、時速600キロをちょっと超えるくらいのプロペラ機はいらなくなる。時代の流れですね」
ちょっと寂しさを滲ませる姿は、レシプロ機の時代の終焉を身を以て体感しているパイロットそのもの。教師を目指しながら、最終的には職業軍人に落ち着いてしまった身を多少なりとも皮肉に思っている本音が垣間見えた。とはいえ、少佐にまで栄達しているので、戦闘に天性の才能があったのは疑いようのない事実だ。
「あ、それと大会が終わったら、うららがライブをするんですか?」
「理事長が鷲尾マネージャーにねじ込んだらしいわ。あの子の持ち歌は二曲しかないのだけど」
「二曲だけじゃ、もったいない。あたしが何曲か前座で歌います。今の職場で専門の訓練は受けさせられてるんで」
「衣装はどうするの?」
「コスプレでもして歌いますよ。もっとも、何のコスプレかわかんないと思いますけど」
いたずらっ子的に、はにかんだ顔で答えるのぞみA。ナリタブライアンの勝負服のコスプレをするつもりらしい。こうして、のぞみAは久々に学生時代に戻った気分を味わいつつ、マラソン大会に臨んだ。Bの代理という体裁ながら、『現役時代に自分のドジで、りんが大会制覇を棒に振った、ほろ苦い思い出』を糧にして、マラソンに臨んだ。
――マラソン大会そのものは、かれんの指示で力を抑えたこともあり、のぞみAは無難な順位でチェックポイントを通過していった。二年目の時間軸での出来事なので、一年目の時のような戦闘は起きないだろうが、警戒は怠らない。この時はのぞみの看護名目で、マラソン大会への出場を見送っている秋元こまち(キュアミント)が待機していた。なお、彼女は『大決戦』に参加していたため、別世界での実姉の転生体である如月ハニーから技を教わっており、『プリキュア・ライトニングフレア』という技を会得している(ハニーライトニングフレアを継承した)。
「なるほど、これがウマ娘の体を使った効果だね。どういう風に走ればいいか、『本能で分かる』!」
第一級のウマ娘であるナリタブライアンの体を借りていたためか、彼女の走りが魂に刻まれたようで、徐々に加速していく。そのフォームはナリタブライアン(全盛期)のそれに酷似し、なおかつ、追いつこうとする際に、相手が怯えを感じるほどの何かをオーラ付きで発していた。これこそ、その昔、『時代を担えるレベルのウマ娘のみが到達できる』と言われた境地である。人間であっても、一級のアスリートが超集中状態に入った際に『周りが止まって見えた』と証言しているケースがあるが、それのウマ娘版である。彼女らの場合は『バトル漫画のごとく、能力向上状態が可視化された』状態で発現するが、のぞみAはウマ娘の体を借りていた時に『継承』してしまったため、その状態に入りつつあった。
「え、夢原さんが猛烈な勢いで追い上げてる!?」
学園の新聞部長『増子美香』(ますこみか)が素っ頓狂な声を出しつつも、観戦している生徒から聞き取り取材を行う。のぞみは運動音痴として、学園にその名が轟いているため、『何かの間違いでは?』と聞き返すが、その生徒はこう証言した。
「時よとまれ、君は美しい…っていいたくなるような走りで……なんかこう、まるで別人みたいに『走りなれてる』フォームでした」
と。のぞみAは自覚していないが、走り方が素人目にも『完全に陸上競技を走り慣れている』と分かるものになっていたのである。元々、容姿は整っているほうなのもあり、普段のおとぼけぶりが嘘のように、『凛として見えた』。その証言をもとに、次のチェックポイントで待ち構えていると。髪を普段と違い、ポニーテールにまとめ直しているのぞみが『普段の彼女からは想像もつかないほどに美しいフォームの走りで通過していった』のである。これには、のぞみと同期かつ、入学時から彼女を知っている増子も我が目を疑う。元々、方向音痴かつ、けして足が速いわけでもないはずののぞみが陸上経験者のような走りを見せたので、驚天動地。すぐに後を追った。
