――ドラえもん達が20世紀終わりに遭遇した天上人はどうなったのか?その答えは23世紀に出た。『ガトランティス帝国や宇宙怪獣の攻撃で植物人共々に本星の環境ごと80%が殲滅され、生き延びたごく少数が細々と元の植民星の大地で生活しているだけ』であったのだ。地球に帰還するどころか、宇宙怪獣とガトランティス帝国というダブルパンチで種の滅亡寸前に追い込まれていたのだ。生き延びた『天上人』の子孫達は先祖返りを起こし、地球への帰還を試みようとしたが、その頃には地上人が宇宙大航海時代を迎え、版図を天の川銀河の多くに広げ、ボラー連邦と領土係争状態にあった事、既に文明レベルで大きく水を上げられていた上、度重なる戦争で天上人が帰還できる環境に無いことが明らかになった事から(スペースノイドがコロニー落としで環境破壊をしまくってしまった上、コスモリバースシステムの効果で天上人の国土であった雲が五割も消えていた)、地球連邦の管理する植民星に移民し、地球連邦の庇護下に入ることを選ぶ。天の川銀河で覇を競うまでに成長した地球連邦の一市民となるほうが種族の保護が図れるからで、同じ立場の植物人共々、地球連邦の庇護下で種族の中興を図ることになった。その後、ドラえもん世界にいた異人類は比較的に文明レベルの高い地底人と海底人がそれぞれで『犬人類』を保護し、匿っていたことが判明。海底人はテキオー灯を活用する事で生きのび、地底人は恐竜帝国に一時は劣勢になったものの、ヒカリゴケがゲッター線を放射する性質を持っていた幸運で生き延びた。(地底人はゲッター線の効果で進化した種族である事を示すものであり、恐竜人も全てがゲッター線に拒絶されはしていない証である)――
――その後、犬人類は元の大地への帰還を望んだが、アフリカは野党化したジオン残党があちらこちらに潜んでいる事による危険(ある時期、ジオン残党は偶然にバウワンコ王国に流れ着き、近代兵器で略奪を敢行。そこの『守り神』と交戦し、これを半壊に追い込み、機能停止させたという話が口伝で伝えられていた。その際に当時の王であり、皇太子を設けたばかりのバウワンコ百十八世が壮絶な討ち死にをしたという。(その悲劇はミネバ・ザビの『贖罪意識』の原動力となり、メイファ・ギルフォードに公の場での『ミネバ・ザビ』の行動を託す要因になった)がある事から、23世紀世界にも生まれた南洋大陸で暮らすことになり、地球連邦による警護がなされる事になった。(犬人類は国祖の聖旨で兵器技術を古代の水準から発達させておらず、23世紀における国王であったバウワンコ百十八世の討ち死にと『守り神』の喪失で再軍備を急いだが、結局、過去に製造工場が存在していた『火を吐く車』と『空飛ぶ船』を再装備するに留まっていた。)戦闘で討ち死にした王の子であり、のび太が知る『ペコ』こと『バウワンコ百九世』と瓜二つの容貌を持つ末裔『バウワンコ一一九世』は先祖伝来の秘密兵器『守り神』の喪失で『独力での種族存続は不可能』と悟り、地球連邦の庇護下に入ることで独自文化の保護を図った。なお、デザリアム戦役の際に、『グフやイフリート系のヒート・ソードを何本も腹と頭に突き刺された状態で無残な屍を晒す巨神像』が宇宙から観測されていたため、バウワンコ王国がジオンに荒らされた事は誰の目にも明らかであった。ジオン共和国はこの『公国軍残党の交戦の意思無き異種族への殺戮行為』が決定的な『とどめ』になり、国として存続する道を完全に閉ざされたわけだ。ただし、移民船化には数年単位の時間を要するため、政治判断で共和国の最終的責任は棄却され、『バウワンコ一一九世』の子弟などの留学受け入れなどでの禊が決定された。ミネバ・ラオ・ザビも事実上、ジオンの象徴として咎人にされそうになったが、かつての昭和天皇のように『実際の権限がなかった』事、サイド3とスゥイートウォーターの残党をまとめられる人材ということで、一部の反ジオン派が強く主張する銃殺刑は免れた。移民船団化はネオ・ジオン残党のさらなる蜂起を防ぎつつ、公国軍残党を穏便に投降させるための最終手段であった。――
