ドラえもん対スーパーロボット軍団 出張版   作:909GT

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今回の主役はストライクウィッチーズのシャーリーとキュアホイップ/宇佐美いちかです。


第二百四十四話「シャーリーの懸念と宇佐美いちかのカンと、坂本Bのダモクレスの剣」

――カールスラント軍はドイツ主導の施策で大きく弱体化してしまった。海軍は戦艦部隊の往年の規模への再建を諦めざるを得なくなり、完全に沿岸海軍になることを余儀なくされた。カールスラント国民は往年の大洋艦隊の復活を志向したが、ドイツ側は軍を政治的に抑えつけるためもあり、コルベットやフリゲート艦主体の『小さな海軍』を志向しており、そのためにカール・デーニッツを利用した。結果、それは成功したものの、内乱を誘発したため、NATOの介入で『戦艦六隻を基幹にする一定規模の水上艦隊の保有を認める』。これは帝政が打倒され、ナチスのような独裁体制に変貌することをドイツが恐れる一方、『ガリアの失態のせいで、カールスラント全体が民主共和制に嫌悪感を持つ』事をドイツが知ったのが内乱鎮圧後の事であったためだ。共和派の横暴さもあり、1949年に共和右派は内乱の主導者と見做され、根こそぎ逮捕され、ドイツの共和化の思惑は打ち砕かれた。その代わり、帝国という体裁を保ちつつの緩やかな民主化政策が長期的観点から実行される。ドイツ側が強権的政策を捨てた1949年には権威が低下しきっており、時、既に遅しであった――

 

 

 

 

 

――カールスラント海軍は疎開した国土の状況から、一からの戦艦の新造は費用捻出の観点から不可能と判断。船体が完成間近の段階で放棄されたビスマルク級の姉妹艦の船体を新空母の船体に流用する一方、繋留されていた鹵獲艦『H42級』と『H41級』を修繕して使用することにし、この時期に工事を終えていた。これにより、一応は条約下での定数を満たす事には成功した。艦に描かれていたハーケンクロイツはカールスラント海軍の象徴であるタッツェンクロイツに書き換えられた他、修繕工事の際にはカールスラントが研究していたものに細かな装備などは置き換えられた。とは言え、大和型戦艦の系譜に負けたということで保有に反対論もあったが、Z計画を遂行するだけの国力はない。新国土の再建が急務なためと、カール・デーニッツの造艦政策の失政のためである。結局、ウィッチ世界にはポーランド相当の国は存在せず、オラーシャ帝国の分裂などの政変のおかげで、帝政カールスラントの解体は免れた。更に『ウィッチを確保できない限り、国土保全すらおぼつかない』ウィッチ世界特有の事情もあり、カールスラントは第一次世界大戦当時の領土の保全とノイエ・カールスラントの維持を認められた。ノイエ・カールスラントにいる人間らを南米から追放したところで、ゆく宛もなく、散り散りになった挙句に、ドイツ民族そのものが絶えてしまう可能性も大だったためだ。(ウィッチ世界にポーランド相当の国が存在しないという幸運もあった)その関係上、『ある程度の軍備再建』は結局は認めざるを得なかったドイツ連邦共和国。NATOの介入でカールスラントへの強権的言動の数々が糾弾された結果、ドイツ側がカールスラントの統治関連の分野から手を殆ど引いたため、日本連邦よりかなり緩い連邦となり、『統合』の恩恵は顕著には得られなかった――

 

 

 

 

 

 

――カールスラントと対照的に、日本連邦は政治的一体化が進み、連邦軍固有の部隊という形で『Gフォース』も置かれるなど、一つの国としての体裁が整えられていく。また、カールスラントの軍事的衰弱に伴い、『国際連合の主力』となる事が求められたため、日本の左派の軍縮の思惑に反し、扶桑は『強力な軍隊の維持』の大義名分を得た。ウィッチ世界の国々は国際情勢の急変で『戦力がろく残っていない』。そのため、日本連邦に世界を守らせる事を押し付けたわけだが、大国もほとんどが財政難になっているため、日本連邦に軍事行動の大義名分を与える代わりに、財政援助を申し込むようになった。これに同調しなかったガリアだが、アルジェリア戦争の敗戦後にド・ゴール派が勢いを失うと、これに同調。扶桑皇国は史実のアメリカ合衆国の役目を負わされていったわけだ。日本連邦はこうして、強度の軍事的負担を強いられるわけだが、世界を主導する立場は得られたわけだ。その主力は海軍と空軍であるため、陸軍は軽視されがちであったが、必要上、一定の規模は維持され、装備の近代化も進んでいく――

