ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きです。


第二百十五話「プリキュア5の世界にパットン戦車軍団、来援ス」

――結局、日本連邦は軍備更新も政治的都合でスローペースになっている。連合軍はこれに苦言を呈した。日本側も太平洋戦線では、自分達が矢面に立つ立場であるので、苦言を呈されることに反論の余地はなかった。扶桑が必死に港湾インフラを整備したりしたのは、機甲兵器を前線に運搬するためである。1949年当時には主力戦車も40トン超えが既に現れており、機甲兵器の大重量化が促進されていた。日本連邦軍は大型輸送艦の配備を急いでいたが、クレーンの交換などを伴う港湾近代化は四年で完了するほど甘くはなく、実際の運搬は地球連邦軍のミデア輸送機が殆ど行っていた。――

 

 

 

 

 

 

――1940年代、連合軍の前線指揮官の一人である『ジョージ・パットン』へは『戦車に関しては、何も知らない人間と同程度の知識しかない』という批判が起こっていたし、ロンメルには『兵站に無知な軍団長』という批判が起こっていた。パットンは史実のM26重戦車の採用までのゴタゴタを知らされ、『最新のMBTであるM1の配備を促進したい』と本音を漏らしたが、今度は『知ったかぶり』と批判されていた。パットンは『今の俺たちには陸軍管理本部の束縛はないし、前線で地獄を見てきたんだ!強い戦車をほしがるのは当たり前だ!』と憤慨している。史実と状況が異なるからだ。パットンは史実通りに粗暴と思われているが、裏では気配りの人物であり、圭子に裏で『操縦』されていることは暗黙の了解だった。パットンがこれまで更迭されなかったのは、士気の維持の問題もあるが、圭子が問題発言をさせないようにしていたからだ。――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――プリキュア5の世界――

 

「よう!」

 

ミデア輸送機から降り立つは自由リベリオン軍の将軍であるジョージ・パットン、その副官のオマール・ブラッドレー、その幕僚達であった。

 

「パットン。お前が来るたぁな」

 

意外そうな顔の圭子。

 

「メディアに叩かれてるからな、俺は。気分転換だ」

 

「そういうわけだ、ジョージはこんなでな……」

 

「ブラッドレー、あんたもか」

 

「アイクも、空軍将校の君等に陸戦部隊を率いらせるのには懸念を抱いていてな。念入りで来たわけだ」

 

かくして、ジョージ・パットンとオマール・ブラッドレーが戦線にやってきた。ブラッドレーは史実では戦後に軍の統合参謀本部議長を務めた人物で、所謂、『戦時の指揮官』でしかないパットンより兵站に明るい。それもあり、コンビ関係は続いている。(なお、1949年当時にはブラッドレーも大将になっている)アメリカ陸軍の指揮官としてのベスト5に入るコンビだろう。

 

「パットンは史実の発言で、アメリカ軍からも、すこぶる扱いづらいって言われてるからな。アイクもここらで戦功を積ませておきたいんだろうさ」

 

「設営は?」

 

「済ませておいた。いいのか?21世紀には、とうに死人のあんたらが『顔出し』で現れて」

 

「俺とブラッドレーのことは、軍事関係者じゃないとわからんさ。それに、俺は40年以上前に『死んでる』はずだろ?」

 

「お前なぁ」

 

パットンはウィッチ世界では、『茶目っ気あふれるマッチョイズム好きのおじさん』である。そのため、粗暴で鳴らしていた同位体との差異がある。裏では気配りをしていても、表立っては粗暴な振る舞いしか見せなかった事がパットンの失敗であったが、ウィッチ世界では『好漢』の側面が強く出ている。(マッチョイズムは第二次世界大戦当時の米軍の指揮官がカリスマを維持するために多用しており、海軍のウィリアム・ハルゼーもその実例である)

 

 

「ケイ。この機会だから聞くんだが」

 

「なんだ?」

 

「お前らはどうして、転生なんていう、知れば、もれなく諸方面から反感を買うような事を選んだ?」

 