――デザリアム戦役が終わった地球圏はジオンの消滅に伴う任務の再構築とそれに伴う地球連邦軍の再編に大忙しであった。だが、その一方で前線では『大ショッカー』との戦闘が激化していた。黒江やキュアドリームたちはその尖兵として、大ショッカーに立ち向かっていた。そして、他ヒーロー達から武器や兵器を借りる事もままあることであった。これは『エターナル』が漁夫の利を狙って、超巨大ホシイナーを何回か差し向けてきたからで、大ショッカーへの圧力にもなっていた。――
――プリキュア5の世界――
「60m級のホシイナーか…。エターナルめ、どこでも姑息な手を使いやがる」
至ってのんびりと構えるキュアドリームA。大きさが60mと大きすぎるため、困惑気味のBを尻目に、この日は宇宙刑事ギャバンの手引きで用意していた兵器の使用に踏み切った。
「一々相手してちゃ、体力がもったいないよ。こうなったら、『ジャスピオンからの借り物』だけど、あれを使うか」
「え?」
「こうするのさ。ダイレオぉ――ンッ!」
ドリームAはBらを制止し、虚空に向けて、ヒーローお馴染みの叫びを挙げる。その叫びと共に、上空にいきなり宇宙戦艦が現れた。(サイズ的には、フリゲートか魚雷艇であるが。)その宇宙戦艦に『ものすごい跳躍』で乗り込んだキュアドリームAは宇宙刑事ギャバンを通して得たという『巨獣特捜ジャスピオンからの借り物』の操縦席に座り、その『超惑星戦闘母艦』を戦闘モードに移行させる。
『戦闘巨人・ダイレオン!!』
その音声入力をキーに、その母艦は変形し始める。見事なトランスフォームがなされ、ダイレオンは母艦から巨大ロボットへ変形を終える。最後に頭部ツインアイが点灯し、ロボ形態にモードが完全に切り替わり、地響きと共に着地する。歴代の戦闘母艦で最も人型と言える姿を持つとされるだけあり、巨大ロボットとして完成されたフォルムを持つその勇姿は巨獣特捜ジャスピオンが誇った戦闘メカである。
「……宇宙戦艦が……」
「ロボになった……」
「何よあれ、あんなの持って来たの、貴方たち!?」
「借り物よ、借り物。結構苦労したのよね、あれ借りるの」
キュアルージュAもそういい、自分は別のところに向かい、一同と別れる。彼女には別の仕事があるからだ。
その出自についての謎があるダイレオン。ギャバンの持つ情報によれば、ジャスピオンの育ての親であった人物がジャスピオンのために、彼の有していた銀河規模の科学技術の粋を凝らして作り上げたという。銀河連邦警察でさえも『400m級の母艦に実装しての試験段階』でしかなかった『トランスフォーム』機能を通常の機動兵器の範疇に収まる範囲の大きさの宇宙船に収めているなど、フーマ戦役当時の銀河連邦警察よりも数世代は上の技術を誇っている。サイズの関係上、機体の機動性は23世紀の地球製機動兵器にも劣らないもので、戦艦から変形する巨大ロボとしては最良に近い運動性能を持つ。
「嘘、宇宙船がロボットになっちゃうなんて……」
特撮ヒーロー番組のワンシーンを見ているかのような錯覚を覚えたキュアドリームB。駆けつけた他のメンバーの多くも異口同音にその光景が如何にSFチックなのが分かる。そして、未来世界から見ても早めと言える『10秒以内のトランスフォーム』で60m級の巨大ロボットに変形を終える。更にすごいのは、巨体(23世紀のゲッターロボGや真ゲッターロボより多少大きい)の割に敏捷な動作を見せるところだろう。
「嘘、あんな大きさで……あんな身軽なアクションができるものなの!?」
「信じられません……。60mくらいはあるのに、人間みたいな速さで殴ったり蹴ったりできるなんて」
