ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回の続きになります。


第三百四十話「海戦と状況と特訓」

――レシプロ機時代は多種多様な塗装があったが、ジェット機時代になると、低視認性を理由に、統一される。それが本来の史実だが、ウィッチたちが怪異と誤認し、同士討ちをしてしまうケースがステルス戦闘機の運用では多く見られた。これは重大な問題で、ダイ・アナザー・デイ中、米軍から抗議が舞い込む事態も起こった。(兵器搭載量の問題と、怪異との誤認のしやすさの問題もあって)第五世代ジェット戦闘機は使用を縮小し、ダイ・アナザー・デイでは第四世代機が主力になったのである。ウィッチ達の多くは飛行機の形状が高速型怪異に近くなっていくことを愚痴ったという。味方識別用の塗装が必要になったのは、遠目からの識別などで、怪異との誤認事故が続発したためで、今後のために、全軍に機種の形状の布告もなされた。第四世代ジェット戦闘機になると、純粋な飛行性能では『完成の域』に達しているので、軍事上の不都合は発生しなかった。とはいえ、パッシブステルス式の戦闘機の大規模戦闘での不都合も明らかになったために、各国でアクティブステルスの研究が進められ、可変戦闘機の時代に完成の域に達する。MSもそれは同じ。一年戦争からの幾多の戦乱を経て、完成の域に達したのは、νガンダムらの世代になってからだ。それは紛れもない事実であった――

 

 

 

 

 

 

 

――同じように、スーパーロボットも多種多様となり、マジンガーZとグレートマジンガーの優位性も消失したわけだが、グレートはブラックグレートの改良と正式な就役を対策とし、マジンガーZは二号機の新造で対策が取られた。これはオリジナル機はゴッド・マジンガーへ改造されたからであるが、象徴的意味合いも含まれている。ゲッターロボが加速度的にバケモノになっていくのに、マジンガーは追従しきれていないと評されているからだが、ゲッターロボの進化は機械の技術進歩の速度よりも遥かに早いため、マジンガーの純粋な発展だけでは追いつけないのである――

 

 

 

 

 

 

――マジンガーのパートナーロボはデザリアム戦役の頃には旧式化しており、後継機、もしくは改良が必要とされ、弓さやかはその作業に追われた。だが、パートナーロボ存在そのものへの疑義が生じていたため、予算の獲得などに時間がかかった。その都合上、ビューナスの後継機は『アルテミスA』と命名されたものの、操縦システムをマスタースレーブ式に切り替えたために、建造が遅延。予算の都合もあり、試作一号機のみが完成した。弓さやかは第三代の光子力研究所長とならざるを得なくなったため、アルテミスAはグレース=マリア・フリードへと貸し出された。本当は自分が使うつもりであったが、立場の変化でそれどころではなくなったのだ。さやか自身、甲児と入籍しているのもあるが、所長にならざるを得ないあたり、弓教授自身は明確な後継者を得られなかったことの証明でもある。炎ジュンが半引退状態になったことも、マジンガーエンジェル計画には狂いとなった。とはいえ、計画そのものは完遂したといえる。『皇帝』との性能差は大きいが、以前よりは格段に戦闘能力は強化されているからだ。さやかは才女であったが、成人とともに、研究所を継ぐしかなかったところに、さやかの悲劇があった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――これは新早乙女研究所の事故以来、スーパーロボットの安全性に疑義が呈されたためでもあり、比較的に安全なマジンガーでさえ、予算獲得が困難となっていた。そのため、マジンガーの今の数以上の新造は困難となった。マジンガーZとグレートマジンガーの登録が抹消されていないのは、その政治的兼ね合いである。結局、マジンガーZは二号機の新造、グレートマジンガーはブラックグレートの改良と正式な就役を改装という名目で登録せざるを得なかったわけで、グレートマジンガーの量産を弓教授が止めた代償でもあった。(因みに、十蔵の子である兜剣造は推進派だったという)――

 

 

 

 

 

