ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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前回のつづきです。


第二百三十四話「のび太達のゲリラ戦とキュアグレースの決意」

――遠征は陸戦から始まった。戦後水準の戦車と、史実ではペーパープランであった戦中型の改良型がぶつかり合う。味方のM41ウォーカー・ブルドックは最強の軽戦車であるが、軽戦車でしかないので、歩兵支援に回されている。M4中戦車がいないのは、ダイ・アナザー・デイで撃破されまくった戦訓によるものだ。のび太達はゲリラ的に後方を脅かす役目を負っていた――

 

 

「ねえ、のび太くん。なんで、ウチの軍隊の将官達が呼ばれなかったの?」

 

「一つは旧軍将官、とりわけ陸軍の人達はいい評判を持つ人は希少なこと、旧軍の参謀たちが寄ってたかって無能なこと、機甲戦力に無知なことが防衛官僚に問題視されたのさ。有能な参謀はごく少数だし、将官達は機甲戦力の運用に無知なのが多い。それが決め手になった。かと言って、自衛隊は攻勢作戦は不慣れだから、史実で勝った側のリベリオンに白羽の矢が立った。とはいえ、リベリオン軍も頼みの物量作戦が取れないから、苦労してるけどね」

 

のび太はアルファロメオをかっ飛ばしながら言う。扶桑軍は機甲師団というものを理解していないと糾弾されたが、通常機甲戦力が重視されるようになったのはここ五年。その間に戦車がワープ進化を果たしてしまったため、将官達の理解が追いつかないのである。(機械化装甲歩兵主体から切り替えるだけでも一苦労だった)

 

「なるほどね。あ、前!」

 

「弾避けがバリケードも兼ねて積んであるな。ふっとばしてくれ」

 

「よーし!アトミックサンダーボルト!!」

 

この頃になると、手っ取り早い攻撃方法として、アトミックサンダーボルトは重宝されていた。無数の光速拳を放つ基本技の究極系なため、ある程度の基礎がある者なら習得は容易である。先代の射手座の黄金聖衣の資格者であるアイオロスはこの他に『インフィニティ・ブレイク』、『ケイロンズライトインパルス』、『ライトニングフレイム』などを会得しており、存命ならば文字通りに『最強の聖闘士』になっていたとされる。黒江が会得したものはその一部である。とはいえ、彼の闘技は基本技の発展系が多いため、ある意味では『星矢の未来にそうなるであろう姿』がアイオロスなのかもしれない。

 

「君もだいぶ板についてきたね」

 

「先輩に修行させられてるし、ZEROがほとんど神の領域に達してた影響かもね」

 

機関銃が設置されているバリケードをふっ飛ばし、のび太は愛車を突っ走らせる。

 

「ドリームアタックしてもいいんだよ?」

 

「あれは連発効かない上、加減効かないんだよね~。あ、まただ。廬山龍飛翔!!」

 

廬山龍飛翔には体当たりと闘気を飛ばすバージョンがあるが、後者を使用するキュアドリーム。小宇宙を使う技であれば、威力をある程度はコントロールできるからである。

 

「でもさ、この車、レプリカだけど、相当にお高いんじゃ?」

 

「かなりこだわって複製したしね。お、ヤーボだ!」

 

「残ってたんだ、ヤーボ型のフォッケウルフ…」

 

フォッケウルフFw190の戦闘爆撃機型がのび太達に襲いかかる。ドイツ空軍はスーツカ急降下爆撃機の事実上の後継機種として、フォッケウルフの戦闘爆撃機型を採用していた。それが機銃掃射してきたのだ。二人がヤーボというのは、ドイツ語の戦闘爆撃機を意味する単語が由来で、カールスラント人が多い職場では普通に使われている。

 

「運転、頼むよ」

 

「OK」

 

のび太は運転を変わってもらうと、ジャンボガンをおもむろに取り出す。戦闘機などの兵器を破壊できる威力のひみつ道具で、最強の破壊力を持つものの一つだ。のび太はそれを改造し、バレルを長くしたモノを好む。高速で飛行する飛行機を一撃で落とすには、燃料タンクを正確に撃ち抜く必要があるが、のび太にとってはそんな行為は児戯に等しい。

 

「あらよっと」

 

拳銃の範疇を超えた発砲音が響き、のび太の腕に負荷がかかる。グレードアップ液で強化してなければ、標準な体格の日本人では制御できず、まともに命中させられないだろう凄まじい反動(21世紀最強のM500以上のもの)がかかっている事がわかる。(ロングバレルで軽減されているが)