ダイレオンは歴代のメタルヒーローの戦闘母艦で最も小型である。しかし、『恒星間宇宙船』としての出力を機動兵器の範囲の大きさのボディに行き渡らせることで得られる余剰出力の大きさ、機体動作の速さも大きな武器であった。機体操作は恒星間宇宙船が変形したロボとしては(自動化が進んでいるのもあり)最も簡便な部類に入る。ある程度の基礎があったとは言え、初めて動かすキュアドリームAがジャスピオン並に動かせているのがその証拠であろう。
『ダイレオンキィィック!!』
ライダーキックさながらの飛び蹴りも披露。巨体相応のパワーと高い敏捷性があるダイレオンならばの戦法と言える。戦闘巨人の名は伊達ではないのだ。
『ダイレオンビーム!!』
胸からビームが放たれ、ホシイナーが怯む。こうして、ダイレオンの威力が示されたわけである。元はのび太が宇宙刑事ギャバンに借用を打診していたものだが、ダイレオンの持ち主である巨獣特捜ジャスピオン(ジャスピオンは風来坊である)の居場所が掴めなかったために延び延びになっていた。だが、ジャスピオンが偶然にバード星に立ち寄った事で実現の運びになった。こうして、ジャスピオンの厚意でもたらされたテクノロジーはマシーン兵器の高性能化にも寄与し、地球連邦軍が使いどころに困っていた『グレートガンバスター』の敏捷性強化に用いられたという。(グレートガンバスターは300m級になったが、サイズが初代より100mも大きくなり、敏捷性が更に低下してしまい、投入が躊躇われる理由になってしまっていたので、ダイレオンの技術で敏捷性が改善された)
――そして、ダイレオンの必殺技がこれ――
『コズミック・クラァァシュ!!』
ホバー移動を使い、相手に肉薄し、全力のダブルパンチを浴びせる『コズミック・クラッシュ』。ダイレオンの十八番だ。ホシイナーは見事にぶち抜かれ、消滅する。ダイレオンの勝利であった。宇宙犯罪組織『マクー』の首領『ドン・ホラー』と同等の力を持っていたというサタンゴースの攻撃にも耐える装甲を持つので、当然ながら無傷のダイレオン。ジャスピオンが『地球の平和を守ってくれ』と託したダイレオンは別世界でも『平和の使者』としての勇姿を示したのだった。
――その戦いを遠目から観察している『その世界のエターナル』の幹部『ムカーディア』はキュアドリームがまさか、『SFチックな巨大メカを『ワープ』で呼び出して応戦してくるとは思わなかったのか、想定外と言わんばかりに歯噛みして悔しがる――
「あんな巨大メカを持ち出すとは……反則だぞ、プリキュアめ!」
双眼鏡を握る手がワナワナと震える人間態のムカーディア。人間態はプリキュアの敵幹部にしては珍しい部類である長髪のイケメンな青年。史実ではかなりの後期でないと、その正体は露見しなかったが、このB世界ではのぞみAやりんAらの存在もあって、割に早い段階で正体がバレてしまった。現役時代の一件で彼に『恨み』がある、のぞみAとりんBの猛攻にも耐えられるほどの実力があるので、今日まで生き延びている。
「いやぁ、連中も他のプリキュアを連れて来てますし、一筋縄ではいかないでしょう」
若干ながらも、彼に白々しく物申すブンビー。この世界ではまだ悪道のままだが、ムカーディアのことは嫌いなので、同僚といえど関係は冷えている。
「あなたも働いたらいかがですかな?」
「とんでもない。この前の私の散々な有様は見たでしょう?」
ブンビーは戦わない大義名分に、以前の戦いの傷を使った。キュアハート、キュアダイヤモンド、キュアエースの三人に散々にボコボコにされた挙句、黒江のサンダーブレークをモロに喰らい、墜落。更にのび太の44マグナム弾(市販のものではなく、敷島博士制作の散弾仕様。暴徒鎮圧用のビーンバッグ弾である)をダメ押しにぶち込まれて入院する羽目となり、包帯姿で杖をついている。怪人態を維持できないほどのダメージであるので、人間態では見るも無残で、ムカーディアや他の幹部、はたまたエターナルの館長すら同情するほどの有様であった。彼はギャグ補正の持ち主なので死なずに済んだし、史実ではエターナルに嫌気が差し、プリキュア5と和解する道を選んでいるので、根は善人と言える。