――21世紀日本では、ティターンズの非道ぶりが実例(キュアドリームへの拷問など)で実証され、彼らへの降伏を叫んできた者の体面が丸潰れとなった。まさにアニメ通りの残虐ぶり。そのため、旧エゥーゴ主体の現体制下の地球連邦軍を肯定せざるを得なくなり、扶桑への妨害を取りやめる者が続出した。扶桑でも、軍人になることが社会的ステイタスでなくなると、軍人をゴロツキ同然に見る事が増加。治安の悪化の要因となった。結局、その偏見への軌道修正が災害派遣の増加で図られ、華族の財政的特権の段階的廃止、高度経済成長期に入り、扶桑全体が富んでいくにつれ、国民意識も和らいでいく。また、日本側の意識が変わり、扶桑への過剰な介入を避けるようになったので、扶桑の戦争遂行はようやく、新たな段階に入った。とはいえ、原則的に軍の人員補充が志願制に切り替えられ、戦闘が激しくなった影響もあり、志願数は雀の涙。日本も予想外の影響に気まずくなり、自衛官の派遣を増やし、義勇兵の受け入れを事後承諾した。扶桑軍の将校のなり手が減ってしまったからである。ウィッチの過半数が軍に入らなくなったため、ウィッチ兵科の存廃が軍部で議論され始める。しかし、オラーシャでの虐殺を鑑み、『社会的迫害の結果、怪異への対応力に支障が生ずる事態』を避けるため、軍への就職口そのものはこれまで通りに維持された。オールマイティーな仕事をこなせる64Fの幹部たちは『超人』であり、普通は『銃を撃ててばいい』とされたウィッチにとって、本来は『広報業務などは門外漢である』と認識されたからだ。広報・慰問専門の部隊(ルミナスウィッチーズ)も時勢が許さず、結局はその任務も64Fが代行する羽目となった。何故か?連合軍そのものの資金不足、戦闘要員ばかりを求める世間の政治的圧力も理由であった。とはいえ、折角の専門訓練を一定程度は積んだ人材を遊ばせておけないので、多くはバックダンサーなどに駆り出されていく。世間から求められる音楽が時代相応のものではなく、本来はまだ生まれてもいないはずの『ロック』、『ポップ』などになった事も、同部隊の存在意義を奪った形である。その講師になったのが、名だたるウマ娘達であるので、ウィッチ世界は文化面で20年以上も、史実に先んずることになった――

 

 

 

 

 

――ルミナスウィッチーズ(予定人員)は時代相応のミュージカル音楽などで訓練を積んでいたが、『軍人にそこまでさせる必要はない』と世間が断じ、戦えないウィッチの排除の風潮が強まると、軍を退役しようとする者が続出した。軍楽隊も仕事は減らされた(連合艦隊艦艇での演奏の機会も縮小されたため)のに、慰問専門部隊は不要とされたのだ。結局、彼女らは司令部の慰留の成果もあり、司令部付きのバックダンサー要員として、64Fの臨時慰問団への増派という形で落ち着く。だが、ミュージカルやラインダンスの訓練しか積んでいないため、ポップミュージックやロックミュージックのバックダンサーとしての訓練を別個に積ませる必要があり、結局は必要経費が膨れ上がった。64Fの人員は『出身世界でアイドルの経験があった』り、ウマ娘と記憶を共通している』(ルーデル)者もいるため、21世紀の求める音楽に適応し、プロの歌手に遜色ない水準のパフォーマンスを発揮できた。それは例外中の例外であったが、ウィッチの軍への新規志願が落ち込んだ背景の一つに、『ウィッチは万能超人でなければならない』という、世間の誤解があったのは確かだ。日本の『ウィッチ頼りの体制を打破する』という姿勢は逆に『ウィッチの社会的行き場』を狭め、彼女らを追い詰めてしまうことになり、それがMATの伸長に繋がる。皮肉なことに、アニメという形で『501統合戦闘航空団がいれば、危機は救われる』という認識が日本にあった事から、ウィッチ全体の雇用対策がおざなりにされた感は大きく、1960年代まで扶桑軍のウィッチ雇用に影を落とし続ける。大戦世代の定年が見え始める時代になって、対策の議論が始まるのは、日本系国家特有の病である『先送り病』の表れであった――

 

 

 

 

 

 