「好きでそうしたわけじゃない。神様がそうする事を選んだんだし、あたしだって、ゲッター艦隊の一員になったから、本当は戻るつもりはなかった。そっちでの仕事があったからな。あの寂しがり屋のために『戻った』んだよ」

 

 

圭子はなんだかんだで面倒見がいい。黒江を放ってはおけず、結局は二度目の死後に1937年に『逆行』して、三度目の現在の人生を歩む事になった。このように、圭子達は一度目の人生で個人の限界まで強くなり、転生の度にその技能を取り戻す鍛錬を行っている。記憶があるからと、すぐに強くなれるかというと、そうではない。当然ながら、肉体を一から鍛え直さなくてはならない。前世で有した技能を再び使えるようにするには、それ相応の鍛錬が必要なのだ。元々、優れた才能を持っているとはいえ、転生の度にそれを十二分に発揮できるとは限らないのだ。

 

「それに、生まれた家の環境が毎回同じとは限らねぇ。綾香なんて、今回は軍に入るのに、家出っていう手段取ったらしいからな。才能があっても、それを発揮できる環境が整ってなきゃ、宝の持ち腐れだ。それに、不治の病にかかったりして、明るい未来がパーになった例があんだろ?お前んとこの国の野球選手に」

 

「ルー・ゲー○ックか」

 

「そういう例があるから、たとえ転生したって、必ずしも『いいことがある』とは限らないってこった。前にのび太が言ってた『リルル』の例もあるが、『同一人物に転生できる』なんてのは、神様のお召がなきゃ無理だ。」

 

のび太が転生を信じるようになった要因である『リルル』。一度目の鉄人兵団との戦いの際に、自分達の存在と引き換えに地球を救った少女型ロボット。歴史を塗り替えたことで、彼女は歴史から消滅したが、その魂の転生体と思われる存在が事後にのび太の前に姿を見せた。のび太が輪廻転生になんら抵抗を持たないのは、彼女の事があったからだ。

 

「これは武子の見解だが、転生しても、『覚醒』を経ないと、力を取り戻させないのは、元の力を扱える地力が最低限つかないと、リミッターがかかって転生記憶が封印されるせいだろうな。あたしら三人はその実例だし」

 

 

「ふむ。輪廻転生、か。仏教の考えだな」

 

「あたしはその実例だぞ?それに、十字教にも『蘇る話』がないわけでもないだろ?それに、お前の言うことか?史実じゃ、ハンニバルだとかの生まれ変わりを吹聴して、お前自身も『独立戦争の英雄』の血が入ってるんだろ?」

 

「それは同位体のことだろ?俺自身はオカルト的なモノとはあまり縁がなくてな。そりゃ、先祖にヒュー・マーサー(独立戦争の英雄の一人。最終階級は准将)はいるし、俺のジイさんのパットン・シニアは南北戦争で南軍だったがな。まぁ、俺も輪廻転生を信じていないわけでもないがね」

 

パットンは史実よりは自身の軍人一家の血統に冷めた一面があるのと、英雄願望が史実ほど強くないところがあるのを覗かせた。輪廻転生を史実ほど信奉していないが、けして信じていないわけではないと述べており、粗暴な側面が強かった史実の彼自身より冷静なところを持っているのを窺える。一方で若かりし頃、士官学校卒間もない1912年、ストックホルムオリンピックに出場し、射撃で五位入賞を果たしている、M1913騎兵刀のデザインを行った結果、見事に陸軍に採用されていることなど、史実通りの経緯を辿った箇所もある。(同騎兵刀は装備から外された後も、好事的なウィッチが『親や祖父母から受け継いだもの』を持ち出し、怪異へ使った例が確認されており、自由リベリオンではナイフなどの近接格闘用武器の不足により、武器庫に眠っていた同騎兵刀が持ち出されるケースも多い)

 

 