「死ぬかと思いましたよ。貴方も戦ってみればどうです?」
「いえ、今はまだ遠慮させていただきますよ」
エターナルはこの頃、プリキュア5以外のプリキュアも相次いで現れ、プリキュア5に加勢してきた事もあり、戦死者も続出。統制が崩れ始めていた。また、仮面ライダーBLACKRXや仮面ライダーBLACKには手も足も出ない有様であった。また、時には30代ほどの男一人に幹部が撃退される事例もあり、事態を重く見た館長は秘書のアナコンディの出陣を許可。ミルキィローズを敗戦に追い込んでいるなど、多少の戦果は挙げていた。そのアナコンディもパワーアップを既に二段は重ねているキュアドリームAには撃退されるので、パワーバランス的には現役時代のプリキュア5は「過去のプリキュアに単体のパワーで見劣りし、最高幹部には単体での決め手を持たない」状況であったと言える。
「二人のドリームについてはわかりましたか?」
「おそらく、別の時間軸から助けに来たのが『強い方』でしょうね。パワー、スピード、技のキレが全く違う。我々の知る方は単体に持ち込めば倒せるでしょう」
プリキュア5は『一年目』に比べればパワーアップを果たしていたが、敵が相対的に強くなったため、苦戦率も高かった。敵側の認識も『単体戦で各個撃破できる』という程度であったのが二人の会話から読み取れる。キュアドリームAは現役を退いた後のオールスターズ戦を戦い抜いた経験が既に基礎能力に反映された状態であり、それにさらなる戦いの経験がプラスされているので、B世界のプリキュア5とは比較にならない『百戦錬磨の戦士』であるが、見かけからは判別がつかないので、彼等としても苦労していた。ドリームAとBを見分けるポイントは一つある。それはAはBと比べて雰囲気が老成していたり、身なりに無頓着になっているところで、年相応にファッションに気を使うBと違い、職業軍人であるため、プリキュア姿のままでいる事も多いが、軍服のままで寝る事もある。
――プリキュア5側は大勝利となったが、ドリームAがパイロットとしての技能も持つことが示されたことで質問攻めに合っていた。巨大ロボットを見事に操れることがわかりやすく示されたからだ――
「パイロットで飯食ってるし、これくらいはね」
「貴方、パイロットしてるの!?」
「生まれ変わった先でそうなったんだから、しょうがないじゃん、ローズ。これでもエースパイロットなんだから」
のぞみBはお掃除ロボをラジコンで動かすにも四苦八苦するが、のぞみAは錦やレントン・サーストンの技能が引き継がれ、発現した結果、エースパイロット級の操縦技術を得たし、サーフボードの技能もプロ級に飛躍している。転生先の環境と過去生の影響でエースパイロットになったのぞみA。これは紅月カレンの影響を色濃く残すシャーリーにも言えることだが、機動兵器での格闘戦ではシャーリーに分があるという。シャーリーにも『アネモネ』の影響がないわけではないが、紅月カレンとしての前世の記憶と感情が強く作用したので、シャーリーの基本は紅月カレン寄りのガサツなものになった。とは言え、北条響時代の温厚さとシャーリー本来の大らかさも消えていないので、基本は『気のいい姐ちゃん』とはのび太の談。
「おまけに、あたしの普段使い、ガンダムダブルエックスだからね。ブンビーさんにめっちゃキレられたよ、なぜか」
「はぁ?どういうことよ」
「こっちが聞きたいって。ジャンク屋に売りそうな声はあっちでしょーに」