――芸能界経験者もいるため、64Fのパフォーマンスのレベルは21世紀の音楽関係者が見ても『21世紀の水準に遜色なし』であった。モデル経験者である琴爪ゆかり、アイドルの経歴がある春日野うららと剣崎真琴がいることも助けになった。ルミナスウィッチーズの死産は思わぬ影響を及ぼし、64Fの多忙さを一層加速させてしまった。人員を集め、既に訓練を積ませていたのに、『なかったことにする』のは無理があった。その兼ね合いで、司令部付きの『バックダンサーとして駆り出す』方向で調整された。64Fの人員も直ちにその方面の訓練もせねばならなくなり、黒江の発案で、その方面の訓練を高度に受けているウマ娘たち(ウマ娘は引退後にダンサー、歌手で生計を立てる者もいる。例として、ハイセイコーは引退後、協会入りするまではタレント/歌手で生計を立てていた)が臨時講師として迎えられ、遠征に行っている者以外は週に数時間づつ、ウマ娘たちの講義を受けることになった。

 

 

 

 

 

――その日の事――

 

 

 

 

――基地の演習場――

 

この日の演習場では、キュアアクアがキュアグレース(立花響)と模擬戦をしていた。キュアグレースとしての力が変質し、立花響個人としての特性に適応したため、完全な徒手空拳でも戦闘が可能になっており、ガングニールの装者としての特性がそのまま加わったため、パワー面は現役時代より大幅にアップしている他、立花響としてのスキルをそのまま活かせる。師がカンフー映画フリークなため、彼女も中国拳法やジークンドーのごちゃまぜといえる自己流の戦い方である。だが、キュアアクアも歴代最高レベルのパワーファイター(青のプリキュアとしては唯一)であるため、医務官としての勤務が主であっても、第一線で充分に通用する。

 

「この人……強い!」

 

「深窓の令嬢っていうのは、周囲が思うほどには生きやすくはないのよ。常に周囲の期待に応えないとならないから」

 

水無月かれんは、音楽家の両親の下に生まれた。立場上、なんでもこなさなくてはならず、生活に空虚感すら感じていた。プリキュアになったことで、自分の将来の夢と生きる意義を見いだせたため、のぞみと同じく、戦うことに躊躇はしない。また、意外なことに、剣戟を展開したプリキュアは彼女が初である。

 

「そぉぉい!!」

 

「!?」

 

キュアアクアはなぜか、格闘での戦法はプロレス寄りである。ジャーマン・スープレックスをかけ、ぶん投げた。

 

「くっ…!」

 

受け身どころではないダメージを受けるキュアグレース。現役時代と異なり、格闘には自信があるが、アクアの格闘術は予想以上の切れである。なんとか起き上がり、距離を取る。

 

「あたた……まさか、プロレス技なんて」

 

「予想は裏切るものよ。さぁて、見せてあげる」

 

「え!?」

 

「プリキュア・アクアキィィーーック!!」

 

キュアアクアは『プリキュア5の世界』の出身であるため、史実とは差異がある。その世界独自の要素は存在しており、サファイア・アロー以外の技が存在した。要するに、水柱を纏ったドリルキックで、仮面ライダー555のクリムゾンスマッシュに近いビジュアルの飛び蹴りである

 

「こ、こうなったら!!」

 

グレースも飛び蹴りで迎え撃つ。得意のパンチではないのは、ジャッキなどの補助機構がある『ガングニールのギア』を纏っているわけではないので、パンチに勢いを乗せるのに限度があるからだ。(それでも、現役時代よりは勢いをつけられるが)そして、蹴りがぶつかり合い……。

 

お互いに弾き飛ばされ、グレースとアクアは地面に叩きつけられる。

 

「それが、あなたの世界特有の技なんですか?」

 

「ええ。貴方の記憶にある『私』は使っていないはず。今の技は、相手をその気になれば貫けるけど、やった事はなかったわ」

 

キュアアクアはそういいつつ、立ち上がる。エターナル相手にはしなかったという『アクアキック』の水流の速度を高速にし、貫通力を上げる戦法。

 

「あの、どうして、プロレスじみた戦法を?」

 

「父がファンなのよ。演奏家って、優男のやりそうな事だと、祖父から睨まれていたとも、ね。父もそれを気にしてるのか、若い頃から見ていたらしいの」

 

かれんは父と執事の影響か強いのか、プロレス技を用いることも多い。現役時代は単独で幹部を撃退することもあったので、単独の戦績はプリキュア5では最も高い部類である。基本世界との差異は少ない部類だが、パワーは基本世界の自分自身を有に上回るという。

 

「それで」

 

「ええ。色々な習い事をさせられていたのは事実だけど」

 