――圭子は転生そのものは『人が古来から願うこと』だというのを知っている。英霊と呼ばれるほど、生前に偉大なことをした者は神に愛され、来世でも何かかしらの偉業を成し遂げるような加護がある。アストルフォが転生後に調辺アコになり、プリキュアとして世界を守ったように。また、悪人が禊として、正反対の人生を歩んだ例はシンフォギア世界で悪事を働いたフィーネが消滅後にモードレッドに転生し、そこから更にキュアスカーレット/紅城トワになり、最後にペリーヌ・クロステルマンに落ち着いたように、なにかかしらの関連性があることもある――

 

「確かにな。俺なんぞ、M26パーシング重戦車の投入を遅らせただの、シェルショックに無知だの、同位体の失敗を論れられるからな。参るよ」

 

「お前は史実で勝った側だから、まだいいだろ?うちの将官たちなんて、リストラしろだの言われるからな。自衛官でいくらでも替えがきくからって。だが、戦艦の指揮は自衛官にはできんよ」

 

「言えてるな」

 

 

戦艦は21世紀では『絶滅した恐竜』扱いで、古典的な砲戦のノウハウもとうに失われている。そのため、戦艦を自衛官に指揮させる事はダイ・アナザー・デイの段階で諦められている。(もっとも、連合艦隊もM動乱で苦戦した経験を得たから、戦艦の真価を発揮させられたわけだが。これには現場で異論があり、基本的に砲術理論は時代を経ても変わりないから、海上自衛官が砲熕型艦艇の砲術長をしても問題はないからとのことである。むしろ、進歩した弾道力学があるので、扶桑軍より命中率をよくできるとの意見もある。扶桑の戦艦は最新型は21世紀以降の形の射撃管制装置を持つので、自衛隊よりむしろ進んでいると言えるが、官僚はそれを認識していない。)

 

「お前は史実だと、数でボコボコにするのを好んだっぽいからな。そこもお前の不幸だ。戦車兵の恨みを買って、軍に暗殺されたって疑惑が言い伝えられている。だから、強い戦車はあるに越したこたぁない事は覚えとけ。お前は倅もベトナム戦争での指揮官になったから、マスコミに注目される身だ。映画にもなったし」

 

「面倒なことだ。とは言え、ヤツも指揮官になるのか…」

 

パットンは彼の実子も数十年後に戦車部隊の指揮官になったのは有名な話だ。ちなみに、パットン本人には暗殺疑惑があるが、あまりに不可解な最期を遂げたからである。映画にもなっている活躍をした指揮官ではあるが、嫌われる要素も多いのだ。

 

「M60の開発は促進させてるが、少なくとも、あと数年は生産できんからな…」

 

「我慢しろ。技術チートなんて、日本がやろうとしても、物量に圧倒されそうだから、上手くいってないのが現状だ。おまけに21世紀型兵器は生産がスローペースだから、大戦型の戦場への投入を政治屋が渋ったんだ。冷戦型兵器の生産すら、現地の工業力を馬鹿にして、たかをくくってたからな」

 

「馬鹿にしておるな」

 

「だから、うちの優良部隊は地球連邦軍の援助で装備を自主的に整えてるわけだ」

 

「しかし、別世界のカールスラント軍の残党と本格的にやり合うことになるとはな」

 

「もし、怪異が来なけりゃ、お前らもあたしらの国とやりあったろうから、お互い様さ。兵たちの練度は?」

 

「タケコの言うとおりに、練度が高い連中を集めた。向こうは実戦経験が豊富だというからな」

 

「装備は?」

 

「できるだけいいのを集めた。M14を初期製造段階のものだが、領収した。M16を薦められたが、ゲリラとやり合うわけでもないからな」

 

この時にパットンが連れてきた部隊はパットン直属の部隊で、自由リベリオン軍では最良の練度を保つ兵士達を有している。装備も冷戦時代の水準に到達しており、自由リベリオン陸軍最強の陸戦部隊である。自由リベリオン軍は四年の間に多少は規模を拡大したが、基本的に寡勢の軍隊であるため、連れて来れる部隊の規模には限りがある。パットンの部隊はアフリカ戦線の生き残りを有する事もあり、自由リベリオン陸軍の実働部隊としての側面がある。機甲装備もM48戦車などのベトナム戦争水準のものを有しており、概ねの装備は冷戦前期の水準といえる。