若干、呆れ気味のドリームA。ガンダムパイロットであり、ニュータイプ能力も覚醒気味であるなど、最近はリアル系パイロットの気が強くなったが、黒江の意向でスーパーロボットの訓練も受けさせられている。ブンビーはガンダムダブルエックスをドリームが動かしている事を知ると、猛烈にツッコミを入れてきた。思い入れがあるガンダムであるらしく、『私が操縦テクを教えてやる!』と明後日の方向の逆ギレを起こし、ドリームAの頭の上を閑古鳥が飛んだ。とは言え、ドリームAはガンダムパイロットであるので、地球連邦軍でもエリート扱いである。ガンダムは多くが戦況を変えたため、乗るのに敷居が高いマシンと化しているからだ。
「これでもガンダムパイロットなんだから、エリートなんだよ、エリート」
「ガンダムのパイロットって、そんなに偉いの?」
「乗った経験があるだけで、一種のエリート扱いさ」
のび太がやってきて補足する。ガンダムは元来は実験機であったので、素直な操縦性を有していた。それが時代と共に『エースパイロット専用のワンオフのスペシャル機』という認識に変わると、操縦性が顧みられない機体が主流になった。Zを祖とするZ系がそうだ。
「「兎に角、素直で、僕でも乗りこなせるヴィクトリーとかνガンダム、機体の重量配分と変形で操縦性が特殊なZ系、システムの介入でパイロットの能力を極限迄絞り出させられる機体とか、本当にガンダムと言ってもピンキリだけどね」
「へー」
「例えば、νガンダムはサイコミュ以外は僕でも使えるくらい素直な機体だったよ。サイコフレームのおかげで、ボクでも二機くらいはコントロール出来たよ、フィンファンネル」
「あれはネオ一号機のネオサイコミュみたいに施術の必要ないからね。でも、なんで、ネオサイコミュなんて」
「サイコフレーム…、いや、従来のサイコミュの禁止のお触れに備えてじゃない?」
ネオサイコミュ。一時は従来のサイコミュを代替すると期待されていたが、色々な弊害が明らかになった事、宇宙戦争続きである故のネオ・ジオン穏健派への地球連邦の巻き返しもあり、サイコフレームの使用は一定の規制は入るものの、既存機の封印はされず、量産型νも量産の維持がされた。これはネオ・ジオン強硬派の手でヤクト・ドーガの量産途中であったことが白日の下に晒されたためだ。ミネバはこれで面目丸つぶれになった形であり、連邦がご執心の量産型νの生産維持を認めざるを得なくなった。ネオ・ジオングの存在、バウワンコ王国への公国軍残党の殺戮も併せて、監督責任を責め立てられたミネバだが、『叔父達の罪を背負う覚悟でこの場でいるのです。ジオンを私の代で絶やす事も厭わない覚悟です』と気丈に返し、名目上の国家元首としての面目は保った。ジオン共和国としてもたまったものではなかったが、Ⅱネオ・ジオングの建造がバレていた事、旧ジオン派がタウ・リンに資金援助を行っていた事の判明で、ジオンという存在の『条約遵守の意思なし』というレッテルが貼られそうになったが、本当に強硬派の行動を主流派は知らなかったので、どうにか共和国首脳陣の総辞職は避けられた。デザリアム戦役の直後の時期はジオンの葬送曲を奏でる連邦、それに抵抗する残党らという構図であり、タウ・リンが度々『ウジ虫』と評した通りであり、イデオロギーで人を殺す者の代名詞にジオンは堕ちた。ジオンの大義名分はデザリアム戦役の敗北で完全に『とち狂った古臭いイデオロギー』のレッテルが貼られたと言っていい。
「あたしらが戦ってた世界じゃ、一介の破滅主義者がアナーキストの革をかぶって、月を破壊しようとしたからね。ダブルエックスはそれを止めるために造られた。その世界は散々に誤ちを繰り返してきたからね。アクアとミントは見たよね?」
「あれは口じゃ言い表せないわよ、ドリーム」
「ええ。」