実際、かれんはプリキュアになる前から、才色兼備の生徒会長とされていたが、立場を重く考えるあまりに『周囲に頼れない』という隠れた弱点があった。それをプリキュアになることで克服した。

 

「あなたには小細工は通じないだろうから、これで勝負をつけさせてもらうわ」

 

「分かりました、ガチンコで行きましょう」

 

殴り合いになるのはお約束か。二人は総合的に見て互角だった。浄化メインの時代のプリキュアながらも、接近戦の適性を得たキュアグレース。戦闘向けの世代のプリキュアであるキュアアクア。二人の特性は異なるが、本質的には近かった。次の瞬間、二人の全力の拳がぶつかり合い……。

 

 

 

 

 

 

 

――ジオン公国残党は過去の人間(ドラえもんたち)による存在意義の否定、あまりにも内ゲバが激しすぎた事、残された元・将校の多くがデザリアム戦役で戦死したことで、最大派閥であるネオ・ジオンは解体へ向かった。だが、それでも連邦の中興を認めない者たちはオールズモビルへと集結しつつあった。そのため、野比家、源家、剛田家、骨川家の末裔達はテロの標的になってしまった。21世紀の先祖の発言でテロの標的にされるのは、末裔たちにはたまったものではなかったが、彼らの努力が自分達の繁栄の礎になったのは事実なので、苦笑交じりに許容した。地球連邦は戦乱期に突入したことで、腐敗と停滞から抜け出つつあるが、ジオン残党はギレン・ザビの生存という未確認情報にすがりつく。だが、この頃には、スペースノイドからも見放されており、ジオンの信奉者=狂信的テロリズムのレッテルを貼られている。のび太たちが『ジオン亡き後に宇宙戦国時代が訪れる』と流したことで、それを恐れたサイドの多くが連邦への帰属を方針にしたからだ。実際、腐敗と停滞が極限に達した地球連邦が空洞化すると、コロニー一基単位での殺し合いが日常と化し、地球文明を衰退に追いやるという一つの予想が『21世紀の時点で予測されていた』という事実は、連邦とジオンの争いに一石を投じた――

 

 

 

 

 

 

――太平洋戦争では、艦娘の本領発揮であった。カールスラントでの冷遇を予見し、扶桑へ移民していた『ビスマルク』、『グラーフ・ツェッペリン』なども一定の戦果を挙げたが、やはり限界はあった。ビスマルクの備砲では、モンタナ級戦艦以上の巨艦には打撃は与えられなかったからだ。とはいえ、長門と陸奥とて、旧式の41cm砲では苦戦は免れなかったため、艤装の強化で『新式の三連装41cm砲』に換装された。これは二人の艤装では、46cm砲を受け入れられるだけのターレットリングの大きさがなかったからで、陸奥の艤装は機関の調子がいまいちであったため、長門型の艤装のオーバーホールは機関の換装を伴う大がかりなものとなった。大和型の二人も、46cm砲が打撃力不足になってきたため、51cm連装砲へ強化された。それに伴い、艤装各部の装甲と出力も強化された――

 

 

 

 

 

 

――当時、連合艦隊の空母機動部隊が政治的理由で温存の方針であり、組織だっての行動を制限されていたため、艦娘部隊はゲリラ的にハラスメント攻撃をするのに重宝されていた。後継艦である宇宙戦艦の能力を得た者たちが中心であるが、M粒子で誘導弾の使用に一定の制限があるため、打撃戦が中心となった。敵艦隊は物量に物を言わせており、艦娘達はゲリラ攻撃で活躍していた。ただし、潜水艦娘はあまり活躍できていない。伊号潜の艦娘達の潜水泳法では敵に補足されやすく、商船攻撃も政治的理由で避けられたからだ――

 

 

 

 

 

――日本はあ号作戦(マリアナ沖海戦)、M1作戦(ミッドウェー海戦)の記憶により、空母機動部隊の温存を図る傾向が強く、質で絶対的な差がつくまでの作戦行動を禁じたため、艦娘に艦艇への攻撃を投げていた。政治家が勝手に決めた規則だが、空母機動部隊の数では勝てないため、『せめて質で……』ということだろうが、史実の恐怖が染み付いているためか、超大型空母の完成前の作戦行動に尻込みしていた。その不満を抑えるため、艦娘達の空中援護のみは実施していたが、沿岸部でのみになっており、64Fによる制空権確保が必要であった――