――マラソン自体はりんとかれんが順当に上位をキープ、うららはそこそこ、くるみは無理をしない程度の順位であった。のぞみは下位からの追い上げを見せている。その勢いは凄まじく、後に、追い抜かれた者は『鬼気迫る何かを感じ、自然に足が止まってしまった』と証言しており、ナリタブライアンの持っている固有スキル『SHADOW BREAK』が自然に発動していった事が分かる。最終的な順位そのものは『決して高くはない』ものの、最下位近くから驚異的に追い上げていったのぞみの走りは、その後も『学園の伝説』として語り継がれていく。(後日、それを聞いたBがものすごく拗ねてしまったのは言うまでもないが……)
「!?」
「おおぉおおっ!!」
柄でもない雄叫びを挙げながら、華麗に自分を抜いていくのぞみに目が点になり、思わず足を止めてしまうくるみB。事情は聞いていたが、いくら『軍人』を仕事にしているといっても、たった四年かそこらで『生来のドジ』があそこまで改善するものなのか。
「あーーもう!!待ちなさいよーーー!!」
ムキになり、のぞみを追うくるみ。しかしながら、本来は持久力以外の全てで上回るはずの彼女も、『転生し、幾多の修羅場を潜り抜けた上に、ウマ娘の肉体とシンクロしていた影響で、その全能力を継承した状態』ののぞみには及ばなかった。くるみBはここで、のぞみAが力を継承したという存在が誰であるのか、強く興味を抱くのだった。
――だが、例によって、レースの妨害はあるもので……――
「ブンビーさん?あたしさ、今、マラソン大会に出てんだけどー?」
でこに怒りマークが出ていそうな雰囲気で、(彼女にとっては)懐かしの敵(最終的には腐れ縁になった)のブンビーと対峙していた。
「うお!?君か!?」
「貴方とも腐れ縁だから、ちゃっちゃっと片付けてもらうよ」
「変身しなくていいのか!?」
「パワーアップしてんだ、こちとら。せーのっ!バトルショットカッター!」
腕に巻かれていた布らしきものが展開し、一瞬で鋭利なカッターに変貌する。それが振るわれ、使役怪物『ホシイナー』は瞬時にバラバラにされ、消滅する。
「嘘……だろ…?」
「このあたしに今更、ホシイナーをけしかけたところで、敵じゃねぇんだよ、てやんでぇ!」
「君……厳密な意味での江戸っ子じゃないだろ?」
「あたし自身は東京出身なんだぞー!!ちくしょうめー!!」
意外なことだが、プリキュア5は東京23区近郊のどこかの在住である。これは立花響が記憶していた『花寺のどかとしての記憶』で判明した事実で、地方出身者が多いプリキュア勢では数少ない『首都圏出身』であったらしい。そこは間違ってはいないが、厳密な意味での江戸っ子ではない。(祖父母は地方出身者らしい)
「ったく、今のでだいぶ遅れちまった!この埋め合わせ、どっかでしてもらうかんねー!!」
「なにィ!?」
ホシイナーを始末すると、汗をかいたため、ジャージのファスナーを開け、胸元のさらしをさらけ出した状態でマラソンコースに戻るのぞみA。そこで完全に『SHADOW BREAK』が発動し、凄まじい走力を見せる。この予想外の数分が響き、かなり順位は落ちてしまった。とはいえ、『領域』が発動した状態であれば、順位の追い上げは可能である。凄まじい勢いで、優勝の有力候補と目されている『陸上部のナンバー2とナンバー3』を追い抜く。
「何…今の……」
「誰……?」
一瞬であったためか、自分達を追い抜いたのが誰であるかを判別できなかった陸上部員達。のぞみA自身は軍隊で鍛えた体力の関係もあり、継承元であるナリタブライアン本人よりも『領域の維持可能時間』がかなり長い。オグリキャップやタマモクロスなどががなし得ていた『領域の自己意志での制御』も(プリキュアであるためか)なし得ている。可視化されたオーラを纏い、人間には通常は不可能な速度にまで加速していった。
