――小宇宙は基本的に修行を終えなければ、自由に使いこなす事は不可能である。ましてや、セブンセンシズ以上に到達するには相応の修行が必要である。遠征で戦闘に赴く数時間前、黒江はのぞみBにその事を教えていた――
「こっちのお前は、ある種の壁を超えた状態だ。だから、容易に小宇宙が使えるようになった。本来は何年も修行して、やっとだからな?」
黒江は素質に恵まれた故に黄金聖闘士に任ぜられたが、これは本来、稀なケースである。青銅聖闘士も本来は高い壁であり、上位の聖闘士をジャイアントキリングできる者は極稀である。星矢達は『将来に黄金聖闘士になる』事が運命づけられていたからこそ、ジャイアントキリングが可能だったのだ。
「ある種の…壁?」
「セブンセンシズ。要するに、第六感を超えた感覚だ。それに到達した者が人を超えたと言える。お前らはシックス・センスの範疇を出ないから、戦闘用のサイボーグとはまともに戦えんということだ」
プリキュア化は身体能力と肉体の耐久力などにかなりの+補正がつくが、シックス・センスの範疇に収まる程度の強化であるため、光速は見きれない。また、再生強化怪人の攻撃力に耐えられるほどの防御力もないため、B世界のプリキュア5の面々では正面切っての戦闘は困難であると断言する。
「お前には気の毒だが、正面切っての戦闘は困難だ。雑兵はまだいいが、士官級は高度な改造を受けた怪人が混じっとる。攻撃をまともに受けたら、唯ではすまん。なぎさやほのかでも…な」
「……!?」
「なぎさやほのかと会った事あるから、言っとるんだ。その二人がキュアレインボー形態になって、尚も圧倒されてるのを見てきたんだよ」
それは大決戦でのことだが、キュアレインボー形態になったブラックとホワイトが二人がかりでも、シャドームーンを抑えるので精一杯であった。黄金聖闘士である黒江と智子がキュアレインボー以上の形態になって、やっと互角。世紀王は伊達ではなかったのだ。
「あの二人でも、組織の怪人相手に戦うには限界があったから、お前らにいうんだ。正面切ってぶつかる役目は俺たちが引き受ける」
「……どうやったら、その境地にたどり着けるんですか?」
「修行と実戦あるのみ…としか言えんよ。こっちのお前はいくつかの偶然もあって、セブンセンシズの扉を開いたからな」
「……あの姿がそうなんですか?」
「エターニティドリーム。俺たちはそう呼んでる。シャイニングドリームのさらなる強化形態だよ」
「シャイニングドリームの……強化形態」
「他には、後輩の力を借りてのパワーアップもあるが、お前がそいつと会えるかは限らんからな」
エターニティドリーム。のぞみAが諸要素の重なりで得た単独での最強形態。その力は歴代プリキュアの最強形態でもトップレベルに位置する上、単純な攻撃力では歴代最強と言っていい。ドリームキュアグレースは浄化専用形態と言えるが、ポテンシャルは歴代の最強形態に遜色はないと思われる。
「白金色のコスチュームと、滑らかな形の翼……」
エターニティドリーム形態は天馬座の神聖衣に近い色合いと射手座の神聖衣のような滑らかな翼を持つ。小宇宙を神聖衣を発現させられる水準にまで高める必要があるため、最初にその姿になったのは、のぞみ本人ではない。のぞみがその境地に達するには、ZEROとの融合が必要であったのだ。黒江はデザリアム戦役の終盤でジオン残党と最後の戦闘を行った際の写真を撮影し、黒江は戦役の直後に、のぞみBへ送っていた。そして、23世紀最新のカメラで撮影された闘技の数々はのぞみBの渇望感を刺激した。アトミックサンダーボルト、ギャラクシアンエクスプロージョン、エクスカリバー…。破壊力で言えば、歴代のどのプリキュアの単独最強技よりも上だろう。黒江がその技を継承していた縁で習得に至った技。その三つが継承技と言えるだろう。(デザリアム戦役後にアテナ/城戸沙織より正式に聖剣を授かったため)