 

 

 

 

 

 

 

 

――遠征軍は自由リベリオン軍で占められたが、書類上は日本連邦軍の『外人部隊』扱いである。アメリカ合衆国の援助で『冷戦時代前期の装備』に更新されている。ただし、航空部隊は機種更新が遅れ気味であるため、Gフォースが肩代わりしている。F-20を使う他、ウルトラホーク一号などが配備された。量を質で補うためである。また、21世紀前半の水準を超える『超技術』が使えるのをいいことに技術者が『遊んだ』ため、『スカイハイヤー』や『マットアロー』の製造も行われている。黒江は『ウルトラメカ再現ごっこしてるな、エンジニアは』と苦笑している。ウルトラホークは合体分離機構は搭載されていないため、設定より小型だが、その姿はまさしく、ウルトラホーク一号であった――

 

 

 

 

「おいおいおい、マジで造ったのかよ」

 

「元になった設計図は旧軍時代にあったみたいなのよね」

 

「ドラえもん。お前の世界の日本軍はどうなってんだ?」

 

「いざ使用しようとした時には、『手遅れ』だったって奴さ。だけど、遺産は確実に後世へ残った。ムー大陸が亡くなっても、聖衣は残ったようにね。僕らの世界じゃ、元から海底人だったけどね、ムーとアトランティスは」

 

ドラえもん世界の超技術の出どころは多い。その内の一つは海底国からもたらされた事を示唆するドラえもん。ウザーラも元はアトランティス連邦の守護神であったからだ。

 

 

「やれやれ。ある種の覆しようのない事はあるってことか」

 

「日本が太平洋戦争に負けるのが、殆ど必然的なものであるようなもんさ。言い出したらキリがないけど、一年戦争でジオンが負けたのもそうさ。因果には超えられるものと『覆せないもの』があるのさ。ローマ帝国に始まる歴代の大帝国の崩壊とかね」

 

「歴史の必然でないことはどうにかなるけど、歴史に必要な事は覆せないか、可能性は極めて低い、か」

 

「日本が太平洋戦争に勝った世界を探すほうがそれこそ難しいし、ジオンが一年戦争で勝つ世界も同じように希少。なのはちゃんがやらすことのない世界を探すほうが、まだ楽かな」

 

「お前もくちわりぃな…」

 

「のび太くんには毒舌って言われてるよ、昔からね。因果はそうでないと、説明のつかない事が何回も起こる事の証明のようなものさ。マジンガーZが負けて、グレートマジンガーが華麗に初陣を飾るとか、巴武蔵さんが何かかしらの原因でいつも戦死するように」

 

ドラえもんは毒舌であるものの、ズバッとした切り口はのび太にも言うため、彼と長く付き合ってきた人間ほど『毒舌なところがある』と認識する。シャーリーもウィッチ/プリキュアとして長い付き合いになったため、ドラえもんの本質である毒舌ぶりには閉口する。往年の大山の○代そのままのどら声で言うので、余計に効果てきめん。おそらく、近年のアニメ版しか見ていないだろう世代のプリキュアが見れば、そのギャップに驚くだろう。

 

「響さーん。ケーキの差し入れでーす」

 

「いちか?お前も来たのかよ?」

 

「近年のプリキュア代表で呼ばれちゃって~。戦闘訓練は申し訳程度しかやってないんで、こうして助けるのが主な感じですね」

 

「お前は戦闘向けのプリキュアじゃないからな」

 

「本業はパティシエですからねぇ」

 

宇佐美いちかは歴代ピンクの通例で、プリキュアとして、そこそこ高いポテンシャルを持つが、本質が戦闘向きのプリキュアではないのもあり、戦闘ではサポートに徹していた。呼ばれたのは主に本業でだが、みらいと違い、偶々、予定が空いていたので、遠征軍のサポートに呼ばれたわけだ。

 

「みらいは?」

 

「はるかちゃんと真琴ちゃんを教えてます。それもあって、呼ばれたんです」

 

「なるほどな~。お前も参加するなんて、思ってもみなかった。ここ数年はケーキ作ってるか、裏方仕事してたろ」

 

「ええ。私たちの代は本格戦闘向けじゃないですし、それにフルメンバーじゃないですからね」

 

 