――このマラソンで、のぞみAがポニーテールにしていた事は(表情が凛としていた事もあり)学園中でかなり噂になった。のぞみBは後日、その模様を報じた学校新聞を目にし、ジジャージを羽織り、その下はさらしを巻いて済ませている『凛々しい表情のポニーテール姿の自分の写真』に素っ頓狂な声を発しつつ、腰を抜かす羽目になったという。順位自体は20位以内ではあるが、けして高くもない。だが、その走りっぷりは(毎年の下位筆頭候補だったこととの落差もあり)伝説になったという――
――この頃は組織にプリキュア5の故郷の一つであるB世界が発見され、侵攻の準備を始めていた。それを察知したヒーローユニオンの妨害工作が行われており、侵攻を遅らせる効果があった。この時に組織が調達していたのは旧・ソ連邦/旧東ドイツ軍の近代兵器であり、旧・東側諸国の軍隊には、意外に組織のシンパが多かったのだ。それと、ナチス・ドイツやソ連邦の軍人の少なからずは国が滅んだ後にマフィアなどに身を貶した者も多く、それらが組織の活動の下支えとなっていた。東側諸国の軍人は安い給与、ろくに福利厚生も考えられていないなど、大戦末期の旧日本陸海軍よりも更に悲惨な待遇に置かれており、組織のシンパになったり、物資の横流しで食いつないでいるため、組織は容易に人員や兵器の調達を行えた。また、カールスラント軍を追放された人員も取り込んでおり、結果として、カールスラントの混乱は組織の伸長を招いたわけだ。カールスラント軍はこの混乱で、復員した人員の四割が組織の一員になり、軍需産業による横流しもかなりなされていたため、人員不足・兵器不足に長きに渡って、悩むことになる。ミーナは実のところ、ガランドの子飼いと見られていたため、皇室から擁護があり、『本人による謝罪は公にされているし、社会的制裁も充分に受けたから、許されるべきでは?』という意見があったが、部内で相当に睨まれていたために、ミーナへの事実上の『制裁』については、彼女のせいで不利益を被った『隊長~副官級の将校達』の少なからずが軍を去るであろう1950年代半ばまで継続する。皇帝も『私が許すし、国民には私が問おう』と述べていたが、ミーナ(中身はまほ)は『国家と軍に迷惑をかけた以上、おめおめと高官の椅子に座るわけにはいきません』とし、皇帝の誘いを断り、扶桑で暮らす事を選び、1949年度に正式に予備役へ退いた。(とはいえ、直後に扶桑軍に雇用されたが)カールスラント軍は内乱の収拾をつける際に、扶桑へ渡った予備役の将兵へ『扶桑の召集に応じても、カールスラント軍の軍服を着用すべし。略綬その他の着用も許可するから……』と通達を発し、カールスラント国民の溜飲が下がるように取り計らった。『本土奪還が叶わないのなら、せめて……』というのがカールスラント全体の意思で、こればかりはドイツも邪魔する資格はなかった。本土奪還そのものは1950年代後半に成るが、鉱物資源を吸われていたため、復興にかなり遅れが生じ、バルクホルンらが退官した後の時代でも復興途上にあった――
――扶桑軍も規格統一の都合もあり、日本陸海軍と同一の装備は徐々に退役していった。その一方で、陸戦ウィッチの要望で『三十年式銃剣』が『64式銃剣』の生産開始後も長らく使用されたり、狙撃銃扱いで精度の良い『九九式短小銃』が使われる、機甲戦力の不足の補填、他戦線の要望、外国製戦車が主流を占めることへの反発から、四式改と五式改戦車が自衛隊式機甲車両の普及の遅れからか、1949年度でも生産が続いているし、(自衛隊式機関銃の欠陥の露呈もあり)、九二式重機関銃が渋々ながらも使用が続いている。戦後型の銃火器と違い、軍工廠に製造設備があるからだ。21世紀の日本は(不況続きなためもあって)軍需産業は衰退していたため、扶桑軍の工廠を閉鎖し、全面的に民間委託したところで、扶桑全軍も含めた膨大な需要には応えられない。その事も、扶桑軍管理下の工廠の維持に繋がった。また、工廠の膨大な工員の雇用問題も絡むため、現状維持(カールスラントのような内乱を避けたいため)の方針となり、民需を拡大させたい日本と、軍需を優先させたい扶桑とのせめぎあいが起こっている。