ジオンが忌み嫌われる要因となった『アメリカ、イギリス、オーストラリアへのコロニー落とし』。それは一つの世界における人類の過ちである。ジオンが当のスペースノイドにも手をかけた事を棚に上げて、自分たちを正当化した事は過去の人間であるのび太、ドラえもん、しずかやのぞみA、調からすれば言語道断である。更にのび太としずか、のぞみにとっては『自分たちの血を少なからず引く子孫達を理不尽に殺された』という因縁もあり、ジオニズムには否定的である。ジオン側は『大義を成すには犠牲が必要なのだ。特に惰眠を貪っている旧先進国の連中はな』と彼らに嘯いたが、ジオン残党とて、元々は旧先進国の中でも上位の国である日独の移民が主体のコミュニティであったので、まるで説得力がなかった。ドリームAはそんなジオン残党の掲げる大義の欺瞞を一刀両断している。
――誰だって、辛いことや哀しいことを抱えて生きてるんだよ!あんたら(ジオン残党)のやってるなんて……逆恨みそのものだよ!あんたらみたいな……ちっぽけなものにこだわる連中は倒さないとならないって事は分かる!ジオンなんていう、アナクロニズムに縛られたような連中は銀河に進出しようって時に『邪魔』なんだよ!!あんたらの勝手な理由や屁理屈で……この世界を滅ぼされてたまるかッ!!あんたらが犯した過ちは……もう繰り返させないッ!!――
これがツインサテライトキャノンでジオン残党最後の抵抗を打ち砕く寸前に発せられた啖呵である。ヒロインであるプリキュアにはっきりと『アナクロニズム』(時代遅れ)と断じられた事、ジオン残党の精神的拠り所であった『連邦への恨み』のためには、自分たち以外の全てを犠牲にしてもいいとする傲慢と自己欺瞞を一刀両断する啖呵であった。ドリームも過去にダークドリームという『わかりわえた友達』を失っていたので、ジオン残党の自己欺瞞や傲慢さは『否定すべきもの』であった。こうして、ジオンは結局は『ガンダム』に完全には勝てぬままで歴史の檜舞台から去る事になったわけだ。ガンダムダブルエックスという存在そのものが一年戦争、デラーズ紛争、第一次ネオ・ジオン戦争の『過ち』を繰り返させないとする連邦・ジオンを問わずの科学者たちが研究を重ねたモノの集大成であるのを考えると、サテライトキャノンはギレン・ザビが始めた『コロニー落とし』の有効性を失わせるために生まれたと言っていい。連邦のシンボルであるガンダムをプリキュアが駆り、コロニー落としを止め、テロリズムの息の根を止める。その当事者であるため、ガンダムパイロットとしての誇りがないわけではないドリームA。また、ツインサテライトキャノンを撃つ瞬間にはこう叫んでいる。
――ダブルエックス!日輪の力を2つの剣に変えて、人の闇を祓えぇーっ!!――
と。
「でも、ガンダムに乗っても強いとは……」
「それがね、ローズ。この子、ニュータイプみたいなのに覚醒済みなのよ」
「えーーーーー!?」
「フラッシュシステムに適合しただけだから、一般的なニュータイプとは違うそうなんだけどね」
フラッシュシステム適合者は旧ジオンの定義したニュータイプと多少異なり、ザンスカール帝国の定義した『サイキッカー』寄りだが、本当のニュータイプに似た感応能力を持つ。地球連邦は本当のニュータイプと一緒くたに扱っているが、正確にはニュータイプの『別の可能性』と言える。キュアアクア(分身体)の一言に腰を抜かすミルキィローズ。
「それもあって、キレられた感じかな。ま、そもそも、存在自体がヒトでもなくなってるんだけどね、あたしは」
キュアドリームAはマジンガーとプリキュアが融合した存在であるので、外見上は以前と変化がなくとも、実際は不死になっている上、マジンガーZEROの再生能力や吸収能力がデフォルトで働いているので、並半端な攻撃では怪我をしない。かつてのキュアフェリーチェと同等以上の存在になっていたのである。