いちかは自分の力が本格戦闘向けでない事を自覚しているようだ。とは言え、比較的に近年のプリキュアであるため、プロパガンダ的見地から参加命令が下ったわけだ。

 

「二人いないもんな、お前んとこ」

 

「ええ。あれ?ヒーローメカを持ちだしたんですね」

 

「ダイレオンを借りてるし、アオレンジャーがバリドリーンを運んでくる手筈になってる。ゴレンジャーも加勢してくれるってことだ」

 

「すごいですね~!」

 

「のび太とドラえもんの人脈だ。のび太とドラえもんがなんとかしてくれなきゃ、あたしらの世界の国連軍はとうに有名無実になってるぜ」

 

「ぼくとのび太くんは後世の日本の人間にとっては『国家功労者』だからさ。のび太くんの一族はアナハイム・エレクトロニクスをビスト財団から奪ったよ」

 

「え、どうやって?」

 

「マーサ・カーバイン・ビストの悪事をノビタダくんが暴いたのさ。技術者の間引きをしようとしたから、デザリアム戦役を利用して、ビスト財団を解体へ向かわした。数年もあれば、完全に解体できる。サイアム・ビストさんもそれを望んでいたからね」

 

ビスト財団は22世紀中期から23世紀初頭までの期間に存在した財団で、全盛期には地球連邦政府を私物化できるとさえ謳われたが、デザリアム戦役で『ラプラスの箱』が開示されたのにも関わらず、世界が変わることがなかった事、主要人物の相次ぐ死とサイアム・ビストの遺言もあり。財団は野比財団に吸収される形で解体され、アナハイム・エレクトロニクスの支配的地位を明け渡した。デザリアム戦役の混乱を利用した形だ。ミネバ・ザビは同位体である『メイファ・ギルフォード』にザビ家の生き残りとしての責務を託して、『オードリー・バーン』として生きる事になった他、ビスト財団の蓄積した悪事を暴いたノビタダはこの功績で少佐へ特進し、連邦軍内部でそこそこの地位に栄達した。ヤマトクルーの影に隠れたが、彼もデザリアム戦役の英雄の一人である。

 

「あの世界も難儀だが、自衛隊の部隊はほとんど志願者頼りだし、扶桑の沖縄なんて、日本の市民運動で軍が追い出されたんで、現地と大揉めになってさ。結局、空母を東西の沿岸に二隻を繋留して、万一に備えることになった。怪異がいるから、警察より軍隊のほうが信頼されてるからな」

 

「なんですか、それ」

 

「日本の思い込みと高慢が現地を混乱させた典型的な例さ。だから、最近は日本には多くが事後報告になったんだと。のぞみのこともあるから、無知な政治家がパフォーマンスのために首を突っ込まないようにしたいからだと」

 

扶桑人の中には、政治家を『水商売も同然』と言って、忌み嫌う者も一定数いた。明治生まれの軍の高級官僚などがその中心であった。例を上げるなら、昭和天皇の信頼だけで総理にされた東條英機がそれに当たる。日本の政治家がシビリアン・コントロールの名目で中堅世代の軍人を大量に現職から更迭したおかげで、ダイ・アナザー・デイでは、一部の優秀な軍人の負担が大きかった。ダイ・アナザー・デイで参謀が有名無実化し、『将官だろうが、最前線の空気を知れ!銃を取って戦え!』と高級軍人が政治家にその場の勢いで罵倒される事も多く、心労が絶えなかった。パイロット出身の黒江達は日本側にとっては理想的な人材であった。とは言え、本来は畑違いの『兵站』や『広報』にも専門家級の知識を持つウィッチは海外勤務経験者のみで、大多数は専門教育化された弊害もあり、自分の専門外のことに無知な者たちであった。ミーナが叩かれたのは『任官後に改めて、座学を学ばなかったこと』だが、ミーナは引退後に歌手に戻るつもりであったのもあり、必要以上の座学を学ばなかった。それが裏目に出、事実上の更迭の憂き目にあったように、ウィッチたちの世代別の知識量の格差が問題視され、教育制度も長期的に働く人材の育成に様変わりしたため、前線部隊の世代交代は停滞気味で、芳佳世代がまだ『若手』扱いのままである。

 

「世代交代も停滞してんから、『向こう』(B世界のこと)からは驚かれたぜ。下手したら、40近いまっつぁんが現役バリバリだしな。あたしも本国に当分は戻るつもりないし、下手に本国に復帰したら、反逆扱いで銃殺刑だからな。それよりも、日本のために粉骨砕身したほうが割に合うぜ。ちゃんとエースだって扱ってもらえるしな」