 

防弾が強化されている戦闘爆撃機タイプのFw190。だが、『21世紀のあらゆる戦車を一撃で吹き飛ばせる』と、ドラえもんが豪語するほどの威力の弾丸を食らってはひとたまりもなく、撃ち抜かれた瞬間に空中爆発で果てる。

 

「……ふう。僕たちはこのまま、相手の集積倉庫の存在を探るよ」

 

「OK。ショッカー怪人くらいなら、あたしがどうにかするよ。正式な聖闘士じゃないけど、黄金聖闘士級の戦闘力は持てたから」

 

「ボクはステゴロはダメだしね、頼んだ」

 

聖闘士はある意味、一騎当千の存在である。その中の最高位の黄金聖闘士と同等の力を持つ者はシャッフル同盟と同等以上の実力ともされる。その力は仮面ライダー達と共に戦う事を望む者の目標とされる。のび太は道具を使うものの、道具の扱い方でそれら超人に並び立つ事ができる。元々、潜在能力はかなり高いことを子供時代から示してきた。要するに、単純な力だけが強さではないのである。

 

「兵士が来たよ!」

 

「よし!」

 

のび太はM16アサルトライフルに持ち替え、発砲。兵士を蹴散らす。キュアドリームも錦の技能を受け継いでの運転テクニックでアルファロメオを操る。この頃には『家族』関係にあることもあり、お互いの連携は完璧であった。

 

 

「ところでさ、なんで、ウチの国に五輪を強引に開催させたの?」

 

「2020年大会が『歓迎されざる大会』になりそうだからさ。それと、1940年大会の返上と1980年のボイコットがトラウマなんだよ。前者を潰したのは軍部、後者はアメリカの圧力。だから、軍部で五輪を邪魔しようとした者、史実で東條派だった連中の残党をアリューシャンに島流ししまくったのさ。それにウィッチ世界には、タイと扶桑、モンゴルしか独立国がない。東亜競技大会なんて、とてもできやしない。反対した政治家もエタヒニンみたいに叩かれて、精神病患者になっちゃった人もいるからね。怒った60くらいの日本の官僚に海軍精神注入棒で顔の形が変わって、血反吐を吐くまで殴られた高官もいるって噂もあるくらいに、軍部は悪者扱いさ。とはいえ、女子アスリートなんてのはごく少数だったから、綾香さん達が掛け持ちして出たんだ」

 

のび太はキュアドリームに、扶桑の五輪が軍部の反対を押し切って行われたのかの理由を教えた。それは史実で返上した1940年大会、ボイコットした1980年大会のトラウマがスポーツ界にあること、2020年大会が疫病のせいで『歓迎されざる大会』になりそうな雰囲気なので、扶桑に開催させることで、関係者の溜飲を下げたい思惑があった。無論、ウィッチ世界の諸国は『戦争でそれどころでなくね?』と延期論を主張したが、五輪のために軍部を強引に抑え込みつつあった日本連邦には死活問題であったので、経済援助と軍事援助を餌に、開催を支持させた。他には、既に1940年から二度も延期されていたこと、太平洋戦線が本格化すれば、下手すれば、1960年代まで大会が行えない危険が大きかった事で、各国のスポーツ界の圧力。結果的にこうした動きで実現したわけだが、扶桑固有の選手団、とりわけ女子には生粋のアスリートは殆どおらず、大半がスポーツ経験のある軍人(将校)で占められた。黒江達は21世紀のスポーツ医学やスポーツ理論を引っさげて参加したため、参加種目では『21世紀の第一線選手として充分に通用する』記録を連発。金メダルを独占した。つまるところ、1940年代のプロ化以前の時代の五輪に1984年以降のスポーツ医学やスポーツ理論を持ち込んだ場合はどうなるかが明らかになったわけだ。

 

「結果は個人じゃ天下無敵。21世紀のスポーツ医学やスポーツ論を持ち込んだ上、身体能力は非戦闘時でもウマ娘レベル。チートだよ、はっきりいって」

 

黒江達の基礎身体能力を額面上の値で評価するのなら、第一流のウマ娘にも匹敵すると断言するのび太。しかも、ウマ娘にある『怪我で能力が低下する心配』がない。(例えば、トウカイテイオーは怪我を重ねた事で能力が低下し、全盛期のポテンシャルを出せなくなってしまった事実に怯え、引退すら考えた)ウマ娘はスピードが乗ってしまうと、その自己制御が困難であるが、黒江達はそれを容易にこなせるため、第一流のウマ娘であるシンボリルドルフやトウカイテイオー、メジロマックイーンも恐怖を感じるほどの差しを意図して行える。(トウカイテイオーは『ヒトなのに、なんであんなすごい差しができるのぉ~!?』と腰を抜かさんばかりに驚いたという。)また、それでいて、スタミナ面では有に勝っている(ウマ娘は大半がサラブレッド種の魂を継いでいるが、サラブレッドの特徴である『持久力に欠け、怪我をしやすい』という難点を抱えているため、フルマラソンでは絶対的に不利である)。