 

「フルオートは出来るが、それは最後の手段……てのは周知しておくべきだな、下手が連射しても当たらんし、そもそも装弾数も心許ない」

 

「何せ、ガーランドから変えたばかりだからな。M1カービンやBARもまだ残っている」

 

「野っ原や砂漠以外なら、5.56で充分さ、市街地なら会敵距離は平均100m無いから」

 

「トンプソンは?」

 

「予備にある。古いドラムマガジン式のロットだがな」

 

「M3もあるぞ、ケイ」

 

「博覧会じゃないんだぞ、ブラッドレー」

 

呆れる圭子だが、リベリオンは武器の貯蔵率がいいので、兵站部ができるだけ多く運搬してきたことが示唆される。

 

「モンティがステンガン持って行けと言ったが、断った。入り切らんしな」

 

「訓練が追いついてないのに、何考えてんだ、あの野郎」

 

「護身用だろ。向こうもサブマシンガンを持ってるだろうからな」

 

「うちだったら、嫌味言われるぞ。前に、倉庫に残ってる一〇〇式機関短銃を使ったら、官僚に『博物館に入れたいのに』って嫌味言われたからな」

 

「本当か?」

 

「気持ちはわからんでもないがな。武装解除の時に殆ど廃棄されてるから。とは言え、倉庫に残ってた在庫品までケチつけるんだから、防衛省の背広組」

 

防衛省は扶桑の持つ旧軍式の小火器を博物館や資料館に入れたがっているが、前線にとっては『代わりをくれよ!!』と愚痴る行為だ。64Fは陸軍時代から引き継いで持っていた『一〇〇式機関短銃』を比較的に貯蔵していたが、防衛省の官僚から『できれば消耗しないで!』と言われてしまう珍事に遭遇していた。とはいえ、自衛隊式のサブマシンガンは評判最悪であるので、黒江がのび太のツテで、ウジ、スコーピオン、イングラムなどの外国製サブマシンガンを調達する羽目になった。カールスラントが軍縮で放出したシュマイザー・サブマシンガンの調達に日本側、とりわけ警察系の人間が難色を強く示したからである。こうした事情で、黒江がのび太のツテを頼り、目についたモノを手当り次第に購入したため、少なくとも三つの種類のサブマシンガンが入り混じってしまったが、一〇〇式の代替になれば、隊員にとっては細かい違いは些細なものだ。むしろ、日本国内の銃器マニアからは『戦中式だからと、日本産を差別してないか?』と一〇〇式を防衛省が強引に回収した事への批判が飛んだくらいだ。

 

「MP5を買いたいが、あれは高くてな。予算の都合で、ウジを多く買った。官僚もこればかりは折れた。自分たちの機関銃の評判が最悪なのはわかってるし」

 

「それは災難だったな。しかし、映画撮影と誤魔化すのには充分だな」

 

「この辺は敵と思惑が一致したな」

 

「ま、連中も普通に『死人になってて』おかしくない年齢だしな」

 

「映画撮影って誤魔化すのも、連中かしらぬ手段だな」

 

「仮面ライダー達が本腰入れるのを恐れたのか?」

 

「それは一理あるだろう。偵察に行っている黒江くん達からの報告を待って、会議だな」

 

ナッツハウスはすっかり連合軍の前線指揮所と化していた。パットンとブラッドレー、お付きの幕僚達がテーブルに地図を広げて、戦略会議に入る様子はどう見ても『第二次大戦の連合軍前線指揮所』であった。黒江達からの報告が入る。

 

『敵は大戦中の試作兵器をいくつか持ち込んでるぞ。パンターがやたら長い砲身になってたり、105ミリ砲搭載のE75重戦車が鎮座してる』

 

「何、E75だと?完成させてたのか」

 

『大方、戦後にどこかで作ったんだろ。おまけに、100口径の75ミリ砲なんて……長すぎだろ』

 