「……あそこまでの力を持てるなんて…」
「こっちのお前は後で正規の修行を受けさせたからな。安定した力を発揮できるようになったのは、本当に最近さ。それに、あいつの肉体の変化も大きかったし」
「見かけは変わらないように見えますけど…?」
「見かけは変わらんよ。だが、生物学的云々とは別の次元で変貌していた。四肢喪失でも問題なしの自己再生、肉体の一部の構成元素を組み替えて、複雑な武器にすることもできるようになってたんだ。融合した影響で、マジンガーZとその系列機の技を使えるようにもなっていたからな。肉体年齢の加齢も完全にしなくなっている」
「つまり……?」
「人としての普通の暮らしはできるが、加齢しなくなった分、苦労はいる。その点は仮面ライダー達と同様だ。彼らは改造人間だからだが、こっちのお前は人間らしい暮らしはできるが、外見が衰えなくなったということだ」
仮面ライダー達の内、生体改造者以外の仮面ライダーはナノマシンの関係もあり、酒に酔えなくなっているので、それがない(加齢がない以外は普通に人間と変わりない肉体)のぞみは幾分かマシである。(後に、コージとの間に子を為すため)ただし、外見上の加齢がなくなる分、面倒が多い。加齢が無くなるとは、そういうことだ。
「ドラえもんから空気砲、あるいはショックガンを受け取っとけ。いくら敵とはいえ、元は人間だった連中だ。お前らは殺りたくはないだろうからな」
キュアアクアとキュアミントはA世界にいる者の分身である。精神と記憶を本体と共有しているため、覚悟を完了済みであるが、それ以外のメンバーは別個体であるため、相手を『殺すこと』に恐怖がある。その兼ね合いで、空気砲やショックガンは重宝されていた(世界最大最強の拳銃のM500をぶっ放つのが、のぞみAだが)。
「ただ、向こうのお前は50口径のマグナムを敵の眉間にぶち込むがな……」
「へ!?」
「色々な事があったんだ、察してやれ」
黒江の言うように、のぞみAは外道もいいところなヌーベルエゥーゴのテロリストと戦ってきたため、敵と判断した相手を殺すことに躊躇がなくなっている。また、ゲッター線に見いだされた影響か、『ただじゃ殺さんぞ!』とも口走る場面があった。『恐怖感を貴様にも味あわせてやる、プリキュアの恐ろしさをな~!』とも言っており、ゲッター線の影響、ZEROとの融合で闘争本能が極限まで引き出されたらしき様子も窺え、敵と判断した者には容赦しない傾向がAにはある。
「それに、得物がハルバードやらポールアックスになってる写真も見たろ?」
「どういうことですか、あれ!?」
「ゲッター線に見いだされた…としか言いようがない」
キュアドリームAはデザリアム戦役の途中から『ダブルトマホーク』や『真ゲッタートマホーク』を時たま、自らの得物にするようになっている。ゲッター線に見いだされ、更にZEROと融合を果たしたおかげか、ゲッターチームのように『イカしてる殺し方』を心得てしまうなど、少女漫画の主人公かしらぬ『ドワォ』属性がついてしまっている。ゲッター線を浴びた者特有の副作用と言ってよく、キュアフェリーチェも激怒すると、脅し文句で『ストナーサンシャインを撃ちますよ?』と口走るようになるなど、ゲッター線は内に秘める闘争本能を引き出し、菩薩のように温厚な人物であろうとも、戦いでは修羅に変える。キュアフェリーチェであろうと、それは例外ではない。ゲッターエネルギーというのはそういうものなのだ。
「ゲッター線って、なんなんですか…?」
「未来世界での研究の第一人者だった早乙女博士を以ても、解明には至らなかったものだ。俺にもわからん。わかるのは機械すら進化させる力を持つことだ。マジンガーZの前段階の機体がマジンカイザーにまで進化したように」