 

「ウマ娘って、サラブレッドが多いんでしょ?」

 

「歴代の名馬から凡馬まで、多岐にわたる馬の魂を継いでるらしい。名前もね。G1レースで功績がある馬の名を継いでる子は基本的に高いポテンシャルを持つし、その馬の得意分野も引き継ぐ。ある種の因果さ」

 

のび太の言う通り、その因果は怪我や病気の因子も引き継いでしまうため、トウカイテイオーとメジロマックイーンの苦難に繋がってしまっている。ナリタタイシンは皐月賞を制した以外に、主だった勝ちが目黒記念しかないというのがウマとしての成績であり、その記憶が覚醒した事で『因果を超えたい』という気持ちが強まり、メジロマックイーンに同行した。トウカイテイオーは骨折の因果を超えたい一心で懇願した。因果を超えることはウマ娘たちにも浸透し始めていたと言える。

 

「さて、ここまま敵の後方を脅かすよ」

 

「OK」

 

二人は時たまの雑談を織り交ぜながら、ゲリラ戦を開始する。正規軍同士の戦闘に強い軍隊はゲリラ戦に弱い。アフガニスタン戦のソ連邦、ベトナム戦争のアメリカ合衆国でそれは証明されている。後方の補給線を脅かすことは史実でも枢軸国側が散々にやられ、ゲリラ戦はベトナム戦争でアメリカが苦戦した最大の理由。それを知る二人は、二大国を苦しめたベトコンやアフガニスタン戦のゲリラにあやかり、補給線を脅かすための破壊工作を開始したわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――立花響はウィッチ世界に二人いるが、その内のキュアグレースに覚醒めた方はプリキュアチームの末席に列しられ、シンフォギアとプリキュアの二形態を切り替えて戦えるように修行の最中である。これはD世界の立花響と異なり、A世界は『聖闘士達が光明結社と風鳴訃堂らを始末した世界』なので、急速に世界が平和に向かい、シンフォギアを用いての『心象変化』実験(ギアが心象を反映させた形状になること)をする必要も無かったからだ。(錬金術師らと本格的に交戦する事がなかったため、イグナイトモジュールも健在である)――

 

「え~~!?」

 

D世界の装者らとの邂逅はキュアグレースの姿でした立花響。平行世界の自分がシンフォギア以外の力を得ていた事、装者として戦う以外の『戦う力』を偶然で得てしまい、紆余曲折の末に折り合いをつけたと説明した。(ただし、キュアグレースとしての現役時代と違い、単独での変身が可能、スティック無しでも浄化可能、ヒーリングっどアローを単独で使用可能、ドリームと手を繋ぐ事で、ドリームキュアグレースになれるなど、現役時代の上位互換となっている事が多い)

 

「ギアも使ってるんだけど、アマルガムとかは共鳴で得た機能で、イグナイトモジュールもあるまま。もっといえば、イグナイトモジュールも使う機会は一、二回でさ」

 

「ええっ!?」

 

「いやぁ、魔法少女事変を解決したのって、私達じゃないから…」

 

 

A世界では、聖闘士とスーパーロボットが全てを解決したので、装者達が解決したと言えるのはフロンティア事変までであり、魔法少女事変は装者達は蚊帳の外に置かれた。力の差を実感したのは、城戸沙織が『神の化身』だとわかったからである。また、フロンティア事変~魔法少女事変当時の装者達では、聖闘士と神の戦いには介入不可能。風鳴弦十郎が介入可能ではあるものの、立場上、それは許されなかった。Gカイザーが現代科学の延長線上の『機械兵器』でありながら、神に類する存在と互角以上に戦い、遺失技術すら霞む力を見せたことは装者達のコンプレックスを刺激したが、乙女座のシャカの神がかった『五感剥奪』(六感までの剥奪も可能)すら可能なパワーはもはや、『考えるのも馬鹿らしい』ほどの力の差であった。神の軍団が歴史の裏で衝突を繰り返している世界の存在が明らかになり、自分らも理論上はその境地に達する事が可能だが、その修行には年単位の時間を要する事、世界が平和に向かう中で『過剰ではないか?』という論調が主流になり、共鳴で得た『アマルガム』の公式化に留まった。当時は調、切歌の二人が聖闘士に転じているが、残りはシンフォギアで一定の戦闘力は約束されており、聖闘士の修行を敢えて積む必要はないとされた。だが、立花響個人はキュアグレースとなり、結果的に修行を積むことになった。D世界で実験中の『心象変化』とは違った顛末を迎えたわけだ。