一部のパンターの砲が長鼻と言えるほど長くなっている事から、カールスラントでも検討された『100口径75ミリ砲』だと思われるが、あまりの長さに、黒江も驚いているようだ。

 

『ロンメルが言っていたが、取り回しの都合とかでボツになったそうだ。試作はされたらしいが』

 

「だろうな…。あんなの、長すぎて取り回せねぇよ」

 

「あ、先輩。あれ……」

 

ドリームAが息を呑み、黒江も驚きの車両が双眼鏡に写った。

 

「なんだありゃ!」

 

「どうした?」

 

「……パットン、俺の目はイカれたらしい。パンターの車体に155ミリ砲が載ってる……」

 

『何!?そんな車両あったかなぁ……』

 

パットンも首を傾げるそれは、史実でペーパープランであったパンターの車体を流用しての自走砲。史実では完成せず、カールスラントも制作していない代物である。自走砲である事を示すように、砲塔が密閉式ではない。パンターはドイツ軍の次代の主力として期待されたので、実際には実行されていないペーパープランも多い。その内の自走砲案である。

 

「連中は博覧会のつもりか?巡洋艦級の砲の自走砲がまだあるぞ」

 

『カールスラントの砲兵が聞いたら、涙流すと思うぞ』

 

黒江が双眼鏡で確認していくと、巡洋艦級の砲を持つ自走砲が待機しているのが見える。威圧のためだろうが、第二次大戦当時の技術では70トンオーバーになるようなものばかりだ。

 

「こりゃ、陸自から自走榴弾砲借りないと撃ち負けるぞ。敵は短砲身の21cm砲持ちやら、ロケット臼砲のティーガーを見よがしに置いてやがる。戦争博物館見てる気分だ」

 

「先輩、ヤークトティーガーがいますよ」

 

「何?よく置けたな…しかも、史実より砲身長いぞ……不意打ちされると、M48は抜かれちまうな」

 

ヤークトティーガーの防御力は今やさほどの脅威ではなくなったが。火力は未だに脅威で、戦後型MBTの装甲も撃ち抜く。二次大戦型では最強の戦車砲『12.8cm PaK44』の威力は凄まじいが、機動力は劣悪なので、殆ど砲台代わりだろう。

 

「21世紀型徹甲弾(装弾筒付翼安定徹甲弾)、足りますかね…」

 

ドリームAがもっともな心配事を漏らす。

 

「あれが使えんと、撃ち抜くのに苦労するぞ。ドイツの大戦後期のは、避弾経始考えてる世代の戦闘車両だしな…」

 

21世紀型の装弾筒付翼安定徹甲弾であれば、ドイツ重戦車もさほど怖くはないが、旧来型の砲弾(高速徹甲弾や硬心徹甲弾、装弾筒付き徹甲弾)では、ヤークトティーガーなどの正面装甲を撃ち抜くのは至難の業である。榴弾砲の榴弾の爆発で擱座させるにも、砲兵の位置を特定されるわけにはいかない。自衛隊の自走榴弾砲の必要性が上がったのは確かだ。

 

「パットン、迂闊にM48を進軍させるな。待ち伏せしてるヤークトティーガーにズドンだぞ」

 

「それは怖いな…。砲の性能は上だが、こっちはまだ戦車戦に不慣れだ」

 

「敵も駆逐戦車の移動には苦労しとると思うぜ。あんなでかいの、下手に動かしたら、日本の道路のアスファルトが陥没しちまうからな」

 

「市街戦ではM41……ウォーカー・ブルドックなどを支援に使うつもりだが、パンターが主力なら、迂闊に前に出せんな」

 

「もれなく犠牲が出るから、そいつらは軽車両の始末にでも回せ。M48は虎の子だ。ブラッドレー、扱いに気をつけてくれ」

 

「わかった」

 

M48戦車はこの当時に自由リベリオンが運用する戦車では最高の戦車の一つだが、自由リベリオンの最新鋭戦車なので、数がまだ100両もない。虎の子と表現したのは、そのためだ。