これは戦後の時代に実際にあった『極道者と非行少年の勢力拡大』が『軍隊の消滅による数百万人分の雇用の喪失』も要因であることが理由で、軍部は『極道者などの勢力抑制』のための道具にも使われたわけだ。史実がそうであるように、本土空襲の危険がどの地域であろうと伴っているため、工場設備の地下化、防空装備のシステム化、町並みの刷新が同時に始まり、1949年には鉄筋コンクリート造の高層ビルが本土にも現れ始めた。そのため、扶桑の高度経済成長期は軍事的理由も絡むものであったが、南洋から得られた膨大な資金が急激な開発を可能にした事から、日本のそれにも劣らぬ勢いで起こっていった。また、扶桑で現存していた凌雲閣(俗に言う浅草十二階。関東大震災が起きていないために現存)は老朽化で取り壊しの予定であったが、日本のとある会社が買い取り、耐震設備を備えた地下施設に移築され、そこで保管されることになるなど、扶桑における東京にも、ランドマークの変遷が起こり始めた。軍人の銅像の全撤去も俎上に載ったものの、軍が存在している都合もあって(軍人の不満を抑えるため)一部の軍人の銅像(寺内元帥像など)はクーデター後に見せしめ的に撤去されたが、歴史的な功績のあった軍人像については、地域の要望で据え置かれた。未来世界の保存技術の提供で不要になった防衛食容器については、大量の在庫が倉庫にあったのと、『半世紀後まで保存されても、中身の劣化がほとんどない』という記録により、一般に保存容器として放出された。1940年代後半はまさに変革の時代と記録される。軍民のバランスが戦前から逆転した事から、軍部が保存食などの研究に躍起になり、兵站面の課題を克服せんと死にものぐるいになり、未来世界から放出されたミデア輸送機などを購入するなど、後方任務の改善に努めていた。だが、それで前線が手薄になるという問題が噴出してしまった。クーデターで横の繋がりが断たれた結果、部隊間連携がほとんどなされない問題で、槍玉に挙げられた中堅将校が大量に左遷された結果、64Fがほぼ独力で屋台骨を担う必要が生ずる有様となった。この経緯により、平和な時代が訪れた後にも、部隊が維持されていく理由付けが生まれたのである。元々がウィッチ部隊でありながら、陸海空の機動兵器を多くの人員が操れるという利点は高く評価された。奇しくも、旧日本軍の『鉄人計画』は異世界で花開くことになった――
――『プリキュア5の世界』(B世界)が戦いに巻き込まれた際に、のび太はダイ・アナザー・デイに引き続き、鉄人28号FX(最新最強の鉄人28号)の投入を決意。その調整を急がせていた。鉄人28号はドラえもんの世界で実際に、轟天号(ラ號)、、まほろば、超人機メタルダーと同時期に『起死回生の切り札』として研究されており、本当に27体の失敗作を経て、プロトタイプとなる『元祖28号』(俗に言う初代28号)が完成したともされるが、行方不明。太陽の使者と呼ばれる二代目は『どこかの世界の戦後の時代に洗練させたスタイルで実際に建造されていた』もの。三代目のFXは『壮年期を迎えた金田正太郎が財閥令嬢である妻の資金援助で完成させた後継機』であるので、FXは初代の正統な後継機種と言える。しかし、FXはマニアック過ぎるため、のび太もその存在の把握は遅れた。だが、ダイ・アナザー・デイには用意が間に合い、投入したわけだ。鉄人かしらぬ現代的外観ながら、相変わらずのリモコン式操縦なので、操縦者に自衛能力が求められる。のび太は自身が狙われるのを逆手に取り、鉄人28号系を遠征の途中から使う。リモコンを渡せば、第三者に戦闘を任せ、自分は別行動を取れる利点があるからである。鉄人28号FXの操縦は思考と操縦器のトリガーを用いた並用式でなされるので、意外に簡素な作りである。更に、本体も初代28号より性能は段違いに良く、現代式スーパーロボットと言えるだけの能力があるのだ――
――野比家――
「ゴールドシップ、これは……」