エネルガーZをマジンカイザーにまで自己進化させたゲッターエネルギー。ゲッタードラゴンを最終的にゲッターエンペラーにまで自己進化させるという。のぞみBは別の自分を闘争本能のままに戦うような人物に変貌させたゲッターエネルギーに薄ら恐ろしさを感じつつも、そのエネルギーがAの前途を好転させたのも事実なのだ。Bとの共通事項がないわけでもない。Aも一度は教職への転身を志望したが、日本側のエゴや事実誤認の結果、交渉は物別れに終わった。(プリキュアだと担当者が知っていれば、事態は違っていた。また、予備士官制度を大混乱に陥らせた責任を文部科学省は被せられた。防衛省の助け舟もあり、防大にかなりの士官を教諭として受け入れる事を選ぶ。ただし、その実行は太平洋戦争後の時代を扶桑が迎えるのを待つ必要があった。)のぞみAは結果的にだが、正規軍人としての道を辿ることになった。
「こっちのお前も教職への転職の話があってな。内定の一歩手前まで来てたが、文部科学省のせいで潰されてな。かなり問題になったんだよ」
「本当ですか?」
「ほれ、のび太の世界での2021年頃の新聞記事だ」
黒江が見せた新聞記事。のび太の世界のものなので、その日付はのぞみBから見れば、13年以上後の時代の日付となる。
「なになに……。文部科学省、プリキュア5の転職を潰す!関係者の処分については、総理大臣直々の沙汰が下る模様……。どういう流れなんですか?」
「事の始まりは二つの戦いが終わった後、気を良くした昭和天皇がお前に希望を聞いてな。お前は教職への転職を希望してな。ご沙汰が下ったから、お前も転生先の家族に頼んで、転生先を探してもらってな。転職の話も決まってたんだ。だが、21世紀世界の文部科学省がそこに横槍を入れてな。多分、文部科学省内部の派閥の意向だったんだろうが、いくら連邦国家になったとはいえ、片方の国家元首の裁可の下っていた案件を一介の省庁が身勝手な屁理屈で潰したんだ。そりゃ大問題になるよ」
文部科学省は責任を取らされる形で、上級幹部のクビがまとめて飛ぶ羽目となり、財務省は予備士官らへの慰謝料の算出に頭を悩まし、防衛省は騒動に巻き込まれた士官達の取り扱いで泣く羽目になるなど、もはや騒動は各部署を巻き込んだものとなっていた。結果、のぞみが騒動を大きくすることを危惧した防衛省は慰謝料の支払い、中佐への早期昇進の決定、支給される危険手当の倍増などで宥める事とした。話が潰れ、書類上で進められていた予備役編入をなかったことにする代わりに、待遇を充実させる事で口を噤んでもらうことにしたのだ。俗にいう大人の事情だ。日本的な顛末となったが、昭和天皇への顛末の報告は日本の文部科学相が辞表を総理大臣に渡した上で、自らが昭和天皇に申し開きをする羽目となった事も載っていた。国家元首としての天皇に。時代が時代なら、天皇に侘びた後にピストル自殺ものだ。
「解決は大人の事情って奴だ。お前に口を噤んでもらう代わりに、大金の慰謝料を支払って、召集の継続って形を取った。文部科学相は騒動の責任を取って辞任。予備士官の再就職の規定の明記が決まった。昔からの士官は『慣例無視だ!』って怒ってなぁ」
扶桑軍は慣例重視だったが、ここ四年で『暗黙の了解』の規則としての明記が進み、正規士官が他の部署から厳しい目を向けられるため、士官学校卒の正規士官のなり手が減ってしまう有様となったので、幹部自衛官になった者が扶桑軍の士官を兼任する事が進められた。また、既存の海軍特務士官出身者に正規将校同様の教育を施すことも決まるなど、海軍の正規将校コースが『職務の過酷さの割に、待遇が悪い』ということで不人気になってしまった故の苦労が起こっており、正規将校の定数の維持に苦心する海軍という構図が起こっている。
「それで海軍は大騒ぎだ。人気が下がって、新しく入る将校の数が減ってる上に仕事だけ過酷になったからな。仕方ないから、海自から人を融通する始末だ。あそこは職人気質の連中多いからな。ま、空軍の人手は確保できたけど」