 

「架橋戦車はあるな?」

 

「日本に行くから、用意はした」

 

「よし。これで橋の問題は大丈夫だ。俺たちの機動兵器も調整を急がせてくれ。明日には小手調べしたい」

 

「わかった。体制が整い次第、軽戦車部隊で探りを入れてみよう。敵も全部がパンターやタイガーばかりではあるまい」

 

パットンは方針を決める。パットンもロンメルから聞いているため、パンターが旧来型に比べ、高価な機材だと言うことは知っている。

 

「MSを架橋に使っていいか?」

 

「ああ、ジェガンを持ってきたから、それを使わせろ。最近はその用途にも使われだしたからな」

 

ジェガンはデザリアム戦役の後には、ジムⅡやネモに代わり、土木工事の重機代わりにも使われ始めた。土木工事重機に転用されているジムⅡが老朽化したからだ。GフォースはMSをその用途にも使っており、小型のジェムズガンよりも現場で荒く使えるため、ジェガンを重機に転用しだしている。より新しいはずのジェムズガンはカタログスペックよりもトルクが低く、実際の土木作業に向いていないからで、『モビルワーカーとしても非力』と言われてしまったわけだ。(ジェムズガンが後継機になりそこねた理由)

 

「では、早速借りるよ」

 

壁紙格納庫から工事車両風の塗装に塗られたジェガンがブラッドレーの命令で発進し、ブラッドレーの指示で土木工事に勤しみ始める。ジオンのザク・ワーカーの発想であるが、地球連邦軍もMSが普及した後は旧型を間に合わせの重機とするのである。ジェガンは第二の人生をこうして歩むのである。

 

 

――兎に角、使い勝手が良いんだよ、ジェガンは。パワーはチューニング次第で第三世代ガンダム(百式、Zなど)とタイマン上等だし、アビオニクスの更新で反応も上々、ハイメガランチャー(ハイパーメガランチャーとも)やビーム・スマートガンで砲撃や狙撃も出来ると、ほぼ万能なのが良い。外宇宙対応更新機(R型ベース)なら、地力で何処でも行けるから災害救援にも使えるし――

 

ジェガンはジム系、ひいてはアナハイム史上最高の名機と言われるが、Gフォースの自衛隊員(21世紀人)からも操作性の高さなどをそういうふうに表現され、高く評価されている。戦闘に供する必要のない『状態のいい』機体を重機代わりにする点はジオンの『ザク・ワーカー』(作業用ザク)より贅沢である。工作班操る同機が設営を手伝い、MSが『人型重機』のように使われるのは、ドラえもんの時代に思い描かれていた『ロボットの次代の働き方』の一つであるという。

 

「敵の航空戦力の有無を確かめたいが、今はガキ(ドリームB)も抱えてるから、あまり危険は冒せん。今日のところは引き上げる」

 

「それがいい」

 

「うーむ…。黒江くん、こうなったら、M103の試験大隊を呼び寄せる」

 

「おい、ファイティングモンスターを使うのか、ブラッドレー?」

 

ファイティングモンスターとは、『M103重戦車の愛称』として日本で有名なものだが、実際には制式名称ではない。ところが、それを聞いたウィッチ世界のジョージ・パットンが広報向けの愛称として採用。『嘘が真になった』のである。

 

「せっかく、君等の国が愛称を与えてくれたんだ。初陣を飾らせるにはふさわしい相手だと思わんか?」

 

「軽くしたとはいえ、機動性は余り期待するなよ?」

 

「敵の重戦車と駆逐戦車さえ倒せればいい。戦略機動力は求めてはいないさ。君も、自衛隊から自走榴弾砲を借りる手配をしてくれたまえ」

 

「夜にでも、陸上幕僚長に打診しとく」

 

 

――このように、事態は連合軍+仮面ライダー+プリキュアスターズ対ナチス・ドイツの様相を呈し始めたわけだが、ナチス・ドイツの誇った重装甲戦闘車両は威圧としては充分に効果を見せている。連合軍は持ち込んだ超兵器は少数であること、敵の航空戦力の有無がわからないため、迂闊な行動を防止しつつ、外部へは『B級SF映画の撮影』を装うため、敵味方ともに外部にはそう振る舞うという珍妙な状況であった――