「君、もうまともな老いも来ないもんね。いや、転生してるプリキュアは…みんなそうか」
「老いがないって…どういうことよ、説明しなさいよ、アンタ!!」
「ローズ!」
のび太に失礼な言動をしたローズを咎めるアクアだが、のび太は気にせずに続ける。
「落ち着いて、ね。転生後に覚醒したり、神威の力を得たりすると、存在が神の位になって、人の理から外れて、老化もしなくなるんだ。はーちゃん……フェリーチェが敵に負けて、自分の大切なものを奪われた時に祈ったのが発端と言えるよ」
「はーちゃんが……?」
「あの子の世界はもう存在しない…。そう言えばわかるね?」
この時、B世界のプリキュア達(分身体である年長組除いて)はA世界にいる『魔法つかいプリキュア』の本来いるべき世界が滅ぼされていたことを知らされた。ZEROがブレストファイヤーで何もかも焼き払ったからで、みらいもリコも、一度はZEROと手を組んだ大ショッカーに殺されている。フェリーチェはこの時に心を折られかけている。仮面ライダーディケイドに助けられ、のび太の世界に連れてこられる時に、あることを祈った、いや、決意というべきか。それがフェリーチェが神として起こした最後の奇跡であった。のぞみたちの覚醒と集結の一因は『ことはが神の権能が失われる直前に皆との再会を一途に望んでいた』事なのだ。正確には「もう二度と……」という強い祈りだった。
「そ、それじゃ…」
「あの三人は守るべき世界を失った。はーちゃんは特にキツイよ。目の前でみらいちゃんとリコちゃんを倒されているからね。あ、今は蘇生してるけどね」
「そのおかげで、あたし達は転生した後にプリキュアに戻れた。だから、多くは精神的にはオバハンなんだよね、本当は」
のぞみAは前世での記憶も合わせれば、かなりの時間をプリキュアとして過ごしているため、精神的には『若い』とは言えない状態になっているが、元のノリは失われていないので、言動は若々しいままだ。
「お、オバハンって……」
げんなりするBだが、Aは平常運転だ。
「いいじゃん、のび太くんなんて、若く見えるけど、もう30代の所帯持ちだよ。アタシだって所帯持ちになったしさ」
「嘘、子持ちなんですか、その顔で」
「童顔なんだよ、僕。カミさんにもそう言われててね」
「先輩方曰く、『言動は肉体に引っ張られ易いから見た目より年寄り臭い言動は意識しないと、あんまり出ない』そうだし」
黒江達が実際の歳より若々しい言動であるのもあり、口調の若々しさはあまり気にされない。圭子に至っては30代の大台に乗ったが、依然としてヤサグレアウトロー口調だ。
「ケイ先輩いるじゃん?」
「ああ、あのヤサグレてそうな感じのアウトロー風の人ですね?」
レモネードBが言う。
「先輩、あれで30だよ」
「嘘ぉ!?」
圭子は1949年で戸籍上の年齢が30代に入るので、親と兄弟からは口調を咎められているが、意に介さない。むしろ『凄み』が増していると言われている。美人なのだが、性格に難ありであるので嫁の貰い手がないと、圭子の兄(二人。次兄の孫が圭子の後継者の澪である)と父は嘆いている。
「のび太君はわざとオッサン臭い言動して正体晦ましてるんでしょ?」
「バレてる様だね、止めないけど。この間、カミさんに車道楽を苦言呈されたよ。カミさんも仕事一筋だから、当分は会えないけどね」
のび太は若い頃(18歳)から車道楽に傾倒している。子供が小学校に上がり、自分は潜入調査で数年は帰れないので、控えて欲しいと述べている。30代に入る頃に裏方の仕事を始めたのも、しずかに言われてのもので、かかあ天下なのが分かる。しかし、実際にはのび太の腕が黒江達に必要とされているため、前線に赴いている。オリンピック選手でもあるので、私生活でプリキュアを侍らせているという批判もあるが、ノビスケのそばにいてられない身であるので、寂しい気持ちになってほしくないからだと釈明している。ノビスケは滅多に会えない両親への愚痴をこぼさず、聞き分けよく育ちつつある一方で、わんぱくに育っている。のぞみも、ことはも、調もそんなノビスケの面倒をよく見ている。調はさらになのはの面倒も見るようになり、多忙である。