――連合艦隊そのものは活躍していたものの、航空部隊はクーデター後に事実上は形骸化しており、空軍への流出が止まらない。予算の都合で存続したという陰口はやまず、有力将校の八割は空軍へ移籍済みである。陸軍は航空部隊が独立した事で、だいぶ余った予算で装備の近代化に取り組んでいるが、海軍は自前の航空部隊が世界水準にあった分、急激な形骸化に困惑してしまい、水上部隊の華々しさと裏腹に、航空部隊はズタボロだった。主力機の早すぎる更新、空母そのものの大型化の促進に対応できなかったのである。そのため、海軍航空隊の組織再建が完全に成るのは、太平洋戦争も終わりにさしかかる時期であった――
「お前には関係ないことだな、これ。ま、こっちのお前はそんな流れで、軍人を続ける事になったんだ。日本側が早合点で潰したから、マスコミにあれこれ喋られるのを恐れた文科省が防衛省に泣きついたそうでな。ただし、文部科学相はクビだな。昭和天皇に『部下が不始末しでかしまして…』というのが通じると思うか?トカゲの尻尾切りで、お前を馬鹿にした官僚をクビにしても『監督責任が生じる』し、天皇の顔に泥を塗ったも同然だ。軍隊の人事を『なかったことにする』のも苦労がいるしな」
「なんかそれ、グダグダですね」
「日本側は自分たちに制度を合わせろというが、そもそも、日本の制度は戦時を想定していないんだ。俺の故郷は戦時中だから、無理なのよな。国民に21世紀ほどの平均学力がない時代に、21世紀の大卒や高卒前提の制度を当てはめんのは無理があるんだよな。」
――この騒動は結局、文部科学相が責任を取らされて辞任。防衛省内部の官僚も上級の何人かその日付けで更迭される事態となる。扶桑側に多大な混乱と出費を強いた事の責任を取らなければならぬからだ。のぞみAが赴任予定だった学校への補償もしなくてはならず、更に学校教練の一律の廃止で、それまでの職場を失った将校の赴任先を決めなければならないという軍隊の事情も大きい。志願制主体へ移行するために、徴兵制前提の制度を変える必要があったが、あまりに急な話であったので、現場が却って困る事態に陥った。空軍が陸軍航空隊から引き継いでいた制度である『少年航空兵』制度の廃止すら検討されていたが、人員確保の観点から自衛隊同様の『航空学生』制度へ改組された。ジェット時代には、座学も高度に必要だからである。扶桑の航空機乗員養成所が廃止され、日本式の航空大学校に一本化されるという内示があり、軍へのパイロット供給量が減ることが懸念された。その結果、エースパイロットへの現場の依存度を却って高めてしまうという、日本系国家の宿命というべき事態に陥る。(これに驚いた日本側は空自の搭乗員の派遣を慌てて始め、やがて、訓練が完了した航空学生を扶桑へも供給するようになる)この航空要員関連の混乱も扶桑の太平洋戦争の長期化の理由であった。64Fの名声は高まるものの、軍そのものの練度の両極化が進んでしまった。こうして、日本側の方策の失政は『意図せぬ結果』として表れ始め、64Fの酷使に繋がっている。『エースパイロットに依存せず、パイロットの平均年齢を引き上げ、座学を仕込んだ20代以上のパイロットに統一していき、将来的な平均練度も上げる』狙いは外れた。平時を前提にした制度は有事には適応しないのだ。また、邀撃部隊に新装備が相次いで配備される一方、侵攻部隊の装備更新が遅らされるという嫌がらせ的な措置も関係しており、司令部直属の一部の部隊しか最新装備が得られないという珍事も起こっており、64Fへの依存はスキャンダルとして報じられた――