 

 

 

 

 

 

 

 

――この遠征に持ち込まれた航空兵器が外国製の航空機だということに不満を持つ者は扶桑の航空技術者を中心に多かったが、国産の震電改シリーズは防空部隊に優先配備されていた上、改二は当時の年代的に実在を信じてもらえないという状況であった。そのため、横須賀航空隊出身者は針の筵状態が続いた。震電の対抗馬として、宮菱製の局地戦闘機(戦闘脚)として期待されていた『閃電』を失わせたからで、結局は航空戦力の主力において、ライセンス生産機が主流となったことに大いに不満を持つ技術者は大勢いた。だが、日本側としては『実際の性能があまり期待できない扶桑の国産機より、実戦での高性能が保証されているアメリカ合衆国製の機体を買ったほうがいい』という声が大勢であったし、『震電一本になったのは、開発リソース集中の観点からは、むしろ好都合である』とする声もあった。とは言え、期待の『閃電』や『陸風』、『震電』と言った海軍系の期待の試作機をクーデターの失敗に落胆した中堅世代のウィッチが主導して『焼却した』事の罪は大きく、横須賀航空隊の多くのウィッチは結果的に技術者の怨嗟混じりの要請もあり、懲罰的な任務に多くが従事し、終戦まで生き残れた者は後世の記録によれば、『ごく少数』であったという。結局、扶桑純国産機の系譜はこうしたアクシデントもあり、震電に統合/淘汰されていった。P-51Hとシーフューリーという『最高のレシプロ機』の壁を超えるためにジェット化という道が選ばれ、二種類が完成した。しかし、改二は高性能であるが、生産が伸びず、改一は秋水、紫電改、雷電、疾風などの旧型になったレシプロ戦闘機の代替機としての使用が優先され、侵攻作戦には用いられていない。そのため、史実米軍機などの名声が却って高まってしまうことに不満を持つ扶桑の航空技術者は多かったが、自力での航空機開発能力が『技術者の海外への流出』でほぼ絶えつつあるカールスラントに比べれば、遥かにマシであった。(なお、閃電は回収された残骸がドラえもんの手で1950年代に復元された後、当時の開発陣の執念でジェット機へと改造される。しかし、運命は残酷で、ブーム式という機体形状から、サーブ21Rと似たりよったりの性能と試算されたり、形状の改良後もシービクセンと同程度の性能である事で、既に『根本的に次世代の高性能機』が登場していた事もあり、制式採用のリベンジには至らずじまいであった)史実と異なり、F-14が『海軍の単座戦闘機』として開発中という状況だが、史実米軍機に比肩しうる国産機は震電改二型が該当したが、生産ラインの構築に時間がかかっている上、あまりに年代を無視しているほどに『ハイカラである』ブレンデッドウィングボディの外観をしていたために『実用機』と認識されるのに時間を要した(ブレンデッドウィングそのものは、1943年にプロトタイプと言えるレシプロ試作機が米軍/リベリオン軍にあるのだが)。日本側が改二を実用生産機と認識するのは、その配備が進んだこの年の夏頃の事。その頃には改二もエンジン強化型に切り替えられ、『F-16に匹敵する』性能は嘘でないことを証明するわけで、扶桑の航空技術者が未来技術を用いて開発した同機は経緯はどうであれ、戦前日本の航空技術の意地を見せたわけだ。(考えるアイデアは世界一流ということは証明された。)P-51Hは逆に『直線番長』なことが実戦で証明されてしまい、熟練した日本軍出身者からは『D型のほうが怖い』と漏れるなど、散々であった。頼みの加速力も再燃焼装置を備えたジェット戦闘機などに及ばないため、ウィッチ世界では後年、『敗北者』の代名詞となった)これはウィッチ世界での四式戦闘機が結局、諸事情で嚮導機から史実の制空戦闘機に開発目的が変化し、防弾装備を強化した結果、性能値も(最高数値だが)史実と大差ないもので落ち着き、さほど量産されぬままにジェット機に取って代わられたのと似通っていた――