 

 

 

――作戦海域――

 

「ドムマーメイド!?こんなのまで持ってたのか!」

 

現地で通常サイズに戻り、ティターンズ残党に協力するジオン残党の繰りだす『ドムマーメイド』と水陸両用機の一団に対抗するガイアガンダム(キュアサンシャイン搭乗)、ガンダムスローネドライ(キュアエース搭乗)。MSを用いることで、艦娘を圧倒せんとしたが、二機のガンダムが援護についたことで、目論見は崩れた。ガイアガンダムは推力の強化と重量のさらなる軽量化で擬似的なホバー移動が可能になっていたため、(システムの都合もあるが)MS形態で対応した。ドムマーメイドは洋上での作戦行動向けではない(河川の制圧用と思われる)のだが、改良で対応したらしく、背中のユニットの形状が一年戦争の頃の試作機から変化している。

 

「フェイズシフト装甲でなくなったけど、耐久性は増してる。マシンガンなんて!」

 

ガイアガンダムは改装時にフレームまで手が加えられ、外装共々にガンダリウムε合金で作り替えられた。可動部が通常より多いため、地球連邦軍が取得した時点で、内部フレームが摩耗していたからだ。フェイズシフト装甲はビーム全盛の未来世界では、使うメリットがないので、フェイズシフトのデータ収集後、地球連邦軍の規格であるガンダリウム合金の最新型に変えられた。新操縦システムのテスト機にされるからである。ガンダリウムεは元々、核パルスエンジン用の新素材として研究されていたが、同エンジンの実用価値の低下でMSの構造材と装甲材へ転用された。高精度のガンダニュウム合金とほぼ同等の強度を持ちながらも『量産可能』であるメリットがある。連邦は高級機の装甲、既存機の改装用部材に直ちに採用。軽装甲であるZ系の可変MSであろうが、従来素材での重MSを更に超える強度を得られた。そのため、高機動戦のため、バズーカを装備していないドム部隊へ絶対的メリットがあった。また、本来は河川用であるため、海洋運用に適していないドムマーメイドは改良されたとはいえ、想定ほどの小回りは発揮できなかった。

 

「このぉっ!」

 

ドムマーメイドの一機を全力で蹴飛ばし、追撃に、シールド裏にマウントされているハンドグレネードを投げ、撃墜する。(改修で加えられた武装)

 

海中からモビルアーマーのクローらしき物体が出現するが、ガイアはそれを回避し、クローを掴み、グラブロを逆に引き上げる。グラブロは熱核水流ジェットエンジンをとっさに逆噴射し、逃げようとするが、ガイアのトルクはその逆噴射を物ともしなかった。引きずり込むどころか、逆に引き上げ、対空ミサイル発射口をシールドからのミサイル(シールド裏に仕込んだ武装の一つ。νガンダムのものと構造は同じ)で潰す。

 

「エース!」

 

「わかってますわ!」

 

モビルアーマーのグラブロは浮上し、クローで捕まえようとしたが、それに失敗し、ガンダムスローネドライのハイメガランチャー(Zガンダムのものと同型)で撃ち抜かれ、破壊される。

 

「一年戦争の時のオンボロで、私たちに喧嘩売るなんて、おととい来やがれっての!」

 

「溜まってますわね」

 

「ああ。本当なら、海軍の仕事だよ、洋上の制空権確保は。自前の空母機動部隊があるんだから」

 

「日本の軍事官僚が『何もかも自分達に合わせさせようとした』弊害ですわね。本当は空軍に『航空戦力を全て統合しようとした』と聞きます」

 

「……日本の官僚は何考えてんの?」

 

「大方、警察関係の予算を増やすために、軍隊の予算を削ろうとしたのでしょうね。ですが、疫病の流行で『扶桑への介入』に関心を無くし、更に扶桑軍を『縛る』ために、予算規模を元に戻したがらないのでしょう」

 

「勝手なもんだね、こっちはのび太の一族のツテでアナハイムやサナリィを脅して、機材を確保してんのに」

 

「日本は『自分達に直接の関係がない』事柄には無関心ですから。ティターンズの実態にも無関心だったように」

 

「やれやれ。現場に責任を押し付けるのが多いのは、停滞してる官僚組織の常か」

 