 

「なんか、ぶっちゃけてますねー」

 

「そりゃそうさ。本国じゃ問題児扱いで、危うく除隊処分されそうだったんだ。記憶が覚醒めた事もあって、今は日本の永住権取ったよ。お袋や親父には悪いけど、妹達や弟達は呼んである」

 

「え、アメリカにいるんですか?」

 

「下に三人、姉貴が一人な。下の兄弟はまだちっこくてな。叔父貴の手引で南洋に住まわせた。姉貴には苦労かけてるよ。あたしんち、片田舎でさ。姉貴は家に残るけど、下のガキ共はこっちに住まわせた。親父がお袋の反対を押し切って、叔父貴の手引きで南洋への亡命船に乗せた。一週間前から家に住まわせてんだが、ガキ共は甘えん坊でなぁ」

 

シャーリーは実家の兄弟姉妹たちを亡命させ、面倒を見ているという。歳が離れているため、シャーリーと歳が比較的に近い妹でも、まだ中学生くらいであるので、シャーリーは兄弟姉妹のためにも、道楽に耽るわけにいかなくなった。

 

「道楽に耽るわけにもいかなくなったから、副業で歌手でもすんわ。平和になったら、有事即応部隊は暇になるからな。レーサーに戻りたいけど、お袋にどうせ反対されそうだしよ」

 

シャーリーはこの時の言葉通り、後年に歌手として成功を収める。レーサーとしての名声を保ちつつ、歌手としても、太平洋戦争後にヒットチャートに載るような楽曲を歌い、定年退官から、南洋での隠棲までの数十年を本格的に歌手として過ごすことになる。

 

「それはそれとして、大変だぞ。直に昭和25年だってのに、まだ戦争してんだからな。二次大戦を通り越して、今や朝鮮戦争の時代だぜ?連合軍は有名無実化してるし、嫌になるぜ」

 

 

 

シャーリーは自国が事実上、敵に回ったことで連合軍が有名無実化しているのが普通である事を実感していた。リベリオンの物資があって初めて、世界規模の活動ができていた連合軍だが、45年にリベリオン合衆国とヴェネツィア共和国(ヴェネツィアは後に政権交代で復帰)が離脱し、扶桑も44年度に呉の軍港機能を破壊されたことで、連合軍は急速に瓦解に向かった。地球連邦軍の物資援助と事実上の統制で体裁は保ったが、カールスラントの軍事的衰退と、オラーシャの分裂で連合軍と言っても、事実上は日米英の三カ国の軍隊が『国際的に活動するための政治的な大義名分』としてしか機能していない。ロマーニャはダイ・アナザー・デイでの大打撃で軍隊が未だに動けず、ヒスパニアに至っては『人材派遣センター』も同然の状態であり、ヘルウェティア連邦(スイス相当の国)は永世中立国。連合軍はもはや、事実上は三カ国連合の様相であった。その主力であることを否応なしに押し付けられた日本連邦軍だが、自衛隊の部隊と装備の供出が極めて困難であるので、Gフォースを創設し、志願者を募るという回りくどい方法でしか、有事即応部隊を創設できず、64Fを付随させた一個艦隊という形で活動している。装備は立派だが、人員は64F隊員がほとんど兼任しているため、自衛隊員の数は『体裁を保つ』程度にしかいない。これは日本特有の政治的都合だが、他国から(ウィッチ世界を含めて)非難の対象になっていた。『志願者を送り込む』ことで体裁を整えていると思っている防衛省に衝撃を与えたわけだが、自衛隊員に死者を出せない日本国の悲哀がクローズアップされたが、戦後日本の『軍事不信』が旧軍の戦中における失態の数々にある事も示されたため、扶桑軍の参謀達は気まずい思いをする羽目に陥っている。そんな政治の駆け引きの結果がGフォースなのだ。そのため、『一騎当千の強者』への依存度は年々高まっている。ウィッチ達の中には『旧来通りの勤続年数』で軍を去る者も依然として多いからで、それに絡む人材難は続いている。

 

「B世界の連中はこの世界を異常だと言ったそうだが、そりゃ大きな間違いだ。怪異との戦いだけが戦争じゃねぇんだ…。ある意味、あいつらが見てる『幻想』が解けた世界がここなんだろう」