「ノビスケくんに何か買ってやらないとなぁ」
「新しいサッカーボールでいいんじゃない?あいつ、サッカーにこりだしたし」
「りんちゃんとなおちゃんの影響だね」
ノビスケは小学校一年の春頃からサッカーを始めた。りんとなお(ラウラ)の影響である。そのノビスケに影響され、のぞみもサッカーを始め、ユース級の実力になっていたりする。
「息子さんですか?」
「ああ。まだ六歳でね。僕もカミさんも働いてるから、お袋や親父に様子を見るように頼んでるよ。」
ノビスケは両親が共働きであるので、祖父母や居候達に可愛がられており、2021年当時はマスコット扱いであった。その事への反発でわんぱくになっているのも事実である。幼稚園生当時の誘拐未遂事件がノビスケの人格形成に影響を及ぼしたとも言え、ノビスケが成長と共にスポーツに傾倒していくきっかけといえる。また、ノビスケの成長にさり気なく影響を与えたのが、ウマ娘きっての変人であるゴールドシップやアグネスタキオンであったりする。
「お、倅は大丈夫だって」
「あ、本当だ。つか、任せていいの?」
「意外に面倒見が良いっていうし、大丈夫でしょ」
メールはこの日の仕事を終え、帰宅した調からで、意外な事に、ゴールドシップとアグネスタキオンがノビスケの面倒を見ており、そのうちのゴールドシップがノビスケのその後の生き方に強い影響を及ぼしていく。(経絡秘孔の効果でこの日は不眠にされてしまったのか、ゴールドシップはアグネスタキオンを付き合わせたという)なお、ルドルフとテイオーはその日は結局、気絶したまま。翌日の朝日が登った時に目覚め、大パニックに陥ったのはいうまでもない。
――ゴールドシップはアグネスタキオンに『不眠の秘孔』を突かれたため、その日は眠れずじまい。秘孔の効果が切れる48時間後にようやく床につけたという。アグネスタキオンはゴールドシップのドロップキックを食らう羽目になる、結局、ルドルフとテイオーをベットで寝かす羽目になるなど、因果応報な目に遭う。また、ゴールドシップにお返しで突かれた秘孔のせいで『やたら腹が減る』ようになってしまい、彼女もその日は全く眠れなくなってしまったのだった――
――その頃、ウマ娘世界のメジロ家では――
「嘘ですわぁあああああ~!」
ゴールドシップの置き土産。それは異世界では『自分はマックイーンの孫である』事を知らせる手紙であり、浅からぬ縁があるのはわかっていたメジロマックイーンだが、あまりに突拍子もないゴールドシップの手紙に『ムンク』さながらの形相で絶叫し、気を失ってしまう。騒ぎを聞きつけたメジロライアン、メジロパーマー、メジロドーベルら『分家筋』の従姉妹(ちなみに、メジロ家嫡流はマックイーンであるとのこと)が発見し、主治医の控える医務室に運ばれていくメジロマックイーン。ショックのあまり、うわ言のようにゴールドシップの名を呟いていたため、あらぬ誤解が生まれてしまい、マックイーンは後日、従姉妹たちが広めた噂の払拭に苦労する羽目に陥り、ゴールドシップに一撃を加えるため、ススキヶ原を訪れる事になる。
『ご、ご……ご、ゴールドシップゥゥゥゥーーーーー!!』
その噂を知った時、彼女は顔を真赤にし、全ての元凶であるゴールドシップの名を叫んだという……。だが、ゴールドシップの姿は学園のどこにもなく、ルドルフもテイオーも不在であった。事のあらましに気がついたマックイーンはゴールドシップにプロレス技をかけるためにススキヶ原へ行く決心をするのだった。