「鉄人28号の第3世代型らしい。初代のレプリカを隣に並べてみたっていうが…」
初代28号はレプリカと明確にされているが、太平洋戦争当時の最新理論『避弾経始』を取り入れたらしき『丸みを帯びたボディ』をしている。太平洋戦争当時の日本軍の技術で可能な限りの強靭な装甲と高いパワーを与えている。背中のロケットは当初の設計にはないものだが、後付でつけられたとの説もある。また、ボディカラーも分からない。発掘された試作中と思われる時間軸の写真もモノクロであるためだ。
「実際に造られたというのか?」
「この世界の松代大本営から見つかった記録だとな。戦争に負ける二年前に計画が策定されて、その一年とちょっとした後に28号の制作に取り掛かったらしい。太平洋戦争の状況的に、試作の28号が何機か造られてたけど、一号機はエンジンの不調で爆発四散。漫画で出てくる28号は二号機、あるいは三号機らしい」
「実際はどうだったのだ?」
「不明だ。日本陸軍、あるいは海軍が一機だけ完成させた戦略爆撃機『富嶽』に積まれて、ニューヨークを破壊するつもりだったともいうが、その前に戦争が終わって、有耶無耶になったそうだ。設計図だけが戦後も松代大本営跡に残り、23世紀の頃の内部調査で発掘されて、興味を持った軍がレプリカを試しに作った。それがこの初代だそうだ。実際に戦闘で活躍してるのは『二代目』と『三代目』だとさ」
『太陽の使者』という渾名を持つ二代目、初代の正統な後継機『FX』。それらが『現役の鉄人28号』である。初代はダイ・アナザー・デイでドラえもんの操縦で試験的に投入された後、兵器としてのスーパーロボットの真の始祖という事で保管されることになった。第二次世界大戦当時の技術での弾丸を礫のように弾く特殊鋼を持ち、ハイパワーは『1940年代であれば、最強の兵器になり得た』と評価されている。
「この三代目はハイカラな外観だけど、リモコン式だ」
「なぜ、リモコンなのだ?ここまでいくと…」
「嘘か真か、実際に作る時、設計者が『リモコン式じゃないと、鉄人28号じゃない~』ってヒステリー起こしたとか?ただ、リモコン式と言っても、かなり高度な技術で作られてるらしい」
鉄人28号たちはアニメを元にした外観と能力を持つものの、ドラえもんが資材を用意した上で、当局の手できちんと一から建造されていた事、二代目と三代目の鉄人のようなロボを実際にメカニックにするためには、手順を踏んでの開発が必要であった事が明かされる。ルドルフとエアグルーヴが見ている二体は『開発された年代の差』が素人目にも分かるほど、デザインセンスの違いがある。
「背中のロケットも、飛行ユニットとの合体に進化したのか」
「まーな。ロケットの推進力だけで飛ばすのは色々と無理があるから、飛行ユニットとの合体になったんだと。マジンガーZでもそうだけど、本体と合体した状態で超音速でかっ飛ばす目的で、推進力がオーバースペック気味なんだってさ」
ジェットスクランダーやグレートブースターがそうであるように、本体と合体した状態で超音速を叩き出すため、かなり推進力の余裕がある造りにされている。その関係で、ジェットスクランダーも単体であれば、合体時の数倍の速度が出るという。
「整備中なのか?装甲が一部外されているようだが…」
「家主が使うとか言ってるから、三代目はオーバーホール中だよ。初代は今度、スミソニアン博物館に特別展示するとか?」
「スミソニアンだと?」
「特別展やるんだと」
初代28号がロボット工学のマイルストーン的扱いとされ、ダイ・アナザー・デイ後に第一線から退き、『第二の人生』を歩み始めている一方で、後継機達は初代の『本来の開発目的』である戦闘に用いられていた。初代もアニメのように、戦後直後に現れていれば『ヒーロー』扱いされていたはずなので、そこも運命の悪戯である。ルドルフとエアグルーヴは、格納庫に置かれた『二体の鉄人28号』に鉄人28号も『時代の流れ』と無縁でいられない現実に、一抹の寂しさを感じたのだった。