 

「それに、光明結社も現生人類の創造主もまとめて『知らない間』に倒されて、世界が平和になっていってるから、シンフォギアが『思い出アイテム状態』なんだ」

 

バツの悪そうなキュアグレース。A世界のシンフォギアはD世界の最終形態と同スペックにまで強化されたが、使いどころが無くなり始めていた。脅威の喪失で『国連に都合のいい武力』とされるのを懸念した風鳴弦十郎は『装者の居場所として、当面は組織を維持する。だが、いずれは解体したい』という想いを持っており、SONGの組織的意味での悪用を懸念している。調と切歌の転向はその方向性に現実味を帯びさせたわけだ。立花響は自分の居場所が無くなる事への恐怖心が強く、そこを内に眠る別人格に突かれたのは否めない。だが、キュアドリームとの出会いで『プリキュア因子』が覚醒めたことで折り合いがついたのと、キュアブロッサムやキュアラブリーから『ドリームの抱える闇』を聞かされていたため、キュアグレースである自分が緩衝役になることは決めていた。ドリームの前世での不幸は『その世界はキュアグレースが存在しない世界線だった』事だろう。

 

「シンフォギアは必要ないの?」

 

「そういうわけじゃないよ。ただ、前世からの使命を果たそうとしてるだけさ。プリキュアとして、ね」

 

二つの力が重なり合った結果、キュアグレースの力は大きく変質している。歴代同様の単独変身、ドリームと自身をパワーアップさせる力など、現役時代より大きくパワーアップしている。

 

「プリキュアになった事のある子に、輪廻転生を超えても課せられてることだよ」

 

キュアグレースには立花響としての雰囲気は薄れており、プリキュア戦士であった『花寺のどか』としての凛とした空気を纏っている。D世界の立花響とは違う方向性だが、意思の強さは共通している。違うのは、花寺のどかとしての病気に臥せっていた過去の記憶からか、『許せない敵と判断すれば、情け容赦はない』点が生じているところだろう。特に歴代とまったく異なる道を選んだことは批判がある。『仇敵平等』の精神に反するとまで言われているので、本人としても複雑である。(また、ヒーリングアニマルは人類が地球を汚した場合は『星のために、人を消滅させる』という負の可能性を示唆した者もいるが、更に上位の存在である『神々』の思惑に反していることから、23世紀世界の地球人類からは『ゲッターエンペラーに粛清されるんじゃないか』とひどく酷評されている。)

 

「それに、神々は地球人類に一つの使命を与えてるんだ。あなたには残酷だと思うけど……」

 

「神様が……?」

 

「うん。オリンポス十二神……もっと上の神がヒトに与えた究極の使命。命は純粋になればなる程、より強大な宇宙を求め、宇宙を喰っていく。同族同士で喰い合い、互いに滅ぼし合うことで生き残ったものが強く進化していく戦闘的な生物。その一つの解答が地球人類だそうだよ」

 

キュアグレースはZ神から地球人類が神から課せられし『真の宿命』を聞かされていた。『どこかの世界では、ヒーリングアニマルが一つの種の肥大化したエゴによって地球人類の敵愾心を煽り、逆に種の殆どが地球人類に滅ぼされたのでは?』という事も、Z神は否定しなかった。地球人類は神が『あまりに強大な敵と戦わすために生まれた兵器』。地球人類には残酷な事実である。

 

「そんな…!」

 

「だから、地球人類に『敵対する者は何人たりとも許されない』。同じ宇宙に存在する事も。」

 

23世紀の地球人類もそうだが、宇宙単位の生存競争に晒された結果、敵対を選んだ者には情け容赦が無くなりつつある。その点で『遊星爆弾』を用いた旧・ガミラス帝国、月の一部を火の海に変えたガトランティス帝国は『罪深い』と後世に記録されている。宇宙戦争が『細胞の一片まで根絶やしにする。生き残ったものは奴隷・家畜化する』形態であった事を二つの帝国がゼントラーディ以上に強く認識させたことで、地球の宇宙戦争での基本ドクトリンを決定づけてしまった。ウィンダミア王国も地球からの独立を掲げる大義名分に『地球殲滅』を掲げた事が最大の失策だったと記録される。