 

 

 

 

 

 

 

――ドイツ重戦車に対抗するため、M48の増勢とM103重戦車の派遣が決議された。何故、重戦車を呼び寄せるか?これはヤークトティーガーに高品質の徹甲弾で先制攻撃をされた場合、M48と言えど、車体を撃ち抜かれてしまうからだ。M103重戦車は史実の弱点を補うため、装甲の高品質化とエンジンを変える事による軽量化を含めた強化がなされ、ティーガーⅡ系列に対抗するに充分な性能を備えていたため、急遽、訓練中の大隊が『実地試験』名目で投入されることになった。自由リベリオン軍は『陸軍管理本部』の束縛を受けないのと、人員に『限りがある』事から、兵器の更新に積極的であった。1949年当時の時点で冷戦型兵器の装備に至った。外征部隊がそのまま抵抗側に転じたため、練度は総合的に高い水準を保っている。パットンはウィッチ世界では『ラーテ計画』のリベリオンにおける推進者であったので、ダイ・アナザー・デイ当時の時点で『M4を超える戦車』を欲していた。彼は結果的に日米のマスメディアからの批判やリンチ、謀略(金属バットでの殴打での入院やひき逃げなど)を乗り越え、自由リベリオン陸軍の指揮官に収まり、史実では死んでいる時間軸である1949年(64歳)でも元気である。M4がダイ・アナザー・デイでおもちゃのように破壊されていくのを目の当たりにし、戦車について勉強したためだ。皮肉なことに、M4中戦車はウィッチ世界では、史実で九七式中戦車や九五式軽戦車が揶揄されたような『鉄の棺桶』の代名詞となり、使用期間は長くとも、その汚名がつきまとうことになった――

 

 

 

 

 

 

 

――この時期の戦車開発競争に置いてけぼりを食った形となったカールスラントとガリア。カールスラントは敵の手で自国兵器の優秀性が証明され、自国から放出されたものが扶桑などでそれなりに使用されたので、まだ救いがあった。ガリアは戦間期型からの更新がならぬままであった。自国の荒廃を受け、ペリーヌによるリソースの復興への一極集中の提言が受け入れられ、リソースを一極集中したことは結果的に後々の『アルジェリア戦争』の扶桑への無残な敗北に繋がり、戦争の敗戦が決定的になった時、ペリーヌは『ガリアの国威を貶めた』と批判を受けてしまう。ド・ゴールが老齢になり、政治から引退した後、ペリーヌは表向きはその時期に議員も辞し、慈善活動に専念するとしつつ、実際は紅城トワとして、日本連邦のインドシナ戦争(ベトナム戦争)に従軍する。ペリーヌはその時期に『政治に嫌気が差した』と漏らしており、1940年代から50年代におけるガリアの派閥抗争の中で何度も暗殺されかけた事で、復興よりも他国への威圧などを優先する自国に嫌気が差し、モードレッドとトワに肉体を使わせる事が増加していく。(ペリーヌの提言が原因となり、大和型戦艦に対抗しうると目された戦艦の完成がついにアルジェリア戦争に間に合わず、更に強大な『超大和型戦艦』にリシュリュー級が一蹴され、50cm砲の滅多打ちにあい、早々に浮かぶ廃材となるという、悲劇を通り越して喜劇になるくらいの醜態を晒したため、ペリーヌは右派などに非難されるのである。これにペリーヌは『現金なものですわ…』と呆れている)ガリアの落日の招来は怪異に四年も占領されたことでの大地の貯蔵資源の枯渇、植民地を失うことで資源供給を断たれる事の恐怖が無謀な戦争へとひた走らせたことで起こるわけである。奇しくも、それは未来世界のサイド3、20世紀半ばの日本と同じような追い込まれての状況と言えた――

 

 

 

 

 

 

 

 

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