「日本は戦後、外交的には事なかれ主義と八方美人的な振る舞い、内政は経済至上主義でバブル期の夢を見ました。ですが、その夢が終わり、頼みの経済力が陰ると、打つ手が無くなり、停滞と衰退の道に足を踏み入れた。軍事に関心を持たない、持てない時代が続いてきたので、国際的重大事へも後手後手。そのしわ寄せですわ」

 

日本のバブル期後の停滞と国力の衰退は、有名なスペースオペラ小説『銀河英雄伝説』の『自由惑星同盟』の辿った混乱と滅亡の道に似ていると、地球連邦時代の人間たちには評される。黒江たちはその小説を読んだ経験があり、なおかつ、ジオン公国やフランスの歴代帝政の成立過程を知っているため、『腐乱した民主主義の誤った選択は、独裁/専制主義を生き返させる土壌になってしまう』と危惧している。そのため、日本連邦の舵取りを裏の『円卓会議』たる『Y委員会』で取っている。日本の官僚の露骨な軍冷遇の予算案を調整し、バランスを改善しているのだ。

 

「現場の苦労、世間は知らずってやつかぁ…」

 

「扶桑の軍人は、日本の官僚達から裏で『戦争屋』と侮蔑されますから」

 

「ティターンズの暴虐も理解しようとしなかったからなぁ。ドリームのへの拷問の映像をドラえもんが流したら、血相を変えたけど」

 

「戦争というものは『変わっていくもの』ということを日本は知らないのですよ。それに、流石に、プリキュアを本当に躊躇なく拷問する組織に資金を流すことの重大さをわかったのですよ。さて、あの方々(艦娘)の道を開きますわよ、サンシャイン」

 

「まさか、お互いにガンダム乗りになるなんてね」

 

「これも奇妙と言おうか、因果なめぐり合わせですわね」

 

「あのSFじゃないけど、今は『無能が最大の悪徳とされない時代』じゃないもの。戦場で手柄を立てないと。まぁ、扶桑の政治家や評論家に言いたいことはあるけどね」

 

「私なら、『戦争で命を落としたり、肉親を失ったりしたことのない人であれば、信じたくなるかも知れませんね。まして、戦争を利用して、他人の犠牲の上に、自らの利益を築こうという人々にとっては、非常に魅力的な考え方でしょう。ありもしない祖国愛をあると見せかけて、他人を欺くような人にとってもね』なんて、言ってやりたいですわ」

 

二人は、日本連邦の政治家や評論家の他人事じみた物言いを嫌っており、銀河英雄伝説の中の台詞を(冗談めかす形であるが)引用する。日本海海戦での東郷平八郎を礼賛するあまり、艦隊司令部を前線に出すことを強要し、司令部を陸に置くことを『逃げ腰』、『若い兵たちに申し訳なく思わないのか』と喚きちらす日本の世論に扶桑海軍は手を焼いており、艦隊旗艦を指揮専用艦に委ねることを断念している。

 

『ああ、大和さん、長門さん。露払いは直に終わります。突入を』

 

『了解しました、第一戦隊、突入します』

 

大和以下の艦娘が海域に突入する。編成は大和、長門、矢矧、秋月型の面々である。長門は改二形態であり、以前よりも更に鍛えた肉体になっている。(とはいえ、艤装の出力向上には限度があるのと、主砲の混載は史実でも否決されているため、新型砲塔は三連装で統一されている)現実問題、長門型の火力はウィッチ世界では『41cm砲など時代遅れ』と見なされて久しいが、長門の実艦が買い取られ、日本に記念艦として引き渡されてしまったので、扶桑の人々への象徴的意味合いも含まれている。とはいえ、実艦と同様の火力を持ちながら、モーターボート同様の機動力で翻弄できる利点がある艦娘だからこそ、改装が許可されたのである。(宇宙戦艦モードは一定時間の交戦で機関が『温まる』必要があるなど、大和型以外では、その発動条件が厳し目であるのも理由である)

 

 

 

――勇猛果敢に前進する敵艦隊に挑む一同。実艦は既に退役した者も多いが、史実の無念を晴らす絶好の機会。士気は高かった。日本海軍が夢見た『艦隊編成』が艦娘という形で実現したわけで、64FのMSが敵機を抑え、開かれた道を邁進。単縦陣(突撃隊形)で砲雷撃戦を挑んでいくのであった――

 

 

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