――実際の現場では、既に旧式化した紫電改や雷電でさえも保有していない部隊がまだ残る始末であり、機種統一以前の問題であった。連合軍間での規格統一が図られていた名残りで、エンジンへのバランスシャフト装備研究も停滞していた有様であった。ダイ・アナザー・デイでは、水エタノール噴射装置が現場判断で零戦等にも積み込まれて効果を発揮したものの、エンジン部品の劣化が早いという難点があった。一般の整備兵に頼らない整備体制だった部隊も多かったため、64Fの(陸軍航空部隊/航空自衛隊由来の)高度な整備体制はむしろ異端であった。それに統一するのは軍の現場担当の幹部全体への再教育が必要であり、戦中では難しい上、メーカーのサポートも必要であった。ウィッチ部隊から通常兵器部隊へ改組された部隊も多く、64Fほどの厳密な整備体制の確立は難しかった。幹部に航空自衛隊や地球連邦宇宙軍への勤務経験と実績があり、兵器整備体制の高度さ(徒弟制由来でない)に理解がある64の高度で管理の行き届いた体制は扶桑では珍しく、整備体制の近代化が課題であり、遠征でリベリオン系部隊が選ばれる理由にも繋がっている。過去、ミーナは整備兵に空中勤務者との接触を禁じていたが、圭子や黒江の構築した体制のほうが整備体制の近代化と士気の観点から正しいと証明された。そこも降格の度合いが下士官まで検討された理由でもある。501の整備兵が意図的に一定数を入れ替えられた理由は、これ以上のスキャンダルの漏洩を防ぎたい三将軍の意向で、501/64Fの整備は旧・アフリカ出身者、黒江が47Fとのトレードで引き抜いた『刈谷』中尉のチームがアストナージ・メドッソの研修を受けることで行われた。アストナージ・メドッソはダイ・アナザー・デイの段階で、黒江達に助力していたのだ。彼はメカニックとしては地球連邦軍最高の一人であるため、ダイ・アナザー・デイの開始時に教官として招聘され、64Fが好きにガンダムタイプを取り寄せる度に講習会が開かれ、ZやZZといった複雑なメカニックが最高のコンディションを保つのは彼の功績だ。アストナージ曰く、『あいつらが好きに重装型やら、ゼータ系を使うのには慣れっこさ』とのこと。特に64Fが任務の必要からも好む可変メカはジム系の量産機より整備の手間がかかるために講習は必須であり、黒江たち自身が講習を受けている。陸軍時代からの慣習である――
「格納庫にある変形合体メカだが、俺たち自身が整備講習を受けてる。もちろん、お前もだ。高性能マシンは量産機なんかと違って、整備の重要度が高いんだ」
ガンダムタイプやスーパーロボットは戦闘で高性能な反面、整備に気を使うメカニックである。VFはまだ楽な方だが、ガンダムタイプやスーパーロボットは整備を怠った場合は性能を発揮出来ない。黒江は元々がテストパイロットであったために、整備兵の受けが良い。アストナージも可愛がっており、黒江が出世した後も、メカトピア戦当時の呼び方をお互いに維持している。黒江はスーパー、リアルの双方に対応できる数少ないパイロットなのだが、ジャンルを問わずに整備を念入りに行わせるのは、テストパイロット時代に見てきた事故の名残りだろうとの事。アムロからは『石橋を叩いて渡りすぎる』と評されている。友人の圭子曰く、『ハンナ(マルセイユのこと)の事故を重く見てんのさ』とのこと。
――キュアドリームAというと、聖闘士に準ずる戦闘能力を手に入れたため、怪人たちと互角に戦えるようになっていた。のび太は銃の撃ち合いには強くとも、ステゴロはてんでだめ(少年時代よりはマシだが)のままであるため、ステゴロは彼女の役目だった――
「ライトニングファング!!」
黒江が獅子座、射手座、天秤座、山羊座に縁があるため、必然的にその系統の闘技が伝授されたわけだ。正面切っての戦闘を彼女に任せ、のび太は銃と鋼線を駆使し、戦う。超人的な射撃と鋼線の才能があっても、肉体的には同年代では『線の細い』方であるからだ。
「ここのあたしが見たら、なんて言うかな」
「ま、君は今、聖闘士に準ずる力を持つからね。それも黄金級だ。ZEROが融合した賜物と言えばそれまでだけど、紛れもなく君の力だしね」
のび太はスーパーレッドホークに持ち替え、弾丸を対怪人用の腐食弾『コローション弾』にして装填する。そして、襲いかかるショッカー怪人を銃撃し、一撃で腐食させ、死に至らしめる。