 

「向こうの子達もその事はだいぶ受け入れたと思いますよ?自分たちの世界も怪異がいなくなれば、そうなる要素はあるんだし。坂本さんはそれを懸念して、ウチを頼ったんでしょうね」

 

「ウォーロックから始まる怪異研究をぶっ潰したいんだろうな。こっちじゃ、あの三人がシャインスパークとカイザーノヴァで研究所を消し飛ばしたから、『なかったことにされた』けど、向こうじゃ、ある程度の実用化に目処が経ってるはずだから。それと、向こうの坂本少佐は上層部への復讐をするつもりだ。

 

「復讐?穏やかじゃないですね」

 

「事が済んだら、介錯してくれとも、な。冗談に思えないって黒江さんも懸念している。向こうの少佐はなんかの復讐をする気だ。それも、戦争を隠れ蓑にして、な」

 

「しょんな!一大事じゃないですか!」

 

「しばらくはそれを探ることになった。向こうの宮藤が知れば、間違いなく止めようとするだろうな、向こうの少佐はこっちの少佐より青臭さが残ってるから、心の中にくすぶっていた復讐の火が完全についちまった。ウォーロックから始まる研究への憎悪……まさか」

 

「ありえますね…。今度、探りを入れてみます」

 

「僕も調べてみるよ。なんか、嫌な予感しかしないからね、そういうも言い方は。闇落ちフラグビンビンじゃん」

 

「だろ?二人とも、頼む」

 

 

いちかとドラえもんも坂本Bが何を考えついたのか。その答えにたどり着いたようだ。坂本Bはウォーロック事件後、怪異のコア制御研究を嫌悪しており、黒江に極秘で自分たちの世界への介入を依頼した。これはミーナにも言っていないことである。A世界の転生したウィッチの強大な力でそれを叩き潰したいとする願望を話し、武子は助力を約束した。ミーナを巻き込まなかったのは、坂本Bが『知らないのなら、嘘をつかずに済む』としたためだ。A世界側にとっては『B世界の国々に対し、心理的に戦争抑止をさせること』という目的もあるのである。実際、史実で出現する超音速怪異はハルトマンとバルクホルンであろうと、初見では対処不能であった。A世界ではシュワルベ(メッサーのMe262)の代わりに、セイバーストライカーが主力になった他、コメートストライカーは開発中止で存在しないため、B世界で開発されただろう兵器のいくつかは存在しない。ラーテもB世界では実戦投入前提に作られているが、A世界では、試作七号車までが完成した段階で計画中止となっている。その役目の代替が歴代のスーパーロボットと予定されている。B世界では、何らかの手段で重量低減策が取られた一両が完成間近であった。A世界では『確保していた資材で他の兵器を作ろうぜ』ということになり、ベルリン攻略そのものが太平洋戦争で棚上げとなったが、B世界では1946年の夏から秋を予定していた。その後の世界を睨んだ動きは当然しているはずだ。坂本Bの願いはその後に叶うことになる。しかし、結局はその力を背景に、扶桑が世界のキャスティングボードを握る事を良しとしない諸勢力が国際連盟に反乱を起こす事になり、B世界に行ったら行ったで、潜在的にその世界が抱えていた『火種』が表面化してしまうわけだ。坂本Bは自分の世界の抱えていた火種に落胆することになるが、『世界の戦争屋共を一網打尽にできるいい機会』とし、自国の不満分子を含めた『敵』の撃滅に邁進してゆく。元々、坂本は多くの場合、北郷のウィッチ生命を奪った上層部を敵視しており、B世界ではそのことへの復讐を考える一方で、ある種の清廉潔白さは保っており、B世界の同僚たちには一切を話さず、A世界の黒江に『事が済んだ後の介錯』を依頼するなど、『自分の復讐は墓まで持っていく』事を暗に示している。坂本Bのたどり着いた悲壮な答え。それを懸念し、調査を行い始めるA世界のウィッチやプリキュア。そして、ドラえもん。

 

 

 

 

――坂本Bは若き日の悔恨から得た答えを上層部へ突きつけようとしていた。かつての犠牲者へ『懺悔』をするか、滅びるか。ある種のダモクレスの剣として。彼女はA世界の坂本が早い段階で捨てた苛烈な選択肢を敢えて選ぼうとしていた。自分の世界の北郷からウィッチ生命を事実上奪った者たちへの復讐という選択肢を……――

 

 

 

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