 

「それって、神様の不始末のおしつけだよ!」

 

「考えようによってはね。だけど、知的生命体そのものを宇宙から消そうとする誰かから、地球人と地球人に味方する種族の生存権を守ってるのも事実なんだ。そのためには、他の種族の淘汰も起こっちゃうんだよ。ヒトはそうやって、サルから進化していったからね。新種が旧来の種族を淘汰することもあったみたいに」

 

「そういえば……」

 

「原人から現生人類にたどり着くまでに、いくつもの種が互いに滅ぼしあったり、混血化を進めてきた。……そうだね。ネアンデルタール人も、クロマニョン人と混血が進むことで淘汰されたって説があるでしょ?それと似たようなものだよ」

 

キュアグレースはゲッター線の力と意思が『自分の単独変身』に関係していることを見抜いていた。そして、Z神の言付けから、地球人類を害する者はそれが『星の意思』だろうが、神々の名のもとに粛清対象と見なされる。Z神が『人類の消滅を志向したヒーリングアニマルが滅びに抗った地球人類に返り討ちにされた世界』の存在を示唆した理由は不明だが、『ヒーリングアニマルを歴代プリキュアが敵と見なした事、大地母神であるキュアフェリーチェが地球人類に味方する派閥の者達以外を『存在しなかった』ことにした事は想像に難くない。

 

「人は時として、神と同じ位に登るし、神殺しをなし得る。ガングニールやロンギヌスの伝説のように。人を消そうとしてる神様はいくらでもいる。だけど、それに抗い、生きる権利は誰にも侵されない。神様だろうともね。それはあなたもわかってるでしょう?」

 

ハーデス、ポセイドン、アレス、ロキ……。聖闘士が対峙した神だけでも、オリンポス十二神、あるいはそれと同クラスの神々である。その神々を倒すために『兵器を宇宙を消滅させるような化け物にまで進化させる』。それが地球人類の宿命である。滅ぼすか滅ぼされるか。そうなってしまえば、人は神殺しも躊躇わない。北欧神話のラグナロクの伝承はまさにその例だろう。

 

「人は神を模して生み出されたなんて、聖書か何かにあったけど、逆に言えば、既存の神々を超えて、悪魔を倒す可能性が与えられた。もう、ノアの箱舟の時代じゃないしね」

 

キュアグレースは花寺のどかとしての『ダルイセンとの戦い』などの記憶の覚醒で『自分と仲間を苦しめる者には手を差し伸べない』という思考が鮮明になっている。記憶の覚醒で蘇った思いは一言での説明は不可能。それはドリームやメロディと同じだ。

 

「……」

 

種としての生存競争、人間の業と生存権にまで飛躍してしまった話に衝撃を隠せない立花響D。表情も暗い。

 

「これだけは言えるよ。あなたと未来が『神様も知らないヒカリで歴史を創っていける』って、シェル・ハさんに言ったように、私たちも『神を超え、悪魔も倒して、この星と、この星が根源になる星々の人たちの明日を掴む』って」

 

それは黒江が『縁もゆかりもない世界のために神と戦ってくれた』事への恩義、ヒトが生きる権利は神々であろうと冒せない。それを示すために、立花響Aはキュアグレースとしての自分を受け入れたのだ。

 

「この星の明日…?」

 

「そう。誰かの希望になれる力がある限り、絶対に諦めない。それはシンフォギアも、錬金術も、プリキュアも同じだよ、『響』?」

 

「自分の声で言われるのは、変な感じだなぁ…だけど、良かった」

 

「私はあなた自身なんだよ?当たり前だって」

 

微笑むキュアグレース。現役時代と異なり、武器は持っていない。その変化は彼女が現世では『立花響である』事の証明でもある。花寺のどかとしての記憶を持ったが、立花響である事は捨てていない。そこが転生後も『夢原のぞみ』としての生を選んだキュアドリームとの違いでもあり、対照的な生き方の二人だが、立花響としての『誰かの想いを繋げるチカラ』が触媒となり、二人に『ドリームキュアグレース』形態をもたらした。本来、ドリームキュアグレース形態はプリキュア5とミルキィローズ、ヒーリングっどの他メンバー全員のパワーを与えられ、起こった奇跡のはずなので、立花響はプリキュアとして最高に近い適性を持っていた事が窺える。

 

 

 

 

――1949年のある日の南洋島でのことであった。――

 

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