「僕の鋼糸はせいぜい隠し芸だから中距離のトラップくらいにしか役に立たないよ、時間かけて仕込み出来るなら、かなりの事は出来るけどね」
そう言いつつも、自宅の趣味部屋の入口にワイヤートラップを仕掛け、しずかが夫の留守中に外そうとしたら、解くのに3ヶ月かかり、完全に解いた瞬間に、のび太が帰宅のチャイムを鳴らしてタイムアウトだった事もあので、あやとりの技能を応用してのトラップは天才である。
「でもさ、すごいね、その弾頭」
「元は組織から流れた技術さ。結城さん(ライダーマン)がマシンガンアームのアタッチメント用に制作していたものを譲ってもらって、弾丸の製法をデイブに流して、彼に弾丸から製造してもらった。結城さん曰く、組織の裏切り者粛清用として、ショッカー時代に造られた『枯れた技術』らしいよ」
コローション弾。正式表記は『korrosion弾』で、開発時点の全ての改造人間を腐食・溶解して倒せる弾丸であり、かのアポロガイストも処刑用に使用していたという。仮面ライダータイプの改造人間も初期タイプなら殺せるが、一号と二号が再改造やパワーアップで弾丸への耐性を身に着けたり、V3以降の仮面ライダーは銃撃を無効化可能なギミックや装甲を設計時点で備えるため、組織も仮面ライダーへの使用を減らしていったという。とはいえ、改造人間にも有効な弾丸という点は評価され、連邦軍の工廠で量産されている。
「なるへそ。でもさ、気がついたら、太陽に飛び込んでも死ねない体になってるってのもなー。便利っちゃ便利だけどさー…」
「ま、戦いで使う分には便利さ。僕なんて、ギャグ補正で『寿命以外で絶対に死ぬことない体』で、今はノビタダに転生する契約を結んでる身で。君とあんま変わらないさ」
のび太も別方向に不死身の体を持つため、シリアスとギャグの双方に対応できる。のぞみは普段はギャグ担当。だが、シリアス時はバトルものの主人公らしい振る舞いを見せ、プリキュアの歴史上初めて、ラスボスと和解した実績を持つ。前世では失敗を犯したが、それは現役時代を終えた後、大人になった後の時間軸でのことであるので、本人も『大人になったからこそ、犯したミス』と述懐している。
「シャーリーには言ったんだけど、あたしもアホだったしさ、前世の事は区切りをつけたよ。前世の時は変に大人の理屈を振りかざしちゃったしさ」
「君とキュアエールは一回り以上離れてるからね。ジェネレーションギャップは起こるさ。思うに、あの子は戦をするには優しすぎるのさ。君やシャーリーさんみたいな性格と思い切りが、戦には必要なのさ」
のび太は成長した時代が平成初期~中期であるため、戦いでの割り切りは昭和以前のヒーローたちの影響が強い。さらに幾多の修羅場を潜って来ているため、和解できない敵への対応は一貫している。
――のび太のガンプレイは見事なものである。ダブルアクションリボルバーを手慣れた手付きで扱い、相応の発射態勢を取って撃ち、ショッカー怪人らを5体は殺す。――
「こいつらは学園の関係者を洗脳するための運び屋ってところだな。見てみ。トラックが止めてある」
「噂の蜂女でも蘇生させてるのかな?」
「蜂女は洗脳に特化した女怪人だからね。1号ライダーが探してるよ。ステゴロじゃ、僕でもどうにかできそうな弱さだから」
のび太は蜂女の存在を警戒しているが、同時に蜂女の性能は常人が戦える程度に抑えられていることも知っている。旧一号相手にすぐに劣勢になるなどの情報から、性能は洗脳や捕縛任務に特化しており、多くの改造人間のような『戦闘向けの怪人』ではないと聞いていたからだ。
「トラックが止めてあるガレージを調べよう。見張りもいないから」
「うん、行こう!」
のび太とキュアドリームは調査を開始する。怪人を倒し、無人となったトラックのガレージに足を踏み入れていく…。